説明

熱交換器、熱交換器ヘッダおよびその形成方法

【課題】容易かつ安価に製造可能であり、かつ強固な構造的支持を付与するマルチチャンバ熱交換器ヘッダを提供する。
【解決手段】マルチパネル熱交換器システムのマルチチャンバヘッダ14は、マニホールドチャンバ26A,26B,26Cを画定するヘッダハウジング24と、ヘッダを複数のマニホールドチャンバに分割するインサート38と、を有する。ヘッダハウジング24は壁部28,30を有しており、壁部28は、直線状に延び、壁部30は、湾曲部分を有する。壁部28,30には溝が設けられて、これにより、ヘッダハウジング24内でインサート38を案内して保持するトラックが形成される。インサート38は、ヘッダハウジング24に挿入された後、ヘッダハウジング24に溶接またはろう付けされる。これにより、溝とインサートの端部との間に生じ得る漏出が排除されるとともに、ヘッダハウジング24に付加的な構造的支持がもたらされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関し、特に、製造上の複雑性とコストを減少させ、構造的な完全性をもたらすマルチパネル熱交換器ヘッダに関する。
【背景技術】
【0002】
複列熱交換器、マルチチャネル熱交換器、小型(mini)チャネル熱交換器、極小(micro)チャネル熱交換器に用いられるヘッダには、製造に際し複数の問題が生じる。熱交換器ヘッダは、作動中にヘッダ内を通流する流体により加わる高い圧力に耐え得る十分な強度を備えている必要がある。ある構造では、隣接するヘッダが互いに流体連通することが要求される。通常、熱交換器ヘッダは、個々に(例えば、チューブまたはチャネルの各列に対して1つのヘッダとして)形成され、熱交換器ヘッダは、通常、ロール成形され、溶接されたチューブからなるか、あるいは押出成形される。
【0003】
マルチパネル(例えば、隣接する極小チャネルの複数のパネルやスラブ)の熱交換器を使用する場合、複数のヘッダが互いに接続される。複数のヘッダは、各熱交換器パネルの入口および出口において、互いに溶接あるいはろう付けされる。隣接するヘッダが互いに流体連通する構造では、ドリル加工によって各ヘッダに開口を形成(穿孔)する。次いで、開口が互いに連通するようにヘッダを配列して、互いに溶接あるいはろう付けする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このプロセスは、重大な欠点を有する。第1に、ヘッダを流体連通させるために、複数のヘッダにドリル加工(穿孔)を施さなければならない。第2に、隣接するヘッダ間において外部の溶接またはろう付けのジョイント部分から漏出が生じる恐れがある。第3に、ヘッダの厚さは、ヘッダが接続される領域では2倍の厚さとなってしまう。ヘッダが個々に形成され、かつヘッダの全壁部が流体の作動圧力に耐えなければならないため、ヘッダの厚さは、ヘッダ全体を強固にするように実質的に均一となる。2つのヘッダが接続される領域(例えば、開口がドリル加工される領域)では、各ヘッダの壁部が実質的に均一の厚さを有するため、壁部の厚さは過度に厚くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施例には、ヘッダハウジングおよびインサートを有する熱交換器ヘッダが含まれる。ヘッダハウジングは、第1の壁部と、この第1の壁部と実質的に対向する第2の壁部と、を備える。第1および第2の壁部によって、トラックが画定される。ヘッダが第1および第2のマニホールドチャンバへと分割されるように、インサートはトラックに係合して配置される。
【0006】
本発明の他の実施例には、ヘッダと、第1および第2の複数の流体チャネルと、を有する熱交換器が含まれる。ヘッダは、第1の複数の流体チャネルと流体的に接続される(流体連通する)第1のマニホールドチャンバと、第2の複数の流体チャネルと流体的に接続される第2のマニホールドチャンバと、第1および第2のマニホールドチャンバを隔てるセパレータプレートと、を備える。
【0007】
本発明のさらに別の実施例には、熱交換器ヘッダの形成方法が含まれる。該形成方法は、
第1のマニホールドチャンバ、第2のマニホールドチャンバおよびトラックを有するヘッダハウジングを押出成形するステップと、トラックに係合するようにヘッダハウジングにインサートを配置するステップと、インサートをヘッダハウジングに溶接あるいはろう付けするステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】マルチパネル熱交換器の概略図。
【図2】複数の列を有する熱交換器ヘッダハウジングの一実施例を示す断面図。
【図3A】ソリッドインサートの一実施例を示す概略図。
【図3B】複数の通路を有するインサートの一実施例を示す概略図。
【図3C】複数の通路を有するインサートの他の実施例を示す概略図。
【図4】インサートが所定の位置に配置された図2のヘッダを示す断面図。
【図5】フランジ付きインサートが所定の位置に配置されたヘッダの一実施例を示す断面図。
【図6】フランジ付きインサートが所定の位置に配置されたヘッダの他の実施例を示す断面図。
【図7】他の形状を有するインサートを含むヘッダの断面図。
【図8】図7のヘッダに適合する有孔インサートの一実施例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、熱交換器および熱交換器のマニホールドの新たなデザインを提供するものである。図1は、複数のパネルを有するマルチパネル熱交換器システム10の一実施例を示している。マルチパネル熱交換器システム10は、熱交換器パネル12A,12B,12Cと、マルチチャンバヘッダ14,16と、入口18、出口20と、熱交換器チャネル22と、を備える。マルチパネル熱交換器システム10は、熱交換器チャネル22を含む3つのパネル12A,12B,12Cを有し、これらのパネルは互いに隣接している。図1の実施例では、パネル12A,12B,12Cをスタック状に重ねて配設しているが、他の構成であってもよい。各パネル12により、第1のマルチチャンバヘッダ14と第2のマルチチャンバヘッダ16とが接続される。第1および第2のヘッダ14,16は、複数のチャンバを含む。図1に示す実施例では、第1および第2のヘッダ14,16は、3つのマニホールドチャンバをそれぞれ有する(図2に詳細に示す)。マルチパネル熱交換器システム10は、入口18および出口20を備える。入口18は、一方のヘッダ14,16の1つの(第1の)チャンバと流体連通しており、出口20は、他方のヘッダ14,16の他の1つの(第2の)チャンバと流体連通している。マルチパネル熱交換器システム10の構成および流体の流れ方向によって、入口18および出口20を同じヘッダ14,16に設けてもよいし、異なるヘッダ14,16に設けてもよい。
【0010】
図1の実施例では、作動流体(例えば、水、冷却剤、冷媒など)は、第1のヘッダ14における第1のチャンバの入口18から流入する。第1のヘッダ14の第1のチャンバは、
第1のヘッダ14の第2のチャンバに対して直接的に流体接続されていない。したがって、作動流体は、第1のヘッダ14の第1のチャンバから、パネル12Cを通って、第2のヘッダ16の第1のチャンバに移動する。第2のヘッダ16の第1のチャンバは、第2のヘッダ16の第2のチャンバと流体連通しているが、この第2のチャンバは、第2のヘッダ16の第3のチャンバと直接的に流体連通していない。したがって、作動流体は、第2のヘッダ16の第1のチャンバから第2のヘッダ16の第2のチャンバへと移動し、次いで、この第2のチャンバからパネル12Bを通って第1のヘッダ14の第2のチャンバに移動する。第1のヘッダ14の第2のチャンバは、第1のヘッダの第3のチャンバと流体連通している(しかし、第1のヘッダ14の第1のチャンバとは直接的に流体接続していない)。したがって、作動流体は、第1のヘッダ14の第2のチャンバから第1のヘッダ14の第3のチャンバへと移動し、次いで、第3のチャンバから、パネル12Aを通って、第2のヘッダ16の第3のチャンバへと移動する。第2のヘッダ16の第3のチャンバは、第2のヘッダ16の第2のチャンバとは直接的に流体接続していない。したがって、作動流体は、第2のヘッダ16の第3のチャンバの出口20を通ってマルチパネル熱交換器システム10から流出する。
【0011】
マルチチャンバヘッダによって、マルチパネル熱交換器システム10における複雑な製造および設計を低減させるとともに、堅固な構造的支持(支持構造)を提供する。マルチチャンバヘッダ14,16は、ヘッダハウジング24およびインサート38を有する。図2は、ヘッダハウジング24の一実施例の断面図を示している。ヘッダハウジング24によって、3つのマニホールドチャンバ26A,26B,26Cが画定される。ヘッダハウジング24は、壁部28,30および溝32,34を有する。図2の実施例では、ヘッダハウジング24は3つのチャンバ26を画定しているが、他の実施例として、ヘッダハウジング24は、2つのチャンバあるいは3つ以上のあらゆる数のチャンバを画定してもよい。チャンバ26は、ヘッダハウジング24内で互いに流体的に接続されている。
【0012】
ヘッダハウジング24は、壁部28,30を有する。壁部28,30は、通常、ヘッダハウジング24の対向する側にそれぞれ位置する。図2の実施例では、壁部28は、直線状に延びており、壁部30は、湾曲(曲線)状の部分を有する。壁部30の湾曲部分が交差する箇所に長手方向に延びるリブ29が形成される。壁部28,30は、チャンバ26(例えば、壁部30の湾曲部分)を画定するように機能してもよく、単にチャンバ26の境界部分を境界付けるように機能してもよい。本実施例では、壁部28は、複数の作動流体チャネル22に係合する複数の開口部を有する(図2には図示せず)。
【0013】
壁部28,30は、溝32,34をそれぞれ有する。図2に示すように、溝32,34は、ガイドチャネルであるトラック(スロット)36を形成するように、通常、互いに対向して配設される。トラック36は、ヘッダハウジング24内でインサート38を案内して保持する。図2に示すように、溝32,34によって形成されるトラック36は、通常、壁部28に対して実質的に垂直をなしている。しかし、必ずしも壁部28,30に対して垂直をなすガイドチャネル、つまりトラック(スロット)36を形成するように溝32,34を配設しなくてもよい。壁部28,30に対して傾斜したトラック36を形成してもよい。溝32,34およびトラック36の配置によって、さらにチャンバ26が画定される。例えば、図2における溝32,34およびトラック36は、チャンバ26B,26Cの交差部分を示す。図2の実施例では溝32,34を用いてトラック36を画定しているが、以下に詳細に記載する他の実施例に示すように、レール、隆起(リッジ)または突起を用いてトラック36を画定してもよい。
【0014】
図3A,3Bは、2つの異なるインサートあるいはセパレータプレート38の実施例を図示している。図3Aは、孔を有していないソリッド状のインサート、つまりソリッドインサート38Aを示している。図3B,3Cは、孔を有する有孔インサート38B,38Cの実施例をそれぞれ示している。全てのインサート38は、第1の端部40および第2の端部42を有する。図4に示すように、インサート38は、溝32,34によって形成されたヘッダハウジング24におけるガイドチャネル、つまりトラック(スロット)36内に配設される。ヘッダハウジング24に挿入されると、インサートの第1の端部40は溝32内に位置し、第2の端部42は溝34内に位置する。挿入した後、インサート38をヘッダハウジング24に溶接またはろう付けしてもよい。インサート38をヘッダハウジング24に溶接またはろう付けすることにより、溝32,34と第1および第2の端部40,42との間に生じ得る漏出が排除される。さらに、溶接またはろう付けによって、ヘッダハウジング24に付加的な構造的支持がもたらされる。インサート38の長手方向の長さは、ヘッダハウジング24の長手方向の長さに等しい。
【0015】
ソリッドインサート38Aおよび有孔インサート38B,38Cは、マルチパネル熱交換器システム10に所望の流路を形成するようにヘッダハウジング24に配置される。ソリッドインサート38Aがヘッダハウジング24内に配置されると、インサート38Aによって、インサート38Aに隣接するマニホールドチャンバ26間に亘って流体が連通しなくなる。インサート38Aは、一方のマニホールドチャンバ26から他方のマニホールドチャンバへと移動する流体を防ぐ流体用の障害物として機能する。有孔インサート38B,38Cは、1つまたは複数の孔、オリフィスまたは通路44を有する。有孔インサート38B,38Cがヘッダハウジング24内に配置されると、インサート38B,38Cによって、インサート38Bまたはインサート38Cに隣接するマニホールドチャンバ26に亘る流体の連通が許容される。図3に示すように、チャンバ26に亘って流体を均等に分配するように、インサート38B,38Cに沿って整列して通路44が配設される。インサート38は、図3A,3Bに示す矩形の断面形状、図5に示すフランジを備えたI字形の断面形状、あるいは図8に示す変則的な断面形状を有していてもよい。最適な係合をもたらすように、溝32,34の形状およびインサート38の断面形状は互いに適合するようになっている。
【0016】
図4は、完成状態のヘッダの一実施例を示す。インサート38は、図2のヘッダハウジング24内に位置している。インサート38は、溝32,34によって形成されたトラック36内に配置される。インサート38および壁部28,30によって、チャンバ26A,26B,26Cが画定される。使用するインサート38の種類に応じて、2つの隣接するチャンバ26が直接的に流体連通するか、連通しないかが決まる。ソリッドインサート38Aによって直接的な流体連通が防止され、有孔インサート38B,38Cによって直接的な流体連通が許容される。
【0017】
流体流に対する影響に加えて、インサート38は、ヘッダハウジング24およびヘッダ14に構造的支持を付与する。作動中、作動流体は、上昇した圧力でヘッダ14内に存在する。上昇した圧力により、壁部28,30に力が加わる。この加えられた力により、壁部28,30が互いから離間するように押圧される。これにより、インサートを備えていないマルチチャンバヘッダでは問題が生じる。圧力および加わる力が高すぎる場合、壁部が膨張して、ヘッダの構造的な完全性が損なわれてしまう。他方、溶接またはろう付けされるインサート38によって、ヘッダハウジング24に構造的支持が付加的に加えられる。インサート38は、トラック36に溶接またはろう付けされると、壁部28,30を互いに保持して、壁部が離間するのを防止する。インサート38により、膨張や座屈(バックリング)が防止され、ヘッダ14の構造的強度が向上する。単独に形成して、ドリル加工して外側に溶接する従来のヘッダとは異なり、本発明のヘッダ14は、過度に厚いヘッダハウジング24を備える必要はない。本願のヘッダ14は、代わりに、インサート38を用いて強固な構造的完全性を付与する。
【0018】
図5は、他の断面形状を有するヘッダ14の他の実施例を図示する。この実施例では、ヘッダ14は、湾曲部分をそれぞれ含む壁部28,30を備える。インサート38は、両端部にフランジを備えたフランジ付き端部を有するI字形状をなしている。このインサートの形状は、壁部28,30をより強力に接続することができる。インサートの溶接またはろう付けにより壁部28,30を互いに保持することに加えて、インサート38のフランジ付き端部46により壁部28,30が互いに保持され、壁部28,30が互いに離間しないように付加的な支持がもたらされる。図6は、他の断面形状を有するヘッダ14のさらに別の実施例を図示する。この実施例では、ヘッダ14は、矩形状である。図6を参照すると、インサート38は、フランジを有するとともに、図4,5のインサート38に比べて長くなっている。
【0019】
図7は、他の断面形状を有するヘッダ14のさらに別の実施例を図示する。図6までに図示したヘッダ14は、溝32,34によって画定されたトラック36を用いていたが、本実施例では、トラック36は、突起部、つまりレール48,50によって画定される。レール48,50は、壁部28,30にそれぞれ設けられる。レール48,50は、トラック36を画定するように互いに機能する。溝ではなくレールによってトラック36が画定されるため、対応するインサート38は、トラック36に係合する異なる形状を有する。本実施例では、図8に示すように、インサート38Dは、図6までに示したインサート38よりも幅が広くなっている。インサート38Dは、トラック36と係合するように、突起部、つまりレール48,50をそれぞれ受けるチャネル52,54を有する。この特別な実施例では、インサート38およびヘッダハウジング24は、より大きな表面積に亘って係合する。このようにより大きな表面積における係合により、より大きな範囲で溶接またはろう付けの接触が可能となり、インサート38によってヘッダ14にもたされる支持が向上する。図7は、矩形上の突起部(壁部)およびチャネル(インサート)を図示しているが、台形(鳩尾形)など他の突起形状およびチャネル形状であってもよい。
【0020】
本発明は、さらに、前述のマルチチャンバヘッダ14を形成する方法を提供する。この方法は、第1および第2のマニホールドチャンバおよびトラックを有するヘッダハウジングを押出成形するステップと、トラックに係合するようにヘッダハウジングにインサートを配置するステップと、インサートをヘッダハウジングに溶接またはろう付けするステップと、を含む。ヘッダハウジング24は、単一の材料片から押出成形され、図2に示す壁部28,30および溝32,34を備えたヘッダハウジング24が形成される。別の実施例として、溝32,34を含まずにヘッダハウジング24を押出成形し、その後、壁部28,30に溝32,34を機械加工してもよい。また、図7に示す壁部28,30およびレール48,50を備えたヘッダハウジング24をもたらすように、単一の材料片からヘッダハウジング24を押出成形してもよい。ヘッダハウジング24は、押出成形後、互いに直接的に流体連通する2つまたはそれ以上のチャンバ26を有する。押出成形に適切な材料には、アルミニウム、および銅やチタンなどの他の押出可能な材料が含まれる。ヘッダハウジング24の寸法は、所望とする熱交換器の大きさ、および熱交換器に用いられる作動流体の圧力に応じて異なるが、通常、チャンバの幅は、約1.3センチメートル(0.5インチ)から約7.6センチメートル(3インチ)であり、長さは、約0.6メートル(2フィート)から約0.9メートル(3フィート)とすることができ、また上記幅や長さより大きくてもよい。ヘッダハウジング24に配置されるインサート38は、チャンバ間の望ましくない漏出を防止するために、ヘッダハウジング24と同じ長さを有するように形成される。
【0021】
ヘッダハウジング24および(ヘッダハウジング24に挿入される)インサート38が形成されると、インサート38は、ヘッダハウジング24の溝32,34あるいはレール48,50によって形成されるトラック36内に配置される。通常、トラック36内の所定の位置までインサート38をスライドさせて配置する。トラック36が溝によって画定される実施例では、インサート38の第1の端部40が溝32に受容され、第2の端部42が溝34に受容される。インサート38は、配置されるとヘッダハウジング24に溶接またはろう付けされる。溶接またはろう付けによって、第1の端部40と、溝32またはレール48との間のギャップ、および第2の端部42と、溝34またはレール50との間のギャップが満たされる。
【0022】
本発明は、容易かつ安価に製造可能であり、かつ望ましい強固な構造的支持を付与するマルチチャンバ熱交換器ヘッダを提供する。ヘッダは、単一の材料片から押出成形可能なハウジングと、ヘッダハウジングのトラックまたはレールに配置される1つまたは複数のインサートと、を含む。インサートは、マルチチャンバヘッダに構造的支持を付与するとともに、ヘッダチャンバ間の流れを許容または遮断することによってマルチパネル熱交換器システムに流路をもたらす。
【0023】
本発明について、例示的な実施例を参照して説明してきたが、本発明は、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、構成要素の代替を用いてもよく、種々の変更を行ってもよいことを理解されるであろう。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明で教示する特定の状況や材料に適合するように種々の変更を行ってもよいことを理解されるであろう。したがって、本発明は、前述の特定の実施例に限定されず、以下の特許請求の範囲の範囲内に存する全ての実施例を含む。
【符号の説明】
【0024】
10 マルチパネル熱交換器システム
12A,12B,12C 熱交換器パネル
14,16 マルチチャンバヘッダ
18 入口
20 出口
22 熱交換器チャネル
24 ヘッダハウジング
38 インサート
26A,26B,26C マニホールドチャンバ
28,30 壁部
32,34 溝
36 トラック
38 インサート
38A ソリッドインサート
38B,38C 有孔インサート
40 第1の端部
42 第2の端部
44 通路
48,50 レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器のヘッダであって、
第1の壁部と、該第1の壁部と実質的に対向する第2の壁部と、を有するヘッダハウジングを備え、前記第1および第2の壁部は、トラックを画定し、
前記ヘッダは、さらに、前記トラックに係合するように配設されるインサートを備え、
前記インサートによって、前記ヘッダが第1のマニホールドチャンバと第2のマニホールドチャンバとに分割されることを特徴とする熱交換器ヘッダ。
【請求項2】
前記トラックが、第1の壁部に第1の溝を有し、第2の壁部に第2の溝を有することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器ヘッダ。
【請求項3】
前記インサートが、
第1の溝内に配置される第1の端部と、
第2の溝内に配置される第2の端部と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の熱交換器ヘッダ。
【請求項4】
前記トラックは、第1の壁部に第1の突起部を有し、第2の壁部に第2の突起部を有することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器ヘッダ。
【請求項5】
前記インサートが、
第1の突起部を受ける第1のチャネルと、
第2の突起部を受ける第2のチャネルと、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の熱交換器ヘッダ。
【請求項6】
前記インサートがヘッダハウジングに溶接あるいはろう付けされることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器ヘッダ。
【請求項7】
前記インサートによって、前記第1および第2のマニホールドチャンバ間に亘る流体の流れが防止されることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器ヘッダ。
【請求項8】
前記インサートは、前記第1および第2のマニホールドチャンバ間の流体の流れを許容する通路をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器ヘッダ。
【請求項9】
前記ヘッダハウジングは、一体的に押出加工されることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器ヘッダ。
【請求項10】
第1の壁部は、前記第1および第2のマニホールドチャンバ間に延び、第1のマニホールドチャンバの第1の部分と、第2のマニホールドチャンバの第2の部分とを隔てる長手方向のリブをさらに備え、
前記長手方向のリブおよび前記第2の壁部によってトラックが画定されることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器ヘッダ。
【請求項11】
前記第1の壁部が、湾曲部分を有することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器ヘッダ。
【請求項12】
前記インサートがフランジを備えた端部を有することを特徴とする請求項3に記載の熱交換器ヘッダ。
【請求項13】
前記第1および第2の壁部により、第2のトラックが画定され、
前記ヘッダは、前記第2のトラックに係合するように配置される第2のインサートをさらに備え、このインサートによって、前記ヘッダが第2のマニホールドチャンバと第3のマニホールドチャンバとに分割されることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器ヘッダ。
【請求項14】
第1の複数の流体チャネルと、
第2の複数の流体チャネルと、
ヘッダと、
を備え、
前記ヘッダは、
前記第1の複数の流体チャネルに流体的に接続される第1のマニホールドチャンバと、
前記第2の複数の流体チャネルに流体的に接続される第2のマニホールドチャンバと、
前記第1および第2のマニホールドチャンバを隔てるセパレータプレートと、
を備えることを特徴とする熱交換器。
【請求項15】
ヘッダは、第1の壁部と、該第1の壁部と実質的に対向する第2の壁部と、をさらに備え、
前記第1および第2の壁部によってトラックが画定され、このトラックに係合するように前記セパレータプレートが配置されることを特徴とする請求項14に記載の熱交換器。
【請求項16】
前記セパレータプレートがヘッダに溶接あるいはろう付けされることを特徴とする請求項14に記載の熱交換器。
【請求項17】
前記セパレータプレートによって、前記第1および第2のマニホールドチャンバ間に亘る流体の流れが防止されることを特徴とする請求項14に記載の熱交換器。
【請求項18】
前記セパレータプレートは、前記第1および第2のマニホールドチャンバ間の流体の流れを許容する通路をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の熱交換器。
【請求項19】
熱交換器のヘッダを形成する方法であって、
第1のマニホールドチャンバと、第2のマニホールドチャンバと、トラックと、を有するヘッダハウジングを単一の材料片から押出成形するステップであって、前記第1および第2のマニホールドチャンバは、押出成形後に流体連通し、前記トラックは前記第1および第2のマニホールドチャンバ間に位置する、押出成形ステップと、
熱交換器ヘッダに流体を導くように、前記トラックに係合させて前記ヘッダハウジングにインサートを配置するステップと、
前記ヘッダハウジングに前記インサートを溶接またはろう付けするステップと、
を含むことを特徴とする熱交換器ヘッダ形成方法。
【請求項20】
押出成形されたヘッダハウジングは、互いに対向する第1および第2の溝をさらに備え、
前記第1および第2の溝は、ヘッダハウジングの対向する壁部に配設され、前記第1および第2の溝によって、ヘッダハウジングが第1および第2のマニホールドチャンバに分割されることを特徴とする請求項19に記載の熱交換器ヘッダ形成方法。
【請求項21】
前記インサートが前記第1および第2の溝内に配置されることを特徴とする請求項20に記載の熱交換器ヘッダ形成方法。
【請求項22】
ヘッダハウジングの第1の壁部に第1の溝を機械加工するステップと、
ヘッダハウジングの前記第1の壁部に実質的に対向する第2の壁部に、前記第1の溝に実質的に対向する第2の溝を機械加工するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の熱交換器ヘッダ形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−190561(P2010−190561A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284630(P2009−284630)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(500107762)ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション (165)
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
【住所又は居所原語表記】One Hamilton Road, Windsor Locks, CT 06096−1010, U.S.A.