説明

照明装置

【課題】従来よりも便利な遅延消灯機能を備えた照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置1は、光出力が連続的に変化可能な照明用光源部31と、照明用光源部31の光出力を制御する制御部20とを備える。制御部20は、操作者によって選択された動作モードに応じて照明用光源部31の光出力の制御を行なう。動作モードとして所定の減光制御モードが選択されたとき、制御部20は、第1の期間で照明用光源部31から放射される光束を第1の値まで連続的に減少させ、次の第2の期間中、第1の値に保ち、次の第3の期間で第1の値からさらに減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、照明装置に関し、特に発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を光源とする照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
就寝時に、照明が全点灯状態から急に暗くなってしまうと、急激な明度変化に眼が慣れないといった問題が生じるので、従来から遅延消灯が用いられている。
【0003】
たとえば、特開平5−326157号公報(特許文献1)には、消灯操作後に徐々に明度を落としてフェードアウトさせて消灯する遅延消灯機能について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−326157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、従来の白熱電球や蛍光灯に代わる新しい照明用光源としてLEDが注目されている。LEDは、小型、長寿命、低消費電力の光源であり、指向性にも優れている。さらに、パルス点灯の場合にデューティ比を変化させたり、定電流点灯の場合に電流値を変化させたりすることによって、連続的に照度を調整すること(連続調光)も可能である。
【0006】
本願の発明者は、このようなLEDの優れた特徴を生かして、従来の遅延消灯機能を使用者にとってより利便性を高めたものに拡張することを検討した(なお、この明細書では、従来の遅延消灯機能を拡張した一般的な呼称として、「減光制御機能」を用いる)。
【0007】
従来の減光制御機能において、特に問題と考えられるのは次の点である。すなわち、上記の文献に記載された従来の照明器具では、遅延消灯機能が選択された後、蛍光ランプが所定時間後に消灯するようフェードアウトするが、上記遅延消灯機能の動作中は消灯されるまで一定の割合で減光し続ける。このため、使用者が就寝までの間に読書ができる一定の照度以上で保たれる時間が短くなるので、使用者にとって不便であるという問題があった。
【0008】
この発明は、上記の問題点を考慮してなされたものであって、その目的は、従来よりも利便性の高い減光制御機能を備えた照明装置を提供することである。
【0009】
なお、本願発明は、LED照明に好適に用いられるものであるが、必ずしもLED照明に限られるものでなく、連続調光が可能な光源を用いた照明に広く適用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は要約すれば照明装置であって、光出力が連続的に変化可能な照明用光源部と、照明用光源部の光出力を制御する制御部とを備える。制御部は、操作者によって選択された動作モードに応じて照明用光源部の光出力の制御を行なう。動作モードとして所定の減光制御モードが選択されたとき、制御部は、第1の期間で照明用光源部から放射される光束を第1の値まで連続的に減少させ、次の第2の期間中、第1の値に保ち、次の第3の期間で第1の値からさらに減少させる。
【0011】
好ましくは、制御部は、第1および第3の期間で、単位時間あたりの光束の減少率を徐々に低下させる。
【0012】
好ましくは、制御部は、第2の期間において被照射面の照度が50ルクスから100ルクスの間になるよう照明用光源部の光出力を制御する。
【0013】
好ましくは、照明用光源部は、第1の色温度の光を出力する第1の点灯状態と、第1の色温度よりも低い第2の色温度の光を出力する第2の点灯状態とに設定可能である。所定の減光制御モードが選択されたとき、制御部は、照明用光源部を第1の点灯状態から前記第2の点灯状態に切替えるとともに、第2の点灯状態で放射される光束を第1の値よりも高い第2の値に設定する。その後、制御部は、第1の期間で第2の点灯状態で放射される光束を第2の値から第1の値まで連続的に減少させ、次の第2の期間中、第1の値に保ち、次の第3の期間で第1の値から0まで連続的に減少させる。
【0014】
好ましくは、第1の色温度は昼白色または昼光色に相当する色温度であり、第2の色温度は電球色に相当する色温度である。
【0015】
好ましくは、照明装置は、第1の値よりも低い値の光束を放射する常夜灯をさらに備える。所定の減光制御モードが選択されたとき、制御部は、常夜灯を点灯させる。
【0016】
好ましくは、常夜灯は、第2の点灯状態による放射光と同じ色温度の光を出力する。
もしくは、常夜灯は、第2の点灯状態による放射光と異なる色温度の光を出力する。
【0017】
もしくは、常夜灯は、単色光を出力する。
好ましくは、制御部は、第2の期間が終了する時刻よりも所定時間だけ前の時刻に、第2の期間の終了を音または光で操作者に知らせる。
【0018】
好ましくは、上記の第2の期間の長さは、所定の減光制御モードの実行中に変更可能である。
【0019】
好ましくは、常夜灯から放射される光束の値は変更可能である。所定の減光制御モードが選択されたとき、制御部は、常夜灯から放射される光束の値を、前回点灯中の期間の最後に設定していた値にする。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、減光中に照度を所定時間一定にすることによって、眠りにつくまでの間に読書をすることができるという、従来よりも便利な減光制御機能を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施の形態1による照明装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】図1のLEDモジュール32,33,34から放射される光束の時間変化を示す図である。
【図3】図1の制御用マイコン22による、おやすみ調光モードにおける制御手順を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態2による照明装置1Aの構成を示すブロック図である。
【図5】図4の制御用マイコン22による、おやすみ調光モードにおける制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰返さない。
【0023】
<実施の形態1>
[照明装置の全体構成]
図1は、この発明の実施の形態1による照明装置1の構成を示すブロック図である。この実施の形態では、照明装置1として、天井灯(シーリングランプ)を想定している。照明装置1の操作は主としてリモコンで行なわれる。
【0024】
図1を参照して、照明装置1は、電源回路10と、インターフェイス部40と、制御部20と、光源部30とを含む。
【0025】
(電源回路の構成)
電源回路10は、商用電力系統から交流(AC)電圧の入力を受けて直流電圧に変換し、変換によって得られた直流電圧を照明装置1の各部に供給する。なお、図1においては、図解を容易にするために光源部30のみに電圧が供給されるように示されているが、他の構成要素に対しても必要な直流電圧が供給される。
【0026】
(インターフェイス部の構成)
インターフェイス部40は、赤外線受光部41と、操作SW42とを含む。
【0027】
赤外線受光部41は、リモコンから出力された赤外線信号を受光し、受光した赤外線信号を光電変換して信号受信部26に出力する。操作SW42は、照明装置1の電源をオン・オフするための電源スイッチなどを含む。電源スイッチの他に、リモコンの各種ボタンに対応する操作スイッチを設けることもできる。操作SW42の入力操作に応じた信号は、SW入力部27を介して制御用マイコン22に入力される。
【0028】
(制御部の構成)
制御部20は、照明装置1全体を制御する制御用マイコン22と、電源制御回路21と、昼光色LEDモジュール32用の調光制御回路23と、電球色LEDモジュール33用の調光制御回路24と、常夜灯LEDモジュール34用の調光制御回路25と、信号受信部26と、スイッチ(SW)入力部27とを含む。
【0029】
電源制御回路21は、制御用マイコン22の指令に従って、電源回路10の動作を制御するための制御信号を出力する。調光制御回路23は、制御用マイコン22の指令に従って、昼光色LEDモジュール32からの光出力を制御するための制御信号を出力する。調光制御回路24は、制御用マイコン22の指令に従って、電球色LEDモジュール33からの光出力を制御するための制御信号を出力する。調光制御回路25は、制御用マイコン22の指令に従って、常夜灯LEDモジュール34からの光出力を制御するための制御信号を出力する。信号受信部26は、赤外線受光部41から出力された光電変換後の電気信号を復調し、復調信号を制御用マイコン22に出力する。SW入力部27は、操作SW(スイッチ)42の入力操作に応じた信号を制御用マイコン22に出力する。
【0030】
(光源部の構成)
光源部30は、昼光色LEDモジュール32と、電球色LEDモジュール33と、常夜灯LEDモジュール34とを含む。昼光色LEDモジュール32および電球色LEDモジュール33を併せて照明用光源部31とも称する。
【0031】
LEDモジュール32は、多数のLED素子によって構成され、色温度が約6500K(昼光色)の白色光を放射する。白色光を実現する方法として、たとえば、赤色、緑色、青色のLEDを組合わせる方法や、青色LED素子を該青色LED素子の光により励起されて(波長変換されて)黄色光を発光する黄色蛍光体を含有する樹脂で封止したLEDモジュールを用いることができる。昼光色に代えて、色温度が約5000Kの昼白色を用いてもよい。昼光色または昼白色の光は、室内で作業中のときの照明に適している。LEDモジュール32の光出力は、調光制御回路23からの制御信号に応じて連続的に調整可能である。たとえば、パルス点灯の場合にデューティ比を変化させたり、定電流点灯の場合に電流値を変化させたりすることによって連続調光を行なうことができる。
【0032】
LEDモジュール33も同様に、多数のLED素子によって構成され、色温度が約3000K(電球色)の白色光を放射する。電球色の光は、夜間に室内でくつろいでいるときや就寝前の照明に適している。電球色の光は、同じ調光率の昼光色や昼白色の光に比較して被照射面における照度が低いため睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制され難い効果がある。LEDモジュール33の光出力は、調光制御回路24からの制御信号に応じて連続的に調整可能である。
【0033】
照明装置1全体では、LEDモジュール32,33は複数個配置される。たとえば、LEDモジュール33,34は交互に隣接して円形状に配置される。
【0034】
LEDモジュール34は、常夜灯として用いられるもので、放射光の最大強度はLEDモジュール32,33に比べてかなり小さい。たとえば、照明装置1の使用者(操作者)の位置での照度は、1〜2ルクス程度である。LEDモジュール34の色合いは、通常の場合には、LEDモジュール33と同じ電球色が用いられる。
【0035】
LEDモジュール34の明るさは、調光制御回路25からの制御信号に応じて、高(H)レベル、中(M)レベル、低(L)レベルの3段階に調整可能であるとする。好ましくは、前回点灯中の期間の最後に設定していた光出力のレベルは、制御用マイコン22の内蔵メモリに記憶される。そして、おやすみ調光モードが選択されたとき、LEDモジュール34の光出力は、内蔵メモリに記憶されたレベルに設定される。
【0036】
[おやすみ調光モードについて]
図1の照明装置1には、色温度の選択、調光、および消灯方法などに関して複数の動作モードが予め設定されており、照明装置1の使用者がリモコンを操作することによって動作モードを選択することできる。以下、この発明に関係する就寝時の動作モードである、おやすみ調光モード(減光制御モードとも称する)について説明する。
【0037】
図2は、図1のLEDモジュール32,33,34から放射される光束の時間変化を示す図である。ここで、光束とは、放射束(単位時間あたりの放射エネルギー)を視感度で補正したものをいい、単位はルーメン(lm)である。光束を受光面積で割った値が照度(単位はルクス(lx))である。
【0038】
図2において、LEDモジュール32,33については、全点灯時の光束を100%としたときの比率(調光率とも称する)で光束の大きさが示される。常夜灯用のLEDモジュール34については、点灯時の調光率を中(M)レベルとする。
【0039】
図1、図2を参照して、時刻t1より前の通常モード時には、電球色のLEDモジュール33の光出力が0であり、昼光色のLEDモジュール32のみによって照明が行なわれているとする。常夜灯用のLEDモジュール34は消灯状態(調光率0%)になっている。なお、調光率は、全点灯時の被照射面の照度(例えば直下照度)を100%としたときの比率で表してもよい。
【0040】
通常モードでは、LEDモジュール32の調光率を100%(全点灯状態)にしているが、必ずしも100%である必要はなく、照明装置1の使用者によって設定された調光率であっても構わない。LEDモジュール32に代えて電球色のLEDモジュール33によって照明が行なわれるように設定されていてもよいし、LEDモジュール32,33の両方を点灯することによって昼光色と電球色とを混ぜた中間の色温度にしてもよい。
【0041】
時刻t1に、照明装置1に使用者によって、動作モードとしておやすみ調光モードが選択されたとする。この実施の形態では、おやすみ調光モードでは、減光に要する時間を30分または60分のいずれかに選択可能である(それぞれ、「30分設定」、「60分設定」と称する)。さらに、おやすみ調光モードが終了したときの光源部30の状態を「消灯」か「常夜灯」のいずれかに選択できる。図2には「常夜灯」が選択された場合が示されている。
【0042】
時刻t1から時刻t2までの約1秒間で、制御部20は、昼光色のLEDモジュール32の調光率を0%(消灯状態)にし、電球色のLEDモジュール33の調光率を50%にする。光源から放射される光を電球色のような温かみのある色合いにすることによって、同じ調光率の昼光色や昼白色の光に比較して睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制しにくい効果がある。
【0043】
なお、本実施の形態の場合、おやすみ調光モードにおける照明用光源部31の動作はLEDモジュール33のみで行われる例について説明するが、これに限定されず昼白色のLEDモジュール32で動作してもよいし、昼光色と電球色の中間の色温度の光を出力する点灯状態、すなわちLEDモジュール32とLEDモジュール33を両方を点灯させて動作させてもよい。
【0044】
ただし、使用者を眠りに誘うという観点からは、おやすみ調光モードでは、通常モードよりも照明の色温度を下げたほうが望ましい。したがって、より一般的に言えば、照明用光源部31は、第1の色温度の光を出力する第1の点灯状態と、第1の色温度よりも低い第2の色温度の光を出力する第2の点灯状態とに設定可能である。そして、おやすみ調光モードが選択されたとき、望ましくは、制御部20は、照明用光源部31を第1の点灯状態から前記第2の点灯状態に切替える。
【0045】
制御部20は、さらに、時刻t1に常夜灯用のLEDモジュール34を点灯する。おやすみ調光モードの終了時ではなく、最初に常夜灯を点灯する理由は、おやすみ調光モードから常夜灯モードに移行するときに、滑らかに光束が変化するようにするためである。通常照明用の光源の光出力を0にした後に常夜灯を点灯すると、光束の変化が不連続になり、被照射面における照度が上昇することになる。低照度下における人間の光の変化に対する視覚感覚は高照度下よりも敏感であるため、おやすみ調光モードの終了時にわずかでも照度が上昇することで使用者の眠りが妨げられる虞があるが、最初に常夜灯を点灯することで違和感なく使用者を眠りに誘うことができる。
【0046】
なお、おやすみ調光モードの開始時点で常夜灯が点灯していても照明装置1の使用者が気付かないようにするためには、常夜灯用のLEDモジュール34の色温度を、LEDモジュール33と同じ電球色に相当する色温度にするとよい。逆に、動作モードがおやすみ調光モードであることを照明装置1の使用者に認識させるために、敢えて、常夜灯用のLEDモジュール34の色温度を、LEDモジュール33と異なる色温度にしても構わない。たとえば、色温度を、電球色に相当する3000Kより低い2700Kにしてもよいし、3000Kより高い4000〜5000Kにしてもよい。もしくは、常夜灯用のLEDモジュール34から放射される光を、青色、赤色などの単色光にしてもよい。
【0047】
次の時刻t2から時刻t3までの期間で、制御部20は、LEDモジュール33の調光率を50%から30%まで連続的に減少させる第1の減光処理を行なう。この第1の減光処理では、単位時間当たりの調光率の減少割合が徐々に低下するようにするのが望ましい。理想的には、感覚の強さが刺激の対数に比例するというウエーバー・フェヒナーの法則に基づいて、調光率の対数が経過時間に比例するように減光するのがよい。このように減光することによって、感覚的にはほぼ一定の割合で暗くなっていくことになり、できるだけ短時間で違和感無く減光することができる。
【0048】
具体的に上記の減光処理を行なう場合、図1の制御用マイコン22は、調光率の対数と経過時間(具体的にはタイマのカウント値)との関係式に基づいて調光率の設定値を算出し、算出した調光率の設定値に対応する制御信号を調光制御回路24に出力させるようにする。もしくは、制御用マイコン22に内蔵されたメモリに、調光率の設定値と経過時間(タイマのカウント値)との関係を表わすテーブルを予め記憶しておき、制御用マイコン22が、このテーブルに従った制御信号を調光制御回路24に出力させるようにする。
【0049】
次の時刻t3から時刻t4までの期間中、LEDモジュール33の調光率を30%に保つ待機処理を行なう。これによって、就寝時に照明装置1の使用者の枕元での被照射面の照度が50ルクスから100ルクス程度に保たれるようにする。この照度の値は、照明装置1の使用者のメラトニンの分泌抑制を低減するとともに、眠りに付くまでの間に読書が行なえるようにすることを考慮して設定されたものである。時刻t2から時刻t3までの第1の減光処理の期間で、調光率の対数が経過時間に比例するように減光しているので、使用者は時刻t3から時刻t4の間で低照度に眼が慣れた状態で読書を行なうことができる。もし仮に、50%から30%に急激に調光率を低下させていたら、眼が低照度に慣れていないので本を読み難くなってしまい眼に負荷がかかることになる。
【0050】
なお、言うまでもないことであるが、時刻t2、t3での調光率の設定値である50%、30%は全点灯時の光出力の大きさに依存するので、この調光率の値に限定されるものでない。
【0051】
この実施の形態の場合、第1の減光処理および待機処理に要する時間は、具体的に次のとおりである。30分設定の場合には、時刻t2から時刻t3までの第1の減光処理の時間は、たとえば5分であり、時刻t3から時刻t4までの待機処理の時間は、たとえば22分である。60分設定の場合には、第1の減光処理の時間はたとえば10分であり、時刻t3から時刻t4までの待機処理の時間は、たとえば47分である。第1の減光処理の時間が短すぎると、照明装置1の使用者の眼が慣れないうちに照度が低下してしまうことになり望ましくない。逆に第1の減光処理の時間が長すぎると、使用者を眠りに誘うのに最も大切な待機処理の時間が短くなってしまう。これらの点を考慮して第1の減光処理の時間が決定される。
【0052】
なお、本願発明は、第1の減光処理において単位時間当たりの調光率の減少割合が徐々に低下するよう制御する。すなわち、人間の光の変化に対する視覚感覚が比較的鈍い減光の開始時は速く減光し、視覚感覚が敏感になる低照度になるに従って遅く減光するので、違和感なくかつ短い時間で減光処理を行うことができる。
【0053】
次の時刻t4からt5までの期間で、制御部20は、LEDモジュール33の調光率を30%から0%まで連続的に減少させる第2の減光処理を行なう。この第2の減光処理でも、単位時間当たりの調光率の減少割合が徐々に低下するようにするのが望ましい。理想的には、調光率の対数が経過時間に比例するように減光した後、最終的に調光率を0%にする。したがって、光源部30全体から放射される光出力は、時刻t4から徐々に低下し、最終的には常夜灯の光出力に等しくなる。
【0054】
この実施の形態の場合、30分設定、60分設定のいずれの場合も第2の減光処理の時間は、たとえば3分である。第2の減光処理の場合もできるだけ短い時間でできるだけ違和感なくLEDモジュール33の光出力を0にするのが望ましいが、読書を想定しているわけでないので第1の減光処理と同程度の時間は必要ない。
【0055】
[おやすみ調光モードにおける制御手順]
図3は、図1の制御用マイコン22による、おやすみ調光モードにおける制御手順を示すフローチャートである。以下、図1、図3を参照して、これまで説明した内容を総括する。
【0056】
照明装置1の使用者によっておやすみ調光モードが選択されると、まず、ステップS1で、制御部20は、照明用光源部31の調光率を50%にし、調色を電球色にする。すわなち、制御部20は、昼光色のLEDモジュール32の調光率を0%にし、電球色のLEDモジュール33の調光率を50%にする。
【0057】
次のステップS2で、制御部20は、おやすみ調光モードの最終点灯状態で常夜灯が選択されているか否かを判定する。常夜灯の点灯が選択されている場合には(ステップS2でYES)、制御部20は常夜灯用のLEDモジュール34を点灯し(ステップS3)、その後、処理をステップS4に進める。常夜灯の点灯が選択されていない場合(消灯が選択された場合)には(ステップS2でNO)、制御部20は常夜灯用のLEDモジュール34を点灯せずに、処理をステップS4に進める。
【0058】
次のステップS4で、制御部20は、タイマ設定時間が1時間であるか否か、すなわち60分設定となっているか、それとも30分設定となっているかを判定する。60分設定の場合には(ステップS4でYES)、制御部20は、減光タイマを10分に設定し、待機タイマを47分に設定する(ステップS5)。一方、30分設定の場合には(ステップS4でNO)、制御部20は、減光タイマを5分に設定し、待機タイマを22分に設定する(ステップS6)。なお、減光タイマおよび待機タイマには、制御用マイコン22に内蔵されている汎用タイマが用いられる。
【0059】
次のステップS7で、制御部20は、減光タイマのカウントに基づいて、LEDモジュール33の調光率を50%から30%まで連続的に減少させる減光処理1を行なう。
【0060】
調光率を30%まで減光すると(ステップS8でYES)、制御部20は、次の待機処理(ステップS9)に処理を進める。待機処理では、調光率が30%に維持される。制御部20は、待機タイマがカウントアップする(ステップS10でYES)まで、待機処理を継続し、待機タイマがカウントアップすると、次の減光処理2(ステップS11)に処理を進める。
【0061】
ステップS11の減光処理2では、制御部20は、LEDモジュール33の調光率を30%からさらに減少させる。既に説明したように減光処理2は、たとえば3分間をかけて消灯状態または常夜灯点灯状態(常夜灯モード)に移行する処理である。電球色のLEDモジュール33が消灯状態(ステップS12でYES)になったら、おやすみ調光モードの各処理が終了する。
【0062】
以上のとおり、実施の形態1の照明装置1によれば、就寝時に照明が違和感無く連続的に減光されるとともに、減光の途中で所定時間、一定の照度が保たれる。この結果、照明装置の使用者を眠りに導きやすくできるとともに、使用者が眠りにつくまでの間に眼に負荷をかけずに本を読めるようにすることができる。
【0063】
<実施の形態2>
実施の形態2による照明装置1Aには、待機処理(図3のステップS9)の終了時刻よりも所定時間だけ前の時刻に、待機処理がまもなく終了することを音または光で照明装置1Aの使用者に知らせる機能が付加される。これによって、照明装置の使用者が読書を続けたい場合に、待機タイマ(待機時間)を延長することができるようにする。以下、図4、図5を参照して具体的に説明する。
【0064】
図4は、この発明の実施の形態2による照明装置1Aの構成を示すブロック図である。
図4のインターフェイス部40Aは、ブザー43を含む点で図1のインターフェイス部40と異なる。ブザー43から出力される音は、照明装置の使用者が既に眠りについている場合には起こさないようにするために、音の大きさ、音の高さ、および音色などが調整されている。
【0065】
図4の制御部20Aは、ブザー出力部28をさらに含む点で、図1の制御部20と異なる。ブザー出力部28は、制御用マイコン22の指令に従って、ブザー43を制御するための制御信号を出力する。図4のその他の点は図1と同じであるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0066】
図5は、図4の制御用マイコン22による、おやすみ調光モードにおける制御手順を示すフローチャートである。
【0067】
図5のフローチャートは、ステップS5,S6に代えてステップS5A,S6Aを含む点で図3のフローチャートと異なる。ステップS5Aでは(60分設定の場合)、制御部20は、減光タイマおよび待機タイマの設定に加えて、予告タイマを42分に設定する。ステップS6Aでは(30分設定の場合)、制御部20は、減光タイマおよび待機タイマの設定に加えて、予告タイマを17分に設定する。予告タイマは、待機処理(ステップS9)がまもなく終了することを知らせるために用いられ、待機タイマより5分短く設定される。
【0068】
図5のフローチャートは、さらに、ステップS9(待機処理の開始)とステップS10(待機タイマのカウントアップ)との間に、ステップS20〜S23を含む点で図3のフローチャートと異なる。
【0069】
予告タイマがカウントアップすると(ステップS20でYES)、制御部20は、ブザーを鳴らして、待機時間がまもなく終了することを照明装置1Aの使用者に知らせる(ステップS21)。このときのブザー音は、使用者が既に眠りについている場合には気付かないように音の大きさ、音の高さ、および音色などが調整されている。
【0070】
照明装置1Aの使用者がリモコンを操作することによって、待機処理時間の延長を入力した場合には(ステップS22でYES)、制御部20は、使用者が入力した時間だけ待機タイマおよび予告タイマを延長する(ステップS23)。待機処理時間を延長するための入力操作は、待機処理の実行中いつでも受付けられる。
【0071】
図5のその他の点は図3と同じであるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0072】
なお、図4、図5では、待機処理がまもなく終了することを音で照明装置1Aの使用者に知らせる例について説明したが、光を用いて使用者に知らせるようにしてもよい。たとえば、予告タイマがカウントアップすると(ステップS20でYES)、電球色用のLEDモジュール33の光出力を数回変動(点滅動作等)させるようにしてもよい。
【0073】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
1 照明装置、10 電源回路、20,20A 制御部、22 制御用マイコン、30 光源部、31 照明用光源部、32 昼光色LEDモジュール、33 電球色LEDモジュール、34 常夜灯用LEDモジュール、40,40A インターフェイス部、41 赤外線受光部、42 操作スイッチ、43 ブザー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光出力が連続的に変化可能な照明用光源部と、
前記照明用光源部の光出力を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、操作者によって選択された動作モードに応じて前記照明用光源部の光出力の制御を行ない、
前記動作モードとして所定の減光制御モードが選択されたとき、前記制御部は、第1の期間で前記照明用光源部から放射される光束を第1の値まで連続的に減少させ、次の第2の期間中、前記第1の値に保ち、次の第3の期間で前記第1の値からさらに減少させる、照明装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1および第3の期間で、単位時間あたりの光束の減少率を徐々に低下させる、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2の期間において被照射面の照度が50ルクスから100ルクスの間になるよう前記照明用光源部の光出力を制御する、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記照明用光源部は、
第1の色温度の光を出力する第1の点灯状態と、
前記第1の色温度よりも低い第2の色温度の光を出力する第2の点灯状態とに設定可能であり、
前記所定の減光制御モードが選択されたとき、前記制御部は、前記照明用光源部を前記第1の点灯状態から前記第2の点灯状態に切替えるとともに、前記第2の点灯状態で放射される光束を前記第1の値よりも高い第2の値に設定し、その後、前記第1の期間で前記第2の点灯状態で放射される光束を前記第2の値から前記第1の値まで連続的に減少させ、次の前記第2の期間中、前記第1の値に保ち、次の前記第3の期間で前記第1の値から0まで連続的に減少させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第1の色温度は昼白色または昼光色に相当する色温度であり、
前記第2の色温度は電球色に相当する色温度である、請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記照明装置は、前記第1の値よりも低い値の光束を放射する常夜灯をさらに備え、
前記所定の減光制御モードが選択されたとき、前記制御部は、前記常夜灯を点灯させる、請求項4または5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記常夜灯は、前記第2の点灯状態による放射光と同じ色温度の光を出力する、請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記常夜灯は、前記第2の点灯状態による放射光と異なる色温度の光を出力する、請求項6に記載の照明装置。
【請求項9】
前記常夜灯は、単色光を出力する、請求項6に記載の照明装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記第2の期間が終了する時刻よりも所定時間だけ前の時刻に、前記第2の期間の終了を音または光で操作者に知らせる、請求項1に記載の照明装置。
【請求項11】
前記第2の期間の長さは、前記所定の減光制御モードの実行中に変更可能である、請求項1に記載の照明装置。
【請求項12】
前記常夜灯から放射される光束の値は変更可能であり、
前記所定の減光制御モードが選択されたとき、前記制御部は、前記常夜灯から放射される光束の値を、前回点灯中の期間の最後に設定していた値にする、請求項6に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−20844(P2013−20844A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153910(P2011−153910)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】