説明

熱転写シート

【課題】光沢感に優れ、印画シワのない或いはシワの発生の少ない画像を形成することができる熱転写シートを提供する。
【解決手段】基材1の一方の面に染料層2又は転写性保護層5が設けられ、基材の他方の面に背面層3が設けられた熱転写シート10であって、背面層は、(A)重量平均分子量(Mw)が15,000より大きい樹脂と、(B)重量平均分子量(Mw)が15,000以下の樹脂と、(C)滑剤成分とを含有し、背面層の固形分総量に対し、(B)の樹脂が、3質量%以上40質量%以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱転写シートに関する。
【背景技術】
【0002】
熱転写を利用した画像の形成方法として、記録材としての昇華型染料をプラスチックフィルム等の基材上に担持させた熱転写シートと、紙やプラスチックフィルム等の別の基材上に染料受容層を設けた熱転写受像シートとを互いに重ね合わせてフルカラー画像を形成する昇華型熱転写方式が知られている。この方法は昇華性染料を色材としているため中間調の再現性や階調性に優れており、原稿通りのフルカラー画像を受像シート上に鮮明に表現することができるので、デジタルカメラ、ビデオ、コンピューター等のカラー画像形成に応用されている。その画像は、銀塩写真に匹敵する高品質なものである。
【0003】
昇華型熱転写方式に用いられる熱転写受像シートとしては、溶剤系の染料受容層を備えた溶剤系の熱転写受像シートや、水系の染料受容層を備える水系の熱転写受像シートが知られている。これらの熱転写受像シートを用いて高温高湿環境下で印画を行った場合には、水系の熱転写受像シート、溶剤系の熱転写受像シートのいずれを使用した場合であっても、基材や染料受容層が吸湿により柔らかくなることで、印画時に染料受容層がダメージを受けやすくなり、印画時に染料受容層がダメージを受けた場合には、光沢感が低下してしまう問題があった。
【0004】
本願発明者らは、染料受容層が受けるダメージは、主として、印画時における熱転写シートとサーマルヘッドとの滑性の低下に起因して生じうることを見出した。具体的には、熱転写シートとサーマルヘッドとの滑性が低い場合には、熱転写シートの染料層がダメージを受け、このダメージが染料受容層に悪影響を及ぼし、印画物の光沢感が低下することを見出した。
【0005】
サーマルヘッドとの滑性を向上させる熱転写シートとして、基材の染料層が設けられた面とは異なる面上に、背面層が設けられた熱転写シートが知られており、例えば、特許文献1には、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂と、ポリイソシアネート硬化剤を適宜の溶剤に溶解、分散した塗工液を基材上に塗布、乾燥することによって形成したものが開示されている。また、特許文献2には、水酸基等の反応性基を有しているバインダー樹脂と、ポリイソシアネートを併用して、基材上に架橋構造の背面層を形成した熱転写シートが開示されている。特許文献1、2に開示がされている背面層は、バインダー樹脂を硬化剤によって硬化せしめることで背面層に耐熱性を付与するものである。また、これらの特許文献には、背面層に滑り性を付与するためにリン酸エステル、シリコーンオイル、ステアリン酸亜鉛などの滑剤成分を含有させることが好ましい点について開示がされている。
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に開示がされている熱転写シート、及び従来公知の背面層を備えた熱転写シートでは、高温高湿環境下で印画を行ったときに光沢が低下してしまうという課題がある。また、低温低湿環境下で印画をおこなったときに印画シワが発生してしまうという課題がある。これらを解決するためには、背面層の滑性と、耐熱性を向上させる必要がある。滑性を向上させる方法としては、背面層の滑剤を増やす方法等が挙げられるが、滑剤を増やすと印画時にサーマルヘッドにカスが付着し、印画物にキズやスジが発生する場合がある。
【0007】
また、特許文献3には、背面層への染料の移行や該移行した染料の再転移を防止することを目的とし、セルロースアセテートブチレート樹脂(A1)と、アクリル系樹脂及びポリビニルアセタール樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(A2)と、滑剤とを含む背面層を備えた熱転写シートが開示されている。
【0008】
しかしながら、特許文献3に開示がされている熱転写シートを用いた場合であっても、高温高湿環境下で画像形成を行った場合には、熱転写シートの染料層がダメージを受け印画物の光沢が低下し、また、低温低湿印画時には印画シワが発生してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−11647号公報
【特許文献2】特開平6−99670号公報
【特許文献3】特開2008−105371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような状況においてなされたものであり、染料受容層が受けるダメージを低減させ、光沢感に優れ、印画シワのない或いはシワの発生の少ない画像を形成することができる熱転写シートを提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明は、基材の一方の面に染料層又は転写性保護層が設けられ、基材の他方の面に背面層が設けられた熱転写シートであって、前記背面層は、(A)重量平均分子量(Mw)が15,000より大きい樹脂と、(B)重量平均分子量(Mw)が15,000以下の樹脂と、(C)滑剤成分と、を含有し、前記背面層の固形分総量に対し、前記(B)重量平均分子量(Mw)が15,000以下の樹脂が、3質量%以上40質量%以下の範囲内で含有されていることを特徴とする。
【0012】
また、前記(A)重量平均分子量(Mw)が15,000より大きい樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂、又はポリビニルブチラール樹脂であってもよい。
【0013】
また、前記(B)重量平均分子量(Mw)が15,000以下の樹脂が、セルロース系樹脂又はポリビニルブチラール樹脂であってもよく、前記セルロース系樹脂が、セルロースアセテートブチレート樹脂、又はセルロースアセテートプロピオネート樹脂であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の熱転写シートによれば、高温高湿環境、低温低湿環境のいずれの環境下であっても光沢感に優れ、印画シワのない或いはシワの発生の少ない画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<熱転写シート>
以下に、本発明の熱転写シートについて詳細に説明する。図1に示すように本発明の熱転写シート10は、基材1の一方の面に染料層2又は転写性保護層5が設けられ、基材1の他方の面に背面層3が設けられた構成をとる。
【0017】
(基材)
本発明の熱転写シート10に用いられる基材1としては、ある程度の耐熱性と強度に加え、透明性を有するものであれば特に限定されることはなく、従来公知の材料を適宜選択して用いることができる。このような基材1として、例えば、0.5〜50μm、好ましくは1〜10μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。更に、これらの材料はそれぞれ単独でも使用できるが、他の材料と組み合わせた積層体として使用してもよい。
【0018】
(背面層)
基材1の他方の面、図1に示す場合にあっては基材1の下面には、背面層3が設けられている。本発明では耐熱性と滑性の向上を主目的として、背面層3に(A)重量平均分子量(Mw)が15,000より大きい樹脂と、(B)重量平均分子量(Mw)が15,000以下の樹脂と、(C)滑剤成分とが含有されている。以下、(A)重量平均分子量(Mw)が15,000より大きい樹脂、(B)重量平均分子量(Mw)が15,000以下の樹脂、(C)滑剤成分を、それぞれ(A)成分、(B)成分、(C)成分という場合がある。なお、重量平均分子量(Mw)とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値である。
【0019】
(A)重量平均分子量(Mw)が15,000より大きい樹脂(A成分);
本発明では、背面層3に重量平均分子量(Mw)が15,000より大きい樹脂(A成分)が含有されており、このA成分の存在によって背面層3に高い耐熱性が付与されている。
【0020】
上記のように、重量平均分子量(Mw)が15,000より大きい樹脂を含有することで背面層3に耐熱性が付与される。したがって、重量平均分子量(Mw)が15,000より大きいとの条件を満たせば、(A)成分として用いられる樹脂の成分がいかなるものであっても背面層3に耐熱性を付与することができ、その樹脂成分について特に限定はない。この条件を満たす樹脂の中で好ましい樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース系樹脂、アクリル樹脂等を挙げることができる。中でも、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラールは、架橋反応点が多く、硬化剤と併用することによって耐熱性をさらに向上することができることから特に好ましい。
【0021】
(A)成分の好ましい樹脂であるポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂は、水酸基価が9質量%以上25質量%以下であることが好ましい。当該範囲内とすることで、耐熱性をさらに向上させることができるとともに、塗工液の調製に用いられるメチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン等の溶剤に容易に溶解しやすくなる。なお、本明細書中、「水酸基価」とは、樹脂ポリマー中の、水酸基を有するモノマー成分の割合を意味するものであり、樹脂ポリマー全体の質量に対する水酸基を有するモノマー成分の質量の割合(質量%)として算出される値である。
【0022】
また、(A)成分である重量平均分子量(Mw)が15,000より大きい樹脂は、架橋構造を有する樹脂であることが好ましい。架橋構造を有する樹脂を用いることで、背面層3に更に高い耐熱性を付与することができる。
【0023】
架橋構造を有する樹脂は、例えば、上記で好ましい樹脂として挙げたポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等を架橋剤で架橋せしめることで形成することができる。架橋剤としては、ポリイソシアネート樹脂等のイソシアネート系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤等を挙げることができる。ポリイソシアネート樹脂としては、従来種々のものが知られているが、そのうち芳香族系イソシアネートのアダクト体を使用することが望ましい。芳香族系ポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、trans−シクロヘキサン、1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートがあげられ、特に2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物が好ましい。
【0024】
イソシアネート系架橋剤によって、架橋構造を有する樹脂とする場合、該樹脂が有する水酸基と、イソシアネート系硬化剤が有するイソシアネート基との当量比(―NCO/−OH)が0.1以上3以下であることが好ましい。
【0025】
(A)成分は、背面層3の固形分総量に対し、5質量%以上80質量%以下の範囲内で含有されていることが好ましく、10質量%以上70質量%以下の範囲内であることが特に好ましい。(A)成分の含有量が5質量%未満である場合には、背面層3の耐熱性が低下する傾向となり、一方で、80質量%を超えると、背面層3の滑性が低下する傾向となる。
【0026】
(B)重量平均分子量(Mw)が15,000以下の樹脂(B成分)
上記で説明した(A)成分の存在によって背面層3の耐熱性は向上するが、耐熱性の向上にともない背面層3の滑性が低下する。これは、背面層3の耐熱性を向上させることで、印画時に背面層3が軟化しにくく、滑剤成分が背面層3の表面にブリードされにくくなることによるものと推察される。つまり、耐熱性の向上と、滑性の向上とはトレードオフの関係となり、耐熱性の向上を主眼とした場合には、滑性が低下することとなる。一方、滑剤成分を過剰に含有させることで一定の滑性を満たすことができるが、その分耐熱性が低下し、また滑剤の脱落や、サーマルヘッドへカスとして付着する等の問題が生じうる。
【0027】
そこで本発明では、背面層3に耐熱性を付与するための上記の(A)成分とともに、滑剤成分の性能を十分に発現させるための成分である(B)重量平均分子量(Mw)が15,000以下の樹脂が含有されている。
【0028】
(B)成分の含有量が、背面層3の固形分総量に対し3質量%未満である場合には、滑剤成分の機能を十分に発現させることができず、その結果背面層3の滑性が不十分となる。一方で、(B)成分の含有量が40質量%を超えると、印画時の熱で(B)成分が溶融し、溶融した(B)成分がサーマルヘッドに付着し、画像の色が薄くなる、或いは印画キズが生ずる等の画像欠陥を引き起こす。このような点を考慮した本発明では、(B)成分の含有量は、背面層3の固形分総量に対し3質量%以上40質量%以下の範囲に規定されている。
【0029】
(B)成分は、背面層3中に含まれる(C)滑剤成分の性能を十分に発現させること、換言すれば、印画時に背面層3を軟化させ滑剤成分を背面層3の表面にブリードさせ、背面層3の滑性を向上させることを主目的として含有される。この目的は、重量平均分子量(Mw)が15,000以下の樹脂を、背面層3の固形分総量に対し3質量%以上40質量%以下の範囲で含有させることで達成することができる。したがって、重量平均分子量(Mw)が15,000以下の樹脂であること、含有量が上記の範囲内であること、との条件を満たせば、その樹脂成分について特に限定はない。
【0030】
(B)成分の樹脂として好ましいものを例示すれば、セルロース系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂を挙げることができる。セルロース系樹脂としては、例えば、セルロースアセテート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、ニトロセルロース等を挙げることができるが、これらの中でも、溶剤に対する溶解性が良好であるセルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂をセルロース系樹脂として特に好適に使用することができる。
【0031】
上述したように(B)成分は、重量平均分子量(Mw)が15,000以下の樹脂であればよいが、重量平均分子量(Mw)が10,000以下であることが更に好ましい。10,000以下の樹脂を含有することで、滑剤成分の性能を更に効果的に発現させることができ、背面層3の滑性をより向上させることができる。重量平均分子量(Mw)の下限について特に限定はないが、1000程度である。
【0032】
上記(A)成分と同様、(B)成分の樹脂を、架橋構造を有する樹脂とすることもできる。重量平均分子量(Mw)が15,000以下の条件を満たしつつ、架橋構造を有する樹脂を(B)成分として用いることで、滑剤成分の性能を十分に発現させることができるほか、(A)成分との相乗効果によって背面層3の耐熱性を向上させることができる。
【0033】
(C)滑剤成分(C成分);
背面層3には、サーマルヘッドとの滑り性を向上させるために、滑剤成分が含有されている。滑剤成分について特に限定はなく、従来公知の滑剤、例えば、リン酸エステル、金属石鹸、グラファイトパウダー、フッ素系グラフトポリマー、シリコーンオイル、シリコーン系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体等を適宜選択して用いることができる。上記滑剤成分の中でも、本発明では、リン酸エステルや金属石鹸を特に好適に使用することができる。
【0034】
金属石鹸としては、例えば、アルキルリン酸エステルの多価金属塩、アルキルカルボン酸の金属塩等が挙げられる。上記アルキルリン酸エステルの多価金属塩としては、プラスチック用添加剤として公知のものを使用することができる。上記アルキルリン酸エステルの多価金属塩は、一般に、アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩を多価金属で置換することによって得られ、種々のグレードのものが入手可能である。
【0035】
リン酸エステルとしては、例えば、(1)炭素数6〜20の飽和又は不飽和高級アルコールのリン酸モノエステル又はジエステル、(2)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテルのリン酸モノエステル又はジエステル、(3)上記飽和又は不飽和高級アルコールのアルキレンオキシド付加物(平均付加モル数1〜8)のリン酸モノエステル又はジエステル、(4)炭素数8〜12のアルキル基を有するアルキルフェノール又はアルキルナフトールのリン酸モノエステル又はジエステル等が挙げられる。上記(1)及び(3)における飽和又は不飽和高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。上記(3)におけるアルキルフェノールとしては、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、ジフェニルフェノール等が挙げられる。
【0036】
滑剤成分の含有量について特に限定はないが、背面層3の固形分総量に対し、滑剤成分の含有量が5質量%未満である場合には、(B)成分を含有させた場合であっても、背面層3の滑性が不十分となり、形成される画像の光沢感が低下し、また、印画シワが生ずる場合がある。一方、滑剤成分の含有量が40質量%を超えると、滑剤の削りカスがサーマルヘッドへ付着しやすくなり、印画不良を引き起こす可能性がある。このような点を考慮すると、滑剤成分の含有量は、背面層3の固形分総量に対し、5質量%以上40質量%以下の範囲内であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下の範囲内であることが特に好ましい。
【0037】
なお、通常、背面層3に滑性を付与するためには、滑剤成分の含有量を多くするほかなく上述したように、削りカスの付着や、バインダー樹脂の含有量がその分減少することによる耐熱性の低下等が懸念されるが、本発明では、背面層3に(B)成分を含有することによって、滑剤成分を過剰に含有させることなく滑剤成分の性能を十分に発現させることができる。したがって、滑剤成分を多く含有させることで生じうる削りカスの付着や、耐熱性の低下を引き起こすことなく、背面層3の滑性を向上させることができる。
【0038】
背面層3の厚みについて特に限定はないが、背面層の厚みが薄すぎる場合には、背面層3に十分な耐熱性を付与することができない場合がある。一方、背面層3の厚みが厚すぎる場合には、サーマルヘッドからの熱を効率よく染料層側に伝達できない場合がある。したがって、背面層3の厚みはこれらの点を考慮して決定する必要があり、好ましくは、0.1〜5μm、より好ましくは0.2〜2μm程度である。
【0039】
背面層3の形成方法について特に限定はないが、上記で説明した(A)成分、(B)成分、(C)成分、必要に応じて添加されるその他の成分を適当な溶媒に溶解または分散させることで調製された塗工液を、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の塗工手段を用いて基材上に塗工し、乾燥することで形成することができる。塗工液の調製に用いられる溶媒としては、例えば、水、トルエン、メチルエチルケトン、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサン、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル等を挙げることができる。
【0040】
(染料層)
図1に示すように基材1の一方の面の少なくとも一部には、染料層2が設けられている。なお、図1に示す形態では、染料層2と転写性保護層5とが面順次に設けられた構成をとるが、基材1の全面に染料層2が設けられた構成とすることもできる。これ以外にも、昇華性の染料を含有する染料層と、着色剤を含む熱溶融組成物からなる熱溶融性のインクを含有する染料層とを連続した1枚の基材上に面順次に設けてもよい。なお、本発明では、基材1の一方の面上に染料層2、転写性保護層5の何れか一方が設けられていればよく、転写性保護層5が設けられている場合には、染料層2は任意の構成となる。
【0041】
この染料層2は、本発明の熱転写シートが昇華型熱転写シートの場合には、昇華性の染料を含有する染料層であり、熱溶融型熱転写シートの場合には、着色剤を含む熱溶融組成物からなる熱溶融性のインクを含有する染料層となる。以下、昇華型熱転写シートの場合を代表例として説明するが、本発明は、昇華型熱転写シートのみに限定されるものではない。
【0042】
染料層の材料は、従来公知の染料を使用することができるが、印画材料として良好な特性を有するもの、例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱、温度等により変退色しないものが好ましく、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、チアゾール系染料、メロシアニン染料、ピラゾロン染料、メチン系染料、インドアニリン系染料、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系染料、キサンテン系染料、オキサジン系染料、ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノスチレン系染料、チアジン系染料、アジン系染料、アクリジン系染料、ベンゼンアゾ系染料、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジスアゾ等のアゾ系染料、スピロピラン系染料、インドリノスピロピラン系染料、フルオラン系染料、ローダミンラクタム系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、キノフタロン系染料等が挙げられる。具体的には、MSRedG(三井東圧化学社製)、Macrolex Red Violet R(バイエル社製)、CeresRed 7B(バイエル社製)、Samaron Red F3BS(三菱化学社製)等の赤色染料、ホロンブリリアントイエロー6GL(クラリアント社製)、PTY−52(三菱化成社製)、マクロレックスイエロー6G(バイエル社製)等の黄色染料、カヤセットブルー714(日本化薬社製)、ワクソリンブルーAP−FW(ICI社製)、ホロンブリリアントブルーS−R(サンド社製)、MSブルー100(三井東圧化学社製)、C.I.ソルベントブルー22等の青色染料が挙げられる。
【0043】
上記染料を担持するためのバインダー樹脂としては、例えば、エチルセルロース樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、エチルヒドロキシセルロース樹脂、メチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、セルロース系、ビニル系、アクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル系等の樹脂が、耐熱性、染料の移行性等の点において好ましい。
【0044】
染料層2には、無機微粒子、有機微粒子等の添加剤が含有されていてもよい。無機微粒子としては、カーボンブラック、アルミニウム、二硫化モリブデン等が挙げられ、有機微粒子としては、ポリエチレンワックス等が挙げられる。また、染料層2には、離型剤が含有されていてもよい。離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル等を挙げることができる。
【0045】
染料層2の形成方法としては、上記染料及びバインダー樹脂に、必要に応じて離型剤、フィラー等の添加物を加え、トルエン、メチルエチルケトン、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサン、ジメチルホルムアミド等の適当な溶媒に分散或いは溶解させた塗工液を、例えば、グラビア印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法、ロールコーター、バーコーター等の形成手段により、基材上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。
【0046】
(転写性保護層)
図1に示すように、本発明の熱転写シート10において、基材1上に上記で説明した染料層2と転写性保護層5とを面順次に設けることもできる。上述したように、基材1の一方の面上には、染料層2と転写性保護層5の何れか一方が設けられていればよく、基材1上に染料層2が設けられている場合には、転写性保護層5は任意の層となる。
【0047】
転写性保護層5は、多層構造をとっていてもよいし、単層構造をとっていてもよい。多層構造をとる場合には、画像に各種の耐久性を付与するための主体となる主保護層のほか、転写性保護層5と印画物の受像面との接着性を高めるために転写性保護層5の最表面に配置される接着層や、補助的な保護層や、保護層本体の機能以外の機能を付加するための層などが含まれていてもよい。主保護層とその他の層の順序は任意であるが、通常は、転写後に主保護層が受像面の最表面層となるように、接着層と主保護層との間に他の層を配置する。
【0048】
多層構造の転写性保護層5を構成する主保護層又は単層構造の転写性保護層5は、従来から保護層形成用樹脂として知られている各種の樹脂で形成することができる。保護層形成用樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等を例示することができる。
【0049】
電離放射線硬化性樹脂を含有する保護層は、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れている。電離放射線硬化性樹脂としては公知のものを使用することができ、例えば、ラジカル重合性のポリマー又はオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させ、必要に応じて光重合開始剤を添加し、電子線や紫外線によって重合架橋させたものを使用することができる。
【0050】
紫外線遮断性樹脂を含有する保護層は、印画物に耐光性を付与することを主目的とする。紫外線遮断性樹脂としては、例えば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂又は上記の電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。より具体的には、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系のような従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基など)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものを例示することができる。
【0051】
単層構造の転写性保護層5又は多層構造の転写性保護層5中に設けられた主保護層は、保護層形成用樹脂の種類にもよるが、通常は0.5〜10μm程度の厚さであることが好ましい。
【0052】
転写性保護層5の最表面には接着層が形成されていてもよい。接着層は、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂のような加熱時接着性の良好な樹脂で形成することができる。接着層の厚さは、通常0.1〜5μm程度である。また、転写性保護層5と基材との間に離型層を設けてもよい。
【0053】
(下引き層)
本発明においては、基材1と、染料層2及び/又は転写性保護層5と、の間に下引き層6が設けられていることが好ましい。下引き層6を設けることで基材1と、染料層2及び/又は転写性保護層5との密着性を向上させ、熱転写時に熱転写受像シートへの染料層2の異常転写を防止することができる。なお、下引き層は、熱転写シート10における任意の構成である。
【0054】
下引き層6を構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂等のビニル系樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。
【0055】
また、下引き層6をコロイド状無機顔料超微粒子から構成することもできる。これにより画像形成時に染料層2の異常転写を防止できるだけでなく、染料層2から下引き層6への染料の移行を防止し、熱転写受像シートの染料受容層側への染料拡散を有効に行なうことができ、印画濃度を高めることができる。
【0056】
コロイド状無機顔料超微粒子として、従来公知の化合物が使用できる。例えば、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナ或はアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、擬ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。特に、コロイダルシリカ、アルミナゾルが好ましく用いられる。これらのコロイド状無機顔料超微粒子の大きさは、一次平均粒径で100nm以下、好ましくは50nm以下であり、特に3〜30nmで用いることが好ましい。
【0057】
下引き層6は、上記で例示した樹脂や、コロイド状無機顔料超微粒子を適当な溶媒に溶解或いは分散した下引き層用塗工液をグラビアコーティング法、ロールコート法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の従来から公知の形成手段により、塗布・乾燥して形成することができる。下引き層用塗工液の塗工量は、0.02〜1.0g/m2程度であることが好ましい。
【0058】
(背面プライマー層)
また、基材1と背面層3との間に背面プライマー層(図示しない)を設けることとしても良い。背面プライマー層は、基材1と、背面層3との密着性を向上させるために設けられる層であり、任意の層である。背面プライマー層として、例えばポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。
【0059】
(被転写体)
画像の形成に際し、本発明の熱転写シート10と組合せて使用可能な被転写体としては、染料層2の染料に対して染料受容性を有するものであればいかなるものでもよく、従来公知の熱転写受像シート等を挙げることができる。また、染料受容性を有しない紙、金属、ガラス、合成樹脂である場合には少なくともその一方の面が染料受容層を有していればよい。染料受容層としては、溶剤系の染料受容層、水系の染料受容層が知られているが、本発明の熱転写シート10によれば、染料受容層の種別や、印画条件にかかわらず、光沢感に優れ、印画シワのない或いはシワの発生の少ない画像を形成することができる。
【実施例】
【0060】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明を説明する。なお、文中の「部」は特に断りの内限り質量基準である。
【0061】
(実施例1)
基材として厚さ4.5μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この上に、下記組成の背面層用塗工液1を乾燥時0.8g/m2になるように塗布し、背面層を形成した。次いで、前記基材の背面層を設けた側とは反対の面の一部に、下記組成のプライマー層用塗工液を、乾燥塗布量が0.10g/m2になるように塗布、乾燥してプライマー層を形成した。続いて、プライマー層上に、下記組成のイエロー染料層用塗工液(Y)、マゼンタ染料層用塗工液(M)、およびシアン染料層用塗工液(C)を、各層の乾燥塗布量が0.6g/m2になるように塗布、乾燥してこの順に面順次に繰返して形成した。また、前記基材の背面層を設けた側とは反対の面の他の一部に、下記組成の保護層用塗工液を、固形分換算で1.5g/m2の割合で塗布、乾燥して形成した。これにより、基材の一方の面に背面層が設けられ、基材の他方の面の一部にプライマー層、染料層(Y,M,C)がこの順で積層された積層体と、基材の他方の面の他の一部に保護層が設けられた実施例1の熱転写シートを得た。
【0062】
<背面層用塗工液1>
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量100,000) 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6,000) 10部
(Solus2100 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0063】
<プライマー層用塗工液>
・コロイダルシリカ(粒子径4〜6nm、固形分10%) 30部
(スノーテックスOXS、日産化学工業(株)製)
・ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP社製) 3部
・水 50部
・イソプロピルアルコール 17部
【0064】
<イエロー染料層用塗工液(Y)>
・下記一般式(1)に示される染料 2.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 4.5部
(KS−5、積水化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
【0065】
【化1】

【0066】
<マゼンタ染料層用塗工液(M)>
・下記一般式(2)に示される染料 2.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 4.5部
(KS−5、積水化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
【0067】
【化2】

【0068】
<シアン染料層用塗工液(C)>
・下記一般式(3)に示される染料 2.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 4.5部
(KS−5、積水化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
【0069】
【化3】

【0070】
<保護層用塗工液>
・アクリル樹脂 69.6部
(ダイヤナールBR−83、三菱レイヨン(株)製)
・反応性紫外線吸収剤を反応結合したアクリル共重合体 17.4部
(UVA635L、BASFジャパン製)
・シリカ 25部
(サイリシア310、富士シリシア(株)製)
・メチルエチルケトン 100部
・トルエン 100部
【0071】
(実施例2)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液2に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例2の熱転写シートを得た。
【0072】
<背面層用塗工液2>
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量108,000) 35部
(エスレックKS−3 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6,000) 10部
(Solus2100 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0073】
(実施例3)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液3に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例3の熱転写シートを得た。
【0074】
<背面層用塗工液3>
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量100,000) 24.2部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 20.8部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6,000) 30部
(Solus2100 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0075】
(実施例4)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液4に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例4の熱転写シートを得た。
【0076】
<背面層用塗工液4>
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量100,000) 18.8部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 16.2部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6,000) 40部
(Solus2100 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0077】
(実施例5)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液5に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例5の熱転写シートを得た。
【0078】
<背面層用塗工液5>
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量100,000) 38.8部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 33.2部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6,000) 3部
(Solus2100 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0079】
(実施例6)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液6に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例6の熱転写シートを得た。
【0080】
<背面層用塗工液6>
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量100,000) 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6,000〜10,000) 10部
(Solus2300 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0081】
(実施例7)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液7に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例7の熱転写シートを得た。
【0082】
<背面層用塗工液7>
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量100,000) 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートプロピオネート樹脂(分子量15,000) 10部
(CAP504−0.2 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0083】
(実施例8)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液8に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例8の熱転写シートを得た。
【0084】
<背面層用塗工液8>
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量100,000) 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・ポリビニルブチラール樹脂(分子量15,000) 10部
(エスレックBL−10 積水化学工業(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0085】
(実施例9)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液9に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例9の熱転写シートを得た。
【0086】
<背面層用塗工液9>
・ポリビニルブチラール樹脂(分子量52,000) 35部
(エスレックBM−2 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6,000) 10部
(Solus2100 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0087】
(実施例10)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液10に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例10の熱転写シートを得た。
【0088】
<背面層用塗工液10>
・ポリビニルブチラール樹脂(分子量19,000) 35部
(エスレックBL−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6,000) 10部
(Solus2100 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0089】
(実施例11)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液11に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例11の熱転写シートを得た。
【0090】
<背面層用塗工液11>
・セルロースアセテートプロピオネート樹脂(分子量25,000) 55部
(CAP−482−0.5 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 10部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6,000) 10部
(Solus2100 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0091】
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液12に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例12の熱転写シートを得た。
【0092】
<背面層用塗工液12>
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量100,000) 45部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6,000) 30部
(Solus2100 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0093】
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液13に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例13の熱転写シートを得た。
【0094】
<背面層用塗工液13>
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量100,000) 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6,000) 10部
(Solus2100 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 6.6部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 6.6部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・リン酸エステル 6.6部
(プライサーフA208N 第一工業製薬(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0095】
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液14に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例14の熱転写シートを得た。
【0096】
<背面層用塗工液14>
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量100,000) 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・ポリエステル樹脂(分子量3,000) 10部
(バイロン220 東洋紡績(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0097】
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液15に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例15の熱転写シートを得た。
【0098】
<背面層用塗工液15>
・アクリル樹脂(分子量40,000) 65部
(BR−83 三菱レイヨン(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6,000) 10部
(Solus2100 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0099】
(比較例1)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液Aに変更した以外はすべて実施例1と同様にして比較例1の熱転写シートを得た。
【0100】
<背面層用塗工液A>
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量100,000) 40.4部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 34.6部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0101】
(比較例2)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液Bに変更した以外はすべて実施例1と同様にして比較例2の熱転写シートを得た。
【0102】
<背面層用塗工液B>
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量100,000) 13.5部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 11.5部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6,000) 50部
(Solus2100 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0103】
(比較例3)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液Cに変更した以外はすべて実施例1と同様にして比較例3の熱転写シートを得た。
【0104】
<背面層用塗工液C>
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量100,000) 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量16,000) 10部
(CAB551−0.01 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0105】
(比較例4)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液Dに変更した以外はすべて実施例1と同様にして比較例4の熱転写シートを得た。
【0106】
<背面層用塗工液D>
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量100,000) 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量30,000) 10部
(CAB551−0.2 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0107】
(比較例5)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液Eに変更した以外はすべて実施例1と同様にして比較例5の熱転写シートを得た。
【0108】
<背面層用塗工液E>
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量100,000) 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量40,000) 10部
(CAB531−1 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0109】
(比較例6)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液Fに変更した以外はすべて実施例1と同様にして比較例6の熱転写シートを得た。
【0110】
<背面層用塗工液F>
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量100,000) 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・セルロースアセテートプロピオネート樹脂(分子量25,000) 10部
(CAP482−0.5 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0111】
(比較例7)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液Gに変更した以外はすべて実施例1と同様にして比較例7の熱転写シートを得た。
【0112】
<背面層用塗工液G>
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量100,000) 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・ポリビニルブチラール樹脂(分子量19,000) 10部
(エスレックBL−1 積水化学工業(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0113】
(比較例8)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液Hに変更した以外はすべて実施例1と同様にして比較例8の熱転写シートを得た。
【0114】
<背面層用塗工液H>
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量100,000) 35部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 30部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量17,000) 10部
(エスレックKS−10 積水化学工業(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0115】
(比較例9)
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液Iに変更した以外はすべて実施例1と同様にして比較例9の熱転写シートを得た。
【0116】
<背面層用塗工液I>
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量6,000) 65部
(Solus2100 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ポリイソシアネート(固形分100% NCO=17.3質量%) 10部
(バーノックD750−45 大日本インキ化学工業(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 450部
・トルエン 450部
【0117】
(比較例10)
背面層用塗工液Jを下記組成の背面層用塗工液Iに変更した以外はすべて実施例1と同様にして比較例10の熱転写シートを得た。
【0118】
<背面層用塗工液J>
・ポリビニルアセタール樹脂(分子量100,000) 40部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・セルロースアセテートブチレート樹脂(分子量16,000) 60部
(CAB551−0.01 イーストマンケミカルカンパニー社製)
・ステアリン酸亜鉛 5部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・シリコーン変性アクリル樹脂 16.7部
(サイマックUS−380、固形分30wt% 東亞合成(株)製)
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)製)
・メチルエチルケトン 484.5部
・トルエン 484.5部
【0119】
(印画シワ評価)
昇華型熱転写プリンタ(ALTECH ADS(株)製)、型式;CW−01)のメディアセットCW−MS46のY領域,M領域,C領域に、実施例1の熱転写シートをそれぞれ貼り付け、上記プリンタと、CW−MS46用熱転写受像シートを低温低湿環境下(5℃、20%)に3時間放置した後に、熱転写受像シートに、(1)黒ベタ画像、(2)右黒画像(左白)、(3)左黒画像(右白)、(4)中黒画像(左右白)を各5枚(計20枚)印画し、下記の評価基準に基づいて印画シワの評価を行った。この印画を実施例2〜15、比較例1〜10の熱転写シートについても同様に実施した。なお、黒画像は(255/255階調)、白画像は(0/255階調)で形成した画像である。印画シワの評価結果を表1に示す。
「評価基準」
◎:全ての画像((1)〜(4))でシワの発生がない。
○:(1)〜(4)のいずれかの1種の画像でシワが発生。
△:(1)〜(4)の画像のうち2〜3種の画像でシワが発生。
×:(1)〜(4)の全ての画像でシワが発生。
【0120】
(光沢評価)
昇華型熱転写プリンタ(ALTECH ADS(株)製)、型式;CW−01)のメディアセットCW−MS46のY領域,M領域,C領域,OP領域に、実施例1熱転写シートをそれぞれ貼り付け、上記プリンタと、CW−MS46用熱転写受像シートを高温高湿環境下(40℃、85%)に、結露が生じないように3時間放置した後に、熱転写受像シートに、黒ベタ画像(255/255階調)の印画を行い光沢度の測定を行った。この印画、及び光沢度の測定を実施例2〜15、比較例1〜10の熱転写シートについても同様に実施した。光沢度測定は、光沢度計(日本電色(株)製、型式;VG2000)45°測定にて行い以下の評価基準に基づいて光沢評価を行った。光沢評価結果を表1に併せて示す。
【0121】
「評価基準」
◎:比較例1の組合せで形成された画像の光沢度を100としたときに、光沢度が110以上である。
○:比較例1の組合せで形成された画像の光沢度を100としたときに、光沢度が105以上110未満である。
×:比較例1の組合せで形成された画像の光沢度を100としたときに、光沢度が105未満である。
【0122】
(印画カス評価)
昇華型熱転写プリンタ(ALTECH ADS(株)製)、型式;CW−01)のメディアセットCW−MS46のY領域,M領域,C領域に、実施例1の熱転写シートをそれぞれ貼り付け、CW−MS46用熱転写受像シートに、黒ベタ(255/255階調)・225階調(225/255階調)、180階調(180/255階調)を100枚印画し、下記の評価基準に基づいて印画カスの評価を行った。この印画を実施例2〜15、比較例1〜10の熱転写シートについても同様に実施した。印画カスの評価結果を表1に示す。
「評価基準」
◎:黒ベタ印画の100枚目に印画カスによる印画欠陥の発生がない。
○:黒ベタ印画の100枚目に印画カスによる印画欠陥が発生している。225階調では100枚目に印画欠陥の発生がない。
△:黒ベタ・225階調印画の100枚目に印画カスによる印画欠陥が発生している。180階調では100枚目に印画欠陥の発生がない。
×:全ての階調印画の100枚目に印画カスによる印画欠陥が発生している。
なお、印画欠陥が発生しているとは、サーマルヘッドに付着した印画カスの影響によって、画像の色が薄くなる、或いはキズが発生していることを意味する。
【0123】
【表1】

【0124】
表1からも明らかなように、重量平均分子量(Mw)が15,000より大きい樹脂と、重量平均分子量(Mw)が15,000以下の樹脂と、滑剤成分と、を含有し、その含有量が本願の範囲内である実施例1〜15の熱転写シートは、該熱転写シートを用いて印画を行ったときに、印画シワ、印画カスに基づく印画欠陥がなく、また光沢感に優れた印画物を得ることができた。一方、重量平均分子量(Mw)が15,000以下の樹脂を含まない比較例1の熱転写シート、重量平均分子量(Mw)が15,000より大きい樹脂を2種用いた比較例3〜8、10の熱転写シート、重量平均分子量(Mw)が15,000より大きい樹脂を含まない比較例9の熱転写シートでは、得られた印画物に印画シワが発生しており、また光沢感も低いものであった。また、含有量が本願の範囲外である比較例2の熱転写シートは、印画シワの発生がなく、また光沢感に優れるものの、印画カスの発生に起因し印画欠陥が発生している。
【符号の説明】
【0125】
10…熱転写シート
1…基材
2…染料層
3…背面層
5…転写性保護層
6…下引き層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一方の面に染料層又は転写性保護層が設けられ、基材の他方の面に背面層が設けられた熱転写シートであって、
前記背面層は、
(A)重量平均分子量(Mw)が15,000より大きい樹脂と、
(B)重量平均分子量(Mw)が15,000以下の樹脂と、
(C)滑剤成分と、を含有し、
前記背面層の固形分総量に対し、前記(B)重量平均分子量(Mw)が15,000以下の樹脂が、3質量%以上40質量%以下の範囲内で含有されていることを特徴とする熱転写シート。
【請求項2】
前記(A)重量平均分子量(Mw)が15,000より大きい樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂、又はポリビニルブチラール樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
【請求項3】
前記(B)重量平均分子量(Mw)が15,000以下の樹脂が、セルロース系樹脂又はポリビニルブチラール樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
【請求項4】
前記セルロース系樹脂が、セルロースアセテートブチレート樹脂、又はセルロースアセテートプロピオネート樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の熱転写シート。

【図1】
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