説明

熱可塑性エラストマー組成物

【課題】優れたTanδおよび曲げ弾性率を有する、ポリエステル系熱可塑性エラストマーとスチレン系熱可塑性エラストマーとを組み合わせた熱可塑性エラストマー組成物を提供する。
【解決手段】60〜90質量部のポリエステル系熱可塑性エラストマーと、40〜10質量部のスチレン系熱可塑性エラストマーとを含。む熱可塑性エラストマー組成物であって、動的粘弾性測定装置を用いて測定した23℃でのTanδが0.10以上であり、かつ、曲げ弾性率が0.1GPa以上であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性エラストマーは、優れた柔軟性や成形加工性を有することから、自動車内外装材、家電部品、電子機器、医療用具、スポーツ用品、文具、玩具、包装材料、ガスケットやパッキング、粘接着剤など幅広い分野において利用されている。
【0003】
たとえば特開2010−275459号公報(特許文献1)には、エラストマーとしての性能を損なわずに、粘弾性特性、特に損失正接(Tanδ)を高め、振動エネルギーや衝撃エネルギーの吸収性を向上させる、振動吸収材料や衝撃吸収材料などに用いられるエラストマー組成物が開示されている。しかしながら、特許文献1に開示されたエラストマー組成物でも、Tanδと曲げ弾性率との両立は未だ十分ではない。
【0004】
また、たとえば特開平8−277359号公報(特許文献2)、特開2004−143349号公報(特許文献3)などには、それぞれ、ポリエステルブロック重合体と特定のポリスチレンブロック共重合体とを組み合わせたポリエステルエラストマー組成物が提案されている。このようなポリエステル系熱可塑性エラストマーとスチレン系熱可塑性エラストマーとの組み合わせにより、成形加工性、機械的性質、耐久性のバランスに優れた熱可塑性エラストマー組成物が提供できるが、上述したTanδと曲げ弾性率とを両立させたものは未だ知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−275459号公報
【特許文献2】特開平8−277359号公報
【特許文献3】特開2004−143349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、優れたTanδおよび曲げ弾性率を有する、ポリエステル系熱可塑性エラストマーとスチレン系熱可塑性エラストマーとを組み合わせた熱可塑性エラストマー組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、60〜90質量部のポリエステル系熱可塑性エラストマーと、40〜10質量部のスチレン系熱可塑性エラストマーとを含む熱可塑性エラストマー組成物であって、動的粘弾性測定装置を用いて測定した23℃でのTanδが0.10以上であり、かつ、曲げ弾性率が0.1GPa以上であることを特徴とする。
【0008】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前記Tanδが0.20以上であることが好ましい。
【0009】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前記曲げ弾性率が0.1〜0.3GPaの範囲内であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
従来のポリエステル系熱可塑性エラストマー単独で構成されている網状構造体は振動吸収性が低いものであったが、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を用いることで、振動吸収性が大幅に向上された網状構造体を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、60〜90質量部のポリエステル系熱可塑性エラストマーと、40〜10質量部のスチレン系熱可塑性エラストマーとを含む熱可塑性エラストマー組成物とを含むことを特徴の1つとする。
【0012】
本発明に用いられるポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリアルキレンジオールをソフトセグメントとするポリエステルエーテルブロック共重合体、または脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとするポリエステルエステルブロック共重合体が例示できる。
【0013】
ポリエステルエーテルブロック共重合体のより具体的な構成としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸または、これらのエステル形成性誘導体などから選ばれるジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオール、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1種、および平均分子量が約300〜5000のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、またはエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体などから選ばれるポリアルキレンジオールのうち少なくとも1種とから構成される三元ブロック共重合体を用いることができる。
【0014】
ポリエステルエステルブロック共重合体としては、たとえば、上記のジカルボン酸の少なくとも1種と、上記のジオール成分の少なくとも1種と、平均分子量が約300〜5000のポリラクトンなどのポリエステルジオールのうち少なくとも1種とから構成される三元ブロック共重合体が例示される。
【0015】
熱接着性、耐加水分解性、伸縮性、耐熱性などを考慮すると、ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、(1)ジカルボン酸としてテレフタル酸および/またはイソフタル酸、ジオール成分として1,4−ブタンジオール、ポリアルキレンジオールとしてポリテトラメチレングリコールからなる三元ブロック共重合体、または(2)ジカルボン酸としてテレフタル酸および/またはナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ジオール成分として1,4−ブタンジオール、ポリエステルジオールとしてポリラクトンからなる三元ブロック共重合体を用いることが好ましく、(1)テレフタル酸および/またはイソフタル酸からなるジカルボン酸と、1,4−ブタンジオールからなるジオール成分と、ポリテトラメチレングリコールからなるポリアルキレンジオールとからなる三元ブロック共重合体を用いることが特に好ましい。また、ポリエステル系熱可塑性エラストマーとして、ポリシロキサン系のソフトセグメントを導入したものも使うことができる。
【0016】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、ポリエステル系熱可塑性エラストマーが60質量部未満である場合には、十分な大きさの曲げ弾性率が得られず、当該熱可塑性エラストマー組成物を用いて、たとえば網状構造体を製造した場合にはクッション性を損ねるという不具合があり、また、90質量部を超える場合には、十分な大きさのTanδが得られず、振動減衰性を損ねるという不具合がある。曲げ弾性率とTanδを共に大きく維持するためには、本発明の熱可塑性エラストマー組成物中、ポリエステル系熱可塑性エラストマーは65〜85質量部含有されていることが好ましく、70〜80質量部含有されていることがより好ましい。
【0017】
また本発明に用いられるポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、あるいはそれらを水素添加したものなどが例示される。
【0018】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーが10質量部未満である場合には、十分な大きさのTanδが得られず、振動減衰性を損ねるという不具合があり、また、40質量部を超える場合には、十分な大きさの曲げ弾性率が得られず、当該熱可塑性エラストマー組成物を用いて、たとえば網状構造体を製造した場合には、クッション性を損ねるという不具合がある。曲げ弾性率とTanδを共に大きく維持するためには、本発明の熱可塑性エラストマー組成物中、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーは15〜35質量部含有されていることが好ましく、20〜30質量部含有されていることがより好ましい。
【0019】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、動的粘弾性測定装置を用いて測定した23℃でのTanδが0.10以上であることも特徴の1つとする。Tanδ(タンジェント・デルタ)とは、動的粘弾性測定装置を用いて測定した損失弾性率E”と貯蔵弾性率E’との比E”/E’であり、数値が高い程、振動減衰性が高くなり、当該熱可塑性エラストマー組成物を用いてたとえば網状構造体を製造した場合には、その振動吸収性が高くなる。23℃でのTanδが0.10未満では、充分な振動減衰性が発現せず、当該熱可塑性エラストマー組成物を用いてたとえば網状構造体を製造した場合には、その振動吸収性が不十分となる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物のTanδは、好ましくは0.20以上、より好ましくは0.30以上である。また、特に好ましくは、動的粘弾性測定装置を用いて測定したTanδが、0〜23℃の範囲全てにおいて0.10以上を満たしていることである。これにより、広範の温度域で充分な振動減衰性が発現し、当該熱可塑性エラストマー組成物を用いて、たとえば網状構造体を製造した場合には、その振動吸収性を高く保つことができる。
【0020】
また本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、曲げ弾性率が0.1GPa以上であることも特徴の1つとする。ここで、曲げ弾性率は、後述のようにASTM D790に準拠して測定された数値を指す。熱可塑性エラストマーの曲げ弾性率が0.1GPa未満である場合には、当該熱可塑性エラストマー組成物を用いて、たとえば網状構造体を製造した場合には、クッション性が損なわれるという不具合がある。網状構造体とした場合の適度なクッション性を保持するためには、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の曲げ弾性率は、0.1〜0.3GPaの範囲内であることが好ましく、0.1〜0.2GPaの範囲内であることがより好ましい。
【0021】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、示差走査型熱量計にて測定した融解曲線において、融点以下に吸熱ピークを有することが好ましい。融点以下に吸熱ピークを有する熱可塑性エラストマー組成物を用いてたとえば網状構造体を製造した場合、その耐熱性および耐へたり性が、このような吸熱ピークを有しない熱可塑性エラストマー組成物を用いて形成された網状構造体より著しく向上する。たとえば、ポリエステル系熱可塑性エラストマーとして、ハードセグメントの酸成分に剛直性を有するテレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸などを90モル%以上(より好ましくは95モル%以上、特に好ましくは100モル%)含有するものとグリコール成分をエステル交換後、必要な重合度まで重合し、次いで、ポリアルキレンジオールとして、好ましくは平均分子量が500〜5000(より好ましくは1000〜3000)のポリテトラメチレングリコールを10〜70重量%(より好ましくは20〜60重量%)で共重合させた場合、ハードセグメントの酸成分に剛直性のあるテレフタル酸やナフタレン−2,6−ジカルボン酸の含有量が多いとハードセグメントの結晶性が向上し、塑性変形しにくく、かつ、上述した耐熱性および耐へたり性が向上する。加えて、溶融熱接着後さらに融点より少なくとも10℃以上低い温度でアニーリング処理すると、より耐熱性および耐へたり性が向上する。圧縮歪みを付与してからアニーリングすると更に耐熱性および耐へたり性が向上する。このような処理をした熱可塑性エラストマー組成物は、示差走査型熱量計(DSC)で測定した融解曲線に室温以上融点以下の温度で吸熱ピークをより明確に発現する。なお、アニーリングしない場合は融解曲線に室温以上融点以下に吸熱ピークを発現しない。このことから類推するに、アニーリングによりハードセグメントが再配列され、疑似結晶化様の架橋点が形成され、耐熱性および耐へたり性が向上しているのではないかとも考えられる(以下、このアニーリング処理を「疑似結晶化処理」ということがある。)。
【0022】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、目的に応じて種々の添加剤を配合することができる。添加剤としては、フタル酸エステル系、トリメリット酸エステル系、脂肪酸系、エポキシ系、アジピン酸エステル系、ポリエステル系の可塑剤、公知のヒンダードフェノール系、硫黄系、燐系、アミン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ニッケル系、サリチル系などの光安定剤、帯電防止剤、過酸化物などの分子調整剤、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物などの反応基を有する化合物、金属不活性剤、有機及び無機系の核剤、中和剤、制酸剤、防菌剤、蛍光増白剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、有機系、無機系の顔料などが挙げられる。
【0023】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を用いて、たとえば、網状構造体を製造することができる。上述したように本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、優れたTanδおよび曲げ弾性率を有するものであり、これを用いることで、振動吸収性が大幅に向上された網状構造体が実現できる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物を用いて形成される網状構造体としては、繊度が100〜100000デシテックスの連続した線条(連続線状体)を曲がりくねらせランダムにループを形成し(ランダムループ)、ループ同士を接触させ、その接触した部分(接触部)を融着した三次元ランダムループ接合構造を備えるものであることが好ましい。このような構造を備えることで、非常に大きい応力で網状構造体を変形させた場合でも、網状構造体全体が変形することで応力を吸収し、応力が解除されると、連続線状体を形成する熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾性が発現して、元の形態に回復することができる。
【0024】
上述したような網状構造体は、たとえば以下のような方法にて好適に製造することができる。まず、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を一般的な溶融押出機に投入し、融点より10〜80℃高い温度に加熱して溶融状態とし、複数のオリフィスを持つ吐出装置より下向きに吐出させる。そして、連続線状体前駆体は、複数のオリフィスから、その融点よりも高い温度の雰囲気に吐出され、曲がりくねらせることにより溶融状態でランダムループを形成する。この際、ノズル面と本発明の熱可塑性エラストマー組成物を固化させる冷却媒体上に設置した引取りコンベアとの距離、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の溶融粘度、オリフィスの孔径と吐出量などによりループ径と線状体の繊度が決まる。冷却媒体が収容された冷却槽に設けられた対向する一対の引き取りコンベアのエンドレスネット間に連続線状体前駆体を挟み込み、停留させることでループが発生し、オリフィスの孔間隔をループが接触できる孔間隔にしておくことで発生したループを互いに接触させる。このように互いにループを接触させることで、ループがランダムなループによる三次元形態を形成しつつ、ループの互いに接触した部分(接触部)は融着する。次いでランダムな三次元形態を形成しつつ接触部が融着した連続線状体を連続して冷却媒体中に引込み固化させ網状構造体が形成される。なお、上述の方法は一例であって、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を用いて網状構造体を製造する方法は、これに限定するものではない。
【実施例】
【0025】
以下に実施例で本発明を詳述する。なお、実施例中の評価は以下の方法で行った。
(1)融点(Tm)
島津製作所TA50、DSC50型示差熱分析計を使用し、10gの試料を昇温速度20℃/分で20℃から250℃まで測定した吸発熱曲線から吸熱ピーク(融解ピーク)温度を求めた。
【0026】
(2)曲げ弾性率
射出成形機によって長さ125mm×幅12mm×厚み6mmの試験片を作成し、ASTM D790に準拠して測定した。
【0027】
(3)Tanδ
設定温度230℃のヒートプレスによって厚さ300μmのシートサンプルに成形し、動的粘弾性測定装置(UBM社製Rheogel−E−4000)を用い、11Hz、昇
温速度2℃/分で、23℃のTanδ(損失弾性率E”と貯蔵弾性率E’との比E”/E’)値を測定した。
【0028】
<合成例1>
ジメチルテレフタレート(DMT)と1,4−ブタンジオール(1,4−BD)とポリテトラメチレングリコール(PTMG:平均分子量1000)とを少量の触媒と共に仕込み、常法によりエステル交換後、昇温減圧しつつ重縮合せしめ、DMT/1,4−BD/PTMG=100/93/7mol%のポリエステルエーテルブロック共重合エラストマーを生成させ、次いで抗酸化剤1%を添加混合練込み後ペレット化し、50℃48時間真空乾燥してポリエステル系熱可塑性エラストマー原料(A−1)を得た。その特性を表1に示す。
【0029】
<合成例2>
ジメチルテレフタレート(DMT)と1,4−ブタンジオール(1,4−BD)とポリテトラメチレングリコール(PTMG:平均分子量1000)とを少量の触媒と共に仕込み、常法によりエステル交換後、昇温減圧しつつ重縮合せしめ、DMT/1,4−BD/PTMG=100/88/12mol%のポリエステルエーテルブロック共重合エラストマーを生成させ、次いで抗酸化剤1%を添加混合練込み後ペレット化し、50℃48時間真空乾燥してポリエステル系熱可塑性エラストマー原料(A−2)を得た。その特性を表1に示す。
【0030】
<合成例3>
ジメチルテレフタレート(DMT)とジメチルイソフタレート(DMI)と1,4−ブタンジオール(1,4−BD)とポリテトラメチレングリコール(PTMG:平均分子量1000)とを少量の触媒と共に仕込み、常法によりエステル交換後、昇温減圧しつつ重縮合せしめ、DMT/DMI/1,4−BD/PTMG=75/25/92/8mol%のポリエステルエーテルブロック共重合エラストマーを生成させ、次いで抗酸化剤1%を添加混合練込み後ペレット化し、50℃48時間真空乾燥してポリエステル系熱可塑性エラストマー原料(A−3)を得た。その特性を表1に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
<実施例1>
80kgの合成例1で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)、20kgの水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(SBR)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)、0.5kgのトリメリット酸エステル系可塑剤(DIC社製「モノサイザーW705」)、10kgのポリエステル系可塑剤(DIC社製「ポリサイザーA55」)、0.07kgのヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO330」)および0.07kgの燐系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブPEP36」)をタンブラーにて5分間混合した後、スクリュー径φ57mmの二軸押出機でシリンダー温度220℃、スクリュー回転数130rpmにて溶融混練し、水浴にストランド状に押出して冷却後、ペレットを得た。その特性を表2に示す。
【0033】
<実施例2>
70kgの合成例2で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)、30kgの水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(SBR)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)、0.5kgのトリメリット酸エステル系可塑剤(DIC社製「モノサイザーW705」)、10kgのポリエステル系可塑剤(DIC社製「ポリサイザーA55」)、0.07kgのヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO330」)および0.07kgの燐系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブPEP36」)をタンブラーにて5分間混合した後、スクリュー径φ57mmの二軸押出機でシリンダー温度220℃、スクリュー回転数130rpmにて溶融混練し、水浴にストランド状に押出して冷却後、ペレットを得た。その特性を表2に示す。
【0034】
<実施例3>
80kgの合成例2で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−2)、20kgの水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(SBR)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)、0.5kgのトリメリット酸エステル系可塑剤(DIC社製「モノサイザーW705」)、10kgのポリエステル系可塑剤(DIC社製「ポリサイザーA55」)、0.07kgのヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO330」)および0.07kgの燐系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブPEP36」)をタンブラーにて5分間混合した後、スクリュー径φ57mmの二軸押出機でシリンダー温度220℃、スクリュー回転数130rpmにて溶融混練し、水浴にストランド状に押出して冷却後、ペレットを得た。その特性を表2に示す。
【0035】
<実施例4>
70kgの合成例2で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−2)、30kgの水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(SBR)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)、0.5kgのトリメリット酸エステル系可塑剤(DIC社製「モノサイザーW705」)、10kgのポリエステル系可塑剤(DIC社製「ポリサイザーA55」)、0.07kgのヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO330」)および0.07kgの燐系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブPEP36」)をタンブラーにて5分間混合した後、スクリュー径φ57mmの二軸押出機でシリンダー温度220℃、スクリュー回転数130rpmにて溶融混練し、水浴にストランド状に押出して冷却後、ペレットを得た。その特性を表2に示す。
【0036】
<実施例5>
50kgの合成例1で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)、40kgの合成例3で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−3)、10kgの水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(SBR)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)、0.07kgのヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO330」)および0.07kgの燐系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブPEP36」)をタンブラーにて5分間混合した後、スクリュー径φ57mmの二軸押出機でシリンダー温度220℃、スクリュー回転数130rpmにて溶融混練し、水浴にストランド状に押出して冷却後、ペレットを得た。その特性を表2に示す。
【0037】
<実施例6>
40kgの合成例1で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)、40kgの合成例3で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−3)、20kgの水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(SBR)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)、0.07kgのヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO330」)および0.07kgの燐系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブPEP36」)をタンブラーにて5分間混合した後、スクリュー径φ57mmの二軸押出機でシリンダー温度220℃、スクリュー回転数130rpmにて溶融混練し、水浴にストランド状に押出して冷却後、ペレットを得た。その特性を表2に示す。
【0038】
<実施例7>
50kgの合成例1で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)、30kgの合成例3で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−3)、20kgの水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(SBR)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)、0.5kgのトリメリット酸エステル系可塑剤(DIC社製「モノサイザーW705」)、10kgのポリエステル系可塑剤(DIC社製「ポリサイザーA55」)、0.07kgのヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO330」)および0.07kgの燐系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブPEP36」)をタンブラーにて5分間混合した後、スクリュー径φ57mmの二軸押出機でシリンダー温度220℃、スクリュー回転数130rpmにて溶融混練し、水浴にストランド状に押出して冷却後、熱ペレットを得た。その特性を表2に示す。
【0039】
<実施例8>
60kgの合成例1で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)、20kgの合成例3で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−3)、20kgの水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(SBR)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)、0.5kgのトリメリット酸エステル系可塑剤(DIC社製「モノサイザーW705」)、10kgのポリエステル系可塑剤(DIC社製「ポリサイザーA55」)、0.07kgのヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO330」)および0.07kgの燐系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブPEP36」)をタンブラーにて5分間混合した後、スクリュー径φ57mmの二軸押出機でシリンダー温度220℃、スクリュー回転数130rpmにて溶融混練し、水浴にストランド状に押出して冷却後、ペレットを得た。その特性を表2に示す。
【0040】
<実施例9>
30kgの合成例1で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)、40kgの合成例3で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−3)、30kgの水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(SBR)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)、0.5kgのトリメリット酸エステル系可塑剤(DIC社製「モノサイザーW705」)、10kgのポリエステル系可塑剤(DIC社製「ポリサイザーA55」)、0.07kgのヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO330」)および0.07kgの燐系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブPEP36」)をタンブラーにて5分間混合した後、スクリュー径φ57mmの二軸押出機でシリンダー温度220℃、スクリュー回転数130rpmにて溶融混練し、水浴にストランド状に押出して冷却後、ペレットを得た。その特性を表2に示す。
【0041】
<実施例10>
40kgの合成例2で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−2)、40kgの合成例3で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−3)、20kgの水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(SBR)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)、0.07kgのヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO330」)および0.07kgの燐系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブPEP36」)をタンブラーにて5分間混合した後、スクリュー径φ57mmの二軸押出機でシリンダー温度220℃、スクリュー回転数130rpmにて溶融混練し、水浴にストランド状に押出して冷却後、ペレットを得た。その特性を表2に示す。
【0042】
<実施例11>
30kgの合成例2で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−2)、40kgの合成例3で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−3)、30kgの水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(SBR)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)、0.07kgのヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO330」)および0.07kgの燐系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブPEP36」)をタンブラーにて5分間混合した後、スクリュー径φ57mmの二軸押出機でシリンダー温度220℃、スクリュー回転数130rpmにて溶融混練し、水浴にストランド状に押出して冷却後、ペレットを得た。その特性を表2に示す。
【0043】
<実施例12>
30kgの合成例1で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)、30kgの合成例3で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−3)、40kgの水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(SBR)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)、0.5kgのトリメリット酸エステル系可塑剤(DIC社製「モノサイザーW705」)、10kgのポリエステル系可塑剤(DIC社製「ポリサイザーA55」)、0.07kgのヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO330」)および0.07kgの燐系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブPEP36」)をタンブラーにて5分間混合した後、スクリュー径φ57mmの二軸押出機でシリンダー温度220℃、スクリュー回転数130rpmにて溶融混練し、水浴にストランド状に押出して冷却後、ペレットを得た。その特性を表2に示す。
【0044】
<比較例1>
100kgの合成例1で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)、0.07kgのヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO330」)および0.07kgの燐系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブPEP36」)をタンブラーにて5分間混合した後、スクリュー径φ57mmの二軸押出機でシリンダー温度220℃、スクリュー回転数130rpmにて溶融混練し、水浴にストランド状に押出して冷却後、ペレットを得た。その特性を表2に示す。
【0045】
<比較例2>
100kgの合成例2で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−2)、0.07kgのヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO330」)および0.07kgの燐系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブPEP36」)をタンブラーにて5分間混合した後、スクリュー径φ57mmの二軸押出機でシリンダー温度220℃、スクリュー回転数130rpmにて溶融混練し、水浴にストランド状に押出して冷却後、ペレットを得た。その特性を表2に示す。
【0046】
<比較例3>
100kgの合成例3で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−3)、0.07kgのヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO330」)および0.07kgの燐系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブPEP36」)をタンブラーにて5分間混合した後、スクリュー径φ57mmの二軸押出機でシリンダー温度220℃、スクリュー回転数130rpmにて溶融混練し、水浴にストランド状に押出して冷却後、ペレットを得た。その特性を表2に示す。
【0047】
<比較例4>
95kgの合成例1で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)、5kgの水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(SBR)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)、0.07kgのヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO330」)および0.07kgの燐系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブPEP36」)をタンブラーにて5分間混合した後、スクリュー径φ57mmの二軸押出機でシリンダー温度220℃、スクリュー回転数130rpmにて溶融混練し、水浴にストランド状に押出して冷却後、ペレットを得た。その特性を表2に示す。
【0048】
<比較例5>
100kgの水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(SBR)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)、0.07kgのヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO330」)および0.07kgの燐系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブPEP36」)をタンブラーにて5分間混合した後、スクリュー径φ57mmの二軸押出機でシリンダー温度220℃、スクリュー回転数130rpmにて溶融混練し、水浴にストランド状に押出して冷却後、ペレットを得た。その特性を表2に示す。
【0049】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、車両用座席、寝具などに使用可能な高い振動吸収性を示す網状構造体の製造に好適な熱可塑性エラストマー組成物に関するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
60〜90質量部のポリエステル系熱可塑性エラストマーと、40〜10質量部のスチレン系熱可塑性エラストマーとを含む熱可塑性エラストマー組成物であって、動的粘弾性測定装置を用いて測定した23℃でのTanδが0.10以上であり、かつ、曲げ弾性率が0.1GPa以上であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項2】
前記Tanδが0.20以上である、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項3】
前記曲げ弾性率が0.1〜0.3GPaの範囲内である、請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。

【公開番号】特開2013−95853(P2013−95853A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239976(P2011−239976)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000003160)東洋紡株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】