説明

熱転写受像シート

【課題】本発明の目的は、高速印画や低エネルギー印画においても耐光性、逆転写耐性に優れ、かつ熱拡散性色素の高い転写性を備えた熱転写受像シートを提供することにある。
【解決手段】基材シート上に、熱拡散性色素の受容が可能な色素受容層を有する熱転写受像シートにおいて、該色素受容層が少なくとも無機微粒子(F)と疎水性樹脂(B)を含有し、該色素受容層の表面領域における無機微粒子/疎水性樹脂比率(F1/B1)が、内部領域における無機微粒子/疎水性樹脂比率(F2/B2)よりも低く、かつ、内部領域の無機微粒子/疎水性樹脂比率(F2/B2)が0.5〜10であることを特徴とする熱転写受像シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の熱転写受像シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー又はモノクロの画像の形成技術として、加熱により拡散移行する性質を有する熱拡散性色素を含有するインクシートを、熱転写受像シートの色素受容層と対向させて、サーマルヘッドやレーザー等の加熱印字手段を用いて、該色素受容層に該熱拡散性色素を画像様に転写して画像を形成する技術、いわゆる染料熱転写方式が知られている。このような感熱転写方式は、デジタルデータを用いての画像形成を可能とし、現像液等の処理液を使わず、しかも銀塩写真に匹敵する高画質な画像を形成できる方法として定評がある。
【0003】
一方、上記の如き色素熱転写方式を用いた画像形成方法において、1枚あたりのプリントアウト時間を短縮するための、プリント速度の向上(高速化プリント)技術が求められている。また一方で、モバイルに対応できるよう、低エネルギーで印画できる低エネルギープリントの技術も求められている。しかしながら、こうした高速印画や低エネルギー印画において、耐光性が劣化する、リボンへの逆転写(ここでいう逆転写とは、熱転写受像シートに転写した熱拡散性色素が、次の色のインクシート(リボン)を印画する際に、リボン側に逆に転写してしまう現象であり、例えば、イエロー、マゼンタ、シアンの順に印画する場合、シアンを印画する際に色素受像層に転写しているイエローやマゼンタ色素がシアンリボンに転写してしまう現象である。)が多くなる等のトラブルが生じることが分かってきた。この逆転写の要因としては、熱や拡散時間の不足から、色素が色素受像層中に十分に拡散せず、色素受像層表面にしか存在していないことが原因と推察している。
【0004】
ところで、インクジェット記録用シートにおいて、無機微粒子と親水性樹脂を用いた3次元網目構造を有する画像形成層が開示されている(例えば、特許文献1、2参照。)。また、上記のような無機微粒子と親水性樹脂を用いた3次元網目構造を有する画像形成層をインクジェット記録用シートに限らず、感熱転写方式のプリンターに用いる例も示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、上記構成からなる画像形成層は、インクの乾燥性のため親水性に設計されたものであり、感熱転写染料とはなじみが悪く、実際にこの様な画像形成層に感熱転写染料を熱転写しても画像形成層への転写はあまり起こらない。
【0005】
更に、色素受容層に昇華性染料を染着させる樹脂と、一粒子中にシリカとアルミナを含む無機微粒子顔料とを含有させた昇華型熱転写用記録材料が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、特許文献4に記載の技術は、高い画像濃度の発現や耐スティッキング性向上を目的としたものであり、高速印画や低エネルギー印画での色素受像層中の色素拡散性不足からくる耐光性の劣化や逆転写の劣化といった問題の解決については何ら言及されていない。また、特許文献4に記載の技術では、色素受容層の表面近傍におけるF/Bを、内部のF/Bよりも低く設定するという方法により達成される効果に関しては、一切の言及がなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−119423号公報
【特許文献2】特開2004−50618号公報
【特許文献3】特開平7−276789号公報
【特許文献4】特開2001−334754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、高速印画や低エネルギー印画においても耐光性、逆転写耐性に優れ、かつ熱拡散性色素の高い転写性を備えた熱転写受像シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0009】
(請求項1)
基材シート上に、熱拡散性色素の受容が可能な色素受容層を有する熱転写受像シートにおいて、該色素受容層が少なくとも無機微粒子(F)と疎水性樹脂(B)を含有し、該色素受容層の表面領域における無機微粒子/疎水性樹脂比率(F1/B1)が、内部領域における無機微粒子/疎水性樹脂比率(F2/B2)よりも低く、かつ、内部領域の無機微粒子/疎水性樹脂比率(F2/B2)が0.5〜10であることを特徴とする熱転写受像シート。
【0010】
(請求項2)
前記色素受容層が、前記無機微粒子と前記疎水性樹脂との質量比の異なる複数の塗布液を、前記F/Bの大きな塗布液から順に前記基材シート上に塗布して形成されることを特徴とする請求項1記載の熱転写受像シート。
【0011】
(請求項3)
前記色素受容層が、基材シート上にあらかじめ無機微粒子を含有し、空隙構造を有する層を形成した後、該空隙構造を有する層上に、疎水性樹脂を含有する塗布液をオーバーコートすることで形成されることを特徴とする請求項1記載の熱転写受像シート。
【0012】
(請求項4)
前記色素受容層が、可塑剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
【0013】
(請求項5)
前記可塑剤が、有機ホスフィン化合物、リン酸エステル化合物、フタル酸エステル化合物、脂肪族二塩基酸エステル化合物及びトリメリット酸エステル化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項4記載の熱転写受像シート。
【0014】
(請求項6)
前記無機微粒子が、シリカ粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
【0015】
(請求項7)
前記無機微粒子の表面が、疎水化処理されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
【0016】
(請求項8)
前記色素受容層が、金属イオン供給化合物を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高速印画や低エネルギー印画においても耐光性、逆転写耐性に優れ、かつ熱拡散性色素の高い転写性を備えた熱転写受像シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】無機微粒子と疎水性樹脂により形成された空隙構造の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の熱転写受像シートの構成の一例を示す断面図である。
【図3】本発明に係る熱転写インクシートの一例を示す斜視図である。
【図4】本発明の画像形成方法で用いられる熱転写記録装置の構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0020】
本発明の熱転写受像シートにおいては、色素受容層が少なくとも無機微粒子(F)と疎水性樹脂(B)を含有し、該色素受容層の表面領域における無機微粒子/疎水性樹脂比率(F1/B1)が、内部領域における無機微粒子/疎水性樹脂比率(F/B)よりも低く、かつ、内部領域の無機微粒子/疎水性樹脂比率(F2/B2)が0.5〜10であることを特徴とし、本発明の熱転写受像シートにより、高速印画や低エネルギー印画においても耐光性、逆転写耐性に優れ、かつ熱拡散性色素の高い転写性を備えた熱転写受像シートを実現することができる。
【0021】
本発明でいう色素受容層(以下、単に受容層とも言う)の表面領域における無機微粒子/疎水性樹脂比率(F1/B1)とは、受容層最表面部から深さ方向で0.5μmまでの領域における平均F/Bをいい、また内部領域における無機微粒子/疎水性樹脂比率(F2/B2)とは、受容層最表面部から深さ方向で0.5μmを超え、受容層最深部までの領域における平均F/Bをいう。本発明においてはF2/B2が0.5〜10の範囲にあることが好ましい。
【0022】
具体的な測定方法としては、ミクロトームにより断面を露出させた熱転写受像シートを、走査型電子顕微鏡を用いて30万倍程度の倍率で観察して、それぞれの領域における無機微粒子/疎水性樹脂比率(F1/B1、F2/B2)を求めることができる。あるいは、ミクロトームを用いて、受容層表面から超薄切片を約0.1μmの厚さ単位で深さ0.5μmまで順次切り出し、それらの超薄切片について、公知の分析方法に従って無機微粒子含有量及び疎水性樹脂を定量して、F1/B1を求め、残りの受容層についても無機微粒子含有量及び疎水性樹脂を定量して、F2/B2を求めることができる。
【0023】
本発明で規定するF/B特性を備えた受容層を形成する手段としては、無機微粒子と疎水性樹脂との質量比(F/B)の異なる複数の塗布液を、F/Bの大きい塗布液から順に基材シート上に塗布して形成する方法や、基材シート上にあらかじめ無機微粒子を含有する空隙を有する層を形成し、さらに、その空隙を有する層上に疎水性樹脂を含有する塗布液をオーバーコートすることで、F/B分布の異なる構成を形成する方法を好ましく用いることができるが、これらに限定されない。
【0024】
本発明に係る受容層に用いることのできる無機微粒子としては、シリカ、一粒子中にシリカとアルミナを含むアルミナシリカ混合酸化物、シリカ粒子の表面にアルミナがドープされたアルミナドープシリカ、酸化アルミニウム、二酸化チタンを挙げることができる。
【0025】
上記無機微粒子においては、あらかじめ疎水化処理されていることがより好ましい。疎水化処理方法としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルシリコーンオイル、オクチルシラン、トリメチルシリル基で表面処理する方法が知られている。
【0026】
また、本発明に係る表面が疎水化処理された無機微粒子は、市販品として入手することもでき、例えば、ヘキサメチルジシラザンで表面処理した疎水性無水シリカとしては、ワッカーケミカルズイーストジャパン社製の疎水性無水シリカH−2000、H−20004、H−3004等を挙げることができる。また、オクチルシランで表面処理された無機微粒子としては、日本アエロジル社製のR812、R812S(シリカ)、T805(二酸化チタン)等を挙げることができ、更に、日本アエロジル社製のジメチルシリコーンオイルで表面処理されたシリカ微粒子R202、オクチルシランで表面処理されたシリカ微粒子R805等を挙げることができる。
【0027】
本発明に使用される無機微粒子の平均一次粒径は1〜150nmが好ましく、より好ましく2〜100nm、更に好ましくは3〜50nmである。粒子径が小さくなるに従い、質量あたりの表面積(比表面積)が大きくなり、表面特性による粒子相互作用の影響が強くなり、空隙構造を形成しやすくなる。
【0028】
また、受容層に用いられる無機粒子の添加量は、一般には熱転写受像シート1m当たり概ね0.1〜10g、好ましくは0.5〜5gである。
【0029】
次に、本発明に係る疎水性樹脂について説明する。
【0030】
本発明において、疎水性樹脂としては、公知のものを用いることができ、その中でも色素染着能が高い疎水性ポリマーを用いることが好ましい。具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、これらの共重合体などのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、および変性成分を共重合した共重合ポリエステルなどのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノキシ樹脂、エチレンやプロピレンなどのオレフィンと他のビニル系モノマーとの共重合体、ポリカーボネイト、アクリル樹脂、アイオノマー、セルロース誘導体等の有機溶媒に可溶する単体、または混合物のポリマーを挙げることができる。これらの中でもポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、これらの共重合体及びセルロース誘導体が好ましい。
【0031】
無機微粒子と疎水性樹脂との質量比(F/B)の異なる複数の塗布液を、F/Bの大きい塗布液から順に基材シート上に塗布して形成する場合、塗布液の無機微粒子と疎水性樹脂との質量比F/Bを、0.5〜10の範囲で設定し、より上部に位置する層のF/Bをより下部に位置する層のF/Bよりも小さく設定すればよい。F/Bが0.5以上であれば、充分な空隙構造を形成することができ、またF/Bが10以下であれば、良好な耐傷性を得ることができる。
【0032】
本発明に係る受容層においては、内部領域の無機微粒子/疎水性樹脂比率(F2/B2)が0.5〜10であることを特徴とする。F2/B2が0.5以上であれば、充分な空隙構造を形成することができ、またF2/B2が10以下であれば、良好な耐傷性を得ることができる。
【0033】
本発明に係る受容層を形成する無機微粒子の空隙構造(三次元編目構造)を、模式図を用いて説明する。
【0034】
図1は、無機微粒子と疎水性樹脂により形成された空隙構造の一例を示す模式図である。
【0035】
図1において、凝集した二次無機微粒子Aが、空隙を構成する細孔Cを形成しながら互いに連結して形成された三次元編目構造を形成し、更にその無機微粒子表面が疎水性樹脂Bにより覆われていることが示されている。この様な空隙構造は、ミクロトームにより断面を露出させた熱転写受像シートを、走査型電子顕微鏡を用いて30万倍程度の倍率で観察が可能である。
【0036】
次いで、本発明において、無機微粒子により構成される空隙構造を有する層上に、疎水性樹脂を含有する塗布液をオーバーコートする方法について説明する。
【0037】
上記の様な形成方法としては、インクジェット記録用シートにおいて使用されている技術を好ましく使用することができる。例えば、特開平10−119423号や特開2004−50618号などに開示されている無機微粒子と親水性樹脂を用いた3次元網目構造を有する画像形成層の形成方法を適用することができる。
【0038】
具体的には、平均粒径が約0.1μm以下の無機微粒子を塗布液調製時または皮膜形成時に軟凝集させて二次粒子または三次元構造を形成する。軟凝集を形成して空隙構造を皮膜中に形成する方法は、好ましくは親水性バインダーを含有する水溶液中に分散状態にある一次無機微粒子が、接触点が比較的制限された状態でお互いに凝集し合う状態を経由して形成される。
【0039】
このような軟凝集構造は、直線的もしくは分岐状に凝集体を形成したものが水溶液中に分散された状態や、あるいはこれらの凝集体が更に凝集し合って水溶液中で空隙構造をとる状態が含まれる。
【0040】
いずれの場合であっても、この様な構成からなる水溶液を支持体上に塗布乾燥することによって、形成された皮膜中に微細な空隙構造を形成することが出来る。
【0041】
この様にして得られた皮膜中の微細な空隙の大きさは、概ね一次粒子の大きさからそれらの数倍程度の大きさであり、微細な大きさの空隙である特徴を備えている。
【0042】
この様な軟凝集構造を形成する方法としては、例えば、一次粒子がお互いに凝集しにくく、安定に存在できるような親水性バインダーを含有する水溶液中に、粒子の凝集を加速するような親水性ポリマーを極微量添加して僅かに凝集を形成する方法、あるいは一次粒子表面と弱い結合が出来るような水溶性バインダーを有する水溶液中で形成される。
【0043】
本発明では、特に、後者の方法が空隙の量を比較的コントロールしやすく安定に形成しやすいこと、使用する微粒子の量に比較してより多い空隙量が得られること、さらには皮膜の光沢性がより高い皮膜が得られることから好ましい。
【0044】
後者の方法により空隙を形成する場合、一次粒子の粒径としては概ね0.003〜0.05μmの一次粒子を用いることがより高い光沢性が得られることから好ましい。
【0045】
水溶性バインダーとしては、従来公知の各種親水性バインダーが用いられ、例えば、ゼラチンまたはゼラチン誘導体、ポリビニルピロリドン(平均分子量が約20万以上が好ましい)、プルラン、ポリビニルアルコールまたはその誘導体(平均分子量が約2万以上が好ましい)、ポリエチレングリコール(平均分子量が10万以上が好ましい)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸およびその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、プルラン、特開平7−195826号および同7−9757号に記載のポリアルキレンオキサイド系共重合性ポリマー、水溶性ポリビニルブチラール、あるいは、特開昭62−245260号に記載のカルボキシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマーの単独またはこれらのビニルモノマーを繰り返して有する共重合体等のポリマーを挙げることができる。これらの親水性バインダーは単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
【0046】
特に好ましい親水性バインダーは、ポリビニルアルコールまたはカチオン変成ポリビニルアルコールである。
【0047】
本発明においては、無機微粒子の空隙構造を有する層上に、疎水性樹脂を含有する塗布液をオーバーコートして層を形成することも好ましいが、オーバーコート塗布液は空隙構造を有する色素受容層に浸透することが必要であり、そのために塗布液粘度としては100mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以下になるように固形分を調整することが好ましい。
【0048】
オーバーコート法により形成する層における疎水性樹脂量としては、熱転写受像シート1m当たり0.1〜5g、好ましくは0.5〜2gである。0.1g未満では色素転写率が向上せず、5gを超えると耐光性、逆転写の改良効果が小さくなる。
【0049】
本発明で適用できるオーバーコート方法としては、疎水性樹脂を含む塗布液をバーコート法、スライドホッパーコート法、カーテンコート法あるいはエクストルージョンコート法により塗布しても、スプレーコート法により供給しても、あるいは疎水性樹脂を含む塗布液に直接浸漬して供給してもよい。
【0050】
本発明に係る色素受容層においては可塑剤を含有することが好ましく、更に好ましくは可塑剤として、有機ホスフィン化合物、リン酸エステル化合物、フタル酸エステル化合物、脂肪族二塩基酸エステル化合物及びトリメリット酸エステル化合物(以下、これらの化合物群を、A群化合物と称す)から選ばれる少なくとも1種の化合物を添加することで、本発明の目的効果がより一層発揮できる観点から好ましい形態である。
【0051】
本発明において、A群化合物(有機ホスフィン化合物、リン酸エステル化合物、フタル酸エステル化合物、脂肪族二塩基酸エステル化合物またはトリメリット酸エステル化合物)は、樹脂との相溶性が高く、かつ可塑化効果が得られる化合物である。
【0052】
有機ホスフィン化合物の具体的例としては、トリ−n−オクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。リン酸エステル化合物の具体的例としては、トリメチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリクレジルフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルフェニルホスフェート等が挙げられる。また、リン酸エステル化合物には芳香族縮合リン酸エステル化合物も含み、CR−733S(大八化学工業社製)、CR−741(大八化学工業社製)、CR−747(大八化学工業社製)等の名称で市販されている。
【0053】
フタル酸エステル化合物の具体的例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート(=2−エチルヘキシルフタレート)、ジシクロヘキシルフタレート、ジフェニルフタレート等が挙げられる。脂肪族二塩基酸エステル化合物としては、好ましくはセバシン酸エステル化合物またはアジピン酸エステル化合物で有り、アジピン酸エステル系化合物の具体例としては、アジピン酸ジイソオクチル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸デシルイソオクチル等が挙げられる。トリメリット酸エステル化合物の具体的例としては、トリス(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリノルマルオクチルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、トリノルマルオクチルトリメリテート等が挙げられる。但し、上記したA群化合物の具体例は、上記の例示化合物のみに限定されない。
【0054】
上記A群化合物の含有比率は、疎水性樹脂に対して、0.5〜70質量%が好ましい範囲である。また、添加量は、通常、熱転写受像シート1mあたり0.5〜15gが好ましい。
【0055】
本発明に係る可塑剤は、無機微粒子と疎水性樹脂を含有する色素受容層塗布液を基材シートに塗布する方法では、該塗布液に含有させて塗布することが好ましく、あらかじめ形成された無機微粒子の空隙構造を有する層に疎水性樹脂を含有する塗布液をオーバーコートする場合は、疎水性樹脂を含有するオーバーコート塗布液に含有させて塗布することが好ましい。
【0056】
また、本発明においては、金属とキレート形成しうるポストキレート型の熱拡散性色素を用いたポストキレート型昇華画像形成では、金属イオン含有化合物(以下、メタルソースともいう)を含有した熱転写受像シートの色素受容層を本発明の構成とすることで、より一層目的効果が発揮される点から、好ましい形態である。
【0057】
上記メタルソースとしては、金属イオンの無機又は有機の塩及び金属錯体が挙げられ、いずれも好ましく用いられるが、中でも有機金属錯体が好ましい。金属としては、周期律表の第I〜第VIII族に属する1価及び多価の金属が挙げられるが、中でもAl、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、Sn及びZnが好ましく、特にNi、Cu、Cr、Co及びZnが好ましい。
【0058】
メタルソースの具体例としては、Ni2+、Cu2+、Cr2+、Co2+及びZn2+との無機、酢酸やステアリン酸等の脂肪酸の塩、又は安息香酸、サルチル酸等の芳香族カルボン酸の塩等が挙げられる。
【0059】
本発明においては、下記一般式(A)で表される錯体が、受容層中に安定に添加でき、かつ実質的に無色であるので特に好ましく用いられる。
【0060】
一般式(A)
〔M(Q(Q(QP+(L
上記一般式(A)において、Mは金属イオン、好ましくはNi2+、Cu2+、Cr2+、Co2+、Zn2+を表す。Q、Q、Qは各々Mで表される金属イオンと配位結合可能な配位化合物を表し、互いに同じであっても異なっていてもよい。これらの配位化合物としては、例えば、キレート科学(5)(南江堂)に記載されている配位化合物から選択することができる。L-は有機アニオン基を表し、具体的にはテトラフェニル硼素アニオンやアルキルベンゼンスルホン酸アニオン等が挙げられる。Xは1、2または3の整数を表し、Yは1、2または0を表し、Zは1または0を表すが、これらは前記一般式で表される錯体が4座配位か、6座配位かによって決定されるか、あるいはQ1、Q2、Q3の配位子の数によって決定される。Pは1または2を表す。この種のメタルソースの具体例は、米国特許4,987,049号明細書に例示されたもの、または特開平10−67181号公報に例示された化合物1〜51などを挙げることができる。
【0061】
メタルソースの添加量は、通常、色素受容層バインダーに対して5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。また、メタルソースの添加量は、通常、0.5〜20g/mが好ましく、1〜15g/mがより好ましい。
【0062】
また、本発明の熱転写受像シートには、本発明に係る色素受容層の他に、必要に応じて他の層を設けることができる。
【0063】
本発明に係る色素受容層及び他の層を塗布するには、公知の塗布方法から適宜選択して行うことができる。好ましい方法は、各層を構成する塗布液を支持体上に塗設して乾燥する方法である。この場合、2層以上を同時に塗布することもできる。具体的な塗布方法としてはグラビアコート法(グラビア塗布法)、グラビアリバースコート法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法等の塗布方法が挙げられる。また色素受容層の塗膜の厚みは特に限定されないが、通常1μm〜50μmで有る。
【0064】
次いで、上記説明した以外のその他の熱転写受像シートの構成要素について説明する。
【0065】
(離型剤、微粒子)
本発明に係る色素受容層には、熱転写インクシートのインク層との熱融着を防止する目的で、離型剤を添加することが好ましい。離型剤として、具体的には、パラフィン、フッ素化パラフィン、フッ素系化合物、シリコーンオイル(反応硬化型シリコーンを含む)等を使用することができる。これらの中で離型剤としては、シリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンをはじめ各種の変性シリコーンを用いることができる。具体的には、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン等を用い、これらをブレンドしたり、各種の反応を用いて重合させて用いることもできる。離型剤は1種でも、あるいは2種以上のものを併せて用いても良い。また、離型剤の添加量は、熱転写インクシートと熱転写受像シートの色素受容層との融着防止もしくは印画感度低下防止などの観点から、色素受容層形成用のバインダー樹脂100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましい。なお、これらの離型剤は、色素受容層に添加せず、色素受容層上に別途離型層として設けても良い。また、受容層に有機高分子材料からなる微粒子を含有させても良い。
【0066】
有機高分子材料とは、疎水性樹脂バインダーと非相溶性の微粒子であり、具体的化合物としては、ポリスチレン、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはこれらを構成するモノマー同士の共重合体、ポリイミド系樹脂、尿素樹脂またはメラミン樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系樹脂、ナイロン、フェノール樹脂及びシリコーン系樹脂等が挙げられる。また、該微粒子の平均粒径は、形成した画像の均一性の観点から、平均粒径0.1〜40μm程度が好ましい。
【0067】
(基材シート)
熱転写受像シートで用いる基材シートは、色素受容層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、過熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有することが好ましい。
【0068】
このような基材の材料としては特に限定されず、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、またはサイズ度の高い紙、合成紙(例えば、ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂またはエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネイト、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等のフィルムが挙げられ、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルムあるいは発泡させた発泡シートも使用でき、特に限定されない。
【0069】
また、上記基材の任意の組み合わせによる積層体も使用できる。代表的な積層体の例として、セルロース繊維紙と合成紙或いはセルロース合成紙とプラスチックフィルムとの合成紙が挙げられる。これらの基材シートの厚みは任意でよく、通常10〜300μm程度である。
【0070】
より高い印画濃度を有すると共に、濃度ムラや白抜けのない高画質を得るためには、微細空隙を有する層を存在させることが好ましい。微細空隙を有する層としては、内部に微細空隙を有するプラスチックフィルムや合成紙を用いることができる。また、各種基材シートの上に、各種の塗工方式で微細空隙を有する層を形成できる。微細空隙を有するプラスチックフィルムまたは合成紙としては、ポリオレフィン、特にポリプロピレンを主体として、それに無機顔料及び/またはポリプロピレンと非相溶なポリマーをブレンドし、これらをボイド形成開始剤として用い、これらの混合物を延伸、成膜したプラスチックフィルムまたは合成紙が、クッション性、断熱性、印画感度及び濃度ムラ耐性の点で好ましい。
【0071】
これらの点を考慮すると、プラスチックフィルム及び合成紙の20℃における弾性率は5×10Pa〜1×1010Paが好ましい。また、これらのプラスチックフィルムや合成紙は、通常2軸延伸により成膜されたものであるが故に、これらは加熱により収縮する。これらを110℃下で60秒放置した場合の収縮率は0.5〜2.5%である。上述のプラスチックフィルムや合成紙は、それ自体が、微細空隙を含む層の単層で合っても良いし、複数の層構成であっても良い。複数の層構成の場合には、その構成する全ての層に微細空隙を含有しても良いし、微細空隙が存在しない層が含有しても良い。このプラスチックフィルムや合成紙には、必要に応じて隠蔽剤として、白色顔料を混入させてもよい。また、白色性を増すために、蛍光増白剤等の添加剤を含有させても良い。微細空隙を有する層は、30〜80μmの厚みが好ましい。
【0072】
微細空隙を有する層としては、基材の上にコーティング法によって微細空隙を有する層を形成することも可能である。使用するプラスチック樹脂としては、ポリエステル、ウレタン樹脂、ポリカーボネイト、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の公知の樹脂を単独或いは複数をブレンドして使用することができる。
【0073】
また、必要に応じて、基材の受容層を設ける側とは反対側の面に、カール防止の目的として、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネイト等の樹脂や合成紙の層を設けることができる。貼り合わせ方法としては、例えば、ドライラミネーション、ノンソルベント(ホットメルト)ラミネーション、ECラミネーション法等の公知の積層方法が使用できるが、好ましい方法はドライラミネーション及びノンソルベントラミネーション法である。ノンソルベントラミネーション法に好適な接着剤としては、例えば、武田薬品工業(株)製のタケネート720L等が挙げられ、ドライラミネーションに好適な接着剤としては、例えば、武田薬品工業(株)製のタケラックA969/タケネートA−5(3/1)、昭和高分子(株)製の、ポリゾール PSA SE−1400、ビニロール PSA AV−6200シリーズ等が挙げられる。これらの接着剤の使用量としては、固形分で約1〜8g/m、好ましくは2〜6g/mの範囲である。
【0074】
上述したような、プラスチックフィルムと合成紙、或いはそれら同士、或いは各種紙とプラスチックフィルムや合成紙、等を積層する場合、接着層により貼り合わせることができる。
【0075】
上記基材シートと色素受容層との接着強度を大きくする等の目的で、基材シートの表面に各種プライマー処理やコロナ放電処理を施すのが好ましい。
【0076】
(中間層)
また、熱転写受像シートは、基材シートと色素受容層との間に中間層を設けても良い。本発明でいう中間層とは、基材シートと色素受容層との間に存在する全ての層を指し、多層構成であってもよい。中間層の機能としては、耐溶剤性能、バリア性能、接着性能、白色付与能、隠蔽性能、帯電防止機能等が挙げられるが、これらに限定されることなく、従来公知の中間層全てが適用できる。
【0077】
中間層に耐溶剤性能、バリア性能を付与させるためには、水溶性樹脂を用いることが好ましい。水溶性樹脂としては、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂、でんぷん等の多糖類系樹脂、カゼイン等の蛋白質、ゼラチン、寒天、また、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル共重合体(例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製ベオパ)、酢酸ビニル(メタ)アクリル共重合体、(メタ)アクリル樹脂、スチレン(メタ)アクリル共重合体、スチレン樹脂等のビニル系樹脂、また、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のポリアミド系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン等が挙げられる。ここで言う水溶性樹脂とは、水を主体とする溶媒に、完全溶解(粒径:0.01μm以下)、またはコロイダルディスパージョン(粒径:0.01〜0.1μm)、またはエマルジョン(粒径:0.1〜1μm)、またはスラリー(粒径:1μm以上)の状態になる樹脂のことである。これらの水溶性樹脂のなかで、特に好ましいのは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン等の汎用溶剤により、溶解はもとより、膨潤さえしない樹脂である。この意味で、水を主体とする溶媒に完全に溶解する樹脂が最も好ましい。特に、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂が挙げられる。
【0078】
中間層に接着性能を保持させるには、基材シートの種類やその表面処理により異なるが、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が一般的である。また、活性水素を有する熱可塑性樹脂とイソシアネート化合物のような硬化剤を併用すると良好な接着性が得られる。中間層に白色付与能をもたせるためには、蛍光増白剤を用いることができる。使用する蛍光増白剤は、従来公知のいずれの化合物でも使用でき、スチルベン系、ジスチルベン系、ベンゾオキサゾール系、スチリル−オキサゾール系、ピレン−オキサゾール系、クマリン系、アミノクマリン系、イミダゾール系、ベンゾイミダゾール系、ピラゾリン系、ジスチリル−ビフェニル系の蛍光増白剤等が挙げられる。白色度は、これら蛍光増白剤の種類と添加量で調整することができる。蛍光増白剤の添加方法としては、あらゆる方法を用いることができる。すなわち、水に溶解させて添加する方法、ボールミル、コロイドミルによって粉砕分散して添加する方法、高沸点溶媒に溶解して親水性コロイド溶液と混合し、水中油滴型分散物として添加する方法、高分子ラテックス中に含浸させて添加する方法等がある。
【0079】
更に、基材シートのギラつき感やムラを隠蔽する目的で、中間層に酸化チタンを添加してもよい。また、酸化チタンを用いることで基材シートの選択の自由度が広がる点で好ましい。酸化チタンには、ルチル型酸化チタンと、アナターゼ型酸化チタンの2種類があるが、白色度及び蛍光増白剤の効果を考慮すると、ルチル型よりも紫外部の吸収がより短波長側であるアナターゼ型酸化チタンが好ましい。中間層のバインダー樹脂が水系で、酸化チタンが分散しにくい場合には、表面に親水性処理を施した酸化チタンを用いるか、もしくは、界面活性剤、エチレングリコール等の既知の分散剤により分散することができる。酸化チタンの添加量は、樹脂固形分100質量部に対して酸化チタン固形分として10〜400質量部が好ましい。
【0080】
また、中間層に帯電防止機能を持たせるためには、導電性無機フィラーや、ポリアニリンスルホン酸のような有機導電材等、従来公知の導電材料を中間層バインダー樹脂に合わせて適宜選択して使用することができる。このような中間層の厚みは、0.1〜10μm程度の範囲で設定することが好ましい。
【0081】
次いで、本発明の熱転写受像シートの構成を、図を用いて簡単に説明する。
【0082】
図2は、本発明の熱転写受像シートの構成の一例を示す断面図である。
【0083】
図2において、熱転写受像シート1は、基材シート2の一方の面に、中間層3を有し、その上に色素受容層4を有している。また、上記したように色素受容層4は2層以上の多層構成を有していても良い。
【0084】
《熱転写インクシート》
次いで、本発明の画像形成方法において、本発明の熱転写受像シートと共に用いる熱転写インクシート(以下、インクシート、あるいは熱転写シートとも言う)について説明する。
【0085】
(基材シート)
本発明に係る熱転写インクシートに使用される基材シートとしては、従来より熱転写インクシートの基材シートとして公知の材料を用いることができる。好ましい基材シートの具体例は、グラシン紙、コンデンサー紙、パラフィン紙などの薄紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルホン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリカーボネイト、酢酸セルロース、ポリエチレンの誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、アイオノマー等のプラスチックの延伸あるいは未延伸フィルムや、これらの材料を積層したものが挙げられる。この基材シートの厚さは、強度及び耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常は1〜100μm程度のものが好ましく用いられる。
【0086】
また、基材シートの表面に形成する色素層との密着が乏しい場合には、その表面にプライマー処理や、コロナ処理を施すことが好ましい。
【0087】
(色素層、色素)
本発明に係る熱転写インクシートを構成する色素層(以下、インク層ともいう)は、少なくとも色素とバインダー樹脂を含有する熱昇華性色素層であることが好ましい。本発明に係る色素層に使用される色素は、1種のみでも2種以上を併用しても良い。
【0088】
以下、本発明で用いることのできる色素について説明する。
【0089】
本発明に係る熱転写インクシートで用いる色素含有領域は、色相において異なる2つ以上の色素含有領域とすることができ、例えば、色素含有領域がイエロー色素を含有する領域、マゼンタ色素を含有する領域、及びシアン色素を含有する領域からなり、これらの色素含有領域の次に、色素不含有領域が形成された態様、色素含有領域が黒色色素を含有する色素層からなり、該領域の次に色素不含有領域が形成された態様、及び色素含有領域がイエロー色素を含有する領域、マゼンタ色素を含有する領域、シアン色素を含有する領域及び黒色色素を含有する領域からなり、これらの色素含有領域の次に色素不含有領域が形成された態様等が挙げられる。
【0090】
熱昇華性色素層に用いられる色素は、従来公知の感熱昇華転写方式の熱転写インクシートに使用される、アゾ系、アゾメチン系、メチン系、アントラキノン系、キノフタロン系、ナフトキノン系等のあらゆる色素を挙げることができ、特に制限はされない。具体的には、黄色色素として、ホロンブリリアントイエロー6GL、PTY−52、マクロレックスイエロー6G等が挙げられ、赤色色素としてMSレッドG、マクロレックスレッドバイオレットR、セレスレッド7B、サマロンレッドHBSL、SKルビンSEGL等が挙げられ、さらに、青色色素として、カヤセットブルー714、ワクソリンブルーAP−FW、ホロンブリリアントブルーS−R、MSブルー100、ダイトーブルーNo.1等が挙げられる。
【0091】
次に、前記したポストキレート型昇華画像形成に用いられるキレート色素について説明する。
【0092】
はじめに、キレートシアン色素について説明する。
【0093】
キレートシアン色素としては、下記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
【0094】
【化1】

【0095】
上記一般式(1)において、R11、R12及びR13は各々非芳香族炭化水素基を表し、R11、R12及びR13は同じでも異なっていてもよく、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基などを挙げることができ、これらのアルキル基に置換しうる基としては、直鎖あるいは分岐のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、及び1−ヘキシルノニル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、及びアダマンチル基等)、及びアルケニル基(例えば、2−プロピレン基、オレイル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、オルト−トリル基、オルト−アニシル基、1−ナフチル基、9−アントラニル基等)、複素環基(例えば、2−テトラヒドロフリル基、2−チオフェニル基、4−イミダゾリル基、2−ピリジル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボニル基(例えば、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ピバロイル基等のアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、ペンタフルオロベンゾイル基、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル基等のアリールカルボニル基等)、オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、n−ドデシルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基、及び2−ピリジルオキシカルボニル基、1−フェニルピラゾリル−5−オキシカルボニル基などの複素環オキシカルボニル基等)、カルバモイル基(例えば、ジメチルカルバモイル基、4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミノカルボニル基等のアルキルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、1−ナフチルカルバモイル基等のアリールカルバモイル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、2−エトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ基、4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ基等)、複素環オキシ基(例えば、4−ピリジルオキシ基、2−ヘキサヒドロピラニルオキシ基等)、カルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基等)、ウレタン基(例えば、N,N−ジメチルウレタン基等のアルキルウレタン基、N−フェニルウレタン基、N−(p−シアノフェニル)ウレタン基等のアリールウレタン基等)、スルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、n−ドデカンスルホニルオキシ基等のアルキルスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基等)、アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、n−ドデシルアミノ基等のアルキルアミノ基、アニリノ基、p−t−オクチルアニリノ基等のアリールアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、ヘプタフルオロプロパンスルホニルアミノ基、n−ヘキサデシルスルホニルアミノ基等のアルキルスルホニルアミノ基、p−トルエンスルホニルアミノ基、ペンタフルオロベンゼンスルホニルアミノ等のアリールスルホニルアミノ基等)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジメチルスルファモイルアミノ基等のアルキルスルファモイルアミノ基、N−フェニルスルファモイルアミノ基等のアリールスルファモイルアミノ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ミリストイルアミノ基等のアルキルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等アリールカルボニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、N,N−ジメチルアミノウレイド基等のアルキルウレイド基、N−フェニルウレイド基、N−(p−シアノフェニル)ウレイド基等のアリールウレイド基等)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等のアルキルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等のアリールスルホニル基等)、スルファモイル基(例えば、ジメチルスルファモイル基、4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミノスルホニル基等のアルキルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基等のアリールスルファモイル基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、t−オクチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−チオ基、5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−チオ基等)等が挙げられる。
【0096】
シクロアルキル基、アルケニル基の例としては、上記アルキル基の置換基として挙げたものが挙げられる。また、アルキニル基の例としては、1−プロピン、2−ブチン、1−ヘキシン等が挙げられる。
【0097】
11、R12は結合して非芳香族性の環状構造(例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等)を形成することも好ましい。
【0098】
13は上記非芳香族炭化水素の中でもアルキル基、シクロアルキル基が好ましい。nは0〜4の整数を表し、nが2以上の場合、複数のR13は同じでも異なっていてもよい。
【0099】
14はアルキル基であり、その例としては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、及び1−ヘキシルノニル基等が挙げられる。R14は好ましくは2級または3級アルキル基であり、好ましい2級または3級のアルキル基の例としてはイソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R14として最も好ましい置換基はイソプロピル基、tert−ブチル基である。R14のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており。その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
【0100】
15はアルキル基であり、その例としては、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、1−ヘキシルノニル基等が挙げられる。R15は好ましくは2級または3級アルキル基であり、好ましい2級または3級のアルキル基の例としてはイソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R15として最も好ましい置換基はイソプロピル基、tert−ブチル基である。R15のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており。その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
【0101】
16はアルキル基を表し、その例としてはn−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R16として特に好ましい置換基は、炭素数3以上の直鎖のアルキル基であり、その例としてはn−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基であり、最も好ましくはn−プロピル基、n−ブチル基である。なお、R16のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており、その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
【0102】
次いで、キレートイエロー色素について説明する。
【0103】
キレートイエロー色素としては、下記一般式(2)で表される化合物を挙げることができる。
【0104】
【化2】

【0105】
上記一般式(2)において、R及びRは置換基を表し、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(炭素数1〜12のアルキル基で、酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはカルボニル基で連結する置換基が置換するか、またはアリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、シアノ基もしくはハロゲン原子が置換していてもよい。例えば、メチル、イソプロピル、t−ブチル、トリフルオロメチル、メトキシメチル、2−メタンスルホニルエチル、2−メタンスルホンアミドエチル等の各基)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、3−ニトロフェニル、3−アシルアミノフェニル、2−メトキシフェニル等の各基)、シアノ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、複素環チオ基、ホスホニル基、アシル基等が挙げられる。
【0106】
で表されるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基としては、R及びRで表されるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基と同じものを挙げることができる。
【0107】
で表される2個の炭素原子と共に構成される5〜6員の芳香族環としては、具体的には、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾールなどの環を挙げることができ、これらの環は更に他の芳香族環と縮合環を形成してもよい。これらの環上には置換基を有していてもよく、該置換基としてはR及びRで表される置換基と同じものを挙げることができる。
【0108】
次いで、キレートマゼンタ色素について説明する。
【0109】
キレートマゼンタ色素としては、下記一般式(3)で表される化合物を挙げることができる。
【0110】
【化3】

【0111】
上記一般式(3)において、Xは少なくとも2座のキレート形成可能な基または原子の集まりを表し、Yは5員もしくは6員の芳香族炭化水素環または複素環を形成する原子の集まりを表し、R、Rは各々水素原子または1価の置換基を表す。nは0、1、2を表す。
【0112】
Xとして特に好ましくは、下記一般式(4)で表される基である。
【0113】
【化4】

【0114】
上記一般式(4)において、Zは少くとも一つのキレート化可能な窒素原子を含む基で置換された芳香族性含窒素複素環を形成するに必要な原子群を表す。これらの環は、更に他の炭素環(ベンゼン環等)や複素環(ピリジン環等)と縮合環を形成しても良い。
【0115】
上記一般式(3)において、Xは少なくとも2座のキレート形成可能な基または原子の集まりを表し、例えば、5−ピラゾロン、ピリジン、ピリミジン、チアゾール、イミダゾール、ピラゾロピロール、ピラゾロピラゾール、ピラゾロイミダゾール、ピラゾロトリアゾール、ピラゾロテトラゾール、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ローダニン、ヒダントイン、チオヒダントイン、オキサゾロン、イソオキサゾロン、インダンジオン、ピラゾリジンジオン、オキサゾリジンジオン、ヒドロキシピリドン、またはピラゾロピリドンが好ましい。
【0116】
Yは5員もしくは6員の芳香族炭化水素環または複素環を形成する原子の集まりを表し、該環上には更に置換基を有していても良く、縮合環を有していても良い。該環の具体例としては、3H−ピロール環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、3H−ピロリジン環、オキサゾリジン環、イミダゾリジン環、チアゾリジン環、3H−インドール環、ベンズオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、ピリジン環等が挙げられる。これらの環は更に他の炭素環(例えば、ベンゼン環)や複素環(例えば、ピリジン環)と縮合環を形成してもよい。環上の置換基としてはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等であり、それらの基は更に置換されていても良い。
【0117】
、Rは各々水素原子または1価の置換基を表し、1価の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、アシル基、アシルアミノ基等が挙げられる。
【0118】
(バインダー樹脂)
本発明において、インク層は、上記色素と共にバインダー樹脂を含有する。
【0119】
インク層に使用するバインダー樹脂としては、従来公知の感熱昇華転写方式の熱転写インクシートに使用されるバインダー樹脂を使用することができ、例えば、セルロース系、ポリアクリル酸系、ポリビニルアルコール系、ポリビニルピロリドン系等の水溶性ポリマー、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチルセルロース、ニトロセルロース等の有機溶媒に可溶のポリマーを挙げることができる。これらの樹脂の中でも、保存性の優れたポリビニルブチラール、ポリビニルアセタールあるいはセルロース系樹脂が好ましい。
【0120】
インク層における色素及びバインダー樹脂の含有量は、特に限定されるものではなく、性能上の観点から適宜設定されることが好ましい。
【0121】
本発明に係るインク層には、上記説明した色素とバインダー樹脂の他に、必要に応じて公知の種々の添加剤を含有することができる。インク層は、例えば、適当な溶剤中に上記の色素、バインダー樹脂、その他の添加剤を溶解または分散させて調製したインク塗布液を、グラビアコート法(グラビア塗布法)等の公知の手段により基材シート上に塗布した後、乾燥させることにより形成することができる。本発明に係るインク層の厚みは、0.1〜3.0μm程度、好ましくは0.3〜1.5μm程度とすることができる。
【0122】
(保護層、転写性保護層)
本発明に係る熱転写インクシートにおいては、熱転写性の保護層を備えていることが好ましい。該熱転写性の保護層(保護層、転写性保護層とも言う)は、熱転写受像シート上に熱転写して形成された画像の表面を覆う保護層となる透明な樹脂層からなる。
【0123】
保護層を形成する樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリカーボネイト樹脂、これらの各樹脂のエポキシ変性樹脂、これらの樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等を例示することができる。好ましい樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、エポキシ変性樹脂、電離放射線硬化性樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、ジオール成分および酸成分が一種類以上の脂環族化合物を有する脂環族ポリエステル樹脂が好ましい。ポリカーボネイト樹脂としては、芳香族ポリカーボネイト樹脂が好ましく、特開平11−151867号に記載された芳香族ポリカーボネイト樹脂が特に好ましい。
【0124】
エポキシ変性樹脂としては、エポキシ変性ウレタン、エポキシ変性ポリエチレン、エポキシ変性ポリエチレンテレフタレート、エポキシ変性ポリフェニルサルファイト、エポキシ変性セルロース、エポキシ変性ポリプロピレン、エポキシ変性ポリ塩化ビニル、エポキシ変性ポリカーボネイト、エポキシ変性アクリル、エポキシ変性ポリスチレン、エポキシ変性ポリメチルメタクリレート、エポキシ変性シリコーン、エポキシ変性ポリスチレンとエポキシ変性ポリメチルメタクリレートの共重合体、エポキシ変性アクリルとエポキシ変性ポリスチレンの共重合体、エポキシ変性アクリルとエポキシ変性シリコーンの共重合体が挙げられ、好ましくはエポキシ変性アクリル、エポキシ変性ポリスチレン、エポキシ変性ポリメチルメタクリレート、エポキシ変性シリコーンであり、更に好ましくはエポキシ変性ポリスチレンとエポキシ変性ポリメチルメタクリレートの共重合体、エポキシ変性アクリルとエポキシ変性ポリスチレンの共重合体、エポキシ変性アクリルとエポキシ変性シリコーンの共重合体である。
【0125】
〈電離放射線硬化性樹脂〉
熱転写性保護層として電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。熱転写性保護層に含有することにより、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れている。電離放射線硬化性樹脂としては公知のものを使用することができ、例えば、ラジカル重合性のポリマーまたはオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させ、必要に応じて光重合開始剤を添加し、電子線や紫外線によって重合架橋させたものを使用することができる。
【0126】
〈紫外線遮断性樹脂〉
紫外線遮断性樹脂を含有する保護層は、印画物に耐光性を付与することを主目的とする。紫外線遮断性樹脂としては、例えば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂または上記の電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。より具体的には、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系のような従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基等)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものを例示することができる。
【0127】
上記のごとき単層構造の熱転写性保護層または多層構造の熱転写性保護層中に設けられた主保護層は、保護層形成用樹脂の種類にもよるが、通常は0.5〜10μm程度の厚さに形成する。
【0128】
本発明において、熱転写性の保護層は、基材シート上に非転写性の離型層を介して設けることが好ましい。
【0129】
非転写性離型層は、基材シートと非転写性離型層との間の接着力を、非転写性離型層と熱転写性保護層との間の接着力よりも常に充分高くし、且つ、熱を印加する前の非転写性離型層と熱転写性保護層との間の接着力が、熱印加後のそれに対し高くなるようにする目的で、(1)樹脂バインダーと共に、平均粒子径が40nm以下の無機微粒子を30〜80質量%含有しているか、(2)アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物を合計20質量%以上の割合で含有しているか、或いは(3)アイオノマーを20質量%以上の割合で含有している、ことが好ましい。非転写性離型層には、必要に応じて他の添加物が含有されていてもよい。
【0130】
無機微粒子としては、例えば、無水シリカ、コロイダルシリカ等のシリカ微粒子や、酸化錫、酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛等の金属酸化物を使用することができる。無機微粒子の粒子径は、保護層の透明性の観点から、40nm以下とすることが好ましい。
【0131】
無機微粒子と混合する樹脂バインダーは特に制限されず、混合可能なあらゆる樹脂を用いることができる。例えば、各種ケン化度のポリビニルアルコール樹脂(PVA);ポリビニルアセタール樹脂;ポリビニルブチラール樹脂;アクリル系樹脂;ポリアミド系樹脂;酢酸セルロース、アルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。
【0132】
無機微粒子と樹脂バインダーを主体とする他の配合成分との配合比(無機微粒子/他の配合成分)は、膜形成の観点から、質量比で30/70以上、80/20以下の範囲とすることが好ましい。
【0133】
アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体またはその誘導体としては、例えば、アルキルビニルエーテル部分のアルキル基がメチル基或いはエチル基であるもの、無水マレイン酸部分が部分的にまたは完全にアルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等)とのハーフエステルとなったものを用いることができる。
【0134】
離型層は、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物だけで形成しても良いが、離型層と保護層の間の剥離力を調整する目的で、他の樹脂または微粒子をさらに加えても良い。その場合、離型層には、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物が20質量%以上含有されているのが望ましい。
【0135】
アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体またはその誘導体に配合される樹脂または微粒子としては、混合可能で、被膜形成時に高い膜透明性が得られるもので有れば特に限定されず、あらゆる材料を用いることができる。例えば、前述の無機微粒子及び無機微粒子と混合可能な樹脂バインダーは好ましく用いられる。
【0136】
アイオノマーとしては、例えば、サーリンA(デュポン社製)や、ケミパールSシリーズ(三井石油化学社製)等を使用することができる。また、アイオノマーには、例えば、前述の無機微粒子、無機微粒子と混合可能な樹脂バインダー、或いはその他の樹脂や微粒子をさらに加えることができる。
【0137】
非転写性離型層を形成するには、上記(1)〜(3)のいずれかの成分を所定の配合割合で含有する塗布液を調製し、かかる塗布液を、グラビアコート法(グラビア塗布法)、グラビアリバースコート法のような公知の技術で基材シート上に塗布し、塗布層を乾燥させる。非転写性離型層の厚みは、通常、乾燥後の厚みで0.1〜2μm程度とする。
【0138】
非転写性離型層を介して、あるいは介さずに基材シート上に積層される熱転写性保護層は、多層構造をとっていてもよいし、単層構造をとっていてもよい。多層構造をとる場合には、画像に各種の耐久性を付与するための主体となる主保護層の他、熱転写性保護層と印画物の受像面との接着性を高めるために、熱転写性保護層の最表面に配置される接着層や、補助的な保護層や、保護層本来の機能以外の機能を付加するための層(例えば、偽造防止層、ホログラム層等)が設けられてもよい。主保護層とその他の層の順序は任意であるが、通常は、転写後に主保護層が受像面の最表面となるように、接着層と主保護層との間に他の層を配置する。
【0139】
熱転写性保護層の最表面には接着層が形成されていても良い。接着層は、例えばアクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂のような加熱時接着性の良好な樹脂で形成することができる。また、上記樹脂に加え、上述した電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂などを必要に応じて混合してもよい。接着層の厚さは、通常0.1〜5μmとする。
【0140】
非転写性離型層上あるいは基材シート上に熱転写性保護層を形成するには、例えば、保護層形成用樹脂を含有する保護層用塗布液、熱接着性樹脂を含有する接着層用塗布液、その他必要に応じて付加される層を形成するための塗布液をあらかじめ調製し、それらを所定の順序で非転写性離型層上あるいは基材シート上に塗布し、乾燥させる。各塗布液は従来公知の方法で塗布すればよい。また、各層の間には適切なプライマー層を設けても良い。
【0141】
〈紫外線吸収剤〉
熱転写性保護層の少なくとも1層に、紫外線吸収剤が含有されていることが好ましいが、透明樹脂層に含有させた場合、保護層転写後は透明樹脂層が印画物の最表面に存在するため、長期間の間に環境などの影響を受け経時的にその効果が低下することから、特に好ましくは、感熱接着剤層に含有させる。
【0142】
紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤が挙げられ、例えば、Tinuvin P、Tinuvin 234、Tinuvin 320、Tinuvin 326、Tinuvin 327、Tinuvin 328、Tinuvin 312、Tinuvin 315(以上、チバガイギー社製)、Sumisorb−110、Sumisorb−130、Sumisorb−140、Sumisorb−200、Sumisorb−250、Sumisorb−300、Sumisorb−320、Sumisorb−340、Sumisorb−350、Sumisorb−400(以上、住友化学工業(株)製)、Mark LA−32、Mark LA−36、Mark 1413(以上、アデカアーガス化学(株)製)等の商品名で市販品として入手でき、いずれも本発明で使用することができる。
【0143】
また、反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとがランダム共重合したTg60℃以上、好ましくは80℃以上のランダム共重合体を用いることもできる。
【0144】
上記の反応性紫外線吸収剤は、従来公知のサリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系等の非反応性紫外線吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基等の付加重合性二重結合、或いは、アルコール系水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入したものを使用することができる。具体的には、UVA635L、UVA633L(以上、BASFジャパン(株)製)、PUVA−30M(大塚化学(株)製)等の商品名で市場から入手でき、何れも本発明で使用することができる。
【0145】
以上のような反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとのランダム共重合体における反応性紫外線吸収剤の量は10〜90質量%、好ましくは30〜70質量%の範囲である。また、このようなランダム共重合体の分子量は5000〜250000程度、好ましくは9000〜30000程度とすることができる。上述した紫外線吸収剤、及び、反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとのランダム共重合体は、各々単独で含有させても良いし、両方を含有させても良い。反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとのランダム共重合体の添加量は、含有させる層に対し5〜50質量%の範囲で含有させることが好ましい。
【0146】
もちろん紫外線吸収剤以外にも他の耐光化剤を含有させても良い。ここで耐光化剤とは、光エネルギー、熱エネルギー、酸化作用など、色素を変質あるいは分解する作用を吸収または遮断して色素の変質や分解を防止する薬剤であり、具体的には上述した紫外線防止剤の他、従来合成樹脂の添加剤などとして知られている光安定剤等が挙げられる。その場合も、熱転写性保護層の少なくとも1層、即ち前記剥離層、透明樹脂層、感熱接着層のうち少なくとも1層に含有させてよいが、特に好ましくは、感熱接着剤層に含有させる。
【0147】
上記の紫外線吸収剤を含む、耐光化剤の使用量は特に限定されないが、耐光化剤としての効果及び経済性の観点から、好ましくは含有させる層を形成する樹脂100質量部当たり0.05〜10質量部、好ましくは3〜10質量部の割合で使用する。
【0148】
また、上記の耐光化剤の他にも、例えば、蛍光増白剤、充填剤等の各種の添加剤も同時に接着剤層に適当な量で添加することができる。
【0149】
保護層転写シートの透明樹脂層は、基材シート上に単独で設けても良いし、熱転写インクシートの色素層と面順次に設けても良い。
【0150】
(耐熱滑性層)
本発明に係る熱転写インクシートにおいて、色素層とは基材シートを挟んで反対側の面に耐熱滑性層を設けることが好ましい。
【0151】
耐熱滑性層は、サーマルヘッド等の加熱デバイスと基材シートとの熱融着を防止し、走行を滑らかに行うとともに、サーマルヘッドの付着物を除去する目的で設けられる。
【0152】
この耐熱滑性層に用いる樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、アクリロニトリルースチレン共重合体等のアクリル系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン変性またはフッ素変性ウレタン等の天然または合成樹脂の単体または混合物が用いられる。耐熱滑性層の耐熱性をより高めるために、上記の樹脂のうち、水酸基系の反応性基を有している樹脂を使用し、架橋剤としてポリイソシアネート等を併用して、架橋樹脂層とすることが好ましい。
【0153】
更に、サーマルヘッドとの摺動性を付与するために、耐熱滑性層に固形あるいは液状の離型剤または滑剤を加えて耐熱滑性をもたせてもよい。離型剤または滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の各種ワックス類、高級脂肪族アルコール、オルガノポリシロキサン、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、金属石鹸、有機カルボン酸及びその誘導体、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、タルク、シリカ等の無機化合物の微粒子等を用いることができる。耐熱滑性層に含有される滑剤の量は5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%程度である。このような耐熱滑性層の厚みは0.1〜10μm程度、好ましくは0.3〜5μm程度とすることができる。
【0154】
本発明に係る熱転写インクシートの構成について、図を用いてその具体例を説明する。
【0155】
図3は、本発明に係る熱転写インクシートの一例を示す斜視図である。
【0156】
図3のa)は、本発明に係る熱転写インクシートの1面順次に供給される形態の一例を示す斜視図である。図3のa)において、熱転写インクシート11には、支持体12の同一平面上に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)各色素に対応したインク層13Y、13M、13Cが形成されており、このインク層とは別の領域には、剥離可能な転写性保護層14が面順次に設けられている。また、支持体12の他の面にはバック層(耐熱滑性層)15を備えている。
【0157】
一方、図3のb)は、転写性保護層14が、熱転写インクシート11のインク層13Y、13M、13Cが設けられた支持体12とは異なる支持体12′上に設けられている形態の一例を示す斜視図であり、本発明において好ましい形態の1つである。
【0158】
図3のa)、b)においては、各々のインク層、あるいは転写性保護層14の間に僅かな隙間を持っているが、熱転写記録装置の制御方法に併せて適宜隙間を調整しても良い。また、各インク層の頭出しの精度を高めるため、検知マークを熱転写シートに設けることが好ましく、設け方については、特に限定されることはない。基材シートの同一平面上にインク層と転写性保護層、あるいは後加熱処理を行う領域を設けたものを示したが、もちろん、別個の支持体上にそれぞれの層を設けても良いことは言うまでもない。なお、各インク層に反応型の色素を用いた場合、インク層に含有されている色素自身は反応前の化合物であり厳密にいえばY、M、C色素とは言えないが、Y、M、C画像を最終的に形成する為の層という意味で、便宜上同様に表現する。
【0159】
《画像形成方法》
次いで、本発明の画像形成方法について説明する。
【0160】
本発明の画像形成方法においては、本発明の熱転写受像シートと、熱拡散性色素を含有する熱転写インクシートとを重ね合わせて、記録信号に応じて加熱することにより、該熱転写インクシートが含有する熱拡散性色素を、該熱転写受像シートに転写することにより画像形成することを特徴とし、上記構成とすることにより、高速化プリントにおいても、充分な印画濃度を得ることができる。
【0161】
はじめに、印画速度について説明する。
【0162】
本発明でいう印画速度とは、1ドットあたりの印画時間を表し、下記のサーマルヘッドや熱ローラー等で加熱する場合、1ライン当たりの印画速度(msec./line)で表す。通常の印画速度は2〜5msec./lineであるが、1.5msec./line以下の高速印画速度であることが本発明の目的効果を発揮できる観点から好ましい。また、印画速度は、限りなく0に近くても良いが、下記の熱転写記録装置の制御レベルや実用上の観点から、その下限は0.05msec./lineである。
【0163】
次いで、本発明の画像形成方法で用いることのできる熱転写記録装置について説明する。
【0164】
本発明の画像形成方法で用いられる熱転写記録装置として、例えば、図4に示すような熱転写記録装置を用いることができる。図4において、21は熱転写インクシートの供給ロール、11は熱転写インクシート、22は使用された熱転写インクシート11を巻き取る巻取ロール、23はサーマルヘッド、24はプラテンローラ、25はサーマルヘッド23とプラテンローラ24との間に挿入された熱転写受像シートである。
【0165】
図4に示す熱転写記録装置を用い、例えば、図3のa)に示す熱転写インクシートを用いて画像を形成する場合のプロセスについて説明する。まず、熱転写インクシートの図3のa)のイエロー色素を含有するインク層13Yと熱転写受像シート25の色素受容層とを重ね合わせ、サーマルヘッド23の熱印加によりインク層13Y中のイエロー色素を画像データに従って受像シートに移行させてイエロー画像を形成し、次いで、このイエロー画像の上に、マゼンタ色素を含有するインク層13Mから、同様にしてマゼンタ色素を画像様に移行させ、次いでこの転写画像の上にシアン色素を含有するインク層13Cから同様にしてシアン色素を画像様に移行させ、最後に、この画像の全面に転写性の保護層を含む転写性保護層ユニット14を熱転写シートより熱転写して画像の形成を完了する。
【0166】
本発明に用いられる熱転写記録装置において、光沢調とマット調の制御を同一装置内で選択可能にすると、1機種で所望の表面性の印画物が得られるため好ましい。選択の方法は特に限定されない。例えば、熱転写記録装置内に本発明の光沢調とマット調に対応する制御データを保持しておき、オペレータの簡単な操作で選択された制御データを読み出して、そのデータに従い制御部をコントロールしてもよいし、記録装置にパソコンが接続されている場合は、パソコン側に制御データを保持しておき、オペレータの簡単な操作で選択された制御データを記録装置に送りだしても良い。また、熱ローラーにて加熱をする場合には、表面を変質させる材料、たとえば光沢を出すような離型シート、マット調にするための凹凸のあるシートを画像記録後の受容層表面にあてがって、シート裏面より熱ローラーにて加熱を行うことで、表面の異なった記録体を得ることができる。
【実施例】
【0167】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りがない限り、「部」とは「質量部」を、「%」は「質量%」を表す。
【0168】
実施例1
《熱転写受像シート101〜119の作製》
基材シートとして、厚さ150μmの合成紙(王子油化合成紙社製のユポFPG−150)の一方の面に、下記の中間層塗布液を乾燥後の固形分量が2.0g/mとなるようにワイヤーバー塗布方式にて塗布、乾燥させて中間層を形成した。次いで、上記中間層上に、疎水性樹脂の種類、無機微粒子の種類及び添加量、可塑剤の種類及び添加量、金属イオン供給化合物添加の有無を表1に記載のような組み合わせで調製した各色素受容層塗布液1を乾燥膜厚が3.0μmとなる条件でワイヤーバー方式で塗布及び乾燥(110℃、30秒)させて色素受容層1を形成し、次いで、色素受容層1上に、疎水性樹脂の種類、無機微粒子の種類及び添加量、可塑剤の種類及び添加量、金属イオン供給化合物添加の有無を表1に記載のような組み合わせで調製した各色素受容層塗布液2を乾燥膜厚が0.5μmとなる条件でワイヤーバー方式で塗布及び乾燥(110℃、30秒)させて色素受容層2を形成して、熱転写受像シート101〜119を作製した。
【0169】
(中間層塗布液)
ウレタン系樹脂(日本ポリウレタン(株)製、ニッポラン5199) 5.0部
イソシアネート(武田薬品工業(株)製、タケネートA−14) 2.0部
メチルエチルケトン 20.0部
トルエン 20.0部
(色素受容層塗布液1)
疎水性樹脂(表1に記載の種類) 7.0部
無機微粒子(表1に記載の種類) 表1に記載の添加量
可塑剤(A群化合物:表1に記載の種類) 表1に記載の添加量
金属イオン供給化合物(MS−1*1) 2.5部
メチルエチルケトン 40.0部
トルエン 40.0部
酢酸ブチル 10.0部
MS−1:Ni2+[C15COC(COOCH)=C(CH)O
(色素受容層塗布液2)
疎水性樹脂(表1に記載の種類) 7.0部
無機微粒子(表1に記載の種類) 表1に記載の添加量
可塑剤(A群化合物:表1に記載の種類) 表1に記載の添加量
金属イオン供給化合物(MS−1) 2.5部
メチルスチリル変成シリコーンオイル(信越化学(株)製 KF410) 0.6部
メチルエチルケトン 40.0部
トルエン 40.0部
酢酸ブチル 10.0部
なお、表1に記載の疎水性樹脂、無機微粒子、A群化合物の詳細は、以下の通りである。
【0170】
〈疎水性樹脂〉
疎水性樹脂1:電気化学工業社製、#1000ALK(塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂)
疎水性樹脂2:積水化学社製 エスレックBX−1(ポリビニルブチラール樹脂)
疎水性樹脂3:東洋紡績社 バイロン290(ポリエステル系樹脂)
〈無機微粒子〉
無機微粒子1:日本アエロジル社製 R805(オクチルシラン処理シリカ、一次粒子平均粒径約12nm)
無機微粒子2:日本アエロジル社製 R812(トリメチルシリル基処理シリカ、一次粒子平均粒径約7nm)
無機微粒子3:日本アエロジル社製 T805(オクチルシラン処理二酸化チタン、一次粒子平均粒径約21nm)
〈A群化合物〉
DMP:フタル酸ジメチル
TOP:トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート
TOPO:トリ−n−オクチルホスフィンオキシド
MDS:セバシン酸ジメチル
TOTM:トリス(2−エチルヘキシル)トリメリテート
《熱転写インクシート1の作製》
[バックコート層付の支持体Aの作製]
厚さ4.5μmの易接層付きポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製ルミラー)の一方の面に、下記の組成からなるバックコート層塗布液1を、グラビア塗布方式で塗布、乾燥した後、加熱硬化処理を行い、乾燥膜厚1.0μmのバックコート層を有する支持体Aを作製した。
【0171】
〔バックコート層塗布液1の調製〕
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製 エスレックBX−1) 3.5部
リン酸エステル系界面活性剤(第一工業製薬社製 プライサーフA208S)3.0部
リン酸エステル系界面活性剤(東邦化学社製 フォスファノールRD720)0.3部
ポリイソシアネート(大日本インキ化学工業社製、バーノックD750−45)
19.0部
タルク(日本タルク社製 Y/X=0.03) 0.2部
メチルエチルケトン 35.0部
トルエン 35.0部
[インク層、保護転写層の形成]
上記作製したバックコート層付の支持体Aのバックコート面とは反対側の面に、下記組成からなるイエロー色素塗布液1、マゼンタ色素塗布液1、シアン色素塗布液1を用いて形成した各色素層(乾燥膜厚が1μm)と、多層構成保護転写層(非転写性離型層/保護層/接着層の3層構成)とをグラビア法により、図3のa)に記載の様に面順次に設けて、熱転写インクシート1を作製した。
【0172】
〔各色素層〕
〈イエロー色素塗布液1〉
ポストキレート色素(Y−1) 4.5部
ポリビニルアセトアセタール樹脂(積水化学社製、エスレックKS−5) 5.0部
ウレタン変性シリコーン樹脂(大日精化社製、ダイアロマーSP−2105)0.5部
メチルエチルケトン 45.0部
トルエン 45.0部
〈マゼンタ色素塗布液1〉
ポストキレート色素(M−1) 4.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂(積水化学社製、エスレックKS−5) 5.5部
ウレタン変性シリコーン樹脂(大日精化社製、ダイアロマーSP−2105)0.5部
メチルエチルケトン 45.0部
トルエン 45.0部
〈シアン色素塗布液〉
ポストキレート色素(C−1) 4.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂(積水化学社製、エスレックKS−5) 5.5部
ウレタン変性シリコーン樹脂(大日精化社製、ダイアロマーSP−2105)0.5部
メチルエチルケトン 45.0部
トルエン 45.0部
【0173】
【化5】

【0174】
〔多層構成保護転写層〕
(非転写性離型層)
下記の組成からなる非転写性離型層塗布液1をグラビアコート法により、乾燥後固形分量が0.5g/mとなるように塗布、乾燥して、非転写性離型層を形成した。
【0175】
〈非転写性離型層塗布液1〉
コロイダルシリカ(日産化学(株)製スノーテックス50) 1.5部
ポリビニルアルコール 4.0部
イオン交換水 3.0部
変性エタノール 10.0部
(保護転写層)
上記形成した非転写性離型層上に、下記の組成からなる保護転写層塗布液1をグラビアコート法により、乾燥後固形分量が2.0g/mとなるように塗布、乾燥して、保護転写層を形成した。
【0176】
アクリル樹脂 35.0部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 15.0部
ポリエチレンワックス 0.3部
ポリエステル樹脂 0.1部
メチルエチルケトン 40.0部
トルエン 40.0部
アンチモン酸亜鉛(日産化学(株)製セルナックス) 20.0部
(接着層)
上記形成した保護転写層上に、下記の組成からなる接着層塗布液1を、グラビアコート法により、乾燥後固形分量が2.0g/mとなるように塗布、乾燥して、接着層を形成した。
【0177】
〈接着層塗布液1〉
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20.0部
メチルエチルケトン 100部
トルエン 100部
以上により、非転写性の離型層上に、保護転写層と接着層の積層体である保護転写層を剥離可能に備えた多層構成保護転写層を作製した。
【0178】
《熱転写インクシート2の作製》
上記熱転写シート1の作製において、シアン染料層塗布液1、マゼンタ染料層塗布液1、イエロー染料層塗布液1に代えて、下記の組成からなるシアン染料層塗布液2、マゼンタ染料層塗布液2、イエロー染料層塗布液2を用いた以外は同様にして、熱転写シート3を作製した。
【0179】
(シアン染料層塗布液2)
前記シアン染料層塗布液1において、ポストキレート色素(C−1)に代えて、シアン分散染料(C.I.Solvent Blue63)を用いた以外は同様にして、シアン染料層塗布液2を調製した。
【0180】
(マゼンタ染料層塗布液2)
前記マゼンタ染料層塗布液1において、ポストキレート色素(M−1)に代えて、マゼンタ分散染料(C.I.Disperse Red60)を用いた以外は同様にして、マゼンタ染料層塗布液2を調製した。
【0181】
(イエロー染料層塗布液2)
前記イエロー染料層塗布液1において、ポストキレート色素(Y−1)に代えて、下記に示すイエロー分散染料を5.5質量部とメチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1)を90質量部を用いた以外は同様にして、イエロー染料層塗布液2を調製した。
【0182】
【化6】

【0183】
《画像形成》
40℃80%RHの環境条件において、図4に記載の様に、抵抗体形状がスクエア(主走査方向長80μm×副走査方向長120μm)、300dpi(dpiとは、2.54cm当りのドット数を表す)ラインヘッドのサーマルヘッドを搭載した熱転写記録装置に、上記作製した各熱転写受像シートの受容層部と熱転写インクシートのインク層とを重ね合わせてセットし、サーマルヘッドとプラテンロールで圧接しながら、0〜260μJ/dotの印加エネルギー範囲で順次増加させ、ニュートラル(イエロー、マゼンタ、シアンの3色重ね)のステップパターン画像を、1ライン当たりの送り長さが85μm、印画速度(送り速度)1.0msec./lineの条件として、インク層の背面側から加熱して、熱転写受像シートの受容層上に各色素及び保護層を転写させて、画像を形成し、印画物を得た。なお、熱転写受像シート119は熱転写インクシート2との組み合わせで行い、その他の熱転写受像シートは、熱転写インクシート1との組み合わせで行った。
【0184】
《形成画像の評価》
上記の様にして作成した印画物について、下記の方法に従って各評価を行った。なお、熱転写受像シート106では、塗膜剥離は発生し、以下の評価を行うことができなかった。
【0185】
(最高濃度の評価)
上記の様にして作製したニュートラルのステップパターンパッチ画像の最高濃度(階調値255濃度のVisibleの値)を、反射濃度計(Gretag Machbeth社製 X−rite310)を用いて測定し、下記の基準に従って最高濃度の評価を行った。
【0186】
5:最大濃度が2.2以上
4:最大濃度が2.0以上、2.2未満
3:最大濃度が1.8以上、2.0未満
2:最大濃度が1.6以上、1.8未満
1:最大濃度が1.6未満
(耐光性の評価)
上記作成した印画物を、キセノンアーク耐光性試験機(アトラスCi35A−UVウェザーメーター、アトラス社製)でキセノンアーク照射(積算照射量:500kJ/m、放射照度:0.35W/m、ブラックパネル温度=64℃、乾球湿度=43℃、相対湿度=25%)し、照射前後の印画濃度をそれぞれ上記反射濃度計で測定し、下式に従って画像残存率を求め、下記の基準に従って耐光性の評価を行った。なお、濃度測定点は、照射前の光学濃度が1.0付近のステップを測定した。
【0187】
画像残存率(%)=(照射後の反射濃度/照射前の反射濃度)×100
5:画像残存率が80%以上
4:画像残存率が60%以上、80%未満
3:画像残存率が40%以上、60%未満
2:画像残存率が20%以上、40%未満
1:画像残存率が20%未満
(転写性の評価)
上記の印画物の作成において、用いた各熱転写インクシートのイエロー色素層の最高濃度画像部の印画に用いた領域のブルー透過濃度を測定し、下式に従って転写率を求め、下記の基準に従って転写性の評価を行った。
【0188】
転写率(%)=(印画後のブルー濃度/印画前のブルー濃度)×100
5:転写率が50%以上
4:転写率が40%以上、50%未満
3:転写率が30%以上、40%未満
2:転写率が20%以上、30%未満
1:転写率が10%未満
〔色素受容層の観察〕
上記作製した各熱転写受像シートを、ミクロトームにより断面を露出させた後、走査型電子顕微鏡を用いて30万倍の倍率で観察したところ、本発明の各熱転写受像シートでは、色素受容層に図1に示すような空隙構造が観察され、表面から深さ0.5μmの領域を構成する色素受容層2におけるF/Bが、色素受容層1のF/Bよりも小さくなっていることを確認することができた。
【0189】
以上により得られた結果を、表1に示す。
【0190】
【表1】

【0191】
表1に記載の結果より明らかなように、F1/B1が、F2/B2よりも低く、かつ、F2/B2が0.5〜10の範囲にある色素受容層を有する本発明の熱転写受像シートを用いて形成した印画物は、比較例に対し、高い画像濃度を有し、耐光性及び転写性に優れていることが分かる。更に、本発明の熱転写受像シートにおいて、可塑剤を含有することにより上記効果がより発揮されていることが分かる。
【0192】
実施例2
《熱転写受像シートの作製》
日本アエロジル社製のAEROSIL200(親水性シリカ微粒子、一次平均粒径約12nm)160gを純水1000ml中に添加し、高速ホモジナイザーで分散した。次に、このシリカ水分散液中に、平均重合度が1700でケン化度が90%の5%ポリビニルアルコール水溶液(界面活性剤−1を0.3質量%含有)1600mlを徐々に添加した。得られた液を高速ホモジナイザーにて分散して半透明状の下層塗布液を得た。
【0193】
次に、上記調製した下層塗布液を、実施例1と同様に作製した中間層塗布済み基材シートの中間層上に、乾燥膜厚が3.0μmとなるように塗布し、20〜40℃の風で乾燥した。
【0194】
次いで、下記オーバーコート塗布液を、ワイヤーバー方式で、乾燥時固形分として1.5g/mとなる塗布量で塗布及び乾燥(110℃、30秒)させて熱転写受像シートを作製した。
【0195】
(オーバーコート塗布液)
疎水性樹脂1 7.0質量部
可塑剤:TOP 1.5質量部
MS−1(前出) 7.0質量部
メチルスチリル変成シリコーンオイル(信越化学(株)製 KF410) 0.6質量部
メチルエチルケトン 40.0質量部
トルエン 40.0質量部
酢酸ブチル 10.0質量部
【0196】
【化7】

【0197】
《画像形成》
40℃80%RHの環境条件において、図4に記載の様に、抵抗体形状がスクエア(主走査方向長80μm×副走査方向長120μm)、300dpi(dpiとは、2.54cm当りのドット数を表す)ラインヘッドのサーマルヘッドを搭載した熱転写記録装置に、上記作製した熱転写受像シートの受容層部と実施例1で作製した熱転写インクシート1のインク層とを重ね合わせてセットし、サーマルヘッドとプラテンロールで圧接しながら、0〜260μJ/dotの印加エネルギー範囲で順次増加させ、ニュートラル(イエロー、マゼンタ、シアンの3色重ね)のステップパターン画像を、1ライン当たりの送り長さが85μm、印画速度(送り速度)1.0msec./lineの条件として、インク層の背面側から加熱して、熱転写受像シートの受容層上に各色素及び保護層を転写させて、画像を形成し、印画物を作成し、実施例1に記載の方法と同様にして各評価を行った結果、いずれも特性も評価ランクは5であった。
【0198】
また、ミクロトームにより断面を露出させた後、走査型電子顕微鏡を用いて30万倍の倍率で観察したところ、表面から深さ0.5μmの領域を構成する色素受容層におけるF1/B1が、F2/B2よりも小さくなっており、更にF2/B2を求めた結果、2.94であった。
【符号の説明】
【0199】
A 凝集した二次無機微粒子
B 疎水性樹脂
C 細孔
1、25 熱転写受像シート
2 基材シート
3 中間層
4 色素受容層
11 熱転写インクシート
12、12’ 支持体
13Y、13M、13C インク層
14 転写性保護層
15 バック層(耐熱滑性層)
21 熱転写インクシートの供給ロール
22 使用された熱転写インクシートを巻き取る巻取ロール
23 サーマルヘッド
24 プラテンローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シート上に、熱拡散性色素の受容が可能な色素受容層を有する熱転写受像シートにおいて、該色素受容層が少なくとも無機微粒子(F)と疎水性樹脂(B)を含有し、該色素受容層の表面領域における無機微粒子/疎水性樹脂比率(F1/B1)が、内部領域における無機微粒子/疎水性樹脂比率(F2/B2)よりも低く、かつ、内部領域の無機微粒子/疎水性樹脂比率(F2/B2)が0.5〜10であることを特徴とする熱転写受像シート。
【請求項2】
前記色素受容層が、前記無機微粒子と前記疎水性樹脂との質量比の異なる複数の塗布液を、前記F/Bの大きな塗布液から順に前記基材シート上に塗布して形成されることを特徴とする請求項1記載の熱転写受像シート。
【請求項3】
前記色素受容層が、基材シート上にあらかじめ無機微粒子を含有し、空隙構造を有する層を形成した後、該空隙構造を有する層上に、疎水性樹脂を含有する塗布液をオーバーコートすることで形成されることを特徴とする請求項1記載の熱転写受像シート。
【請求項4】
前記色素受容層が、可塑剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
【請求項5】
前記可塑剤が、有機ホスフィン化合物、リン酸エステル化合物、フタル酸エステル化合物、脂肪族二塩基酸エステル化合物及びトリメリット酸エステル化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項4記載の熱転写受像シート。
【請求項6】
前記無機微粒子が、シリカ粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
【請求項7】
前記無機微粒子の表面が、疎水化処理されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。
【請求項8】
前記色素受容層が、金属イオン供給化合物を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱転写受像シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−234271(P2009−234271A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164714(P2009−164714)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【分割の表示】特願2004−297266(P2004−297266)の分割
【原出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】