説明

熱転写プリンタ

【課題】印字情報14に紫外線硬化させ、印字情報14に各種の耐性を付与可能であるとともに、プリンタの単一ラインで印字および紫外線照射を行うことができるようにした熱転写プリンタを提供すること。
【解決手段】紫外線照射器15として発光ダイオードを採用したものを備えることに着目したもので、プラテンローラ10およびサーマルヘッド9との間に印字用紙(ラベル連続体6)とともに挟持して移送する熱転写インキリボン11により印字用紙6に所定の印字情報14を印字可能である熱転写プリンタであって、熱転写インキリボン11は、これを紫外線硬化型とするとともに、熱転写インキリボン11による印字用紙6への印字情報14に紫外線UVを照射可能な紫外線照射器15を備えており、紫外線照射器15は、発光ダイオードにより紫外線UVを照射することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱転写プリンタにかかるもので、とくに紫外線硬化型の熱転写インキリボンを用いた熱転写プリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ラベルやシールあるいはタグなど各種の印字用紙に所定の印字情報をプリンタにより印字したのち、このプリンタのシステムとは別ラインで紫外線を照射することにより、上記印字情報の耐候性、耐摩耗性、耐溶剤性さらには耐熱性などの各種の耐性機能を付加することが行われている。
【0003】
しかしながら、プリンタとは別に紫外線照射器を準備しておき、印字発行される印字用紙に紫外線を照射するような構成は、従来の紫外線照射器が大型で高出力であるため、システム全体が大型化してしまうという問題がある。
【0004】
なお、印字用紙への印字情報の印字後、各種の耐性を有するフィルムを別ラインでラミネートするシステムもあるが、印字工程とラミネート工程とを別ラインで行わなければならないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−326385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、印字情報に各種の耐性を付与可能な熱転写プリンタを提供することを課題とする。
【0007】
また本発明は、大型化することなく印字情報に紫外線硬化させることができる熱転写プリンタを提供することを課題とする。
【0008】
また本発明は、プリンタの単一ラインで印字および紫外線照射を行うことができるようにした熱転写プリンタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は、紫外線照射器として発光ダイオードを採用したものを備えることに着目したもので、プリンタハウジングと、このプリンタハウジングの内部に設けたサーマルヘッドと、このサーマルヘッドに対向するプラテンローラと、を有し、このプラテンローラおよび上記サーマルヘッドとの間に印字用紙とともに挟持して移送する熱転写インキリボンによりこの印字用紙に所定の印字情報を印字可能である熱転写プリンタであって、上記熱転写インキリボンは、これを紫外線硬化型とするとともに、上記熱転写インキリボンによる上記印字用紙への上記印字情報に紫外線を照射可能な紫外線照射器を備えており、この紫外線照射器は、発光ダイオードにより上記紫外線を照射することを特徴とする熱転写プリンタである。
【0010】
上記紫外線照射器は、上記プリンタハウジングの内部にこれを配置することができる。
【0011】
上記紫外線照射器は、上記プリンタハウジングの外部にこれを配置することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明による熱転写プリンタにおいては、サーマルヘッドおよびプラテンローラによる印字情報の印字後に発光ダイオードによる紫外線照射を行うようにしたので、装置全体の大型化を回避しつつ、印字情報に各種耐性を付与可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例による熱転写プリンタ1の概略側面図である。
【図2】同、ラベル連続体6の移送方向下流側から見た紫外線照射器15およびラベル連続体6の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、発光ダイオードにより紫外線を照射可能な紫外線照射器を採用したので、プリンタ自体で印字および印字情報への耐性付与を行うことが可能な熱転写プリンタを実現した。
【実施例】
【0015】
つぎに本発明の実施例による熱転写プリンタ1を図1および図2にもとづき説明する。
図1は、熱転写プリンタ1の概略側面図であって、熱転写プリンタ1は、プリンタハウジング2と、プリンタハウジング2の内部に設けた用紙供給部3、印字部4および紫外線照射部5と、を有する。
【0016】
用紙供給部3は、帯状の印字用紙(たとえば図示の例では、ラベル連続体6)をロール状に保持し、印字部4および紫外線照射部5の方向に帯状に繰り出し可能である。
ラベル連続体6は、図1に一部を拡大して示すように、帯状の台紙7と、台紙7の上に仮着するように粘着剤層8Aを塗布した複数枚のラベル片8と、を有する。
【0017】
印字部4は、プリンタハウジング2の内部に設けたサーマルヘッド9と、サーマルヘッド9に対向するプラテンローラ10と、熱転写インキリボン11のリボン供給軸12およびリボン巻取り軸13と、を有する。
プラテンローラ10およびサーマルヘッド9との間にラベル連続体6とともに挟持して移送する熱転写インキリボン11によりラベル連続体6(ラベル片8)にバーコードその他所定の印字情報14を印字可能である。
熱転写インキリボン11は、少なくともラベル片8に熱転写される部分が紫外線硬化型のインキないしは結着剤その他の添加剤などを含むものとする。
【0018】
紫外線照射部5は、熱転写インキリボン11によるラベル片8(ラベル連続体6)への印字情報14に紫外線UVを照射する紫外線照射器15を有する。
図2は、ラベル連続体6の移送方向下流側から見た紫外線照射器15およびラベル連続体6の断面説明図であって、紫外線照射器15は、照射器本体16の下部にラベル連続体6の幅方向に複数個の発光ダイオード17を配置している。
発光ダイオード17からの紫外線UVによりラベル片8上の印字情報14は、紫外線硬化し所定の耐性を獲得するとともに、プリンタハウジング2の用紙発行口18から発行される。
【0019】
こうした構成の熱転写プリンタ1において、用紙供給部3から帯状に繰り出されたラベル連続体6は印字部4においてそのラベル片8上に所定の印字情報14を印字され、さらに紫外線照射部5において発光ダイオード17からの紫外線UVにより硬化し、耐候性、耐摩耗性、耐溶剤性さらには耐熱性など所定の耐性を得ることになる。
かくして、熱転写プリンタ1全体として大型化することなく、熱転写プリンタ1単体によりラベル連続体6への印字、およびこの印字につづいて印字情報14の耐性付与を直ちに実行可能であり、従来のようなオフライン(別ライン)での作業が不要で、作業性良好に低コストで耐性のあるラベル連続体6(ラベル片8)を得ることができる。
【0020】
なお本発明においては、紫外線照射器15は、プリンタハウジング2の内部にこれを配置することもできるが、図1に仮想線で示すように、プリンタハウジング2の外部(用紙発行口18の近傍)にこれを配置することもできる。
このように構成することにより、従来の熱転写プリンタ1に紫外線照射器15のみを付加装備する構成とすることができる。
【符号の説明】
【0021】
1 熱転写プリンタ(実施例、図1)
2 プリンタハウジング
3 用紙供給部
4 印字部
5 紫外線照射部
6 ラベル連続体(印字用紙)
7 台紙
8 ラベル片
8A ラベル片8の粘着剤層
9 サーマルヘッド
10 プラテンローラ
11 紫外線硬化型の熱転写インキリボン
12 リボン供給軸
13 リボン巻取り軸
14 印字情報
15 紫外線照射器
16 照射器本体
17 発光ダイオード
18 用紙発行口
UV 紫外線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタハウジングと、
このプリンタハウジングの内部に設けたサーマルヘッドと、
このサーマルヘッドに対向するプラテンローラと、を有し、
このプラテンローラおよび前記サーマルヘッドとの間に印字用紙とともに挟持して移送する熱転写インキリボンによりこの印字用紙に所定の印字情報を印字可能である熱転写プリンタであって、
前記熱転写インキリボンは、これを紫外線硬化型とするとともに、
前記熱転写インキリボンによる前記印字用紙への前記印字情報に紫外線を照射可能な紫外線照射器を備えており、
この紫外線照射器は、発光ダイオードにより前記紫外線を照射することを特徴とする熱転写プリンタ。
【請求項2】
前記紫外線照射器は、前記プリンタハウジングの内部にこれを配置することを特徴とする請求項1記載の熱転写プリンタ。
【請求項3】
前記紫外線照射器は、前記プリンタハウジングの外部にこれを配置することを特徴とする請求項1記載の熱転写プリンタ。

【図1】
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【図2】
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