説明

熱電併給システム、熱電併給制御装置、熱電併給制御方法、及びプログラム

【課題】 分散型電源システムにおいて、熱電併給システムの発電出力が抑制される場合であっても、なるべく排熱発生量が不足しないように熱電併給システムを制御する。
【解決手段】 太陽光発電システム101と燃料電池システム102を備えるダブル発電システムにおいて、制御部121は、通信装置105を介して取得した天気予報情報に基づいて、燃料電池装置122の発電出力の抑制が発生するか否かを予測する。そして、発電出力の抑制が発生すると予測したとき、燃料電池装置122の起動時刻を早める制御を行うことで、貯湯槽124の排熱発生量の不足を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電することで熱を発生する熱電併給システム(コージェネレーションシステム)、熱電併給制御装置、熱電併給制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムや燃料電池システム等の分散型電源の普及により、これらの分散型電源が需要家の建物等に併設されるケースが増加している。需要家の建物の具体例としては、住宅、オフィスビル、工場等が挙げられる。太陽光発電システム及び燃料電池システムの設置密度が高い地域では、太陽光発電システムによる余剰電力販売量の増大、燃料電池システムでの発電による受電電力量の低減等の影響により、配電系統の受電点における電圧が高めに推移することが想定される。
【0003】
また、電気事業法では、住宅等の低圧(600V以下)系統に連系される電圧を一定範囲(100V系:101±6V、200V系:202±20V)に収めることが定められている。そこで、受電点における電圧が一定範囲の上限値を超えるおそれがある場合は、分散型電源の発電出力(有効電力)の抑制、無効電力による電圧調整と出力抑制の組み合わせ等により、一定範囲内に収める制御が組み込まれる。
【0004】
太陽光発電システムの導入進展により受電点の電圧が上昇し、発電出力が抑制される問題に対しては、無効電力による電圧調整の有効性が報告されている(例えば、非特許文献1を参照)。出力抑制の場合、例えば、太陽光発電システムが連系されている地点の電圧が上限値を超えると、インバータ制御により発電出力係数を減少させて発電出力を抑制し、上限値を下回ると、発電出力係数を増加させて発電出力を回復させる制御が行われる。
【0005】
一方、無効電力による電圧調整と出力抑制の組み合わせの場合、例えば、インバータの出力電圧が上限値を超えると、まず、運転力率を減少させて無効電力を発生させる。そして、運転力率が「電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン」(経済産業省)に定める制限値に達しても受電点の電圧が上限値を超えたままであれば、次に、運転力率一定のまま発電出力係数を減少させて発電出力を抑制する制御が行われる。また、出力電圧が上限値を下回ると、まず、発電出力係数を増加させて発電出力を回復させ、次に、運転力率を増加させて無効電力を減少させる制御が行われる。
【0006】
さらに、複数の分散型電源の導入時における出力抑制の影響も検討されている(例えば、非特許文献2を参照)。非特許文献2には、太陽光発電システム及び燃料電池システムにおいて、無効電力による電圧調整と出力抑制の組み合わせを用いた制御方法が記載されており、出力抑制量及び無効電力発生量の計算方法が開示されている。
【0007】
一方、従来の燃料電池システムでは、1日の中で起動と停止を行う、いわゆるDaily Start and Stop(DSS)運転が行われている。その理由は、省エネルギー性や経済性の観点から、風呂の需要を中心とした給湯需要に合わせて燃料電池システムの運転パターンを決定することが最も効果的であるためである。例えば、特許文献1では、DSS運転を最適に行うための制御ロジックが提案されている。
【0008】
特許文献2は、気象予測情報を取得して貯湯式給湯装置を動作させることで、商用の深夜電力の利用を削減し、太陽光発電システムの電力を利用する方法について開示している。特許文献3は、さらに残湯量と昼間使う湯量とを気象予測情報に追加して、貯湯式給湯
装置を動作させる方法について開示している。特許文献4は、日射量を利用して太陽光発電システムの発電量を推定する方法について開示している。
【0009】
非特許文献3は、事例ベース推論により、住宅における過去の需要データを基に給湯・電力需要を予測して、燃料電池システムのDSS運転を最適制御する方法について開示している。この方法では、過去の一定期間で現在と同じ曜日かつ同じ時間帯の需要データ及び気温データの中から現在のデータに最も近いデータを有する日時を選び、その日時から24時間先までの需要データを予測需要データとして用いている。そして、予測された給湯・電力需要に対して、24時間先までの1次エネルギー消費量をできるだけ小さくするような起動時刻・停止時刻の組み合わせが、翌日の運転計画として決定される。
【0010】
非特許文献4は、太陽光発電システムの発電量を予測するために、天気予報と天気変化パターンを基に日射予測を行う方法について開示している。この方法では、気象庁が発表する3時間毎の天気予報を用いて、天気の種類(晴、曇、雨等)別に分類された過去の日射強度データから、予想される天気に対応する1時間平均全天日射強度の推定値が求められる。そして、前後の時間帯の天気予報を参照して推定値を補正することで、目的の予測日射強度が求められる。
【0011】
非特許文献5は、放射状配電系統を対象に電圧・潮流分布を簡易的に計算する方法について開示している。この方法では、配電変電所寄りの上流側母線の電圧と下流側母線の潮流と2つの母線間の線路インピーダンスとから、下流側母線の電圧が求められる。この計算を上流から下流へ順次適用していくことで、配電系統における全母線の電圧が計算できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−32245号公報
【特許文献2】特開2008−2702号公報
【特許文献3】特開2008−2703号公報
【特許文献4】特開2010−193594号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】松田 勝弘 他,「太陽光発電集中連系時における各需要家発電電力量の減少ばらつきの分析とその対策に関する一考察」,電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌),2006年,Vol.126,No.10,pp.1003−1012
【非特許文献2】辻田 伸介 他,「分散型電源の大量導入が発電出力に与える影響と電圧調整制御による効果」,電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌),2010年,Vol.130,No.2,pp.216−225
【非特許文献3】井関孝弥,「家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの最適運転制御」,オペレーションズ・リサーチ,2009年,Vol.54,No.6,pp.325−328
【非特許文献4】嶋田 尊衛 他,「天気予報と天気変化パターンを用いた日射予測」,電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌),2007年,Vol.127,No.11,pp.1219−1225
【非特許文献5】小柳 薫 他,「放射状配電系統を対象とした電圧・潮流分布の簡略シミュレーション手法」,電気学会電力技術・電力系統技術合同研究会,2005年,PE−05−99,PSE−05−106,pp.55−60(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述した従来の燃料電池システムの制御ロジックには、次のような問題がある。
従来の燃料電池システムの最適運転では太陽光発電システムの導入が想定されておらず、燃料電池システムに出力抑制が生じる場合の対策も考慮されていない。従って、特許文献1のような最適制御ロジックを適用すると、燃料電池システムの出力抑制により排熱発生量が減少し、給湯需要に対する燃料電池装置からの供給割合が減少してしまう。この排熱発生量の不足を補うために、1次エネルギーを消費するバックアップ熱源器(給湯器)の利用時間が多くなり、省エネルギー性や環境性が損なわれるおそれがある。
【0015】
本発明の課題は、燃料電池システムのような熱電併給システムを含む分散型電源システムにおいて、熱電併給システムの発電出力が抑制される場合であっても、なるべく排熱発生量が不足しないように熱電併給システムを制御することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の熱電併給システムは、発電手段、抑制手段、及び制御手段を備える。発電手段は、発電することで熱を発生し、抑制手段は、発電手段の発電出力を抑制する。制御手段は、抑制手段による発電出力の抑制が発生するか否かを予測し、抑制が発生すると予測したとき、発電手段の起動時刻を早める制御を行う。
【0017】
抑制が発生すると予測したときに発電手段の起動時刻を早めることで、発電手段が1日に発生する熱量を増加させることができる。
本発明の熱電併給制御装置は、予測手段及び制御手段を備える。予測手段は、発電することで熱を発生する熱電併給システムの発電出力の抑制が発生するか否かを予測する。制御手段は、発電出力の抑制が発生すると予測したとき、熱電併給システムの起動時刻を早める制御を行う。
【0018】
抑制が発生すると予測したときに熱電併給システムの起動時刻を早めることで、熱電併給システムが1日に発生する熱量を増加させることができる。
本発明の別の熱電併給制御装置は、予測手段、制御手段、及び送信手段を備える。予測手段は、発電することで熱を発生する複数の熱電併給システムのそれぞれにおいて発電出力の抑制が発生するか否かを予測する。制御手段は、1つの熱電併給システムにおいて発電出力の抑制が発生すると予測したとき、その熱電併給システムの起動時刻を早める制御を行い、送信手段は、起動時刻の情報をその熱電併給システムに送信する。
【0019】
抑制が発生すると予測したときに熱電併給システムの起動時刻を早めることで、熱電併給システムが1日に発生する熱量を増加させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、受電点の電圧上昇により熱電併給システムの発電出力が抑制される場合であっても、排熱発生量の不足を低減することができる。したがって、バックアップ熱源器の利用時間が短縮され、1次エネルギーの消費量が削減されるため、省エネルギー性及び環境性の向上に寄与する。これにより、太陽光発電システム等と燃料電池システム等の分散型電源を組み合わせたダブル発電システムの導入拡大が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ダブル発電システムの構成図である。
【図2】第1の分散型電源システムの構成図である。
【図3】発電パターンテーブルを示す図である。
【図4】第1の起動時刻調整処理のフローチャートである。
【図5】第2の分散型電源システムの構成図である。
【図6】第2の起動時刻調整処理のフローチャートである。
【図7】第3の分散型電源システムの構成図である。
【図8】理想的な発電パターンを示す図である。
【図9】電圧変動を示す図である。
【図10】太陽光発電システムの発電パターンを示す図である。
【図11】第1の燃料電池システムの発電パターンを示す図である。
【図12】第1の熱供給パターンを示す図である。
【図13】第2の燃料電池システムの発電パターンを示す図である。
【図14】第2の熱供給パターンを示す図である。
【図15】熱供給量を示す図である。
【図16】1次エネルギー使用量を示す図である。
【図17】第1の出力抑制テーブルを示す図である。
【図18】第2の出力抑制テーブルを示す図である。
【図19】第3の起動時刻調整処理のフローチャートである。
【図20】第3の出力抑制テーブルを示す図である。
【図21】第4の起動時刻調整処理のフローチャートである。
【図22】情報処理装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。
図1は、実施形態のダブル発電システムの構成例を示している。図1のダブル発電システムは、太陽光発電システム101、燃料電池システム102、分電盤103、給湯口104、及び通信装置105を備え、需要家の建物等に設置される。
【0023】
太陽光発電システム101は、太陽電池アレイ111及びインバータ112を含む。太陽電池アレイ111は、太陽光エネルギーを直流電力に変換(太陽光発電)し、インバータ112は、その直流電力を交流電力に変換して分電盤103に出力する。
【0024】
燃料電池システム102は、制御部121、燃料電池装置122、バックアップ給湯器123、貯湯槽124、排熱回収ライン125、及び給湯配管126を含む。制御部121は、記憶装置131を含み、燃料電池装置122は、インバータ132及び発電セル133を含む。発電セル133は、都市ガス、プロパンガス、灯油等を燃料として発電して直流電力を出力し、インバータ132は、その直流電力を交流電力に変換して分電盤103に出力する。
【0025】
分電盤103に出力された電力は、建物の電力需要を満たすために電力負荷に供給され、余剰分の電力は電力供給事業者に販売される。
貯湯槽124には水が貯えられており、燃料電池装置122の発電セル133による発電と同時に発生する排熱は、排熱回収ライン125を通じて貯湯槽124の水により回収される。したがって、発電セル133の排熱発生量に応じて貯湯槽124の水温が上昇し、お湯が貯えられる。
【0026】
例えば、住宅に設置されたダブル発電システムの場合、風呂の湯張り、シャワー、洗面、炊事等で給湯需要が発生すると、貯湯槽124に貯えられたお湯が給湯配管126を通じて給湯口104に供給される。そして、給湯口104において、使用者が所望する温度に調整されて供給される。
【0027】
このとき、貯湯槽124で不足する水は、上水から補給される。また、排熱発生量の不足等により貯湯槽124の蓄熱量が不足する場合は、バックアップ給湯器123を稼動させて、貯湯槽124にお湯が供給される。バックアップ給湯器123の運転には、都市ガ
ス等の1次エネルギーが使用されるため、省エネルギー性及び環境性の観点からは、バックアップ給湯器123の運転時間をできるだけ短縮することが望ましい。
【0028】
制御部121は、信号線141を通じて貯湯槽124の貯湯量等の情報を取得することで、給湯需要を計測し、信号線143を通じて分電盤103から使用電力の情報を取得することで、電力需要を計測する。また、信号線142を通じて燃料電池システム102の稼動実績(発電出力等)の情報を取得するとともに、発電の開始・終了を燃料電池システム102に指示する。
【0029】
通信装置105は、有線又は無線の通信ネットワークに接続することで気象情報を取得し、信号線144を通じて制御部121に出力する。例えば、通信装置105がインターネットモデムの場合、制御部121は、インターネットを介して外部のサーバから気象情報を収集することができる。制御部121は、不図示の気温計から気温情報を取得することもできる。計測された給湯需要及び電力需要、気象情報、気温情報等は記憶装置131に格納され、燃料電池システム102の運転制御に用いられる。
【0030】
図2は、図1のダブル発電システムを備える複数の需要家を含む分散型電源システムの構成例を示している。図2の分散型電源システムは、高圧配電線201、柱上変圧器202、低圧配電線203、n個の需要家のダブル発電システム204−1〜204−nを備える。k番目(k=1,2,...,n)のダブル発電システム204−kには、k番目の需要家が使用する電力負荷も含まれる。
【0031】
高圧配電線201は電力供給事業者の配電用変電所等からの高圧の電力を柱上変圧器202に供給し、柱上変圧器202は、電圧変換を行って低圧の電力を負荷に供給する。低圧配電線203は、低圧の電力をダブル発電システム204−1〜204−nの分電盤103を通じて負荷に供給、もしくは電力供給事業者に売電する。
【0032】
なお、経済産業省で定める電気設備基準では、交流の低圧、高圧を以下と定めている。
高圧:600V以上7000V以下
低圧:600V以下
このとき、太陽光発電システム101による余剰電力販売量の増大、燃料電池システム102での発電による受電電力量の低減等の影響により、それぞれの需要家の受電点205−1〜205−nにおける電圧が高めに推移することが想定される。そこで、各ダブル発電システム204−kの制御部121は、太陽光発電システム101及び燃料電池システム102の発電出力の抑制、又は無効電力による電圧調整と出力抑制の組み合わせ等により、受電点205−kの電圧を一定範囲内に収める制御を行う。
【0033】
ただし、燃料電池システム102の出力抑制が発生すると、排熱発生量が不足してバックアップ給湯器123の運転時間が長くなる可能性がある。そこで、制御部121は、燃料電池システム102の出力抑制が発生するか否かを予測し、抑制が発生すると予測したとき、燃料電池システム102の運転開始時刻を通常より早い時刻に設定する。これにより、燃料電池システム102の運転時間が通常より長くなるため、排熱発生量を増加させることができる。
【0034】
例えば、インターネットを介して外部のサーバ等から天気予報情報を取得することで、太陽光発電システム101による発電量の増大に伴う燃料電池システム102の出力抑制が発生するか否かを予測することができる。
【0035】
現在、気象情報の提供サービスを行う事業者が複数存在する。これらの事業者は、ユーザに合わせた詳細な気象情報や災害情報をウェブサイトや電子メールを介して配信するサ
ービスを提供している。また、一部のポータルサイトでは、3時間毎の天気予報が掲載されており、このようなポータルサイトから天気予報情報を定期的に取得することもできる。
【0036】
図3は、出力抑制の予測に用いる発電パターンテーブルの例を示している。図3の発電パターンテーブルは、図1の制御部121の記憶装置131に格納される。図3の発電パターンテーブルは行列形式になっており、各行は、過去に取得された1日における所定時間毎の天気予報の組み合わせを表し、各列は、過去に取得された日負荷電力量(kWh)を表す。この日負荷電力量は、需要家の建物における1日の電力需要に対応する。
【0037】
図3には、3時間毎の天気予報の組み合わせとして、9時、12時、15時、及び18時の天気予報(晴、曇、雨)が示されているが、他の時間間隔の天気予報を用いてもよく、1日の天気予報を1種類の天気で表してもよい。
【0038】
各行列要素には、その行の天気予報とその列の日負荷電力量に対応する、燃料電池システム102の過去の1日の発電パターンのデータが記録されている。発電パターンは、1日の各時刻における発電出力の実績値を表し、過去に発生した燃料電池システム102の出力抑制の影響を受けたパターンである。発電出力の実績値としては、過去に計測された発電出力の計測値を用いてもよく、同じ条件に対応する複数の計測値の平均値等、統計的に処理された値を用いてもよい。制御部121は、この発電パターンテーブルを参照して出力抑制が発生するか否かを予測する。
【0039】
燃料電池システム102を設置した当初は発電パターンテーブルにデータが記録されておらず、燃料電池システム102の運用に伴って発電パターンの実績データが記録される。そして、一定量の実績データが蓄積されると、発電パターンテーブルが出力抑制の予測のために使用される。春、夏、秋、及び冬の季節毎に給湯需要パターンが変化し、それに伴って燃料電池システム102の発電量も変化するため、季節毎に発電パターンテーブルを更新してもよい。また、この発電パターンテーブルは月毎や曜日毎に更新してもよい。
【0040】
図4は、各需要家のダブル発電システムにおいて、天気予報情報を用いて燃料電池システム102の起動時刻を調整する処理の例を示すフローチャートである。気象庁からは、例えば現在では毎日午後5時にその日の最後の天気予報が発表されるため、午後5時以降の天気予報情報を利用して起動時刻を調整するのが望ましい。さらに、燃料電池システム102の発電計画を立てるためには、夕方から夜間にかけて訪れる給湯需要のピーク時刻を過ぎた時点で、起動時刻調整処理を開始するのが望ましい。
【0041】
制御部121は、まず、計測された過去の需要データを基に翌日の電力・給湯需要を予測して、翌日の電力需要パターン及び給湯需要パターンを記憶装置131に格納する(ステップ401)。電力需要パターンは、翌日の各時刻における電力負荷の予測値を表し、給湯需要パターンは、翌日の各時刻における熱負荷の予測値を表す。
【0042】
次に、翌日の電力需要パターン及び給湯需要パターンに合わせて、翌日の燃料電池システム102の起動時刻ST0及び停止時刻を決定することで、DSS運転の運転計画を決定する(ステップ402)。決定された起動時刻ST0は、起動時刻STの初期値として記憶装置131に格納される。
【0043】
この運転計画には、燃料電池システム102の1日の発電パターンのデータが含まれる。ただし、太陽光発電システム101による発電出力は考慮されておらず、燃料電池システム102による発電出力と電力供給事業者から供給される電力で電力需要を満たすことを前提としている。したがって、運転計画は、燃料電池システム102の出力抑制が発生
しない場合の発電パターンを表している。
【0044】
次に、通信装置105を介して外部のサーバ等から翌日の天気予報情報を取得する(ステップ403)。ここでは、例えば、翌日の3時間毎の天気予報が取得される。
次に、翌日の電力需要パターンに含まれる各時刻における電力負荷の予測値の総和を求めることで、日負荷電力量の予測値を求める(ステップ404)。そして、得られた日負荷電力量の予測値と翌日の天気予報情報とに基づいて、発電パターンテーブルを検索し、対応する発電パターンを取得する。
【0045】
次に、ステップS402で決定された燃料電池システム102の運転計画と、ステップ404で発電パターンテーブルから取得した発電パターンとに基づいて、燃料電池システム102の出力抑制が発生するか否かを判定する(ステップ405)。
【0046】
出力抑制が発生すると判定した場合(ステップ405,Yes)、翌日の給湯需要パターンと発電パターンテーブルから取得した発電パターンとに基づいて、翌日の所定時刻に貯湯槽124から供給される熱供給量を計算する(ステップ406)。所定時刻としては、例えば、夕方以降の給湯需要のピーク時刻が用いられる。そして、所定時刻の熱供給量が不足するか否かを判定する(ステップ407)。
【0047】
熱供給量が不足すると判定した場合(ステップ407,Yes)、現在の起動時刻STから時間刻みΔtを減算して、STをΔtだけ早める(ステップ408)。これにより、燃料電池システム102の運転がΔtだけ早く開始されるため、上記所定時刻までに貯湯槽124に蓄えられる熱量が増加する。
【0048】
次に、起動時刻調整処理を終了するか否かを判定する(ステップ409)。ここでは、例えば、ステップ408における起動時刻STの変更を所定回数行った場合や、変更後の起動時刻STが1日のうちの特定の時刻以前になった場合等に、起動時刻調整処理を終了すると判定される。
【0049】
起動時刻調整処理を終了しないと判定した場合(ステップ409,No)、ステップ406以降の処理を繰り返す。そして、出力抑制が発生しないと判定した場合(ステップ405,No)、熱供給量が不足しないと判定した場合(ステップ407,No)、又は起動時刻調整処理を終了すると判定した場合(ステップ409,Yes)に、処理を終了する。
【0050】
その後、制御部121は、燃料電池システム102に対して、翌日の起動時刻に燃料発電の開始を指示し、停止時刻に燃料発電の停止を指示する。
ステップ401では、例えば、非特許文献3に記載された、事例ベース推論による電力・給湯需要の予測方法を用いることができる。この場合、制御部121は、不図示の気温計から取得した気温データを基に、現在と同じ曜日かつ同じ時間帯の需要データ及び気温データの中から現在の気温データに最も近いデータを有する日時を選ぶ。そして、その日時の翌日の需要データを、翌日の電力需要パターン及び給湯需要パターンとして用いる。
【0051】
また、過去の需要データを日負荷電力量毎に分類し、同じ日負荷電力量に対応する複数の需要データの平均値等、統計的に処理された値を、翌日の電力需要パターン及び給湯需要パターンとして用いてもよい。
【0052】
ステップ402では、例えば、非特許文献3に記載された燃料電池システムの運転計画決定方法を用いることができる。この場合、制御部121は、予測された翌日の電力需要パターン及び給湯需要パターンに対して、1次エネルギー消費量をできるだけ小さくする
ような起動時刻及び停止時刻の組み合わせを、翌日の運転計画として決定する。
【0053】
ステップ405では、制御部121は、例えば、燃料電池システム102の運転計画に基づいて翌日の起動時刻ST0から停止時刻までの各時刻の発電出力の総和を求めることで、期待される1日の計画発電量WA(kWh)を求める。この計画発電量WAは、翌日の電力需要パターン及び給湯需要パターンを満たす上で理想的な発電量であり、燃料電池システム102の出力抑制の影響を含まない発電量に対応する。
【0054】
次に、発電パターンテーブルから取得した発電パターンに基づいて同じ起動時刻ST0から同じ停止時刻までの各時刻の発電出力の総和を求めることで、過去の実績を表す発電量WB(kWh)を求める。この発電量WBは、過去に発生した燃料電池システム102の出力抑制の影響を受けた発電量に対応する。
【0055】
そして、WAに対するWBの比率WB/WAを閾値T1と比較し、WB/WAがT1以下であれば出力抑制が発生すると判定し、WB/WAがT1より大きければ出力抑制が発生しないと判定する。T1としては、例えば、0.5以上1.0未満の値が用いられる。また、発電量WBをWA・T1と比較して、出力抑制が発生するか否かを判定してもよい。
【0056】
図3の発電パターンテーブルの各行列要素には、電力需要パターン及び給湯需要パターンの組み合わせのそれぞれに対応させて、複数の発電パターンのデータを記録しておくことも可能である。この場合、ステップ404において、制御部121は、日負荷電力量の予測値と翌日の天気予報情報に対応する行列要素から、翌日の電力需要パターン及び給湯需要パターンの組み合わせに対応する発電パターンを取得する。
【0057】
ステップ406及び407では、例えば、以下の方法により、翌日の起動時刻STから所定時刻までに貯湯槽124から供給される熱供給量を計算して、所定時刻における熱供給量が不足するか否かを判定することができる。
【0058】
燃料電池システム102の貯湯槽124から供給可能な熱量(蓄熱量)Qg(kWh)は、次式により表される。
【0059】
【数1】

ここで、P(t)は、時刻tにおける発電出力(kW)を表し、発電パターンテーブルから取得した発電パターンに含まれている。ηP 及びηH は、それぞれ発電効率及び排熱回収効率を表す。また、積分記号は燃料電池システム102の起動時刻STから所定時刻までの時間積分を表す。
【0060】
貯湯槽124の熱損失量QLは、損失係数(放熱係数)aを用いて、次式により近似的に表される。

QL=a・Qg (2)

したがって、熱損失量QLを考慮すると、貯湯槽124から実際に供給される熱供給量Qg1は、次式により表される。
【0061】

Qg1=Qg−QL=(1−a)Qg (3)

起動時刻STから所定時刻までの熱需要Q(kWh)は、翌日の給湯需要パターンから計算することができる。この熱需要Qは、(3)式の熱供給量Qg1とバックアップ給湯器123から供給される熱供給量により満たされ、次式により表される。
【0062】
【数2】

ここで、QTS(t)及びQG (t)は、時刻tにおいて貯湯槽124及びバックアップ給湯器123からそれぞれ出力される熱出力(kW)を表し、ηB は、バックアップ給湯器123の効率を表す。
【0063】
そこで、制御部121は、発電パターンテーブルから取得した発電パターンに基づいて、(1)及び(3)式により熱供給量Qg1を計算する。また、翌日の給湯需要パターンに基づいて起動時刻STから所定時刻までの各時刻の熱負荷の総和を求めることで、熱需要Qを計算する。
【0064】
そして、Qに対するQg1の比率Qg1/Qを閾値T2と比較し、Qg1/QがT2以下であれば熱供給量が不足すると判定し、Qg1/QがT2より大きければ熱供給量が不足しないと判定する。T2としては、例えば、0.5以上1.0未満の値が用いられる。また、熱供給量Qg1をQ・T2と比較して、熱供給量が不足するか否かを判定してもよい。
【0065】
発電パターン及び給湯需要パターンのデータの計測間隔をm秒とすると、(1)式は、1日のうちのi番目の計測時刻における熱供給量Qg(i)(kWh)を用いて、次式のように書き換えることも可能である。
【0066】

Qg(i)=(m/3600)(P(i)/ηP )ηH (5)

ここで、P(i)は、i番目の計測時刻における発電出力(kW)を表し、発電パターンテーブルから取得した発電パターンに含まれている。このとき、i番目の計測時刻における貯湯槽124の蓄熱量TS(i)は、次式により表される。
【0067】
【数3】

また、i番目の計測時刻における貯湯槽124の熱損失量QL(i)は、損失係数aを用いて、次式により表される。
【0068】

QL(i)=(m/3600)a・TS(i−1) (7)

ここで、i番目の計測時刻における熱需要Q(i)を用いて、i番目の計測時刻における貯湯槽124の熱収支HB(i)は、次式により表される。
【0069】

HB(i)=Qg(i)−QL(i−1)−Q(i) (i≧2) (8)

熱収支HB(i)を考慮すると、i番目の計測時刻において貯湯槽124から実際に供給される熱供給量TS1(i)は、次式により表される。
【0070】
【数4】

この場合、制御部121は、翌日の給湯需要パターンに基づいて起動時刻STからi番目の計測時刻(所定時刻)までの各時刻の熱負荷の総和を求めることで、熱需要Q(i)を計算する。次に、発電パターンテーブルから取得した発電パターンに基づいて、(5)〜(7)式によりQg(i)及びQL(i−1)を計算し、(8)式によりHB(i)を計算し、(9)式によりTS1(i)を計算する。
【0071】
そして、Q(i)に対するTS1(i)の比率TS1(i)/Q(i)を閾値T2と比較し、TS1(i)/Q(i)がT2以下であれば熱供給量が不足すると判定し、TS1(i)/Q(i)がT2より大きければ熱供給量が不足しないと判定する。また、TS1(i)をQ(i)・T2と比較して、熱供給量が不足するか否かを判定してもよい。
【0072】
ここで、ηP 及びηH が発電出力にかかわらず一定とし、QL(i)が蓄熱量にかかわらず一定とし、m=600(秒)として、16時20分の時点の蓄熱量TS1(i)を試算してみる。この場合、1日のうちに144回の計測が行われ、16時20分はi=98の時刻に相当する。
【0073】
例えば、ηP =0.34、ηH =0.45、a=0.01、P(98)=0.76(kW)、Q(98)=0.08(kWh)、TS(97)=2.53(kWh)とすると、(5)式より、Qg(98)は次のように計算される。
【0074】

Qg(98)=(600/3600)×(0.76/0.34)×0.45
=0.17 (10)

次に、(7)式より、QL(97)は次のように計算される。
【0075】

QL(97)=(600/3600)×0.01×2.53
=0.0042 (11)

そして、(8)及び(9)式より、TS1(98)は次のように計算される。
【0076】

TS1(98)=TS(97)+Qg(98)−QL(97)−Q(98)
=2.53+0.17−0.0042−0.08
=2.62 (12)

なお、ステップ408のΔtを大きくすれば起動時刻STの精度は低下するが、計算量が少なくなるため、起動時刻調整処理の処理時間が短縮される。一方、Δtを小さくすれば起動時刻STの精度は向上するが、計算量が多くなるため、起動時刻調整処理の処理時間が増加する。したがって、精度と処理時間のトレードオフにより、適切なΔtを決定す
ることができる。
【0077】
図2に示した分散型電源システムでは、各需要家のダブル発電システム204−kが自律的に燃料電池システム102の起動時刻調整を行っているが、複数の需要家の燃料電池システム102の起動時刻調整を集中的に行うことも可能である。図5は、このような集中制御を行う分散型電源システムの構成例を示している。
【0078】
図5の分散型電源システムは、図2の分散型電源システムにサーバ501を追加した構成を有する。サーバ501と各ダブル発電システム204−kの通信装置105は、有線又は無線の通信ネットワーク502により接続されている。
【0079】
サーバ501は、天気予報情報を基に各ダブル発電システム204−kの太陽光発電システム101の発電パターンを予測し、潮流計算により各受電点205−kの電圧を求めて燃料電池システム102の出力抑制が発生するか否かを予測する。そして、出力抑制が発生すると予測した場合に、燃料電池システム102の起動時刻を変更し、起動時刻及び停止時刻を各ダブル発電システム204−kに送信する。
【0080】
サーバ501は、各需要家の住所等の位置情報を基に、別のサーバから天気予報情報を一括して取得してもよく、各需要家のダブル発電システム204−kが取得した天気予報情報を通信ネットワーク502を介して収集してもよい。
【0081】
また、サーバ501は、潮流計算及び出力抑制量の計算に必要となる低圧配電線203の単位長さ当たりのインピーダンス、各需要家の位置情報、各需要家の太陽光発電システム101及び燃料電池システム102の定格出力、インバータ112及び132の定格出力等の情報を保持している。
【0082】
さらに、サーバ501は、各ダブル発電システム204−kの電力・給湯需要のデータと、太陽光発電システム101及び燃料電池システム102の稼動実績(発電出力等)のデータを、通信ネットワーク502を介して収集する。そして、図3に示したような発電パターンテーブルを、ダブル発電システム204−k毎に生成する。
【0083】
図6は、サーバ501が天気予報情報を用いて各需要家の燃料電池システム102の起動時刻を調整する処理の例を示すフローチャートである。サーバ501は、まず、各ダブル発電システム204−kから収集された過去の需要データを基に翌日の電力・給湯需要を予測して、翌日の電力需要パターン及び給湯需要パターンを、サーバ501内の記憶装置に格納する(ステップ601)。
【0084】
次に、ダブル発電システム204−kの翌日の電力需要パターン及び給湯需要パターンに合わせて、翌日の燃料電池システム102の起動時刻ST0(k)及び停止時刻を決定することで、DSS運転の運転計画を決定する(ステップ602)。ただし、この運転計画では、太陽光発電システム101による発電出力は考慮されておらず、燃料電池システム102による発電出力と電力供給事業者から供給される電力で電力需要を賄うことを前提としている。決定された起動時刻ST0(k)は、起動時刻ST(k)の初期値として記憶装置に格納される。
【0085】
次に、通信ネットワーク502を介して別のサーバ又は各ダブル発電システム204−kから翌日の天気予報情報を取得する(ステップ603)。
次に、気温情報又は天気予報情報に基づいて、各ダブル発電システム204−kの太陽光発電システム101の発電パターンを予測し(ステップ604)、潮流計算により各受電点205−kの電圧を求める(ステップ605)。そして、燃料電池システム102の
出力抑制量を計算し(ステップ606)、出力抑制が発生するか否かを判定する(ステップ607)。
【0086】
ダブル発電システム204−kにおいて出力抑制が発生すると判定した場合(ステップ607,Yes)、翌日の所定時刻に貯湯槽124から供給される熱供給量を計算する(ステップ608)。そして、ダブル発電システム204−kにおいて所定時刻の熱供給量が不足するか否かを判定する(ステップ609)。
【0087】
熱供給量が不足すると判定した場合(ステップ609,Yes)、現在の起動時刻ST(k)から時間刻みΔtを減算して、ST(k)をΔtだけ早める(ステップ610)。
次に、起動時刻調整処理を終了するか否かを判定する(ステップ611)。起動時刻調整処理を終了しないと判定した場合(ステップ611,No)、ステップ608以降の処理を繰り返す。そして、出力抑制が発生しないと判定した場合(ステップ607,No)、熱供給量が不足しないと判定した場合(ステップ609,No)、又は起動時刻調整処理を終了すると判定した場合(ステップ611,Yes)に、処理を終了する。
【0088】
その後、サーバ501は、起動時刻及び停止時刻を各ダブル発電システム204−kに送信する。そして、各ダブル発電システム204−kの制御部121は、燃料電池システム102に対して、翌日の起動時刻に燃料発電の開始を指示し、停止時刻に燃料発電の停止を指示する。
【0089】
ステップ604では、例えば、ステップ601の需要予測と同様の事例ベース推論による予測方法を用いることができる。この場合、サーバ501は、太陽光発電システム101の過去の発電出力データを気温データ及び天気予報データとともに記憶装置に保存しておく。そして、現在と同じ曜日かつ同じ時間帯の発電出力データ及び気温データの中から現在の気温データに最も近いデータを有する日時を選ぶ。次に、その日時の翌日の発電出力データのうち、翌日の天気予報情報に最も近い天気予報データに対応する発電出力データを、翌日の太陽光発電システム101の発電パターンとして用いる。
【0090】
また、同じ天気予報データに対応する複数の発電出力データの平均値等、統計的に処理された値を、翌日の発電パターンとして用いてもよい。さらに、統計的予測方法の1つとして、例えば、非特許文献4に記載された日射予測に基づく発電出力予測方法を用いることもできる。
【0091】
ステップ605では、例えば、非特許文献5に記載された電圧・潮流分布の計算方法を用いることができる。この場合、サーバ501は、各ダブル発電システム204−kの翌日の電力需要パターンと、太陽光発電システム101及び燃料電池システム102の翌日の発電パターンとから、受電点205−1〜205−nの電圧を計算する。燃料電池システム102の翌日の発電パターンとしては、図4のステップ404と同様の方法でダブル発電システム204−kの発電パターンテーブルから取得した発電パターンを用いることができる。
【0092】
サーバ501は、柱上変圧器202寄りの上流側受電点205−k(k=1,...,n−1)の電圧と、下流側受電点205−(k+1)の潮流と、2つの受電点間の線路インピーダンスとから、受電点205−(k+1)の電圧を計算する。この計算を受電点205−1から下流へ順次適用していくことで、受電点205−1〜205−nの電圧が計算できる。なお、2つの受電点間の線路インピーダンスは、低圧配電線203の単位長さ当たりのインピーダンスと2つの受電点間の距離から求めることができ、2つの受電点間の距離は、各需要家の位置情報から求めることができる。
【0093】
柱上変圧器202から遠くなるほど、柱上変圧器202と受電点の間の線路インピーダンスが大きくなるため、ダブル発電システム204−kの発電出力増大による電圧上昇も大きくなる。このため、柱上変圧器202から遠いダブル発電システム204−kほど、出力抑制量が増大する。
【0094】
ステップ606では、例えば、非特許文献2に記載された出力抑制量の計算方法を用いることができる。この場合、サーバ501は、ステップ605で求められた各受電点204−kの電圧が上限値を超えていれば、太陽光発電システム101及び燃料電池システム102の発電出力の抑制、又は無効電力による電圧調整と出力抑制の組み合わせの制御シミュレーションを行う。この制御シミュレーションでは、太陽光発電システム101及び燃料電池システム102の定格出力と、インバータ112及び132の定格出力とが用いられ、太陽光発電システム101及び燃料電池システム102の出力抑制量が計算される。
【0095】
ステップ607では、サーバ501は、燃料電池システム102の出力抑制量が0か否かを判定し、出力抑制量が0でなければ、出力抑制が発生すると判定する。
ステップ608〜611の処理は、図4のステップ406〜409の処理と同様である。ステップ608では、ダブル発電システム204−kの翌日の給湯需要パターンと、ダブル発電システム204−kの発電パターンテーブルから取得した発電パターンとを用いて、熱供給量が計算される。
【0096】
図6の起動時刻調整処理は、一部の需要家がダブル発電システム204−kの代わりに燃料電池システム102のみを設置している場合にも適用可能である。また、図5の分散型電源システムにおいて、図6の起動時刻調整処理の代わりに、図4と同様の起動時刻調整処理を採用することも可能である。この場合、太陽光発電パターンの予測や潮流計算は不要となり、サーバ501は、各ダブル発電システム204−kの制御部121の代わりに図4の起動時刻調整処理を行って、調整結果を各ダブル発電システム204−kに送信する。
【0097】
図4及び図6に示した起動時刻調整処理では、貯湯槽124から供給される熱供給量が不足する場合に起動時刻をΔtだけ早める処理を繰り返しているが、熱供給量を計算しなくても起動時刻を調整することが可能である。例えば、図3の発電パターンテーブルの各行列要素に、燃料電池システム102の発電パターンとともに、あらかじめ決められた適切な起動時刻を記録しておけば、直接、その起動時刻を調整結果として用いることができる。
【0098】
次に、図7から図16までを参照しながら、図6の起動時刻調整処理を用いたシミュレーション結果について説明する。
図7は、シミュレーション対象の分散型電源システムの構成図である。図7の分散型電源システムは、図5の分散型電源システムにおいて受電点の数を10個(n=10)とし、ダブル発電システム204−1〜201−10の代わりにノードN1〜N10を設けた構成を有する。各ノードNk(k=1,2,...,10)には需要家の住宅が2戸含まれており、各受電点205−kには2個のダブル発電システムが接続されている。なお、サーバ501と通信ネットワーク502は省略されている。
【0099】
シミュレーション条件は、以下の通りである。
・受電点205−kの出力電圧の許容範囲:101±6(V)
・低圧配電線203上の隣接する受電点間のインピーダンス:0.00626+j0.00736(Ω)
・受電点205−kとノードNkの間の配線のインピーダンス:0.023+j0.00
113(Ω)
・太陽光発電システム101の定格出力:3(kW)
・燃料電池システム102の定格出力:1(kW)
・インバータ112の定格出力:3(kVA)
・インバータ132の定格出力:1.2(kVA)
・起動時刻ST0(k):7時
・時間刻みΔt:1時間
・出力抑制発生判定の閾値T1:0.8
・熱供給量不足判定の閾値T2:0.75
・発電効率ηP :0.34
・排熱回収効率ηH :0.45
・損失係数a:0.01
また、翌日の天気予報は1日中“晴”であり、太陽光発電システム101は6時に発電を開始し、12時に発電出力のピークを迎え、19時に発電を停止するものとした。一方、燃料電池システム102は、起動時刻調整処理を行わない場合、7時に発電を開始し、21時に発電を停止するものとした。
【0100】
図8は、図7の分散型電源システムの各ノードNkにおける各住宅のダブル発電システムの理想的な1日の発電パターンを示している。横軸は時刻を表し、縦軸は電力負荷及び発電出力(kW又はkvar)を表す。
【0101】
曲線801は、ダブル発電システムの有効電力負荷(kW)を表し、1日の有効電力負荷の総和(日負荷電力量)は20.5kWhである。曲線802は、ダブル発電システムの無効電力負荷(kvar)を表し、力率は0.995である。曲線803は、太陽光発電システム101の発電出力(kW)を表し、1日の発電量は21.7kWhである。曲線804は、燃料電池システム102の発電出力(kW)を表し、7時から21時までの発電量は11.5kWhである。
【0102】
図9から図14までは、ノードN10における各住宅のダブル発電システムのシミュレーション結果を示している。これらのシミュレーション結果には、次の3つのケースが含まれている。
(1)ケースC1
燃料電池システム102の起動時刻ST(k)を変更せず、ST0(k)=7時に固定した。受電点205−kの電圧制御には、太陽光発電システム101及び燃料電池システム102の出力抑制を用いた。
(2)ケースC2
燃料電池システム102の起動時刻ST(k)を変更せず、ST0(k)=7時に固定した。受電点205−kの電圧制御には、太陽光発電システム101及び燃料電池システム102の無効電力による電圧調整と出力抑制の組み合わせを用いた。
(3)ケースC3
図6の起動時刻調整処理により、燃料電池システム102の起動時刻ST(k)を変更した。この結果、ノードN1〜N10の各住宅の燃料電池システム102の起動時刻ST(1)〜ST(10)は、以下の通り決定された。
【0103】
ST(1)=7時
ST(2)=6時
ST(3)=4時
ST(4)=3時
ST(5)〜ST(10)=2時
受電点205−kの電圧制御には、太陽光発電システム101及び燃料電池システム1
02の無効電力による電圧調整と出力抑制の組み合わせを用いた。
【0104】
図9は、受電点205−10の1日の電圧変動を示している。横軸は時刻を表し、縦軸は電圧(V)を表す。破線901及び902は、出力電圧の許容範囲の上限値107V及び下限値95Vをそれぞれ表し、曲線903は、受電点205−10の電圧(V)を表している。
【0105】
太陽光発電システム101が発電を開始した後、燃料電池システム102が発電を開始する7時頃に、受電点205−10の電圧が急激に上昇し、上限値107Vに到達していることが分かる。太陽光発電システム101の発電出力が小さくなる17時頃には電圧が下降を開始し、燃料電池システム102が発電を停止する21時頃には急激に下降している。
【0106】
図10は、太陽光発電システム101の1日の発電パターンを示している。横軸は時刻を表し、縦軸は発電出力及び無効電力(kW又はkvar)を表す。曲線1001は、ケースC1の太陽光発電システム101の発電出力(kW)を表す。ケースC1の1日の発電量は6.6kWhであり、図8の理想的な発電量の30%に相当する。
【0107】
曲線1002は、ケースC2の太陽光発電システム101の発電出力(kW)を表す。ケースC2の1日の発電量は21.1kWhであり、図8の理想的な発電量の97%に相当する。曲線1003は、ケースC2の太陽光発電システム101の無効電力(kvar)を表している。発電出力が大きい10時頃から15時頃まで、無効電力の発生量も大きくなることが分かる。
【0108】
図11は、燃料電池システム102の1日の発電パターンを示している。横軸は時刻を表し、縦軸は電力負荷、発電出力、及び無効電力(kW又はkvar)を表す。曲線1101は、ケースC1の燃料電池システム102の発電出力(kW)を表す。ケースC1の1日の発電量は6.2kWhであり、図8の燃料電池の1日の理想的な発電量(11.5kWh)の54%に相当する。燃料電池システム102が発電を開始する7時から、受電点205−10の電圧が下降を開始する17時頃まで、電圧上昇に伴う燃料電池システム102の出力抑制が発生することが分かる。
【0109】
曲線1102は、ケースC2の燃料電池システム102の発電出力(kW)を表す。ケースC2の1日の発電量は8.1kWhであり、図8の理想的な発電量の70%に相当する。曲線1103は、ケースC2の燃料電池システム102の無効電力(kvar)を表している。7時頃から18時頃まで無効電力の発生量が大きくなることが分かる。
【0110】
図12は、燃料電池システム102の1日の熱供給パターンを示している。横軸は時刻を表し、縦軸は熱負荷及び熱出力(kW)を表す。曲線1201は、ノードN10の各住宅の1日の熱負荷(kW)を表し、1日の熱需要は19.6kWhである。
【0111】
曲線1202及び1203は、それぞれ、ケースC2の貯湯槽124及びバックアップ給湯器123の熱出力(kW)を表す。貯湯槽124の1日の熱供給量は11.3kWhであり、1日の熱需要の58%に相当する。一方、バックアップ給湯器123の1日の熱供給量は8.23kWhであり、1日の熱需要の42%に相当する。燃料電池システム102が発電を停止する19時以降は、貯湯槽124の熱出力が低下するため、バックアップ給湯器123が使用されることが分かる。
【0112】
図13は、ケースC3における燃料電池システム102の1日の発電パターンを示している。横軸は時刻を表し、縦軸は電力負荷、発電出力、及び無効電力(kW又はkvar
)を表す。曲線1301は、燃料電池システム102の発電出力(kW)を表す。ケースC3の1日の発電量は11.2kWhである。この発電量は、図8の理想的な発電量の97%に相当し、図11のケースC2と比較して27%増加していることが分かる。
【0113】
図14は、ケースC3における燃料電池システム102の1日の熱供給パターンを示している。横軸は時刻を表し、縦軸は熱負荷及び熱出力(kW)を表す。曲線1401及び1402は、それぞれ、貯湯槽124及びバックアップ給湯器123の熱出力(kW)を表す。ケースC3の貯湯槽124の1日の熱供給量は14.2kWhである。この熱供給量は、1日の熱需要の73%に相当し、図12のケースC2と比較して15%増加していることが分かる。
【0114】
一方、バックアップ給湯器123の1日の熱供給量は5.34kWhである。この熱供給量は、1日の熱需要の27%に相当し、図12のケースC2と比較して15%減少していることが分かる。
【0115】
図15は、全ノードの貯湯槽124の1日の熱供給量を示している。横軸はケースC1、C2及びC3を表し、縦軸は熱供給量(kWh)を表す。ケースC1では、すべての貯湯槽124からの熱供給量は158kWhであるのに対して、ケースC2、ケースC3ではそれぞれ247kWh、283kWhに増加している。
【0116】
一方、図16は、全ノードの売電分を差し引いた1日の1次エネルギー使用量を示している。横軸はケースC1、C2及びC3を表し、縦軸は1次エネルギー使用量(MJ)を表す。ケースC1では、すべてのバックアップ給湯器123の1次エネルギー使用量は3133MJであるのに対して、ケースC2、ケースC3ではそれぞれ404MJ、254MJに減少している。
【0117】
このように、図6の起動時刻調整処理によれば、受電点の電圧上昇により燃料電池システム102の出力抑制が発生する場合であっても、貯湯槽124の熱供給量不足を低減して、バックアップ給湯器123の1次エネルギー使用量を削減することができる。
【0118】
ところで、図4に示した起動時刻調整処理では、図3のような発電パターンテーブルを用いて出力抑制が発生するか否かを判定しているが、その代わりに、過去の出力抑制発生の有無を示す情報を記録したテーブルを用いて判定を行うこともできる。図17は、このような出力抑制テーブルの例を示している。
【0119】
図17の出力抑制テーブルは、図3の発電パターンテーブルと同様に、図1の制御部121の記憶装置131に格納され、1日の天気予報の組み合わせと日負荷電力量の行列形式になっている。各行列要素には、その行の天気予報とその列の日負荷電力量に対応する、過去の燃料電池システム102における出力抑制発生の有無を示す情報が記録されている。この情報の初期値は“×”であり、出力抑制が発生しないことを示している。
【0120】
出力抑制テーブルの初期値の設定は、季節の最初の日に行ってもよく、毎月行ってもよく、ダブル発電システムの設置時に行ってもよい。例えば、3月〜6月を春、7月〜9月を夏、10月〜11月を秋、12月〜2月を冬とすると、季節の最初の日である3月1日、7月1日、10月1日、及び12月1日に初期値が設定される。
【0121】
出力抑制テーブルの更新処理は、1日の燃料電池システム102の運転が終了した後に行われる。例えば、午後9時に運転が終了した場合、午後9時から起動時刻調整処理を行う時刻までの間に更新処理が行われる。
【0122】
この更新処理では、例えば、図4のステップ401〜405と同様の処理を行うことで、その日に燃料電池システム102の出力抑制が発生したか否かを判定することができる。ただし、翌日の電力需要パターン及び給湯需要パターンの代わりに、その日の電力需要パターン及び給湯需要パターンが用いられ、翌日の燃料電池システム102の運転計画の代わりに、その日の運転計画が用いられる。また、発電パターンテーブルから取得した発電パターンの代わりに、その日の発電パターンの実績データが用いられる。
【0123】
この場合、制御部121は、その日の燃料電池システム102の運転計画に基づいて起動時刻ST0から停止時刻までの各時刻の発電出力の総和を求めることで、期待される1日の計画発電量WC(kWh)を求める。次に、その日の発電パターンに基づいて同じ起動時刻ST0から同じ停止時刻までの各時刻の発電出力の総和を求めることで、その日の実績を表す発電量WD(kWh)を求める。
【0124】
そして、WCに対するWDの比率WD/WCを閾値T1と比較し、WD/WCがT1以下であれば出力抑制が発生したと判定し、WD/WCがT1より大きければ出力抑制が発生しなかったと判定する。また、発電量WDをWC・T1と比較して、出力抑制が発生したか否かを判定してもよい。
【0125】
出力抑制が発生したと判定した場合、制御部121は、出力抑制テーブルの対応する情報を“×”から“○”に変更する。“○”は、出力抑制が発生することを示している。例えば、1日の日負荷電力量が20kWhであり、3時間毎の天気予報の組み合わせが“晴晴晴晴”であった場合、図18に示すように、この条件に該当する出力抑制テーブルの情報が“×”から“○”に変更される。
【0126】
このような更新処理を毎日又は所定日に繰り返すことで、出力抑制が発生する複数の条件が出力抑制テーブルに記録されていく。したがって、更新された出力抑制テーブルを用いれば、翌日の日負荷電力量の予測値と天気予報情報から、出力抑制が発生するか否かを予測することができる。
【0127】
図19は、このような出力抑制テーブルを用いて燃料電池システム102の起動時刻を調整する処理の例を示すフローチャートである。図19のステップ1901〜1903及び1906〜1909の処理は、図4のステップ401〜403及び406〜409の処理と同様である。
【0128】
ステップ1904において、制御部121は、翌日の電力需要パターンに含まれる各時刻における電力負荷の予測値の総和を求めることで、日負荷電力量の予測値を求める。そして、得られた日負荷電力量の予測値と翌日の天気予報情報とに基づいて、出力抑制テーブルを検索し、対応する情報を取得する。取得した情報が“○”であれば、燃料電池システム102の出力抑制が発生すると判定し、“×”であれば出力抑制が発生しないと判定する(ステップ1905)。
【0129】
図18の出力抑制テーブルには、出力抑制発生の有無を示す情報のみが記録されているが、図19の起動時刻調整処理により変更された起動時刻STを併せて記録しておけば、次回からステップ1906の熱供給量計算を省略することが可能である。図20は、このような出力抑制テーブルの例を示している。図20の出力抑制テーブルでは、図18の“○”と同じ行列要素に、起動時刻“5:00”が記録されている。
【0130】
図21は、このような出力抑制テーブルを用いて燃料電池システム102の起動時刻を調整する処理の例を示すフローチャートである。図21のステップ2101〜2105の処理は、図19のステップ1901〜1905の処理と同様である。
【0131】
ステップ2105において出力抑制が発生すると判定した場合、制御部121は、出力抑制テーブルから“○”とともに記録されている起動時刻ST1を取得し、現在の起動時刻STをST1に変更する(ステップ2106)。そして、処理を終了する。一方、出力抑制が発生しないと判定した場合、制御部121は、現在の起動時刻STを変更することなく、処理を終了する。したがって、出力抑制が発生しないと判定した場合は、ST=ST0となる。
【0132】
なお、出力抑制テーブルの情報が“×”から“○”に変更されるときに図19の起動時刻調整処理を1回だけ実施し、“○”となった他の行列要素にはすべて同じ起動時刻を記録するようにしてもよい。ただし、電力需要パターンは日によって変動するため、統計的に処理された起動時刻を用いることが望ましい。例えば、各行列要素に対応する条件で図19の起動時刻調整処理を複数回実施し、得られた起動時刻の平均値を記録しておけば、起動時刻の精度が向上する。
【0133】
上述した実施形態では、太陽光発電システムと燃料電池システムを含むダブル発電システムを用いているが、燃料電池システムの代わりにガスエンジン等の別の熱電供給システムを用いてもよい。
【0134】
また、熱電供給システムと組み合わせる発電システムは、太陽光発電システムに限られず、風力発電システム、水力発電システム等のように、気象条件に応じて発電出力が変化する別の発電システムを用いてもよい。風力発電システムの場合は、天気予報情報の代わりに風向・風力予測情報等の気象予測情報が用いられ、水力発電システムの場合は、天気予報情報の代わりに降水量予測情報等の気象予測情報が用いられる。
【0135】
さらに、熱電供給システムの蓄熱方式は、水を媒体とする蓄熱方式に限られず、別の液体や気体を媒体とする蓄熱方式を用いてもよい。例えば、固体酸化物型燃料電池(SOFC)のような作動温度が高い熱電供給システムでは、排熱を水蒸気として利用することが可能なため、水蒸気を媒体として用いることができる。
【0136】
図1の制御部121及び図5のサーバ501は、例えば、図22に示すような情報処理装置(コンピュータ)を用いて実現することが可能である。図22の情報処理装置は、Central Processing Unit (CPU)2201、メモリ2202、入力装置2203、出力装置2204、外部記憶装置2205、媒体駆動装置2206、及びネットワーク接続装置2207を備える。これらはバス2208により互いに接続されている。
【0137】
メモリ2202は、例えば、Read Only Memory(ROM)、Random Access Memory(RAM)等を含み、制御部121又はサーバ501の処理に用いられるプログラム及びデータを格納する。例えば、CPU2201は、メモリ2202を利用してプログラムを実行することにより、図4又は図6の起動時刻調整処理を含む情報処理を行う。メモリ2202は、図1の記憶装置131としても使用できる。
【0138】
入力装置2203は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス等であり、オペレータからの指示や情報の入力に用いられる。出力装置2204は、例えば、ディスプレイ、プリンタ、スピーカ等であり、オペレータへの問い合わせや処理結果の出力に用いられる。制御部121において入力装置2203及び出力装置2204が不要な場合は、これらの一方又は両方を省略することができる。
【0139】
外部記憶装置2205は、例えば、磁気ディスク装置、光ディスク装置、光磁気ディスク装置、テープ装置等である。情報処理装置は、この外部記憶装置2205にプログラム
及びデータを格納しておき、それらをメモリ2202にロードして使用することができる。外部記憶装置2205は、図1の記憶装置131としても使用できる。
【0140】
媒体駆動装置2206は、可搬記録媒体2209を駆動し、その記録内容にアクセスする。可搬記録媒体2209は、メモリデバイス、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の任意のコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。オペレータは、この可搬記録媒体2209にプログラム及びデータを格納しておき、それらをメモリ2202にロードして使用することができる。
【0141】
ネットワーク接続装置2207は、通信ネットワーク103に接続され、通信に伴うデータ変換を行う。図1のダブル発電システムにおいては、ネットワーク接続装置2207が通信装置105として使用され、図5の分散型電源システムにおいては、サーバ501がダブル発電システム204−1〜204−nと通信するためにネットワーク接続装置2207が使用される。情報処理装置は、プログラム及びデータを外部の装置からネットワーク接続装置2207を介して受け取り、それらをメモリ2202にロードして使用することができる。
【0142】
開示の実施形態とその利点について詳しく説明したが、当業者は、特許請求の範囲に明確に記載した本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、追加、省略をすることができるであろう。
【符号の説明】
【0143】
101 太陽光発電システム
102 燃料電池システム
103 分電盤
104 給湯口
105 通信装置
111 太陽電池アレイ
112、132 インバータ
121 制御部
122 燃料電池装置
123 バックアップ給湯器
124 貯湯槽
125 排熱回収ライン
126 給湯配管
131 記憶装置
133 発電セル
141、142、143、144 信号線
201 高圧配電線
202 柱上変圧器
203 低圧配電線
204−1、204−2、204−n ダブル発電システム
205−1〜205−10、205−n 受電点
501 サーバ
502 通信ネットワーク
801、802、803、804、903、1001、1002、1003、1101、1102、1103、1201、1202、1203、1301、1302、1401、1402 曲線
901、902 破線
2201 CPU
2202 メモリ
2203 入力装置
2204 出力装置
2205 外部記憶装置
2206 媒体駆動装置
2207 ネットワーク接続装置
2208 バス
2209 可搬記録媒体
N1〜N10 ノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電することで熱を発生する発電手段と、
前記発電手段の発電出力を抑制する抑制手段と、
前記抑制手段による前記発電出力の抑制が発生するか否かを予測し、抑制が発生すると予測したとき、前記発電手段の起動時刻を早める制御を行う制御手段と
を備えることを特徴とする熱電併給システム。
【請求項2】
前記発電手段の発電出力は配電系統の受電点に出力され、前記抑制手段は、該受電点の電圧が上限値を超えたとき、該発電手段の発電出力を抑制することを特徴とする請求項1記載の熱電併給システム。
【請求項3】
気象条件に応じて発電出力が変化する発電システムの発電出力が前記受電点にさらに出力され、前記制御手段は、気象予報情報に基づいて前記発電出力の抑制が発生するか否かを予測することを特徴とする請求項2記載の熱電併給システム。
【請求項4】
前記気象予報情報を取得する取得手段と、過去の気象予報情報と過去の前記発電手段の発電パターンとの対応関係を示す情報を格納する格納手段をさらに備え、前記制御手段は、取得された前記気象予報情報に対応する過去の発電パターンに基づいて、前記発電出力の抑制が発生するか否かを予測することを特徴とする請求項3記載の熱電併給システム。
【請求項5】
前記気象予報情報を取得する取得手段と、過去の気象予報情報と前記発電出力の抑制の有無との対応関係を示す出力抑制情報を格納する格納手段をさらに備え、前記制御手段は、取得された前記気象予報情報に対応する発電出力の抑制の有無に基づいて、前記発電出力の抑制が発生するか否かを予測することを特徴とする請求項3記載の熱電併給システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記発電手段から供給される熱量を計算し、該熱量が所定値に満たないとき、該発電手段の起動時刻をより早い時刻に設定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の熱電併給システム。
【請求項7】
前記出力抑制情報は、前記過去の気象予報情報と前記発電出力の抑制が有る場合の起動時刻との対応関係をさらに示し、前記制御手段は、取得された前記気象予報情報に対応する発電出力の抑制の有無が有りを示すとき、前記発電手段の起動時刻を、取得された前記気象予報情報に対応する起動時刻に設定することを特徴とする請求項5記載の熱電併給システム。
【請求項8】
発電することで熱を発生する熱電併給システムの発電出力の抑制が発生するか否かを予測する予測手段と、
前記発電出力の抑制が発生すると予測したとき、前記熱電併給システムの起動時刻を早める制御を行う制御手段と
を備えることを特徴とする熱電併給制御装置。
【請求項9】
発電することで熱を発生する複数の熱電併給システムのそれぞれにおいて発電出力の抑制が発生するか否かを予測する予測手段と、
1つの熱電併給システムにおいて発電出力の抑制が発生すると予測したとき、該1つの熱電併給システムの起動時刻を早める制御を行う制御手段と、
前記起動時刻の情報を前記1つの熱電併給システムに送信する送信手段と
を備えることを特徴とする熱電併給制御装置。
【請求項10】
前記複数の熱電併給システムの発電出力は配電系統の複数の受電点にそれぞれ出力され、各熱電併給システムは、各受電点の電圧が上限値を超えたとき発電出力を抑制し、前記制御手段は、該複数の受電点の電圧を計算して、各熱電併給システムの発電出力の抑制が発生するか否かを予測することを特徴とする請求項9記載の熱電併給制御装置。
【請求項11】
気象条件に応じて発電出力が変化する複数の発電システムの発電出力がそれぞれ前記複数の受電点にさらに出力され、前記制御手段は、気象予報情報に基づいて該複数の発電システムの発電パターンを予測し、予測した発電パターンを用いて前記複数の受電点の電圧を計算することを特徴とする請求項10記載の熱電併給制御装置。
【請求項12】
前記気象予報情報を取得する取得手段と、過去の気象予報情報と前記複数の熱電併給システムの過去の発電パターンとの対応関係を示す情報を格納する格納手段をさらに備え、前記制御手段は、取得された前記気象予報情報に対応する前記複数の熱電併給システムの過去の発電パターンを用いて、前記複数の受電点の電圧を計算することを特徴とする請求項11記載の熱電併給制御装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記1つの熱電併給システムから供給される熱量を計算し、該熱量が所定値に満たないとき、該1つの熱電併給システムの起動時刻をより早い時刻に設定することを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載の熱電併給制御装置。
【請求項14】
発電することで熱を発生する熱電併給システムの発電出力の抑制が発生するか否かを予測し、
前記発電出力の抑制が発生すると予測したとき、前記熱電併給システムの起動時刻を早める
ことを特徴とする熱電併給制御方法。
【請求項15】
発電することで熱を発生する複数の熱電併給システムのそれぞれにおいて発電出力の抑制が発生するか否かを予測し、
1つの熱電併給システムにおいて発電出力の抑制が発生すると予測したとき、該1つの熱電併給システムの起動時刻を早め、
前記起動時刻の情報を前記1つの熱電併給システムに送信する
ことを特徴とする熱電併給制御方法。
【請求項16】
発電することで熱を発生する熱電併給システムの発電出力の抑制が発生するか否かを予測し、
前記発電出力の抑制が発生すると予測したとき、前記熱電併給システムの起動時刻を早める
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項17】
発電することで熱を発生する複数の熱電併給システムのそれぞれにおいて発電出力の抑制が発生するか否かを予測し、
1つの熱電併給システムにおいて発電出力の抑制が発生すると予測したとき、該1つの熱電併給システムの起動時刻を早め、
前記起動時刻の情報を前記1つの熱電併給システムに送信する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate

【図15】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図8】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2012−135134(P2012−135134A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285618(P2010−285618)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り ▲1▼研究集会名 再生可能エネルギー2010国際会議 ▲2▼共催者名 独立行政法人産業技術総合研究所 ▲3▼公開日 平成22年6月28日(開催日 平成22年6月27日から7月2日) ▲1▼発行所名 再生可能エネルギー2010国際会議組織委員会(RENEWABLE ENERGY 2010 Organizing Committee) ▲2▼刊行物名 RENEWABLE ENERGY 2010 Proceedings(再生可能エネルギー2010論文集) ▲3▼頒布日 平成22年9月27日(発行日平成22年9月30日) ▲4▼該当部 P−Ps−3
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】