説明

照明装置

【目的】 光源手段からの光束の有効利用を図り、被照明体を効率的に照明することができる照明装置を得ること。
【構成】 楕円面鏡の第1焦点近傍に光源手段を設け、該楕円面鏡の前方に凹面鏡をその曲率半径が該楕円面鏡の第1焦点に略一致するように配置し、該凹面鏡の一部に開口部を設けると共に該開口部の前方に集光レンズを配置し、該光源手段からの光束のうち該楕円面鏡で反射し該第2焦点に集光した光束及び該凹面鏡で反射した後、楕円面鏡で反射し該第2焦点に集光した光束を該凹面鏡の開口部を介して該集光レンズに入射させ該集光レンズで集光して所定面上を照明するようにしたこと。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は照明装置に関し、特に楕円面鏡やその前方に配置する凹面鏡やフレネルミラー等の形状及び光源手段との配置関係を適切に設定することにより、光源手段からの光束の有効利用を図り効率の良い照明を行ない、スライド等の被投影画像をスクリーン面上に拡大投影するようにした例えば液晶プロジェクターやマイクロリーダやマイクロリーダプリンター、そしてオーバーヘッドプロジェクタ等の投影光学系に好適な照明装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より例えば液晶プロジェクターやマイクロリーダやマイクロリーダプリンター、そしてオーバーヘッドプロジェクタ等の投影光学系に用いられる照明装置では光源手段と、該光源手段から放射した光束を反射させる凹面鏡や楕円面鏡、そして集光レンズ等を適切に組み合わせて構成している。
【0003】図9(A)、(B)、(C)は各々従来の照明装置の要部概略図である。
【0004】図9(A)において楕円面鏡より成るリフレクター92の第1焦点近傍に配置した光源手段91から放射した光束は、該リフレクター92で反射し、該リフレクター92の第2焦点93近傍に集光した後、発散してコンデンサーレンズ94に入射している。そしてコンデンサーレンズ94で集光し所定面を照明している。
【0005】図9(B)ではリフレクター92からの集光性の反射光束を集光する前に発散性レンズ95を介して略平行光束として所定面上を照明している。
【0006】図9(C)では光源手段91を放物面鏡より成るリフレクター92の第1焦点からずらして配置している。そして光源手段91からの光束がリフレクター92で反射した後、略平行光束となるようにして、所定面上を照明している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図9(A)、(B)、(C)に示す各照明装置では光源手段91から放射した光束のうち一部分のみが被照明体(フィルムや液晶ライトバルブ)に導光され、それ以外の光束は使用されない。
【0008】例えば図中角度βで示す立体角に放射される光束は被照明体には入射しなく、光源手段からの光束の利用効率が悪かった。
【0009】この為、被照明体の照度が低下し、良好なる明るさの投影像が得られないという問題点があった。
【0010】本発明は楕円面鏡や凹面鏡、そして集光レンズ等の光学要素の形状及び光学配置を適切に設定することにより、光源手段からの光束の有効利用を図り、被照明体を高い照度で照明することができる照明装置の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の照明装置は楕円面鏡の第1焦点近傍に光源手段を設け、該楕円面鏡の前方に該楕円面鏡の焦点間距離と略等しい曲率半径の凹面鏡をその曲率半径が該楕円面鏡の第1焦点に略一致するように配置し、該楕円面鏡の第2焦点に相当する該凹面鏡の一部に開口部を設けると共に該開口部の前方に集光レンズを配置し、該光源手段からの光束のうち該楕円面鏡で反射し該第2焦点に集光した光束及び該凹面鏡で反射した後、該楕円面鏡で反射し該第2焦点に集光した光束を該凹面鏡の開口部を介して該集光レンズに入射させ該集光レンズで集光して所定面上を照明するようにしたことを特徴としている。
【0012】この他本発明では楕円面鏡の第1焦点近傍に光源手段を設け、該楕円面鏡の前方に該楕円面鏡の該第1焦点に法線が通過するように複数の反射面を設けたフレネルミラーを配置し、該楕円面鏡の第2焦点に相当する該フレネルミラーの一部に開口部を設けると共に該開口部の前方に集光レンズを配置し、該光源手段からの光束のうち該楕円面鏡で反射し該第2焦点に集光した光束及び該フレネルミラーで反射した後、楕円面鏡で反射し該第2焦点に集光した光束を該フレネルミラーの開口部を介して該集光レンズに入射させ該集光レンズで集光して所定面上を照明するようにしたことを特徴としている。
【0013】
【実施例】図1は本発明の実施例1の要部概略図、図2は図1の一方から見たときの概略図、図3は図1の光路を説明する為の概略図である。
【0014】図中、1は楕円面鏡であり、1aはその第1焦点、1bはその第2焦点である。
【0015】2は凹面鏡であり、楕円面鏡1の前方に設けており、楕円面鏡1の第1焦点1aから第2焦点1bまでの距離と略等しい値の曲率半径を有している。
【0016】凹面鏡2はその曲率中心が楕円面鏡1の第1焦点1aに略一致するように配置している。凹面鏡2のうち楕円面鏡1の第2焦点1bの位置に相当する領域、即ち凹面鏡2の光軸7に相当する領域に円形状又は四角形状等の開口部4を設けている。5は支柱であり楕円面鏡1と凹面鏡2とを相互に支持している。
【0017】3は光源手段であり、例えばメタルハライドランプやハロゲンランプ等から成り、楕円面鏡1の第1焦点1a近傍に配置している。
【0018】6は集光レンズであり、凹面鏡2の開口部4の前方に配置している。
【0019】本実施例では光源手段1からの光束のうち楕円面鏡1に入射し反射した光束は第2焦点1bに集光している。又、光源手段1からの光束のうち凹面鏡2に入射し反射した光束は元の光路を戻り、楕円面鏡1で反射し、第2焦点1bに集光している。そして第2焦点1bに集光したこれらの光束は凹面鏡2の開口部4を通過し、集光レンズ6で略平行光束とし被照明体(不図示)に導光し、照明している。
【0020】このように本実施例では光源手段3からの光束のうち楕円面鏡1に直接入射しない従来の照明装置では不使用の光束を凹面鏡2で反射し、楕円面鏡1に戻し、集光レンズ6に入射させて照明用として用いている。これにより光源手段3からの光束の有効利用を図っている。
【0021】本実施例において凹面鏡2の開口部4より射出する光束の射出角θは楕円面鏡1や凹面鏡2の形状及び配置等を適切に設定することにより種々と制御している。
【0022】例えば、楕円面鏡1の端面を結ぶ平面と光軸7との交点T1が第1焦点1a側に位置するように楕円面鏡1の形状を設定すれば射出角θは小さくなる。逆に交点T1が第2焦点1b側に位置するように設定すれば射出角θは大きくなる。
【0023】本実施例において凹面鏡2の端面を結ぶ平面S1と光軸7との交点T2が楕円面鏡1の第1焦点1aより後方(図中左側)にあると光源手段3からの光束が楕円面鏡1と凹面鏡2との間の空間内に閉じ込められて熱が発生してくる場合がある。そこで本実施例では交点T2が第1焦点1aより前方(図中右側)に位置するように楕円面鏡1と凹面鏡2の形状を設定し、空気の流通を良くし、熱の発生を防止している。
【0024】尚、本実施例において熱の発生を防止する為に楕円面鏡1と凹面鏡の反射面をコールドミラーより構成しても良い。
【0025】図4、図5、図6は各々本発明の実施例2、3、4の要部概略図である。
【0026】図中、図1の実施例1で示した要素と同一要素には同符番を付している。
【0027】図4の実施例2では楕円面鏡1と凹面鏡2との形状を光軸7aに対して非対称としている。そして楕円面鏡1と凹面鏡2の光軸7aに対して集光レンズ6の光軸7bとが角度αで交叉するように構成している。これにより実施例1と同様の効果を得ている。
【0028】図5の実施例3では楕円面鏡1の前方に第1凹面鏡2aと第2凹面鏡2bの2つの凹面鏡を設けている。
【0029】第1凹面鏡2aは第1焦点1aに曲率中心を有する曲率半径R2aの凹面鏡より成っている。
【0030】第2凹面鏡2bは第1焦点1aに曲率中心を有する曲率半径R2bの凹面鏡より成っている。
【0031】第2凹面鏡2bの曲率半径R2bは第1焦点1aから第2焦点1bまでの距離と略等しくなっている。
【0032】第1凹面鏡2aの開口形状は光源手段3からの光束のうち楕円面鏡1で反射し第2焦点1bに入射する光束を遮光しないように設定している。
【0033】本実施例では光源手段3からの光束のうち第1凹面鏡2a(第2凹面鏡2b)に入射した光束を反射させ元の光路に戻し、楕円面鏡1で反射させて第2焦点1bに集光している。そして集光レンズ(不図示)に入射させている。
【0034】本実施例では2つの凹面鏡2a、2bを用いることにより外径寸法を縮少化し、装置全体の小型化を図っている。
【0035】図6の実施例4では図1の実施例1の凹面鏡2の代わりに球形状のフレネルミラー61を用いている点が異なり、その他の構成は同じである。
【0036】図6に示すようにフレネルミラー61で光源手段3からの光束を反射し、元の光路に戻し、楕円面鏡1で反射し第2焦点1bに集光している。そして集光レンズ6に入射させている。
【0037】図7は図6のフレネルミラー61の光軸7を含む平面の断面図である。フレネルミラー61の複数の反射面61aはその法線が第1焦点1aを通過するように設定している。又、反射面61aの長さ61Lは光源手段3の発光面径と略一致させている。反射面61aの長さ61Lが光源手段3の発光面径より大きくなると反射面61aで反射した後、光源手段3に戻る光束が少なくなり、光束が楕円面鏡1とフレネルミラー61との空間内に閉じ込められ光束の利用効率が低下してくるので良くない。
【0038】尚、本実施例においてフレネルミラーを図8に示すように反射面61bを光源手段3(第1焦点1a)を中心とする同心円反射面(曲率半径R1、R2・・・)の一部より構成しても良い。
【0039】また、集光レンズ6を通過した後の光束断面形状が略画像表示デバイスの形状と一致するように、各々、楕円面鏡、凹面鏡、フレネルミラーの形状を設定してもよい。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば以上のように楕円面鏡や凹面鏡、そして集光レンズ等の光学要素の形状及び光学配置を適切に設定することにより、光源手段からの光束の有効利用を図り、被照明体を高い照度で照明することができる照明装置を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の要部概略図
【図2】図1の一方から見たときの概略図
【図3】図1の光路の説明図
【図4】本発明の実施例2の要部概略図
【図5】本発明の実施例3の要部概略図
【図6】本発明の実施例4の要部概略図
【図7】図6の光軸を含む断面概略図
【図8】図6のフレネルミラーの他の実施例の説明図
【図9】従来の照明装置の概略図
【符号の説明】
1 楕円面鏡
2、2a、2b 凹面鏡
3 光源手段
4 開口部
5 支柱
6 集光レンズ
7、7a、7b 光軸
61 フレネルミラー
1a 第1焦点
1b 第2焦点

【特許請求の範囲】
【請求項1】 楕円面鏡の第1焦点近傍に光源手段を設け、該楕円面鏡の前方に該楕円面鏡の焦点間距離と略等しい曲率半径の凹面鏡をその曲率半径が該楕円面鏡の第1焦点に略一致するように配置し、該楕円面鏡の第2焦点に相当する該凹面鏡の一部に開口部を設けると共に該開口部の前方に集光レンズを配置し、該光源手段からの光束のうち該楕円面鏡で反射し該第2焦点に集光した光束及び該凹面鏡で反射した後、該楕円面鏡で反射し該第2焦点に集光した光束を該凹面鏡の開口部を介して該集光レンズに入射させ該集光レンズで集光して所定面上を照明するようにしたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】 楕円面鏡の第1焦点近傍に光源手段を設け、該楕円面鏡の前方に該楕円面鏡の該第1焦点に法線が通過するように複数の反射面を設けたフレネルミラーを配置し、該楕円面鏡の第2焦点に相当する該フレネルミラーの一部に開口部を設けると共に該開口部の前方に集光レンズを配置し、該光源手段からの光束のうち該楕円面鏡で反射し該第2焦点に集光した光束及び該フレネルミラーで反射した後、該楕円面鏡で反射し該第2焦点に集光した光束を該フレネルミラーの開口部を介して該集光レンズに入射させ該集光レンズで集光して所定面上を照明するようにしたことを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開平5−40223
【公開日】平成5年(1993)2月19日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−222133
【出願日】平成3年(1991)8月7日
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)