燃料電池用加湿器
本発明は、スタックから排出された高湿の未反応ガスが均一にホールを通して膜ハウジング内に流入され、その膜ハウジングから排出されるまでは特定部分に偏らないため、すべての中空糸膜を均一に加湿して、燃料電池に提供される反応ガスと前記湿気が接触する面積を最大化することによって、加湿性能に優れて維持及び補修費用が格段に節減できる燃料電池用加湿器に関する。
本発明の燃料電池用加湿器は、膜ハウジング;前記膜ハウジングの内部空間を多数の単位空間に分割する分割板;前記単位空間内の中空糸膜;及び前記膜ハウジングの一端に装着されて、スタックから排出された高湿の未反応ガスの流入のための流入口を有するカバー部を備えて、前記膜ハウジングには前記単位空間のそれぞれに対応する多数の分配孔が形成されたことを特徴とする。
本発明の燃料電池用加湿器は、膜ハウジング;前記膜ハウジングの内部空間を多数の単位空間に分割する分割板;前記単位空間内の中空糸膜;及び前記膜ハウジングの一端に装着されて、スタックから排出された高湿の未反応ガスの流入のための流入口を有するカバー部を備えて、前記膜ハウジングには前記単位空間のそれぞれに対応する多数の分配孔が形成されたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用の加湿器に係り、より具体的には、加湿性能を向上させるための燃料電池用加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、水素と酸素を結合させて電気を生産する発電型電池のことである。燃料電池は、乾電池や蓄電池などの一般化学電池とは異なり、水素と酸素が供給される限り電気を生産し続けることができ、熱損失がなくて内燃機関より2倍程度効率が高い。また、水素と酸素の結合により発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換できるため、公害物質の排出量が少ない。したがって、燃料電池は、環境親和的でかつ化石燃料の枯渇を心配する必要がないという利点がある。
【0003】
かかる燃料電池は、用いられる電解質の種類により、高分子電解質型燃料電池、燐酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体酸化物型燃料電池、及びアルカリ型燃料電池などに大別される。
【0004】
高分子電解質型燃料電池の性能を向上させるにおいて、もっとも重要な要因の一つは、膜−電極接合体の高分子電解質膜に所定の水分を供給することによって含水率を保ち続けることである。なぜなら、高分子電解質膜が乾燥すると、発電効率が急激に低下するからである。
【0005】
高分子電解質膜を加湿する方法の一つとして、高分子分離膜を用いて乾燥した反応ガスに水分を供給する加湿膜方式がある。
【0006】
加湿膜方式は、未反応ガスの中に含まれている水蒸気だけを選択的に透過させる膜を用いて、未反応ガス中の水蒸気を高分子電解質膜に提供する方式であって、加湿器を軽量化かつ小型化できるという利点がある。
【0007】
かかる加湿膜方式に用いられる選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当たりの透過面積の大きい中空糸膜が望ましい。すなわち、中空糸膜を用いて加湿器を製造する場合、接触表面積の広い中空糸膜の高集積化が可能になるため、体積を小さくしても燃料電池の加湿が十分に行われて、安価な素材を用いることができる。さらに、燃料電池から高温で排出される未反応ガスに含まれている水分と熱を回収し、加湿器を通してリサイクルできるという利点がある。
【0008】
図10と図11は、従来の燃料電池用加湿器を示したものであり、この燃料電池用加湿器は、中空部を流れる反応ガスに水分を供給するための中空糸膜270の束が集積された膜ハウジング210と、高湿の未反応ガスを流入させる第2流入口221と、これを排出させる第2排出口とを備えて構成されている。
【0009】
しかしながら、従来の燃料電池用加湿器においては、膜ハウジング210内に流入された高湿の未反応ガスが、圧力の最も低い部分、すなわち中空糸膜220が低い密度で集積されている部分に集中して流入してしまう問題があった。すなわち、高湿の未反応ガスと集中的に接触した中空糸膜220に流入された反応ガスのみに水分が円滑に供給されて、高湿の未反応ガスと接触していない中空糸膜220に流入された反応ガスには水分が供給されなくなる問題があった。しがたって、燃料電池用加湿器は加湿性能が低下し、高湿の未反応ガスが中空糸膜220と不均一に接触することによって、中空糸膜220の汚染のばらつきが激しくなり、中空糸膜220の交換周期が早まる問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる問題点を解決するために案出されたものであって、本発明はハウジングの内部に流入された高湿の未反応ガスが、圧力の低い部分に偏って流れることを防止するための燃料電池用加湿器を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述したような目的を達成するために、本発明は、膜ハウジング;前記膜ハウジングの内部空間を多数の単位空間に分割する分割板;前記単位空間内の中空糸膜;及び前記膜ハウジングの一端に装着され、スタックから排出された高湿の未反応ガスが流入されるための流入口を有するカバー部を備えて、前記膜ハウジングには前記単位空間のそれぞれに対応する多数の分配孔が形成されたことを特徴とする燃料電池用加湿器を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明には次のような効果がある。
【0013】
本発明に係る燃料電池用加湿器は、流入される高湿の未反応ガスが膜ハウジング内に集積されたすべての中空糸膜と均一に接触するため、前記それぞれの中空糸膜の内部を流れる反応ガスが均等に加湿される。したがって、本発明の燃料電池用加湿器には、加湿性能が向上される効果がある。
【0014】
また、本発明の燃料電池用加湿器は、高湿の未反応ガスがすべての中空糸膜と均一に接触するため、中空糸膜の汚染のばらつきを防止することができ、これによって、中空糸膜の交換周期が延長される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例に係る燃料電池用加湿器の分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施例に係る分割板の平面図である。
【図3】本発明の他の実施例に係る燃料電池用加湿器の分解斜視図である。
【図4】図3の膜ハウジングの平面図(a)及び背面図(b)を示すものである。
【図5】図3の1−1’切断面を示すものである。
【図6】本発明の他の実施例に係る分割板が設けられた膜ハウジングの斜視図である。
【図7】本発明の他の実施例に係る図3のI−I′切断面を示すものである。
【図8】本発明の他の実施例に係る膜ハウジングの斜視図である。
【図9】本発明の他の実施例に係る膜ハウジングの斜視図である。
【図10】従来の燃料電池用加湿器の分解斜視図である。
【図11】図10のI″−I′′′切断面を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の技術的思想及び範囲を逸脱しない範囲内で、本発明の多様な変形が可能であることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明は特許請求範囲に記載された発明及びその均等物の範囲内に入るあらゆる変形を含む。
【0017】
膜ハウジング内で高湿の未反応ガスが偏る現象の原因は、二つに大別される。その第一番目の原因は、集積された中空糸膜の密集度の差に起因するチャネリング現象である。このチャネリング現象は、膜ハウジングに中空糸膜を固定するポティング工程で必ず発生するものである。すなわち、中空糸膜を円心形などにポッティングする工程では、力の不均衡のため、局所的に中空糸膜220が密集している部分とまばらな部分が形成されざるを得ない。結局、加湿源として作用する高湿の未反応ガスは、中空糸膜220が最もまばらな部分に偏って流れるようになり、中空糸膜220が密集している部分には流れないため、全体的に加湿効率が急激に低下してしまう。
【0018】
第二番目の原因は、未反応ガスの排出口の位置による偏重現象である。殆どの加湿器は、燃料電池システムの構造によって流入口及び排出口の位置が決まるが、特に、加湿源である高湿の未反応ガスがホールを通して膜ハウジングの内部に均等に流入される場合でも、片方に偏っている排出口により、排出口に向けて圧力配向が起こるために偏重現象が発生する。かかる圧力配向に起因する編重現象により、排出口から遠く離れている中空糸膜は加湿が正しく行われないため、全体的に加湿効率が急激に低下する。
【0019】
本発明は、上述したように、未反応ガスの膜ハウジング内の偏重現象を防止して加湿効率が著しく向上された燃料電池用加湿器を提供することを目的としており、その目的を具現するための具体的な手段を詳細に説明する。
【0020】
以下、添付した図面に基づき本発明に係る燃料電池用加湿器の望ましい実施例について詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施例に係る燃料電池用加湿器を示す分解斜視図である。
【0022】
図1に示すように、本発明の燃料電池用加湿器は、分配孔311の形成された第1末端部及び、前記第1末端部の反対側に位置して排出孔312の形成された第2末端部を備えて、内部に空間が形成された膜ハウジング310を備える。該膜ハウジング310は、その内部に空間が形成されているので中空糸膜370を集積することができる。また、該膜ハウジング310の内部に集積された中空糸膜370に高湿の未反応ガスを供給するために、ハウジング310の第1末端部の上部及び下部に多数の分配孔311が形成されている。また、該中空糸膜370に水分を供給した未反応ガスを外部に排出させるための排出孔312が、該膜ハウジング310の第2末端部の上部及び下部に多数形成されている。
【0023】
該中空糸膜370の両末端は、該膜ハウジング310の両末端部にそれぞれポッティングされている。該中空糸膜370の両末端は開放された状態で存在するため、膜ハウジング310の外部の流体が中空糸膜370の中空を貫通して流れることができる。また、膜ハウジング310の両末端がポッティングされているため、膜ハウジング310の内部への流体の流入及び排出は、該膜ハウジング310の分配孔311及び排出孔312を通してだけ行われる。また、該中空糸膜370は所定直径の気孔を有するため、該中空糸膜370の外部に流れる高湿の未反応ガスから水分だけを選択的に受け入れる。
【0024】
該膜ハウジング310のの第1末端部には、第1カバー部320が装着されている。該第1カバー部320には、スタックから排出された高湿の未反応ガスを流入させるための第2流入口321が形成されている。該第2流入口321から流入された高湿の未反応ガスは、該膜ハウジング310の外部を流れてから分配孔311を通して膜ハウジング310の内部に移動する。該第1カバー部320の内面と該膜ハウジング310の第1末端部との間にはシーリング部(不図示)が設けられて、高湿の未反応ガスが膜ハウジング310の内部のみに流れるようにする。すなわち、該第1カバー部320の第2流入口321が該多数の分配孔311のみに連通されているので、該第2流入口321を通して流入された高湿の未反応ガスは、多数の分配孔311を通してのみ該膜ハウジング310の内部に移動することができる。
【0025】
従来は、図10と図11に示すように、集積された中空糸膜270の密集度の差によって、高湿の未反応ガスが、中空糸膜270の密集度の小さい部分に偏って流れることによって、全体的に加湿効率が急激に低下することがあった。また、排出口が片方に偏っているため、排出口に向かい圧力配向が起こり、これによって排出口から遠く離れている中空糸膜270は加湿効率が急激に落ちるため、全体的に加湿効率が急激に落ちてしまう問題があった。
【0026】
ところが、本発明の燃料電池用加湿器は、膜ハウジング310の内部に設けられた分割板360を備えている。この分割板360により、該膜ハウジング310の内部は多数の単位空間に分割される。このように形成されたそれぞれの単位空間に中空糸膜370が分けられて集積される。よって、それぞれの単位空間は一つの加湿器の役割をすることができる。
【0027】
かかる膜ハウジング310の第1端に形成された多数の分配孔311を通して高湿の未反応ガスがそれぞれの単位空間に流入されて、該流入された高湿の未反応ガスは該膜ハウジング310の第2端に形成された排出孔312を通して排出されるまで、中空糸膜370の長さ方向に沿ってそれぞれの単位空間に留まるようになる。したがって、本発明の燃料電池用加湿器は、膜ハウジング310の内部に集積された中空糸膜370の密集度偏差及び排出口の位置による圧力配向が存在しても、流入された高湿の未反応ガスが中空糸膜370の長さ方向に沿って分割されたそれぞれの単位空間内部に沿って均一に流れるため、中空糸膜370に均等に水分と熱を供給することによって、加湿効率を最大に発揮することができる。
【0028】
該分割板360の厚さは、中空糸膜370の平均直径の1ないし10倍であってもよい。該分割板360の厚さが薄すぎる場合、耐久性が落ち、長時間使用することが困難である反面、該分割板360の厚さが厚すぎる場合には、中空糸膜370の集積効率が落ちて経済性に劣る恐れがある。
【0029】
図2は、本発明の一実施例に係る分割板360の平面図である。
【0030】
図2に示すように、該分割板360は貫通孔のない密閉型でもよい。このように密閉型の分割板360が該膜ハウジング310に設けられる場合、供給された未反応ガスはそれぞれの該単位空間だけに沿って流れるようになる。
【0031】
また、該分割板360の貫通孔は多様な形状であってもよいが、円形、楕円形、多角形、スリット、斜線スリットのうちいすれか一つの形状を有する孔型でもよく、メッシュ型でもよい。ところが、該分割板360の貫通孔は前述した形状に必ず限定されるものではない。
【0032】
このように分割板360に貫通孔が形成されている場合、該貫通孔を通してそれぞれの単位空間が相互連通し得るので、膜ハウジング310の一つの単位空間に留まっていた未反応ガスが別の単位空間に流れていくことも可能であり、よって未反応ガスが膜ハウジング310の内部に形成された単位空間のうち特定の単位空間だけに偏って流れ込むことを防止することができる。
【0033】
該膜ハウジング310における偏重現象を円滑に防止するために、分割板360により形成された単位空間の数をできるだけ多くすることが望ましくあり得る。しかし、膜ハウジング310の製造工程や製造コストなどを勘案すると、該膜ハウジング310は2ないし9個の単位空間を有することが望ましくあり得る。
【0034】
また、該分割板360は、図1に示すように、第1または第2プレート360a、360bを備えてもよく、該第1プレート360a及び第2プレート360bは相互直行してもよい。
【0035】
図3は、本発明の一実施例に係る燃料電池用加湿器の分解斜視図であり、図4は本発明の一実施例に係る膜ハウジング310の平面図(a)及び背面図(b)を示したものであり、図5は図3のI−I′切断面を示したものである。
【0036】
該分割板360の少なくとも一部分には、二重隔壁361が形成されてもよい。例えば、該分割板360には、図3ないし図5に示すように、両末端部に二重隔壁361が形成されてもよい。このように二重隔壁361が両末端部に形成された分割板360が該膜ハウジング310の内部に設置される場合、反応ガスが入り込むことを防止するために、シーリング剤が該二重隔壁361の末端部に設けられてもよい。
【0037】
一方、該二重隔壁361の少なくとも片方の隔壁には、ウインド363が形成されるとよい。該ウインド363は、二重隔壁361の内部空間と膜ハウジング310の内部に形成されたそれぞれの単位空間を相互連通させる役割をする。このように二重隔壁361に形成されたウインド363を通して高湿の未反応ガスが二重隔壁361の内部空間及び膜ハウジング310の内部に形成されたそれぞれの単位空間を自由に移動することができるようになる。したがって、高湿の未反応ガスが膜ハウジング310の一部分に偏ることなく、全体的により均等に流れるようになる。
【0038】
図6は、本発明の他の実施例に係る分割板が設けられた膜ハウジングの斜視図である。図6に示すように、該膜ハウジング310の該分割板360と接触する部分のそれぞれに該分割板360を挟んで相互対向するように形成された第1及び第2ホールが形成されて、該第1及び第2ホールが連通するように該分割板360の内部に貫通路362を形成するとよい。このように該分割板360の貫通路362と、該貫通路362と連通された第1及び第2ホールを通して、高湿の未反応ガスが該膜ハウジング310の上部及び下部を自由に流れるようになる。したがって、高湿の未反応ガスが膜ハウジング310の外部の全体にわたって均一に供給されるようになる。例えば、該膜ハウジング310の上部に高湿の未反応ガスが過度に流れる場合、上部を流れる高湿の未反応ガスが該膜ハウジング310の第1及び第2ホールと連通された該貫通路362を通して下部に流れることによって、高湿の未反応ガスが該膜ハウジング310の全体にわたって均一に流入されることができる。
【0039】
また、図3ないし図5に示すように、該二重隔壁361は内部が貫通しているので、内部に貫通路362を有するようになる。このように二重隔壁361の内部に形成された貫通路362を通して、高湿の未反応ガスが該膜ハウジング310の上部及び下部をさらに自由に流れることができる。よって、高湿の未反応ガスが該膜ハウジング310の外部全体にわたってさらに均一に流れるようになる。
【0040】
一方、該分割板360には、該貫通路362と該単位空間を連通させるためのウインド363が形成されるとよい。このように該分割板360に形成されたウインド363を通して高湿の未反応ガスが膜ハウジング310の内部に形成されたそれぞれの単位空間を自由に移動できるため、高湿の未反応ガスが該膜ハウジング310の内部全体にわたってさらに均一に流れるようになる。
【0041】
図7は、本発明の他の実施例に係る図3のI−I′切断面を示したものである。
【0042】
従来は、図10と図11に示すように、高湿の未反応ガスが第2流入口221から近い位置にある分配孔211に集中して流れるため、加湿性能が落ちて、中空糸膜370における汚染の偏りが著しくなる。
【0043】
しかしながら、図7に示すように、本発明の加湿器は、第1カバー部320の内部壁面に形成された導出部322を備えることができる。該突出部は、第2流入口321を通して流入された高湿の未反応ガスが直線的に流れることを妨げることによって、高湿の未反応ガスが該第2流入口321と近い膜ハウジング310の分配孔311だけに集中して流れることを防止することができる。すなわち、高湿の未反応ガスが該膜ハウジング310の外部全体にわたって均等に流れて、該膜ハウジング310の内部全体に均一に供給されるため、膜ハウジング310の内部に集積されたそれぞれの中空糸膜370には均一に水分が伝わるようになる。これによって、加湿性能が格段に向上し、中空糸膜370における汚染の偏りを防止することができる。
【0044】
該導出部322の形状は特に限定されないものの、半円筒、半球、頂点の丸い円錐形のような屈曲した形状や、多角錘、円錐、多角柱、多角球形のような角張った形状などを用いることができ、さらに、渦流を形成しやすく、流れをさほど妨げない屈曲した形状の流線型がより望ましくあり得る。
【0045】
また、該導出部322は分配孔311の上部に位置することにより、未反応ガスが偏って流れることをさらに效果的に防止することができる。一方、該導出部322は該第1カバー部320の内部壁面に適宜な個数だけ形成されてもよいが、すべての分配孔311に均等に高湿の未反応ガスが流れていくように、該すべての分配孔311と一対一に対応できるように形成されることが望ましくあり得る。
【0046】
図8と図9は、本発明の他の実施例に係る膜ハウジング310の斜視図である。本発明の燃料電池用加湿器は、図8に示すように、円柱型の膜ハウジング310を備えてもよく、図9に示すように、八角柱型の膜ハウジング310を備えてもよい。特に、図9に示すように、多角形断面を有する該燃料電池用加湿器は、それぞれの面に一つの二重隔壁361及び貫通路362が設けられており、該二重隔壁361のそれぞれの隔壁にはウインド363が形成されることによって、高湿の未反応ガスが膜ハウジング310の内部全体にわたってさらに均等に流れるようになる。
【0047】
一方、該燃料電池用加湿器は、三角柱型、五角柱型、六角柱型など多様な多角柱型を備えてもよく、或いは、楕円柱型などの多様な非円形柱型を備えてもよいが、必ずしもこれらの形状に限定されるものではない。
【0048】
該膜ハウジング310の第2末端部には、低湿の未反応ガスを外部に排出するための第2排出口331が形成された第2カバー部330が備えられている。該第2排出口331は該第2カバー部330の下部に形成されてもよく、形状は長方形でよい。
【0049】
該第2カバー部330の内面と該膜ハウジング310の第2末端部との間にはシーリング部(不図示)が設けられており、水分を失った未反応ガスが第2排出口331のみを通して排出されるようにする。
【0050】
該第1カバー部320の末端には、第1排出口351の形成された第1キャップ350が装着される。該第1排出口351を通して中空糸膜370から水分を与えられた反応ガスが排出されて燃料電池に供給される。
【0051】
該第2カバー部330の末端には第1流入口341の形成された第2キャップ340が装着される。該第1流入口341を通して応ガスが流入される。
【0052】
次に、本発明の一実施例に係る燃料電池用加湿器の動作を具体的に説明すると、次のようになります。
【0053】
燃料電池に供給される反応ガスが第1流入口341を通して加湿器に流入されると同時に、スタックから排出される高湿の未反応ガスが第2流入口321を通して第1カバー部320の内部に流入される。このように流入された高湿の未反応ガスは、導出部322と衝突されることにより、均一に多数の分配孔311を通して膜ハウジング310の内部に流れ込む。
【0054】
この際、高湿の未反応ガスは、膜ハウジング310の第1及び第2ホールとこれらと連通された貫通路362を通して二重隔壁361の内部に流れ、該二重隔壁361のそれぞれの隔壁に形成されたウインド363を通して膜ハウジング310の内部に形成されたそれぞれの単位空間を自由に移動することによって、膜ハウジング310の全体に均等に供給される。
【0055】
一方、第1流入口341を通して流入された反応ガスは、中空糸膜370の中空部に沿って流れ、第1排出口351を通して燃料電池内に送られる。第1流入口341を通して流入された反応ガスは乾燥状態であるが、膜ハウジング310の内部に流入された未反応ガスは多量の水分を含んでいるため、中空糸膜370の内外で湿度差が生じる。このような中空糸膜370の内外の湿度差によって、未反応ガスの水分が中空糸膜370を通して選択的に透過されて、該中空糸膜370の中空部を流れる反応ガスに供給される。
【0056】
その反面、未反応ガスは中空糸膜370を通して反応ガスに水分を供給することによって次第に乾燥し、この乾燥された未反応ガスは多数の排出孔312及び第2排出口331を通して加湿器の外部に排出される。
【0057】
結果的に、上述した作動原理により、元々の反応ガスより高い湿度を有する反応ガスを燃料電池に供給することができる。
【0058】
本発明に係る燃料電池用加湿器によれば、水分を含んだ未反応ガスが加湿器内の中空糸膜370に均等に提供されることによって、中空糸膜370の汚染現象が一箇所に集中せず、全体的に満遍なく発生するようになる。その結果、中空糸膜370の汚染を最大限に抑えて中空糸膜370の交換周期を延長することができるため、加湿器の維持及び補修費用を節減することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用の加湿器に係り、より具体的には、加湿性能を向上させるための燃料電池用加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、水素と酸素を結合させて電気を生産する発電型電池のことである。燃料電池は、乾電池や蓄電池などの一般化学電池とは異なり、水素と酸素が供給される限り電気を生産し続けることができ、熱損失がなくて内燃機関より2倍程度効率が高い。また、水素と酸素の結合により発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換できるため、公害物質の排出量が少ない。したがって、燃料電池は、環境親和的でかつ化石燃料の枯渇を心配する必要がないという利点がある。
【0003】
かかる燃料電池は、用いられる電解質の種類により、高分子電解質型燃料電池、燐酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体酸化物型燃料電池、及びアルカリ型燃料電池などに大別される。
【0004】
高分子電解質型燃料電池の性能を向上させるにおいて、もっとも重要な要因の一つは、膜−電極接合体の高分子電解質膜に所定の水分を供給することによって含水率を保ち続けることである。なぜなら、高分子電解質膜が乾燥すると、発電効率が急激に低下するからである。
【0005】
高分子電解質膜を加湿する方法の一つとして、高分子分離膜を用いて乾燥した反応ガスに水分を供給する加湿膜方式がある。
【0006】
加湿膜方式は、未反応ガスの中に含まれている水蒸気だけを選択的に透過させる膜を用いて、未反応ガス中の水蒸気を高分子電解質膜に提供する方式であって、加湿器を軽量化かつ小型化できるという利点がある。
【0007】
かかる加湿膜方式に用いられる選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当たりの透過面積の大きい中空糸膜が望ましい。すなわち、中空糸膜を用いて加湿器を製造する場合、接触表面積の広い中空糸膜の高集積化が可能になるため、体積を小さくしても燃料電池の加湿が十分に行われて、安価な素材を用いることができる。さらに、燃料電池から高温で排出される未反応ガスに含まれている水分と熱を回収し、加湿器を通してリサイクルできるという利点がある。
【0008】
図10と図11は、従来の燃料電池用加湿器を示したものであり、この燃料電池用加湿器は、中空部を流れる反応ガスに水分を供給するための中空糸膜270の束が集積された膜ハウジング210と、高湿の未反応ガスを流入させる第2流入口221と、これを排出させる第2排出口とを備えて構成されている。
【0009】
しかしながら、従来の燃料電池用加湿器においては、膜ハウジング210内に流入された高湿の未反応ガスが、圧力の最も低い部分、すなわち中空糸膜220が低い密度で集積されている部分に集中して流入してしまう問題があった。すなわち、高湿の未反応ガスと集中的に接触した中空糸膜220に流入された反応ガスのみに水分が円滑に供給されて、高湿の未反応ガスと接触していない中空糸膜220に流入された反応ガスには水分が供給されなくなる問題があった。しがたって、燃料電池用加湿器は加湿性能が低下し、高湿の未反応ガスが中空糸膜220と不均一に接触することによって、中空糸膜220の汚染のばらつきが激しくなり、中空糸膜220の交換周期が早まる問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる問題点を解決するために案出されたものであって、本発明はハウジングの内部に流入された高湿の未反応ガスが、圧力の低い部分に偏って流れることを防止するための燃料電池用加湿器を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述したような目的を達成するために、本発明は、膜ハウジング;前記膜ハウジングの内部空間を多数の単位空間に分割する分割板;前記単位空間内の中空糸膜;及び前記膜ハウジングの一端に装着され、スタックから排出された高湿の未反応ガスが流入されるための流入口を有するカバー部を備えて、前記膜ハウジングには前記単位空間のそれぞれに対応する多数の分配孔が形成されたことを特徴とする燃料電池用加湿器を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明には次のような効果がある。
【0013】
本発明に係る燃料電池用加湿器は、流入される高湿の未反応ガスが膜ハウジング内に集積されたすべての中空糸膜と均一に接触するため、前記それぞれの中空糸膜の内部を流れる反応ガスが均等に加湿される。したがって、本発明の燃料電池用加湿器には、加湿性能が向上される効果がある。
【0014】
また、本発明の燃料電池用加湿器は、高湿の未反応ガスがすべての中空糸膜と均一に接触するため、中空糸膜の汚染のばらつきを防止することができ、これによって、中空糸膜の交換周期が延長される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例に係る燃料電池用加湿器の分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施例に係る分割板の平面図である。
【図3】本発明の他の実施例に係る燃料電池用加湿器の分解斜視図である。
【図4】図3の膜ハウジングの平面図(a)及び背面図(b)を示すものである。
【図5】図3の1−1’切断面を示すものである。
【図6】本発明の他の実施例に係る分割板が設けられた膜ハウジングの斜視図である。
【図7】本発明の他の実施例に係る図3のI−I′切断面を示すものである。
【図8】本発明の他の実施例に係る膜ハウジングの斜視図である。
【図9】本発明の他の実施例に係る膜ハウジングの斜視図である。
【図10】従来の燃料電池用加湿器の分解斜視図である。
【図11】図10のI″−I′′′切断面を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の技術的思想及び範囲を逸脱しない範囲内で、本発明の多様な変形が可能であることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明は特許請求範囲に記載された発明及びその均等物の範囲内に入るあらゆる変形を含む。
【0017】
膜ハウジング内で高湿の未反応ガスが偏る現象の原因は、二つに大別される。その第一番目の原因は、集積された中空糸膜の密集度の差に起因するチャネリング現象である。このチャネリング現象は、膜ハウジングに中空糸膜を固定するポティング工程で必ず発生するものである。すなわち、中空糸膜を円心形などにポッティングする工程では、力の不均衡のため、局所的に中空糸膜220が密集している部分とまばらな部分が形成されざるを得ない。結局、加湿源として作用する高湿の未反応ガスは、中空糸膜220が最もまばらな部分に偏って流れるようになり、中空糸膜220が密集している部分には流れないため、全体的に加湿効率が急激に低下してしまう。
【0018】
第二番目の原因は、未反応ガスの排出口の位置による偏重現象である。殆どの加湿器は、燃料電池システムの構造によって流入口及び排出口の位置が決まるが、特に、加湿源である高湿の未反応ガスがホールを通して膜ハウジングの内部に均等に流入される場合でも、片方に偏っている排出口により、排出口に向けて圧力配向が起こるために偏重現象が発生する。かかる圧力配向に起因する編重現象により、排出口から遠く離れている中空糸膜は加湿が正しく行われないため、全体的に加湿効率が急激に低下する。
【0019】
本発明は、上述したように、未反応ガスの膜ハウジング内の偏重現象を防止して加湿効率が著しく向上された燃料電池用加湿器を提供することを目的としており、その目的を具現するための具体的な手段を詳細に説明する。
【0020】
以下、添付した図面に基づき本発明に係る燃料電池用加湿器の望ましい実施例について詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施例に係る燃料電池用加湿器を示す分解斜視図である。
【0022】
図1に示すように、本発明の燃料電池用加湿器は、分配孔311の形成された第1末端部及び、前記第1末端部の反対側に位置して排出孔312の形成された第2末端部を備えて、内部に空間が形成された膜ハウジング310を備える。該膜ハウジング310は、その内部に空間が形成されているので中空糸膜370を集積することができる。また、該膜ハウジング310の内部に集積された中空糸膜370に高湿の未反応ガスを供給するために、ハウジング310の第1末端部の上部及び下部に多数の分配孔311が形成されている。また、該中空糸膜370に水分を供給した未反応ガスを外部に排出させるための排出孔312が、該膜ハウジング310の第2末端部の上部及び下部に多数形成されている。
【0023】
該中空糸膜370の両末端は、該膜ハウジング310の両末端部にそれぞれポッティングされている。該中空糸膜370の両末端は開放された状態で存在するため、膜ハウジング310の外部の流体が中空糸膜370の中空を貫通して流れることができる。また、膜ハウジング310の両末端がポッティングされているため、膜ハウジング310の内部への流体の流入及び排出は、該膜ハウジング310の分配孔311及び排出孔312を通してだけ行われる。また、該中空糸膜370は所定直径の気孔を有するため、該中空糸膜370の外部に流れる高湿の未反応ガスから水分だけを選択的に受け入れる。
【0024】
該膜ハウジング310のの第1末端部には、第1カバー部320が装着されている。該第1カバー部320には、スタックから排出された高湿の未反応ガスを流入させるための第2流入口321が形成されている。該第2流入口321から流入された高湿の未反応ガスは、該膜ハウジング310の外部を流れてから分配孔311を通して膜ハウジング310の内部に移動する。該第1カバー部320の内面と該膜ハウジング310の第1末端部との間にはシーリング部(不図示)が設けられて、高湿の未反応ガスが膜ハウジング310の内部のみに流れるようにする。すなわち、該第1カバー部320の第2流入口321が該多数の分配孔311のみに連通されているので、該第2流入口321を通して流入された高湿の未反応ガスは、多数の分配孔311を通してのみ該膜ハウジング310の内部に移動することができる。
【0025】
従来は、図10と図11に示すように、集積された中空糸膜270の密集度の差によって、高湿の未反応ガスが、中空糸膜270の密集度の小さい部分に偏って流れることによって、全体的に加湿効率が急激に低下することがあった。また、排出口が片方に偏っているため、排出口に向かい圧力配向が起こり、これによって排出口から遠く離れている中空糸膜270は加湿効率が急激に落ちるため、全体的に加湿効率が急激に落ちてしまう問題があった。
【0026】
ところが、本発明の燃料電池用加湿器は、膜ハウジング310の内部に設けられた分割板360を備えている。この分割板360により、該膜ハウジング310の内部は多数の単位空間に分割される。このように形成されたそれぞれの単位空間に中空糸膜370が分けられて集積される。よって、それぞれの単位空間は一つの加湿器の役割をすることができる。
【0027】
かかる膜ハウジング310の第1端に形成された多数の分配孔311を通して高湿の未反応ガスがそれぞれの単位空間に流入されて、該流入された高湿の未反応ガスは該膜ハウジング310の第2端に形成された排出孔312を通して排出されるまで、中空糸膜370の長さ方向に沿ってそれぞれの単位空間に留まるようになる。したがって、本発明の燃料電池用加湿器は、膜ハウジング310の内部に集積された中空糸膜370の密集度偏差及び排出口の位置による圧力配向が存在しても、流入された高湿の未反応ガスが中空糸膜370の長さ方向に沿って分割されたそれぞれの単位空間内部に沿って均一に流れるため、中空糸膜370に均等に水分と熱を供給することによって、加湿効率を最大に発揮することができる。
【0028】
該分割板360の厚さは、中空糸膜370の平均直径の1ないし10倍であってもよい。該分割板360の厚さが薄すぎる場合、耐久性が落ち、長時間使用することが困難である反面、該分割板360の厚さが厚すぎる場合には、中空糸膜370の集積効率が落ちて経済性に劣る恐れがある。
【0029】
図2は、本発明の一実施例に係る分割板360の平面図である。
【0030】
図2に示すように、該分割板360は貫通孔のない密閉型でもよい。このように密閉型の分割板360が該膜ハウジング310に設けられる場合、供給された未反応ガスはそれぞれの該単位空間だけに沿って流れるようになる。
【0031】
また、該分割板360の貫通孔は多様な形状であってもよいが、円形、楕円形、多角形、スリット、斜線スリットのうちいすれか一つの形状を有する孔型でもよく、メッシュ型でもよい。ところが、該分割板360の貫通孔は前述した形状に必ず限定されるものではない。
【0032】
このように分割板360に貫通孔が形成されている場合、該貫通孔を通してそれぞれの単位空間が相互連通し得るので、膜ハウジング310の一つの単位空間に留まっていた未反応ガスが別の単位空間に流れていくことも可能であり、よって未反応ガスが膜ハウジング310の内部に形成された単位空間のうち特定の単位空間だけに偏って流れ込むことを防止することができる。
【0033】
該膜ハウジング310における偏重現象を円滑に防止するために、分割板360により形成された単位空間の数をできるだけ多くすることが望ましくあり得る。しかし、膜ハウジング310の製造工程や製造コストなどを勘案すると、該膜ハウジング310は2ないし9個の単位空間を有することが望ましくあり得る。
【0034】
また、該分割板360は、図1に示すように、第1または第2プレート360a、360bを備えてもよく、該第1プレート360a及び第2プレート360bは相互直行してもよい。
【0035】
図3は、本発明の一実施例に係る燃料電池用加湿器の分解斜視図であり、図4は本発明の一実施例に係る膜ハウジング310の平面図(a)及び背面図(b)を示したものであり、図5は図3のI−I′切断面を示したものである。
【0036】
該分割板360の少なくとも一部分には、二重隔壁361が形成されてもよい。例えば、該分割板360には、図3ないし図5に示すように、両末端部に二重隔壁361が形成されてもよい。このように二重隔壁361が両末端部に形成された分割板360が該膜ハウジング310の内部に設置される場合、反応ガスが入り込むことを防止するために、シーリング剤が該二重隔壁361の末端部に設けられてもよい。
【0037】
一方、該二重隔壁361の少なくとも片方の隔壁には、ウインド363が形成されるとよい。該ウインド363は、二重隔壁361の内部空間と膜ハウジング310の内部に形成されたそれぞれの単位空間を相互連通させる役割をする。このように二重隔壁361に形成されたウインド363を通して高湿の未反応ガスが二重隔壁361の内部空間及び膜ハウジング310の内部に形成されたそれぞれの単位空間を自由に移動することができるようになる。したがって、高湿の未反応ガスが膜ハウジング310の一部分に偏ることなく、全体的により均等に流れるようになる。
【0038】
図6は、本発明の他の実施例に係る分割板が設けられた膜ハウジングの斜視図である。図6に示すように、該膜ハウジング310の該分割板360と接触する部分のそれぞれに該分割板360を挟んで相互対向するように形成された第1及び第2ホールが形成されて、該第1及び第2ホールが連通するように該分割板360の内部に貫通路362を形成するとよい。このように該分割板360の貫通路362と、該貫通路362と連通された第1及び第2ホールを通して、高湿の未反応ガスが該膜ハウジング310の上部及び下部を自由に流れるようになる。したがって、高湿の未反応ガスが膜ハウジング310の外部の全体にわたって均一に供給されるようになる。例えば、該膜ハウジング310の上部に高湿の未反応ガスが過度に流れる場合、上部を流れる高湿の未反応ガスが該膜ハウジング310の第1及び第2ホールと連通された該貫通路362を通して下部に流れることによって、高湿の未反応ガスが該膜ハウジング310の全体にわたって均一に流入されることができる。
【0039】
また、図3ないし図5に示すように、該二重隔壁361は内部が貫通しているので、内部に貫通路362を有するようになる。このように二重隔壁361の内部に形成された貫通路362を通して、高湿の未反応ガスが該膜ハウジング310の上部及び下部をさらに自由に流れることができる。よって、高湿の未反応ガスが該膜ハウジング310の外部全体にわたってさらに均一に流れるようになる。
【0040】
一方、該分割板360には、該貫通路362と該単位空間を連通させるためのウインド363が形成されるとよい。このように該分割板360に形成されたウインド363を通して高湿の未反応ガスが膜ハウジング310の内部に形成されたそれぞれの単位空間を自由に移動できるため、高湿の未反応ガスが該膜ハウジング310の内部全体にわたってさらに均一に流れるようになる。
【0041】
図7は、本発明の他の実施例に係る図3のI−I′切断面を示したものである。
【0042】
従来は、図10と図11に示すように、高湿の未反応ガスが第2流入口221から近い位置にある分配孔211に集中して流れるため、加湿性能が落ちて、中空糸膜370における汚染の偏りが著しくなる。
【0043】
しかしながら、図7に示すように、本発明の加湿器は、第1カバー部320の内部壁面に形成された導出部322を備えることができる。該突出部は、第2流入口321を通して流入された高湿の未反応ガスが直線的に流れることを妨げることによって、高湿の未反応ガスが該第2流入口321と近い膜ハウジング310の分配孔311だけに集中して流れることを防止することができる。すなわち、高湿の未反応ガスが該膜ハウジング310の外部全体にわたって均等に流れて、該膜ハウジング310の内部全体に均一に供給されるため、膜ハウジング310の内部に集積されたそれぞれの中空糸膜370には均一に水分が伝わるようになる。これによって、加湿性能が格段に向上し、中空糸膜370における汚染の偏りを防止することができる。
【0044】
該導出部322の形状は特に限定されないものの、半円筒、半球、頂点の丸い円錐形のような屈曲した形状や、多角錘、円錐、多角柱、多角球形のような角張った形状などを用いることができ、さらに、渦流を形成しやすく、流れをさほど妨げない屈曲した形状の流線型がより望ましくあり得る。
【0045】
また、該導出部322は分配孔311の上部に位置することにより、未反応ガスが偏って流れることをさらに效果的に防止することができる。一方、該導出部322は該第1カバー部320の内部壁面に適宜な個数だけ形成されてもよいが、すべての分配孔311に均等に高湿の未反応ガスが流れていくように、該すべての分配孔311と一対一に対応できるように形成されることが望ましくあり得る。
【0046】
図8と図9は、本発明の他の実施例に係る膜ハウジング310の斜視図である。本発明の燃料電池用加湿器は、図8に示すように、円柱型の膜ハウジング310を備えてもよく、図9に示すように、八角柱型の膜ハウジング310を備えてもよい。特に、図9に示すように、多角形断面を有する該燃料電池用加湿器は、それぞれの面に一つの二重隔壁361及び貫通路362が設けられており、該二重隔壁361のそれぞれの隔壁にはウインド363が形成されることによって、高湿の未反応ガスが膜ハウジング310の内部全体にわたってさらに均等に流れるようになる。
【0047】
一方、該燃料電池用加湿器は、三角柱型、五角柱型、六角柱型など多様な多角柱型を備えてもよく、或いは、楕円柱型などの多様な非円形柱型を備えてもよいが、必ずしもこれらの形状に限定されるものではない。
【0048】
該膜ハウジング310の第2末端部には、低湿の未反応ガスを外部に排出するための第2排出口331が形成された第2カバー部330が備えられている。該第2排出口331は該第2カバー部330の下部に形成されてもよく、形状は長方形でよい。
【0049】
該第2カバー部330の内面と該膜ハウジング310の第2末端部との間にはシーリング部(不図示)が設けられており、水分を失った未反応ガスが第2排出口331のみを通して排出されるようにする。
【0050】
該第1カバー部320の末端には、第1排出口351の形成された第1キャップ350が装着される。該第1排出口351を通して中空糸膜370から水分を与えられた反応ガスが排出されて燃料電池に供給される。
【0051】
該第2カバー部330の末端には第1流入口341の形成された第2キャップ340が装着される。該第1流入口341を通して応ガスが流入される。
【0052】
次に、本発明の一実施例に係る燃料電池用加湿器の動作を具体的に説明すると、次のようになります。
【0053】
燃料電池に供給される反応ガスが第1流入口341を通して加湿器に流入されると同時に、スタックから排出される高湿の未反応ガスが第2流入口321を通して第1カバー部320の内部に流入される。このように流入された高湿の未反応ガスは、導出部322と衝突されることにより、均一に多数の分配孔311を通して膜ハウジング310の内部に流れ込む。
【0054】
この際、高湿の未反応ガスは、膜ハウジング310の第1及び第2ホールとこれらと連通された貫通路362を通して二重隔壁361の内部に流れ、該二重隔壁361のそれぞれの隔壁に形成されたウインド363を通して膜ハウジング310の内部に形成されたそれぞれの単位空間を自由に移動することによって、膜ハウジング310の全体に均等に供給される。
【0055】
一方、第1流入口341を通して流入された反応ガスは、中空糸膜370の中空部に沿って流れ、第1排出口351を通して燃料電池内に送られる。第1流入口341を通して流入された反応ガスは乾燥状態であるが、膜ハウジング310の内部に流入された未反応ガスは多量の水分を含んでいるため、中空糸膜370の内外で湿度差が生じる。このような中空糸膜370の内外の湿度差によって、未反応ガスの水分が中空糸膜370を通して選択的に透過されて、該中空糸膜370の中空部を流れる反応ガスに供給される。
【0056】
その反面、未反応ガスは中空糸膜370を通して反応ガスに水分を供給することによって次第に乾燥し、この乾燥された未反応ガスは多数の排出孔312及び第2排出口331を通して加湿器の外部に排出される。
【0057】
結果的に、上述した作動原理により、元々の反応ガスより高い湿度を有する反応ガスを燃料電池に供給することができる。
【0058】
本発明に係る燃料電池用加湿器によれば、水分を含んだ未反応ガスが加湿器内の中空糸膜370に均等に提供されることによって、中空糸膜370の汚染現象が一箇所に集中せず、全体的に満遍なく発生するようになる。その結果、中空糸膜370の汚染を最大限に抑えて中空糸膜370の交換周期を延長することができるため、加湿器の維持及び補修費用を節減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜ハウジング;
前記膜ハウジングの内部空間を多数の単位空間に分割する分割板;
前記単位空間内の中空糸膜;及び
前記膜ハウジングの一端に装着されて、スタックから排出された高湿の未反応ガスが流入されるための流入口を有するカバー部を備えて、
前記膜ハウジングには前記単位空間のそれぞれに対応する多数の分配孔が形成されたことを特徴とする燃料電池用加湿器。
【請求項2】
前記分割板は第1または第2サブプレートを備え、前記第1及び第2サブプレートが相互交差することを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項3】
前記単位空間が相互連通するように、前記分割板には貫通孔が形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項4】
前記カバー部の流入口を通して流入された未反応ガスが前記単位空間に均等に分配されるように、前記カバー部の内部壁面に導出部が形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項5】
前記膜ハウジングの前記分割板と接触する部分のそれぞれに前記分割板を挟んで相互対向するように形成された第1及び第2ホールが形成されて、
前記第1及び第2ホールが連通するように前記分割板の内部に貫通路が形成されていることを特徴とする、請求項1ないし4のうちいずれかに記載の燃料電池用加湿器。
【請求項6】
前記分割板には前記貫通路と前記単位空間を連通させるためのウインドが形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項7】
前記分割板の少なくとも一部分は二重隔壁構造を有することを特徴とする、請求項1ないし4のうちいずれかに記載の燃料電池用加湿器。
【請求項8】
前記二重隔壁構造のうち少なくとも片方の隔壁にウインドが形成されていることを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項9】
前記分割板は、中空糸膜の平均直径の1ないし10倍の厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項1】
膜ハウジング;
前記膜ハウジングの内部空間を多数の単位空間に分割する分割板;
前記単位空間内の中空糸膜;及び
前記膜ハウジングの一端に装着されて、スタックから排出された高湿の未反応ガスが流入されるための流入口を有するカバー部を備えて、
前記膜ハウジングには前記単位空間のそれぞれに対応する多数の分配孔が形成されたことを特徴とする燃料電池用加湿器。
【請求項2】
前記分割板は第1または第2サブプレートを備え、前記第1及び第2サブプレートが相互交差することを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項3】
前記単位空間が相互連通するように、前記分割板には貫通孔が形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項4】
前記カバー部の流入口を通して流入された未反応ガスが前記単位空間に均等に分配されるように、前記カバー部の内部壁面に導出部が形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項5】
前記膜ハウジングの前記分割板と接触する部分のそれぞれに前記分割板を挟んで相互対向するように形成された第1及び第2ホールが形成されて、
前記第1及び第2ホールが連通するように前記分割板の内部に貫通路が形成されていることを特徴とする、請求項1ないし4のうちいずれかに記載の燃料電池用加湿器。
【請求項6】
前記分割板には前記貫通路と前記単位空間を連通させるためのウインドが形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項7】
前記分割板の少なくとも一部分は二重隔壁構造を有することを特徴とする、請求項1ないし4のうちいずれかに記載の燃料電池用加湿器。
【請求項8】
前記二重隔壁構造のうち少なくとも片方の隔壁にウインドが形成されていることを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項9】
前記分割板は、中空糸膜の平均直径の1ないし10倍の厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【図1】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図2(c)】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図2(c)】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−519976(P2013−519976A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552821(P2012−552821)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【国際出願番号】PCT/KR2011/002129
【国際公開番号】WO2011/122822
【国際公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(597114649)コーロン インダストリーズ インク (99)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【国際出願番号】PCT/KR2011/002129
【国際公開番号】WO2011/122822
【国際公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(597114649)コーロン インダストリーズ インク (99)
【Fターム(参考)】
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