説明

熱媒体変換装置

【課題】例えばメンテナンス時等において、各熱媒体が流れる部分の分解等を容易に行うことができる構造等を有する熱媒体変換装置を得る。
【解決手段】室外機11との間で循環する1次熱媒体と室内機12との間で循環する2次熱媒体とを熱交換させる熱交換器1a等と、2次熱媒体を加圧して循環させる2次熱媒体送出装置2a等と、吊金具10a等を有するサイドパネル4a等、フレーム5c等及び支え板7c等を有する1次側筐体部分で構成する1次熱媒体側組立品と、2次熱媒体が流れる複数の流路を切り替える2次熱媒体流路切替装置3と、フレーム5a等、支え板7a等及びインナーパネル6a等を有する2次側筐体部分とで構成する2次熱媒体側組立品とを備え、2次熱媒体側組立品を1次熱媒体側組立品より上側に配置したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビル用マルチエアコン等に代表される空気調和装置に用いられ、2つの媒体間で熱交換させる熱媒体変換装置に関するものである。特に熱媒体変換装置の設置環境を考慮した筐体構造等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のビル用マルチエアコンは、たとえば建物外に配置した熱源機である室外機と建物の室内に配置した室内機との間に冷媒を循環させる。そして、冷媒が放熱、吸熱して、加熱、冷却された空気により空調対象空間の冷房または暖房を行っている。冷媒としては、たとえばHFC(ハイドロフルオロカーボン)冷媒が多く使われている。
【0003】
また、室外機と室内機との間に、冷媒の流れを制御・分配する分流コントローラを接続し、室外機を介して建物外に放出する熱を室内ユニット間で授受させ、単一の空気調和システムの中において、室内機ごとに冷房、暖房と異なった運転をさせるいわゆる全熱回収型の空気調和装置もある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
さらに、チラーと呼ばれる空気調和装置においては、建物外に配置した熱源機にて加熱または冷却した水または不凍液等(以下、代表して水という)を、室内等に配置したファンコイルユニット、パネルヒーター等に送出して冷房または暖房を行っている。
【0005】
そして、排熱回収型チラーと呼ばれる、熱源機と室内機の間に4本の水配管を接続し、冷却、加熱した水を同時に供給し、室内機において冷房または暖房を自由に選択できるものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−006355号公報(第5頁、図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のビル用マルチエアコン、特許文献1に記載の空気調和装置等では、室内機まで冷媒を循環させているため、冷媒が室内に漏れる可能性がある。一方、チラーや排熱回収型チラー等の空気調和装置は、冷媒が室内機を通過しないが、建物外から室内機側に水を送出する必要があるため、水の循環経路が長くなり、水の送出動力等のエネルギー消費量が冷媒よりも高くなり効率が悪い。また、排熱回収型チラーのような空気調和装置においては、室内機ごとに冷暖房を選択できるようにするためには、室外機と室内機を計4本の配管で接続しなければならず、更に施工性が悪くなっている。これらのことより、特許文献1の分流コントローラのような全熱回収型の空気調和装置によって得られる熱を、水に与え、室内機に供給する方式を構築すれば、上記の問題を解決できると考えられる。
【0008】
しかし、上記の方式には、冷媒と水とを熱交換する装置と、水を室内機に送出する装置が必要である。さらに、これらを個別に施工する場合、設置スペース、メンテナンススペース及び、互いを連結する配管の接続作業、断熱作業等が必要となり、施工性が悪くなってしまう。そのため、これらの装置は一体化することが望ましいのだが、このような装置自体が狭い天井裏に設置される場合が多く、ガスバーナー等の炎を用いる冷媒回路側を修理する場合、規模によっては防災上、天井裏から装置を降ろす必要がある。その場合、冷媒配管だけではなく、室内機に接続された水用の配管や、その周囲の断熱材をも取り外す必要があり、復旧時に多大な時間を要することになる。
【0009】
この発明は、以上のことを鑑みて、例えば、メンテナンス時等において、冷媒側、水側に係る部分の分解等を容易に行うことができる構造を有する熱媒体変換装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る熱媒体変換装置は、1次熱媒体側組立品と2次熱媒体流路切替装置組立品とを有し、1次熱媒体側組立品は、配管接続された室外機との間で循環する1次熱媒体と配管接続された室内機との間で循環する2次熱媒体とを熱交換させる熱交換器と、室内機との間で循環させるための2次熱媒体の加圧を行う2次熱媒体送出装置と、装置側面を覆うサイドパネル、サイドパネル間をつなぎ、2次熱媒体送出装置が取り付けられる下部側のフレーム及び熱交換器を載置するための下部側の支え板を有する1次側筐体部分とを備え、また、2次熱媒体流路切替装置組立品は、複数の流路を流れる2次熱媒体を選択又は混合して室内機に流入出させるための2次熱媒体流路切替装置と、サイドパネル間をつなぐ上部側のフレーム、熱交換器を固定するための上部側の支え板及び上部側のフレームに取り付けられ、2次熱媒体流路切替装置を支えるためのインナーパネルを有する2次側筐体部分とを備え、2次熱媒体流路切替装置組立品を、1次熱媒体側組立品よりも上側に配置して組み合わせて構成する。
【発明の効果】
【0011】
この発明の熱媒体変換装置によれば、熱交換器及び2次熱媒体送出装置を有する1次熱媒体側組立品と2次熱媒体流路切替装置を有する2次熱媒体流路切替装置組立品とを、2次熱媒体流路切替装置組立品側を上側にして熱媒体変換装置を組み立てて作製するようにしたので、例えば1次熱媒体側の部品を下側から取り外すことができ、メンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態における全体構造図である。
【図2】この発明の実施の形態における筐体部品のみの分解図である。
【図3】この発明の実際の形態における熱媒体が循環する回路の概略図である。
【図4】この発明の実施の形態における1次熱媒体側組立品の構造図である。
【図5】この発明の実施の形態における2次熱媒体流路切替装置組立品の構造図である。
【図6】この発明の実施の形態における2次熱媒体流路切替装置の全体構造図である。
【図7】この発明の実施の形態における2次熱媒体流路切替装置組立品の筐体部品のみの構造図である。
【図8】この発明の実施の形態における組立品単位の構造図である。
【図9】この発明の実際の形態における簡易ジョイント13の詳細構造図である。
【図10】この発明の実施の形態におけるメンテナンス時の1次熱媒体側組立品の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、この発明の実施の形態について説明する。ここで、図1を含めて、以下の図面においては、各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0014】
図1はこの発明の実施の形態に係る熱媒体変換装置の全体構造図である。まず、機能部品の構成について説明する。本実施の形態の熱媒体変換装置は、熱交換器1a、1b、1c及び1d、2次熱媒体送出装置2a及び2b、並びに2次熱媒体流路切替装置3を機能部品として有している。熱交換器1a、1b、1c、1dは、室外機11から送出される冷媒等の1次熱媒体との熱交換により、2次熱媒体を加熱または冷却する。ここでは、熱交換器1a、1bと熱交換器1c、1dとに分散して設置し、例えば一方を加熱側熱交換器とし、他方を冷却側熱交換器とする。場合によっては両方とも2次熱媒体を加熱、冷却を行うようにすることもできる。また、ここでは、熱交換器1a、1b、1c、1dの4台の熱交換器を有して構成しているがこれに限定する必要はない。例えば、本実施の形態の熱媒体変換装置を天井等に取り付ける場合には、重量バランスをとることができれば、例えば2以上の偶数台の熱交換器で構成することができる。
【0015】
そして、例えばポンプ等で構成する2次熱媒体送出装置2a、2bは、加熱または冷却された2次熱媒体を加圧し、複数の流路のそれぞれに送出して循環させる。2次熱媒体流路切替装置3は、複数の流路からの2次熱媒体のうち、1つまたは複数の2次熱媒体を各室内機12の熱交換器に流入出させるための切り替えをそれぞれ行う。
【0016】
室外機11は、1次熱媒体を循環するために2本の配管で熱媒体変換装置と接続している。室外機11は、例えば冷媒等の1次熱媒体を循環等させるための圧縮機、凝縮器又は蒸発器となる室外側熱交換器等(図示せず)を有している。また、室内機12についても、2本の配管により熱媒体変換装置と接続している。室内機12は、例えば空調対象空間の空気と2次熱媒体との熱交換を行う利用側熱交換器等を有している。図1では、熱媒体変換装置は、1台の室内機12とを配管接続しているが、後述する2次熱媒体流路切替装置3の組数に合わせて複数台の室内機12と接続することができる。
【0017】
図2は熱媒体変換装置の筐体を構成する部品(筐体部品)のみの分解図である。筐体において、サイドパネル4a、4bは、例えば側面壁として筐体側面を覆う。フレーム5a、5b、5c、5dはサイドパネル4a、4bの間を接続する骨組みとなる。フレーム5a、5bは上部側のフレームとなり、5c、5dは下部側のフレームとなる。インナーパネル6a、6bは、例えば2次熱媒体流路切替装置3を支えるため、サイドパネル4a、4bよりも内側(中心側)に設けられる。また、インナーパネル6a、6bは、フレーム5a、5b、5c、5dを互いに固定する役割も果たし、その結果、筐体全体を格子状にすることで補強がなされ、剛性を確保することができる。
【0018】
支え板7a、7b、7c、7dは、例えば図1に示す熱交換器1a、1b、1c及び1dを支える。また、支え板7a、7bがフレーム5aと5bとの間を固定し、支え板7c、7dがフレーム5cと5dとの間を固定してフレーム間をより強固に固定して筐体を補強する。ドレンパン8は、筐体内に発生した結露水を受ける。底パネル9はドレンパン8を支え、例えば底面壁となる底板である。サイドパネル4a、4bに取り付けられた吊金具10a、10b、10c及び10dは、熱媒体変換装置を上面側から天井に固定設置するための金具である。
【0019】
図3は本実施の形態の熱媒体熱交換器を利用した空気調和装置における熱媒体が循環する回路の概略を示す図である。次に各熱媒体の流れについて説明する。まず、1次熱媒体は、室外機11にて放熱または吸熱して熱媒体変換装置に流入する。そして、熱交換器1a、1b、1c、1dにおける熱交換により2次熱媒体を加熱または冷却した後に熱媒体変換装置から流出して、再び室外機11に戻る流れとなっている。また、2次熱媒体は、2次熱媒体送出装置2a、2bによって、熱媒体変換装置と室内機12との間を循環する。このとき、熱交換器1a、1b、1c、1dにおいて1次熱媒体により加熱または冷却される。そして、2次熱媒体流路切替装置3を経て、1つまたは複数の室内機12の利用側熱交換器にて、熱交換器により対象空間の空気に放熱または吸熱した後、2次熱媒体流路切替装置3を経て、再び熱交換器1a、1b、1c、1dに戻る流れとなっている。ここで、後述するように、熱交換器1a、1b、1c、1dと2次熱媒体流路切替装置3との間の配管接続は簡易ジョイント13で行われる。
【0020】
次に、本実施の形態の熱媒体変換装置の組立方法について説明する。前述の通り、熱媒体変換装置内には、2種類の熱媒体が流れるが、1次熱媒体は高圧ガスが圧縮されて熱媒体回路に封入された冷媒等である。このため、室外機11との間を金属配管で接続し、熱媒体変換装置内における配管及び機能部品を接合する際には、ろう付けを行う必要がある。
【0021】
これに対し、例えば、2次熱媒体流路切替装置3を構成する機能部品は、殆どの場合、外郭を樹脂材料によって製作している。このため、ろう付け時のバーナー等による炎が触れた場合に焼損する可能性がある。また、2次熱媒体流路切替装置3を構成する機能部品の内部に切替弁を有しているため、ろう付部に生じた酸化皮膜が混入すると動作不良を起こす可能性もある。更に、例えば2次熱媒体流路切替装置3の水密検査等の際に、1次熱媒体側の試験圧力を誤って掛けた場合、圧壊する危険もあることから、2次熱媒体流路切替装置3の組み立て、水密検査等は、1次熱媒体側の機能部品の組み立て、気密検査等とは別々に行う方が望ましい。
【0022】
図4は1次熱媒体側組立品の構造図である。まず、本実施の形態における1次熱媒体側組立品の部品構成と組立方法について説明する。1次熱媒体側組立品は、熱交換器1a、1b、1c及び1d、2次熱媒体送出装置2a及び2b、1次側筐体部分となるサイドパネル4a及び4b、フレーム5c及び5d、支え板7c及び7d並びに、吊金具10a、10b、10c及び10dを有している。
【0023】
支え板7c、7dは、サイドパネル4a、4b寄りにそれぞれ配置されている。例えば支え板7c、7d上に載る熱交換器1a、1b、1c、1dは重量部品である。また、図1等に示すように熱媒体変換装置は横長の直方体形状(接続する室内機12の数が多いほど長くなる)である。このため、熱媒体変換装置の中央寄りに重量部品を配置すると、直方体頂点に近い位置に設けた吊金具10a、10b、10c、10dにより、例えば天井に取り付けて設置する際、フレーム5c、5dに負担が掛り、撓みが発生する等、装置自体が変形する可能性がある。そこで、本実施の形態では、支え板7c、7dをサイドパネル4a、4b寄りに配置して熱交換器1a、1b、1c、1dによる荷重を分散させている。また、熱交換器1a、1b、1c、1dを熱媒体変換装置の両端にそれぞれ配置することで、バランスを保つようにし、熱媒体変換装置の重心位置を中央に保つことができ、保管中の荷崩れや、フォークリフト等による、送中の落下トラブル等を防止する役割も果たしている。
【0024】
次に1次熱媒体組立品の組み立て方法の一例について説明する。まず、サイドパネル4a、4bに、吊金具10a、10b、10c、10dを取り付ける。そして、サイドパネル4a、4b間にフレーム5c、5dを取り付けた後、支え板7c、7dを取り付けて1次熱媒体側組立品に係る筐体部分が完成する。
【0025】
次に、支え板7c、7dの上に、熱交換器1a、1b、1c、1dを載せて(取り付けて)、熱交換器1a、1b、1c、1dの配管接続口と配管とをろう付けする。その後、フレーム5c、5dに2次熱媒体送出装置2a、2bを取り付ける。そして、熱交換器1a、1b、1c、1dと接続配管を含む1次側熱媒体が循環する回路に対して気密検査等を行い、1次熱媒体側組立品を完成させる。
【0026】
ここで、サイドパネル4a、4bを1次熱媒体側組立品として構成し、組み立てを行う理由について説明する。例えば天井に吊された熱媒体変換装置において、1次熱媒体側組立品をメンテナンスしやすくするため、熱交換器1a、1b、1c、1dを熱媒体変換装置の下側に配置している。このため、熱交換器1a、1b、1c、1dの下側にある配管接続口と配管とをろう付けをする際に、バーナーの炎を当てにくくなる。フレーム5c、5d及び支え板7c、7dだけでなく、サイドパネル4a、4bを取り付けて組み立てることで、1次熱媒体側組立品の剛性が上がり、例えば熱交換器1a、1b、1c、1dの下側にある配管接続口と配管とをろう付けをする際、組立品を作業台より浮かせる(持ち上げる)ことができる。このため、組立作業性を上げることができる冶具の役割を果たし、配管接続口と配管とをろう付けする際にバーナーの炎を当て易くすることができる。
【0027】
図5は2次熱媒体流路切替装置組立品の構造図である。次に、本実施の形態における2次熱媒体流路切替装置組立品の部品構成と組立方法について説明する。2次熱媒体流路切替装置組立品は、2次熱媒体流路切替装置3並びに、2次側筐体部分となるフレーム5a及び5b、インナーパネル6a及び6b並びに支え板7a及び7bから構成されている。
【0028】
図6は2次熱媒体流路切替装置3の全体構造図である。本実施の形態の2次熱媒体流路切替装置3は、例えば切り替え手段となる2つの三方弁3a、3bと、1つの流量調整弁3cとを組み合わせたものを1組として、複数組がフレーム5aなどの方向に対して並行となるように並べられて構成している。図6では8組を並べて構成しているが、並べる組数は、室内機12を接続できる台数によって決められるものであるので、並べられる組数を8組に限定するものではない。また、流量調整弁3cは三方弁3bと接続しているが、三方弁3aと接続するようにしてもよい。そして、三方弁3a、3bのうち、二つの弁にはそれぞれヘッダー(配管)3d、3e、3f、3gが接続されている。これにより、異なる組の同じ機能(加熱された2次熱媒体の流入、流出、冷却された2次熱媒体の流入、流出)の弁は、ヘッダー3d、3e、3f、3gを介して連通することとなる。
【0029】
このとき、フレーム5aなどの方向に対して、三方弁3a、3bと流量調整弁3cとは全て一列には並んでおらず、三方弁3aのみを他の二つの弁より半ピッチずれるようにし、いわゆる千鳥状に配置するようにしている。例えば、図1に示す室内機12との間で2次熱媒体が流入する配管、流出する配管が、三方弁3aと三方弁3b及び流量調整弁3cとにそれぞれ接続される。ここで、例えば熱媒体変換装置を天井に取り付けて設置している場合には、メンテナンス等は、後述するようにドレンパン8を取り外して行うことになる。作業者が下側から見上げた際、例えば、配管同士が重なって天井に近い方の配管が見えなくなることを防ぐため、千鳥状に配置することで、三方弁3a等、配管等を見えやすくし、確認等を行いやすいようにしている。
【0030】
次に2次熱媒体流路切替装置3を組み立てる場合について説明する。まず、三方弁3bと流量調整弁3cとを接続し、三方弁3aと共に、ヘッダー3d、3e、3f、3gに取り付けていくのだが、全て手作業で行うのは効率が悪い。そこで、治具を用いて全てのヘッダー3d、3e、3f、3gを定位置に固定し、そこに、三方弁3aと、三方弁3b及び流量調整弁3cを組み合わせたものとをヘッダー3d、3e、3f、3gに取り付けていくことになる。ここで、フレーム5a及び5b、インナーパネル6a及び6b並びに支え板7a及び7bをあらかじめ組み立てておくことで、2次熱媒体流路切替装置3を製作する際の作業用の治具とすることができる。
【0031】
図7は2次熱媒体流路切替装置組立品の筐体部品のみの構造図である。図7はフレーム5a及び5b、インナーパネル6a及び6b並びに支え板7a及び7bの位置関係を表している。まず、ヘッダー3d、3e、3f、3gをインナーパネル6a、6bに設けられた開口穴に通す。ここで、インナーパネル6a、6bの間隔はヘッダー3d、3e、3f、3gの長さよりも短くして、ヘッダー3d、3e、3f、3gを各インナーパネル6a、6bに掛けられる構造となっている。
【0032】
また、ヘッダー3d、3e、3f、3gを開口穴に通した時点で、ヘッダー間のピッチが、2次熱媒体流路切替装置3を組み立てる際に必要なピッチとすると、ここに、三方弁3a並びに、三方弁3bと流量調整弁3cとを組み合わせたものをヘッダーに取り付けていけば、2次熱媒体流路切替装置3を完成させることができる。また、例えばこのまま水密検査等を完了させることができる。このようにして、フレーム5a、5bに支え板7a、7bを取り付け、2次熱媒体流路切替装置3を支えるインナーパネル6a、6bを取り付けることで2次熱媒体流路切替装置組立品に係る筐体部分が完成する。
【0033】
図8は1次熱媒体組立品、2次熱媒体流路切替装置組立品、ドレンパン8及び底パネル9の組立構造図である。次に、図4に示す1次熱媒体側組立品、図5に示す2次熱媒体流路切替装置組立品、ドレンパン8及び底パネル9の組み立てについて説明する。まず、1次熱媒体側組立品のサイドパネル4a、4b及びフレーム5c、5dと、2次熱媒体流路切替装置組立品のフレーム5a、5b及びインナーパネル6a、6bとを固定する。このとき、図4に示す1次熱媒体側組立品の支え板7c、7dと、図5に示す2次熱媒体流路切替装置組立品の支え板7a、7bとにより、熱交換器1a、1b、1c、1dを挟み込んで固定する。
【0034】
次に、図3に示すように、2次熱媒体流路切替装置3(ヘッダー3d、3e、3f及び3g)、熱交換器1a、1b、1c及び1d、2次熱媒体送出装置2a及び2bの間を配管で接続する。このとき、接続には簡易ジョイント13を用いることにより、メンテナンス時において容易に着脱できるようにする。
【0035】
図9は簡易ジョイント13の詳細構造図である。簡易ジョイント13は、端部をフランジ形状とした双方の配管と、Oリング13a、13bを外周に取り付けたカラー(collar)13c、バンド13dから構成されている。
【0036】
次に、取り付け方法について説明する。まず、カラー13cを双方の配管の中に挿入する。このとき、外周に取り付けられたOリング13a、13bが双方の配管内面とカラー13cとの隙間をシールし、カラー13cが配管より抜けない限り、水密性を維持するようにする。このとき、双方の配管端面のフランジ部は互いに密着状態となっており、ここにバンド13dを取り付ける。バンド13dにはスリットが設けられており、バンド13dを取り付けると双方の配管のフランジ部分がスリットの間で挟み込まれて固定される。スリットが密着した双方配管のフランジ部に引っ掛かり、配管同士が離れなくなるため、バンド13dを外さない限り、配管が離れてカラー13cが抜けるなどして水が漏れ出すことがなくなる。バンド13dは自身の弾性力にて配管とは周方向で密着している。例えば2次熱媒体の液圧が、配管の剛性よりもはるかに低い状態であれば、バンド13dが開く方向に配管が変形することはなく、ただ、スリットで固定している双方の配管のフランジ部が離れないようにできさえすればよい。このため、バンド13dの弾性力は、人間の指の力で容易に着脱できる程度のものとなっている。この簡易ジョイント13を、ヘッダー3d、3e、3f、3g、2次熱媒体送出装置2a、2b、熱交換器1a、1b、1c、1dとの間の配管接続に用いることで、2次熱媒体流路切替装置3のみを配管回路から容易に分割することができる。
【0037】
最後にドレンパン8を底パネル9に載せ、底パネル9を、図4等に示すサイドパネル4a、4bと固定する。そして、図7に示す簡易ジョイント13で接続した配管の水密検査を行う。このようにして、熱媒体変換装置を組み立てる。
【0038】
このように本実施の形態の熱媒体変換装置では、ドレンパン8と底パネル9とを、組み立ての最終工程にて取り付けることができる構造としている。これは、熱媒体変換装置が狭小設計のため、組み立ての工程が進むにつれ、装置内部に手が入りにくい状況になることから、底面からも作業可能とすることで、作業性を維持するためである。また、ドレンパン8、底パネル9を組み立ての最終工程に取り付けられる構造とすることで、メンテナンスの際、一番最初に外すことができるし、装置内部を底面側から一望することができるため、メンテナンス前の故障箇所の確認を容易にすることも可能となる。
【0039】
次に、本実施の形態の熱媒体変換装置について、天井に設置された後に、1次熱媒体側組立品を構成する1次熱媒体側の機能部品のメンテナンスが必要になった場合のメンテナンス方法等について説明する。ここで、熱媒体変換装置は、図8等で示す吊金具10a、10b、10c、10dを介して、現地の天井より出されたボルト等に、ナット等で締結されることで設置されている。
【0040】
1次熱媒体側組立品のメンテナンスを行うために組み立てられた熱媒体変換装置の分解手順としては、まず、図8に示す底パネル9と、サイドパネル4a、4bとの固定を外し、ドレンパン8と底パネル9を取り外す。次に、図7に示す2次熱媒体流路切替装置3(ヘッダー3d、3e、3f及び3g)と、熱交換器1a、1b、1c及び1d、2次熱媒体送出装置2a及び2bとを配管接続している簡易ジョイント13を外す。そして、サイドパネル4a、4bとフレーム5c、5d、インナーパネル6a、6bとフレーム5c、5dの固定を外す。
【0041】
図10は分解に係る1次熱媒体側組立品の構造を示す図である。図10に示すように、熱交換器1a、1b、1c、1d、フレーム5c、5d、支え板7c、7d、2次熱媒体送出装置2a、2bの構成となるように取り外す。
【0042】
このため、取り外す1次熱媒体側組立品の部品構成は、図4とは異なり、サイドパネル4a、4bは含めない。こうすることにより、吊金具10a、10b、10c、10dに固定されたサイドパネル4a、4bを、図5に示す2次熱媒体流路切替装置組立品のフレーム5a、5bを支えるために残すことができる。この結果、本実施の形態の熱媒体変換装置においては、2次熱媒体流路切替装置3を天井に残した状態で、1次熱媒体側の機能部品のみを天井から降ろすことができる。したがって、2次熱媒体流路切替装置3に接続された、図1の室内機12との配管及び断熱材を外さなくてもよく、メンテナンス完了までの復旧時間を短縮することができる。
【0043】
ここで、この構造を可能にするためには、2次熱媒体流路切替装置3を、熱媒体変換装置の最上部に配置し、1次熱媒体側の機能部品を取り外す妨げにならないような構造にすることが必要となる。
【0044】
以上のように、本実施の形態の熱媒体変換装置によれば、熱交換器1a、1b、1c、1d、及び2次熱媒体送出装置2a、2bを有する1次熱媒体側組立品と2次熱媒体流路切替装置3を有する2次熱媒体流路切替装置組立品とを、2次熱媒体流路切替装置組立品側を上側にして組み立て、組み合わせて構成するようにしたので、例えばメンテナンス時において、1次熱媒体側組立品と2次熱媒体流路切替装置組立品とを容易に分割(分離)することができる。特に、2次熱媒体流路切替装置組立品を1次熱媒体側組立品よりも上側に配置することで、例えば天井等に吊り下げた場合に、取り外しに手間がかかる1次熱媒体側の部品を下側から容易に取り外す等を行うことができ、メンテナンスを容易に行うことができる。さらに、重量部品となる複数の熱交換器1a、1b、1c及び1dを装置両端部分に設置するようにしたので、荷重を分散させるようにし、また、装置におけるバランスを保つようにすることができる。そして装置組み立ての最終工程においてドレンパン8及び底パネル9を1次熱媒体側組立品に取り付けるようにしたので、例えばメンテナンスの際、最初に取り外し等を行うことができ、分解時間の短縮をはかることができる。
【0045】
また、熱媒体変換装置設置後に1次熱媒体側組立品を取り外すような場合に、吊金具10a、10b、10c、10dを有するサイドパネル4a、4bを、2次熱媒体流路切替装置組立品とともに残しておくことができるので、2次熱媒体流路切替装置組立品を天井に設置したままにしておくことができる。さらに、フレーム5a等の設置方向に対して、切り替え手段となる三方弁3a、3bとを、いわゆる千鳥状となるように配置するようにしたので、メンテナンス等において、下側から2次熱媒体流路切替装置3をみたときに、三方弁3a等、配管等を見えやすく、確認等を行いやすくすることができる。そして、2次熱媒体流路切替装置3、熱交換器1a、1b、1c及び1d、2次熱媒体送出装置2a及び2bの間の配管を、簡易ジョイント13を用いて、カラー13cを挿入し、バンド13dにより配管接続部分のフランジを挟み込んで接続するようにしたので、例えばメンテナンス時において配管を容易に着脱することができる。
【0046】
また、フレーム5a及び5b、インナーパネル6a及び6b並びに支え板7a及び7bを組み立てて、2次熱媒体流路切替装置3を製作する際の治具とすることができるので、新たな治具を作製等する必要がなく、また、組み立て時間の短縮をはかる等することができる。また、1次熱媒体側組立品と2次熱媒体流路切替装置組立品とを別個に構成して組み合わせて装置を製造するようにしたので、それぞれ個別に気密検査、水密検査等を行うことができるので、検査時間、製造時間の短縮、検査の安全性、歩留まりの向上等をはかることができる。
【符号の説明】
【0047】
1a、1b、1c、1d 熱交換器、2a、2b 2次熱媒体送出装置、3 2次熱媒体流路切替装置、3a、3b 三方弁、3c 流量調整弁、3d、3e、3f、3g ヘッダー、4a、4b サイドパネル、5a、5b、5c、5d フレーム、6a、6b インナーパネル、7a、7b、7c、7d 支え板、8 ドレンパン、9 底パネル、10a、10b、10c、10d 吊金具、11 室外機、12 室内機、13 簡易ジョイント、13a、13b Oリング、13c カラー、13d バンド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次熱媒体側組立品と2次熱媒体流路切替装置組立品とを有し、
前記1次熱媒体側組立品は、
配管接続された室外機との間で循環する1次熱媒体と配管接続された室内機との間で循環する2次熱媒体とを熱交換させる熱交換器と、
前記室内機との間で循環させるための前記2次熱媒体の加圧を行う2次熱媒体送出装置と、
装置側面を覆うサイドパネル、該サイドパネル間をつなぎ、前記2次熱媒体送出装置が取り付けられる下部側のフレーム及び前記熱交換器を載置するための下部側の支え板を有する1次側筐体部分とを備え、
また、前記2次熱媒体流路切替装置組立品は、
複数の流路を流れる前記2次熱媒体を選択又は混合して前記室内機に流入出させるための2次熱媒体流路切替装置と、
前記サイドパネル間をつなぐ上部側のフレーム、前記熱交換器を固定するための上部側の支え板及び前記上部側のフレームに取り付けられ、前記2次熱媒体流路切替装置を支えるためのインナーパネルを有する2次側筐体部分とを備え、
前記2次熱媒体流路切替装置組立品を、前記1次熱媒体側組立品よりも上側に配置して組み合わせて構成することを特徴とする熱媒体変換装置。
【請求項2】
前記サイドパネルは、装置を上側から設置可能に取り付けるための吊金具を有し、前記2次熱媒体流路切替装置組立品を吊金具で取り付けた位置に保持可能とするために前記1次熱媒体側組立品と着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載の熱媒体変換装置。
【請求項3】
前記2次側筐体部分は、前記2次熱媒体流路切替装置を製作する際の治具となることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱媒体変換装置。
【請求項4】
前記熱交換器又は前記2次熱媒体送出装置と前記2次熱媒体流路切替装置との間の配管接続部分にフランジを有し、
Oリングを外側に取り付けたカラーを前記配管接続部分に挿入して各配管を接続し、さらに、スリットを有するバンドにより、前記スリットで各配管接続部分のフランジを挟み込み、前記配管同士を接続固定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱媒体変換装置。
【請求項5】
装置組み立ての最終工程において前記1次熱媒体側組立品の下側に取り付けられる筐体内に発生した水を受けるドレンパン及び該ドレンパンを支える底パネルが取り付けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱媒体変換装置。
【請求項6】
複数の前記熱交換器が、前記サイドパネル内側の装置両端部分となる位置に分かれて配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱媒体変換装置。
【請求項7】
2次熱媒体流路切替装置は、前記2次熱媒体が流入する配管と接続する切り替え手段と前記2次熱媒体が流出する配管と接続する切り替え手段とを、前記フレームの方向において千鳥状となるように配置することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱媒体変換装置。
【請求項8】
前記1次熱媒体側組立品における気密検査と前記2次熱媒体流路切替装置組立品における気密検査とを行ってから組み立てることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱媒体変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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