説明

熱交換装置

【課題】一対の液-ガス熱交換器を室内外を隔てる仕切り壁を介して配置し、設置をコンパクトで施工費を少なくして、かつ、設置工事を容易にする熱交換装置の構造を提供することを目的とする。
【解決手段】一対の液-ガス熱交換器を室内外を仕切る仕切り壁を介して配置し、一方の液-ガス熱交換器の外部流体に室外の外気を通流させ、他方の液-ガス熱交換器の外部流体に内気を通流させ、両方の液-ガス熱交換器の内部流体(液体)を内部流体を接続する配管を介して循環させて外気と内気の熱交換を行う熱交換装置において、室外の外気を通流させる液-ガス熱交換器を有する外気ユニットと室内の内気を通流させる液-ガス熱交換器を有する内気ユニットとを前記仕切り壁を中心にして左右対称に配置し一体化した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、サーバ室等の空調システムに使用する外気と内気との熱交換を行う熱交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、データセンターや企業のサーバ室等には数多くのサーバが設置されている。このようなサーバ室はサーバの排気温度で室温が上昇し、高温の熱によって該サーバが暴走、あるいは、故障したりすることがある。このため、サーバ室には部屋全体の温度を一定に維持しておく空調システムが採用されている。
【0003】
この従来の空調システムでは、サーバ室の室温の安定を図るために、空調装置からサーバ室内に供給された空調空気がサーバラック内のサーバに接触しながら流れて該サーバを冷却する。そして、従来の空調システムは、逆にサーバの熱で温められた空気は該サーバ室から上記空調装置内に戻され、該空調装置で冷却され、サーバ室内に再び供給される循環方式が取られている。
【0004】
図7は、上記従来の空調システムの説明図を示す。
外気29は、送風機24から吸入され、熱交換器21を通って室外に排出される。一方、内気30はエアハンドリングユニット26を通って室内を循環する。この時、発熱体(サーバラック)28で熱せられた内気30は送風機22で熱交換器21に吸入され、外気と熱交換されて冷却され、該冷却された内気がエアハンドリングユニット26によってさらに冷却され、床下から室内に環流され、発熱体の冷却、すなわち、室内の冷却が行われる。なお、この熱交換器21によれば、外気を内気と遮断して熱交換を行うので、外気に含まれる外気湿度や塵埃、腐食性ガスを取り入れないため、サーバ等の電子機器の信頼性が維持される。
【0005】
また、冬期等、外気温がサーバ室からのリターン空気の温度より低いときに外気と熱交換を行って外気湿度に影響を受けることなくリターン空気の冷却を行い、また、サーバ室で発生する熱を有効利用することを可能にする空調システムが提案されている(特許文献1参照)。該システムは、簡単な構造で、かつ、省エネルギー効果の高い空調システムを提供するために、多数のサーバが設置されたサーバ収納空間内の空調と該サーバ収納空間とは異なる一般室内の空調を同時に行うサーバ室等の空調システムに関する。該システムは、顕熱の交換を行う顕熱交換器と、前記顕熱交換器よりも下流側にサーバ室用空調機を有し、前記サーバ収納空間内の空気を前記顕熱交換器を介して取り込む。また、前記サーバ室用空調機を通して該サーバ収納空間内に送風するサーバ室用空調ラインと、一般室用空調機を有している。
【0006】
そして、該システムは、前記一般室内の空気を前記一般室用空調機を通して取り込み、かつ、該一般室内に送風する一般室用空調ラインと前記顕熱交換器を介して外気を取り込む。また、前記一般室用空調機に供給する外気供給ラインと、前記サーバ収納空間内から前記顕熱交換器側に戻るリターン空気を該顕熱交換器を通さずにバイパスさせて前記サーバ室用空調機に戻すことが可能なサーバ室用空調ライン切り換え手段を有している。さらに、前記取り込み外気を上記顕熱交換器を通さずにバイパスさせて前記一般室用空調機に供給することが可能な外気供給ライン切り換え手段を備えている。そして、前記外気温が前記サーバ収納空間内からのリターン空気の温度より高いときに、前記空調ライン切り換え手段と前記外気供給ライン切り換え手段をバイパスモード側に切り換えるようにしたものである。
【0007】
図8に、上記従来例の概要を示す。サーバ室用空調ラインは顕熱交換器105よりも下流側に前記サーバ室用空調機103を有している。該サーバ室用空調機103は、該サーバ室用空調機103の吹出口103aに前記吹き出しダクト117の給気口が接続されており、該サーバ室用空調機103内で調整された空調空気を該吹き出しダクト117の吹出口117aから床下空間109内に吹き出すようにしてある。一方、該サーバ室用空調機3の吸込口103b側は、還流ダクト119を介して前記顕熱交換器105の吹出口105bに接続されている。なお、還流ダクト119とリターンダクト118との間には、サーバ室102内からリターンダクト118内に戻された空気(以下、「リターン空気」という)を、前記顕熱交換器105をバイパスしてサーバ室用空調機103に直接送るのを可能にするバイパスダクト120が設けられている。
【0008】
また、前記リターンダクト118の途中には、サーバ室102内からのリターン空気が前記顕熱交換器105に送られる空気量を調整可能なモータダンパ121と該リターン空気の温度を検出する温度センサ127が設けられている。前記バイパスダクト120の途中には、前記顕熱交換器105を通らないでリターンダクト118から該バイパスダクト120を通って前記サーバ室用空調機103内に直接戻されるリターン空気の流量を調整可能なモータダンパ122が設けられている。なお、サーバ室用空調機103における吸込口103bの直前には、該サーバ室用空調機103内に送られるリターン空気の温度を検出する温度センサ137が設けられている。
【0009】
前記一般室用空調機104の給気口104aには、一般室用空調ライン123におけるリターンダクト124の排気口が接続され、吹出口104bには同じく一般室空調ライン123における吹き出しダクトの吸気口が接続されている。また、一般室用空調機104の給気口104cには、外気供給ライン126を構成している第1外気導入ダクト126a及び第2外気導入ダクト126bが接続されている。前記外気供給ライン126の吸込口側には外気温を検出する温度センサ128が設けられ、吹出口側には一般室用空調機104内に送られる外気温度を検出する温度センサ138が設けられている。前記第1外気導入ダクト126aは顕熱交換器105内を通って前記一般室用空調機104の給気口104aに通じ、前記第2外気導入ダクト126bは顕熱交換器105内を通らず、前記一般室用空調機104の給気口104aに直接通じている。前記第1外気導入ダクト126aの途中には、前記顕熱交換器105内に送られる外気量を調整可能なモータダンパ139が設けられている。前記第2外気導入ダクト126bの途中には、前記顕熱交換器105を通らずに、前記一般室用空調機104に直接送られる外気量を調整可能なモータダンパ140が設けられている。
【0010】
なお、図中、符号141は一般室用空調ライン123のリターンダクト124内を通るリターン空気の温度を検出する温度センサである。また、符号135は前記パイパスダクト120、及びモータダンパ121並びにモータダンパ122により構成され、サーバ収納空間106内から前記顕熱交換器105側に戻るリターン空気を該顕熱交換器105を通さずにバイパスさせて前記サーバ室用空調機に戻すことが可能なサーバ室用空調ライン切り換え手段である。符号136は前記第1外気導入ダクト126a、前記第2外気導入ダクト126b及びモータダンパ139並びにモータダンパ140により構成され、取り込み外気を顕熱交換器105を通さずにバイパスさせて前記一般室用空調機104に供給すことが可能な外気供給ライン切り換え手段である。
【0011】
而して、前記サーバ室102は、サーバ室用空調機103が駆動されると、該サーバ室用空調機103からの空調空気が吹き出しダクト117を介して床下空間109内に吹き込まれる。該床下空間109に吹き込まれた空調空気は、床板の下面に沿って流れ、更に排出口114,114…からサーバ収納空間106内に吹き出されることになる。該排出口114,114…からサーバ収納空間106内に吹き出された空調空気は、ラック113,113…に達すると、該ラック113,113…に備えられた図示せぬ換気ファンによって該ラック113,113…内に吸い込まれ、該ラック113,113…内におけるサーバの冷却に供される。また、該サーバを冷却しながら昇温した空気はラック113,113…より排出され、上昇して天板111の排気口115,115…を通って天井空間112内を流れて吸込口118aに集められ、該吸込口118aよりリターンダクト118内に吸い込まれてリターン空気として排出され、サーバ室用空調機103に戻されることになる。サーバ室用空調機103に戻されたリターン空気は、該サーバ室用空調機103内で再び調整され、サーバ室102の床下空間109内に向かって吹き出される。これにより、循環形式でサーバ室102内を空調することができる。
【0012】
一方、図示しない一般室は、一般室用空調機104が駆動されると、該一般室用空調機104からの空調空気が吹き出しダクト124を通って一般室内に吹き込まれる。また、リターンダクト123を通って一般室内の空気が一般室用空調機104に戻され、空調された後、再び吹き出しダクト124を通って一般室内に戻される。この循環により、一般室内は空調される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010−144949号公報
【特許文献2】特許第3354882号公報
【特許文献3】特許第3352400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、室外の外気を通流させる液-ガス熱交換器を有する外気ユニットと、室内の内気を通流させる液-ガス熱交換器を有する内気ユニットとを、空内外の仕切り壁を中心にして左右対称に配置して一体化した熱交換装置の構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、この発明の内気・外気間の熱交換装置は、内部流体が液体で外部流体がガスである一対の液-ガス熱交換器を室内外を仕切る仕切り壁を介して配置し、一方の液-ガス熱交換器の外部流体に室外の外気を通流させ、他方の液-ガス熱交換器の外部流体に室内の内気を通流させ、両方の液-ガス熱交換器間を接続する配管を介して前記内部流体を循環させて外気と内気の熱交換を行う熱交換装置において、室外の外気を通流させる液-ガス熱交換器を有する外気ユニットと室内の内気を通流させる液-ガス熱交換器を有する内気ユニットとを前記仕切り壁を中心にして左右対称に設置し、両者を一体化して配置したことを特徴とする。
【0016】
また、この発明は、前記外気ユニット及び内気ユニットの筐体の骨格を前記仕切り壁に向かって左右同形に形成し、前記仕切り壁に穿かれた複数の貫通孔を介して該複数の貫通孔の位置で前記外気ユニット及び内気ユニットの骨格構造をボルト・ナットで固定して両者を一体化したことを特徴とする。
【0017】
また、この発明は、前記室内が内気環流用の床下空間と天井空間を有するサーバ収納室であり、前記外気ユニット及び内気ユニットが上記サーバ収納室の底面上及びその室外外部延長面上に設置され、前記外気ユニット及び内気ユニットは上記室内の床面上及びその室外外部延長面上に隔壁を有し該隔壁に設けられた流通孔に外気及び内気をそれぞれ液-ガス熱交換器に通流させるための送風機を有することを特徴とする。
【0018】
また、この発明は、前記室内が内気環流用の床下空間と天井空間を有するサーバ収納室であり、前記外気ユニット及び内気ユニットが上記サーバ収納室の底面上及びその室外外部延長面上に据え置き型に設置され、前記外気ユニットは上記室内の床面上及びその室外外部延長面上に第1の隔壁を有し該隔壁に設けられた流通孔に外気を液-ガス熱交換器に通流させるための第1の送風機を有すると共に、前記内気ユニットは該内気ユニットの液-ガス熱交換器より上部に第2の隔壁を有し該第2の隔壁に設けられた流通孔に内気を下方に設けられた液-ガス熱交換器に通流させるための送風機を有することを特徴とする。
【0019】
また、この発明は、前記一対の液-ガス熱交換器が、前記外気ユニット及び内気ユニット筐体の上部に設けられ、該筐体下部にはメンテナンス用の作業空間を設けたことを特徴とする。
【0020】
また、この発明は、前記外気ユニット及び内気ユニットは、外気及び内気をそれぞれ液-ガス熱交換器に通流させるための送風機を下部に有することを特徴とする。
また、この発明は、前記一対の液-ガス熱交換器が前記外気ユニット及び内気ユニット筐体の上部に設けられ、該一対の液-ガス熱交換器と前記送風機との間にメンテナンス用の作業空間を設けたことを特徴とする。
【0021】
また、この発明は、前記外気ユニット及び内気ユニットが有する送風機は両方向に通流可能かつ前記仕切り壁に向かって左右同形に配置し、前記外気ユニットは外気が下部から上部へ向かう方向に送風機で通流し、前記内気ユニットは内気が上部から下部へ向かう方向に送風機で通流することを特徴とする。
【0022】
また、この発明は、前記外気ユニット及び内気ユニットは下部に隔壁を有し、該隔壁に設けられた流通孔から外気及び内気を通流させる位置に送風機を配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の熱交換装置によれば、室外の外気を通流させる液-ガス熱交換器を有する外気ユニットと、室内の内気を通流させる液-ガス熱交換器を有する内気ユニットとを、室内外の仕切り壁を中心にして左右対称に配置して一体化できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1に、本発明の熱交換装置を含む空調システムの全体構造図を示す。
【図2】図2は、本発明の熱交換装置の拡大図を示す。
【図3】図3は、本発明の熱交換装置の他の実施例を示す。
【図4】図4は、本発明の熱交換装置のさらに他の実施例を示す。
【図5】図5は、本発明の熱交換装置のさらに他の実施例を示す。
【図6】図6は、外気ユニット、内気ユニットの外観図を示す。
【図7】図7は、従来の空調システムの説明図を示す。
【図8】図8は、他の従来の空調システムの説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明の熱交換装置を含む空調システムの全体構造図を示す。図2には、本発明の熱交換装置の拡大図を示す。
【0026】
図2において、外気ユニット2および内気ユニット3は、それぞれその筐体の上部および下部に通流孔を有する。液―ガス熱交換器31は、外気ユニット2の上部にある通流孔付近に設置される。液―ガス熱交換器32は、内気ユニット3の上部にある通流孔付近に設置される。液―ガス熱交換器31および液―ガス熱交換器32とも、筐体から空気が漏れないように通流孔に設置されることが好ましい。液―ガス熱交換器を、筐体から空気が漏れないように通流孔に設置すると、暖気と冷気が混ざらないので、効率よく室内を冷やすことができる。
【0027】
液―ガス熱交換器31と液―ガス熱交換器32は、配管21,22で結合されている。一対の液―ガス熱交換器31,32間は、循環ポンプ4により配管内を液体23が通流し、該通流により液―ガス熱交換を行う。
【0028】
図1,2において、外気ユニット2と内気ユニット3は、仕切り壁20を介して相対して設置される。該仕切り壁20は、この実施例においては、室内外の壁となっている。
図2において、1方向へ送風する送風機6は、それぞれ外気ユニット2、内気ユニット3内の下部に設けた隔壁36に空けられた流通孔38,39に空気が漏れないように取り付けられる。送風機6を、筐体から空気が漏れないように流通孔38,39に設置すると、暖気と冷気が混ざらないので、効率よく室内を冷やすことができる。
【0029】
隔壁36は、外気ユニット2および内気ユニット3の筐体の下部にある通流孔よりも上に位置し、液―ガス熱交換器31と液―ガス熱交換器32よりも下に位置する。図2において、外気は、図中において風の流れ33で示すように、外気ユニット2の下部にある通流孔から吸い込まれ、隔壁39の下から上方へ送風され、液―ガス熱交換器31から筐体外部へ排出される。内気は、図中において風の流れ34で示すように、内気ユニット3の下部にある通流孔から吸い込まれ、隔壁39の下から上方へ送風され、液―ガス熱交換器32から外部へ排出される。37は、外気ユニット2および内気ユニット3の底面である。
【0030】
図7の従来例と同様に、図1において、外気12は、外気ユニット2側にある1方向へ送風する送風機6で吸入され、外気ユニット2側の液―ガス熱交換器1を通って室外14に排出される。一方、内気13は二重天井として構成される天井裏から内気ユニット3へ導かれ、内気ユニット3から排出された内気13はエアハンドリングユニット9を通り、二重床として構成される床下を通って室内を循環する。この時、発熱体(サーバラック)11で熱せられた内気13は、内気ユニット3側の下部に位置する1方向へ送風する送風機6で吸入され、内気ユニット3側の液―ガス熱交換器1を通る。この内気13は、外気ユニット2と内気ユニット3から構成される一対の液―ガス熱交換器1で外気と熱交換されて冷却され、該冷却された内気がエアハンドリングユニット9によってさらに冷却される。
【0031】
図1において、エアハンドリングユニット9は、配管24,25を介して冷凍機7に結合される。該配管24には膨張弁8が設けられており、該膨張弁8を用いて配管内を通流する冷媒の作用により室内の空気(内気)が冷却されている。
【0032】
そして、内気13は、床下から室内に環流され、発熱体の冷却、すなわち、室内の冷却が行われる。なお、この一対の液―ガス熱交換器1によれば、外気を内気と遮断して熱交換を行うので、外気に含まれる外気湿度や塵埃、腐食性ガスを取り入れないため、サーバ等の電子機器の信頼性が維持される。
【0033】
本発明の特徴とするところは、室外の外気を通流させる液-ガス熱交換器を有する外気ユニットと、室内の内気を通流させる液-ガス熱交換器を有する内気ユニットとを、室内外の仕切り壁を中心にして左右対称に配置して一体化した点にある。外気ユニットと内気ユニットは、ユニット筐体の仕切り壁への取付面積をほぼ同じ大きさの形状にすることが好ましい。
【0034】
このような構造を採用すると、熱交換装置の設置をコンパクトに実現できる。たとえば、図7や図8の従来システムと比較して、ダクト部分を減らすことができる。この結果、ダクト抵抗による圧力損失を低減することが可能になる。この場合、前記外気ユニット2及び内気ユニット3の筐体の骨格を壁に向かって左右同形に形成し、前記壁に穿かれた複数の貫通孔を介して該複数の貫通孔の位置で前記外気ユニット2及び内気ユニット3をボルト・ナットで固定する構造が好ましい。
【0035】
また、このような構造を採用すると、上記仕切り壁に複数の貫通孔を空けて、内気ユニット、外気ユニットを室内外から位置合わせをして、ボルト・ナット等で固定することにより、設置工事が楽にでき、面倒な配管作業等の手間が省ける。また、内気ユニット、外気ユニットの筐体を共通化することで、ほぼ同一構造の骨格の筐体を用いることができ、内気・外気間の熱交換装置を製造する製造コストを軽減できる。あるいは、液-ガス熱交換器本体も共通化することで、さらに製造コストを低減されるメリットがある。
【0036】
前記室内17は内気環流用の床下空間と天井空間を有するサーバ収納室であり、外気ユニット2及び内気ユニット3が上記サーバ収納室の底面上及びその外部延長面上に設置される。なお、図1においては、作図上外気ユニット2及び内気ユニット3は宙に浮いた形で描画されているが、実際は、図2に示す外気ユニット2及び内気ユニット3の底面37は、図1のサーバ収納室の室内底面15と同じ平面上に位置することが望ましい。また、外気ユニット2及び内気ユニット3の隔壁36(図2)は、図1の室内床面16と同じ平面上に位置することが好ましい。なお、この場合、該外気ユニット2及び内気ユニット3の隔壁36に、外気及び内気をそれぞれ液-ガス熱交換器に通流させるための送風機が設けられている構造が設計および施工において便利である。
【0037】
このような構造を採用すると、室内、及び室外の床面を共通化できるので、設置工事が楽になる効果がある。さらに、外気ユニット及び内気ユニットは、上記共通の底面上に据え置き型で設置されるので、前記仕切り壁20の両方から位置合わせをする場合、両ユニットのボルト・ナットの固定位置(高さ等)が容易に設定できるメリットがある。また、サーバ収納室床下への環流空気の送風構造が簡便になる。
【0038】
このとき、液―ガス熱交換器1を各ユニットの上部に収納し、送風機6を各ユニットの下部に収納しているので、外気ユニットおよび内気ユニットの中央部あたり、たとえば中央部の下部に、メンテナンス用に作業員が作業する空間を確保することが可能になる。
【0039】
図3は、図1の他の実施例である。図3において、外気ユニットの送風機51は、隔壁36を介して下から上へ風を送る向きに取り付けられている。一方、送風機53は、内気ユニット52内の隔壁36の下からユニット52の外方に風を送る向きに取り付けられている。内気ユニット52内の隔壁36はなくてもよい。送風機53は、内気ユニット52から内気を排出する流通孔に空気が漏れないように取り付けられる。図3が図1と異なる点は、内気ユニット52の下部から内気を排出する方向に、1方向へ送風する送風機53を設けることで、内気ユニット52内の空気の流路が上向きから下向きになっていることである。この時、発熱体(サーバラック)11で熱せられた内気は、内気ユニット52の下部に位置する1方向へ送風する送風機53が排出することで、内気ユニット52の液―ガス熱交換器1を通る。このようにすると、内気ユニット52内での空気の通流が、発熱体で暖められた暖かい空気が上方にあり、液―ガス熱交換器で冷却された空気が下方に流れるので、自然対流に逆らうことなく通流が自然現象に沿ったものになる。
【0040】
図4も同様に、図1の他の実施例である。図4において、外気ユニットの送風機55は、外気ユニットの下部にある隔壁36を介して、下から上へ風を送る向きに取り付けられている。一方、内気ユニットの送風機54は、隔壁58の上から内気ユニット56の下方に風を送る向きに取り付けられている。図1と異なる点は、隔壁58は内気ユニットの液−ガス熱交換器の上部に設け、内気ユニット52の上部から内気を吸気する方向に、1方向へ送風する送風機54を設けることで、内気ユニット56内の空気の流路が上向きから下向きになっていることである。この時、発熱体(サーバラック)11で熱せられた内気は、内気ユニット56の上部に位置する1方向へ送風する送風機54で吸入され、内気ユニット56の液―ガス熱交換器1を通る。内気ユニット52の上部から吸気した内気を、内気ユニット56の液―ガス熱交換器1へ送るため、内気ユニット56は内気ユニットの液-ガス熱交換器より上部に流通孔を有する隔壁38を有する。内気は、送風機54の働きで隔壁38に設けられた流通孔を下向きに通流し、液―ガス熱交換器1を通って内気ユニットの外部へ排出される。このようにすると、内気ユニット56内での空気の通流が発熱体で暖められた暖かい空気が上方にあり、液―ガス熱交換器で冷却された空気が下方に流れるので、自然対流に逆らうことなく通流が自然現象に沿ったものになる。
【0041】
図5も、図1の他の実施例である。図1と異なる点は、送風機61として両方向に通流の方法を変えられるものを用いて、外気ユニットの送風機61は上向きに流路を形成し、内気ユニットの送風機は下向きに流路を形成する点である。
【0042】
送風機にこのような両方向に通流するタイプを用いると、必要に応じて風向を下向きから上向きにした図1と同様な使い方ができる利点がある。送風機61として両方向に通流できるものを用いれば、外気ユニットの筐体と内気ユニットの筐体とをまったく同じ構造のものとでき、製造コストを軽減できるので好ましい。
【0043】
図6は、図1、図3、図4及び図5に共通の外気ユニット及び内気ユニットの全体構造の外観図を示す。いずれの構成においても、液-ガス熱交換装置1をユニット筐体の上部に設け、点検口71を下の方に設けるので、ユニット内に故障修理をするための十分な空間を確保できる。たとえば、機器のメンテナンスの時、メンテナンスする者が該点検口71から首を突っ込めば、液-ガス熱交換器1や送風機6の故障修理をするための空間としてユニット内に十分なスペースを確保できるので便利である。
【0044】
特に図5のように構成すると、本発明は顕著な効果を発揮する。
外気ユニットおよび内気ユニットは、それぞれその筐体の上部および下部に通流孔を有する。液―ガス熱交換器は、外気ユニットおよび内気ユニットの上部にある通流孔付近に設置される。外気ユニットおよび内気ユニットにある一対の液―ガス熱交換器は、筐体から空気が漏れないように通流孔に設置されることが好ましい。液―ガス熱交換器を、筐体から空気が漏れないように通流孔に設置すると、暖気と冷気が混ざらないので、効率よく室内を冷やすことができる。
【0045】
一対の液―ガス熱交換器は、配管で接続されている。一対の液―ガス熱交換器間は、循環ポンプにより配管内を液体が通流し、該通流により液―ガス熱交換を行う。外気ユニットと内気ユニットは、仕切り壁20を介して相対して設置される。該仕切り壁20は、この実施例においては、室内外の壁となっている。
【0046】
両方向へ送風可能な送風機61は、それぞれ外気ユニット、内気ユニット内の下部に設けた隔壁36に空けられた流通孔に空気が漏れないように取り付けられる。送風機61を、筐体から空気が漏れないように通流孔に設置すると、暖気と冷気が混ざらないので、効率よく室内を冷やすことができる。隔壁は、外気ユニットおよび内気ユニットの筐体の下部にある通流孔よりも上に位置し、一対の液―ガス熱交換器よりも下に位置する。もしくは、送風機61をそれぞれの筐体の縦方向断面積とほぼ同じ面積を有するものとして構成すれば、外気ユニットおよび内気ユニットは隔壁が不要となる。
【0047】
外気ユニットの送風機61は、外気が外気ユニット内部を上向きに流れるように動作する。内気ユニットの送風機61は、内気が内気ユニット内部を下向きに流れるように動作する。送風機にこのような両方向に通流するタイプを用いると、外気ユニットの筐体と内気ユニットの筐体とをまったく同じ構造のものとでき、製造コストを軽減できるので好ましい。
【0048】
外気ユニットと内気ユニットは、ユニット筐体の仕切り壁への取付面積をほぼ同じ大きさの形状にすることが好ましい。このような構造を採用すると、熱交換装置の設置をコンパクトに実現できる。たとえば、図7や図8の従来システムと比較して、ダクト部分を減らすことができ、ダクト抵抗による圧力損失を低減することが可能になる。
【0049】
前記外気ユニット及び内気ユニットの筐体の骨格を壁に向かって左右同形に形成し、前記壁に穿かれた複数の貫通孔を介して該複数の貫通孔の位置で前記外気ユニット2及び内気ユニット3をボルト・ナットで固定する構造が好ましい。このような構造を採用すると、上記仕切り壁に複数の貫通孔を空けて、内気ユニット、外気ユニットを室内外から位置合わせをして、ボルト・ナット等で固定することにより、設置工事が楽にでき、面倒な配管作業等の手間が省ける。また、内気ユニット、外気ユニットの筐体を共通化することで、ほぼ同一構造の骨格の筐体を用いることができ、内気・外気間の熱交換装置を製造する製造コストを軽減できる。あるいは、液-ガス熱交換器本体も共通化することで、さらに製造コストを低減されるメリットがある。
【0050】
図5においては、作図上外気ユニットおよび内気ユニットは宙に浮いた形で描画されているが、実際は、図2に示す外気ユニット2及び内気ユニット3の底面37は、図5のサーバ収納室の室内底面15と同じ平面上に位置することが望ましい。このような構造を採用すると、室内、及び室外の床面を共通化できるので、設置工事が楽になる効果がある。さらに、外気ユニット及び内気ユニットは、上記共通の底面上に据え置き型で設置されるので、前記仕切り壁20の両方から位置合わせをする場合、両ユニットのボルト・ナットの固定位置(高さ等)が容易に設定できるメリットがある。
【0051】
外気ユニットと内気ユニットは、液―ガス熱交換器を、各ユニットの上部にある通流孔付近に設置する。外気ユニットと内気ユニットは、送風機61を、各ユニットの下部にある通流孔より上に設置する。よって、外気ユニットおよび内気ユニットの中央部あたり、たとえば中央部の下部に、メンテナンス用に作業員が作業する空間を確保することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
上記のように、本発明の熱交換装置は、内気・外気間の熱交換装置をほぼ同一構造の骨格の筐体を用いることにより、製造コストを軽減できる。また、該熱交換装置の設置をコンパクトにし、壁に穿かれた複数の貫通孔を介して該複数の貫通孔の位置で前記外気ユニット及び内気ユニットをボルト・ナットで固定したため、施工費を少なくして、かつ、設置工事を容易にすることができるので、産業上の利用性が高い。
【符号の説明】
【0053】
1 液-ガス熱交換器
4 循環ポンプ
6 送風機
7 冷凍機
9 エアハンドリングユニット
11 発熱体(サーバラック)
21 熱交換器
22 送風機
24 送風機
25 冷凍機
26 エアハンドリングユニット
28 発熱体(サーバラック)
31 熱交換器
35 循環ポンプ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部流体が液体で外部流体がガスである一対の液-ガス熱交換器を室内外を仕切る仕切り壁を介して配置し、一方の液-ガス熱交換器の外部流体に室外の外気を通流させ、他方の液-ガス熱交換器の外部流体に室内の内気を通流させ、両方の液-ガス熱交換器間を接続する配管を介して前記内部流体を循環させて外気と内気の熱交換を行う熱交換装置において、
室外の外気を通流させる液-ガス熱交換器を有する外気ユニットと室内の内気を通流させる液-ガス熱交換器を有する内気ユニットとを前記仕切り壁を中心にして左右対称に設置し、両者を一体化して配置したことを特徴とする内気・外気間の熱交換装置。
【請求項2】
前記外気ユニット及び内気ユニットの筐体の骨格を前記仕切り壁に向かって左右同形に形成し、前記仕切り壁に穿かれた複数の貫通孔を介して該複数の貫通孔の位置で前記外気ユニット及び内気ユニットの骨格構造をボルト・ナットで固定して両者を一体化したことを特徴とする請求項1記載の内気・外気間の熱交換装置。
【請求項3】
前記室内が内気環流用の床下空間と天井空間を有するサーバ収納室であり、前記外気ユニット及び内気ユニットが上記サーバ収納室の底面上及びその室外外部延長面上に設置され、前記外気ユニット及び内気ユニットは上記室内の床面上及びその室外外部延長面上に隔壁を有し該隔壁に設けられた流通孔に外気及び内気をそれぞれ液-ガス熱交換器に通流させるための送風機を有することを特徴とする請求項1または2記載の内気・外気間の熱交換装置。
【請求項4】
前記室内が内気環流用の床下空間と天井空間を有するサーバ収納室であり、前記外気ユニット及び内気ユニットが上記サーバ収納室の底面上及びその室外外部延長面上に据え置き型に設置され、前記外気ユニットは上記室内の床面上及びその室外外部延長面上に第1の隔壁を有し該隔壁に設けられた流通孔に外気を液-ガス熱交換器に通流させるための第1の送風機を有すると共に、前記内気ユニットは該内気ユニットの液-ガス熱交換器より上部に第2の隔壁を有し該第2の隔壁に設けられた流通孔に内気を下方に設けられた液-ガス熱交換器に通流させるための送風機を有することを特徴とする請求項1または2記載の内気・外気間の熱交換装置。
【請求項5】
前記一対の液-ガス熱交換器が、前記外気ユニット及び内気ユニット筐体の上部に設けられ、該筐体下部にはメンテナンス用の作業空間を設けたことを特徴とする請求項1〜4の内、いずれか1項記載の熱交換装置。
【請求項6】
前記外気ユニット及び内気ユニットは、外気及び内気をそれぞれ液-ガス熱交換器に通流させるための送風機を下部に有することを特徴とする請求項1または2記載の内気・外気間の熱交換装置。
【請求項7】
前記一対の液-ガス熱交換器が前記外気ユニット及び内気ユニット筐体の上部に設けられ、該一対の液-ガス熱交換器と前記送風機との間にメンテナンス用の作業空間を設けたことを特徴とする請求項6記載の内気・外気間の熱交換装置。
【請求項8】
前記外気ユニット及び内気ユニットが有する送風機は両方向に通流可能かつ前記仕切り壁に向かって左右同形に配置し、前記外気ユニットは外気が下部から上部へ向かう方向に送風機で通流し、前記内気ユニットは内気が上部から下部へ向かう方向に送風機で通流することを特徴とする請求項7記載の内気・外気間の熱交換装置。
【請求項9】
前記外気ユニット及び内気ユニットは下部に隔壁を有し、該隔壁に設けられた流通孔から外気及び内気を通流させる位置に送風機を配置することを特徴とする請求項8記載の内気・外気間の熱交換装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−117737(P2012−117737A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267248(P2010−267248)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】