説明

熱硬化性樹脂組成物

【構成】 エポキシ樹脂、アルケニル置換ナジイミドならびに、オニウム塩または、オニウム塩および弱い還元剤もしくは安息香酸銅からなる触媒を必須成分として含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
【効果】 硬化温度が比較的低いので、エポキシ樹脂とアルケニル置換ナジイミド樹脂の重合が効率よく進行し、両樹脂の優れた性質を兼ね備えた耐熱性、難燃性および機械的性質の優れた硬化物を得ることができる。また、該熱硬化性組成物は貯蔵安定性がよく、さらに紫外線照射の併用によって、より一層重合、硬化時間を短縮できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は優れた作業性および貯蔵安定性を有し、かつ高温下で機械的特性の低下が少ない硬化物を与える熱硬化性樹脂組成物に関するものである。この樹脂組成物は積層材料、注型材料、成形材料、接着材料等として有用であり、またガラス繊維、炭素繊維等を強化材とする複合材料としても有用である。
【0002】
【従来の技術】従来より、電気・電子分野、航空・宇宙分野、自動車・車両分野等において、熱硬化性樹脂がかなり多量に用いられてきた。しかし、最近の機器の小型化、高性能化に伴い、これら分野で使用される材料の使用条件が一段と過酷になり、より優れた耐熱性、機械的性質、耐環境性を有した熱硬化性樹脂の開発が求められている。
【0003】従来、該分野においては、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、ナジイミド樹脂およびポリイミド樹脂等が用いられてきた。しかし、エポキシ樹脂は機械的特性、電気的特性に優れているものの、耐熱性が必ずしも十分ではない。縮合型のポリイミド樹脂は耐熱性は優れているものの、殆どのものは、不溶、不融であるため、成形、加工が困難である。
【0004】成形、加工性の改良を目的として開発されたポリイミドとして、付加型のビスマレイミド樹脂、ビスナジイミド樹脂がある。しかしながら、マレイミド樹脂を熱重合して得られる硬化物は、耐熱性は高いが、極めて脆く、熱衝撃によってクラックを発生しやすく、またナジイミド樹脂はその硬化物の耐熱性は高いが、成形性が極めて悪い等、いずれも単独では実用に耐え得るものではない。
【0005】このような欠点を改良し、付加型ポリイミドの耐熱性に優れた特性を生かし、しかも実用に十分耐え得る樹脂として、ビスマレイミド系ではN、N′−4、4′−ジフェニルメタンビスマレイミドと4、4′−ジアミノジフェニルメタンのプレポリマーであるポリアミノビスマレイミド樹脂が実用化された。しかし、この樹脂は優れた耐熱性を示すが、溶融粘度が高いために、注型が困難であるほか、硬化の際、ボイドが生成しやすい。
【0006】一方、ナジイミド系では原料モノマー混合物溶液を使用し、加熱による溶媒の除去、高温、高圧下で重合反応を行う特殊な硬化方法を採用しなければならない。
【0007】そこでエポキシ樹脂と付加型イミド樹脂の両方の優れた特性を兼ね備えた熱硬化性樹脂組成物が従来から提案されてきた。
【0008】たとえば、ポリアミノビスマレイミドにエポキシ樹脂を配合する方法(特公昭47−42160号)が有効であると考えられ、幾つかの関連発明(たとえば特開昭53−34895号)が出願されている。しかし、これらの樹脂の組み合わせは相溶性は良好であるものの、ポリアミノビスマレイミドは融点が比較的高いため、エポキシ樹脂と混合するには高温を必要とし、また該イミド中の残存アミンとエポキシ樹脂が反応するため安定性に難があり、作業性に影響を与えるばかりでなく、ポリアミノビスマレイミド本来の耐熱性が発揮されないという問題があった。
【0009】一方、ビスマレイミドとエポキシ樹脂の組み合わせについては、両成分の相溶性が良くないため、これらを無溶媒系で相溶させるには高温が必要であり、また、相溶後温度の低下に伴い結晶が析出しやすいので、可使時間が短くなるという欠点があった。
【0010】最近、ポリアミノビスマレイミド樹脂より融点が低く、しかも、より優れた耐熱性を示す硬化物を与えるビスアルケニル置換ナジイミド樹脂が開発された。この樹脂はエポキシ樹脂との相溶性も極めて良好で、イミダゾール触媒を使用する該イミド・エポキシ樹脂組成物に関する特許(特開昭60−124619、特開昭61−18761)が出願された。しかしイミダゾール触媒はエポキシ樹脂には重合活性を示すが、該イミドに対しては殆ど重合活性を示さないため、該イミドを重合、硬化反応に関与させるには、比較的高温による熱重合に頼らざるを得ない。しかし、このような高温に晒すと、エポキシ樹脂硬化物の熱分解を伴うことがあり、好ましいことではない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は接着性、機械的性質が良好で価格の安いエポキシ樹脂に、耐熱性、難燃性、相溶性が良好で融点の低いアルケニル置換ナジイミド樹脂を組み合わせ、更にこの混合樹脂組成物に特殊な硬化触媒を配合することによって、貯蔵安定性が良好で、しかも比較的低い温度で両者の硬化反応(共重合)を促進し、両者の優れた性質を兼ね備えた熱硬化性樹脂組成物を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、先に特願平3−192550号で提案したように、オニウム塩がアルケニル置換ナジイミドの硬化触媒として極めて有効であり、また、この触媒と該イミド化合物との相溶性が良好で、かつ該組成物の貯蔵安定性が良好である等、作業性にも優れていることを見出した。
【0013】一方、オニウム塩が熱または光によって分解し、生成したカチオン種がエポキシ化合物の重合を引き起こすことが以前から知られている{たとえばJ.V.Crivello and J.H.W.Lam.,Macromolecules 10,1307−1315(1977)}。
【0014】これらの知見をもとに、上述のイミダゾール触媒を使用するビスアルケニル置換ナジイミド、エポキシ樹脂組成物の問題点である共重合反応を促進する触媒について検討した。
【0015】その結果、アルケニル置換ナジイミドおよびエポキシ化合物の両者に対して適度な活性を持ち、共重合性を高めるような触媒系を開発すべく鋭意検討を重ねた結果、上記オニウム塩または該オニウム塩に弱い還元能を有する化合物、または安息香酸銅を添加した新規な触媒系が有効であることを見出し本発明を完成した。
【0016】すなわち、本発明の要旨は、(A)エポキシ樹脂、(B)アルケニル置換ナジイミドならびに、(C)オニウム塩または、オニウム塩および弱い還元剤もしくは安息香酸銅からなる触媒を必須成分として含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物にある。
【0017】本発明の熱硬化性樹脂組成物は良好な相溶性と貯蔵安定性を有し、比較的低い温度で該イミドおよび該エポキシ樹脂両者の硬化反応(共重合)を引き起こし、機械的強度、耐熱性、接着性、難燃性等に優れた硬化物を与える。
【0018】本発明について、さらに詳述すると、本発明で用いられる(A)成分のエポキシ樹脂は、特に限定されるものではなく、公知のすべてのエポキシ樹脂が使用可能である。たとえばビスフェノールとエピクロルヒドリンの反応によって得られるビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂とエピクロルヒドリンの反応によって得られるノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノールあるいはハイドロキノンのような多価フェノールとエピクロルヒドリンの反応によって得られるポリヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂、トルイジンやアニリンなどの芳香族アミンとエピクロルヒドリンの反応によって得られる含窒素エポキシ樹脂、シクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンなどを出発原料とする脂環式エポキシ樹脂、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのジまたはポリグリシジルエーテル類、エポキシ樹脂にシラノールを反応させて得られる含ケイ素エポキシ樹脂、イソシアヌール酸から得られる含窒素ヘテロ環を有するエポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は単独また二種以上の混合物として用いられる。
【0019】また、本発明で用いられる(B)成分のアルケニル置換ナジイミドとしては、下記の一般式[I]
【化1】


[ここでR12はそれぞれ独立に選ばれた水素またはメチル基、nは1〜2の整数を表し、かつ、n=1の時、R3はC1〜C12のアルキル基、C3〜C6のアルケニル基、C5〜C8のシクロアルキル基、C6〜C12の芳香族基、ベンジル基、これらの基の1〜3個の水素を水酸基で置換した基または−{(Cq2qO)t(Cr2rO)us2s+1}(ただしq、r、sはそれぞれ独立に選ばれた2〜6の整数、tは0または1の整数、uは1〜30の整数)で表されるポリオキシアルキル基もしくは−C64−T−C65{ただしTは−CH2−、−C(CH32−、−CO−、−O−、−S−、−SO2−}で表される基の1〜3個の水素を水酸基で置換した基であり、n=2のとき、R3は−Cp2p−(ただしpは2〜20の整数)で表されるアルキレン基、C5〜C8のシクロアルキレン基、−{(Cq2qO)t(Cr2rO)us2s}−(ただしq、r、sはそれぞれ独立に選ばれた2〜6の整数、tは0または1の整数、uは1〜30の整数)で表されるポリオキシアルキレン基、C6〜C12の芳香族基、−C64−T−C64−{ただしTは−CH2−、−C(CH32−、−CO−、−O−、−OC64C(CH3264O−、−S−、−SO2−}で表される基またはこれらの基の1〜3個の水素を水酸基で置換した基である。]で表される。
【0020】その代表的なものとしては、N−メチル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチルヘキシル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチルヘキシル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−フェニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−フェニル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2′−ヒドロキシエチル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2′−ヒドロキシエチル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2′−ヒドロキシエチル)−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2′,2′−ジメチル−3′−ヒドロキシプロピル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2′,2′−ジメチル−3′−ヒドロキシプロピル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2′,3′−ジヒドロキシプロピル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2′,3′−ジヒドロキシプロピル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3′−ヒドロキシ−1′−プロペニル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4′−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4′−ヒドロキシフェニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4′−ヒドロキシフェニル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4′−ヒドロキシフェニル)−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4′−ヒドロキシフェニル)−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3′−ヒドロキシフェニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3′−ヒドロキシフェニル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−ヒドロキシベンジル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2′−(2″−ヒドロキシエトキシ)エチル}−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2′−(2″−ヒドロキシエトキシ)エチル}−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2′−(2″−ヒドロキシエトキシ)エチル}−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2′−(2″−ヒドロキシエトキシ)エチル}−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2′−{2″−(2″′−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2′−{2″−(2″′−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2′−{2″−(2″′−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4′−(4″−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4′−(4″−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4′−(4″−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N,N′−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N′−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N′−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N′−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N′−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N′−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N′−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、1,2−ビス{3′−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、1,2−ビス{3′−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、1,2−ビス{3′−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、ビス〔2′−{3″−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エチル〕エーテル、ビス〔2′−{3″−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エチル〕エーテル、1,4−ビス{3′−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}ブタン、1,4−ビス{3′−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}ブタン、N,N′−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N′−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N′−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N′−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、2,2−ビス〔4′−{4″−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4′−{4″−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4′−{4″−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン等があげられるが、これらに限定されない。
【0021】このような構造のアルケニル置換ナジイミドは単独で用いてもよいし、それらの混合物またはそのオリゴマーとして用いてもよい。
【0022】また、(A)エポキシ樹脂は(B)アルケニル置換ナジイミドとの相溶性が良好であるので、任意の割合で混合できるが、組成物の作業性と硬化後の物性、特に耐熱性とのバランスを考慮して(A)成分100重量部に対して(B)成分10〜500重量部、好ましくは20〜300重量部の範囲で用いる。
【0023】本発明で用いられる(C)成分のオニウム塩または、オニウム塩および弱い還元剤もしくは安息香酸銅からなる触媒系のうち、オニウム塩としては、アンモニウム化合物[R4N]+-、ホスホニウム化合物[R4P]+-、アルソニウム化合物[R4As]+-、スチボニウム化合物[R4Sb]+-、オキソニウム化合物[R3O]+-、スルホニウム化合物[R3S]+-、セレノニウム化合物[R3Se]+-、スタンノニウム化合物[R3Sn]+-、およびヨードニウム化合物[R2I]+-(式中、Rは置換または無置換芳香族基または、直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル基を表し、それらはそれぞれ独立に選ばれる。また、X-は親核性の弱いまたは親核性のないアニオンを表す)等が挙げられ、好ましくはヨードニウム化合物[R2I]+-が挙げられる。ヨードニウム化合物の代表的なものとして、たとえば、ジフェニルヨードニウムクロリド、ジフェニルヨードニウムブロミド、ジフェニルヨードニウムパークロレート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、(p−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジ(2−ニトロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジ(p−トリル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(p−クロロフェニル)ヨードニウヘキサフルオロアルセネート等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】また、弱い還元剤としては、下記の一般式[II]で表される構造を含有するα−ヒドロキシケトン類または、その互変異性体であるエンジオール類が挙げられる。
【0025】
【化2】


【0026】その代表的なものとして、アスコルビン酸、ベンゾイン、アニソイン、4、4′−ジクロロベンゾイン、フロイン、α−ピリドイン等が挙げられるが、これらに限定されない。また、安息香酸銅としては、1または2価の安息香酸銅が使用される。これら弱い還元剤または安息香酸銅の使用量は、オニウム塩1重量部に対して0.05〜2重量部、好ましくは0.1〜1重量部である。
【0027】本発明において、(C)の硬化触媒の添加量は特に規定されず広い範囲内で適宜選択すれば良いが、通常前記(A)、(B)の合計量100重量部に対して0.1〜8重量部、好ましくは0.2〜5重量部使用する。
【0028】このような組成を有する本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化する1つの方法として、この組成物を注型成形、射出成形、圧縮成形等の成形法を用い、120〜240℃、好ましくは150〜230℃の温度で0.01〜10時間、好ましくは0.05〜8時間加熱することによって重合成形する。またもう1つの方法として、該熱硬化性樹脂組成物を溶媒に溶解させて溶液とし、それを物体に塗布し、溶媒を乾燥、除去して生成した被膜を120〜240℃、好ましくは150〜230℃の温度で0.01〜10時間、好ましくは0.05〜8時間加熱することによって硬化被膜を形成させることもできる。この場合、加熱時に紫外線を照射すると硬化時間をより短縮することができる。上記硬化法を利用して、接着剤、充填材として使用することも可能である。
【0029】このようにして得られた成形体、薄膜、被覆膜、接着体等は必要に応じて200〜280℃の温度で、0.5〜30時間さらに熱処理してもよい。
【0030】なお、重合、硬化の際、必要に応じて各種充填材、たとえばガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、石膏、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、石英粉末、カーボンブラック等を該熱硬化性樹脂組成物100重量部に対し10〜500重量部混合しても差し支えない。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって制限されるものではない。
【0032】実施例1〜7ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタンのオリゴマー(融点108℃)およびエポキシ樹脂(エピコート828)の重量比1:1の混合物に、触媒としてジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレートを、添加剤として弱い還元剤または安息香酸銅(II) を均一に混合し、その一部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、表1のような結果が得られた。
【0033】
表1 ─────────────────────────────────── 実施例 触媒 添加剤 ゲル化時間 (wt%) (wt%)
─────────────────────────────────── 1 1.0 ──── 3分30秒 2 2.0 ──── 2分20秒 3 0.8 安息香酸銅 (II) 0.2 0分30秒 4 1.6 安息香酸銅 (II) 0.4 0分20秒 5 1.6 アスコルビン酸 0.4 1分00秒 6 0.8 アスコルビン酸 0.2 5分00秒 7 1.6 ベンゾイン 0.4 1分00秒───────────────────────────────────
【0034】実施例8〜9ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタンのオリゴマー(融点108℃)およびエポキシ樹脂(エピコート1001)の重量比3:7の混合物に、触媒としてジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレートを、添加剤として弱い還元剤を均一に混合し、その一部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、表2のような結果が得られた。
【0035】
表2 ─────────────────────────────────── 実施例 触媒 添加剤 ゲル化時間 (wt%) (wt%) ─────────────────────────────────── 8 2.0 ──── 2分20秒 9 1.6 ベンゾイン 0.4 1分40秒───────────────────────────────────
【0036】実施例10〜13ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタンのオリゴマー(融点108℃)およびエポキシ樹脂(エピコート828)の重量比1:1の混合物に、触媒としてジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネートを、添加剤として弱い還元剤または安息香酸銅 (II) を均一に混合し、その一部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、表3のような結果が得られた。
【0037】
表3 ─────────────────────────────────── 実施例 触媒 添加剤 ゲル化時間 (wt%) (wt%)
─────────────────────────────────── 10 2.0 ───── 3分50秒 11 1.6 安息香酸銅 (II) 0.4 1分00秒 12 1.6 アスコルビン酸 0.4 4分10秒 13 1.6 ベンゾイン 0.4 6分10秒───────────────────────────────────
【0038】実施例14〜15ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタンのオリゴマー(融点108℃)およびエポキシ樹脂(エピコート828)の重量比1:1の混合物に、触媒としてジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートを、添加剤として安息香酸銅 (II) を均一に混合し、その一部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、表4のような結果が得られた。
【0039】
表4 ─────────────────────────────────── 実施例 触媒 添加剤 ゲル化時間 (wt%) (wt%)
─────────────────────────────────── 14 1.8 安息香酸銅 (II) 0.2 9分00秒 15 1.6 安息香酸銅 (II) 0.4 7分00秒───────────────────────────────────
【0040】実施例16ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタンのオリゴマー(融点108℃)およびエポキシ樹脂(エピコート828)の重量比4:6の混合物に、触媒として2.0wt%のジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートを、添加剤として0.25wt%の安息香酸銅 (II) を均一に混合し、その一部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、ゲル化時間は3分40秒であった。
【0041】実施例17〜18ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタンのオリゴマー(融点108℃)およびエポキシ樹脂(エピコート828)の重量比1:1の混合物に、触媒としてジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(触媒A)およびジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート(触媒B)を、添加剤としてベンゾインを表5に示す割合で均一に混合し、その一部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、表5のような結果が得られた。
【0042】
表5 ────────────────────────────────── 実施例 触媒A 触媒B 添加剤 ゲル化時間 (wt%)(wt%) (wt%)
─────────────────────────────────── 17 0.4 0.4 ベンゾイン 0.2 9分00秒 18 0.8 0.8 ベンゾイン 0.4 2分10秒───────────────────────────────────
【0043】実施例19ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタンのオリゴマー(融点108℃)およびエポキシ樹脂(エピコート1001)の重量比3:7の混合物に、触媒として0.8wt%のジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートおよび0.8wt%のジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレートを、添加剤として0.4wt%のベンゾインを均一に混合し、その一部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、ゲル化時間は2分00秒であった。
【0044】実施例20ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタンのオリゴマー(融点108℃)およびエポキシ樹脂(エピコート1001)の重量比3:7の混合物に、触媒として0.8wt%のジフェニルヨードニウムパークロレートおよび0.8wt%のジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレートを、添加剤として0.4wt%のベンゾインを均一に混合し、その一部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、ゲル化時間は1分50秒であった。
【0045】実施例21〜22N,N′−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)およびエポキシ樹脂(エピコート828)の重量比1:1の混合物に、触媒としてジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネートを、添加剤として弱い還元剤または安息香酸銅 (II) を均一に混合し、その一部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、表6のような結果が得られた。
【0046】
表6 ─────────────────────────────────── 実施例 触媒 添加剤 ゲル化時間 (wt%) (wt%)
─────────────────────────────────── 21 1.6 安息香酸銅 (II) 0.4 2分00秒 22 1.6 アスコルビン酸 0.4 5分30秒───────────────────────────────────
【0047】参考例1ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタンのオリゴマー(融点108℃)およびエポキシ樹脂(エピコート828)の重量比1:1の混合物に、1−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2−エチルイミダゾール触媒を2wt%混合し、その一部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、ゲル化時間は30分以上であった。
【0048】参考例2参考例1に於いて、触媒使用量を2wt%に代えて4wt%にした以外は、参考例1と全く同様な方法で実験したところ、ゲル化時間は30分以上であった。
【0049】参考例3ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタンのオリゴマー(融点108℃)およびエポキシ樹脂(エピコート1001)の重量比1:1混合物に、1−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2−エチルイミダゾール触媒を2wt%混合し、その一部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、ゲル化時間は15分以上であった。
【0050】実施例23ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン(融点75℃)30重量部およびエポキシ樹脂(エピコート828)70重量部を150℃のオイルバス中で加熱熔融し、それに2重量部の触媒(組成:ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート2重量部/ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート2重量部/ベンゾイン1重量部)を加えて均一にかき混ぜた。次にそれを減圧脱気した後、型に流し込み、200℃で12時間加熱硬化した。
【0051】成形体をDSC分析した結果、エポキシ樹脂の反応率が、ほぼ100%で、かつイミドのそれが87%である(すなわち、イミドおよびエポキシ樹脂の合計に対する反応率96%)硬化成形体であることが判った。
【0052】なお、その成形体はTg126℃、曲げ強度11(Kg/mm2)、曲げ弾性率360(Kg/mm2)、熱線膨張係数5.9×10-5(1/℃)であった。
【0053】実施例24実施例23に於いて、硬化条件を200℃で2時間さらに250℃で2時間にした以外は、実施例23と同様な方法で硬化させたところ、反応率99.9%(イミドおよびエポキシ樹脂の合計に対する)、Tg144℃、曲げ強度12(Kg/mm2)、曲げ弾性率380(Kg/mm2)、熱線膨張係数5.8×10-5(1/℃)の成形体が得られた。
【0054】実施例25ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン(融点75℃)30重量部およびエポキシ樹脂(エピコート828)70重量部を150℃のオイルバス中で加熱熔融し、それに2重量部の触媒(組成:ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート4重量部/ベンゾイン1重量部)を加えて均一にかき混ぜた。次にそれを減圧脱気した後、型に流し込み、200℃で2時間、さらに続いて250℃で2時間加熱硬化したところ、反応率99.8%(イミドおよびエポキシ樹脂の合計に対する)、Tg152℃の成形体が得られた。
【0055】実施例26ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン(融点75℃)50重量部およびエポキシ樹脂(エピコート828)50重量部を150℃のオイルバス中で加熱熔融し、それに2重量部のジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート触媒を加えて均一にかき混ぜた。次にそれを減圧脱気した後、型に流し込み、200℃で2時間、さらに続いて250℃で2時間加熱硬化したところ、反応率99%(イミドおよびエポキシ樹脂の合計に対する)、Tg217℃の成形体が得られた。
【0056】実施例27ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタンのオリゴマー(融点98℃)30重量部およびエポキシ樹脂(エピコート828)70重量部を150℃のオイルバス中で加熱熔融し、それに2重量部のジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート触媒を加えて均一にかき混ぜた。次にそれを減圧脱気した後、型に流し込み、200℃で2時間加熱硬化したところ、反応率93%(イミドおよびエポキシ樹脂の合計に対する)、Tg153℃の成形体が得られた。
【0057】実施例28ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタンのオリゴマー(融点98℃)30重量部およびエポキシ樹脂(エピコート828)70重量部を150℃のオイルバス中で加熱熔融し、それに2重量部の触媒(組成:ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート2重量部/ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート2重量部/ベンゾイン1重量部)を加えて均一にかき混ぜた。次にそれを減圧脱気した後、型に流し込み、200℃で2時間加熱硬化したところ、反応率93%(イミドおよびエポキシ樹脂の合計に対する)、Tg126℃、曲げ強度10(Kg/mm2)、曲げ弾性率330(Kg/mm2)の成形体が得られた。
【0058】実施例29ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン(融点75℃)30重量部およびエポキシ樹脂(エピコート1001)70重量部を150℃のオイルバス中で加熱熔融し、それに2重量部の触媒(組成:ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート4重量部/ベンゾイン1重量部)を加えて均一にかき混ぜた。次にそれを減圧脱気した後、型に流し込み、200℃で2時間加熱硬化したところ、反応率99.4%(イミドおよびエポキシ樹脂の合計に対する)、Tg142℃の成形体が得られた。
【0059】実施例30ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン(融点75℃)30重量部およびエポキシ樹脂(エピコート1001)70重量部を150℃のオイルバス中で加熱熔融し、それに2重量部の触媒(組成:ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート2重量部/ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート2重量部/ベンゾイン1重量部)を加えて均一にかき混ぜた。次にそれを減圧脱気した後、型に流し込み、220℃で2時間加熱硬化したところ、反応率96%(イミドおよびエポキシ樹脂の合計に対する)、Tg126℃の成形体が得られた。
【0060】参考例4ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン(融点75℃)30重量部およびエポキシ樹脂(エピコート1001)70重量部を150℃のオイルバス中で加熱熔融し、それに2重量部の1−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2−エチルイミダゾールを加えて均一にかき混ぜた。次にそれを減圧脱気した後、型に流し込み、200℃で2時間加熱硬化したところ、エポキシ樹脂に対する反応率100%、イミドに対する反応率45%で、Tg112℃の成形体が得られた。
【0061】実施例31N−シクロヘキシル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド5g、エポキシ樹脂(エピコート828)5g、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート0.08gおよび安息香酸銅(II)0.02gを均一に混合し、その一部を180℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、10分00秒であった。
【0062】実施例32N−(4′−(ヒドロキシフェニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド粉末5g、エポキシ樹脂(エピコート828)5g、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート0.08gおよび安息香酸銅(II)0.02gを均一に混合し、その一部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、1分30秒であった。
【0063】実施例33ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタンのオリゴマー(融点108℃)5g、エポキシ樹脂(エピコート828)5g、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート0.08gおよびアスコルビン酸0.02gを20mlのMEKに溶解し、その溶液の一部を銅板上に均一に塗布し、MEKを蒸発させて約30ミクロンの塗膜を形成させた。次に該銅板を200℃のホットプレート上に乗せ、ゲル化時間を測定したところ、5分20秒であった。
【0064】実施例34実施例33において200℃に加熱すると共に、上部10cmのところから400Wの高圧水銀燈で紫外線照射したところ、1分50秒でゲル化した。
【0065】実施例35ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン(融点75℃)50g、エポキシ樹脂(エピコート828)50gおよび1gの混合触媒(組成:ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート2重量部/ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート2重量部/ベンゾイン1重量部)を90℃に加熱熔融してよく混合した後、70℃の恒温槽に入れゲル化開始時間を測定してポットライフ(可使時間)を求めたところ、40時間以上であった。
【0066】
【発明の効果】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、比較的低い温度で硬化するので、エポキシ樹脂とアルケニル置換ナジイミド樹脂の重合が効率よく進行し、両樹脂の優れた性質を兼ね備えた耐熱性、難燃性および機械的性質の優れた硬化物を得ることができる。また、該熱硬化性組成物は貯蔵安定性がよく、重合の都度原料イミドと触媒を混合する手間を省くことができ、また、同一品質のものを少量ずつ製造する場合でも安定した品質の製品を製造することができるという効果を有する。さらに、紫外線照射により重合、硬化反応が加速されるので、紫外線照射の併用によって、より一層重合、硬化時間を短縮できるという効果も有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)エポキシ樹脂、(B)アルケニル置換ナジイミドならびに、(C)オニウム塩または、オニウム塩および弱い還元剤もしくは安息香酸銅からなる触媒を必須成分として含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】 オニウム塩がジフェニルヨードニウム塩である請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】 (A)エポキシ樹脂100重量部に対して、(B)アルケニル置換ナジイミド10〜500重量部を配合することを特徴とする請求項1または2記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】 弱い還元剤がα−ヒドロキシケトン類または、その互変異性体であるエンジオール類であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。