説明

熱転写シートを用いた保護層形成方法

【課題】被転写体の全面に余白なく保護層を設けることができる、保護層の形成方法を提供する。
【解決手段】熱転写シートの熱転写性保護層の少なくとも一部分に、プレ検知マーク領域を設け、熱転写シートの、被転写体に転写される部分であるパッチ部分と、前記プレ検知マーク領域の少なくとも一部分とに、同時にハーフカット処理を施して、前記接着層を含めて前記熱転写性保護層までを切断し、ハーフカット処理が施された前記パッチ部分、及び前記プレ検知マーク領域の少なくとも一部分以外の熱転写性保護層を、前記シート基材の樹脂層から剥離して、前記熱転写シートから除去することにより、前記パッチ部分を熱転写シートに残存させるとともに、検知マークを形成し、前記熱転写シートの熱転写性保護層面を被転写体に重ねて熱転写する際に、前記検知マークを検知して、前記パッチ部分の位置と被転写体の位置との位置合わせを行い、そして前記パッチ部分を被転写体に転写して、被転写体の表面に熱転写性保護層を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱転写シートを用いて被転写体に熱転写性保護層を形成する方法に関し、より詳細には、被転写体の外縁部に余白なく、いわゆる縁なしの熱転写性保護層をできる、保護層の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の熱転写方法が知られているが、この方法は、シート基材上に着色転写層を形成した熱転写シートを使用し、その熱転写シートの背面からサーマルヘッドなどにより画像状に加熱し、上記の着色転写層を熱転写受像シートの表面に熱転写して、画像形成するものである。この熱転写方法は、その着色転写層の構成によって、昇華転写型と熱溶融転写型の二方式に大別される。両方式ともに、フルカラー画像の形成が可能であり、例えば、イエロー、マゼンタ、シアンさらに必要に応じて、ブラックの三色ないし四色の熱転写シートを用意し、同一の熱転写受像シートの表面に各色の画像を重ねて熱転写してフルカラー画像を形成するものである。マルチメディアに関連した様々なハード及びソフトの発達により、この熱転写方法は、コンピューターグラフィックス、衛星通信による静止画像そしてCDROMその他に代表されるデジタル画像及びビデオ等のアナログ画像のフルカラーハードコピーシステムとして、その市場を拡大している。
【0003】
この熱転写方法による熱転写受像シートの具体的な用途は、多岐にわたっている。代表的なものとしては、印刷の校正刷り、画像の出力、CAD/CAMなどの設計及びデザインなどの出力、CTスキャンや内視鏡カメラなどの各種医療用分析機器、測定機器の出力用途そしてインスタント写真の代替として、また身分証明書やIDカード、クレジットカード、その他カード類への顔写真などの出力、さらに遊園地、ゲームセンター、博物館、水族館などのアミューズメント施設における合成写真、記念写真としての用途などをあげることができる。
【0004】
特に、近年、身分証明書やIDカード、クレジットカード、その他カード類においては、カード全面に画像を形成する、いわゆる縁なし画像が主流となってきている。
【0005】
ところで、昇華転写型の熱転写シートで画像形成した場合、顔写真等の階調性画像を精密に形成することができるが、通常の印刷インキによる画像とは異なり、耐候性、耐摩擦性、耐薬品性等の耐久性が不十分であるという問題がある。
【0006】
その解決策として、例えば、特開平5−330235号公報(特許文献1)や特開昭58−149048号公報(特許文献2)には、熱転写画像上に、保護層熱転写シートを重ね合わせ、サーマルヘッドや加熱ロール等を用いて、透明性を有する保護層を転写させて、画像上に保護層を形成することが行われている。
【0007】
しかしながら、縁なし画像が形成されたカード類において、上記のように画像上に保護層を設けるためには、カードと同じ大きさとなるように保護層を設ける必要がある。従って、従来は、画像が全面に形成されたカードの表面に、カードよりも少し大きい保護層を転写しておいて、保護層のカードからはみ出した部分を切断することにより、カード全面に保護層を設けることが行われていた。
【0008】
また、保護層熱転写シートに予め検知マークを印刷しておき、検知マークによる位置情報に基づいて、カードに転写される部分(パッチ部分)にハーフカットを施して、パッチ部分をカードに転写する方法も提案されている(特開2002−312752号公報:特許文献3や特開2000−238439号公報:特許文献4等)。
【0009】
しかしながら、通常、ハーフカット後にかす取りが行われた転写シートは一旦巻き取られて、別工程において保護層の転写が行われるため、検知マークとパッチ部分との位置が正確にあっていなければ、パッチ部分とカードとの位置にずれが生じることもある。通常は、検知マークの印刷工程とパッチ部分のハーフカット処理工程とは別の工程で行われるため、それらの加工公差により両者の位置関係は少なからず変動する。そのため、従来、位置のずれをみこして、カード表面積よりも若干小さくなるようにパッチ部分にハーフカットを施していた。
【特許文献1】特開平5−330235号公報
【特許文献2】特開昭58−149048号公報
【特許文献3】特開2002−312752号公報
【特許文献4】開2000−238439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、上記の課題に着目し、保護層を被転写体に転写する直前に、保護層と被転写体との位置決めを行うことにより、被転写体と同じ大きさにハーフカットされた保護層であっても、位置がずれることなく被転写体の全面に転写できることに気付いた。そして、ハーフカットする際に、パッチ部分だけではなく、検知マークも同時にハーフカットすることにより、パッチ部分と検知マークとの位置関係を完全に合わせることができるため、保護層を被転写体に転写する直前まで、保護層の位置決めを行うことができ、その結果、被転写体の全面に余白なく保護層を設けることができる、との知見を得た。本発明はかかる知見に基づくものである。
【0011】
したがって、本発明の目的は、被転写体の全面に余白なく保護層を設けることができる、熱転写シートを用いた被転写体の保護層形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による方法は、樹脂層を備えたシート基材と接着層を備えた熱転写性保護層とが、前記樹脂層と前記熱転写性保護層とが重なるように積層された熱転写シートを用いて、被転写体に前記熱転写性保護層を形成する方法において、
前記熱転写シートの熱転写性保護層の少なくとも一部分に、プレ検知マーク領域を設け、
熱転写シートの、被転写体に転写される部分であるパッチ部分と、前記プレ検知マーク領域の少なくとも一部分とに、同時にハーフカット処理を施して、前記接着層を含めて前記熱転写性保護層までを切断し、
ハーフカット処理が施された前記パッチ部分、及び前記プレ検知マーク領域の少なくとも一部分以外の熱転写性保護層を、前記シート基材の樹脂層から剥離して、前記熱転写シートから除去することにより、前記パッチ部分を熱転写シートに残存させるとともに、検知マークを形成し、
前記熱転写シートの熱転写性保護層面を被転写体に重ねて熱転写する際に、前記検知マークを検知して、前記パッチ部分の位置と被転写体の位置との位置合わせを行い、そして
前記パッチ部分を被転写体に転写して、被転写体の表面に熱転写性保護層を設ける、ことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の態様として、前記パッチ部分が、被転写体表面と同じ形状となるようにハーフカット処理されることが好ましい。
【0014】
また、本発明の態様として、前記樹脂層の表面に剥離層が設けられており、剥離層と前記熱転写性保護層とが重なるように積層されていることが好ましい。
【0015】
さらに、本発明においては、上記の方法によって得られた画像形成物も提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明による保護層形成方法においては、熱転写シート上にプレ検知マーク領域を設けておき、被転写体に転写される部分(パッチ部分)のハーフカット処理を行う際に、上記プレ検知マーク領域の少なくとも一部分にも同時にハーフカット処理を行うことにより、かす取り工程において検知マークを形成し、パッチ部分と検知マークとを熱転写シートに残存させた状態で、熱転写工程に付される。従って、熱転写性保護層を被転写体へ熱転写する直前に、検知マークによって、被転写体とパッチ部分との位置合わせを正確に行うことができるため、被転写体の全面に余白なく熱転写性保護層を設けることができる。
【0017】
また、本発明の方法によれば、被転写体と熱転写性保護層のパッチ部分との正確な位置合わせができるため、パッチ部分が被転写体と同じ大きさであっても、熱転写された場合に、熱転写性保護層が被転写体からずれたり、はみ出したりすることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明による方法は、樹脂層を備えたシート基材と接着層を備えた熱転写性保護層とが、前記樹脂層と前記熱転写性保護層とが重なるように積層された熱転写シートを用いて、被転写体に前記熱転写性保護層を形成する方法において、前記熱転写シートの熱転写性保護層の少なくとも一部分に、プレ検知マーク領域を設ける工程、熱転写シートの、被転写体に転写される部分であるパッチ部分と、前記プレ検知マーク領域の少なくとも一部分とに、同時にハーフカット処理を施して、前記接着層を含めて前記熱転写性保護層までを切断する工程、ハーフカット処理が施された前記パッチ部分、及び前記プレ検知マーク領域の少なくとも一部分以外の熱転写性保護層を、前記シート基材の樹脂層から剥離して、前記熱転写シートから除去することにより、前記パッチ部分を熱転写シートに残存させるとともに、検知マークを形成する工程、前記熱転写シートの熱転写性保護層面を被転写体に重ねて熱転写する際に、前記検知マークを検知して、前記パッチ部分の位置と被転写体の位置との位置合わせを行う工程、そして前記パッチ部分を被転写体に転写して、被転写体の表面に熱転写性保護層を設ける工程、を含むものである。
【0019】
各工程について以下、図面を参照しながら説明する。
【0020】
(プレ検知マーク領域の形成工程)
図1は、本発明による方法に用いられる熱転写シートの層構成を示したものである。本発明による方法において使用される熱転写シート1は、図1に示すように、樹脂層3を備えたシート基材2と接着層5を備えた熱転写性保護層4とが、前記樹脂層3と前記熱転写性保護層4とが重なるように積層された構成である。
【0021】
先ず、熱転写シート1の、後の工程において被転写体と重ね併せて熱転写を行う面(すなわち、接着層5の表面)に、プレ検知マーク領域6を設けておく。この領域の一部分は、後記するハーフカット後のかす取り工程において、その大部分が除去されるが、残存した領域が後に検知マークとなる。
【0022】
プレ検知マーク領域6は、接着層5の表面に限定されず、かす取り工程により周囲が除去されて熱転写シートに残存する領域であれば、どの層に設けてもよい。
【0023】
また、プレ検知マーク領域6は、その一部を検知マークとして機能させるために、検知可能に該領域を形成する必要があるが、形状や色等の形態は、検知器によって検知可能であればよく、限定されるものではない。
【0024】
また、通常、生産効率の観点から、熱転写フィルムはひと続きの連続した帯状のロールとして供給されるが、熱転写シートの熱転写性保護層に、例えば、図2に示すように、連続したライン状となるように、プレ検知マーク領域を形成しておいてもよい。
【0025】
また、プレ検知マーク領域は、後の検知マークとなった時に、検知器によって検知可能であればよく、例えば光透過型検知器を用いるのであれば、隠蔽性の高い銀色、黒色等の色に着色してもよく、光反射型検知器を用いるのであれば、光反射性の高い金属光沢の色調等にしてもよい。
【0026】
プレ検知マーク領域を形成する方法は、グラビア印刷やオフセット印刷で形成したり、蒸着フィルムを転写箔でホットスタンプで設けたり、裏面に粘着剤付きの蒸着フィルムを貼り付けることもでき、特に限定されるものではない。
【0027】
(ハーフカット処理)
次いで、プレ検知マーク領域6が形成された熱転写シート1は、被転写体に転写される部分であるパッチ部分7と、プレ検知マーク領域6の少なくとも一部分8とに、同時にハーフカット処理9が施される。
【0028】
図3及び図4に、ハーフカット処理の一例を説明する概略図を示す。樹脂層3を設けたシート基材2と、接着層5を備えた熱転写性保護層4とが積層された熱転写シート1が、まずカッター刃23が取り付けられた上型24と台座25との間に供給され、その上型24を下に移動して、熱転写シート1の接着層5を備えた熱転写性保護層4側に、カッター刃23により切断加工を行なう。図5に示すように、一単位の被転写体に転写される領域7(パッチ部分)及びプレ検知マーク領域6の少なくとも一部分8の加工をして、続けて、隣りの切断加工を行い、それを繰り返し、連続した切断加工を行なう。なお、複数の区画を一括して切断加工することも可能である。
【0029】
なお、ハーフカットの形成方法は、カッター刃を取り付けた上型と台座の間に、熱転写シートを挿入して、上型を上下動させる方法や、シリンダータイプのロータリーカッター方法、レーザー加工手段により熱処理加工方法等、ハーフカットできる方法であれば特に制限はない。
【0030】
シート基材側にハーフカット処理を施す時に、熱転写性保護層4側を切断加工する際に、切断部が深さ方向で深すぎて、熱転写性保護層4だけでなく、シート基材2まで切断されると、プリンター搬送中にその切断部で、熱転写シート1全体が切断され、搬送トラブルが発生しやすくなる。一方、その切断部が深さ方向で浅すぎて、例えば接着層5のみにカットが施され、熱転写性保護層4にカットが施されないと、熱転写性保護層4側のカス取り、除去する時に、正規の切断位置と異なる位置で切断したりして、問題が生じる。
【0031】
したがって、切断加工(ハーフカット加工)の深さは熱転写性保護層4を貫通し、樹脂層3の厚さ方向で少し食い込む程度にすることが好ましい。
【0032】
(検知マークの形成)
次に、熱転写シート1は、図4に示すように、剥離ロール20により、ハーフカットされたパッチ部分7及びプレ検知マーク領域6の少なくとも一部分8以外の部分について、連続的に、カス取りが行われ、カス取りロール21で巻上げられる。この工程により、ハーフカット処理が施された、接着層を備えた熱転写性保護層一部22が、熱転写シート1から除去される。なお、バキューム方式や粘着式等の専用のカス取り器具を用いて、カス取りを行なうこともできる。
【0033】
カス取りがされた熱転写シート1には、図6に示すように、被転写体に転写される部分であるパッチ部分7と、プレ検知マーク領域6の一部分8とが、熱転写シート1に残存する。そして、このプレ検知マーク領域6のうち、熱転写シート1に残存した部分が検知マーク8として形成される。検知マークとして形成されるハーフカット形状としては、例えば、四角形でも丸形でも、その他どのような形状でもよく、ハーフカットし得る形状であれば特に制限されるものではない。
【0034】
この検知マーク8は、被転写体へ転写される部分であるパッチ部分7の熱転写が行われるまで、熱転写シート1に残存することになる。このように、パッチ部分7と検知マーク8とを関連させて熱転写シート1に残存させることにより、後記する熱転写性保護層及び接着層の熱転写工程において、熱転写の直前に検知マークによってパッチ部分の位置と被転写体の位置との位置合わせを行えるため、正確に被転写体の表面に熱転写性保護層を転写できる。従って、ハーフカットの際に、被転写体と同じ大きさのパッチ部分を形成した場合であっても、被転写体とずれることなく、隙間無く熱転写性保護層を設けることができる。
【0035】
(熱転写工程)
次に、かす取りが行われた熱転写シート1の接着層5の面と被転写体12とを接するように、圧接して、サーマルヘッドや、ホットスタンプ、熱ロール等の加熱手段で、転写部を被転写体に転写する。上記の転写部の加熱手段において、部分的な転写ではサーマルヘッドもしくはホットスタンプの手段を用いることが望ましく、被転写体全面に転写する場合は熱ロール方式が望ましい。
【0036】
被転写体の表面に、熱転写性保護層を熱転写する手段としては、サーマルヘッドとプラテンの間に被転写体と熱転写シートを挟み込み、サーマルヘッドからの加熱を行ったり、図7に示すようにヒートローラー10とプラテンローラー11との間に被転写体12と熱転写シート1とを挟み込み、ヒートローラー10からの加熱を行う方法や、あるいは、ヒートロール方式(市販されているラミネーターがこのタイプのものが多く、一対のヒートロールで熱プレスする方式)や加熱した平板と平板で挟み込んだり、加熱した平板とロールで挟んで、熱プレスする方法を適用できる。また、レーザー照射による加熱の熱転写手段でも適用可能である。
【0037】
いずれの熱転写方式を適用した場合であっても、図7に示すように、ヒートローラー10の手前に検知器13を設置しておくことが好ましい。この検知器によって、熱転写シート1と被転写体12との正確な位置合わせが行われる。その結果、熱転写性保護層のパッチ部分が被転写体と同じ大きさであっても、熱転写された場合に、熱転写性保護層が被転写体からずれたり、はみ出したりすることがない。
【0038】
また、被転写体の表面には、予め画像形成されていてもよく、保護層を設けることにより画像が保護される。なお、被転写体への画像形成工程及び本発明による保護層形成工程は、インラインで実施されたり、オフラィンで行ったり、自由に指定することができる。
【0039】
以下、本発明による方法に用いられる熱転写シートについて説明する。
【0040】
本発明において用いられる熱転写シートは、図1に示すように、樹脂層3を備えたシート基材2と接着層5を備えた熱転写性保護層4とが、前記樹脂層3と前記保護層4とが重なるように積層された構成である。以下、各層について説明する。
【0041】
(シート基材)
本発明において使用するシート基材は、特に限定されるものではなく、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、又はサイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルニーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等のフィルムが挙げられる。
【0042】
シート基材は10μm〜100μmの厚みのものが好ましく、シート基材が薄すぎると得られる熱転写シートのいわゆるコシがなくなり、熱転写プリンターで搬送できなかったり、シートにカールやシワが発生したりする。一方、シート基材が厚すぎると、得られる熱転写シートが厚くなりすぎ、熱転写プリンターで搬送駆動させる力が大きくなりすぎて、プリンターに故障が生じたり、正常に搬送できなかったりする。
【0043】
(樹脂層)
シート基材2上に設ける樹脂層3は、粘着剤層や簡易接着層やエクストルージョンコーティング層(EC)により形成することができる。粘着剤層は、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの粘着剤を用いて形成することができる。粘着剤として、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴムなどが挙げられる。粘着剤層の塗工量は、約8〜30g/m(固形分)が一般的であり、従来公知の方法、すなわち、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、コンマコート、ダイコート等の方法で、離型シート上に塗布し、乾燥して粘着剤層を形成する。また、粘着剤層の粘着力は、熱転写性保護層と粘着剤層との剥離強度で、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、5〜1,000gf/inch程度の範囲にすることが望ましい。以上の如き粘着剤の種類や、塗工量は、粘着剤層を形成する際に、その剥離強度が前記範囲になるように選択して使用することが好ましい。
【0044】
また、熱転写性保護層に粘着剤層を積層するには、粘着剤層のドライラミネーションやホットメルトラミネーション等の方法を採用することができる。
【0045】
簡易接着層は、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)やポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂のラテックスや、ゴム系レジン、ワックス類及びそれらの混合物を用いて、従来公知の塗工方式で形成することができる。そして、シート基材(樹脂層)から熱転写性保護層(接着層)を剥がした後の簡易接着層は、粘着性が低下し、再度、貼り合わせることはできない。このような簡易接着層を用いる場合、シート基材の樹脂と簡易接着層との間にプライマー層を設けてもよい。
【0046】
また、樹脂層として、シート基材上にEC層を設けることができる。EC層を形成する熱可塑性樹脂は熱転写性保護層には本質的に接着せず、エクストルージョン(押し出し)加工特性のある樹脂であれば特に限定されない。熱転写性保護層に一般的に利用されるPETフィルムに対しては、本質的な接着性を有さず加工性も優れる、ポリオレフィン系樹脂が特に好ましい。具体的には、LDPE、MDPE、HDPE、PP樹脂等を使用でき、これらの樹脂を押し出しコーティングする際に冷却ロールとしてマットロールを使用することにより、EC層表面にそのマット面を転写して微細な凹凸形状を賦形することができ、当該EC層に不透明性を付与することができる。また、上記のポリオレフィン系樹脂に炭酸カルシウム、酸化チタン等の白色顔料を練り混んで、不透明のEC層を形成することができる。当該EC層は単層である必要はなく2層以上から形成されても良い。熱転写性保護層からの剥離強度は、押し出し加工時の加工温度、樹脂種によって調整することができる。このように、シート基材(樹脂層)上へのEC層の押し出し加工と同時に、いわゆるECラミネーションでシート基材(樹脂層)と後記する熱転写性保護層とをEC層を介して積層させることができる。
【0047】
上記のシート基材上に樹脂層を設ける際に、シート基材表面にプライマー層を設けて、シート基材と樹脂層の接着性を向上させることができる。また、そのプライマー層の代わりに、シート基材表面にコロナ放電処理を施すことも可能である。プライマー層は、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等を溶剤に溶解ないし分散させた塗工液を用意し、従来公知の方法で形成することができる。プライマー層の厚さは、乾燥状態で0.1〜5g/m程度である。
【0048】
本発明において用いられる熱転写シートは、必要に応じて、図7に示すように、シート基材2の裏面、すなわち樹脂層3の設けてある面と反対面に、パッチ部分7を被転写体へ転写する手段としてのサーマルヘッドやヒートロール等の熱によるスティッキングやシワなどの悪影響を防止するため、耐熱滑性層14を設けてもよい。
【0049】
耐熱滑性層を形成する樹脂としては、従来公知のものであればよく、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセトプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
【0050】
これらの樹脂からなる耐熱滑性層に添加、あるいは上塗りする滑り性付与剤としては、燐酸エステル、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体が挙げられるが、好ましくは、ポリオール、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及び燐酸エステル系化合物からなる層であり、更に充填剤を添加することがより好ましい。
【0051】
耐熱滑性層は、上記に記載した樹脂、滑り性付与剤、更に充填剤を、適当な溶剤により、溶解又は分散させて、耐熱滑性層形成用インキを調製し、これを、上記のシート基材の裏面に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースコーティング法等の形成手段により塗布し、乾燥して形成することができる。
【0052】
(剥離層)
本発明において用いられる熱転写フィルム1は、樹脂層3と熱転写性保護層4とが重なるように積層された構成であるが、熱転写性保護層4が熱転写により樹脂層3から剥離し易いように、樹脂層3と熱転写性保護層4との間に剥離層15を設けることが好ましい。剥離層に使用する樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、もしくはそれらの混合物などが挙げられる。これらの樹脂を溶剤に溶解して塗工液を作製し、該塗工液を塗布及び乾燥して剥離層が形成される。剥離層の厚みは約0.1〜5.0μm程度である。
【0053】
また、熱転写性保護層4の樹脂層3と面する側に離型処理を施して、樹脂層3と熱転写性保護層4との間の剥離を行いやすくすることもできる。
【0054】
離型処理は、熱転写性保護層4の上に、剥離層15を設けるもので、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース誘導体樹脂等、及びこれらの樹脂群の共重合体を含有する塗工液を、従来公知のグラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により、塗布し、乾燥して、形成することができる。
【0055】
(熱転写性保護層)
本発明に使用される熱転写シートの熱転写保護層4は、ハーフカット処置された部分を境界にして、熱転写保護層(接着層も含む)が切断されて、被転写体の全面に転写され、熱転写保護層(接着層も含む)が被転写体を覆う形態で保護膜として機能する。したがって、熱転写保護層は、透明性、耐候性、耐擦性、耐薬品性等の耐久性を有するシートを好適に使用できる。このようなシートとしては特に限定されるものではないが、例えば、0.5〜100μm、好ましくは2.5〜30μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルフォンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロファン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。
【0056】
この熱転写性保護層は、被転写体に形成された画像を被覆して保護することを目的としているため、被覆された画像が目視できるように無色透明であることが好ましい。
【0057】
(接着層)
熱転写シート1の最表面には、図8に示すように接着層5が設けられている。接着層は、被転写体表面に熱転写性保護層を転写及び接着させる層であり、いわゆるヒートシール性樹脂を使用する。具体的には、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂のような加熱時接着性の良好な樹脂が挙げられる。これらの樹脂を溶剤に溶解又は分散して塗工液を作製し、該塗工液を塗布及び乾燥して接着層が形成される。接着層の厚みは約0.1〜5μm程度である。この接着層は、接着層を含む熱転写性保護層で被覆された画像が目視できるように無色透明であることが好ましい。
【0058】
上記した熱転写性保護層及び接着層の合計厚みは2.5〜40μm、好ましくは4〜30μmの範囲である。2.5μmを下回る厚みでは耐久性が問題となる場合がある。一方、熱転写性保護層をフィルムではなく、樹脂組成物を塗工して成膜したようば場合、40μmを超える厚みでは転写時における熱転写性保護層及び接着層(検知層を備える態様においては、当該検知層も含む)の箔切れ性が低下して、被転写体の所望の領域にのみに、これらの転写層(以下、熱転写性保護層、接着層及び検知層をまとめて転写層という場合がある。)を転写させることが困難となる。
【0059】
また、熱転写性保護層4と接着層5との間に各種の樹脂からなる中間層(図示せず)を設けることができる。但し中間層は転写画像が観察できるように、透明性を有することが望ましい。
【0060】
この中間層に様々な役割をもたせることで、転写層に優れた機能を付加させることができる。例えば、クッション性を付与させる樹脂として、弾性変形や塑性変形の大きな樹脂、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂等を用いて、受像シートの印字感度を向上させたり、画像のざらつきを防止することができる。
【0061】
また、中間層には必要に応じて、帯電防止剤や紫外線吸収剤、蛍光染料を添加してもよい。たとえば、中間層には画像の耐光性を向上させるために紫外線吸収剤を添加してもよい。このような紫外線吸収剤としては、50〜150℃の融点を有する低分子量の化合物、たとえばベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、サリチレート系及びシュウ酸アニリド系化合物等が挙げられる。また、中間層には、セキュリティー性を付与する目的で蛍光染料を添加することができる。このような蛍光染料としては、たとえば、ユウロピウム化合物が挙げられ、具体的には、n−テトラブチルアニモニウムテトラ[4,4,4−トリフルオロ−1−(2−)チエニル)−1,3−ブタンジオナート]ユウロピウム錯体などのユウロピウム錯体化合物が好ましく用いられ得る。
【0062】
本発明に用いられる熱転写シートは、その方面又は両面の最表面に帯電防止層(図示せず)を設けてもよい。帯電防止層は、帯電防止剤である、脂肪酸エステル、硫酸エステル、リン酸エステル、アミド類、4級アンモニウム塩、ベタイン類、アミノ酸類、アクリル系樹脂、エチレンオキサイド付加物等を溶剤に溶解又は分散させたものを塗工して、形成することができる。形成手段は、上記の受容層の場合と同様のものがあげられる。帯電防止層の塗工量は、乾燥時0.001〜0.1g/mが好ましい。
【0063】
(被転写体)
本発明による保護層形成方法において用いる被転写体としては、特に制限されるものではないが、身分証明書やIDカード、クレジットカード、その他カード類を好適に使用できる。
【0064】
また、被転写体の基材としては、例えば、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打ち用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等のセルロース繊維紙、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリレート等の各種のプラスチックフィルム又はシート等が使用でき、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルム、あるいは基材内部に微細空隙(ミクロボイド)を有するフィルム等も使用でき、特に限定されるものではない。
【0065】
また、上記基材の任意の組合せによる積層体も使用できる。これらの基材の厚みは任意でよく、例えば、10〜300μm程度の厚みが一般的である。
【0066】
被転写体に予め画像を形成しておいてもよく、画像形成は、従来公知の方法を使用することができる。例えば、電子写真記録方式が挙げられ、この記録方式は、感光体が帯電器を通過するとき、コロナ放電で発生するイオンを一様に感光体面に帯電させ、露光部で感光体表面を画像状に露光し、光導電現象により光の当たった部分の帯電電荷を除去し、光の当たらない部分の電荷で潜像を形成させる。次に、現像部で潜像に帯電したトナーを静電的に付着させ可視像を得て、転写部でその可視像を印画物に転写し、定着部の熱と圧力で転写像を印画物に定着させるものである。
【0067】
そして、フルカラーの画像形成を行うには、上記のトナーをイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを用いて、各々のトナーで上記に説明した工程を繰り返し行う。
【0068】
また、被転写体へ予め画像を形成する方式の一つとして、インクジェット記録方式を用いることができ、この方式は、インク液滴を記録媒体に直接吹き付けて文字や画像を形成するもので、例えば、画像信号に対応してインクを液滴化し記録を行うオンデマンド型では、ピエゾ素子に通電することにより、インク室の体積を変化させ、ノズルよりインクを噴射する電気・機械変換型と、ノズル内に発熱素子を埋め込み、これに通電することによりインクを瞬時に加熱・沸騰させて、インク中に泡をつくり、急激な体積変化によって、インクをノズルから噴出させる電気・熱変換方式等がある。フルカラーの画像形成を行うには、上記のインクをイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクを用いて、各々のインクで上記に説明した工程を繰り返し行う。
【0069】
さらに、熱転写記録方式により、被転写体へ予め画像を形成することもできる。この方式は、画像信号により制御された熱エネルギーをサーマルヘッドで発生させ、インク等の記録材料の活性化エネルギーとして用いて記録する方式で、インクリボンを記録紙に重ね、適度な加圧状態にあるサーマルヘッドとプラテンとの間を通し、通電により昇温したサーマルヘッドにより、記録材は活性化され、プラテンの圧力に助けられて・記録紙に転写される。この方式の転写記録方式には、熱溶融型と熱昇華型があり、いずれであっても使用することができる。
【0070】
上記した方式を複数、例えば、階調画像部を電子写真記録方式で行い、文字部分を熱溶融型熱転写記録方式で行う等の組合せによっても画像形成することができる。
【0071】
また、被転写体の表面に受容層を設けておいてもよい。各画像形成方式に適した樹脂に必要に応じて添加剤を加え、適当な溶剤に溶解又は分散して調整した塗工液を、基材上に、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷等の公知の印刷手段、あるいは、グラビアコート等の公知の塗工手段により形成する。厚さは乾燥時で0.5〜10μm程度である。
【0072】
本発明による保護層形成方法は、被転写体への画像形成手段と、熱転写シートを用いた被転写体へ保護層を熱転写する手段とが、インラインで実施されたり、オフラィンで行ったり、自由に指定することができる。また、上記の手段をインラインで行うにも、画像形成手段と保護層熱転写手段を同一の装置で行ったり、別個の装置を連結して行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明による方法に用いられる熱転写シートの層構成を示す概略断面図である。
【図2】プレ検知マーク領域を設けた熱転写シートの一実施態様を示す概略図である。
【図3】ハーフカット処理を施した状態の熱転写シートの一実施態様を示す概略断面図である。
【図4】ハーフカット処理及びそれに続くカス取り工程の一実施態様を示す概略図である。
【図5】パッチ部分及びプレ検知マーク領域の少なくとも一部分のハーフカットを行った後の状態の熱転写シートの一実施態様を示す概略図である。
【図6】かす取りが行われた後の、熱転写シートの一実施態様を示す概略断面図である。
【図7】熱転写工程を示す概略図である。
【図8】本発明による方法に用いられる熱転写シートの別の層構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0074】
1 熱転写シート
2 基材シート
3 樹脂層
4 熱転写性保護層
5 接着層
6 プレ検知マーク領域
7 パッチ部分
8 検知マーク
9 ハーフカット処理
10 ヒートローラー
11 プラテンローラー
12 被転写体
13 検知器
14 耐熱滑性層
15 剥離層
20 離型ロール
21 かす取りロール
22 パッチ部分及び検知マーク部分以外の熱転写性保護層
23 カッター刃
24 上型
25 台座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂層を備えたシート基材と接着層を備えた熱転写性保護層とが、前記樹脂層と前記熱転写性保護層とが重なるように積層された熱転写シートを用いて、被転写体に前記熱転写性保護層を形成する方法において、
前記熱転写シートの熱転写性保護層の少なくとも一部分に、プレ検知マーク領域を設け、
熱転写シートの、被転写体に転写される部分であるパッチ部分と、前記プレ検知マーク領域の少なくとも一部分とに、同時にハーフカット処理を施して、前記接着層を含めて前記熱転写性保護層までを切断し、
ハーフカット処理が施された前記パッチ部分、及び前記プレ検知マーク領域の少なくとも一部分以外の熱転写性保護層を、前記シート基材の樹脂層から剥離して、前記熱転写シートから除去することにより、前記パッチ部分を熱転写シートに残存させるとともに、検知マークを形成し、
前記熱転写シートの熱転写性保護層面を被転写体に重ねて熱転写する際に、前記検知マークを検知して、前記パッチ部分の位置と被転写体の位置との位置合わせを行い、そして
前記パッチ部分を被転写体に転写して、被転写体の表面に熱転写性保護層を設ける、ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記パッチ部分が、被転写体表面と同じ形状となるようにハーフカット処理される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記樹脂層の表面に剥離層が設けられており、剥離層と前記熱転写性保護層とが重なるように積層されている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法によって得られた画像形成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−137254(P2009−137254A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318799(P2007−318799)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】