説明

熨斗袋

【課題】 慶弔用の熨斗袋であって、紙幣の収納が簡単で、水引等を損傷しにくく、かつ種々の装飾を施すことのできる熨斗袋を提供すること。
【解決手段】 直接紙幣を収納する第一の袋体と、外面に水引又は水引飾りが取り付けられ、その内側に前記第一の袋体を外から差し込んで収納することのできる第二の袋体とからなる熨斗袋。この熨斗袋に紙幣を包む場合は、第一の袋体を第二の袋体から抜き取って該第一の袋体の中に紙幣を包みこみ、この第一の袋体を第二の袋体に差し込んで一体化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慶弔用の熨斗袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙を折り畳んで複数の紙片が重なり合った袋体とし、該袋体の胴部に水引を巻回してなる熨斗袋が慶弔用に使用されている。従来広く使われている熨斗袋には、大阪折りのものと、東京折りのものがあるが、折り方が若干異なるだけで本質的には大した相違はなく、いずれも袋体の胴部に水引あるいは水引飾りが巻回した状態で取り付けられている。また、最近は、種々の飾りや模様を付けた熨斗袋も使用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の熨斗袋に紙幣を収納する際は、まず胴部に巻回されている水引又は水引飾りを取り外し、紙幣を袋体の内部に入れて、再度水引又は水引飾りを嵌め込むが、水引や水引飾りは袋体の胴部にきっちりと取り付けられているので、その着脱には手間がかかり、煩雑であるのみならず、場合によっては水引、水引飾り等を損傷することがあった。
【0004】
このような問題点を解決するものとして、本発明者は水引を取り外さずに紙幣を収納することのできる熨斗袋を提案している(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−208725号公報
【0006】
上記特許文献1に記載の熨斗袋は、熨斗袋本体を構成する紙片の下端部を貼り合わせて紙幣収納部とし、該紙幣収納部の上端部には、紙幣挿入用の隙間を設けるとともに、該隙間を封緘することのできる封緘手段を設けたものである。この熨斗袋は、水引等を取り外さずに紙幣を収納することができるので便利ある。
【0007】
本発明は、上記特許文献1に記載の熨斗袋とは異なる構造の熨斗袋であって、紙幣の収納が簡単で、デザイン的に変化に富んだものとすることができる熨斗袋を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の熨斗袋は、次のような構成とした。すなわち、本発明に係る熨斗袋は、直接紙幣を収納する第一の袋体と、該第一の袋体を外から差し込んで収納することのできる第二の袋体からなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
この熨斗袋は、実際に紙幣を入れる第一の袋体と、該第一の袋体を外から差し込んで収納する第二の袋体からなるので、水引や水引飾りは紙幣を入れる第一の袋体に取り付けず、外側の第二の袋体に装着しておくことにより、紙幣の出し入れ時にこれら水引や水引飾りを取り外す必要がなくなる。すなわち、紙幣を包むときは、第一の袋体に直接紙幣を入れ、該紙幣を入れた第一の袋体を水引等が装着されている第二の袋体に差し込むだけでよい。このため、紙幣の出し入れが簡単で、水引等を傷つけるおそれがない。また、第一の袋体と第二の袋体で構成されるので、デザイン的に斬新であり、しかも外側の第二の袋体にはどのような豪華な水引飾りを施すことも可能となり、豪華な水引飾のついた熨斗袋を使用できることになる。さらに、第一の袋体が東京折りであっても大阪折りであっても、共通の第二の袋体を使用することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に表された本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態を例示するもので、この熨斗袋1は、第一の袋体2と第二の袋体3からなる。第一の袋体2は、実際に紙幣を入れる袋であり、紙幣がすっぽりと収納できる大きさに形成されている。
【0011】
図示例では、第一の袋体2は、1枚の紙を折って形成される。図2は第一の袋体の展開図である。この袋体2は、紙シートを図の折り目a,b,c,d.eで山折りして作られる。紙片Bの表面側の右肩部には、熨斗5が貼り付けられており、中央部には「お祝い」「御香典」等の文字を表示した短冊6が貼り付けられている。この短冊6は特に必要なものではなく、使用時に適当な文字を筆等で記入してもよいが、あらかじめ必要な文字を記載した図示例のような短冊を貼り付けることとすれば、そのつど文字を書かなくてすむので便利である。
【0012】
この熨斗袋1の使用に際しては、まず第一の袋体2を展開し、紙片Cの裏側に紙幣を配置して、上下の紙片E,Fを紙幣の上に折り曲げる。しかるのち、紙片Dを紙幣上に重ねるとともに、紙片Aを紙片Bに重ね合わせる。そして、先に紙幣上に重ねた紙片Dの上に紙片AとBを重ねたものを重ね合わせる。これにより、紙幣が第一の袋体2内に確実に保持される。なお、第一の袋体2としては、図示例のものに限らず、紙幣を簡単に包み込むことのできるものであればよい。
【0013】
第二の袋体3は、第一の袋体2の上下の長さの1/2よりも若干上下に長く形成された袋体であり、上に開口し、下端部は折り曲げた紙片で閉じられている。第二の袋体3の高さをもっと高くして、第一の袋体の大部分を収納できるようにすることもできる。第二の袋体の開口縁部すなわち第二の袋体3の上端部は、正面視において右側が次第に高くなるように傾斜している。第二の袋体3の上端縁部を水平にしてもよいが、このように斜めに切った形状のほうが美的である。この第二の袋体は、開閉する必要がないので、どのような方式で袋体を形成してもよいが、例えば、図4に示すように、1枚の紙をA,B,C,Dの紙片とし、順に折り目a,b.cで山折りに折り曲げて、紙片Dを紙片A,C上に重ねて糊付けすればよい。第二の袋体3の開口部直下部には、水引9が巻回状態で取り付けられている。この水引9は取り外す必要がないので、糊で固定しておいてもよい。水引の代わりに水引飾りを取り付けてもよく、あるいは印刷で種々のデザインを施すこともできる。
【0014】
この熨斗袋1は、第一の袋体2に上記の手順で紙幣を収納し、この第一の袋体2の下半分を第二の袋体3に挿入して一体化する。第一の袋体2を第二の袋体3に挿入した状態では、第一の袋体2の上半分が露出し、下半分は第二の袋体3内に隠れた状態となる。図示例では、第一の袋体2の右肩部に熨5が取り付けられ、第二の袋体3の上部に水引9が取り付けられているので、両者を結合した状態では、熨5と水引9を有する熨斗袋となる。第一の袋体2の中央部に「お祝い」、「御香典」等の文字を表示すればよい。
【0015】
図5は、上記と若干異なるデザインの熨斗袋を表すもので、この熨斗袋1’は、外側の第二の袋体3に取り付けられている水引10が、大きさの異なる複数のリングを順に並べた波紋状のデザインとなっている。他の部分は前記実施形態とほぼ同様である。この他にも、種々のデザインを施すことができる。
【0016】
この熨斗袋1は、直接紙幣を入れる内側の袋体(第一の袋体)2と、該内側の袋体2の下半分を差し込んで保持する外側の袋体(第二の袋体)3とで構成され、水引等は、第二の袋体3にあらかじめ取り付けられているので、紙幣の収納に際しては、水引を着脱する必要がない。具体的には、第一の袋体2を第二の袋体3から抜き取り、折り目を開いて紙幣をいれ、再度折り畳んで紙幣を包み込んだら、第一の袋体2を第二の袋体3に挿入一体化する。これにより、紙幣を包み込んだ熨斗袋となるのである。
【0017】
この熨斗袋1は、紙幣を収納するときに、熨斗袋の胴部に巻回されている水引を取り外す必要がなく、紙幣を入れて折り畳んだ第一の袋体を、あらかじめ水引が取り付けられている第二の袋体3に挿入一体化するだけで、紙幣を収納した一つの熨斗袋となるので、紙幣の収納がきわめて楽である。また、紙幣を入れるときに水引を着脱しなくてもよいので、水引等が損傷するおそれもない。
【0018】
さらに、外側の第二の袋体3は、水引等の装飾を取り外さなくてもよいので、あらゆるデザインが可能であり、どのような豪華な飾りを施すことも可能である。このため、個人の好みに応じて変化に富んだ熨斗袋とすることもできるのである。
【0019】
また、第一の袋体2と第二の袋体3として、種々のデザインのものを複数種用意しておき、両者を適宜選択的に組み合わせて使用することとすれば、用途、目的等に応じて自由に熨斗袋としてのデザインを選択することが可能となる。前述したように、第一の袋体2として東京折りの袋を用いても大阪折りの袋を用いても、第二の袋体を共通に利用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0020】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る熨斗袋は、紙幣を入れる第一の袋体と、水引等の装飾体を取り付けた第二の袋体からなり、第一の袋体を第二の袋体に半ば挿入して一体化することにより、一つの熨斗袋とするもので、両者ともシート状の紙を所定形状に切り抜いて折り畳むことにより形成するものであるから、和紙等を用いて工業生産的に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明にかかる熨斗袋の正面図である。
【図2】第一の袋体と第二の袋体の正面図である。
【図3】第一の袋体の展開図である。
【図4】第二の袋体の展開図である。
【図5】上記と異なるデザインの熨斗袋の正面図である。
【符号の説明】
【0022】
1,1’熨斗袋
2 第一の袋体
3 第二の袋体
5 水引飾り
9 水引

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を収納する第一の袋体と、前記第一の袋体を外から差し込んで収納することのできる第二の袋体からなることを特徴とする熨斗袋。
【請求項2】
第二の袋体に水引又は水引飾りが取り付けられている請求項1に記載の熨斗袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−8188(P2006−8188A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188217(P2004−188217)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(504247565)
【Fターム(参考)】