説明

燃焼制御装置

【課題】 使用者が容易に自動保温動作継続時間を変更することができるようにする。
【解決手段】 この考案の燃焼制御装置1は、浴槽部10の浴槽11内に張られた湯11aを時間間隔をおいて繰り返し追焚きし、浴槽11内の実湯温があらかじめ定められた設定温度に達するたびに追焚を終了させて自動保温動作を行うとともに、あらかじめ設定された保温継続時間内は、自動保温動作を繰り返し行う燃焼制御装置1において、保温継続時間を使用者の設定により任意に変更する保温継続時間変更手段(23,3,7等)を設けた、ことを特徴としている。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、浴槽内に張られた湯を時間間隔をおいて繰り返し追焚きし、浴槽内の実湯温があらかじめ定められた設定温度に達するたびに追焚を終了させて自動保温動作を行うとともに、あらかじめ固定値として設定された保温継続時間内は、自動保温動作を繰り返し行う燃焼制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
浴槽内に張られた湯の温度を設定温度に保つ燃焼制御装置において、保温動作継続時間はあらかじめ設定されている固定値であり、使用者が任意に変更することが不可能である。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、上記のように、保温動作継続時間が固定されていると、例えば大家族では、最初の入浴者から最終の入浴者迄の時間が様々であり、最終入浴者が入浴する頃には保温動作継続時間が経過して保温動作が終了している場合も多く発生し、冬場など外気温度の低い場合は浴槽内湯温が著しく低下することもある。
【0004】
このような場合、入浴者は再度、適温まで追焚等を行うこととなるが、この適温迄の追焚時間が長いほど入浴者の不快感は高まることとなる。更に時間の無駄でもある。
【0005】
また、大家族でなくとも、入浴者の入浴迄の時間は様々であり、保温動作継続時間を調整できるようにしたいという要請は強くあった。
【0006】
この考案は上記に鑑み提案されたもので、使用者が容易に自動保温動作継続時間を変更することができる燃焼制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この考案の燃焼制御装置は、浴槽内に張られた湯を時間間隔をおいて繰り返し追焚きし、浴槽内の実湯温があらかじめ定められた設定温度に達するたびに追焚を終了させて自動保温動作を行うとともに、あらかじめ設定された保温継続時間内は、自動保温動作を繰り返し行う燃焼制御装置において、上記保温継続時間を使用者の設定により任意に変更する保温継続時間変更手段を設けた、ことを特徴としている。
【0008】
【考案の実施の形態】
以下にこの考案の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
図1はこの考案の燃焼制御装置の構成を示すブロック図である。図において、この考案の燃焼制御装置1は、浴槽部10の浴槽11内に張られた湯11aを時間間隔をおいて繰り返し追焚きし、浴槽11内の実湯温があらかじめ定められた設定温度に達するたびに追焚を終了させて自動保温動作を行うとともに、あらかじめ設定された保温継続時間内は、自動保温動作を繰り返し行う燃焼制御装置1において、保温継続時間を使用者の設定により任意に変更する保温継続時間変更手段(23,3,7等)を設けた、ことを特徴としている。
【0010】
上記の燃焼制御装置1は、リモートコントローラ(以下、「リモコン」という)1Aと制御装置本体1Bとから成り、リモコン1Aは、マイクロコンピュータ3を中心に、スイッチ部(操作部)2と表示部4と通信制御部5とを備えて構成されている。マイクロコンピュータ3は、ここでは図示されていないCPU、ROM、RAM等から構成され、ROMに記憶されている本考案に係るプログラム等に基づいて、各種信号を生成し、その信号を通信制御部5を経由して制御装置本体1Bに送信している。
【0011】
リモコン1Aのスイッチ部2には、燃焼制御装置1の動作に必要な各種スイッチ、例えば燃焼制御装置1のオン・オフを行う電源スイッチ21、自動保温動作のオン・オフを行う保温スイッチ22、および保温継続時間の設定を行う保温継続時間変更スイッチ(以下「時間変更スイッチ」という)23を配設している。
【0012】
制御装置本体1Bは、マイクロコンピュータ7を中心に、EEPROM(電気的消去形PROM)2と燃焼制御部6と通信制御部5とを備えて構成されている。マイクロコンピュータ7は、上記のリモコン1Aのマイクロコンピュータ3と同様に、ここでは図示されていないCPU、ROM、RAM等から構成され、ROMに記憶されている本考案に係るプログラム等に基づき、各種信号を生成し燃焼制御部6に出力している。その場合、マイクロコンピュータ7は、通信制御部5,9を経由して入ってきたリモコン1Aからの信号や、EEPROM2に記憶してあるデータを参照して、各種信号の生成を行う。
【0013】
燃焼制御部6は、マイクロコンピュータ7から出力された各種信号に基づいて、浴槽部10のここでは図示されていない比例弁や電磁弁等を制御し、供給熱量や水量を調整することで、例えば自動保温動作(自動保温制御)を行う。すなわち、浴槽11内に張られた湯11aを時間間隔をおいて繰り返し追焚きし、浴槽11内の実湯温があらかじめ定められた設定温度に達するたびに追焚を終了させる自動保温動作を行う。
【0014】
次に、燃焼制御装置1が行う自動保温動作について説明する。自動保温動作を行うには、先ずスイッチ部2の保温スイッチ22をオンする。リモコン1Aのマイクロコンピュータ3は、このオン信号を受けて、予め制御装置本体1BのEEPROM8に初期値として設定されている保温動作継続時間(以下「設定時間」
という)T0を、通信制御部5、通信線20および通信制御部9を経由して読み出すとともに表示部4に表示し、その後経過した時間を設定時間T0から減算し、その減算した時間を、自動保温動作終了までの残り時間Tとして画面表示する。また、マイクロコンピュータ3は、この保温スイッチ22のオン信号を受けて、自動保温動作開始信号を通信制御部5および通信線20を経由して制御装置本体1Bに送信する。
【0015】
制御装置本体1Bのマイクロコンピュータ7は、この自動保温開始信号を通信制御部9を介して受け取り、その開始信号に基づいて所定の自動保温制御を開始し、設定時間T0が経過するまで継続して行う。
【0016】
一方、自動保温動作の設定時間T0を変更するには、上記の自動保温動作時に、スイッチ部2の時間変更スイッチ23をオンする。時間変更スイッチ23をオンすると、表示部4には設定時間T0が画面表示され、例えば時間変更スイッチ23を一回押すと、その画面表示されている設定時間T0が「1」だけ、すなわち1時間だけ加算もしくは減算されるようになっている。このようにして設定時間T0がT1に変更されると、リモコン1Aのマイクロコンピュータ3は、この新たな設定時間T1を、表示部4に画面表示し、その後経過した時間を新たな設定時間T1から減算し、その減算した時間を、自動保温動作終了までの残り時間Tとして画面表示する。また、この設定時間T1を通信制御部5、通信線20および通信制御部9を経由して、制御装置本体1Bに送信する。
【0017】
制御装置本体1Bのマイクロコンピュータ7は、送信されてきた設定時間T1をEEPROM8に書き込んで設定時間の更新を行い、以後の保温動作制御をこの更新した設定時間T1の時間幅で行う。
【0018】
また、その後の時間変更スイッチ23による時間変更も、この新たな設定時間T1に対して行われるようになる。
【0019】
なお、上記の説明では、時間変更スイッチ23のオンを受けて、表示部4に設定時間T0を表示し、その設定時間T0を変更するようにしたが、その他の設定方法で行うようにしてもよい。例えば、時間変更スイッチ23がオンされた時点において、表示部4に表示されている残り時間Tに対して、変更を行うようにしてもよい。その場合は、例えば時間変更スイッチ23を一回押すと、その画面表示されている残り時間Tが「1」だけ、すなわち1時間だけ加算もしくは減算されるようにする。
【0020】
また、時間変更を1時間単位で行うようにしたが、分単位で変更するボタンを追加し、時間変更を1分単位で行うように構成してもよい。
【0021】
以上述べたように、この実施形態では、自動保温動作継続の設定時間T0を任意に変更できるようにしたので、浴槽11が使用される態様に応じて、その設定時間T0(T1)を最適なものに調整することができる。例えば、大家族であって長時間の自動保温動作継続が必要であれば、設定時間を長くすることができ、また少数の家族であって短時間の継続でよければ設定時間を短くすることができる。したがって、従来大家族の場合、設定時間T0の終了後に入浴することになって再度沸かし直しが必要となり、この沸かし直しに無駄な時間・燃料を費やしていたような場合でも、このような無駄を低減することができる。また、従来少数の家族の場合、全員の入浴終了後も電源切り忘れ等により自動保温動作が継続する場合があり、同様に、無駄な時間・燃料を費やしていたが、このような無駄を低減することができる。したがって、省エネルギ化を実現することができ、環境問題の改善にも寄与することができる。
【0022】
【考案の効果】
以上説明したように、この考案の燃焼制御装置によれば、自動保温動作の保温継続時間を任意に変更できるようにしたので、浴槽が使用される態様に応じて、その保温継続時間を最適なものに調整することができる。例えば、大家族であって長時間の自動保温動作継続が必要であれば、保温継続時間を長くすることができ、また少数の家族であって短時間の継続でよければ保温継続時間を短くすることができる。したがって、従来大家族の場合、保温継続時間の終了後に入浴することになって再度沸かし直しが必要となり、この沸かし直しに無駄な時間・燃料を費やしていたような場合でも、このような無駄を低減することができる。また、従来少数の家族の場合、全員の入浴終了後も電源切り忘れ等により自動保温動作が継続する場合があり、同様に、無駄な時間・燃料を費やしていたが、このような無駄を低減することができる。したがって、省エネルギ化を実現することができ、環境問題の改善にも寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の燃焼制御装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 燃焼制御装置
1A リモコン
1B 制御装置本体
2 スイッチ部
3 マイクロコンピュータ
4 表示部
5 通信制御部
6 燃焼制御部
7 マイクロコンピュータ
8 EEPROM
9 通信制御部
10 浴槽部
11 浴槽
11a 湯
20 通信線
21 電源スイッチ
22 保温スイッチ
23 時間変更スイッチ
T 残り時間
T0 初期値としての設定時間
T1 新たな設定時間

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 浴槽内に張られた湯を時間間隔をおいて繰り返し追焚きし、浴槽内の実湯温があらかじめ定められた設定温度に達するたびに追焚を終了させて自動保温動作を行うとともに、あらかじめ設定された保温継続時間内は、自動保温動作を繰り返し行う燃焼制御装置において、上記保温継続時間を使用者の設定により任意に変更する保温継続時間変更手段を設けた、ことを特徴とする燃焼制御装置。
【請求項2】 上記使用者の設定はリモートコントローラの操作部において行う、ことを特徴とする請求項1に記載の燃焼制御装置。
【請求項3】 上記保温継続時間変更手段により変更された時間を表示する表示手段を設けた、ことを特徴とする請求項1または2に記載の燃焼制御装置。
【請求項4】 上記保温継続時間変更手段により変更された時間を、新たな保温継続時間としてEEPROM等の不揮発性記憶手段に記憶する、ことを特徴とする請求項1に記載の燃焼制御装置。
【請求項5】 上記不揮発性記憶手段に記憶した新たな保温継続時間に基づいて自動保温動作を行う、ことを特徴とする請求項4に記載の燃焼制御装置。

【図1】
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【登録番号】第3060466号
【登録日】平成11年(1999)6月16日
【発行日】平成11年(1999)8月31日
【考案の名称】燃焼制御装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】有
【出願番号】実願平10−10254
【出願日】平成10年(1998)12月25日
【出願人】(000174426)阪神エレクトリック株式会社 (291)