熱安定性かつ耐食性の鋳造ニッケル−クロム合金
0.8%までの炭素、1%までのケイ素、0.2%までのマンガン、15%〜40%のクロム、0.5%〜13%の鉄、1.5%〜7%のアルミニウム、2.5%までのニオブ、1.5%までのチタン、0.01%〜0.4%のジルコニウム、0.06%までの窒素、12%までのコバルト、5%までのモリブデン、6%までのタングステン、および0.01%〜0.1%のイットリウム、残りはニッケルを含む、ニッケル−クロム鋳造合金は、浸炭性雰囲気および酸化性雰囲気での1130℃を超える温度においてさえも、浸炭および酸化に対して高い耐性を有し、ならびに、特にクリープ破断強度において高い熱安定性を有する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
高温プロセス(例えば、石油化学産業において使用される高温プロセス)は、熱耐性であるだけでなく、十分に耐食性でもあり、特に、熱い製品および燃焼ガスによってかけられる負荷に耐え得る材料を必要とする。例えば、クラッキング炉および改質機炉において使用されるチューブコイルは、1100℃までの温度およびそれを超える温度の、強力に酸化する燃焼ガスに外面的に曝露される。1100℃までの温度にある強力な浸炭性雰囲気は、クラッキングチューブの内部に広がり、そして弱く浸炭するが、それとは異なって、酸化性雰囲気は、900℃までの温度および高圧において改質機チューブの内部に広がる。さらに、熱い燃焼ガスとの接触は、チューブ材料の窒化およびスケール層の形成をもたらす。これは、チューブの外部直径の数%の増加、および壁厚さの10%までの減少に関連する。
【0002】
対照的に、チューブ内の浸炭性雰囲気は、チューブ材料の中へ炭素を拡散させ、ここで、900℃を超える温度において、この浸炭性雰囲気は、カーバイド(例えば、M23C6)の形成をもたらし、そして浸炭が増加すると、炭素リッチなカーバイドM7C3の形成をもたらす。この結果は、チューブ材料のカーバイド形成または変形に関連する体積の増加、ならびにチューブ材料の強度および延性の減少に起因する内部応力である。さらに、黒鉛または解離炭素は、チューブ材料の内部に形成し得、これは、内部応力と組み合わせると、割れの形成をもたらし得、これは次に、チューブ材料の中により多い炭素を拡散させ得る。
【0003】
結果として、高温プロセスは、高いクリープ強度または限界破断応力、微細構造の安定性、ならびに浸炭および酸化に対する耐性を有する材料を必要とする。この必要性は、制限内で、合金によって満たされる。この合金は、鉄に加えて、20%〜35%のニッケル、20%〜25%のクロム、そして浸炭に対する耐性を向上させるために、1.5%までのケイ素を含み(例えば、ニッケル−クロム鋼合金35Ni25Cr−1.5Si)、これは、遠心鋳造チューブに適切であり、そして1100℃の温度においてさえも、酸化および浸炭に対してさらに耐性である。高いニッケル含量は、炭素の拡散速度および溶解度を減少させ、これによって、浸炭に対する耐性を増大させる。
【0004】
これらのクロム含量のために、比較的高い温度および酸化条件下で、この合金はCr2O3の被覆層を形成し、この被覆層は、この被覆層の下のチューブ材料の中への酸素および炭素の浸透を防ぐ障壁層として作用する。しかし、1050℃を超える温度において、Cr2O3は揮発性となり、そしてその結果として、被覆層の保護作用を急速に失う。
【0005】
クラッキング条件下で、炭素堆積物はまた、チューブ内壁および/またはCr2O3被覆層に不可避的に形成され、そして炭素および蒸気の存在下での1050℃を超える温度において、酸化クロムは、炭化クロムに変換される。浸炭に対する耐性についての関連する有害な効果を減少させるために、チューブにおける炭素堆積物は、蒸気/空気混合物の助けを借りて時々燃焼されなければならず、そして操作温度は、一般的に、1050℃未満に維持されなければならない。
【0006】
浸炭および酸化に対する耐性は、従来のニッケル−クロム合金の限界クリープ破断強度および延性によってさらにリスクを負う。このリスクは、酸化クロム被覆層においてクリープ割れの形成をもたらし、そしてこの割れを介してのチューブ材料の中への炭素および酸素の浸透をもたらす。特に周期的な温度負荷の事象において、被覆層の割れが形成され得、そしてまた、この被覆層が部分的に剥落し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
試験は、特に、より高いケイ素含量(例えば、2.5%を超える)における微細構造相の反応が、明らかに、延性の損失および短時間の強度の減少をもたらすことを明らかにした。
【0008】
この根拠に取り組むことで、本発明は、増加した浸炭および酸化というさらなる結果を伴いながら、浸炭(クリープ破断強度または限界破断応力の産生)の損害機構(内部酸化)を阻害する目的、ならびに、浸炭性雰囲気および/または酸化性雰囲気における極度に高い操作温度下でさえ、妥当な耐用年数をさらに有する鋳造合金を提供する目的を追求する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、規定されたアルミニウム含量およびイットリウム含量を有する、ニッケル−クロム鋳造合金の助けを借りてこの目的を達成する。詳細には、本発明は、以下を含む鋳造合金を含む:
0.8%までの炭素
1%までのケイ素
0.2%までのマンガン
40%までのクロム
0.5%〜13%の鉄
1.5%〜7%のアルミニウム
2.5%までのニオブ
1.5%までのチタン
0.01%〜0.4%のジルコニウム
0.06%までの窒素
12%までのコバルト
5%までのモリブデン
6%までのタングステン
0.01%〜0.1%のイットリウム
残りはニッケル。
【0010】
合金中で組み合わされるニッケル、クロムおよびアルミニウムの含量合計は、80%〜90%であるべきである。
【0011】
合金について、酸化に対する高い耐性が主要な要因でない場合、個々に、または互いに組み合わせて、最大0.7%の炭素、30%までのクロム、12%までの鉄、2.2%〜6%のアルミニウム、0.1%〜2.0%のニオブ、0.01%〜1.0%のチタン、0.15%までのジルコニウム、そして高いクリープ破断強度を達成するために、10%までのコバルト、少なくとも3%のモリブデン、および5%までのタングステン(例えば、4%〜8%のコバルト、4%までのモリブデン、および2%〜4%のタングステン)を含むことが好ましい。従って、特定の状況でかけられる負荷に依存して、コバルト、モリブデンおよびタングステンの含量は、本発明によって特定される含量限界の範囲内で選択されるべきである。
【0012】
最大0.7%の炭素、最大0.2%の、より好ましくは最大0.1%のケイ素、0.2%までのマンガン、18%〜30%のクロム、0.5%〜12%の鉄、2.2%〜5%のアルミニウム、0.4%〜1.6%のニオブ、0.01%〜0.6%のチタン、0.01%〜0.15%のジルコニウム、最大0.6%の窒素、最大10%のコバルト、および最大5%のタングステンを含む合金が、特に適切である。
【0013】
最適な結果は、各々、個々の場合、または互いに組み合わせた場合において、クロム含量が最大26.5%であり、鉄含量が最大11%であり、アルミニウム含量が3%〜6%であり、チタン含量が0.15%を超え、ジルコニウム含量が0.05%を超え、コバルト含量が少なくとも0.2%であり、タングステン含量が0.05%を超え、そしてイットリウム含量が0.019%〜0.089%である場合に達成され得る。
【0014】
本発明に従う合金の高いクリープ破断強度(例えば、4MPa〜6MPaの負荷および1200℃の温度下での2000時間の耐用年数)は、連続的にしっかりと付着した酸化障壁層が、浸炭および酸化を防ぐ効果を有し、この合金の高いアルミニウム含量に起因し、そしてこの合金自体の上部を覆い続けるか、または増大し続ける、Al2O3層の形態で保持されることを保証する。試験が示したように、この層は、α−Al2O3を含み、そして混合酸化物の最大の独立スポット(このスポットは、α−Al2O3層の本質的な性質を変質しない)を含む。より高い温度において(特に1050℃を超える温度)、これらの温度において従来の材料のCr2O3層の安定性が急速に低下することを考慮すると、このAl2O3層は、浸炭および酸化から本発明に従う合金を保護することにますます責任がある。Al2O3障壁層上には、酸化ニッケル(NiO)および混合酸化物(Ni(Cr,Al)2O4)の被覆層もまた、(少なくとも部分的に)存在し得る。しかし、この被覆層の状態およびこれらの含量は、非常に重要というわけではない。なぜなら、下のAl2O3障壁層が酸化および浸炭からこの合金を保護することを担うからである。従って、より高い温度において起こる被覆層における割れ、および被覆層の(部分的な)剥落は、無害である。
【0015】
α−アルミニウム酸化層が、可能な限り純粋であり、そして実質的に混合酸化物を含まないことを確かめるために、以下の条件が満たされるべきである:
9[%Al]≧[%Cr]。
【0016】
この高いアルミニウム含量に起因して、本発明に従う合金の微細構造は、4%を超えるアルミニウムにおいてγ’相を不可避的に含み、これは、低温および中程度の温度において強化作用を有するが、しかしまた、破壊時の延性または伸びを減少させる。従って、個々の場合において、延性と酸化/浸炭に対する耐性との間で妥協点を見出すことが必要であり得、これは、意図される使用に従って適応される。
【0017】
最も安定なAl2O3の改良物であるα−Al2O3を含む本発明に従う障壁層は、全ての酸素濃度に耐え得る。
【実施例】
【0018】
本発明は、例示的な実施形態に基づいて以下でより詳細に説明される。7個の比較例合金1〜7および本発明に従う9個の合金8〜26が、以下の表に記載され、そしてまた、図が図1〜図16に示される。
【0019】
【表1】
この表は、例として、本発明によって包含されず、比較的低い炭素含量および非常に細かく粉砕された微小構造(10μmの粒子サイズ)を有する2つの鍛錬用合金(比較例合金5および7)を含むが、残り全ての試験合金は、鋳造合金である。
【0020】
イットリウムは、強力な酸化物形成作用を有し、この作用は、本発明に従う合金において、α−Al2O3層の形成状態および付着をかなり向上させる。
【0021】
本発明に従う合金のアルミニウム含量は、アルミニウムがγ’沈殿相の形成をもたらし、このγ’沈殿相が引張り強度を有意に増大させるという、重要な役割を有する。図1および図2に提示される図から分かり得るように、本発明に従う3つの合金13、19、20の、900℃に対する降伏強度および引張り強度は、4つの比較例合金の対応する強度を優に上回っている。この強度は、比較例合金のレベルに達するが(図1、図2)、図3に提示される図から分かり得るように、本発明に従う合金の破壊時の伸びは、比較例合金の破壊時の伸びに実質的に対応し;これは、およそ900℃より上でかなり増加する。これは、およそ900℃より上でγ’相が溶液を形成し始め、そしておよそ1000℃より上で完全に溶解するという事実によって説明され得る。
【0022】
異なるアルミニウム含量を有する本発明に従う合金の限界破断強度は、図4に示されるLarson−Miller図に提示される。絶対温度(T(°K))および破壊までの耐用年数(tB(時間))は、Larson−MillerパラメーターLMPによって互いに結び付けられる:
LMP=T・(C+log10(tB))
表4に提示される例示に従うと、異なるアルミニウム含量は、破壊までの異なる耐用年数をもたらす。本発明に従う合金の限界破断応力は、従来の酸化耐性鍛錬用合金の破断応力よりもかなり優れている(図5)。本発明に従う合金が、従来の遠心鋳造材料と比較される場合、約1100℃の温度範囲において、破壊までの同様の耐用年数が観察される。
【0023】
約1200℃の範囲(すなわち、より大きいLarson−Millerパラメーターを有する)において、従来の遠心性鋳造材料について公知の耐用年数データはないが、本発明に従う合金については、1000時間の耐用年数について、組成に依存して、5.8MPa〜8.5MPaの限界破断応力がさらに観察される。
【0024】
水素および5体積%のCH4を含むわずかに酸化性の雰囲気において種々の試験片の浸炭に対する耐性を試験した、さらなる試験は、1100℃の温度において4つの標準的な合金と比較した、本発明に従う合金の優位性を明らかにする。長期間の性能は、特に重要である。この試験結果は、図7に示される図中のグラフ形式に提示される。この図から、本発明に従う2つの合金8および14は、時間経過に亘って一定のままである浸炭耐性を有し、3.55%のアルミニウムを含む合金14の場合において、この浸炭耐性は、ただ2.30%だけのアルミニウム含量を有する合金8の場合よりもさらによいことが分かり得る。図8に提示される図は、より低いアルミニウム含量を有する4つの標準的な合金1、3、4および6と比較して、2.40%のアルミニウムを含む本発明に従う合金11について、重量の増加に従う時間経過に亘った浸炭を示す。この図は、本発明に従う合金の優位性を同様に明らかにする。
【0025】
実際の条件をシミュレートするために、周期的な浸炭試験を実施した。この試験において、試験片を、4.7体積%のCH4および6体積%の蒸気と一緒に水素を含む雰囲気で、1100℃の温度で45分間、次いで室温で15分間、交互に保持した。この試験の結果(各々500サイクルを含む)は、図9に提示される図に示される。本発明に従う試験片8、試験片14は、重量変化を受けなかったか、またはほんのわずかな重量変化をしたが、比較例の試験片1、3、4、6の場合、および約300サイクル直後の比較例の試験片1の場合では、スケールの形成およびこのスケールの剥落は、かなりの重量損失をもたらした。さらに、より高いアルミニウム含量を有する本発明に従う合金14は、本発明によって同様に被覆される合金8よりも良い腐食特性をもう一度明らかにする。
【0026】
乾燥空気中1150℃でこの試験片を周期的熱負荷にさらす、さらなる試験の結果は、図10に示される図に提示される。この曲線は、ほんの何回かのサイクルの後にかなりの重量損失を受けた従来の合金(曲線のうちの下のセット)と比較して、本発明に従う試験合金(曲線のうちの上部のセット)の優位性を明らかにする。この結果は、本発明に従う合金の場合において、安定な、しっかりとに付着された酸化層を示す。浸炭挙動に対する予備酸化の影響を確立するために、本発明に従う合金の10個の試験片を、低い酸素含量でアルゴンを含む雰囲気に、1240℃で24時間曝露し、次いで、5体積%のCH4を含有する水素を含む雰囲気で、1100℃の温度において16時間浸炭した。この試験結果は、図11に示される図中のグラフ形式に提示され、このグラフはまた、対応するアルミニウム含量を示す。従って、わずかに酸化させる焼きなまし処置は、アルミニウム含量が3.25%までの本発明に従う試験片(試験片14)の浸炭に対する耐性を低下させ;アルミニウム含量がさらに増加するにつれて、本発明に従って焼きなましされた合金の浸炭に対する耐性は、向上するが(試験片16〜19)、同時にこの図は、比較例試験片1(0.128%のアルミニウム)および比較例試験片4(0.003%のアルミニウム)の貧しい浸炭挙動を明白に明らかにする。より低いアルミニウム含量での浸炭に対する耐性の劣化は、焼きなまし処理後の冷却の間、それ自体保護的な酸化層が、亀裂開口するか、または(部分的に)剥落し、その結果、この亀裂の領域および剥落領域において浸炭が起こるという事実によって説明され得る。より高いアルミニウム含量において、上記のAl2O3障壁層が、この酸化層(被覆層)の下に形成される。
【0027】
実際に直面する条件に近い条件下で実施した試験において、多くの試験片は、NACE標準に従って周期的な浸炭および脱浸炭を受けた。各サイクルは、水素および2体積%のCH4を含む雰囲気での300時間の浸炭、それに続く770℃にある空気および20体積%の蒸気を含む雰囲気での24時間の脱浸炭を含んだ。この試験は、4サイクルを含んだ。本発明に従う試験片14は、いかなる重量変化もほとんど受けないが、比較例試験片1、3、4、6の場合は、かなりの重量増加または浸炭が起こり、そしてこの重量増加または浸炭は、脱浸炭の間でさえも消えなかったことは、図12に提示される図から分かり得る。
【0028】
図13に提示される図は、本発明に従う合金中の含量は、以下の条件が満たされるような点で、互いに適合されるべきであることを明らかにする:
9[%Al]≧[%Cr]。
【0029】
図13に示される図中の直線は、この直線より上側の十分に保護性のα−アルミニウム酸化層を有する合金の範囲を、混合酸化物によって悪影響が与えられる浸炭または触媒的コーキング(coking)に対する耐性を有する合金の範囲から分ける。
【0030】
図14に例示される図は、6つの例示的な実施形態21〜26を用いて従来の比較例合金1、3、4、6および7と比較することによって、本発明に従う鋼合金の優位性を明らかにする。比較例合金21〜26の組成は、表に示される。
【0031】
本発明に従う含量の限度内のアルミニウムの影響を例示するために、図15および図16に提示される図は、基準変数として2.4%のアルミニウムを含む本発明に従う合金13の耐用年数(耐用年数1を有する)と、3つの負荷状況(15.9MPa;13.5MPa;10.5MPa)について1100℃(図15)および1200℃(図16)での各々の場合において、上の基準変数に基づいて参照された、本発明に従う合金19(3.3%のアルミニウム)および本発明に従う合金20(4.8%のアルミニウム)の耐用年数とを比較する。
【0032】
図15に示される図は、3.3%の中間のアルミニウム含量を有する合金19の場合、耐用年数の減少は、負荷が増加した状態でより強くなるが、4.8%という高いアルミニウム含量を有する合金20の場合、全ての負荷状況について、相対耐用年数の強いがおよそ等しい減少があることを明らかにする。1200℃についての図は、アルミニウム含量が2.4%(合金13)から3.3%(合金19)に増加される場合、全ての3つの負荷状況について耐用年数の減少を明らかにし、相対耐用年数は、約3分の1ほど下がる。次に、4.8%(合金20)へのアルミニウム含量のさらなる増加は、相対耐用年数の負荷に依存的な減少を明らかにする。
【0033】
全体的に、2つの図は、アルミニウム含量が増加するにつれて、限界破断応力試験における破壊までの耐用年数が、減少することを明らかにする。さらに、温度が上昇し、負荷の持続期間が長くなり、そして/または負荷レベルが減少するにつれて、限界破断応力年数に対するアルミニウムの負の影響は減少する。すなわち:高いアルミニウム含量を有する合金は、鋳造材料または遠心性鋳造材料を使用することが今まで不可能とされてきた温度での長期間の使用に特に適切である。
【0034】
これらの優れた強度特性ならびに浸炭および酸化に対するこれらの優れた耐性を考慮して、本発明に従う鋳造合金は、炉部品のための材料、加熱炉のための放射チューブ、焼きなまし炉のためのローラー、連続鋳造装置およびストリップ鋳造装置の部品、焼きなまし炉のためのフードおよびマッフル、大きなディーゼルエンジンの部品、触媒のための容器、ならびにクラッキングチューブおよび改質機チューブのための容器としての使用に特に適切である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】記載なし
【図2】記載なし
【図3】記載なし
【図4】記載なし
【図5】記載なし
【図6】記載なし
【図7】記載なし
【図8】記載なし
【図9】記載なし
【図10】記載なし
【図11】記載なし
【図12】記載なし
【図13】記載なし
【図14】記載なし
【図15】記載なし
【図16】記載なし
【背景技術】
【0001】
高温プロセス(例えば、石油化学産業において使用される高温プロセス)は、熱耐性であるだけでなく、十分に耐食性でもあり、特に、熱い製品および燃焼ガスによってかけられる負荷に耐え得る材料を必要とする。例えば、クラッキング炉および改質機炉において使用されるチューブコイルは、1100℃までの温度およびそれを超える温度の、強力に酸化する燃焼ガスに外面的に曝露される。1100℃までの温度にある強力な浸炭性雰囲気は、クラッキングチューブの内部に広がり、そして弱く浸炭するが、それとは異なって、酸化性雰囲気は、900℃までの温度および高圧において改質機チューブの内部に広がる。さらに、熱い燃焼ガスとの接触は、チューブ材料の窒化およびスケール層の形成をもたらす。これは、チューブの外部直径の数%の増加、および壁厚さの10%までの減少に関連する。
【0002】
対照的に、チューブ内の浸炭性雰囲気は、チューブ材料の中へ炭素を拡散させ、ここで、900℃を超える温度において、この浸炭性雰囲気は、カーバイド(例えば、M23C6)の形成をもたらし、そして浸炭が増加すると、炭素リッチなカーバイドM7C3の形成をもたらす。この結果は、チューブ材料のカーバイド形成または変形に関連する体積の増加、ならびにチューブ材料の強度および延性の減少に起因する内部応力である。さらに、黒鉛または解離炭素は、チューブ材料の内部に形成し得、これは、内部応力と組み合わせると、割れの形成をもたらし得、これは次に、チューブ材料の中により多い炭素を拡散させ得る。
【0003】
結果として、高温プロセスは、高いクリープ強度または限界破断応力、微細構造の安定性、ならびに浸炭および酸化に対する耐性を有する材料を必要とする。この必要性は、制限内で、合金によって満たされる。この合金は、鉄に加えて、20%〜35%のニッケル、20%〜25%のクロム、そして浸炭に対する耐性を向上させるために、1.5%までのケイ素を含み(例えば、ニッケル−クロム鋼合金35Ni25Cr−1.5Si)、これは、遠心鋳造チューブに適切であり、そして1100℃の温度においてさえも、酸化および浸炭に対してさらに耐性である。高いニッケル含量は、炭素の拡散速度および溶解度を減少させ、これによって、浸炭に対する耐性を増大させる。
【0004】
これらのクロム含量のために、比較的高い温度および酸化条件下で、この合金はCr2O3の被覆層を形成し、この被覆層は、この被覆層の下のチューブ材料の中への酸素および炭素の浸透を防ぐ障壁層として作用する。しかし、1050℃を超える温度において、Cr2O3は揮発性となり、そしてその結果として、被覆層の保護作用を急速に失う。
【0005】
クラッキング条件下で、炭素堆積物はまた、チューブ内壁および/またはCr2O3被覆層に不可避的に形成され、そして炭素および蒸気の存在下での1050℃を超える温度において、酸化クロムは、炭化クロムに変換される。浸炭に対する耐性についての関連する有害な効果を減少させるために、チューブにおける炭素堆積物は、蒸気/空気混合物の助けを借りて時々燃焼されなければならず、そして操作温度は、一般的に、1050℃未満に維持されなければならない。
【0006】
浸炭および酸化に対する耐性は、従来のニッケル−クロム合金の限界クリープ破断強度および延性によってさらにリスクを負う。このリスクは、酸化クロム被覆層においてクリープ割れの形成をもたらし、そしてこの割れを介してのチューブ材料の中への炭素および酸素の浸透をもたらす。特に周期的な温度負荷の事象において、被覆層の割れが形成され得、そしてまた、この被覆層が部分的に剥落し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
試験は、特に、より高いケイ素含量(例えば、2.5%を超える)における微細構造相の反応が、明らかに、延性の損失および短時間の強度の減少をもたらすことを明らかにした。
【0008】
この根拠に取り組むことで、本発明は、増加した浸炭および酸化というさらなる結果を伴いながら、浸炭(クリープ破断強度または限界破断応力の産生)の損害機構(内部酸化)を阻害する目的、ならびに、浸炭性雰囲気および/または酸化性雰囲気における極度に高い操作温度下でさえ、妥当な耐用年数をさらに有する鋳造合金を提供する目的を追求する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、規定されたアルミニウム含量およびイットリウム含量を有する、ニッケル−クロム鋳造合金の助けを借りてこの目的を達成する。詳細には、本発明は、以下を含む鋳造合金を含む:
0.8%までの炭素
1%までのケイ素
0.2%までのマンガン
40%までのクロム
0.5%〜13%の鉄
1.5%〜7%のアルミニウム
2.5%までのニオブ
1.5%までのチタン
0.01%〜0.4%のジルコニウム
0.06%までの窒素
12%までのコバルト
5%までのモリブデン
6%までのタングステン
0.01%〜0.1%のイットリウム
残りはニッケル。
【0010】
合金中で組み合わされるニッケル、クロムおよびアルミニウムの含量合計は、80%〜90%であるべきである。
【0011】
合金について、酸化に対する高い耐性が主要な要因でない場合、個々に、または互いに組み合わせて、最大0.7%の炭素、30%までのクロム、12%までの鉄、2.2%〜6%のアルミニウム、0.1%〜2.0%のニオブ、0.01%〜1.0%のチタン、0.15%までのジルコニウム、そして高いクリープ破断強度を達成するために、10%までのコバルト、少なくとも3%のモリブデン、および5%までのタングステン(例えば、4%〜8%のコバルト、4%までのモリブデン、および2%〜4%のタングステン)を含むことが好ましい。従って、特定の状況でかけられる負荷に依存して、コバルト、モリブデンおよびタングステンの含量は、本発明によって特定される含量限界の範囲内で選択されるべきである。
【0012】
最大0.7%の炭素、最大0.2%の、より好ましくは最大0.1%のケイ素、0.2%までのマンガン、18%〜30%のクロム、0.5%〜12%の鉄、2.2%〜5%のアルミニウム、0.4%〜1.6%のニオブ、0.01%〜0.6%のチタン、0.01%〜0.15%のジルコニウム、最大0.6%の窒素、最大10%のコバルト、および最大5%のタングステンを含む合金が、特に適切である。
【0013】
最適な結果は、各々、個々の場合、または互いに組み合わせた場合において、クロム含量が最大26.5%であり、鉄含量が最大11%であり、アルミニウム含量が3%〜6%であり、チタン含量が0.15%を超え、ジルコニウム含量が0.05%を超え、コバルト含量が少なくとも0.2%であり、タングステン含量が0.05%を超え、そしてイットリウム含量が0.019%〜0.089%である場合に達成され得る。
【0014】
本発明に従う合金の高いクリープ破断強度(例えば、4MPa〜6MPaの負荷および1200℃の温度下での2000時間の耐用年数)は、連続的にしっかりと付着した酸化障壁層が、浸炭および酸化を防ぐ効果を有し、この合金の高いアルミニウム含量に起因し、そしてこの合金自体の上部を覆い続けるか、または増大し続ける、Al2O3層の形態で保持されることを保証する。試験が示したように、この層は、α−Al2O3を含み、そして混合酸化物の最大の独立スポット(このスポットは、α−Al2O3層の本質的な性質を変質しない)を含む。より高い温度において(特に1050℃を超える温度)、これらの温度において従来の材料のCr2O3層の安定性が急速に低下することを考慮すると、このAl2O3層は、浸炭および酸化から本発明に従う合金を保護することにますます責任がある。Al2O3障壁層上には、酸化ニッケル(NiO)および混合酸化物(Ni(Cr,Al)2O4)の被覆層もまた、(少なくとも部分的に)存在し得る。しかし、この被覆層の状態およびこれらの含量は、非常に重要というわけではない。なぜなら、下のAl2O3障壁層が酸化および浸炭からこの合金を保護することを担うからである。従って、より高い温度において起こる被覆層における割れ、および被覆層の(部分的な)剥落は、無害である。
【0015】
α−アルミニウム酸化層が、可能な限り純粋であり、そして実質的に混合酸化物を含まないことを確かめるために、以下の条件が満たされるべきである:
9[%Al]≧[%Cr]。
【0016】
この高いアルミニウム含量に起因して、本発明に従う合金の微細構造は、4%を超えるアルミニウムにおいてγ’相を不可避的に含み、これは、低温および中程度の温度において強化作用を有するが、しかしまた、破壊時の延性または伸びを減少させる。従って、個々の場合において、延性と酸化/浸炭に対する耐性との間で妥協点を見出すことが必要であり得、これは、意図される使用に従って適応される。
【0017】
最も安定なAl2O3の改良物であるα−Al2O3を含む本発明に従う障壁層は、全ての酸素濃度に耐え得る。
【実施例】
【0018】
本発明は、例示的な実施形態に基づいて以下でより詳細に説明される。7個の比較例合金1〜7および本発明に従う9個の合金8〜26が、以下の表に記載され、そしてまた、図が図1〜図16に示される。
【0019】
【表1】
この表は、例として、本発明によって包含されず、比較的低い炭素含量および非常に細かく粉砕された微小構造(10μmの粒子サイズ)を有する2つの鍛錬用合金(比較例合金5および7)を含むが、残り全ての試験合金は、鋳造合金である。
【0020】
イットリウムは、強力な酸化物形成作用を有し、この作用は、本発明に従う合金において、α−Al2O3層の形成状態および付着をかなり向上させる。
【0021】
本発明に従う合金のアルミニウム含量は、アルミニウムがγ’沈殿相の形成をもたらし、このγ’沈殿相が引張り強度を有意に増大させるという、重要な役割を有する。図1および図2に提示される図から分かり得るように、本発明に従う3つの合金13、19、20の、900℃に対する降伏強度および引張り強度は、4つの比較例合金の対応する強度を優に上回っている。この強度は、比較例合金のレベルに達するが(図1、図2)、図3に提示される図から分かり得るように、本発明に従う合金の破壊時の伸びは、比較例合金の破壊時の伸びに実質的に対応し;これは、およそ900℃より上でかなり増加する。これは、およそ900℃より上でγ’相が溶液を形成し始め、そしておよそ1000℃より上で完全に溶解するという事実によって説明され得る。
【0022】
異なるアルミニウム含量を有する本発明に従う合金の限界破断強度は、図4に示されるLarson−Miller図に提示される。絶対温度(T(°K))および破壊までの耐用年数(tB(時間))は、Larson−MillerパラメーターLMPによって互いに結び付けられる:
LMP=T・(C+log10(tB))
表4に提示される例示に従うと、異なるアルミニウム含量は、破壊までの異なる耐用年数をもたらす。本発明に従う合金の限界破断応力は、従来の酸化耐性鍛錬用合金の破断応力よりもかなり優れている(図5)。本発明に従う合金が、従来の遠心鋳造材料と比較される場合、約1100℃の温度範囲において、破壊までの同様の耐用年数が観察される。
【0023】
約1200℃の範囲(すなわち、より大きいLarson−Millerパラメーターを有する)において、従来の遠心性鋳造材料について公知の耐用年数データはないが、本発明に従う合金については、1000時間の耐用年数について、組成に依存して、5.8MPa〜8.5MPaの限界破断応力がさらに観察される。
【0024】
水素および5体積%のCH4を含むわずかに酸化性の雰囲気において種々の試験片の浸炭に対する耐性を試験した、さらなる試験は、1100℃の温度において4つの標準的な合金と比較した、本発明に従う合金の優位性を明らかにする。長期間の性能は、特に重要である。この試験結果は、図7に示される図中のグラフ形式に提示される。この図から、本発明に従う2つの合金8および14は、時間経過に亘って一定のままである浸炭耐性を有し、3.55%のアルミニウムを含む合金14の場合において、この浸炭耐性は、ただ2.30%だけのアルミニウム含量を有する合金8の場合よりもさらによいことが分かり得る。図8に提示される図は、より低いアルミニウム含量を有する4つの標準的な合金1、3、4および6と比較して、2.40%のアルミニウムを含む本発明に従う合金11について、重量の増加に従う時間経過に亘った浸炭を示す。この図は、本発明に従う合金の優位性を同様に明らかにする。
【0025】
実際の条件をシミュレートするために、周期的な浸炭試験を実施した。この試験において、試験片を、4.7体積%のCH4および6体積%の蒸気と一緒に水素を含む雰囲気で、1100℃の温度で45分間、次いで室温で15分間、交互に保持した。この試験の結果(各々500サイクルを含む)は、図9に提示される図に示される。本発明に従う試験片8、試験片14は、重量変化を受けなかったか、またはほんのわずかな重量変化をしたが、比較例の試験片1、3、4、6の場合、および約300サイクル直後の比較例の試験片1の場合では、スケールの形成およびこのスケールの剥落は、かなりの重量損失をもたらした。さらに、より高いアルミニウム含量を有する本発明に従う合金14は、本発明によって同様に被覆される合金8よりも良い腐食特性をもう一度明らかにする。
【0026】
乾燥空気中1150℃でこの試験片を周期的熱負荷にさらす、さらなる試験の結果は、図10に示される図に提示される。この曲線は、ほんの何回かのサイクルの後にかなりの重量損失を受けた従来の合金(曲線のうちの下のセット)と比較して、本発明に従う試験合金(曲線のうちの上部のセット)の優位性を明らかにする。この結果は、本発明に従う合金の場合において、安定な、しっかりとに付着された酸化層を示す。浸炭挙動に対する予備酸化の影響を確立するために、本発明に従う合金の10個の試験片を、低い酸素含量でアルゴンを含む雰囲気に、1240℃で24時間曝露し、次いで、5体積%のCH4を含有する水素を含む雰囲気で、1100℃の温度において16時間浸炭した。この試験結果は、図11に示される図中のグラフ形式に提示され、このグラフはまた、対応するアルミニウム含量を示す。従って、わずかに酸化させる焼きなまし処置は、アルミニウム含量が3.25%までの本発明に従う試験片(試験片14)の浸炭に対する耐性を低下させ;アルミニウム含量がさらに増加するにつれて、本発明に従って焼きなましされた合金の浸炭に対する耐性は、向上するが(試験片16〜19)、同時にこの図は、比較例試験片1(0.128%のアルミニウム)および比較例試験片4(0.003%のアルミニウム)の貧しい浸炭挙動を明白に明らかにする。より低いアルミニウム含量での浸炭に対する耐性の劣化は、焼きなまし処理後の冷却の間、それ自体保護的な酸化層が、亀裂開口するか、または(部分的に)剥落し、その結果、この亀裂の領域および剥落領域において浸炭が起こるという事実によって説明され得る。より高いアルミニウム含量において、上記のAl2O3障壁層が、この酸化層(被覆層)の下に形成される。
【0027】
実際に直面する条件に近い条件下で実施した試験において、多くの試験片は、NACE標準に従って周期的な浸炭および脱浸炭を受けた。各サイクルは、水素および2体積%のCH4を含む雰囲気での300時間の浸炭、それに続く770℃にある空気および20体積%の蒸気を含む雰囲気での24時間の脱浸炭を含んだ。この試験は、4サイクルを含んだ。本発明に従う試験片14は、いかなる重量変化もほとんど受けないが、比較例試験片1、3、4、6の場合は、かなりの重量増加または浸炭が起こり、そしてこの重量増加または浸炭は、脱浸炭の間でさえも消えなかったことは、図12に提示される図から分かり得る。
【0028】
図13に提示される図は、本発明に従う合金中の含量は、以下の条件が満たされるような点で、互いに適合されるべきであることを明らかにする:
9[%Al]≧[%Cr]。
【0029】
図13に示される図中の直線は、この直線より上側の十分に保護性のα−アルミニウム酸化層を有する合金の範囲を、混合酸化物によって悪影響が与えられる浸炭または触媒的コーキング(coking)に対する耐性を有する合金の範囲から分ける。
【0030】
図14に例示される図は、6つの例示的な実施形態21〜26を用いて従来の比較例合金1、3、4、6および7と比較することによって、本発明に従う鋼合金の優位性を明らかにする。比較例合金21〜26の組成は、表に示される。
【0031】
本発明に従う含量の限度内のアルミニウムの影響を例示するために、図15および図16に提示される図は、基準変数として2.4%のアルミニウムを含む本発明に従う合金13の耐用年数(耐用年数1を有する)と、3つの負荷状況(15.9MPa;13.5MPa;10.5MPa)について1100℃(図15)および1200℃(図16)での各々の場合において、上の基準変数に基づいて参照された、本発明に従う合金19(3.3%のアルミニウム)および本発明に従う合金20(4.8%のアルミニウム)の耐用年数とを比較する。
【0032】
図15に示される図は、3.3%の中間のアルミニウム含量を有する合金19の場合、耐用年数の減少は、負荷が増加した状態でより強くなるが、4.8%という高いアルミニウム含量を有する合金20の場合、全ての負荷状況について、相対耐用年数の強いがおよそ等しい減少があることを明らかにする。1200℃についての図は、アルミニウム含量が2.4%(合金13)から3.3%(合金19)に増加される場合、全ての3つの負荷状況について耐用年数の減少を明らかにし、相対耐用年数は、約3分の1ほど下がる。次に、4.8%(合金20)へのアルミニウム含量のさらなる増加は、相対耐用年数の負荷に依存的な減少を明らかにする。
【0033】
全体的に、2つの図は、アルミニウム含量が増加するにつれて、限界破断応力試験における破壊までの耐用年数が、減少することを明らかにする。さらに、温度が上昇し、負荷の持続期間が長くなり、そして/または負荷レベルが減少するにつれて、限界破断応力年数に対するアルミニウムの負の影響は減少する。すなわち:高いアルミニウム含量を有する合金は、鋳造材料または遠心性鋳造材料を使用することが今まで不可能とされてきた温度での長期間の使用に特に適切である。
【0034】
これらの優れた強度特性ならびに浸炭および酸化に対するこれらの優れた耐性を考慮して、本発明に従う鋳造合金は、炉部品のための材料、加熱炉のための放射チューブ、焼きなまし炉のためのローラー、連続鋳造装置およびストリップ鋳造装置の部品、焼きなまし炉のためのフードおよびマッフル、大きなディーゼルエンジンの部品、触媒のための容器、ならびにクラッキングチューブおよび改質機チューブのための容器としての使用に特に適切である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】記載なし
【図2】記載なし
【図3】記載なし
【図4】記載なし
【図5】記載なし
【図6】記載なし
【図7】記載なし
【図8】記載なし
【図9】記載なし
【図10】記載なし
【図11】記載なし
【図12】記載なし
【図13】記載なし
【図14】記載なし
【図15】記載なし
【図16】記載なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッケル−クロム鋳造合金であって、以下:
0.8%までの炭素
1%までのケイ素
0.2%までのマンガン
15%〜40%のクロム
0.5%〜13%の鉄
1.5%〜7%のアルミニウム
2.5%までのニオブ
1.5%までのチタン
0.01%〜0.4%のジルコニウム
0.06%までの窒素
12%までのコバルト
5%までのモリブデン
6%までのタングステン
0.019%〜0.089%のイットリウム
残りはニッケル
を含む、ニッケル−クロム鋳造合金。
【請求項2】
最大0.7%の炭素、最大1%のケイ素、0.2%までのマンガン、18%〜30%のクロム、0.5%〜12%の鉄、2.2%〜5%のアルミニウム、0.4%〜1.6%のニオブ、0.01%〜0.6%のチタン、0.01%〜0.15%のジルコニウム、最大0.06%の窒素、最大10%のコバルト、少なくとも3%のモリブデン、および最大5%のタングステンを、個々に、または互いに組み合わせて含む、請求項1に記載のニッケル−クロム鋳造合金。
【請求項3】
最大0.7%の炭素、最大1%のケイ素、0.2%までのマンガン、18%〜30%のクロム、0.5%〜12%の鉄、2.2%〜5%のアルミニウム、0.4%〜1.6%のニオブ、0.01%〜0.6%のチタン、0.01%〜0.15%のジルコニウム、最大0.06%の窒素、最大10%のコバルト、4%までのモリブデン、および最大5%のタングステン、残りはニッケルを含む、請求項1または請求項2に記載のニッケル−クロム鋳造合金。
【請求項4】
最大26.5%のクロム、最大7%の鉄、3%〜6%のアルミニウム、0.15%を超えるチタン、0.05%を超えるジルコニウム、少なくとも0.2%のコバルト、4%までのモリブデン、および0.05%を超えるタングステンを、個々に、または互いに組み合わせて含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のニッケル−クロム鋳造合金。
【請求項5】
アルミニウムおよびクロムの含量が、以下の条件:
9[%Al]≧[%Cr]
を満たすことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のニッケル−クロム鋳造合金。
【請求項6】
ニッケル、クロムおよびアルミニウムを組み合わせた含量合計が、80%〜90%であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のニッケル−クロム合金。
【請求項7】
炉部品のための材料、加熱炉のための放射チューブ、焼なまし炉のためのローラー、連続鋳造装置およびストリップ鋳造装置の部品、焼なまし炉のためのフードおよびマッフル、大きなディーゼルエンジンの部品、触媒充填のための成形体、ならびにクラッキングチューブおよび改質機チューブのための成形体としての、請求項1〜4のいずれか1項に記載のニッケル−クロム鋳造合金の使用。
【請求項1】
ニッケル−クロム鋳造合金であって、以下:
0.8%までの炭素
1%までのケイ素
0.2%までのマンガン
15%〜40%のクロム
0.5%〜13%の鉄
1.5%〜7%のアルミニウム
2.5%までのニオブ
1.5%までのチタン
0.01%〜0.4%のジルコニウム
0.06%までの窒素
12%までのコバルト
5%までのモリブデン
6%までのタングステン
0.019%〜0.089%のイットリウム
残りはニッケル
を含む、ニッケル−クロム鋳造合金。
【請求項2】
最大0.7%の炭素、最大1%のケイ素、0.2%までのマンガン、18%〜30%のクロム、0.5%〜12%の鉄、2.2%〜5%のアルミニウム、0.4%〜1.6%のニオブ、0.01%〜0.6%のチタン、0.01%〜0.15%のジルコニウム、最大0.06%の窒素、最大10%のコバルト、少なくとも3%のモリブデン、および最大5%のタングステンを、個々に、または互いに組み合わせて含む、請求項1に記載のニッケル−クロム鋳造合金。
【請求項3】
最大0.7%の炭素、最大1%のケイ素、0.2%までのマンガン、18%〜30%のクロム、0.5%〜12%の鉄、2.2%〜5%のアルミニウム、0.4%〜1.6%のニオブ、0.01%〜0.6%のチタン、0.01%〜0.15%のジルコニウム、最大0.06%の窒素、最大10%のコバルト、4%までのモリブデン、および最大5%のタングステン、残りはニッケルを含む、請求項1または請求項2に記載のニッケル−クロム鋳造合金。
【請求項4】
最大26.5%のクロム、最大7%の鉄、3%〜6%のアルミニウム、0.15%を超えるチタン、0.05%を超えるジルコニウム、少なくとも0.2%のコバルト、4%までのモリブデン、および0.05%を超えるタングステンを、個々に、または互いに組み合わせて含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のニッケル−クロム鋳造合金。
【請求項5】
アルミニウムおよびクロムの含量が、以下の条件:
9[%Al]≧[%Cr]
を満たすことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のニッケル−クロム鋳造合金。
【請求項6】
ニッケル、クロムおよびアルミニウムを組み合わせた含量合計が、80%〜90%であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のニッケル−クロム合金。
【請求項7】
炉部品のための材料、加熱炉のための放射チューブ、焼なまし炉のためのローラー、連続鋳造装置およびストリップ鋳造装置の部品、焼なまし炉のためのフードおよびマッフル、大きなディーゼルエンジンの部品、触媒充填のための成形体、ならびにクラッキングチューブおよび改質機チューブのための成形体としての、請求項1〜4のいずれか1項に記載のニッケル−クロム鋳造合金の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2006−516680(P2006−516680A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501577(P2006−501577)
【出願日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000504
【国際公開番号】WO2004/067788
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(505030568)シュミット + クレメンス ゲーエムベーハー + ツェーオー.カーゲー (4)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000504
【国際公開番号】WO2004/067788
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(505030568)シュミット + クレメンス ゲーエムベーハー + ツェーオー.カーゲー (4)
[ Back to top ]