説明

燃料供給装置

【課題】天井部と底部との間隔が減少するように燃料タンクが大きく変形したとしても、燃料タンクの天井部の開口を覆うキャップが受けるダメージを抑制することが可能な燃料供給装置を提供する。
【解決手段】支持体30は、燃料タンクの底部に押し付けられる脚部31の底板部31aとキャップ20の補強リブ26に当接するガイド筒部33の当接部33aとの間に、スプリング40よりも上下方向の剛性が高く、支持体30の脚部31やガイド筒部33よりも上下方向の剛性が低い平板部32を有している。そして、支持体30の当接部33aがキャップ20の補強リブ26に当接したときよりも燃料タンクの天井部と底部との間隔が減少した場合には、平板部32が変形もしくは破壊される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクに装着される燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃料タンクの天井部に形成された開口部を閉塞するように燃料タンクに取り付けられる蓋状の第1部材と、燃料タンク内に配設されて燃料タンク内の機能部品を支持する第2部材と、第1部材と第2部材との間に介設されたスプリングと、を備える燃料供給装置が知られている。このような燃料供給装置では、燃料タンクの天井部に取り付けられる第1部材に対して上下方向に移動可能な第2部材を、スプリングによって燃料タンクの底部に押し付けて、燃料タンク内に位置決めするようになっている(下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−236796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術の燃料供給装置では、天井部と底部との間隔が減少するように燃料タンクが変形すると、第1部材に対して相対変位可能な第2部材が上方へ変位し、第1部材と第2部材とが当接する場合がある。そして、天井部と底部との間隔がさらに減少するように燃料タンクの変形が増大すると、第2部材が第1部材を突き上げ、第1部材に大きな荷重が印加されて、第1部材が大きなダメージを受ける場合があるという問題がある。
【0005】
上記した問題は、例えば車両に搭載される燃料供給装置では、近年の車両の低床化に伴って薄型化される燃料タンクに装着されるものにおいて発生し易く、解決策が求められている。
【0006】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、天井部と底部との間隔が減少するように燃料タンクが大きく変形したとしても、燃料タンクの天井部の開口を覆う部材が受けるダメージを抑制することが可能な燃料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
燃料タンクの天井部に形成された開口部を閉塞するように燃料タンクに取り付けられる第1部材と、
第1部材よりも下方に位置して燃料タンクの内部に配設され、燃料タンクの天井部と底部とが対向する方向に第1部材に対して相対変位可能な第2部材と、
第1部材と第2部材との間に介設された弾性部材と、を備え、
弾性部材によって第2部材が燃料タンクの底部に向かって付勢され、第2部材が燃料タンクの底部に押し付けられるとともに、
燃料タンクの天井部と底部との間隔が減少して第2部材が上方へ最大変位したときには、第1部材と前記第2部材とが当接する燃料供給装置であって、
第2部材は、燃料タンクの底部に押し付けられる部位と第1部材に当接する部位との間に、燃料タンクの天井部と底部とが対向する方向の剛性が、弾性部材の前記対向する方向の剛性よりも高く、第2部材の他の部位の前記対向する方向の剛性よりも低い低剛性部を有しており、
第1部材と第2部材とが当接したときよりも燃料タンクの天井部と底部との間隔が減少した場合には、低剛性部が変形もしくは破壊されることを特徴としている。
【0008】
これによると、燃料タンクの天井部と底部との間隔が減少して第1部材と第2部材とが当接したときよりも燃料タンクの天井部と底部との間隔がさらに減少した場合には、第2部材の低剛性部が変形もしくは破壊される。したがって、第2部材が第1部材を突き上げ、第1部材に大きな荷重を印加することを抑制することができる。このようにして、天井部と底部との間隔が減少するように燃料タンクが大きく変形したとしても、燃料タンクの天井部の開口を覆う第1部材が受けるダメージを抑制することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、第1部材と第2部材とが当接したときよりも燃料タンクの天井部と底部との間隔が減少した際に第2部材の低剛性部が変形するものであって、低剛性部が変形したときよりも燃料タンクの天井部と底部との間隔がさらに減少した場合には、低剛性部が破壊されることを特徴としている。
【0010】
これによると、第1部材と第2部材とが当接したときよりも燃料タンクの天井部と底部との間隔が減少したときには、第2部材の低剛性部が変形する。そして、第2部材の低剛性部が変形したときよりも燃料タンクの天井部と底部との間隔がさらに減少した場合には、低剛性部が破壊される。すなわち、天井部と底部との間隔が減少する燃料タンクの変形が進行した場合には、まず、第2部材の低剛性部が変形し、その後、第2部材の低剛性部が破壊される。したがって、天井部と底部との間隔が減少する燃料タンクの変形が進行した場合であっても、第2部材が第1部材を突き上げ、第1部材に大きな荷重を印加することを確実に抑制することができる。このようにして、天井部と底部との間隔が減少するように燃料タンクが大きく変形したとしても、燃料タンクの天井部の開口を覆う第1部材が受けるダメージを確実に抑制することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明では、第2部材の低剛性部は、第2部材の他の部位よりも薄肉に形成されていることを特徴としている。これによると、第2部材の低剛性部を薄肉にすることにより、低剛性部の剛性を第2部材の他の部位の剛性よりも低くすることが容易である。
【0012】
また、請求項4に記載の発明では、第2部材の低剛性部には、複数の貫通孔が相互に間隔を空けて形成されていることを特徴としている。これによると、第2部材の低剛性部に複数の貫通孔を間隔を空けて形成することにより、低剛性部の剛性を第2部材の他の部位の剛性よりも低くすることが一層容易である。
【0013】
また、請求項5に記載の発明では、第2部材の低剛性部は、燃料タンクの天井部と底部とが対向する方向に対して曲がった形状をなして可撓性を有することを特徴としている。これによると、第2部材の低剛性部を、燃料タンクの天井部と底部とが対向する方向に対して曲がった曲がり形状として、この曲がり形状により撓むことが可能な可撓部とすることで、低剛性部の剛性を第2部材の他の部位の剛性よりも低くすることがより一層容易である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態における燃料供給装置である燃料供給ユニット10の概略構成図である。
【図2】第1の実施形態における燃料供給ユニット10の要部構成を示す縦断面図である。
【図3】第2の実施形態における燃料供給ユニットの要部構成を示す縦断面図である。
【図4】第3の実施形態における燃料供給ユニットの要部構成を示す縦断面図である。
【図5】他の実施形態における燃料供給ユニットの要部構成を示す縦断面図である。
【図6】他の実施形態における燃料供給ユニットの要部構成を示す縦断面図である。
【図7】他の実施形態における燃料供給ユニットの要部構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明を適用した第1の実施形態における燃料供給装置である燃料供給ユニット10の概略構成図であり、図2は、燃料供給ユニット10の要部構成を示す縦断面図である。
【0017】
図1に示す本実施形態の燃料供給ユニット10は、例えば、第1主槽部分と第2主槽部分とを含む複数の燃料槽を有する所謂鞍型の燃料タンク1の第2主槽部分に配設される燃料移送用のモジュールである。第1主槽部分と第2主槽部分とは、燃料残量が所定量以下となった場合に、異なる燃料液面レベルを提供する燃料槽である。
【0018】
燃料供給ユニット10は、第2主槽部分の燃料の液面レベルを検出するとともに、第2主槽部分の燃料を第1主槽部分に配置された副槽(リザーバ)内に移送するために設けられている。第2主槽部分から副槽内に移送された燃料は、第1主槽部分から副槽内に移送された燃料とともに、副槽内から燃料ポンプによって燃料タンク1の外部の内燃機関等へ供給されるようになっている。
【0019】
なお、図1では、燃料タンク1の第2主槽部分を図示しており、第1主槽部分の図示は省略している。また、燃料タンク1の第1主槽部分に副槽を有さず、燃料供給ユニット10は、燃料タンク1の第1主槽部分へ燃料を移送するものであってもよい。
【0020】
燃料タンク1に装着される燃料供給ユニット10は、キャップ20、支持体30およびスプリング40(図2参照)等を備えている。
【0021】
キャップ20は、例えば樹脂製(例えばポリアセタール樹脂製)であり、燃料タンク1の天井部1aに形成された開口部1bを閉塞するように燃料タンク1に取り付けられている。キャップ20は、本実施形態において第1部材に相当する。
【0022】
また、支持体30は、例えば樹脂製(例えばポリアセタール樹脂製)であり、キャップ20よりも下方に位置して燃料タンク1内に配設されている。支持体30は、燃料タンク1の天井部1aと底部1cとが対向する方向(本例では上下方向)に、キャップ20に対して相対変位が可能となっている。支持体30は、本実施形態において第2部材に相当する。
【0023】
キャップ20は、燃料タンク1の天井部1aの延在方向に沿って拡がる略平板状の平板部21と、平板部21の下面から下方に向かって立設された環状の環状壁部22とを有している。環状壁部22は、外周面が燃料タンク1の開口部1bの開口形状に対応して形成され、環状壁部22は開口部1bに嵌合するようになっている。
【0024】
キャップ20の平板部21は、環状壁部22よりも外方にまで延出しており、この延出した部分が鍔状のフランジ部21aとなっている。フランジ部21aは、燃料タンク1天井部1aの開口部1bの周縁部と全周に亘って重なり合っている。
【0025】
図2に示すように、キャップ20の平板部21の下面には、環状壁部22の内側で下方に向かって突出する筒状(本例では略円筒形状)のガイド筒部23が設けられている。キャップ20の平板部21の下面には、ガイド筒部23が設けられた部分を除く部分に、平板部21を補強するための補強リブ26が立設している。
【0026】
ガイド筒部23は、中間部よりも下方の部分が周方向において複数に割れて、断面が略円弧状の垂下壁部となっている。ガイド筒部23を複数に分割した垂下壁部のそれぞれには、外周面から外方に突出した爪部24が形成されている。爪部24の下方側の面は、上方に向かうほど径外方向に向かう傾斜面となっている。
【0027】
ガイド筒部23の内周面には、中間部よりも上方の部分(ガイド筒部23が分割されていない部分)に、上下方向に延びる複数のリブ25が形成されている。このリブ25の下端は、コイル状のスプリング40の上端と常時接触するスプリング受け部となっている。
【0028】
支持体30は、脚部31、ガイド筒部33、センダ取付部37、アーム部38等を備え、これらが一体成形されている。脚部31は、燃料タンク1の底部1cの上面と接触するように、底部1cの延在方向に沿って拡がる底板部31aと、底板部31aから上方に向かって突出した複数の縦板部31bとにより構成されている。縦板部31bのそれぞれは略三角形状をなしており、複数の縦板部31bからなる構成の横断面は、本例では十字形状となっている。
【0029】
脚部31の上端には、横方向に拡がる薄板状の平板部32が形成されている。平板部32の外周縁部には、上方に向かって突出する筒状(本例では略円筒形状)のガイド筒部33が設けられている。ガイド筒部33の内周面は、ガイド筒部23の外周面に対応した形状となっている。ガイド筒部33の内周面の軸線は、ガイド筒部23の外周面の軸線と一致している。
【0030】
ガイド筒部33の内周面の径は、ガイド筒部23の外周面の径よりも若干大きくなっており、支持体30がキャップ20に対して上下方向に相対変位する場合には、ガイド筒部23の外周面とガイド筒部33の内周面とが摺接するようになっている。
【0031】
支持体30のガイド筒部33には、上下方向に延びるスリット34が複数形成されている。このスリット34は、キャップ20のガイド筒部23に形成された爪部24に対応して形成されており、支持体30がキャップ20に対して上下方向に相対変位する場合には、爪部24がスリット34内を移動して、ガイド筒部23とガイド筒部33とが周方向に移動しないように上下方向に案内する。
【0032】
平板部32の上面の中央部には、上方に向かって突出する立設部35が設けられている。本実施形態の立設部35は、前述の脚部31の上端と同一の十字形状の横断面形状が、上下方向に連続するように形成されている。立設部35の外方側の先端を結ぶ円(立設部35の横断面における外接円)は、その径がスプリング40の内径よりも若干小さくなっている。
【0033】
これにより、平板部32の上面のうち、立設部35の基端部(下方端部)の周縁部は、スプリング40の下端と常時接触するスプリング受け部となっている。
【0034】
ガイド筒部33の下端には、平板部32に沿うように横方向に延びる排出孔36が形成されている。排出孔36は、ガイド筒部33の内部空間と外部空間とを連通しており、スリット34等からガイド筒部33内に浸入した燃料を、ガイド筒部33の外部に排出できるようになっている。
【0035】
図1に示すように、支持体30のガイド筒部33の図示左方には、センダ取付部37と、アーム部38とが延出している。
【0036】
センダ取付部37は、図示背面側にフューエルセンダ(燃料液面検出用の可変抵抗器ユニット)を取り付けるための部位である。一部図示を省略しているが、センダ取付部37には、一端にフロート62が取り付けられたフロートアーム61と、フロートアーム61の回動により移動する摺動接点が摺接する抵抗体がプリントされた基板と、フロートアーム61の他端や基板を支持するホルダ等から構成されるフューエルセンダが取り付けられている。
【0037】
一方、アーム部38は、図示左方先端側の下部に連結配管部材51を保持するために設けられている。連結配管部材51は、例えば樹脂製であり、サクションフィルタ52と燃料配管53(例えば、チューブもしくはホース等)とを連結している。サクションフィルタ52は、連結配管部材51の図示下端部に接続され、燃料タンク1の底部1cの上面に接触している。
【0038】
連結配管部材51の図示紙面裏面側の端部には、燃料配管53の端部が接続している。このような構成により、燃料タンク1の第2主槽部分の燃料は、サクションフィルタ52で異物を除去された後に、連結配管部材51および燃料配管53を介して、燃料タンク1の第1主槽部分に送られる。
【0039】
前述したように、スプリング40は、上端がキャップ20のリブ25下端に接するとともに、下端が支持体30の平板部32上面に接しており、常時圧縮された状態で用いられる。したがって、スプリング40によって支持体30が燃料タンク1の底部1cに向かって付勢され、支持体30が燃料タンク1の底部1c上面に押し付けられている。スプリング40は、本実施形態において第1部材であるキャップ20と第2部材である支持体30との間に介設された弾性部材に相当する。なお、スプリング40の軸線は、ガイド筒部23の軸線およびガイド筒部33の軸線と一致している。
【0040】
このような構成により、燃料タンク1の天井部1aと底部1cとの間隔にばらつきがあったり、燃料タンク1が若干変形して天井部1aと底部1cとの間隔が変化したりしたとしても、支持体30を燃料タンク1の底部1c上面を基準位置として所定位置に維持し、燃料液面の検出精度を維持するとともに、燃料の安定した移送ができるようになっている。
【0041】
前述した支持体30の平板部32は、ガイド筒部33等よりも薄肉に形成されている。このように、平板部32を薄肉にすることにより、平板部32は、横断面が十字形状に形成されて構造的に剛性が高い脚部31、および、比較的肉厚の筒状をなすガイド筒部33よりも、上下方向の(燃料タンク1の天井部1aと底部1cとが対向する方向の)剛性が低くなっている。
【0042】
支持体30の平板部32は、支持体30の他の部位である脚部31やガイド筒部33よりも低剛性ではあるが、スプリング40の剛性(上下方向に延びる軸線に沿って圧縮する方向の剛性)よりも高い剛性を有している。
【0043】
したがって、燃料タンク1の天井部1aと底部1cとの間隔にばらつきがあったり、燃料タンク1が若干変形して天井部1aと底部1cとの間隔が変化したりした場合に、キャップ20に対して支持体30が上下方向に相対変位するときには、スプリング40の長さが変化し、支持体30の平板部32はほとんど変形しない。平板部32は、本実施形態における低剛性部に相当する。
【0044】
上述の構成の燃料供給ユニット10を装着した燃料タンク1が比較的大きく変形し、燃料タンク1の天井部1aと底部1cとの間隔が減少した場合には、キャップ20に対して支持体30が上方へ変位し、上方へ最大変位したときには、支持体30のガイド筒部33の当接部33a(ガイド筒部33の上端面)が、キャップ20の補強リブ26に当接する。
【0045】
燃料タンク1がさらに変形して、天井部1aと底部1cとの間隔がさらに減少した場合には、支持体30の平板部32が破断する(破壊される)。ここでいう平板部32の破断には、平板部32の外周側が内周側よりも下方に位置するように若干撓み変形した後に破壊される場合を含む。
【0046】
上述の構成の燃料供給ユニット10によれば、支持体30は、燃料タンク1の底部1cに押し付けられる脚部31の底板部31aとキャップ20の補強リブ26に当接するガイド筒部33の当接部33aとの間に、スプリング40よりも上下方向の剛性が高く、支持体30の脚部31やガイド筒部33よりも上下方向の剛性が低い平板部32を有している。そして、支持体30の当接部33aがキャップ20の補強リブ26に当接したときよりも燃料タンク1の天井部1aと底部1cとの間隔が減少した場合には、平板部32が破壊される。
【0047】
したがって、燃料タンク1が大きく変形しても、平板部32が破壊されることにより、燃料タンク1の底部1cの上面に押し付けられている支持体30がキャップ20を突き上げることはなく、キャップ20に大きな荷重を印加することを抑制することができる。このようにして、天井部1aと底部1cとの間隔が減少するように燃料タンク1が大きく変形したとしても、燃料タンク1の天井部1aの開口部1bを覆うキャップ20が受けるダメージを抑制することができる。また、支持体30の低剛性部である平板部32は、支持体30のガイド筒部33等よりも薄肉に形成されている。これによると、平板部32の剛性を低くすることが容易である。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図3に基づいて説明する。
【0049】
本第2の実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、低剛性部に複数の貫通孔を設けた点が異なる。なお、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号をつけ、その説明を省略する。
【0050】
図3に示すように、本実施形態では、支持体30のガイド筒部33の最下部に排出孔36を設けずに、支持体30の平板部32に貫通孔である排出孔236を設けている。排出孔236は複数設けられており、複数の排出孔236は、相互に間隔を空けて軸線(ガイド筒部33やスプリング40の軸線)の周囲に周状に配置されている。
【0051】
これによると、支持体30の平板部32に複数の排出孔236を間隔を空けて形成することにより、平板部32を脚部31やガイド筒部33よりも確実に剛性を低くすることができる。すなわち、燃料タンク1の天井部1aと底部1cとが対向する方向における平板部32の剛性を、一層低くすることができる。また、複数の排出孔236を設けるだけであるので、平板部32を低剛性とすることが容易である。
【0052】
また、複数の排出孔236を、平板部32とガイド筒部33で形成される空間の下方側に形成するとともに、それぞれの排出孔236は上下方向に延びているので、ガイド筒部33内に浸入した燃料を、ガイド筒部33の外部に排出することが容易である。
【0053】
なお、平板部32を薄肉とせず(例えばガイド筒部33の肉厚と同厚として)、平板部32に複数の排出孔236を間隔を空けて形成することにより、平板部32を脚部31やガイド筒部33よりも剛性を低くするものであってもよい。
【0054】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について図4に基づいて説明する。
【0055】
本第3の実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、支持体30の脚部31に曲がり形状をなして可撓性のある屈曲板部を設けて低剛性部とした点が異なる。なお、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号をつけ、その説明を省略する。
【0056】
図4に示すように、本実施形態では、支持体30の脚部31は、底板部31aと、底板部31aから上方に向かって延び、上下方向に対して中間部が図示左右方向に突出するように、くの字状に屈曲した一対の屈曲板部331b(菱形の屈曲板部331bであるとも言える)とにより構成されている。
【0057】
この一対の屈曲板部331bは、比較的肉厚が薄く、屈曲した形状に形成されることにより、筒状をなすガイド筒部33等よりも、上下方向の(燃料タンク1の天井部1aと底部1cとが対向する方向における)剛性が低くなっている。
【0058】
一対の屈曲板部331bは、支持体30の他の部位であるガイド筒部33等よりも低剛性ではあるが、スプリング40の剛性(上下方向に延びる軸線に沿って圧縮する方向の剛性)よりも高い剛性を有している。
【0059】
本実施形態の燃料供給ユニットによれば、支持体30は、燃料タンク1の底部1cに押し付けられる脚部31の底板部31aとキャップ20の補強リブ26に当接するガイド筒部33の当接部33aとの間に、スプリング40よりも上下方向の剛性が高く、支持体30のガイド筒部33等よりも上下方向の剛性が低い一対の屈曲板部331bを有している。そして、支持体30の当接部33aがキャップ20の補強リブ26に当接したときよりも燃料タンク1の天井部1aと底部1cとの間隔が減少した場合には、一対の屈曲板部331bが撓むように変形する。
【0060】
したがって、燃料タンク1が大きく変形しても、一対の屈曲板部331bが撓むことにより、燃料タンク1の底部1cの上面に押し付けられている支持体30がキャップ20を突き上げることはなく、キャップ20に大きな荷重を印加することを抑制することができる。このようにして、天井部1aと底部1cとの間隔が減少するように燃料タンク1が大きく変形したとしても、燃料タンク1の天井部1aの開口部1bを覆うキャップ20が受けるダメージを抑制することができる。
【0061】
また、支持体30の当接部33aがキャップ20の補強リブ26に当接したときよりも燃料タンク1の天井部1aと底部1cとの間隔が減少した状態から、燃料タンク1の形状が復元した場合には、撓んだ一対の屈曲板部331bも元の形状に復元することが可能である。
【0062】
また、支持体30の低剛性部である一対の屈曲板部331bは、燃料タンク1の天井部1aと底部1cとが対向する方向に対して曲がった形状をなして可撓性を有する板状部としている。これによると、屈曲板部331bの剛性を低くすることが容易である。
【0063】
なお、本実施形態の燃料供給ユニットでは、キャップ20と支持体30とが当接したときよりも燃料タンク1の天井部1aと底部1cとの間隔が減少した際に支持体30の屈曲板部331bが変形するものであったが、屈曲板部331bが変形したときよりも燃料タンク1の天井部1aと底部1cとの間隔がさらに減少した場合には、屈曲板部331bが破壊されるものであってもよい。
【0064】
これによると、天井部1aと底部1cとの間隔が減少する燃料タンク1の変形が進行した場合には、まず、支持体30の屈曲板部331bが変形し、その後、屈曲板部331bが破壊される。したがって、天井部1aと底部1cとの間隔が減少する燃料タンク1の変形が大きく進行した場合であっても、支持体30がキャップ20を突き上げ、キャップ20に大きな荷重を印加することを確実に抑制することができる。
【0065】
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0066】
上記第1、第2の実施形態では、支持体30の脚部31とガイド筒部33とを繋ぐ平板部32を低剛性部とし、上記第3の実施形態では、支持体30の脚部31の屈曲板部331bを低剛性部としていたが、これらに限定されるものではない。低剛性部は、支持体30の燃料タンク1の底部1cに押し付けられる部位(脚部31の底板部31a)とキャップ20に当接する部位(ガイド筒部33の当接部33a)との間に設けるものであればよい。
【0067】
例えば、図5に示すように、ガイド筒部33の上部に形成される段部を薄板状の平板部432として、低剛性部としてもかまわない。図5に例示する構成によれば、支持体30の当接部33aがキャップ20の補強リブ26に当接したときよりも燃料タンク1の天井部1aと底部1cとの間隔が減少した場合には、平板部432が破壊される(若干撓み変形した後に破壊される場合を含む)。図5に例示した構成によれば、平板部432よりも下方にセンダ取付部37やアーム部38が設けられているので、平板部432が破断したとしても、燃料供給ユニットの液面検出機能および燃料移送機能の低下を抑止することができる。
【0068】
また、上記第3の実施形態では、それぞれがくの字状に形成された一対の屈曲板部331bを低剛性部とし、支持体30の当接部33aがキャップ20の補強リブ26に当接したときよりも燃料タンク1の天井部1aと底部1cとの間隔が減少した場合には、一対の屈曲板部331bが撓むように変形する、もしくは、変形した後に破壊されるようにしていたが、これに限定されるものではない。
【0069】
例えば、図6に示すように、脚部31を、底板部31aと、ロの字形状(矩形状)の複数の湾曲板部531bとで構成し、底板部31aと湾曲板部531bとの間、湾曲板部531b同士の間、および、湾曲板部531bと平板部32との間を上下方向に延びる柱状部で接続する。このようにして、上下方向に対して曲がった形状をなして可撓性を有する複数の湾曲板部531bを低剛性部としてもかまわない。
【0070】
また、例えば、図7に示すように、脚部31を、底板部31aと、コの字形状の湾曲板部631bとで構成し、底板部31aと湾曲板部631bとの間、および、湾曲板部631bと平板部32との間を上下方向に延びる柱状部で接続する。このようにして、上下方向に対して曲がった形状をなして可撓性を有する湾曲板部631bを低剛性部としてもかまわない。
【0071】
また、上記各実施形態では、弾性部材はコイル状のスプリング40であったが、これに限定されるものではない。例えば、弾性部材は、湾曲させた板状のスプリングであってもかまわない。
【0072】
また、上記各実施形態では、本発明を適用した燃料供給装置である燃料供給ユニットを、鞍型の燃料タンク1の第2主槽部分に配設される燃料移送用のモジュールとし、キャップ20を第1部材とし、支持体30を第2部材としていたが、これに限定されるものではない。例えば、燃料タンクの第1主槽部分に配設される燃料供給装置に本発明を適用しても有効である。例えば、燃料タンクの第1主槽部分の天井部の開口部を閉塞するするように取り付けられるキャップを第1部材とし、燃料タンクの第1主槽部分の底部に押し付けられる副槽(リザーバ)を第2部材として、本発明を適用してもかまわない。
【符号の説明】
【0073】
1 燃料タンク
1a 天井部
1b 開口部
1c 底部
10 燃料供給ユニット(燃料供給装置)
20 キャップ(第1部材)
30 支持体(第2部材)
31a 底板部(底部に押し付けられる部位)
32 平板部(低剛性部)
33a 当接部(第1部材に当接する部位)
40 スプリング(弾性部材)
236 排出孔(貫通孔)
331b 屈曲板部(低剛性部)
432 平板部(低剛性部)
531b、631b 湾曲板部(低剛性部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクの天井部に形成された開口部を閉塞するように前記燃料タンクに取り付けられる第1部材と、
前記第1部材よりも下方に位置して前記燃料タンクの内部に配設され、前記燃料タンクの前記天井部と底部とが対向する方向に前記第1部材に対して相対変位可能な第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に介設された弾性部材と、を備え、
前記弾性部材によって前記第2部材が前記燃料タンクの底部に向かって付勢され、前記第2部材が前記底部に押し付けられるとともに、
前記天井部と前記底部との間隔が減少して前記第2部材が上方へ最大変位したときには、前記第1部材と前記第2部材とが当接する燃料供給装置であって、
前記第2部材は、前記底部に押し付けられる部位と前記第1部材に当接する部位との間に、前記対向する方向の剛性が、前記弾性部材の前記対向する方向の剛性よりも高く、前記第2部材の他の部位の前記対向する方向の剛性よりも低い低剛性部を有しており、
前記第1部材と前記第2部材とが当接したときよりも前記天井部と前記底部との間隔が減少した場合には、前記低剛性部が変形もしくは破壊されることを特徴とする燃料供給装置。
【請求項2】
前記第1部材と前記第2部材とが当接したときよりも前記天井部と前記底部との間隔が減少した際に、前記低剛性部が前記変形するものであって、
前記変形したときよりも前記天井部と前記底部との間隔がさらに減少した場合には、前記低剛性部が破壊されることを特徴とする請求項1に記載の燃料供給装置。
【請求項3】
前記低剛性部は、前記第2部材の他の部位よりも薄肉に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料供給装置。
【請求項4】
前記低剛性部には、複数の貫通孔が相互に間隔を空けて形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の燃料供給装置。
【請求項5】
前記低剛性部は、前記天井部と前記底部とが対向する方向に対して曲がった形状をなして可撓性を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の燃料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−29051(P2013−29051A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164655(P2011−164655)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000161840)京三電機株式会社 (99)