説明

熱回収システムおよび排熱回収ボイラへの給水方法

【課題】
改質後の熱分解ガス中に残る水分や残存タール及び煤分を除去するために設けられるガス洗浄浄化装置でのガス冷却精製に使用する冷却水の熱エネルギー、すなわち燃料系から回収された熱エネルギーが従来技術では必ずしも利用されていなかった。また、燃料系の熱エネルギーが増加した場合、前記の冷却エネルギーも増加し省エネルギーへの寄与率が低かった。本発明は、回収された熱エネルギーの有効利用を図ることにある。
【解決手段】
有形燃料を熱分解した後水蒸気改質し燃焼装置12の燃料とする燃料ガス系統において、改質後の熱分解ガス中に残る水分や残存タール及び煤分を除去するために設けられるガス洗浄浄化装置5でのガス冷却精製に使用する冷却水を、前記燃焼装置12の下流側に設ける排熱回収ボイラ14の給水として使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温の熱分解ガスを燃焼装置の燃料とする熱分解ガス燃料供給系の熱回収システムに関するものであり、詳細にはバイオマス,プラスチック等の有形燃料を水蒸気改質し、燃焼装置の燃料とする燃料供給系統の排熱を利用することを特徴とする熱分解ガス燃料供給系の熱回収システムおよび排熱回収ボイラへの給水方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、廃プラスチック,バイオマス燃料等の有形燃料(以下、有形燃料という)の熱分解による高温の熱分解ガスを燃料とする燃焼装置の燃料系統において、熱分解ガスを生成可能な熱分解炉、高温の熱分解ガスの持つ顕熱で低温水蒸気と低温空気とを加熱する熱交換器を有し、熱分解ガスの一部を燃焼させて、その燃焼熱により前記低温水蒸気と低温空気とを高温水蒸気及び高温空気に加熱し、さらにその前記高温水蒸気及び高温空気を熱分解ガスの改質域に導入することで、ガス化溶融反応に伴う煤の発生を抑制するガス化装置が記載されている。
【0003】
この従来技術では、燃料改質器における水蒸気改質作用により熱分解ガス中の炭化水素を改質するために、最終的に改質器に700℃以上の高温蒸気と空気を供給する。この供給される熱エネルギーは元々、高温の熱分解ガスが持っていた顕熱や発熱量であり、それが燃料系統を循環しているものであるが、ガスエンジン等の燃焼装置の燃料として使用するために、その入口において、改質ガスを燃焼装置の燃料として受入れ可能な温度にまで更に冷却するのと合わせて、改質後の熱分解ガス中に残る、水分や残存タール及び煤分を除去するガス洗浄浄化装置を設けている。前記のガス洗浄浄化装置の入口燃料ガス温度は、熱分解ガスの元となる有形の原料材の種類によって異なるが、ガス洗浄浄化装置に燃料ガスが入る前の燃料配管部で燃料ガス中の水分が結露することを避けるために、少なくとも150℃以上の温度とされる。一方、ガス洗浄浄化装置の出口燃料ガス温度は、改質後の燃料ガス中の水分や残存するタール及び煤分を除去できる温度とする必要がある。こちらも、熱分解ガスの元となる有形の原料材の種類によって異なる。例えば、木質系のバイオマスガスの場合、木タール分の分留のためには燃料ガス温度は60℃まで下げる必要がある。更に燃料ガス中に残る水分を凝縮分離するには出来るだけ常温に近い温度まで燃料ガスを冷却する必要があることから、ガス洗浄浄化装置に外部から冷却水を供給し燃料ガスと熱交換させる場合、冷却水に常温水を用いると、ガス洗浄浄化装置出口のガス温度は40℃程度となる。すなわちガス洗浄浄化装置では150℃以上の高温から40℃程度の常温に近い温度まで、燃料ガスを冷却していることとなる。
【0004】
【特許文献1】特開2001−158885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、ガス洗浄浄化装置において150℃以上の高温から40℃程度の常温に近い温度まで、燃料ガスを冷却しているが、その熱が利用されていない。
【0006】
本発明は、ガスエンジン等の燃焼装置入り口において取り去られた熱エネルギーの有効利用を図ることのできる熱回収システムおよび排熱回収ボイラへの給水方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、有形燃料を熱分解する分解炉と、発生した熱分解ガスを改質する改質装置と、改質後の熱分解ガス中に残る水分,残留タールおよび煤分をガス冷却精製によって除去するガス洗浄浄化装置と、水分,残留タールおよび煤分の除去された改質ガスを燃料とする燃焼装置と、並びに燃焼による熱エネルギーを回収する排熱回収ボイラとを備えた熱回収システムにおいて、前記ガス洗浄浄化装置でのガス冷却精製に使用した冷却水を、前記排熱回収ボイラの給水として供給する配管を設けた熱回収システムを提供する。
【0008】
また、本発明は、有形燃料を熱分解する分解炉と、発生した熱分解ガスを改質する改質装置と、改質後の熱分解ガス中に残る水分,残留タールおよび煤分をガス冷却精製によって除去するガス洗浄浄化装置と、水分,残留タールおよび煤分の除去された改質ガスを燃料とする燃焼装置と、並びに燃焼による熱エネルギーを回収する排熱回収ボイラとを備えた熱回収システムにおける前記排熱回収ボイラへの給水方法において、前記ガス洗浄浄化装置でのガス冷却精製に使用した冷却水が、前記排熱回収ボイラの給水として供給される熱回収システムにおける排熱回収ボイラヘの給水方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来使用されていなかった、前記ガス洗浄浄化装置でのガス冷却精製に使用する冷却水を排熱回収ボイラの給水として使用し、ボイラ給水を予熱することにより、ボイラ蒸発量を増加させることが可能となるので、ガスエンジン等の燃焼装置と排熱回収ボイラを組み合わせた熱併給プラントとしての総合効率が向上する。これにより、単独では回収したとしても温水(一般的に80℃程度の水)としてしか回収できず、利用先が限られるエネルギーであったものを、蒸気エネルギーとしての利用先を得られるようになる。
【0010】
こうして増加したボイラ蒸気を、例えば熱分解ガスの水蒸気改質用として必要な700℃以上の高温の蒸気源としても利用できる。ガスエンジン等の燃焼装置の排熱回収ボイラ蒸気温度は約180℃(0.8MPaの飽和温度)であることが多く、この温度の蒸気をガス洗浄浄化装置の上流側の蒸気発生装置に供給すると、蒸気加温に必要な熱エネルギーが少なくて済むので、その分、ガス洗浄浄化装置入口の燃料ガス温度が上昇し、ガス洗浄浄化装置でのボイラ給水への回収熱エネルギーを増加させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
前記課題を解決するための第1の実施例は、木質バイオマス,プラスチック等の有形燃料を熱分解する分解炉と、熱分解ガスを改質する低温蒸気発生器及び高温蒸気・空気発生器、改質後の熱分解ガス中に残る、水分や残存タール及び煤分を除去するのと合わせて改質ガスを燃焼装置の燃料として受入れ可能な温度にまでさらに冷却するための、タール・水分分離器、除塵装置から成るガス洗浄浄化装置、改質ガスを燃料とする燃焼装置、その燃焼排ガスを熱エネルギー回収するための排熱回収ボイラを備えた燃料ガス系統において、前記ガス洗浄浄化装置でのガス冷却精製に使用する冷却水を、前記排熱回収ボイラの給水として供給する配管を設けることとする熱回収システムを構成する。
【0012】
ガスエンジン等の燃焼装置は動力用,発電用としても使用されるが、その排ガスの持つ熱エネルギーを回収するために、燃焼装置の排ガス系統に排熱回収ボイラを設置し、その排熱回収ボイラで発生する蒸気や温水を需要先に供給することが一般的に行われている。本発明により、前記燃焼装置の燃料入口に設けるガス洗浄浄化装置の冷却水を、前記排熱回収ボイラの給水に使用し、ボイラ給水を予熱することにより、ボイラ蒸発量を増加させることを可能とする。
【0013】
また、第2の実施例は、前記の熱回収システムにより前記ガス洗浄浄化装置でのガス冷却精製に使用する冷却水を、前記排熱回収ボイラの給水として使用するのと同時に、熱分解ガスを改質するための低温蒸気発生器の給水としても使用するため、前記ガス洗浄浄化装置の冷却水を前記排熱回収ボイラの給水として供給する配管及び前記低温蒸気発生器の給水として供給する配管、さらにそのガス冷却精製装置の冷却水の配分を調整するために、前記排熱回収ボイラ給水側と低温蒸気発生器の給水側の分岐部に3方弁を設けることとする熱回収システムを構成する。これにより従来は前記ガス洗浄浄化装置の冷却水の温度変動として系外に捨てられていた燃料系の熱エネルギー変動を、エネルギー密度が高いので需要の多い排熱回収ボイラの蒸発量の増減として回収することを可能にする。
【実施例1】
【0014】
以下に、本発明の第1の実施例を図1に基づいて説明する。
【0015】
本発明の実施例である熱回収システム100は、有形燃料を熱分解する分解炉1と、発生した熱分解ガスを改質する改質器(装置)2と、改質後の熱分解ガス中に残る水分,残留タールおよび煤分をガス冷却精製によって除去するガス洗浄浄化装置5と、水分,残留タールおよび煤分の除去された改質ガスを燃料とするガスエンジン12などの燃焼装置と、並びに燃焼による熱エネルギーを回収する排熱回収ボイラ14とを備える。
【0016】
改質器2とガス洗浄浄化装置5との間の配管には改質器2で使用される高温蒸気、空気を発生させるための高温蒸気発生器3および低温蒸気発生器4が設けられる。低温蒸気発生器4には配管30から水が導入され蒸気となり、配管31から導入される空気と混合される。この蒸気と空気の混合流は高温蒸気発生器3に導入され、高温の蒸気・空気となって改質器2に導入され、熱分解ガスの改質ガスとして使用される。
【0017】
ガス洗浄浄化装置5は、順にタール・水分分離器6と除塵装置7とから構成される。
【0018】
熱分解炉1には例えば木質バイオマスや廃プラスチック等の有形の燃料材が供給される。熱分解炉1を出た高温の熱分解ガスは改質器2に送られる。熱分解ガスは炭素化合物を含むため、燃焼装置の燃料ガスとして改質するためにこの改質器2で、低温蒸気発生器4及び高温蒸気・空気発生器3を通過して700℃以上に加熱された蒸気と空気により水蒸気改質される。ここでの水蒸気改質は吸熱反応であるので、燃焼装置として使用するガスエンジン12の入口からガス加給機10により昇圧された燃料ガスの一部が管路11を通って改質器2に送り込まれ、高温空気と燃焼の燃焼熱により、その温度を維持する。
【0019】
改質器2を出た改質済みの燃料ガスは、順次、高温蒸気・空気発生器3,低温蒸気発生器4を通り、蒸気,空気,水と熱交換することにより、その温度を下げ、ガス洗浄浄化装置5入口では、比較的低温(例えば150℃程度)となる。このガス洗浄浄化装置5では、改質器2により除去仕切れなかった残存タール分,煤分及び改質器2に加えた高温蒸気の余剰分を取り去り、ガスエンジンの燃料ガスとして適切な清浄度を確保する。ここで、ガス洗浄浄化装置5は、前述のように、タール・水分分離器6と除塵装置7とから構成されており、燃料ガス中の残存タール分と余剰水蒸気分はタール・水分分離器6にて常温の冷却水と熱交換することにより、低温(たとえば40℃程度)まで一気に冷却されることにより凝縮し、その大部分はタール受槽8に貯留される。一方、煤分は、タール・水分分離器6出口に取り付ける除塵装置7で除去されて煤分受容器9に貯められる。こうして清浄となった熱分解ガスを改質した燃料ガスは、燃料ガス加給機10により、ガスエンジン12の供給圧力にまで加給され、その大半はガスエンジン12へ供給される。このとき、前記熱分解ガスの改質に用いる高温空気供給量を低減するため、その燃料ガスの一部は燃料ガス再循環系統管路11を通り、改質器2へ送られるのは先に述べた通りである。
【0020】
こうして、ガスエンジン12に送られた燃料ガスはガスエンジン12で燃焼され、ガスエンジン12が発電機13を廻すことにより発電が行われる。なお、改質燃料ガスの発熱量が不足する場合や、発熱量変動が大きい場合には、必要に応じて気体や液体の助燃料20が加えられる。ガスエンジン12で仕事をした燃焼排ガスは排熱回収ボイラ14で熱エネルギーを回収し、最終的に煙突15から大気に放出される。
【0021】
ここで、排熱回収ボイラ14への給水には、ガス洗浄浄化装置5におけるタール・水分分離器6の出口水を用いる。この給水は、タール・水分分離器6の出口から、タール・水分分離器6と排熱回収ボイラ14を接続する配管A21を経由し、排熱回収ボイラ14に供給される。排熱回収ボイラ14側から観ると、タール・水分分離器6はボイラ給水の加熱器の役割を担っている。ボイラ給水に必要な水質は給水処理装置17でボイラ給水に必要な水質に調整され、給水タンク18に貯められた後、給水ポンプ19で加圧され、タール・水分分離器6に圧送される。タール・水分分離器6では給水タンク18から給水された水で燃料ガスの持つ熱エネルギーを回収し、100℃未満(一般的に80℃程度)まで加温された後に排熱回収ボイラ14に送られたボイラ給水は、そこでガスエンジン12の排ガスと熱交換し、排熱回収ボイラ蒸気管16を通って需要先に蒸気を送気する。このとき、給水が常温から80℃程度まで事前に加温されているので、ガスエンジン12の排ガスエネルギーのみで蒸気を発生する場合と比較して発生蒸気量を増加することができる。
【0022】
排熱回収ボイラ出口の排ガス温度は、排ガス中の酸性分の露点温度や、燃焼生成する水蒸気分が煙突で結露するのを防止するために、一般的に150℃以上に保持される。従って、排熱回収ボイラで排ガスと熱交換の前に、80℃程度まで給水を予熱しても排熱回収ボイラでのガスエンジン等の燃焼装置の排熱回収に支障なく熱回収できる。
【0023】
このように、有形燃料を熱分解する分解炉1と、発生した熱分解ガスを改質する改質器2と、改質後の熱分解ガス中に残る水分、残留タールおよび煤分をガス冷却精製によって除去するガス洗浄浄化装置5と、水分,残留タールおよび煤分の除去された改質ガスを燃料とするガスエンジン12などの燃焼装置と、並びに燃焼による熱エネルギーを回収する排熱回収ボイラ14とを備えた熱回収システム100において、ガス洗浄浄化装置5でのガス冷却精製に使用した冷却水を、排熱回収ボイラ14の給水として供給する配管A21を設けた熱回収システムが構成される。
【実施例2】
【0024】
本発明の第2の実施例を図2に示す。第1の実施例と同一の構成には同一の番号が付してある。従って、同一の構成の説明は第1の実施例の説明を採用するものとする。本実施例は、第1の実施例に対し、タール・水分分離器6の出口水を排熱回収ボイラ14の他に、低温蒸気発生器4にも供給するように変更したものである。実施例1のガス洗浄浄化装置5での冷却水をの排熱回収ボイラ14の給水として供給する配管A21を設けると同時に、ガス洗浄浄化装置5におけるタール・水分分離器6と低温蒸気発生器4を配管B22で接続する。さらに、タール・水分分離器6出口水の排熱回収ボイラ14側と低温蒸気発生器4側への分岐部、すなわち配管A21と配管B22の分岐部に3方弁23を設け、高温蒸気・空気発生器3入口に設置した温度計24の温度が一定値と成るように3方弁23での排熱回収ボイラ14側と低温蒸気発生器4側への温水の配分を制御装置25で制御するものとする。温度計24の温度が目標値よりも上がると、3方弁23が低温蒸気発生器4側に開くよう制御され、低温蒸気発生器4出口蒸気温度が下がるので温度計24は制御目標温度に安定する。また、温度計24の温度が低い場合には逆動作となり制御系は安定する。これを、排熱回収ボイラ14側までも含めて考えると、燃料系での熱量の変動を排熱回収ボイラ14側で吸収できることになる。すなわち、燃料系での余剰熱を排熱回収ボイラ14側に逃がし、その分、排熱回収ボイラ14の蒸発量が増加する。
【0025】
又は所望により、3方弁23の替りに給水流量を制限する弁を排熱回収ボイラ14側と低温蒸気発生器4側のどちらかに設置し、排熱回収ボイラ14側と低温蒸気発生器4側へのガス洗浄浄化装置5における冷却水の配分を調整することも可能である。さらに温度計24は、高温蒸気・空気発生器3入口の蒸気と空気の混合気の温度を計測する替りに、たとえば高温蒸気・空気発生器3出口の蒸気と空気の混合気の温度を計測、又は低温蒸気発生器4出口側に設けた蒸気温度計(図示せず)で計測した出口蒸気温度信号、あるいは改質器2と高温蒸気・空気発生器3の間の配管に燃料ガス温度を計測するよう設置した温度計(図示せず)で計測した燃料ガス温度信号を使用して制御するようにしても同様の効果を得られる。
【0026】
このように、排熱回収ボイラ14への給水量並びに低温蒸気発生器4への給水量を制御する制御弁手段を設け、高温蒸気・空気発生器3への配管に設けた温度計24による蒸気・空気温度信号,低温蒸気発生器4の出口側に設けた蒸気温度計による出口蒸気温度信号、もしくはおよび改質器2と高温蒸気・空気発生器3との間の配管に設けた温度計による燃料ガス温度信号を入力して、排熱回収ボイラ14への給水量並びに低温蒸気発生器4への給水量を制御する制御装置を設けることができる。
【0027】
これらにより、実施例1の低温蒸気発生器4出口と同一の熱エネルギーの蒸気が発生するとすると、低温蒸気発生器4にはタール・水分分離器6から、一般的な温度として80℃程度の温水が供給されるので、その分、低温蒸気発生器4の伝熱面積を小さく設計することが出来る。
【0028】
熱回収システム100は、改質器2の後流側の配管に高温蒸気・空気発生器3と低温蒸気発生器4が設けられ、冷却水の一部を低温蒸気発生器4の給水として供給する配管B22が設けられる。
【0029】
そして、冷却水の一部は排熱回収ボイラ14の給水として供給する配管A21の分岐部に3方弁23を設けることによって配管を分岐し、該3方弁の制御によって排熱回収ボイラ14への給水量並びに低温蒸気発生器4への給水量を制御する制御装置が設けられる。
【0030】
更に、排熱回収ボイラ14への給水量並びに低温蒸気発生器4への給水量を制御する制御弁手段を設け、制御装置は、高温蒸気・空気発生器3への配管に設けた温度計24による蒸気・空気温度信号、低温蒸気発生器の出口側に設けた蒸気温度計による出口蒸気温度信号、もしくは改質器2と高温蒸気・空気発生器との間の配管に設けた温度計による燃料ガス温度信号を入力して、排熱回収ボイラ14への給水量並びに低温蒸気発生器4への給水量を制御する制御装置とすることができる。
【0031】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形又は変更が可能である。
【0032】
たとえば、排熱回収ボイラ14の蒸発量の変動を抑制する場合には、上記のような温度計24の指示によるガス洗浄浄化装置5の冷却水配分の制御以外にも、給水ポンプ19出口に流量調節弁を設け、排熱回収ボイラ14側への給水流量が変化しないように3方弁23での排熱回収ボイラ14側への流量調節分を補正したり、蒸発量の時間変動を抑えるため3方弁23と排熱回収ボイラ14の間の管路にバッファータンクを設け流量の平準化を図るということも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態を示す構成図である。
【図2】本発明の他の実施形態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0034】
1…熱分解炉、2…改質器、3…高温蒸気・空気発生器、4…低温蒸気発生器、5…ガス洗浄浄化装置、6…タール・水分分離器、7…除塵装置、8…タール受槽、9…煤分受容器、10…燃料ガス加給機、11…燃料ガス再循環系統、12…ガスエンジン、13…発電機、14…排熱回収ボイラ、15…煙突、16…排熱回収ボイラ蒸気管、17…給水処理装置、18…給水タンク、19…給水ポンプ、20…助燃料、21…配管A、22…配管B、23…3方弁、24…温度計、25…制御装置、100…熱回収システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有形燃料を熱分解する分解炉と、発生した熱分解ガスを改質する改質装置と、改質後の熱分解ガス中に残る水分、残留タールおよび煤分をガス冷却精製によって除去するガス洗浄浄化装置と、水分,残留タールおよび煤分の除去された改質ガスを燃料とする燃焼装置と、並びに燃焼による熱エネルギーを回収する排熱回収ボイラとを備えた熱回収システムにおいて、
前記ガス洗浄浄化装置でのガス冷却精製に使用した冷却水を、前記排熱回収ボイラの給水として供給する配管を設けたことを特徴とする熱回収システム。
【請求項2】
請求項1において、前記改質装置の後流側の配管に高温蒸気・空気発生器と低温蒸気発生器が設けられ、前記冷却水の一部を前記低温蒸気発生器の給水として供給する配管を設けたことを特徴とする熱回収システム。
【請求項3】
請求項2において、前記冷却水の一部を前記排熱回収ボイラの給水として供給する配管の分岐部に3方弁を設けることによって配管を分岐し、該3方弁の制御によって前記排熱回収ボイラへの給水量並びに前記低温蒸気発生器への給水量を制御する制御装置を設けたことを特徴とする熱回収システム。
【請求項4】
請求項2において、前記排熱回収ボイラへの給水量並びに前記低温蒸気発生器への給水量を制御する制御弁手段を設け、前記高温蒸気・空気発生器への配管に設けた温度計による蒸気・空気温度信号、前記低温蒸気発生器の出口側に設けた蒸気温度計による出口蒸気温度信号、もしくは前記改質装置と前記高温蒸気・空気発生器との間の配管に設けた温度計による燃料ガス温度信号を入力して、前記排熱回収ボイラへの給水量並びに前記低温蒸気発生器への給水量を制御する制御装置を設けたことを特徴とする熱回収システム。
【請求項5】
有形燃料を熱分解する分解炉と、発生した熱分解ガスを改質する改質装置と、改質後の熱分解ガス中に残る水分、残留タールおよび煤分をガス冷却精製によって除去するガス洗浄浄化装置と、水分,残留タールおよび煤分の除去された改質ガスを燃料とする燃焼装置と、並びに燃焼による熱エネルギーを回収する排熱回収ボイラとを備えた熱回収システムにおける前記排熱回収ボイラへの給水方法において、
前記ガス洗浄浄化装置でのガス冷却精製に使用した冷却水が、前記排熱回収ボイラの給水として供給されることを特徴とする熱回収システムにおける排熱回収ボイラへの給水方法。
【請求項6】
請求項1において、前記改質装置の後流側の配管に高温蒸気・空気発生器と低温蒸気発生器が設けられて、前記冷却水の一部が前記低温蒸気発生器の給水として供給されることを特徴とする熱回収システムにおける排熱回収ボイラへの給水方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−124442(P2006−124442A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−311704(P2004−311704)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(390023928)日立エンジニアリング株式会社 (134)