説明

照明装置

【課題】側面あるいは背面方向まで光を照射させることができるとともに、製造が容易で、かつ、放熱機能が高い照明装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、照明装置は、基材2と、前記基材の前面部に配置された光源6と、前記光源の少なくとも一部を覆って設けられ、前記光源から前方に放出される光の少なくとも一部を導光する導光体7と、を備え、前記導光体は、当該装置の外部に直接的に露出し前記導光体により導光した光を前記光源の側方あるいは背面方向に出射する光出射面を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、白色発光ダイオード(LED)のように平面実装された狭い配光分布を持つ光源を用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置としては、フィラメントの熱による発光を利用した白熱電球が広く用いられてきたが、短い寿命、発光効率などの問題を抱えていた。
近年、これらの問題を解消する技術として、LED光源やEL(エレクトロルミネッセンス)光源が開発され、特にLED光源は一般の照明装置への利用が加速度的に広がっている。
【0003】
一般に、LED電球は、金属製の基材に取り付けられた口金と半球状の透光カバーとで外形を構成し、透光カバーの球中心にあたる位置にLEDの光源を実装した実装基板を基材に取り付けている。光源は、口金から供給された電力により、基材に内蔵された駆動回路を介して発光される。
【0004】
実装基板に実装された光源の光は、実装基板の法線方向に強く光を放出し、実装基板の法線方向とのなす角度をθとするとき、cosθに比例して光度が減衰する指向性を有している。これは、一般的なLED光源の構造が、1次光線を放出するLEDチップを、1次光線から2次光線に変換する蛍光体を含んだ保護層で面状に覆った構成としているためである。このため、電球や蛍光灯にLED光源を用いた照明装置は、実装基板の法線方向の光が強く、実装基板の側方から背面方向にかけては光がほとんど出ない光度分布となる。従って、正面から背面までほぼ均一な光度分布をもつ従来の白熱電球あるいは蛍光灯と、LED光源を用いた照明装置とを置き換えた場合、天井や壁の明るさが著しく変わってしまい、違った照度空間となってしまう。
【0005】
この狭い配光分布の問題を解決する技術としては、光源を構成するLEDを立体的に側面や背面方向を向けて配置する技術が提案されている。また、別の技術としては、LED光源の光により励起する蛍光体を透光カバーの内面に塗布し、透光カバー自体が光るようにする技術がある。更に別の技術としては、球状の透光カバーの下端に光源を配置する技術が提案されている。更に別の技術としては、LED光源の近傍に導光体を設置する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4076329号公報
【特許文献2】特許第4290887号公報
【特許文献3】特開2010−27282号公報
【特許文献4】特開2005−05546号公報
【特許文献5】特許第4135485号公報
【特許文献6】特開2004−342411号公報
【特許文献7】特開2009−289697号公報
【特許文献8】特開2010−40364号公報
【特許文献9】特開2011−14515号公報
【特許文献10】特開2007−194132号公報
【特許文献11】特開2010−15754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
LED光源を立体的に実装した場合、照明装置の製造組立が煩雑になるとともに、機械強度や放熱性の設計困難さが増大してしまう問題がある。また、透光カバーに蛍光体を塗布した場合も、同様に照明装置の製造組立が煩雑になる問題がある。球状の透光カバーの下端に光源を配置した場合、照明装置全体の長さ制約より基材を短くする小さくすることになり放熱が劣化してしまい大きな光量を得られない。また、導光体を設置した場合、従来の技術では十分な配光制御機能や自然なデザインが得られなかった。
【0008】
この発明は以上の点を鑑みてなされたもので、その課題は、側面あるいは背面方向まで光を照射させることができるとともに、製造が容易で、かつ、放熱機能が高い照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、照明装置は、基材と、前記基材の前面部に配置された光源と、前記光源の少なくとも一部を覆って設けられ、前記光源から前方に放出される光の少なくとも一部を導光する導光体と、を備え、前記導光体は、当該装置の外部に直接的に露出し前記導光体により導光した光を前記光源の側方あるいは背面方向に出射する光出射面を有している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るLED電球を示す断面図。
【図2】図2は、第1変形例に係るLED電球を示す断面図。
【図3】図3は、第2変形例に係るLED電球を示す断面図。
【図4】図4は、第3変形例に係るLED電球を示す断面図。
【図5】図5は、第4変形例に係るLED電球を示す断面図。
【図6】図6は、第5変形例に係るLED電球を示す断面図。
【図7】図7は、第6変形例に係るLED電球を示す断面図。
【図8】図8は、第7変形例に係るLED電球を示す断面図。
【図9】図9は、第8変形例に係るLED電球を示す断面図。
【図10】図10は、第9変形例に係るLED電球を示す断面図。
【図11】図11は、第10変形例に係るLED電球を示す断面図。
【図12】図12は、第11変形例に係るLED電球を示す断面図。
【図13】図13は、第12変形例に係るLED電球を示す断面図。
【図14】図14は、第13変形例に係るLED電球を示す断面図。
【図15】図15は、第14変形例に係るLED電球を示す断面図。
【図16】図16は、図15の線A−Aに沿ったLED電球の断面図。
【図17】図17は、第15変形例に係るLED電球を示す断面図。
【図18】図18は、第16変形例に係るLED電球を示す断面図。
【図19】図19は、第17変形例に係るLED電球を示す断面図。
【図20】図20は、第2の実施形態に係るLED電球を示す断面図。
【図21】図21は、第2の実施形態に係るLED電球における導光体と光源との位置関係を示す平面図。
【図22】図22は、第2の実施形態に係るLED電球における導光体と光源との他の位置関係を示す平面図。
【図23】図23は、第2の実施形態の変形例に係るLED電球を示す平面図。
【図24】図24は、第3の実施形態に係る蛍光灯型の照明装置を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、種々の実施形態に係る照明装置について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る電球型の照明装置としてLED電球1を示す断面図である。LED電球1は、中心軸に対して回転対象の形状を有している。
【0012】
LED電球1は、基材2と、LEDから成る複数の光源6と、略半球状の乳白部材からなる透光カバー4と、略リング状の透明部材からなり基材2と透光カバー4の間に光を出射する光体出射部をもつ導光体7と、口金3とを備えている。
【0013】
基材2は、金属製の筐体かつ放熱部材であり、平坦な上面部(前面部)を有している。この上面部に光源6が実装されている。光源6が実装されている基材2の上面(前面)は、光を吸収損失しないように白色塗料が塗られている。基材2の内部には駆動回路12が収納され、その周囲は光源6や駆動回路で発生した熱を放熱する機能を有している。
【0014】
複数の光源6は、基材2の中心からrだけ偏芯した位置に環状、例えば、サークル状あるいは多角形状に配列されている。これにより光源6の法線方向に出射した強い光が透光カバー4に到達した際に斜め入射するようにして、配光が拡散するように構成している。このrの設定については、対向する透光カバー4の法線方向と光源法線方向のなす角度θが約10度以上となるように偏芯させることが望ましい。
【0015】
導光体7は、例えば、透明ポリカーボネートからなるリング状の部材で、光源6の少なくとも一部を覆って設けられる環状の光入射部7aと、この光入射部から径方向外方に延出する光出射部7bと、基材2に固定される固定部7cと、を一体に有している。光出射部7bは、LED電球1の外部に直接的に露出する光出射面を有し、この光出射面は、透光カバー4と基材2との間に位置しているとともに、光源6の側方および背面側を向いている。また、光出射面は、透光カバー4の外面に連続し、透光カバーとともにLED電球1の光出射面を構成している。
【0016】
導光体7は、光源6の上面を部分的に覆う光入射部7aから前方方向に向かう光を取り込み、導光体7内部で湾曲させるとともに、光出射部7bの光出射面から背面方向あるいは側面方向に光を放出させている。光出射部7bの光出射面は、背面方向への出射が容易となるようその法線方向が背面側へ向くように傾斜している。導光体7の光出射部7bおよび固定部7cは、光出射部7bの光出射面と透光カバー4あるいは基材2がなめらかな連続曲線を描くように、透光カバー4および基材2に隣接させ、各々を密閉固定させている。
【0017】
カバー部材として機能する透光カバー4は、例えば、乳白ポリカーボネートからなる半球状の部材で、光源6および導光体7を覆って配置され、その下端は、導光体7の光出射部7bを間に挟んで基材2に固定されている。透光カバー4の透過率は60%と低めに設定している。これは、導光体5に覆われていない光源6から前方に放出される光を透光カバー4で十分に拡散させて外部に放出するためのもので、上述した光源6の偏芯とあわせて、配光分布を拡大させるとともに、透光カバー4全体を光らせて光源6を透けさせないことでグレア感を緩和させている。
【0018】
上記のように構成されたLED電球1では、配光制御、放熱制御、コンパクト化、量産性の面で利点が得られる。
まず、配光制御では、光源6から前方に放出される光の一部を導光体7で背面方向へ出射するため、容易に広配光化を実現することができる。また、導光体7の導光ではフレネル反射を用いているため、損失が極めて小さく、高い効率を維持することができる。特に、内側の光入射部7aから外側の光出射部7bへと導光しているため、背面側あるいは側面側に絞った配光での出射が容易となり、従来の導光技術では実現できなかった広配光制御を可能としている。この実施形態では、真後ろでも光度が平均光度の50%以上を維持し、ほぼ白熱電球と同等の広配光となっている。
【0019】
次に、放熱制御では、光出射部7bは縦幅4mmと非常に薄いため、基材2をコンパクト化させる必要がほとんど生じない。このため、略半球状の透光カバー4および導光体7以外は基材2の体積に使うことができ、ヒートシンク機構やラジエータ機構を設けるスペースが確保され、放熱面で負担を強いることがない。これにより、同時にLED電球1のコンパクト化も実現される。実施形態では、LED電球1は、高さ75mm、幅36mmであり、従来のミニクリプトン型白熱電球の外径をほぼ踏襲するとともに、上述したように配光分布も踏襲している。
【0020】
量産面では、導光体7が部品追加となるものの、従来の白色LEDや部品を使うことができ、特別なプロセスも不要である。導光体7は射出成型プロセスにて高い量産性で製造することが可能である。
【0021】
なお、本実施形態では、導光体7の表面にシボ処理を施すことで導光体7を通して内部が透けてしまうことを防止するとともに、透光カバー4との質感差を緩和している。導光体7の表面処理については、内面に拡散材を塗布あるいは2色成型することで光を取り出すようにしてもよいし、透明材料自体に若干の拡散フィラを入れて透け防止や配光拡大を行ってもよい。
【0022】
図2は、第1の実施形態における第1変形例に係るLED電球1を示している。
この変形例では、導光体7は、光入射部7aから内側および上方に延出する内面光出射部7dと、光出射部7bの中途部から斜め上方に延出する補助光出射部7eとを更に備えている。光入射部7aは、複数の光源6の前方出射部全てを覆う構成としている。
【0023】
内面光出射部7dは、透光カバー4に向かう光を傾斜拡散させ、これにより透光カバー4の透過率を75%まで上げても輝度ムラが出なくなり、透光カバー4の透過率上昇による効率改善を達成している。補助光出射部7eは、導光体7の影となって輝度が低下する透光カバー4の導光体7隣接部分に補助的に光を放出するものである。これにより、透光カバー4全体の輝度均一化を図っている。
【0024】
図3は、第1の実施形態における第2変形例に係るLED電球1を示している。
ここでは、光源6は、基材2の中心軸上に配置されている。導光体7は、基材2の上面部全域を覆う円盤状とし、導光体の外周部は背面および側面方向に偏重した配光の光を出射する光出射部7bとしている。また、導光体7は前面方向に光を出射する前面側の光出射部7bも有している。前面側へもバランスよく光を放出する必要があるため、導光体7内部に若干の拡散フィラを混ぜており(図示せず)、これにより導光体7全域で光が前方へも放出されるように構成している。
【0025】
また、前面側は、導光体5から出射される光が偏重した配光となるため、見た目を向上させるために乳白の扁平半球状の透光カバー4を設置している。これにより、導光体7から出た光を拡散させ、見る角度に寄らず透光カバー4全域が輝く構成としている。
【0026】
図4は、第1の実施形態における第3変形例に係るLED電球1を示している。
第3変形例では、効率を追求するため、乳白の透光カバー4を削除し、導光体7が光源保護カバーとしての透光カバー4を兼ねる構成とした。放熱機能を向上させるために、導光体7は扁平な円盤形状とし、基材2の上面部全体を覆っている。電球の体積の大部分を基材2に与えるとともに、豊富な基材2空間を用いて放熱フィン11を設けてラジエータ機能を向上させている。本変形例では、60Wクラスの明るさで効率94%の全方位配光電球を実現している。
【0027】
図5は、第1の実施形態における第4変形例に係るLED電球1を示している。
本変形例では、前述した第3変形例において、複数の光源6を、基材2の上面部に環状、例えば、サークル状に配置した構成としている。この場合、導光体7の光入射部7aは、複数の光源6を覆うように環状に形成されている。
【0028】
図6は、第1の実施形態における第5変形例に係るLED電球1を示している。
本変形例では、前述した第3変形例において、導光体7の光出射部7bを背面側へ延長し、発光する面積を増やして白熱電球の見た目に近づけるようにしている。また、導光体7の密閉固定部7cより背面側で、光出射部7bと基材2の間に空気が対流できる放熱空間24を設け、発光面積の拡大とともに放熱機能の向上を実現している。
【0029】
図7は、第1の実施形態における第6変形例に係るLED電球1を示している。
本変形例では、図6で示した第5変形例に係るLED電球1に更に透光カバー4を加えた構成としている。透光カバー4は、導光体7よりも透過率の低い乳白部材であり、これにより輝度均一性を向上させるとともに、外観を電球らしく見せる効果がある。
【0030】
図8は、第1の実施形態における第7変形例に係るLED電球1を示している。
本変形例では、前述した第6変形例に係るLED電球1の透光カバー4を2色射出成型により導光体7と一体に成形した構成としている。透光カバーと導光体7を一体成形しても、透光カバー4は導光体7より透過率が低いため、適度に導光する機能が残り、前述したような導光効果が得られる。
【0031】
図9は、第1の実施形態における第8変形例に係るLED電球1を示している。
本変形例によれば、基材2の外周面に複数の放熱フィン11が設けられている。放熱フィン11は、基材2から放射状の延びているとともに、円周方向に所定の間隔を置いて配置されている。導光体7の光出射部7bは、基材2の上面部から導光体の固定部7cより背面側に延出し、放熱フィン11の外側に延びている。この光出射部7bは、基材2の中心軸と同芯の環状に形成され、放熱フィン11との間に放熱空間24をおいて、かつ、放熱フィン11の外側に位置している。これにより、放熱機能と発光面積拡大を両立している。また、透光カバー4を用いることで輝度均一性も向上させている。
【0032】
図10は、第1の実施形態における第9変形例に係るLED電球1を示している。
第9変形例も、図9の第8変形例と同様に発光面積拡大を狙ったものであるが、導光体7の光出射部7bは、部分的に背面側に延出し、放熱フィン11の間に入れる構成として発光面積を拡大している。ここでも、導光体7の固定部7cより背面側に、基材2と光出射部7bとの間に空気が対流できる放熱空間25を設け、放熱機能と発光面積拡大を両立している。また、透光カバー4を用いることで輝度均一性も向上させている。
【0033】
図11は、第1の実施形態における第10変形例に係るLED電球1を示している。
本変形例では、乳白の透光カバー4は用いず、導光体7を若干の拡散フィラを混ぜた材料で構成している。また、導光体7は、ほぼ球状に形成され、前方中央に光源6に対向する窪み部26を形成するように光入射部7aを有している。この窪み部26を覆うように、導光体7と同じ材料で形成されたダミー導光体27を導光体7に溶着している。これにより、滑らかな外観を保ったまま、配光拡大を実現している。
【0034】
図12は、第1の実施形態における第11変形例に係るLED電球1を示している。
ここでは、基材2を長く設定して、光源6を前方に設置するとともに、ヒートシンクとしての体積と駆動回路12の収納空間を十分に確保している。導光体7は、光源6の少なくとも一部、例えば、各光源の上面半分に対向する光入射部7aと、光入射部から基材2の外周に沿って光源位置よりも背面側へ口金3近くまで延びる光出射部7bとを有している。光出射部7bは、外周部分が球面を形成するように形成されている。導光体7、特に、光出射部7bの内面は、隣接する基材2にシリコーン接着剤20で接着され、基材2に接触している。これにより、基材2で発生した熱を効率よく導光体7に伝熱させ、導光体7を介して外部に放熱する。
【0035】
導光体7は、内部空間が膨らんだ形状であり一体部品では射出成型が難しいため、実際には、導光体7を縦に2枚ないし3枚に分割して組立てている。勿論、厚くなることによる量産性低下を許容すれば、内部空間を膨らませずに寸胴とすることで一体部品で導光体を形成してもよい。
【0036】
透光カバー4は、導光体7の上部を覆って、概観が球面になるように形成されている。
【0037】
これにより、高い放熱機能を確保しつつ、白熱電球のように球体全域を発光させることができる。
【0038】
図13は、第1の実施形態における第12変形例に係るLED電球1を示している。
本変形例によれば、基材2は、その上面周縁部から前方へ突出する環状の突出部30を一体に備えている。基材2の上面には、導光体7により側面あるいは背面側へ光を放出するための複数の光源6が基材2と同軸のサークル状に並んで設けられ、更に、光源6の内側に、正面方向に光を照射するための複数の光源6bが新たに設けられている。
【0039】
導光体7は、基材2の突出部を30を乗り越えるようにして設けられている。すなわち、導光体7は、導光体7は、環状の部材で、光源6の少なくとも一部を覆って設けられる環状の光入射部7aと、この光入射部から突出部30を乗り越えて径方向外方に延出する光出射部7bと、基材2に固定される固定部7cと、を一体に有している。また、導光体7の光出射部7bの内側は、外側に開いた逆湾曲導光部7fが形成されている。これにより、光源6から導光体7に入射して背面側に湾曲導光された光を更に逆側に湾曲導光して側面から背面にかけて広い範囲で出射するように構成している。
【0040】
基材2の突出部30は、空気へ放熱するための基材2の表面積を拡大して、大きな電力が投入されても基材の熱が上がらないようにするものである。突出部30は、導光体7の内側に隣接する形態をとるため、導光体7から内側に漏れる光を反射する機能も備えている。
【0041】
サークル状に配列した光源6の内側に正面方向照射専用の光源6bを設けることで、正面方向の光量を任意に制御できる構成としている。サークル状に配列した光源6は、湾曲導光して側面あるいは背面側に向ける光を出射するための専用光源とすることができる。
【0042】
第12変形例では、発光面積を拡大するために、基材2の突出部30の外側を導光体7の光出射部7bが覆う構成としたが、図14に示す第13変形例のように、光出射部7bは最小面積に抑制した構成としてもよい。
【0043】
図15および図16は、第1の実施形態における第14変形例に係るLED電球1を示している。第14変形例によれば、導光体7の光出射部7bを光源6より背面側となる位置まで背面側に延ばし、見た目の発光面積が大きく見栄えするように構成している。基材2は、その周縁部から前方へ突出し環状の前方突出部30aと、周縁部から平面方向に突出した環状の背面突出部30bと、を一体に有している。前方突出部30aは、導光体7の内側に位置し、基材2の放熱機能を高める。光出射部7bは、前方突出部30aを乗り越え、前方突出部30aおよび背面突出部30bの外側まで延びている。
【0044】
背面突出部30bの内側の空いた空間は、空気が対流できる窪み部32を形成しているとともに、この窪み部32に、電球外観を整える機能もかねて、放射状に延びる複数の放熱フィン34が配置されている。
【0045】
導光体7は、光出射部7bの輝度分布が一様で出射する光の配光が拡がるように、光出射部7bの内側に逆湾曲導光部7fを有している。これにより、背面方向に湾曲導光された光を逆湾曲導光部7fにより逆向きに湾曲導光して側面から背面にかけて広い範囲に向けて出射できるようにしている。
【0046】
環状の導光体7に対向してサークル状に配列した光源6の内側に、正面方向に向けて光を照射する光源6aが設けられている。正面方向に向けた光源6aについては、図17に示す第15変形例のように、導光体7に、光源6aと対向する正面拡散導光部38を設け、強すぎる正面方向の光を側面方向に拡散させ、透光カバー4が均一に光るようにしてもよい。
【0047】
図18は、第1の実施形態における第16変形例に係るLED電球1を示している。第16変形例によれば、前述した導光体7に重ねて第2導光体40が重ねて設けられている。すなわち、側面背面照射用光源に対向する導光体を、2体の導光体7、40を重ねた構成としている。第2導光体40は、導光体7と同様に、光源6の一部に対向する光入射部40aと、この光入射部から突出部30を乗り越えて径方向外方に延出する光出射部40bと、を有している。光出射部40bの出射面は、電極1の外面に露出している。
【0048】
重ねた導光体7aおよび第2導光体40の界面が、光源6からの光を背面側に導く屈折界面として増えることによって、更に正面に光を漏らさずに光出射部7b、40bに導光することができる。本変形例のように、導体体7および第2導光体40の光出射面の両方を外面に露出させることにより、効率向上や背面側光量の増加をより行い易い。
【0049】
図19に示す第17の変形例のように、第2導光体40の光出射部40bは、外部に露出することなく、透光カバー4の内側に留めてもよい。この場合、導光体7と第2導光体との界面が外部に露出ことがなく、電球1の外観を向上することができる。
【0050】
上述した第1の実施形態および種々の変形例において、例えば、導光体からの光取出し構造については特に言及しなかったが、シボや拡散部材の接合で取出し構造を設けてもよい。光源の数は、必要に応じて増減可能である。透光カバーは、球状あるいは楕円状に限らず、他の形状としてもよい。また、LED電球として説明したが、指向性のある光源と同光源を略球状に囲う透光カバーの組み合わせであれば、街路灯照明についても適用できるし、EL光源を用いてもよい。
なお、第2ないし第15変形例において、第1の実施形態と同一の部分、あるいは、他の変形例と同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略した。
【0051】
次に、他の実施形態に係る照明装置について説明する。後述する他の実施形態において、前述した第1の実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0052】
(第2の実施形態)
図20は、第2の実施形態に係るLED電球1を示す断面図、図21は、導光体と光源との位置関係を示す平面図、図22は、導光体と光源との他の位置関係を示す平面図である。LED電球1の基本的な構成は第1の実施形態と同じである。
【0053】
図20および図21に示すように、第2の実施形態では、導光体7の光入射部7aは部分的に切り欠かれ、円周方向に等間隔で隙間を置いて並んだ複数の光入射部を構成している。また、導光体7は、基材2に対して、中心軸の回りで回動可能に取り付けられている。そして、導光体7を回動することにより、光入射部7aと光源6との相対位置を変位することが可能となっている。本実施形態において、光源6の数と光入射部7aとの数は、一致し、円周方向の配置間隔も一致している。
【0054】
図21に示す回動位置において、導光体7の各光出射部7bは、対応する光源6に重なって位置している。この回動位置においては、光源6から出た光の大部分は、導光体7により導光され、導光体7の光出射面からLED電球1の側面方向および背面方向に出射され、上向き電球スタンドなど背面側配光が主体となる照明器具に適した配光分布となる。
【0055】
また、図22に示すように、導光体7を所定角度回動することにより、各光出射部7bは、光源6からずれ、隣合う2つの光源間に位置する。この回動位置においては、光源6から放出される光の大部分は前面側へそのまま放出され、スポットライトのように前方の特定の領域だけを照射する照明器具に適した配光分布となる。
【0056】
このように、図21および図22に示す回動位置を両極端の回動位置として、これらの回動位置間で導光体7の回動位置、すなわち、導光体と光源との相対位置、を無段階に調整することで、ユーザーが各照明器具にあわせてLED電球1の配光分布を調整することができる。
【0057】
なお、第2の実施形態において、光源6の数は光入射部7aの数と同一としたが、これに限らず、図23に示すように、光源6の数を光入射部7aの数よりも多くし、例えば、倍としてもよい。この場合、導光体7のいずれの回動位置においても、光入射部7aの少なくとも一部が光源6に重なり、同時に、光源の少なくとも一部が光入射部7aからずれて位置している。これにより、どの回動位置でも、導光体7による側面および背面方向の光照射および光源から直接出射される前面方向の光照射が得られる。
【0058】
(第3の実施形態)
図24は、第3の実施形態に係る照明装置を示す断面図である。
本実施形態では、電球型ではなく蛍光灯型の照明装置を構成している。
蛍光灯100は、直線状の細長い基材2と、この基材2の上面部に直線状に間隔を置いて実装された複数のLEDからなる光源6と、光源6を覆うように基材2上に設けられた導光体7と、導光体7を覆うように設けられた断面がほぼ球状の透光カバー4と、を備えている。これら、基材2、導光体7、透光カバー4は、全体の断面形状が円形となるよう、すなわち、外観が既存の蛍光灯と同じようになるように形成されている。
【0059】
導光体7は、光源6と対向して位置する光入射部7aと、この光入射部から側面方向両側に延出する光出射部7bと、を有し、光出射部7bは、蛍光灯100の外面に直接的に露出する光出射面を有している。この光出射面は、その法線が背面方向を向くように湾曲している。導光体7は、光源6から前方へ照射される光の一部を湾曲導光し、光出射部7bの光出射面より背面方向あるいは側面方向へ強く変調された光を放出する。
【0060】
これにより、従来のLED蛍光灯では実現できなかった広配光を実現することができる。なお、本実施形態は、上述した第1、第2の実施形態の各要素を組み合わせてもよい。
【0061】
上述した第2および第3の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様に、側面あるいは背面方向まで光を照射させることができるとともに、製造が容易で、かつ、放熱機能が高い照明装置を提供することができる。
【0062】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、導光体からの光取出し構造については特に言及していないが、シボや拡散部材の接合で取出し構造を設けてもよいし、導光体を構成する材料自体に若干の散乱フィラを混入して散乱させて取り出してもよい。光源の数や種類も特に規定するものではなく、前方に強い指向性のある光源であれば本発明の作用を適用することができる。また、導光体の固定についても、実施形態では基材に固定したが、透光カバーに固定させてもよい。
【0063】
また、実施形態はLED電球として説明したが、指向性のある光源と同光源を略球状に囲う透光カバーの組み合わせであれば、街路灯照明についても適用できるし、EL光源として用いてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…LED電球、2…基材、3…口金、4…透光カバー、6…光源、
7…導光体、7a…光入射部、7b…光出射部、7c…固定部、7d…前面光出射部、
7e…補助光出射部、11…放熱フィン、12…駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の前面部に配置された光源と、
前記光源の少なくとも一部を覆って設けられ、前記光源から前方に放出される光の少なくとも一部を導光する導光体と、を備え、
前記導光体は、当該装置の外部に直接的に露出し前記導光体により導光した光を前記光源の側方あるいは背面方向に出射する光出射面を有している照明装置。
【請求項2】
複数の光源を備え、これら複数の光源は、サークル状に並んで配置されている請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記複数の光源は、サークル状に並んで配置された光源の内側にさらに光源が配置されている請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記複数の光源のうちサークル状に並んで配置された光源から出射される光は、前記導光体に入射して側面から背面方向にかけて出射され、前記サークルの内側に配置された光源から出射された光は主に前方から側面方向にかけて出射される請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記導光体の光出射面は、その法線が背面方向に傾斜した領域を有している請求項1ないし4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記導光体の前方に設けられたカバー部材を更に備え、
前記導光体の外部に露出した光出射面とカバー部材とで連続した光出射面を形成している請求項1ないし5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記光出射面は、略半球状あるいは扁平な半球状である請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記カバー部材は、前記導光体よりも拡散性の高い乳白材料で形成されている請求項6又は7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記カバー部材と前記導光体は、一部の領域で重ね合わせられている請求項6に記載の照明装置。
【請求項10】
前記カバー部材と前記導光体は、隙間なく一体成型されている請求項6に記載の照明装置。
【請求項11】
前記導光体は、前記光源の前方へ光を出射する前方光出射部を有している請求項1に記載の照明装置。
【請求項12】
前記導光体の光出射面は、前記基材に沿って前記光源位置よりも背面側に延びている請求項1に記載の照明装置。
【請求項13】
前記基材は、前記導光体の背面側に延びた領域の内側に放熱機構を有している請求項1に記載の照明装置。
【請求項14】
前記基材は、光源が設けられている上面部の周縁部から前方へ突出する前方突出部を有している請求項13に記載の照明装置。
【請求項15】
前記導光体は、前記基材の前方突出部を乗り越えて前記前方突出部の先端よりも背面側に延びた光出射部を有する請求項14に記載の照明装置。
【請求項16】
前記導光体は、前記光源から入射した光を外向きに湾曲導光して背面方向に偏向させるとともに、前記背面方向に偏向された光を前記湾曲方向とは逆向きに湾曲導光して側面から背面方向にかけて出射する逆湾曲導光部を有する請求項14に記載の照明装置。
【請求項17】
前記導光体は、複数の導光体を組み合わせて構成されている請求項14に記載の照明装置。
【請求項18】
前記導光体は、複数の導光体を積層して構成されている請求項17に記載の照明装置。
【請求項19】
前記導光体は、リング状あるいは円盤状に形成されている請求項1に記載の照明装置。
【請求項20】
前記導光体は、表面にシボが形成されている請求項1に記載の照明装置。
【請求項21】
前記導光体は、表面に拡散材が塗布されている請求項1に記載の照明装置。
【請求項22】
前記導光体は、拡散材が入っている材料で形成されている請求項1に記載の照明装置。
【請求項23】
前記導光体は、前記光源より外側で前記基材と密閉固定されている請求項1に記載の照明装置。
【請求項24】
前記導光体と前記光源は、相対位置を変位可能にもうけられている請求項1に記載の照明装置。
【請求項25】
前記照明装置は、電球型の照明装置である請求項1ないし24のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項26】
前記照明装置は、蛍光灯型の照明装置である請求項1ないし24のいずれか1項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−80690(P2013−80690A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−52165(P2012−52165)
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【特許番号】特許第5178930号(P5178930)
【特許公報発行日】平成25年4月10日(2013.4.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】