説明

照明装置

【課題】人体以外の熱源や生物以外の動体、外光等の急峻な照度変化があっても、安定して感知できる性能を得られ、省エネ化できる照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置10は、光源12と、光源12を点灯制御する点灯回路11と、点灯回路11を制御する制御部13と、人検知部15と、照度検知部14と、を備え、照度検知部14の出力値と人検知部15の出力値とを制御部13で読み込み、照度検知部14の出力値からの人検知処理および人検知部15の出力値からの人検知処理をそれぞれ行い、照度検知部14および人検知部15のいずれかの人検知処理の結果が人感知有の値の場合に人感知処理により感知を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の存在を感知して点灯を制御する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、照明負荷と人検知部と照度検知部とを備えた照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1は、周囲が暗く、かつ、人の存在を検知した場合に、人の存在を検知してから一定時間だけ照明負荷を点灯させる。
特許文献1は、周囲が暗く、かつ、人の存在を検知した場合に、照度検知部の検知出力値が一定量だけ変化すると、一定時間のカウントをリトリガする。
【0003】
また、従来より、RF信号の人体による反射波を受信する受信用アンテナと、送信信号と受信信号とを基に人体検出信号を出力する信号処理部と、を備えた照明装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2は、周波数混合回路により送信信号と受信信号との周波数差を基にドップラ信号を検出して、これを基にセンサ検出信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−155871号公報(図1、請求項1)
【特許文献2】特開2009−281894号公報(図3、段落0013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、人検知部に、PIR(Passive Infrared Radiation)センサが使用されている。
PIRセンサは、パッシブ型センサであり、センサの検知エリア内で、人の動き等を温度変化により感知することにより、容易に使用することが可能である。
しかしながら、PIRセンサは、周囲の温度に影響を受け易い。すなわち、人の動き以外の、例えば空調等の影響を受けることになる。
そのため、特許文献1は、検知エリアに人がいないにも関わらず、熱移動が起こることにより、検知範囲に人がいると判断して光源を点灯させてしまう。
【0006】
また、照度検知部は、照度の変化を読み取っている。そのため、外光が入射する環境である場合、外光のゆらぎ等の外乱要因によって検知エリアに人がいると判断して光源を点灯させてしまう。すなわち、外光等のゆらぎ等によるノイズに非常に弱い。
これらより、特許文献1は、リビングルーム等に設置されるエアコンや、窓からの外光等、急峻に環境が変化する部屋では外乱要因による誤感知が多くなる。
従って、特許文献1は、正常動作することが難しい。
【0007】
一方、特許文献2は、特許文献1の問題点を解決するために提案されたものである。
しかし、特許文献2は、カーテンが風に揺れる動作等、動体が何かに関わらず、検出部が感知を行う。
また、特許文献2は、指向性を持たせるために送信アンテナ、受信アンテナは大きくなくてはならず、高周波発振部、BPF回路、ドップラー差分演算部等を搭載する。
従って、特許文献2は、検出部の大型化、消費電力の増大およびコストアップをまねいてしまう。
【0008】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、人体以外の熱源や生物以外の動体、外光等の急峻な照度変化があっても、安定して感知できる性能を得られ、省エネ化できる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る照明装置は、光源と、前記光源を点灯制御する点灯回路と、前記点灯回路を制御する制御部と、人検知部と、照度検知部と、を備え、前記照度検知部の出力値と前記人検知部の出力値とを前記制御部で読み込み、前記照度検知部の出力値からの人検知処理および前記人検知部の出力値からの人検知処理をそれぞれ行い、前記照度検知部および前記人検知部のいずれかの人検知処理の結果が人感知有の値の場合に人感知処理を行う。
【0010】
本発明に係る照明装置は、前記照度検知部と前記人検知部とは、検知範囲が同じである。
【0011】
本発明に係る照明装置は、前記制御部は、前記照度検知部の出力値が一定量の照度以下の場合、前記照度検知部の出力を無効としてすべて人の存在有とみなし、前記人検知部の出力値のみで人感知処理をする。
【0012】
本発明に係る照明装置は、前記照度検知部は、自動で前記光源の出力を変化させて照射面の照度を一定に保つ自動調光用照度検知部を兼用する。
【0013】
本発明に係る照明装置は、前記制御部は、前記照度検知部の出力値に基づき、前記光源の自動調光を行っている間、前記照度検知部と前記人検知部との読取値を無効として人感知処理を行わない。
【0014】
本発明に係る照明装置は、前記制御部は、前記照度検知部の出力値に基づき、前記光源の自動調光を行っている間、前記照度検知部の出力を無効としてすべて人の存在有とみなし、前記人検知部のみで人感知処理を行う。
【0015】
本発明に係る照明装置は、前記照度検知部および前記人検知部は、複数個搭載される。
【0016】
本発明に係る照明装置は、前記光源が複数個搭載されており、前記光源は、前記制御部において人感知処理の情報に基づき、別々に点灯制御される。
【0017】
本発明に係る照明装置は、前記制御部は、前記照度検知部の出力値を読み取り、前回読み取った出力値との差分量がしきい値を超えた場合、人の存在有として処理する。
【0018】
本発明に係る照明装置は、前記しきい値は、可変である。
【0019】
本発明に係る照明装置は、前記照度検知部は、出力値の読取周期が150〜350msである。
【0020】
本発明に係る照明装置は、前記人感知処理は、前記照度検知部および前記人検知部のうちのいずれか一方における人検知処理により人の存在有の結果が出力されてから、前記照度検知部および前記人検知部のうちのいずれか他方における人検知処理が人の存在有の結果が出力されるまでの遅延時間が450ms以内の場合、人の存在有として処理する。
【0021】
本発明に係る照明装置は、前記人検知部が、赤外線検知センサである。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る照明装置によれば、人体以外の熱源や生物以外の動体、外光等の急峻な照度変化があっても、安定して感知できる性能を得られ、省エネ化できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る第1実施形態の照明装置のブロック構成図
【図2】本発明に係る第1実施形態の照明装置の側面図
【図3】本発明に係る第1実施形態の照明装置の底面図
【図4】本発明に係る第1実施形態の照明装置の設置環境の外観図
【図5】本発明に係る第1実施形態の照明装置の制御部の制御動作を説明するタイミングチャート
【図6】本発明に係る第2実施形態の照明装置の制御部の制御動作を説明するタイミングチャート
【図7】本発明に係る第3実施形態の照明装置の制御部の制御動作を説明するタイミングチャート
【図8】本発明に係る第4実施形態の照明装置の制御部の制御動作を説明するタイミングチャート
【図9】本発明に係る第5実施形態の照明装置のブロック構成図
【図10】本発明に係る第5実施形態の照明装置の側面図
【図11】本発明に係る第5実施形態の照明装置の底面図
【図12】本発明に係る第5実施形態の照明装置の設置環境の外観図
【図13】本発明に係る第5実施形態の照明装置の制御部の制御動作を説明するタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る複数の実施形態の照明装置について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の照明装置10は、交流電源ACが給電される点灯回路部11と、光源であるLED発光部12と、制御部13と、照度検知部14と、人検知部15とを備えている。
点灯回路部11は、点灯電源16と、制御電源17と、ドライバ部18と、降圧チョッパ部19とを備えている。
制御部13は、メモリ部20と、演算部21と、タイマ部22とを備えている。
【0025】
照度検知部14は、例えば、アナログフォトICであり、周囲の照度が高ければ出力値である出力電圧が高く出力され、周囲の照度が低ければ出力電圧が低く出力される。
なお、照度検知部14は、アナログフォトICに代えて、CdSやデジタルフォトIC等の光の強さによって電気抵抗が変動する素子であってもよい。
人検知部15は、焦電型赤外線センサであり、人を感知しない場合に出力値がH(High)になり、これとは異なり、人を感知した場合に出力値がL(Low)になる。
【0026】
なお、人検知部15は、焦電型赤外線センサに代えて、赤外線アレイセンサや、CMOS熱感知センサや、サーモパイルや、他の構成要素を含むものであってもよい。
光源は、LED発光部12に代えて、例えば、有機EL(エレクトロルミネッセンス)や無機ELを適用することができる。
【0027】
照度検知部14の出力値と、人検知部15の出力値とは、制御部13に別々に取り込まれ、それぞれの出力値が演算部21において演算処理され、人感知処理が行われる。
制御部13は、点灯状態と人感知状態とに基づいて、ドライバ部18を介して点灯電源16に信号を送ることによりLED発光部12を点灯制御する。
また、制御部13は、例えば、人の感知がない状態がタイマ部22で計時されるために、一定時間(点灯保持時間、例えば10分〜30分)の間に人の感知がなければ、LED発光部12を消灯制御する。
【0028】
図2に示すように、照明装置10は、器具本体23と、器具本体23の中央部に設けられて器具本体23を天井面90に取り付けるための取付部24とを備える。
また、照明装置10は、器具本体23の下面において取付部24の側部に点灯回路部11および制御部13が取り付けられており、取付部24の周囲に複数のLED発光部12が取り付けられている。
照明装置10は、LED発光部12を覆うように器具本体23の周縁部に取り付けられた乳白色や透明なカバー25を備え、器具本体23の周縁部にセンサケース26が取り付けられている。
【0029】
図3に示すように、器具本体23は、四角形に形成されており、中央部の取付部24の周囲に、複数のLED発光部12が取付部24を囲んで配置されている。
LED発光部12は、複数のLEDチップ27が光軸方向を床面に向けてLED基板28に実装されている。LED基板28は、不図示のプリント回路を備えており、このプリント回路が点灯回路部11に電気的に接続されている。
そして、センサケース26に、照度検知部14および人検知部15が収容されている。
【0030】
照度検知部14および人検知部15は、同一の不図示の基板上に実装されており、自光や不図示の自赤外光が入射しにくい位置である器具本体23の枠部分に取り付けられている。
これは、設置位置を限定するものではなく、照度検知部14と人検知部15とは同一の基板上に実装されていなくてもよい。また、器具本体23の中心部やその他の場所に取り付けられていてもよく、あるいは、別の部材に保持されるようにしてもよい。
【0031】
図4に示すように、照明装置10は、照度検知部14が検知範囲X1を有し、人検知部15が照度検知部14の検知範囲X1と同一の検知範囲Y1を有する。そのため、検知範囲X1および検知範囲Y1により、効果的に人のみを感知できる。
例えば、人検知部15が熱検知を行った場合、照度検知部14とともに同じ検知感度を有することができるため、照度検知部14および人検知部15が一組として動作することにより、人以外の存在を感知しないようなノイズキャンセリングが可能である。
【0032】
一般的な住宅環境の設置状況において、照度が変化する要因としては、外光が変化した場合やカーテン等で外光が遮られた場合や人が動いた場合等が考えられる。
また、人検知部15が熱感知を行う要因としては、エアコン91等の空調機による空気のゆらぎ、あるいは、人が動いた場合等が考えられる。
このとき、熱移動と照度変化が同時に起こる現象は、人が動いた場合のみであるために、人検知部15による熱移動および照度検知部14による照度変化を検知することにより、人の感知が確実に可能である。
【0033】
次に、照明装置10の具体的な制御動作について説明する。
図1に示すタイマ部22は、図5に示すように、照度検知部差分感知タイマ29と、人検知部出力感知タイマ30と、人感知タイマ31とを含む。
照度検知部14の出力電圧(照度検知部出力電圧)V1は周囲光によって変化する。制御部13は、この出力電圧V1をサンプリングする。
【0034】
ここで、外光のゆらぎを検知しにくく、人検知時に最適なサンプリング間隔は、150〜350msである。
従って、制御部13は、照度検知部14の出力電圧V1を200msごとにサンプリングすることにより、外光のゆらぎを検知しにくく、人検知を確実にできる。
なお、サンプリング間隔は、200msに限定されるものではなく、外光のゆらぎを検知しにくく、人検知をしやすいサンプリング間隔であればよい。
【0035】
制御部13は、サンプリングした200ms前の出力電圧V1と現在の出力電圧V1との差分計算を行い、照度検知部差分出力電圧V2を算出する。
時点T11において、照度検知部差分出力電圧V2がしきい値Vth1を超えた場合、動体が動いたと感知することにより照度検知部差分感知フラグFaを感知有「L」として処理を行う。
【0036】
このとき、照度検知部差分感知タイマ29は、照度検知部差分感知フラグFaが感知有「L」であることにより、トリガをかけ続けるため、カウントは減らず、残りの450msのまま待機となる。
【0037】
時点T12において、照度検知部差分出力電圧V2がしきい値Vth1を下回り、しきい値Vth2を上回った場合、照度検知部差分感知フラグFaが感知無「H」になって処理が行われる。
照度検知部差分感知フラグFaが時点T12の感知無「H」から、照度検知部差分感知タイマ29が450msのカウントダウンを始める。
【0038】
時点T13において、照度検知部差分出力電圧V2がしきい値Vth1を下回ることにより、再びトリガされて、照度検知部差分感知タイマ29のカウント値が450msに戻る。
時点T14において、照度検知部差分出力電圧V2がしきい値Vth2を上回ることにより、照度検知部差分感知フラグFaが感知無「H」となる。
【0039】
時点T15において、照度検知部差分感知タイマ29のカウント値が「0」になることにより、照度検知部差分出力電圧V2による人感知は終了する。
以後、制御部13は、時点T16、時点T17、時点T18、時点T19、時点T20、時点T21、時点T22、時点T23において差分計算を行い、照度検知部差分出力電圧V2を算出する。
【0040】
ここで、照度検知部差分出力電圧V2のしきい値Vth1およびしきい値Vth2は固定ではなくてもよい。
例えば、照度の絶対値に対して、しきい値を電圧値±0.03〜0.08Vまで3段階で可変として検知範囲の照度が低い場合にしきい値を下げ、逆に照度が高い場合にしきい値を上げるようにしてもよい。
従って、しきい値を可変することにより、人感知の精度を照度によって変化せず一定にできる。
【0041】
一方、人検知部15は、熱移動が起こったときに出力電圧(人検知部出力)V3が変化する。時点T31において、熱移動が起こった場合、人検知部15の出力電圧V3が「L」になり、人感知フラグFbが人感知有となる。
このとき、人検知部15は、照度検知部14と同様に、人検知部出力感知タイマ30のトリガをかけ続けるため、人検知部出力感知タイマ30は、カウントダウンされずに残り450msのまま待機する。
【0042】
時点T32において、出力電圧V3が「H」になり、時点T32の以後の時点T33において、人検知部出力感知タイマ30は、カウントダウンを終え、人感知フラグFbが人感知無となる。
時点T34において、人検知部15の出力電圧V3が「L」になった場合、人感知フラグFbが人感知有となり、人検知部出力感知タイマ30は、450msにカウント値が戻り、人感知タイマ31がカウントダウンを始める。
【0043】
時点T35において、人検知部15の出力電圧V3が「H」になった場合、人検知部出力感知タイマ30は、カウントダウンを始める。
時点T36において、人検知部15の出力電圧V3が「L」になった場合、人検知部出力感知タイマ30は、450msにカウント値が戻る。
人検知部15の出力電圧V3による人感知は、人検知部出力感知タイマ30のカウント値が「0」になったときに終了する。
【0044】
このように、制御部13は、照度検知部差分感知タイマ29と人検知部出力感知タイマ30とに人の感知がいずれもある場合、照度検知部14および人検知部15のうちのいずれか一方が優先的に感知を行う。
そして、100〜500ms以内に、照度検知部14および人検知部15のうちのいずれか他方が感知を行うために、カウント時間を450msとしている。
【0045】
このとき、照度検知部差分感知タイマ29および人検知部出力感知タイマ30が作動している場合にのみ、人感知フラグFbを感知有にして、人がいることを感知する。
また、人感知タイマ31は、カウント時間を時点T34から時点T37までの20分(min)としており、タイマカウントが「0」になった場合、LED発光部12を消灯する等の所定の操作をする。
【0046】
そして、人感知タイマ31のカウントが「0」から人感知フラグFbがトリガされた場合、LED発光部12を点灯させる等の動作を行う。
さらに、照度検知部14の照度検知部差分感知タイマ29および人検知部15の人検知部出力感知タイマ30のうちのいずれか一方が作動している場合は、人感知フラグFbをトリガして感知有にしない制御を行う。
【0047】
以上、説明した本発明に係る第1実施形態の照明装置10によれば、外光が急峻に変化する環境や、熱移動が頻繁に起こる環境においても、照度検知部14および人検知部15の出力値からAND処理を行うことにより、人の存在を確実に感知することができる。
【0048】
また、照明装置10によれば、検知範囲を同一にすることにより、照度検知部14および人検知部15のうちのいずれか一方のみの検知範囲をなくして照度検知部14および人検知部15の2つの検知範囲内で人の存在があることを確実に感知できる。
【0049】
そして、照明装置10によれば、人が動いた情報を照度変化で読み取ることができ、照度検知部14により人の動きを感知できる。
【0050】
さらに、照明装置10によれば、照度の絶対値が変わった場合においても、しきい値Vth1,Vth2が可変であることにより、検出感度を一定に保つことができる。
【0051】
さらにまた、照明装置10によれば、外光のゆらぎによる照度変化をあまり読み取らずにすみ、人の移動による照度変化を効率よく読み取ることができる。
【0052】
そして、照明装置10によれば、空調による熱移動と外光のゆらぎとが同時に存在する環境においても、誤感知せずに人の存在を確実に感知できる。
【0053】
加えて、照明装置10によれば、照度検知部14と別の原理で人の存在を感知することができるため、より精度良く人の存在を知ることができる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の照明装置について説明する。
なお、以下の各実施形態において、前述した第1実施形態と重複する構成要素や機能的に同様な構成要素については、図中に同一符号あるいは相当符号を付することによって説明を簡略化あるいは省略する。
【0055】
図1および図6に示すように、本発明に係る第2実施形態の照明装置40は、制御部43が、照度検知部14の出力電圧V1に基づいて照度の絶対値を読み取る。
そして、制御部43は、読み取った照度の絶対値が、一定量の照度以下と判断した場合、照度検知部差分感知フラグFaを無効とし、人検知部15のみの出力電圧V3を読み取って人感知を行う。
【0056】
通常、LED発光部12が消灯状態や、部屋の色が非常に暗い場合等は、照度検知部14の絶対値が低く、光の照度検知部差分出力電圧V2も相対的に低くなる。
そのため、このような状態において、照度検知部差分感知フラグFaを無効とすることにより、照度が暗すぎるために照度検知部14の照度検知部差分出力電圧V2が読み取れなくなることを防止できる。
【0057】
照度検知部14の出力電圧V1が0.2V以下の場合、被照射面の反射率、もしくは、照度が非常に低いと考えられる。
そこで、制御部43は、出力電圧V1が0.15V未満である時点T41から時点T42までの間において、照度検知部差分出力電圧V2の結果に関わらず、照度検知部差分出力電圧V2を読み取らない無効区間41を設定している。
【0058】
無効区間41は、出力電圧V1が0.15V未満になった時点で設定し、出力電圧V1が0.15V以上となった場合、その時点で設定を解除するようにしてもよい。
無効区間41は、照度検知部差分出力電圧V2がしきい値Vth1を越えている時点T43において、制御部43のA/D変換の精度誤差が相対的に大きくなることを加味して設定される。
【0059】
無効区間41の間は、人検知部15の情報のみで人感知を行い、人感知タイマ31を動作させる。
なお、照度検知部14の出力電圧V1は、器具本体23の構造や回路構成に左右される入射光量により変動するために、無効区間41を設定するための電圧は、0.15V未満ではなくてもよく、0.15Vよりも低くてもよく、0.15Vよりも高くてもよい。
他の制御動作は、第1実施形態と同様であるために、説明を省略する。
【0060】
照明装置40によれば、低照度の状態において、照度検知部14の照度変化が読み取りづらい場合でも、精度良く人の存在を感知することができる。
【0061】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の照明装置について説明する。
図1および図7に示すように、本発明に係る第3実施形態の照明装置50は、制御部53が、照度検知部14の出力電圧V1より照度の絶対値を読み取り、ユーザーが所望する照度に自動調光する機能を有する。
【0062】
そして、制御部53は、自動調光中の間に、照度検知部差分出力電圧V2の読み取りを無効とする。
従って、自動調光による自光の出力変化によって照度検知部差分出力電圧V2がしきい値Vth1を超えて照度検知部差分感知フラグFaが勝手にトリガされることを防止できる。
【0063】
制御部53は、自動調光が開始されてから終了され、終了されてから230msの間である区間A1、区間B1、区間C1、区間D1において、照度検知部14の照度検知部差分出力電圧V2がしきい値Vth1を超えても照度検知部差分感知フラグFaを無効とする。
その際、制御部53は、照度検知部差分感知タイマ29、人検知部出力感知タイマ30、人感知タイマ31を一時停止する。
そして、制御部53は、各タイマ29,30,31の終了から230msを過ぎたときに、一時停止した各タイマ29,30,31を再び開始させて通常動作に戻る。
【0064】
また、自動調光中および終了から230msの間、人感知フラグFbは無効となり、強制的に人感知なしの状態になる。
人検知部15の出力電圧V3が自動調光中に感知を行った場合、人検知部出力感知タイマ30はトリガされるが、人検知部出力感知タイマ30は一時停止し、自動調光終了から230ms過ぎて通常動作に戻った際にカウントを再開する。
【0065】
しかし、終了から230ms後に照度検知部差分感知タイマ29と人検知部出力感知タイマ30とのカウントが「0」でない場合、人感知フラグFbにより感知を行い、トリガされて人感知タイマ31が動作することになる。
なお、この無効時間は、230msではなくてもよく、任意の時間を設定できる。
他の制御動作は、第1実施形態と同様であるために、説明を省略する。
【0066】
照明装置50によれば、他の省エネ可能な付加機能と兼用することができるため、コスト削減とさらなる省エネ化が可能である。
【0067】
照明装置50によれば、点灯回路部11が自動的に光源の照度を調節している間、自光の変化による照度変化によって誤作動しないように、一定時間、照度検知部14および人検知部15の出力値を無視することで、誤感知を防止できる。
【0068】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態の照明装置について説明する。
図1および図8に示すように、本発明に係る第4実施形態の照明装置60は、制御部63が、自動調光時において、照度検知部14の出力電圧V1を無効とし、人検知部15のみで人感知フラグFbにより感知を行う。
そのため、自動調光に左右されることなく感知機会を増やすことができる。
【0069】
制御部63は、自動調光が開始されてから終了され、終了されてから230msの間である区間E1、区間F1、区間G1、区間H1において、照度検知部14の照度検知部差分出力電圧V2による照度検知部差分感知フラグFaを無効とする。
そして、制御部63は、照度検知部差分感知タイマ29を一時停止する。
また、制御部63は、終了から230ms後に照度検知部差分出力電圧V2による照度検知部差分感知フラグFaを有効としてトリガできるようにする。
そして、制御部63は、照度検知部差分感知タイマ29を再開する。
【0070】
また、制御部63は、人検知部15において、区間E1、区間F1、区間G1、区間H1の状態で、人検知部出力感知タイマ30が一時停止する。
しかし、区間E1、区間F1、区間G1、区間H1の状態で、人検知部15の人感知が行われると、照度検知部差分出力電圧V2による人感知状態が無効となっているが、人検知部感知トリガのみで人感知フラグFbをトリガする。
【0071】
また、制御部63は、人感知フラグFbは自動調光中もフラグを検出することから、人感知タイマ31は、区間E1、区間F1、区間G1、区間H1の状態で一時停止しない。
他の制御動作は、第1実施形態と同様であるために、説明を省略する。
【0072】
照明装置60によれば、点灯回路部11が自動的に光源の照度を調節している間、自光の変化による照度変化によって、誤作動しないように、照度検知部14の出力値を一定時間無視し、人検知部15の出力値のみで検知を行うことにより、誤感知を防止できる。
【0073】
(第5実施形態)
次に、本発明に係る第5実施形態の照明装置について説明する。
図9に示すように、本発明に係る第5実施形態の照明装置70は、自動配光制御による照射域の自動制御を行う。
従って、人の存在を確実に感知しつつ、さらなる省エネ化を図れる。
【0074】
照明装置70は、交流電源ACが給電される点灯回路部71と、第1LED発光部72および第2LED発光部73と、制御部74と、第1照度検知部75および第2照度検知部76と、第1人検知部77および第2人検知部78とを備えている。
点灯回路部71は、点灯電源79と、制御電源80と、ドライバ部81と、第1降圧チョッパ部82および第2降圧チョッパ部83とを備えている。
【0075】
制御部74は、メモリ部84と、演算部85と、タイマ部86とを備えている。
なお、第1LED発光部72および第2LED発光部73と、第1照度検知部75および第2照度検知部76と、第1人検知部77および第2人検知部78とは、2つずつ搭載されているが、それらの数は限定されることはなく、必要な数を搭載することができる。
【0076】
図10および図11に示すように、照明装置70は、第1照度検知部75および第1人検知部77が器具本体23の一方の枠部分に取り付けられている。
また、照明装置70は、第2照度検知部76および第2人検知部78が、第1照度検知部75および第1人検知部77の検知範囲と独立させるために、器具本体23の枠部分の他方に取り付けられている。
【0077】
なお、各検知部75,77,76,78は、検知範囲を別々にするために、器具本体23の枠部分以外の部位にそれぞれ取り付けられてもよい。
そして、照明装置70は、第1LED発光部72が第1照度検知部75および第1人検知部77の検知方向と同じ方向を照射する位置に配置されており、人の存在の状態によって自動配光制御が可能である。
さらに、照明装置70は、第2LED発光部73が第2照度検知部76および第2人検知部78の検知方向と同じ方向を照射する位置に配置されており、人の存在の状態によって自動配光制御が可能である。
【0078】
図12に示すように、照明装置70は、第1照度検知部75が検知範囲X2を有し、第1人検知部77が第1照度検知部75の検知範囲X2と同一の検知範囲Y2を有する。
また、照明装置70は、第2照度検知部76が検知範囲X3を有し、第2人検知部78が第2照度検知部76の検知範囲X3と同一の検知範囲Y3を有する。
従って、検知範囲X2,Y2および検知範囲X3,Y3により、人を感知する範囲を複数の広範囲にできる。
【0079】
なお、各検知範囲X2,X3,Y2,Y3は、同一の範囲を重複して検知する部分を有するが、これは、照明装置70の直下に人がいる場合、第1LED発光部72および第2LED発光部73を両方点灯させるためである。
また、各検知範囲X2,X3,Y2,Y3の分割数は、2つに限ることはなく、2つ以上の分割数であってもよい。
【0080】
図13に示すように、第1照度検知部75および第1人検知部77の出力は、人感知フラグFcと、人感知タイマ87と、第1LED発光部72の光出力とに対応している。
同様に、第2照度検知部76および第2人検知部78の出力は、人感知フラグFd、人感知タイマ88と、第2LED発光部73の光出力とに対応している。
制御部74は、時点T71において、検知範囲に人が侵入してきたことにより、人感知フラグFcおよび人感知フラグFdがトリガされ、それにより、人感知タイマ87および人感知タイマ88が所定の時間にトリガされる。
【0081】
そして、人感知フラグFc,Fdの終了の時点T72から、人感知タイマ87および人感知タイマ88がカウントダウンを始める。
人感知タイマ87および人感知タイマ88のカウント中は、第1LED発光部72および第2LED発光部73は点灯保持される。
【0082】
時点T73において、人感知タイマ88はカウントが「0」となり、その時点で、第2LED発光部73は消灯状態に移行する。
一方、人感知タイマ87は、時点T71と時点T72との間でトリガされており、カウントダウン中であるので、第1LED発光部72の点灯状態を保つ。
時点T74において、人感知が断続的にないので、人感知フラグFcがトリガされず、人感知タイマ87は、カウントが「0」になるので、第1LED発光部72は消灯状態に移行する。
【0083】
このとき、人感知タイマ87および人感知タイマ88は、リビングルームで使用されることを考慮してカウントダウン時間を20分に設定している。
なお、人感知タイマ87および人感知タイマ88は、カウントダウン時間が20分ではなくてもよく、ユーザーが任意の時間に設定することができるようにしてもよい。
【0084】
照明装置70によれば、検知範囲を複数設けることにより、より細かい範囲での人の感知が可能となり、複雑な環境に対応できる。
【0085】
また、照明装置70によれば、複数の光源である第1LED発光部72および第2LED発光部73を分割して搭載することにより、より細かい範囲での点灯制御が可能となり、さらなる省エネ化が可能である。
【0086】
なお、本発明の照明装置において点灯電源、制御電源、ドライバ部、メモリ部、演算部等は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【符号の説明】
【0087】
10,40,50,60,70 照明装置
11,71 点灯回路部(点灯回路)
12 LED発光部(光源)
13,74 制御部
14 照度検知部
15 人検知部
72 第1LED発光部(光源)
73 第2LED発光部(光源)
75 第1照度検知部(照度検知部)
76 第2照度検知部(照度検知部)
77 第1人検知部(人検知部)
78 第2人検知部(人検知部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源を点灯制御する点灯回路と、
前記点灯回路を制御する制御部と、
人検知部と、
照度検知部と、を備え、
前記照度検知部の出力値と前記人検知部の出力値とを前記制御部で読み込み、前記照度検知部の出力値からの人検知処理および前記人検知部の出力値からの人検知処理をそれぞれ行い、前記照度検知部および前記人検知部のいずれかの人検知処理の結果が人感知有の値の場合に人感知処理を行う照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置において、
前記照度検知部と前記人検知部とは、検知範囲が同じである照明装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の照明装置において、
前記制御部は、前記照度検知部の出力値が一定量の照度以下の場合、前記照度検知部の出力を無効としてすべて人の存在有とみなし、前記人検知部の出力値のみで人感知処理をする照明装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載の照明装置において、
前記照度検知部は、自動で前記光源の出力を変化させて照射面の照度を一定に保つ自動調光用照度検知部を兼用する照明装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載の照明装置において、
前記制御部は、前記照度検知部の出力値に基づき、前記光源の自動調光を行っている間、前記照度検知部と前記人検知部との読取値を無効として人感知処理を行わない照明装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1項に記載の照明装置において、
前記制御部は、前記照度検知部の出力値に基づき、前記光源の自動調光を行っている間、前記照度検知部の出力を無効としてすべて人の存在有とみなし、前記人検知部のみで人感知処理を行う照明装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1項に記載の照明装置において、
前記照度検知部および前記人検知部は、複数個搭載される照明装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1項に記載の照明装置において、
前記光源が複数個搭載されており、前記光源は、前記制御部において人感知処理の情報に基づき、別々に点灯制御される照明装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1項に記載の照明装置において、
前記制御部は、前記照度検知部の出力値を読み取り、前回読み取った出力値との差分量がしきい値を超えた場合、人の存在有として処理する照明装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1項に記載の照明装置において、
前記しきい値は、可変である照明装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のうちのいずれか1項に記載の照明装置において、
前記照度検知部は、出力値の読取周期が150〜350msである照明装置。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のうちのいずれか1項に記載の照明装置において、
前記人感知処理は、前記照度検知部および前記人検知部のうちのいずれか一方における人検知処理により人の存在有の結果が出力されてから、前記照度検知部および前記人検知部のうちのいずれか他方における人検知処理が人の存在有の結果が出力されるまでの遅延時間が450ms以内の場合、人の存在有として処理する照明装置。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のうちのいずれか1項に記載の照明装置において、
前記人検知部が、赤外線検出センサである照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−93103(P2013−93103A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232617(P2011−232617)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】