説明

熱硬化性ポリウレタン樹脂系成型体の製造方法

【構成】 一般式(1)


(式中R1、R2、R3、R4はそれぞれ同一でも異なっても良く、それぞれ炭素数1〜3の低級アルキル基を示す。)で表されるキシリレンジイソアナート誘導体と活性水素化合物とを離型剤を使用することなく鋳型内で反応させて成型体を得る、熱硬化性ポリウレタン樹脂系成型体の製造方法。
【効果】 透明性、面精度が良好で重合によるむらのないポリウレタン樹脂系成型体およびプラスチックレンズを得ること、更にはポリウレタン樹脂系成型体およびプラスチックレンズを製造する工程を簡略化することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱硬化性ポリウレタン樹脂系成型体の製造法に関する。更に詳しくは、イソシアナート化合物と活性水素化合物を鋳型内で反応させて熱硬化性ポリウレタン樹脂系成型体を得るに際し、特定のイソシアナート化合物を用いることによって、離型剤を使用することなく面精度、透明性、成型性に優れた熱硬化性ポリウレタン樹脂系成型体を容易に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリウレタン樹脂は、耐熱性、耐衝撃性、透明性、成型性に優れている為、建築材料、バンパーなどに代表される自動車材料、断熱材、透明性を生かした光学材料などに幅広く用いられている。
【0003】ポリウレタン樹脂は、線状ポリマーからなる熱可塑性ポリウレタン樹脂と、3次元架橋されポリマーからなる熱硬化性ポリウレタン樹脂に大別されるが、本願の熱硬化性ポリウレタン樹脂は、通常、鋳型重合法またはリアクションインジェクションモールド法によって成型される。
【0004】鋳型重合法とは、例えば、1種又は2種以上のポリイソシアナート化合物と1種又は2種以上の活性水素化合物の混合物を、必要により脱泡を行った後、鋳型内に注入を行い、加熱して重合樹脂化させる方法である。
【0005】リアクションインジェクションモールド法とは、例えば、1種又は2種以上のポリイソシアナート化合物と1種又は2種以上の活性水素化合物を別々の混合タンクに装入し、それぞれに加熱保温しながら脱泡を行う。次に、この両液を急速に混合して、数十秒〜数分静置した後、同様に加熱保温してある鋳型内に注入して、短時間で重合樹脂化させる方法である。
【0006】ところがこのポリウレタン樹脂は、熱可塑性樹脂の場合は接着力が殆ど無いものの、熱硬化性樹脂の場合は接着剤としても用いられる程極めて強力な接着力を持つ。故に、一般に金属製やガラス製の鋳型を用いる熱硬化性ポリウレタン樹脂の製造に於いては、通常、離型剤を使用しない成型法では、樹脂が鋳型から離型せず成型体を得ることは出来ない。また、ポリオレフィン樹脂製の鋳型を用いれば、離型剤を使用しなくても離型して成型体は得られるが、面精度が悪く、高度な面精度を要求される成型物の製造法としては、実用的ではない。従って、熱硬化性ポリウレタン樹脂の製造では、通常、離型剤の使用が必須であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】離型剤は外部離型剤と内部離型剤に大きく分類される。外部離型剤は、成型の度に鋳型内面に塗布する必要がある為、操作が煩雑で生産性が悪い事と、外部離型剤が成型物表面に移行し、むらを生じたり、塗装及び染色不良を起こす事と、更には、その移行によって透明成型物に濁りを生じさせる等の問題点があった。
【0008】一方、内部離型剤とは、樹脂原料モノマーに予め添加しておく離型剤である。この内部離型剤は毎回鋳型に塗布する必要が無い為、外部離型剤よりは生産性が飛躍的に向上するものの、予め添加しておかなければならない点がまだ少し煩雑で、更に、用いる内部離型剤の種別と量が適切でない場合、鋳型から離型しなかったり、反対に成型物表面にむらを生じたり、透明成型物に濁りを生じさせるといった外部離型剤と同様の問題点があった。こういった問題点は、特に面精度や透明性が極めて重要となるプラスチックレンズ、及び光ディスク等の光学製品の成型では致命的であり、著しく商品価値を低下させる。そこで、こういった離型剤を使用しなくても十分な離型性を有し、面精度が高く、透明成型体の場合は透明性を少しも損なう事無く、高品質のポリウレタン樹脂系成型体を、効率良く生産できる製造法の開発が強く望まれていた。
【0009】
【課題を解決する為の手段】本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、驚くべきことに、特定のイソシアナート化合物を用いてポリウレタン樹脂系成型体の製造を行えば、離型剤を用いることなく鋳型から容易に成型体が離型し、得られた成型体はむら及び濁り等が無く、面精度も極めて良好な高品質の熱硬化性ポリウレタン樹脂系成型体を生産性良く製造できる事を見いだし、本発明に到達した。
【0010】即ち本発明は、下記一般式(1)(化2)
【化2】


(式中R1、R2、R3、R4はそれぞれ同一でも異なっても良く、それぞれ炭素数1〜3の低級アルキル基を示す。)で表されるキシリレンジイソシアナート誘導体と活性水素化合物とを離型剤を使用することなく鋳型内で反応させて成型体を得る、熱硬化性ポリウレタン樹脂系成型体の製造方法、それから得られるポリウレタン樹脂系成型体、透明ポリウレタン樹脂系成型体、及びポリウレタン樹脂系性プラスチックレンズである。
【0011】本発明の熱硬化性ポリウレタン樹脂系成型体は、一般式(1)(化2)で表されるポリイソシアナート化合物と、ヒドロキシ化合物、メルカプト化合物、ヒドロキシ基を有するメルカプト化合物、アミン化合物、ヒドロキシ基を有するアミン化合物、メルカプト基を有するアミン化合物から選ばれた1種又は2種以上の活性水素化合物とを、鋳型内で反応させることによって得られる。
【0012】本発明で用いられる一般式(1)(化2)で表される特定のポリイソシアナート化合物は、キシリレンジイソシアナート誘導体で、具体的には、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアナート、α,α,α’,α’−テトラエチルキシリレンジイソシアナート、α,α,α’,α’−テトラ−n−プロピルキシリレンジイソシアナート、α,α,α’,α’−テトライソプロピルキシリレンジイソシアナート、α,α−ジメチル−α’,α’−ジイソプロピルキシリレンジイソシアナート、α−メチル−α−エチル−α’−プロピル−α’−イソプロピルキシリレンジイソシアナート等があげられる。またこれらの塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体や、多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化あるいはトリマー化反応生成物等もまた使用できる。
【0013】本発明の原料として用いられるヒドロキシ化合物としては、例えば、メタノール、ベンジルアルコール、フェノール、エトキシエタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、1,2−メチルグルコサイド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、スレイトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、アリトール、マニトール、ドルシトール、イディトール、グリコール、イノシトール、ヘキサントリオール、トリグリセロース、ジグリペロール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ〔5,2,1,0,2,6〕デカン−ジメタノール、ビシクロ〔4,3,0〕−ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカンジオール、ビシクロ〔4,3,0〕ノナンジメタノール、トリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカン−ジエタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカノール、スピロ〔3,4〕オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,1’−ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、マルチトール、ラクチトール等の脂肪族ポリオール、ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、ビフェニルテトラオール、ピロガロール、(ヒドロキシナフチル)ピロガロール、トリヒドロキシフェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、キシリレングリコール、ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)等の芳香族ポリオール、ジブロモネオペンチルグリコール等のハロゲン化ポリオール、エポキシ樹脂等の高分子ポリオールの他にシュウ酸、グルタミン酸、アジピン酸、酢酸、プロピオン酸、シクロヘキサンカルボン酸、β−オキソシクロヘキサンプロピオン酸、ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、サリチル酸、3−ブロモプロピオン酸、2−ブロモグリコール、ジカルボキシシクロヘキサン、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸、ブロモフタル酸などの有機酸と前記ポリオールとの縮合反応生成物、前記ポリオールとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどアルキレンオキサイドとの付加反応生成物、アルキレンポリアミンとエチレンオキサイドや、プロピレンオキサイドなどアルキレンオキサイドとの付加反応生成物、さらには、ビス〔4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−ヒドロキシシクロヘキシロキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔2−メチル−4−(ヒドロキシエトキシ)−6−ブチルフェニル〕スルフィドおよびこれらの化合物に水酸基当たり平均3分子以下のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドが付加された化合物、ジ−(2−ヒドロキシエチル)スルフィド、1,2−ビス(2−ヒドロキシエチルメルカプト)エタン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド、1,4−ジチアン−2,5−ジオール、ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)スルフィド、テトラキス(4−ヒドロキシ−2−チアブチル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(商品名ビスフェノールS)、テトラブロモビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールS、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチルチオエチル)−シクロヘキサンなどの硫黄原子を含有したポリオール等が挙げられる。
【0014】また、メルカプト化合物としては、例えば、メチルメルカプタン、ベンゼンチオ−ル、ベンジルチオ−ル、メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタ−exo−cis−2,3−ジチオール、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプトコハク酸(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン)等の脂肪族ポリチオール、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、 1,4−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,2’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビベンジル、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレンジチオール、2,4−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、4,5−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、9,10−アントラセンジメタンチオール、1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン− 2,2−ジチオール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、フェニルメタン−1,1−ジチオール、2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタン等の芳香族ポリチオール、また、2,5−ジクロロベンゼン−1,3−ジチオール、1,3−ジ(p−クロロフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、3,4,5−トリブロム−1,2−ジメルカプトベンゼン、2,3,4,6−テトラクロロ−1,5−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン等の塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換芳香族ポリチオール、また、2−メチルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−エチルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−モルホリノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−シクロヘキシルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−フェノキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−チオベンゼンオキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−チオブチルオキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン等の複素環を含有したポリチオール、さらには1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルメルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルメルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルメルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン等、及びこれらの核アルキル化物等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する芳香族ポリチオール、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3−メルカプトプロピル)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,2−(3−メルカプトプロピル)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、2−メルカプトエチルチオ−1,3−プロパンジチオール、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィド等、及びこれらのチオグリコール酸及びメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、チオグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−ジチオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオール、3,4−チオフェンジチオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する複素環化合物等が挙げられる。
【0015】また、ヒドロキシ基を有するメルカプト化合物としては、例えば、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グリセリンジ(メルカプトアセテート)、1−ヒドロキシ−4−メルカプトシクロヘキサン、2,4−ジメルカプトフェノール、2−メルカプトハイドロキノン、4−メルカプトフェノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、1−ヒドロキシエチルチオ−3−メルカプトエチルチオベンゼン、4−ヒドロキシ−4’−メルカプトジフェニルスルホン、2−(2−メルカプトエチルチオ)エタノール、ジヒドロキシエチルスルフィドモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ジメルカプトエタンモノ(サルチレート)、ヒドロキシエチルチオメチル−トリス(メルカプトエチルチオ)メタン等が挙げられる。
【0016】アミン化合物としては、例えば、メチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、キシリレンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(アミノエチル)スルフィド、ビス(アミノエチル)ジスルフィド等の脂肪族アミン類、アニリン、ジアミノベンゼン、ジアミノトルエン、ビス(アミノフェニル)メタン、ビス(アミノフェニル)プロパン、ビス(アミノフェニル)スルフィド、ビス(アミノフェニル)スルフォン、ジアミノジエチルトルエン、メトキシジアミノベンゼン、t−ブトキシジアミノトルエン、7,8−ジヒドロ−6,6−ジメチル−1−メチル−2,4−ジアミノベンゾシクロペンタン等の芳香族アミン類が挙げられる。
【0017】ヒドロキシ基を有するアミン化合物としては、例えば、ヒドロキシエチルアミン、アミノフェノール等が挙げられる。
【0018】メルカプト基を有するアミン化合物としては、例えば、システアミン、アミノチオフェノール等が挙げられる。
【0019】さらには、これら活性水素化合物の塩素置換体、臭素置換体のハロゲン置換体を使用してもよい。これらはそれぞれ単独で用いることも、また2種類以上を混合して用いてもよい。
【0020】前記のキシリレンジイソシアナート誘導体から選ばれた少なくとも1種のイソシアナート化合物と前記の活性水素化合物から選ばれた少なくとも1種の配合比率は、(NCO)/(OH+SH+アミノ基)の官能基モル比が通常0.5〜3.0の範囲内、好ましくは0.5〜1.5の範囲内である。
【0021】本発明のポリウレタン樹脂系成型体はウレタン結合、チオウレタン結合、尿素結合を主体とするものであるが、目的によっては、それ以外にジチオウレン結合、アロハネート結合、チオウレヤ結合、ビュウレット結合等を含有しても、勿論差し支えない。例えば、ウレタン結合に、さらにイソシアナト化合物を反応させり、チオウレタン結合にさらにイソチオシアナト化合物を反応させて架橋密度を増大させることは好ましい結果を与える場合が多い。この場合には反応温度を少なくとも100℃以上に高くし、イソシアナート成分又はイソチオシアナート成分を多く使用する。あるいはまた、尿素結合に更にイソシアナート化合物を反応させて、ビウレット結合を利用することもできる。このようにイソシアナート化合物と反応する前記活性水素化合物以外のものを使用する場合には、特に着色の点に留意する必要がある。
【0022】また目的に応じて公知の成型法におけると同様に、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、油溶染料、充填剤などの種々の物質を添加してもよい。所望の反応速度に調整するために、ポリウレタンの製造において用いられる公知の反応触媒を適宜に添加することもできる。
【0023】本発明の熱硬化性ポリウレタン樹脂系成型体は、通常、注型重合またはリアクションインジェクションモールド法によって得られる。鋳型重合法は、具体的には、式(1)で表わされるイソシアナート化合物と活性水素化合物とを混合し、この混合液を必要に応じ適当な方法で脱泡を行なった後、鋳型中に注入し、通常、室温から200℃程度の間で重合させる。リアクションインジェクションモールド法は、具体的には、式(1)で表わされるイソシアナート化合物と活性水素化合物を別々の混合タンクに装入し、それぞれにおよそ室温から200℃の間に保温しながら脱泡を行い、次に、この両液を脱泡しながら急速に混合して、数十秒〜数分静置した後、同様におよそ室温から200℃に保温してある鋳型内に注入して、短時間で重合樹脂化させる。
【0024】このようにして得られる本発明に係る熱硬化性ポリウレタン樹脂系成型体は、極めて対衝撃性、耐熱性に優れ、かつ成型体の寸法安定が良く、面精度も良好で、染色性、加工性等に優れた特徴を有しているため建築材、自動車材、断熱材、一般プラスチック材、プラスチックレンズ、カメラレンズ等の光学素子材やグレージング材等の材料として好適である。
【0025】また、本発明に係る熱硬化性ポリウレタン系樹脂を素材とする光学レンズは、必要に応じ反射防止、高硬度付与、耐磨耗性向上、耐薬品性向上、防曇性付与、あるいはファッション性付与等の改良を行なうため、表面研磨、帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コート処理、染色処理、調光処理等の物理的あるいは化学処理を施すことができる。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明する。なお、得られた光学レンズの性能試験のうち、屈折率、アッベ数、耐熱性は以下の試験法により評価した。
【0027】屈折率、アッベ数;ブルフリッヒ屈折計を用い、20℃で測定した。
耐熱性;TMA法でTg点を測定した。
【0028】実施例1α,α,α’,α’ーテトラメチル−m−キシリレンジイソシアナート(以下TMXDiと略す。)(分子量=244.3)100部(0.409モル)と平均分子量300のポリプロピレングリコール(PPG300)70部(0.233モル)を予め反応させておいたプレポリマーA(NCO=8.7重量%,イソシアナート当量=483)170部を反応機に仕込み、混合しながら80℃減圧下(5〜10mmHg)で1時間脱泡を行った。次に、別の混合機で同様に110℃で脱泡を終了した4,4’−メチレンビス(2−クロルアニリン)(融点104℃,分子量=267.2)23.5部(0.088モル)を、プレポリマーAの入っている反応機に急速に加え、減圧下(5〜10mmHg)で3分間攪拌し20秒間静置した後、外部離型剤(シリコンDC−20,Daw Corning製)を塗布せずに120℃に予熱したステンレス製の金型に注入し、15分間保持した後、室温まで冷却した。その結果、金型から樹脂成型体は容易に離型し、得られた樹脂成型体は表面のむら等も無く、極めて面精度が高く良好な樹脂成型体であった。
【0029】実施例2実施例1の金型で、繰り返し実施例1と同じ試験を更に10回行った。その結果、最後まで離型性に変化は無く、容易に樹脂成型体を取り出すことができた。また得られた10個の樹脂成型体及び金型にも何ら異常は認められなかった。
【0030】実施例3内部離型剤(酸性燐酸エステル)を加えずにTMXDi58.4部(0.239モル)、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−プロパンチオール41.6部(0.160モル)とジブチル錫ジクロライド0.5部(0.5重量%)を混合溶解し、室温で1時間減圧脱泡をおこなった後、ガラス板と樹脂製のガスケットからなるモールドに注入した。ついで、このモールドを室温〜120℃まで20時間かけて徐々に加熱昇温重合した後、室温迄冷却した。その結果、モールドから樹脂成型体は容易に離型し、得られた樹脂成型体は無色透明で、表面のむら等も無く、極めて面精度が高く、光学プラスチックレンズとして良好な樹脂成型体であった。尚、この樹脂の物性は屈折率は1.62(nd)、アッベ数33(νd)、比重1.25、耐熱性100℃であった。
【0031】比較例1TMXDiのかわりに、m−キシリレンジイソシアナート(以下XDiと略す。)を用いて、実施例1の試験を行った。その結果、樹脂は金型から離型せずに成型体は得られなかった。
【0032】比較例2外部離型剤(シリコン DC−20,Daw Corning製)を金型に塗布し比較例1の試験を行った。その結果、金型から樹脂は離型して成型体は得られたが、一部表面にむらがみられ、高品質の成型体とは言えなかった。
【0033】比較例3TMXDiのかわりに、XDiを用いて、実施例3の試験を行った。その結果、樹脂がモールドから離型せずに成型体は得られなかった。
【0034】
【発明の効果】本発明の方法によれば実施例および比較例で明らかなように透明性、面精度が良好で重合によるむらのないポリウレタン樹脂系成型体およびプラスチックレンズを得ること、更にはポリウレタン樹脂系成型体およびプラスチックレンズを製造する工程を簡略化することが出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】下記一般式(1)(化1)
【化1】


(式中R1、R2、R3、R4はそれぞれ同一でも異なっても良く、それぞれ炭素数1〜3の低級アルキル基を示す。)で表されるキシリレンジイソシアナート誘導体と活性水素化合物とを離型剤を使用することなく鋳型内で反応させて成型体を得る、熱硬化性ポリウレタン樹脂系成型体の製造方法。
【請求項2】請求項1の製造方法によって得られる熱硬化性ポリウレタン樹脂系成型体。
【請求項3】請求項1の製造方法によって得られる熱硬化性透明ポリウレタン樹脂系成型体。
【請求項4】請求項3によって得られる熱硬化性ポリウレタン樹脂系プラスチックレンズ。