説明

熱硬化性樹脂組成物

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた作業性を有し、かつ優れた機械的強度および耐熱性を有する硬化物を与える熱硬化性樹脂組成物に関するものである。さらに詳しくは、エポキシ樹脂と新規物質である特定構造を有するビスアルケニル置換ナジイミドを樹脂成分とする熱硬化性樹脂組成物に関するものである。この樹脂組成物は、積層材料、注型材料、成形材料、接着剤、塗料およびコーティング剤等として有用であり、またガラス繊維または炭素繊維等を強化材とする複合材料としても有用である。
【0002】
【従来の技術】従来より、電気・電子分野、航空・宇宙分野および自動車・車両分野等において、熱硬化性樹脂がかなり多量に用いられてきた。しかし、最近の機器の高性能化、小型化、また軽量化に伴い、これらの分野で使用される材料は薄肉化され、また高温に長時間さらされる等、使用条件が一段と苛酷になり、より優れた機械的性質、特に機械的強度、耐熱性および耐環境性を有した熱硬化性樹脂の開発が求められている。
【0003】従来、該分野においては、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、ナジイミド樹脂およびポリイミド樹脂等が用いられてきた。しかし、エポキシ樹脂は、機械的特性および電気的特性に優れているものの、耐熱性が必ずしも十分ではなく、また、縮合型のポリイミド樹脂は、耐熱性は優れているものの、ほとんどのものは不溶、不融であるため、成形、加工が困難であった。また、付加型のビスマレイミド樹脂およびビスナジイミド樹脂等が開発されたが、該ビスナジイミド樹脂を熱重合して得られる硬化物は、耐熱性は高いが、極めて脆く、熱衝撃によってクラックを発生しやすく、また、該ビスナジイミド樹脂は、その硬化物の耐熱性は、該ビスマレイミド樹脂同様高いが、成形性が極めて悪い等、いずれも単独では実用に耐え得るものではなかった。
【0004】上記のような欠点を改良し、付加型のビスマレイミド樹脂およびビスナジイミド樹脂の特性である優れた耐熱性を生かし、しかも実用に十分耐え得る樹脂として、該ビスマレイミド系では、N,N´−4,4´−ジフェニルメタンビスマレイミドと4,4´−ジアミノジフェニルメタンのプレポリマーであるポリアミノビスマレイミドが開発された。しかし、該ポリアミノビスマレイミドは、優れた耐熱性を示すものの、溶融粘度が高く注型が困難であるほか、硬化の際にボイドが生成しやすく、物性低下を引き起こすという問題があり、また、ビスナジイミド系では、原料である酸無水物(エステル)とジアミンを溶媒に溶かしてオリゴマー化しワニスとして使用するとか、高分子量化するのに苛酷な反応条件(たとえば300℃のような高温成形)を必要とする等、特殊な硬化方法を採用しなければならないという問題があった。
【0005】そこで、エポキシ樹脂の優れた機械的特性および電気的特性と、付加型ポリイミド樹脂の優れた耐熱性の両方の特性を兼ね備えた熱硬化性樹脂組成物が提案された。
【0006】たとえば、ポリアミノビスマレイミドにエポキシ樹脂を配合する方法(特公昭47−42160号公報)が有効であると考えられ、いくつかの関連発明(特開昭53−34895号公報)が出願されている。しかし、これらの樹脂の組み合わせは、相溶性は良好であるものの、ポリアミノビスマレイミドは融点が比較的高いため、エポキシ樹脂と混合するには高温を必要とし、また該イミド中の残存アミンとエポキシ樹脂が反応するため安定性に難があり、作業性に悪影響を与えるばかりでなく、ポリアミノビスマレイミド本来の耐熱性が発揮されにくいという問題があった。
【0007】また、N,N´−4,4´−ジフェニルメタンビスマレイミド等のビスマレイミド樹脂とエポキシ樹脂の組み合わせについても、両成分の相溶性が良くないため、これらを無溶媒系で相溶させるには高温が必要であり、相溶後、温度の低下に伴い結晶が析出しやすいため、可使時間が短くなるという欠点があった。
【0008】最近、ポリアミノビスナジイミドより融点が低く、しかも、より優れた耐熱性を示す硬化物を与えるビスアルケニル置換ナジイミドが開発された。この樹脂はエポキシ樹脂との相溶性が極めて良好で、該ビスアルケニル置換ナジイミドとエポキシ樹脂からなる組成物に、イミダゾール触媒を加え硬化させるというものである(特開昭60−124619号公報、特開昭61−18761号公報)。また、本発明者等は、先に、このビスアルケニル置換ナジイミドにエポキシ樹脂を組み合わせた組成物に関し、触媒としてオニウム塩、またはオニウム塩と弱い還元剤もしくは安息香酸銅を組み合わせるという特定の触媒を用いると、当該組成物を比較的低温で硬化させることができ、かつ当該組成物の貯蔵安定性が向上することを知見し、アルケニル置換ナジイミド−エポキシ樹脂−オニウム塩系触媒からなる組成物を提案した(特願平4−136370号)。これらの組成物は、成形、加工性が改良され、得られる硬化物の耐熱性も高いものであるが、未だ機械的強度は十分高いとは言えなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、接着性、機械的性質が良好で価格の安いエポキシ樹脂に、耐熱性、難燃性および相溶性が良好で、融点が低く、かつ力学的性質の優れた新規物質である特定構造のビスアルケニル置換ナジイミドを組み合わせ、さらにこの混合樹脂組成物に硬化触媒を配合することによって、作業性が良好で、しかも比較的低い温度、短時間で硬化反応が進行し、両者の優れた性質、特に優れた機械的強度を有する硬化物を与える熱硬化性樹脂組成物を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は先に、従来のアルケニル置換ナジイミドに比べ、その硬化物が金属等に対し極めて優れた接着性および密着性を示し、また耐熱性および力学的性質の点でも優れている新規な特定構造のアルケニル置換ナジイミドを提案した(平成5年8月13日出願)。
【0011】そして、この新規なアルケニル置換ナジイミドの特異な性質を応用、展開すべく、さらに研究を進めたところ、この新規なアルケニル置換ナジイミドにエポキシ樹脂と硬化触媒を加えて組成物を構成すると、この組成物の硬化物は、新規なアルケニル置換ナジイミドの特異な性質が発揮されて、従来のアルケニル置換ナジイミド、エポキシ樹脂および硬化触媒からなる組成物の硬化物に比べて、金属等に対する接着性、密着性、耐熱性および力学的性質の点で優れ、特に機械的強度が優れていることを見出して本発明を完成した。
【0012】すなわち、本発明の要旨は、(A)エポキシ樹脂、(B)一般式[1]
【化5】


{式中、R1およびR2はそれぞれ独立に選ばれた水素またはメチル基、Eは一般式[2]
【化6】


(式中、aは0または1の整数、R3およびR3'はそれぞれ独立に選ばれたC1〜C4のアルキレン基またはC5〜C8のシクロアルキレン基を表す。)で表されるアルキレン・フェニレン基を表す。}で表されるビスアルケニル置換ナジイミド、および(C)硬化触媒を必須成分として含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物にある。
【0013】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、良好な相溶性と作業性を有し、しかも比較的低い温度、短時間で硬化反応を引き起こし、機械的強度、耐熱性、接着性、密着性および難燃性等に優れた、特に機械的強度に優れた硬化物を与える。
【0014】本発明についてさらに詳述すると、本発明で用いられる(A)成分のエポキシ樹脂は、特に限定されるものではなく、公知のすべてのエポキシ樹脂が使用可能である。たとえばビスフェノールとエピクロルヒドリンの反応によって得られるビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂とエピクロルヒドリンの反応によって得られるノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノールあるいはハイドロキノンのような多価フェノールとエピクロルヒドリンの反応によって得られるポリヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂、トルイジンやアニリンなどの芳香族アミンとエピクロルヒドリンの反応によって得られる含窒素エポキシ樹脂、シクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンなどを出発原料とする脂環式エポキシ樹脂、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのジまたはポリグリシジルエーテル類、エポキシ樹脂にシラノールを反応させて得られる含ケイ素エポキシ樹脂、イソシアヌール酸から得られる含窒素ヘテロ環を有するエポキシ樹脂などがあげられるが、これらに限定されない。これらのエポキシ樹脂は単独または2種以上の混合物として用いられる。
【0015】また、本発明で用いられる(B)成分である特定構造のビスアルケニル置換ナジイミドは、一般式[1]
【化7】


{式中、R1およびR2はそれぞれ独立に選ばれた水素またはメチル基、Eは一般式[2]
【化8】


(式中、aは0または1の整数、R3およびR3'はそれぞれ独立に選ばれたC1〜C4のアルキレン基またはC5〜C8のシクロアルキレン基を表す。)で表されるアルキレン・フェニレン基を表す。}で表されるビスアルケニル置換ナジイミドで、それは一般式[3]
【化9】


(式中、R1およびR2はそれぞれ独立に選ばれた水素またはメチル基を表す。)で表されるアルケニル置換ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物誘導体(以下、「アルケニル置換ナジック酸無水物誘導体」と略す。)と、一般式[4]
【化10】


{式中、Eは一般式[2]
【化11】


(式中、aは0または1の整数、R3およびR3'はそれぞれ独立に選ばれたC1〜C4のアルキレン基またはC5〜C8のシクロアルキレン基を表す。)で表されるアルキレン・フェニレン基を表す。}で表される特定構造のジアミンとの反応によて合成される。
【0016】一般式[3]で表されるアルケニル置換ナジック酸無水物誘導体の代表的なものとして、たとえば、アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物およびメタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物があげられる。
【0017】 また、一般式[4]で表されるジアミンとして、Eが、フェニレン・アルキレン構造の、たとえば、フェニレン・メチレン基(ここで、フェニレンは、o−、m−またはp−のいずれの結合形態でもよく、以下同様とする。)、フェニレン・エチレン基、フェニレン・トリメチレン基、フェニレン・テトラメチレン基、フェニレン・ブチリデン基、フェニレン・s−ブチリデン基、フェニレン・1,2−ジメチルエチレン基、フェニレン・1,1−ジメチルエチレン基、フェニレン・1,2−シクロペンレン基、フェニレン・1,3−シクロペンレン基、フェニレン・1,4−シクロペンレン基、フェニレン・2−メチル−1,4−シクロペンレン基、フェニレン・2,3−ジメチル−1,4−シクロペンレン基、フェニレン・1,2−シクロヘキレン基、フェニレン・1,4−シクロヘキレン基、フェニレン・2−メチル−1,3−シクロヘキレン基、フェニレン・3−メチル−1,4−シクロヘキレン基、フェニレン・3−エチル−1,4−シクロヘキレン基、フェニレン・1,3−シクロヘプレン基、フェニレン・3−メチル−1,4−シクロヘプレン基、フェニレン・4−メチル−1,3−シクロヘプレン基、フェニレン・1,3−シクロオクレン基、フェニレン・1,4−シクロオクレン基等、またアルキレン・フェニレン・アルキレン構造の、たとえばo−、m−またはp−キシリレン基、メチレン・フェニレン・エチレン基、エチレン・フェニレン・エチレン基、メチレン・フェニレン・トリメチレン基、メチレン・フェニレン・1,2−ジメチルエチレン基、メチレン・フェニレン・1,4−シクロペンレン基、エチレン・フェニレン・ブチリデン基、エチレン・フェニレン・エチレン基、エチレン・フェニレン・1,3−シクロペンレン基、ブチリデン・フェニレン・ブチリデン基、トリメチレン・フェニレン・s−ブチリデン基、トリメチレン・フェニレン・1,3−シクロオクレン基、1,4−シクロペンレン・フェニレン・1,4−シクロペンレン基、1,3−シクロペンレン・フェニレン・3−エチル−1,4−シクロヘキレン基、1,3−シクロオクレン・フェニレン・1,3−シクロオクレン基、1,4−シクロヘキレン・フェニレン・1,3−シクロオクレン基等があげられるが、これらに限定されない。
【0018】本発明で用いられる一般式[1]で表されるビスアルケニル置換ナジイミドの合成は、従来のビスアルケニル置換ナジイミドの合成法に従えばよい。すなわち、上記のアルケニル置換ナジック酸無水物誘導体とジアミンを、溶媒の存在下、または不存在下、80〜220℃の温度で、0.5〜20時間保持することにより、両成分が化学量論的に反応し、本発明のビスアルケニル置換ナジイミドが合成される。溶媒の存在下で合成する場合の溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン、テトラリン、クロロホルム、トリクレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよびN−メチルピロリドン等があげられる。
【0019】また、本発明のビスアルケニル置換ナジイミドは、その範疇に属する個々の化合物を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよいし、さらにはオリゴマーとして用いることもできる。
【0020】また、(A)成分のエポキシ樹脂と(B)成分のビスアルケニル置換ナジイミドとは相溶性が良好であるので、任意の割合で混合できるが、組成物の作業性と硬化後の物性、特に耐熱性と機械的強度のバランスを考慮して(A)成分100重量部に対して(B)成分10〜500重量部、好ましくは20〜300重量部の範囲の割合で用いるのが適当である。
【0021】また、本発明で用いられる(C)成分の硬化触媒系の1つである1)異節環状アミンまたは第三級アミンのうち、異節環状アミンとしては、たとえば、イミダゾールおよびそのアルキル基、アルケニル基、フェニル基またはベンジル基置換イミダゾール、たとえば1−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ビニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−プロペニル−2−フェニルイミダゾール、1−プロペニル−4−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)−イミダゾール等、N−アシル置換イミダゾール、たとえば1−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2−フェニルイミダゾール、1−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2−メチルイミダゾール、1−(2,6−ジクロロベンゾイル)−フェニルイミダゾール、1−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−フェニルイミダゾール、1−(2−クロロ−6−ニトロベンゾイル)−2−エチルイミダゾール、1−ペンタクロロベンゾイル−2−メチルイミダゾール、1−ペンタクロロベンゾイル−2−フェニルイミダゾール等、またはピリジン、ジメチルアミノピリジン、ピペリジンおよびピペラジン等があげられ、第三級アミンとしては、たとえばトリエチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノベンジルアミン、1,6−ビス−(ジメチルアミノ)−ヘキサン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒドおよびトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等があげられるが、これらに限定されない。
【0022】本発明で用いられる(C)成分の硬化触媒系の1つである2)異節環状アミンまたは第三級アミンのルイス酸錯体の、ルイス酸としては、たとえばBF3、BCl3、AlCl3、FeCl3、TiCl4およびSnCl4等、好ましくはBF3およびBCl3があげられるが、これらに限定されない。
【0023】本発明で用いられる(C)成分の硬化触媒系の1つである3)オニウム塩としては、アンモニウム化合物[R4N]+-、(Rは、置換または無置換芳香族基または、直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル基を表し、それらはそれぞれ独立に選ばれる。また、X-は親核性の弱いまたは親核性のないアニオンを表す。以下同様。)、ホスホニウム化合物[R4P]+-、アルソニウム化合物[R4As]+-、スチボニウム化合物[R4Sb]+-、オキソニウム化合物[R3O]+-、スルホニウム化合物[R3S]+-、セレノニウム化合物[R3Se]+-、スタンノニウム化合物[R3Sn]+-、およびヨードニウム化合物[R2I]+-等があげられ、好ましくはヨードニウム化合物[R2I]+-があげられる。ヨードニウム化合物の代表的なものとして、たとえば、ジフェニルヨードニウムクロリド、ジフェニルヨードニウムブロミド、ジフェニルヨードニウムパークロレート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、(p−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジ(2−ニトロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジ(p−トリル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートおよびジ(p−クロロフェニル)ヨードニウヘキサフルオロアルセネート等があげられるが、これらに限定されない。
【0024】また、本発明で用いられる(C)成分の硬化触媒系の1つである4)オニウム塩および弱い還元剤または安息香酸銅のうち、弱い還元剤としては、一般式[5]
【化12】


で表されるα−ヒドロキシケトン類または、その互変異性体であるエンジオール類があげられ、その代表的なものとして、アスコルビン酸、ベンゾイン、アニソイン、4,4´−ジクロロベンゾイン、フロインおよびα−ピリドイン等があげられるが、これらに限定されない。また、安息香酸銅としては、1または2価の安息香酸銅が使用される。これら弱い還元剤または安息香酸銅の使用量は、オニウム塩1重量部に対して0.05〜2重量部、好ましくは0.1〜1重量部である。
【0025】本発明において、(C)成分の硬化触媒の添加量は特に制限されず広い範囲内で適宜選択すれば良いが、通常前記(A)成分、(B)成分の合計量100重量部に対して0.1〜8重量部、好ましくは0.2〜5重量部使用する。
【0026】本発明の組成物は、通常の調製法により調製することができる。たとえば、無溶媒下で各成分を溶融混合する方法や、溶媒存在下に各成分を溶解混合した後、必要に応じて溶媒を除去する方法等が採用される。溶媒存在下で調製する場合の溶媒としては、前記ビスアルケニル置換ナジイミドの合成に用いられるものと同様のものが用いられる。
【0027】本発明の組成物は、種々の用途に用いることができる。たとえば、本発明の組成物を成形物とする場合は、該組成物を、注型成形、射出成形または圧縮成形等の成形法を用い、120〜280℃、好ましくは150〜260℃の温度で、0.01〜10時間、好ましくは0.05〜8時間加熱することによって硬化させて成形物とすることができる。また、コーティング剤または塗料として使用する場合は、該組成物を、金属、ガラス、セラミックまたはプラスチック等の基材に塗布し、必要に応じて溶媒を除去した後、120〜300℃、好ましくは150〜280℃の温度で、0.005〜10時間、好ましくは0.01〜8時間加熱することによって硬化させ、薄膜、被覆膜とすることができる。
【0028】上記のようにして得られた成形物、薄膜および被覆膜は、必要に応じて200〜280℃の温度で、0.5〜30時間さらに熱処理してもよい。
【0029】また、本発明の組成物は、接着剤、充填材、有機、無機物の結合材としても使用することが可能である。
【0030】また、本発明の組成物は、複合材用マトリックス樹脂としても有用であり、各種充填材、たとえばガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、石膏、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、石英粉末およびカーボンブラック等を本発明の組成物100重量部に対し10〜500部混合しても差し支えない。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明の内容は、これらによって限定されるものではない。
【0032】実施例1〜5N,N´−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)(以下、BANI−mXと略す。)50重量部およびエポキシ樹脂(EP828;油化シェルエポキシ社製品エピコート828、以下同様)50重量部からなる混合物に、表1に示す異節環状アミンまたは第三級アミン、またはそのルイス酸錯体2重量部を均一に混合し、その1部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、表1のような結果が得られた。
【0033】
表1 異節環状アミンまたは第三級アミン、 またはそのルイス酸錯体 ゲル化時間 実施例1 イミダゾール 1分30秒 実施例2 2−メチルイミダゾール 2分00秒 実施例3 2−フェニルイミダゾール 4分00秒 実施例4 N,N−ジメチルアニリン 8分00秒 実施例5 ピペリジン・BF3錯体 7分00秒
【0034】実施例6〜7BANI−mX50重量部および表2に示すエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製品)50重量部からなる混合物に、2−フェニルイミダゾール2重量部を均一に混合し、その1部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、表2のような結果が得られた。
【0035】
表2 エポキシ樹脂 ゲル化時間 実施例6 EP180S65(エピコート180S65、 以下同様) 2分00秒 実施例7 EP1001(エピコート1001、以下同様) 3分10秒
【0036】実施例8〜9BANI−mX50重量部およびエポキシ樹脂(EP828)50重量部からなる混合物に、表3に示すオニウム塩、オニウム塩に弱い還元剤を加えた触媒を均一に混合し、その1部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、表3のような結果が得られた。
【0037】
表3 オニウム塩 弱い還元剤 ゲル化時間 実施例8 ジフェニルヨードニウム テトラフルオロボレート 2重量部 − 4分00秒 実施例9 ジフェニルヨードニウム テトラフルオロボレート ベンゾイン 1.6重量部 0.4重量部 3分50秒
【0038】実施例10〜11BANI−mX50重量部および表4に示すエポキシ樹脂50重量部からなる混合物に、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート2重量部を均一に混合し、その1部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、表4のような結果が得られた。
【0039】
表4 エポキシ樹脂 ゲル化時間 実施例10 EP180S65 2分00秒 実施例11 EP1001 3分30秒
【0040】実施例12〜13BANI−mX50重量部および表5に示すエポキシ樹脂50重量部からなる混合物に、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート1.6重量部およびベンゾイン0.4重量部を均一に混合し、その1部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、表5のような結果が得られた。
【0041】
表5 エポキシ樹脂 ゲル化時間 実施例12 EP180S65 1分00秒 実施例13 EP1001 5分30秒
【0042】実施例14〜16エポキシ樹脂(EP828)50重量部および表6に示すアルケニル置換ナジイミド50重量部からなる混合物に、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート0.8重量部、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート0.8重量部およびベンゾイン0.4重量部を均一に混合し、その1部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、表6のような結果が得られた。
【0043】
表6 アルケニル置換ナジイミド ゲル化時間 実施例14 BANI−mX 4分00秒 実施例15 N,N´−p−キシリレン−ビス (アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5− エン−2,3−ジカルボキシイミド) 3分50秒 実施例16 N,N´−(p−フェニレン)・エチレン− ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト− 5−エン−2,3−ジカルボキシイミド) 4分20秒
【0044】実施例17〜18BANI−mX50重量部および表7に示すエポキシ樹脂50重量部からなる混合物に、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート0.8重量部、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート0.8重量部およびベンゾイン0.4重量部を均一に混合し、その1部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、表7のような結果が得られた。
【0045】
表7 エポキシ樹脂 ゲル化時間 実施例17 EP180S65 2分50秒 実施例18 EP1001 4分00秒
【0046】実施例19BANI−mX70重量部およびエポキシ樹脂(EP828)30重量部からなる混合物に、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート0.8重量部、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート0.8重量部およびアスコルビン酸0.4重量部を均一に混合し、その1部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、18分00秒であった。
【0047】実施例20BANI−mX30重量部およびエポキシ樹脂(EP828)70重量部からなる混合物に、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート0.8重量部、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート0.8重量部およびベンゾイン0.4重量部を均一に混合し、その1部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、3分50秒であった。
【0048】実施例21BANI−mX70重量部およびエポキシ樹脂(EP828)30重量部からなる混合物に、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート0.8重量部、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート0.8重量部および安息香酸銅(II)0.4重量部を均一に混合し、その1部を200℃の空気に暴露したホットプレート上に乗せ、その温度を保ちながらかき混ぜ、ゲル化時間を測定したところ、4分00秒であった。
【0049】実施例22BANI−mX30重量部およびエポキシ樹脂(EP828)70重量部を150℃のオイルバス中で加熱溶融し、それに2−フェニルイミダゾール2重量部を加えて均一にかき混ぜた。つぎにそれを減圧脱気した後、型に流し込み、大気中、200℃で2時間加熱硬化した。硬化物から試験片を切り出し物性試験したところ、ガラス転移温度(Tg、TMA法):131℃、曲げ強度:17.4Kg/mm2、曲げ弾性率:287Kg/mm2であった。
【0050】実施例23実施例22で得られた硬化物について、さらに大気中、250℃で2時間の熱処理を施した後、試験片を切り出し物性試験したところ、ガラス転移温度(Tg、TMA法):142℃、曲げ強度:18.7Kg/mm2、曲げ弾性率:312Kg/mm2であった。
【0051】比較例1ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン(融点92℃)30重量部およびエポキシ樹脂(EP828)70重量部を150℃のオイルバス中で加熱溶融し、それに2−フェニルイミダゾール2重量部を加えて均一にかき混ぜた。つぎにそれを減圧脱気した後、型に流し込み、大気中、200℃で2時間加熱硬化した。硬化物から試験片を切り出し物性試験したところ、ガラス転移温度(Tg、TMA法):130℃、曲げ強度:13.2Kg/mm2、曲げ弾性率:313Kg/mm2であった。
【0052】実施例24BANI−mX30重量部およびエポキシ樹脂(EP1001)70重量部を150℃のオイルバス中で加熱溶融し、それに1−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2−エチルイミダゾール2重量部を加えて均一にかき混ぜた。つぎにそれを減圧脱気した後、型に流し込み、大気中、200℃で2時間、さらに250℃で2時間加熱硬化した。硬化物から試験片を切り出し物性試験したところ、ガラス転移温度(Tg、TMA法):116℃、曲げ強度:16.0Kg/mm2、曲げ弾性率:294Kg/mm2であった。
【0053】実施例25BANI−mX30重量部およびエポキシ樹脂(EP828)70重量部を150℃のオイルバス中で加熱溶融し、それにジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート0.8重量部、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート0.8重量部およびベンゾイン0.4重量部を加えて均一にかき混ぜた。つぎにそれを減圧脱気した後、型に流し込み、大気中、200℃で2時間加熱硬化した。硬化物から試験片を切り出し物性試験したところ、ガラス転移温度(Tg、TMA法):90℃、曲げ強度:15.9Kg/mm2、曲げ弾性率:341Kg/mm2、5%重量減少温度:326℃(TGA法、窒素気流中、昇温速度:10℃/min)であった。
【0054】実施例26実施例25において、硬化条件を200℃で2時間の代わりに、200℃で12時間にする以外は、実施例25と全く同様な操作を施して得られた硬化物の物性試験を行ったところ、ガラス転移温度(Tg、TMA法):107℃、曲げ強度:15.6Kg/mm2、曲げ弾性率:330Kg/mm2であった。
【0055】実施例27実施例25において、硬化条件を200℃で2時間の代わりに、200℃で2時間、引き続いて250℃で2時間にする以外は、実施例25と全く同様な操作を施して得られた硬化物の物性試験を行ったところ、ガラス転移温度(Tg、TMA法):141℃、曲げ強度:16.0Kg/mm2、曲げ弾性率:315Kg/mm2、5%重量減少温度:357℃(TGA法、窒素気流中、昇温速度:10℃/min)であった。
【0056】比較例2ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン(融点75℃)30重量部およびエポキシ樹脂(EP828)70重量部を150℃のオイルバス中で加熱溶融し、それにジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート0.8重量部、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート0.8重量部およびベンゾイン0.4重量部を加えて均一にかき混ぜた。つぎにそれを減圧脱気した後、型に流し込み、大気中、200℃で2時間、引き続いて250℃で2時間加熱硬化した。硬化物から試験片を切り出し物性試験したところ、ガラス転移温度(Tg、TMA法):144℃、曲げ強度:12.0Kg/mm2、曲げ弾性率:380Kg/mm2であった。
【0057】実施例28BANI−mX50重量部およびエポキシ樹脂(EP828)50重量部を150℃のオイルバス中で加熱溶融し、それにジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート0.8重量部、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート0.8重量部およびベンゾイン0.4重量部を加えて均一にかき混ぜた。つぎにそれを減圧脱気した後、型に流し込み、大気中、200℃で2時間、引き続いて250℃で2時間加熱硬化した。硬化物から試験片を切り出し物性試験したところ、ガラス転移温度(Tg、TMA法):141℃、曲げ強度:16.8Kg/mm2、曲げ弾性率:373Kg/mm2、5%重量減少温度:372℃(TGA法、窒素気流中、昇温速度:10℃/min)であった。
【0058】実施例29BANI−mX30重量部およびエポキシ樹脂(EP180S65)70重量部を150℃のオイルバス中で加熱溶融し、それにジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート0.8重量部、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート0.8重量部およびベンゾイン0.4重量部を加えて均一にかき混ぜた。つぎにそれを減圧脱気した後、型に流し込み、大気中、200℃で2時間、引き続いて250℃で2時間加熱硬化した。硬化物から試験片を切り出し物性試験したところ、ガラス転移温度(Tg、TMA法):125℃、曲げ強度:13.5Kg/mm2、曲げ弾性率:356Kg/mm2、5%重量減少温度:378℃(TGA法、窒素気流中、昇温速度:10℃/min)であった。
【0059】実施例30BANI−mX70重量部およびエポキシ樹脂(EP180S65)30重量部を150℃のオイルバス中で加熱溶融し、それにジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート0.8重量部、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート0.8重量部およびベンゾイン0.4重量部を加えて均一にかき混ぜた。つぎにそれを減圧脱気した後、型に流し込み、大気中、200℃で2時間、引き続いて250℃で2時間加熱硬化した。硬化物から試験片を切り出し物性試験したところ、ガラス転移温度(Tg、TMA法):140℃、曲げ強度:10.0Kg/mm2、曲げ弾性率:403Kg/mm2、5%重量減少温度:386℃(TGA法、窒素気流中、昇温速度:10℃/min)であった。
【0060】実施例31BANI−mX30重量部およびエポキシ樹脂(EP1001)70重量部を150℃のオイルバス中で加熱溶融し、それにジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート0.8重量部、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート0.8重量部およびベンゾイン0.4重量部を加えて均一にかき混ぜた。つぎにそれを減圧脱気した後、型に流し込み、大気中、200℃で2時間加、引き続いて250℃で2時間熱硬化した。硬化物から試験片を切り出し物性試験したところ、ガラス転移温度(Tg、TMA法):100℃、荷重たわみ温度:118℃、曲げ強度:17.1Kg/mm2、曲げ弾性率:295Kg/mm2、5%重量減少温度:393℃(TGA法、窒素気流中、昇温速度:10℃/min)であった。
【0061】実施例32N,N´−(p−フェニレン)・エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)30重量部およびエポキシ樹脂(EP1001)70重量部を150℃のオイルバス中で加熱溶融し、それにジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート2重量部を加えて均一にかき混ぜた。つぎにそれを減圧脱気した後、型に流し込み、大気中、200℃で2時間、引き続いて250℃で2時間加熱硬化した。硬化物から試験片を切り出し物性試験したところ、ガラス転移温度(Tg、TMA法):138℃、曲げ強度:16.3Kg/mm2、曲げ弾性率:310Kg/mm2であった。
【0062】
【発明の効果】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、各成分の相溶性、貯蔵安定性に優れ、また、比較的低い温度で、かつ短時間で硬化するので、種々の用途において作業性に優れている。しかも、従来のエポキシ樹脂とビスアルケニル置換ナジイミドの樹脂組成物に比べて、金属等に対する接着性、密着性、耐熱性、および力学的性質、特に機械的強度が優れた硬化物を与える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)エポキシ樹脂、(B)一般式[1]
【化1】


{式中、R1およびR2はそれぞれ独立に選ばれた水素またはメチル基、Eは一般式[2]
【化2】


(式中、aは0または1の整数、R3およびR3'はそれぞれ独立に選ばれたC1〜C4のアルキレン基またはC5〜C8のシクロアルキレン基を表す。)で表されるアルキレン・フェニレン基を表す。}で表されるビスアルケニル置換ナジイミド、および(C)硬化触媒を必須成分として含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】 硬化触媒が、1)異節環状アミンまたは第三級アミン、2)異節環状アミンまたは第三級アミンのルイス酸錯体、3)オニウム塩、または4)オニウム塩および弱い還元剤または安息香酸銅である請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】 (A)エポキシ樹脂100重量部に対して、(B)一般式[1]
【化3】


{式中、R1およびR2はそれぞれ独立に選ばれた水素またはメチル基、Eは、一般式[2]
【化4】


(式中、aは0または1の整数、R3およびR3'はそれぞれ独立に選ばれたC1〜C4のアルキレン基またはC5〜C8のシクロアルキレン基を表す。)で表されるアルキレン・フェニレン基を表す。}で表されるビスアルケニル置換ナジイミド10〜500重量部を配合することを特徴とする請求項1または2記載の熱硬化性樹脂組成物。

【特許番号】第2670743号
【登録日】平成9年(1997)7月11日
【発行日】平成9年(1997)10月29日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−240710
【出願日】平成5年(1993)8月31日
【公開番号】特開平7−70288
【公開日】平成7年(1995)3月14日
【出願人】(000157603)丸善石油化学株式会社 (84)
【参考文献】
【文献】特開 昭60−124619(JP,A)
【文献】特開 昭61−18761(JP,A)
【文献】特開 平5−301948(JP,A)
【文献】特開 平7−53516(JP,A)