説明

燃焼排ガス中の微量有害大気汚染物質除去のための吸着剤及びその製造方法

【課題】燃焼排気ガス中の微量有害大気汚染物質除去のための吸着剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、重油を燃焼するボイラーから発生する産業廃棄物である重油灰を使用して経済的に吸着剤を製造し、微量有害大気汚染物質に対する優れた吸着性能を有する吸着剤を製造することによって、大型ボイラーから排出される燃焼排ガス中に含まれた低濃度の有害大気汚染物質を少量の吸着剤噴射で除去できるようにすることで、石炭火力発電所における飛散石炭灰のリサイクル率の低下を防止し、設備運用費用を最小化し得る燃焼排ガス中の微量有害大気汚染物質除去のための吸着剤及びその製造方法に関するものである。上記吸着剤は硫黄、ヨウ素、ブロム、塩素のいずれか一つの化学物質を0.1〜30重量%添着した活性化された重油灰を含んでなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害大気汚染物質吸着剤に関し、特に、重油を燃焼するボイラーから発生する産業廃棄物である重油灰を利用して、燃焼排ガス中に含まれた微量の水銀化合物に対する優れた吸着性能を有する安価な吸着剤を製造し、大型ボイラーから排出される燃焼排ガス中に含まれた低濃度の水銀化合物を除去することによって、高い費用をかけて処理されている産業廃棄物である重油灰をリサイクルして、高付加価値の吸着剤に転化し、吸着剤の使用量を減らし、石炭火力発電所における飛散石炭灰のリサイクル率の低下を防止し、大容量排ガス中の水銀化合物を除去するための吸着剤噴射工程設備の運用費用を最小化し得る燃焼排ガスに含まれた微量の有害大気汚染物質除去のための吸着剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴミや廃棄物などには、水銀や砒素のような人体に有害な微量の有害物質が含まれている。このようなゴミや廃棄物などを焼却場のボイラーで燃焼する際に、ゴミや廃棄物などに含まれている有害物質のうち水銀のような揮発性の大きい物質は、その一部が蒸気相で燃焼排気ガスとともに大気中に排出され、有害大気汚染物質となる。
【0003】
このように大気中に排出された水銀は、自然界の循環過程や食物連鎖の作用によって人体に蓄積され、多様な疾病を誘発するようになる。すなわち、大気中に排出された水銀は、自然界の循環過程でメチル水銀の形態で食物連鎖ピラミッドの最上層にある人体に蓄積される場合、神経系統及び脳に損傷を与えるようになり、胎児や乳児には深刻な障害を起こす原因となる。
【0004】
このため、世界各国では、水銀の排出源としてよく知られているゴミや廃棄物の焼却場に対する排出規制値を定め、遵守している。
【0005】
最近、大気中に水銀を最も多く排出する主要因が、人間活動のための電気エネルギーを得るために大量の石炭を燃焼する火力発電所であることが知られるようになり、これまでは、火力発電所から排出される水銀や微量の有害大気汚染物質に対して、その排出濃度が低かったため火力発電所を規制対象から除外していたが、濃度ではなく排出量からすればその累積排出量を無視することができず、対策が必要となった。米国EPAでは、石炭火力発電所の排気ガスに含まれて排出される水銀に対し、2010年から排出規制を実施する法を2005年3月15日に確定発表し、ヨーロッパやその他の国々でも石炭火力発電所の水銀排出に対する規制法案を準備している。
【0006】
ゴミや廃棄物の焼却場、石炭火力発電所、製鉄所などで使用されている大型ボイラーの燃焼排気ガス中には、水銀や人体に有害な微量の有害大気汚染物質が含まれているが、このような人体に有害な微量の有害大気汚染物質を除去するための方法として、実用化可能な技術には、吸着剤を使用する吸着方式がある。
【0007】
吸着剤を使用して有害大気汚染物質を除去する際に、中小型焼却場では、汚染物吸着容量の大きい粒状吸着剤を固定層反応器に充填して用いることができるが、ゴミや廃棄物の焼却場、石炭火力発電所、製鉄所などで使用されている大型のボイラーでは、圧力損失の問題から固定層反応器の利用が困難であるため、粉末状の吸着剤を噴射して有害大気汚染物質を除去する方法を採用する必要がある。
【0008】
ゴミや廃棄物の焼却場、石炭火力発電所、製鉄所などで利用されている大型ボイラーで、水銀や微量の有害大気汚染物質を除去するための粉末状吸着剤として最優先的に考慮できるものが活性炭である。
【0009】
活性炭の製造原料には、有煙炭、褐炭、ココナッツ皮、木材など様々な種類がある。活性炭は、このような原料を高温で水蒸気や二酸化炭素を利用して活性化させて作る。活性炭は、比表面積及び微細気孔が大きいので、汚染物を吸着できる容量が大きく、他の吸着剤に比して比較的安価である。
【0010】
図1は、従来の粉末活性炭を用いた燃焼排気ガス中の微量有害大気汚染物質の除去装置の構成図である。図1に示すように、従来の粉末活性炭を用いた燃焼排ガス中の微量の有害大気汚染物質の除去装置は、ボイラー1から排出された燃焼排気ガスに吸着剤噴射装置2を利用して粉末活性炭を噴射して、燃焼排気ガス中の微量の有害大気汚染物質を吸着し、粒子除去装置3でこれを回収する構造からなる。
【0011】
しかしながら、このような従来の燃焼排ガス中の微量の有害大気汚染物質の除去装置は、吸着剤噴射装置2の粉末活性炭を噴射する地点から粒子除去装置3との間で、燃焼排気ガス中の水銀化合物と粉末活性炭が接触できる時間が短いため、大容量の燃焼排気ガス中に低濃度で含まれている水銀化合物の除去効率を高めるために多量の粉末活性炭が必要であり、これによる運営費用の増加が実用上最も大きな問題点となっていた。
【0012】
従って、粉末活性炭の投入量を最小化し、活性炭消費による設備の運用費用を低減するためには、少量の活性炭で所望の水銀除去率を得ることができる反応性に優れた安価な活性炭の開発が課題となっている。
【0013】
特に、活性炭の投入に伴って石炭火力発電所では、飛散石炭灰のリサイクル率も低下するおそれがあるため、高性能の吸着性能を有する安価な活性炭を製造できる方法が要求されている。
【0014】
まず、高性能の水銀化合物吸着性能を有する活性炭を得るために、瀝青炭や褐炭などの石炭や、ココナッツ皮などの材料で製造された活性炭に、ヨウ素、塩素、ブロム、硫黄などを添着したり、硝酸や硫酸水溶液で化学処理して活性炭の表面を改質する方法が提示されており、これらの化学物質で活性炭を処理する最適条件に関する研究も盛んに進められている。しかしながら、上記化学物質を添着する粉末状活性炭の場合、化学物質を添着するために使用した活性炭自体の値段のため、噴射吸着用水銀吸着剤として使用するには価格が高い。
【0015】
そして、安価な活性炭を得るために、タイヤや石油精製の残渣などの高炭素成分を含む廃棄物を活性炭の燃料として利用しようとする試みもあるが、大容量の燃焼排気ガスに含まれた微量の水銀化合物除去のための噴射吸着用水銀吸着剤として実用化できるほどの成果が得られていない。
【0016】
また、炭素系支持体にブロムで処理した吸着剤を使用して燃焼排ガス中の水銀化合物を除去する方法が提示されており、この方法では、炭素系支持体として活性炭(activated carbon)、活性チャコール(activated charcoal)、活性コークス(activated coke)、チャー(char)、未燃炭素(unburned carbon)または部分燃焼炭素(partially-burned carbon)、硫黄が添着されたPAC(sulfur impregnated PAC)などを使用し、活性炭(activated carbon)が好適であるとしている。炭素系支持体を活性化する工程を加える場合、炭素系支持体を水蒸気賦活工程を経た炭素系物質と指定した。
【0017】
また、米国特許6,103,205号では、相当量の硫黄を含有している廃タイヤ(スクラップタイヤ)やその他の廃棄物を熱分解と二酸化炭素を利用した活性化過程を通じて硫黄含量が3重量%以上である活性炭を作製し、これを固定層反応器に充填し、水銀を含んだ燃焼排ガスを固定層反応器を通過させることによって水銀を除去し、水銀を吸着した固定層反応器内の活性炭は再び再生して使用する工程を提示した。
【0018】
また、米国特許6,726,888号及び6,863,005号では、ボイラー内の燃焼領域において様々な燃焼変数を調節して未然炭素分の含量を増加させ、燃焼排ガスの温度が低くなる燃焼後の領域において燃焼排ガス中の水銀が未然炭素分に吸着されるようにして、燃焼排ガス中の水銀含量を低下させる方法を提示した。
【0019】
また、米国特許6,451,094号では、炭素系原料物質を排ガス流上で活性化可能な位置に供給してインサイチュ(in-situ)で活性化させ、活性化された吸着剤が排ガス中の蒸気相有害物質を吸着する方法を提示した。
【0020】
また、米国特許6,027,551号では、飛散灰(フライアッシュ)や木灰から分離した未燃炭素を噴射して燃焼排ガス中の水銀化合物を吸着し、粒子除去装置で回収する方法を提示した。
【0021】
また、米国特許5,607,496号では、活性アルミナを充填層形態に設置して燃焼排ガス中の水銀を吸着し、水銀が吸着された活性アルミナを再生して再使用する方法と、活性アルミナを利用して元素状水銀を水溶性である酸化水銀に転化し、湿式スクラバーで酸化された水銀を除去する方法を提示した。
【0022】
また、米国特許5,787,823号では、粒子除去装置で回収した飛散灰を粒子除去装置の前段の排ガス流に再噴射して、排ガス中の飛散灰の濃度を高めることによって水銀除去効率を向上させる方法を提示した。
【0023】
また、米国特許5,672,323号では、活性炭を電気集塵機の前段の燃焼排ガス流に噴射して、排ガス中の水銀を吸着した後、電気集塵機でこれを回収して再投入することによって、新規活性炭の投入量を減らし、湿式脱硫塔に活性炭充填層を設けて水銀除去効率を向上させる方法を提示した。
【0024】
また、米国特許4,500,327号では、比表面積が200〜2000m/gである活性炭に硫黄や臭化物、ヨウ化物を添着した吸着剤を水銀を含んだガスと接触させてガス中の水銀を除去する工程を提示した。
【0025】
しかしながら、上記米国特許に開示されている燃焼排ガス中の水銀化合物を除去するために開発された吸着剤及び水銀除去方法は、従来の水銀除去用として粉末活性炭を使用する方法に比して、価格面で有利であったり、水銀除去効率がはるかに優れているとはいえないという問題点があった。また、大容量ボイラーから排出される燃焼排ガスに適用するため粉末状に粉砕したり、水銀除去効率を向上させるため追加で吸着剤の加工工程が必要であるという問題点もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明は、上記のような従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、重油を燃焼するボイラーから発生する産業廃棄物である重油灰を利用して、大型ボイラーで排出される燃焼排気ガス中に含まれた低濃度の水銀化合物に対して優れた吸着性能を有する安価な吸着剤を製造することによって、高額の廃棄物処理によって排出されている重油灰をリサイクルして高付加価値の吸着剤に転化すると同時に、石炭火力発電所における飛散石炭灰のリサイクル率の低下を防止し、大容量排気ガス中に含まれている水銀化合物を除去するための吸着剤噴射工程の設備運営費用を最小化することができる燃焼排気ガス中の微量の有害大気汚染物質を除去するための吸着剤及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上述した目的を達成するための本発明は、産業廃棄物として分離され、その処理に費用がかかる重油灰を水銀吸着用材料として利用するものであって、水銀吸着剤を開発するための原材料の値段を大幅に低減し、重油灰自体が排ガス流で飛散可能な大きさの粉末状であり、また、比表面積を高めるための工程として、不活性ガスを利用した熱分解過程を経ず、二酸化炭素を多量含有したガスで活性化する一つの工程のみを用い、また、重油灰が発生する設備や大容量ボイラーを運営しながら、噴射吸着用水銀吸着剤として排ガス中の水銀を除去するための設備現場に重油灰を水銀吸着剤に加工する工程を設ける場合、煙突に放出される排ガスを重油灰活性化のための反応ガスとして最大限活用し、設備から廃棄される廃熱を重油灰の加工工程に活用できるので、吸着剤の製造費用を最小化し、従来の水銀吸着剤と同等以上の水銀吸着性能を有する吸着剤を経済的に製造することができる。
【0028】
また、本発明で、水銀吸着剤を開発するための原料として利用される重油灰は、金属成分を多量含有しており、水銀化合物を含む排ガスとの接触過程で元素状水銀の酸化にも寄与し、水溶性の酸化水銀が除去される湿式スクラーバが設けられている設備の場合には、一層の水銀除去効率の向上も期待できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、重油を燃焼するボイラーから発生する産業廃棄物である重油灰を利用して、燃焼排気ガス中の微量の水銀化合物に対する優れた吸着性能を有する安価な吸着剤を製造することで、大型ボイラーから排出される燃焼排気ガス中に含まれた低濃度の水銀化合物を除去するための吸着剤として使用する場合、従来の吸着剤に比して優れた効率で水銀化合物を除去可能にして、大容量の排ガス中の水銀化合物を除去するための吸着剤噴射工程の適用による費用を最小化できるとともに、高い廃棄物処理費用をかけて処理されている重油灰を高付加価値の吸着剤に転化して販売することによって、重油灰の処理費用を節減し、付加的な経済的利益を得るという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
添付した図面を参照して、本発明の実施形態を、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。本発明の目的、作用、効果、ならびにその他の目的及び特徴や利点などは、実施形態の説明からより明らかになるであろう。
【0031】
本発明の一実施形態に係る燃焼排ガス中の微量の有害大気汚染物質を除去するための吸着剤は、硫黄、ヨウ素、ブロム、塩素のいずれか一つの化学物質を0.1〜30重量%添着した活性化された重油灰を含んでなる。
【0032】
本発明の一実施形態に係る燃焼排ガス中の微量の有害大気汚染物質を除去するための吸着剤の製造方法においては、800〜1100℃の温度で二酸化炭素が10〜100%含有されたガスを重油灰分に供給し、2〜12時間反応させて重油灰を活性化する段階と、活性化された重油灰を蒸気相の硫黄、ヨウ素、ブロム、塩素の中から選択されたいずれか一つの化学物質に露出させ、上記化学物質を0.1〜30重量%添着する段階とを含む。
【0033】
本発明の一実施形態に係る燃焼排ガス中の微量の有害大気汚染物質を除去するための吸着剤の他の製造方法においては、800〜1100℃の温度で二酸化炭素が10〜100%含有されたガスを重油灰分に供給し、2〜12時間反応させることによって重油灰を活性化する段階と、活性化された重油灰を硝酸(0.1〜63重量%)、硫酸(0.1〜98重量%)、塩酸(0.1〜34重量%)の中から選択されたいずれか一つの水溶液に入れて接触させる段階と、水溶液に接触された活性化された重油灰を乾燥させる段階とを含む。
【0034】
上記構成の本発明の一実施形態に係る燃焼排ガス中の微量の有害大気汚染物質を除去するための吸着剤及びその製造方法の作用は、次のとおりである。
【0035】
本発明では、化石燃料を燃焼させる大型ボイラーから排出される燃焼排ガス中に含まれた水銀や微量の有害大気汚染物質を除去するために、ボイラーの後段で粉末状吸着剤を噴射して、有害大気汚染物質を吸着し、集塵装置でこれを除去することにおいて、高性能の有害大気汚染物質の吸着特性を有する安価な吸着剤を、廃棄物として処理される重油灰を利用して製造し、これを大量の燃焼排気ガス中に含有された微量の水銀化合物の吸着に適用する。
【0036】
すなわち、本発明は、重油を燃焼するボイラーから発生する廃棄物である重油灰を活性炭の製造工程を用いて活性化させ、これに硫黄、ヨウ素、ブロム、塩素などの化学成分を添着したり、硫酸水溶液、硝酸水溶液、塩酸水溶液などの酸水溶液で処理し、活性化された重油灰の表面を改質することで、活性化された重油灰及び化学処理された安価な重油灰を燃焼排気ガス中の微量の水銀化合物を除去するための吸着剤として使用する。
【0037】
上記吸着剤は、まず重油灰を活性化し、活性化された重油灰を蒸気相の硫黄、ヨウ素、ブロム、塩素の中から選択されたいずれか一つの化学物質に露出させ、これら化学物質を0.1〜30重量%添着して製造する。
【0038】
又は、上記吸着剤は、まず重油灰を活性化し、活性化された重油灰を硝酸(0.1〜63重量%)、硫酸(0.1〜98重量%)、塩酸(0.1〜34重量%)の中から選択されるいずれか一つの水溶液に入れて充分に接触させた後、水溶液に接触した活性化された重油灰を乾燥させて製造する。以下で、より詳細に説明する。
【0039】
図2は、本発明の一実施形態に係る燃焼排気ガス中の微量の有害大気汚染物質を除去するための吸着剤の製造方法の工程図である。
【0040】
まず、重油灰の活性化は、重油燃焼ボイラーの後段に設けられた粒子除去装置(particle control device)で回収され、廃棄物として排出される重油灰11を反応器に供給した後、重油灰の比表面積を大きくするための活性化ガス12を供給しながら、約800〜1100℃の高温で数時間活性化する工程から構成される。
【0041】
上記重油灰11は、重油燃焼ボイラーの後段に設けられた粒子除去装置で収集された状態そのままで供給可能であり、重油灰に含まれた高価な金属であるバナジウムやニッケルを酸で抽出する工程を経た後に排出される重油灰を使用することもできる。
【0042】
上記重油灰11を活性化するための活性化ガス12は、二酸化炭素が好適であり、二酸化炭素を多量含有している工程副産物ガスを使用してもよい。純粋な二酸化炭素は、ボンベを利用して供給可能である。二酸化炭素を多量含むガスの代表的な例としては、化石燃料を燃焼するボイラーで生成され、大気汚染物質の精製工程を経て煙突から大気中に放出される燃焼排ガス(通常10〜15%の二酸化炭素を含有する。)があり、追加的な精製工程なしに重油灰活性化のための反応ガスとして利用可能であり、排ガス中の酸素含量を低め、二酸化炭素の含量を高めようとする場合には、純粋な二酸化炭素と混合して使用すれば良い。燃焼排ガスを重油灰の活性化用ガスとして利用する工程は、重油発電所のように重油灰が発生する施設(ユーティリティ)や、本発明の主要適用対象でる大容量の石炭ボイラーを稼動する火力発電所のような水銀低減が必要な設備(ユーティリティ)現場に重油灰加工工程を設ける場合、二酸化炭素を含んだ高温の燃焼排ガスや施設の廃熱、及びその他の既存施設を吸着剤製造過程で利用できるので、吸着剤の製造コストを低減できる効果がある。
【0043】
約800〜1100℃の高温で二酸化炭素を多量含む活性化ガス12を連続的に供給すれば、重油灰11がガスと反応して微細気孔が形成され、表面積が増加する。活性化反応時間は、重油灰乾燥試料を基準として約40重量%に減少する時点が適当である。重油発電所の粒子除去装置に捕集された原料重油灰の場合、比表面積が主に10m/g以下であるが、このように活性化させれば、比表面積が約50m/g程度に増加する。バナジウムやニッケル抽出工程を経た重油灰の場合には、比表面積が100m/g以上まで増加する。吸着剤の噴射による燃焼排ガス中の水銀化合物低減工程は、排ガス中の水銀化合物と吸着剤が接触する時間が数秒に過ぎないので、吸着剤の比表面積が大きくなくても良く、水銀吸着性能を向上させるために化学物質を添着する場合には、活性化された重油灰の有する比表面積だけでも充分である。
【0044】
上記活性化工程により比表面積が増大した重油灰に対して、化学物質添着工程を行なうことになる。
【0045】
化学物質添着工程は、化学物質を添着する方法によって2つに分けられる。すなわち、気相化学物質13で活性化された重油灰を処理する工程と、液相化学物質14で活性化された重油灰を処理する工程に分類される。
【0046】
活性化された重油灰の燃焼排ガス中の水銀化合物に対する吸着性能を向上させるために使用する気相化学物質13は、硫黄、ブロム、塩素、ヨウ素であり、液相化学物質14は、硫酸、塩酸、硝酸水溶液である。
【0047】
気相化学物質添着工程において、活性化工程を施した重油灰が入っている反応器の温度が気相化学物質13を添着しようとする温度まで下降すれば、気相化学物質13を反応器に注入し、活性化された重油灰と接触させる。例えば、気相化学物質13として硫黄を添着する場合には、反応器の温度が500〜600℃まで下降すれば、硫黄粉末を重油灰の5〜30重量%反応器に注入し、500〜600℃で約2時間程度維持すれば、硫黄が気相状態に変化し、活性化された重油灰の表面に結合する。硫黄と活性化された重油灰が均等に反応できるように反応器を回転させれば、硫黄の添着効果を向上できる。活性化された重油灰に添着する硫黄の量は、重油灰自体に含まれている硫黄量を除いて3〜5重量%程度が適当である。
【0048】
液相化学物質添着工程において、活性化された重油灰を硫酸(0.1〜98重量%)や塩酸(0.1〜34重量%)、または硝酸(0.1〜63重量%)水溶液のいずれかに入れて数時間攪拌した後乾燥させる。酸水溶液で処理した活性化された重油灰を水洗過程を行なわずにそのまま乾燥して使用する場合、水銀除去効率はより高くなるが、高濃度の酸水溶液で処理しそのまま乾燥させた活性化された重油灰を使用する場合、設備腐食の問題や、粉末が固まってしまい噴射が不可能になる問題が生じる可能性があるので、注意が必要である。
【0049】
上記化学物質添着工程を施した吸着剤に対しては、必要に応じて粉砕を行なう。常用の市販の水銀吸着用粉末活性炭の粒子直径は平均20ミクロン以下である。重油灰の場合、平均粒子直径は約50〜70ミクロンである。
【0050】
一般に、吸着剤粒子の大きさが小さいほど吸着剤の効率が高くなるので、加工処理を施した重油灰の燃焼排ガス中の水銀除去効率を向上させるため、追加的な粉砕工程を行うこともある。粒子除去装置に捕集された重油灰の場合、燃焼排ガス流で飛散可能な大きさであるので、追加的な粉砕工程を施さなくても噴射可能であり、水銀吸着剤を製造する際に、吸着剤の粉砕工程にかかる費用を最小化できるという効果がある。
【0051】
このように化学処理された重油灰は、図3に示すように、水銀化合物除去装置を利用して水銀化合物が含まれている燃焼排ガス流に噴射して、水銀化合物を吸着した後、粒子除去装置で回収することになる。
【0052】
図3は、本発明の一実施形態に係る燃焼排気ガス中の微量の有害大気汚染物質を除去するための吸着剤を利用した水銀化合物除去装置の構成図である。
【0053】
水銀が含まれている石炭のような燃料がボイラー15で燃焼されれば、燃料中の水銀は蒸気相で排ガスに含まれてボイラー15から排出され、このようにボイラー15から排出された燃焼排ガスは、節炭器16(エコノマイザー)や空気予熱器17などの熱回収設備を経ることによってその温度が110〜200℃に下降する。この時、ボイラー内部の高温領域では蒸気相の水銀は主に元素状水銀の形態で存在するが、排ガスの温度が下降すれば、元素状水銀の一部が排ガス中の他の化学成分と反応して酸化水銀の形態に変化する。
【0054】
本発明で提示する化学処理された重油灰は、吸着剤保存槽19から熱回収設備を通過した燃焼排ガスが通るダクト18内に燃焼排ガス中に均等に分散できるように噴射される。このように、燃焼排ガス中に噴射された化学処理された重油灰は、燃焼排ガス中の元素状水銀と酸化水銀を含有する蒸気相の水銀化合物を吸着し、燃焼排ガスに含まれた飛散灰(フライアッシュ)とともに、電気集塵機や、繊維フィルタのような粒子除去装置20で捕集される。燃焼排ガスは、煙突(チムニー)から排出される。粒子除去装置20で捕集された化学処理された重油灰は、水銀を飽和吸着した状態ではないので、必要に応じて未然炭素分分離器22で飛散灰から分離循環させて再利用することもできる。
【0055】
飛散灰が既に除去された排ガス流に化学処理された重油灰を噴射し、粒子除去装置20で回収する場合、飛散灰が含まれていない重油灰を得ることができ、同様に、水銀を飽和吸着した状態ではないので、これを再循環させて使用できる。
【0056】
図3の点線で示すような工程は、選択的に適用可能である。すなわち、化学処理された重油灰を利用して、大容量の石炭ボイラーから排出される排気ガス中の水銀を除去する方法は、化学処理した重油灰をボイラーの後段の排ガス流に水銀化合物と十分な接触時間を与えることができる位置に、均等に分散するように噴射して、排気ガス中の水銀化合物を吸着した後、粒子除去装置20で除去して処分する工程と、粒子除去装置20で捕集された化学処理された重油灰を一部循環させて再使用する工程の中から選択される。
【0057】
本願発明の化学処理された重油灰の表面には、水銀や微量の有害大気汚染物質の吸着に有利な反応器が生成され、これによって、吸着速度の増加及び吸着量の増大効果を奏する。
【0058】
本発明では、図4に示すように、固定層反応器を装着した水銀除去効率性能試験装置を利用して、活性化された重油灰、1重量%の硫黄を混合して550℃の温度で添着工程を施して活性化された重油灰(実際の硫黄添着量は1重量%以下)、10重量%の硫黄を混合して550℃の温度で添着工程を施して活性化された重油灰(実際の硫黄添着量は約2.5〜3重量%)、45重量%の硝酸水溶液で処理し、水洗後乾燥させて活性化された重油灰、20重量%の硫酸水溶液で処理し、乾燥させて製造した活性化された重油灰、30重量%の硫酸水溶液で処理し、乾燥させて製造した活性化された重油灰、20重量%の硫酸水溶液で処理し、水洗後、乾燥させて製造した活性化された重油灰、3.5重量%の塩酸水溶液で処理し、水洗後、乾燥させて製造した活性化された重油灰などに対して元素状水銀の吸着性能を実験した。
【0059】
本実験では、活性化された重油灰と、化学処理した活性化された重油灰の水銀吸着性能の向上効果を比べるために、化学物質が添加されていない常用活性炭Aと常用活性炭B、硫黄を添着した常用活性炭C、活性化されていない重油灰に対しても水銀吸着性能実験を行なった。
【0060】
上記活性化された重油灰は、活性化されていない重油灰を900℃から二酸化炭素で5時間活性化させて製造した。
【0061】
実験過程は、吸着剤それぞれに対し、44〜149μmの大きさで60mgを固定層反応器30に充填し、空気恒温槽26の温度を130℃に一定に維持した状態で、元素状水銀発生装置24で一定濃度で発生する元素状水銀を窒素を使用して運搬し、希釈ガス供給装置25から供給される窒素で希釈して、固定層反応器30に注入する。このように水銀を吸着させた後、反応器から出たガスを冷却器31を使用して温度を低くし、ガスの一部を水銀濃度分析器27でサンプリングして、充填層反応器通過前後の水銀濃度を測定して水銀除去効率を分析し、活性炭28で残留水銀を除去した後、排気フードを通じて外部に排気させる方法で水銀除去効率を実験した。
【0062】
吸着剤噴射を利用した燃焼排気ガス中の水銀除去方法は、吸着剤噴射地点から粒子除去装置まで水銀化合物が吸着剤と接触できる時間が数秒に過ぎないので、吸着剤の平衡水銀吸着量よりは初期最大水銀除去効率がより重要である。よって、本発明の実施形態においても初期最大水銀除去効率に重点を置いた。
【0063】
60mgの吸着剤が充填された固定層反応器30を通過する前のガス中の水銀濃度は、三方弁(スリーウェイバルブ)29を利用して水銀濃度分析器27に供給して測定し、反応器通過前後の水銀濃度の差を算出することで、反応器に充填された吸着剤の水銀除去効率を得ることができた。
【0064】
各吸着剤に対し、反応開始後初期1分以内の初期最大水銀除去効率の結果を表に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
上記表から、実験例5において、活性化された重油灰の初期最大水銀除去効率は25.8%であり、実験例4の活性化されていない重油灰の初期最大水銀除去効率17.6%に比べて約1.5倍大きいことがわかり、実験例1と実験例2の化学物質を添着していない一般の常用活性炭の初期最大水銀除去効率26.6%と20.4%と比較すると、ほぼ同等の水銀除去効率を示した。
【0067】
また、実験例6において、1重量%硫黄を混合して添着処理した活性化された重油灰(実際に添着した硫黄の量:<1重量%)の初期最大水銀除去効率は65.5%であり、実験例5の硫黄を添着していない活性化された重油灰に比べて約2.5倍高い除去効率を示した。
【0068】
また、実験例7において、10重量%の硫黄を混合して添着処理した活性化された重油灰(実際に添着した硫黄の量:2.5〜3重量%)は、反応開始初期に供給された水銀を全て除去する結果となっており、実験例3の硫黄添着の常用活性炭Cの硫黄添着量(約9%)に比して非常に少量の硫黄添着量であるにもかかわらず、より高い水銀除去率を示した。
【0069】
また、実験例8において、45重量%の硝酸水溶液に20時間担持した後、超純水で洗浄し、110℃で1日乾燥させた活性化された重油灰の初期最大水銀除去効率は53.8%であり、実験例5で化学処理されていない活性化された重油灰に比べて約2.1倍高い除去効率を示した。
【0070】
また、実験例9において、20重量%の硫酸水溶液に6時間攪拌した後、110℃で1日乾燥させた活性化された重油灰の初期最大水銀除去効率は87.5%であり、実験例5の化学処理されていない活性化された重油灰に比べて約3.4倍高い除去効率を示した。
【0071】
また、実験例10において、30重量%硫酸水溶液に6時間攪拌した後、110℃で1日乾燥させた活性化された重油灰は、反応開始初期に供給された水銀を全て除去した。
【0072】
また、実験例11において、20重量%の硫酸水溶液に2時間攪拌した後、水洗し、110℃で1日乾燥させた活性化された重油灰の初期最大水銀除去効率は37.3%であり、実験例5の化学処理されていない活性化された重油灰に比べて約1.45倍高い除去効率を示した。
【0073】
そして、実験例12において、3.5重量%の塩酸水溶液に2時間攪拌し、純水で洗浄した後、110℃で1日乾燥させた活性化された重油灰の初期最大水銀除去効率は89.0%であり、実験例3の硫黄添着の常用活性炭Cとほぼ同様の除去率を示しており、実験例5の化学処理されていない活性化された重油灰に比べては約3.45倍高い除去効率を示した。
【0074】
本発明では、化学処理した活性化された重油灰が噴射吸着工程においても効果的にガス中の水銀を吸着するかを確認するため、図5に示したように、フロー型反応器を利用して、15重量%の硫黄を混合し、550℃で添着工程を施した活性化された重油灰(実際硫黄添着量約6重量%)及び水銀除去用常用活性炭Dをそれぞれ水銀が含まれたガスに連続的に一定量噴射した後、安定化した水銀除去効率を実験した。
【0075】
実験過程は次のとおりである。元素状水銀発生装置24で一定の濃度で発生する水銀を運搬ガス供給装置25から供給される窒素で希釈して、全体ガス流量を0.5Nm/minで供給し、ガス予熱器で供給ガスの温度を上げる。吸着剤保存槽35からスクリュー状の吸着剤供給機36により供給される吸着剤は、140℃に一定に維持されているフロー型反応器33の前段で供給ガスと混合されてガス中に分散され、フロー反応器33及びガスと吸着剤を分離するサイクロン装置34を通過しながらガス中の水銀を吸着する。吸着剤噴射後、サイクロン34で吸着剤が回収されるまでにガス中に吸着剤が滞留する時間は約1秒ぐらいであり、吸着剤と水銀の重量割合は、吸着剤供給機36から一定量の吸着剤が注入されるので、一定に維持される。サイクロン装置34から分離された吸着剤37は、装置の下段から除去され、吸着剤が分離されたガス38は、上段から排出された後、冷却器31を利用して温度を下げ、ガスの一部を水銀濃度分析器27でサンプリングして、フロー反応器33とサイクロン装置34を通過する前後の水銀濃度を測定して水銀除去効率を分析し、活性炭28で残留水銀を除去した後、排気フードを通じて外部に排気させる方法で水銀除去効率を実験した。
【0076】
各吸着剤に対し、フロー反応器での水銀吸着反応が安定化した後、得られた水銀除去効率の結果を次の表と図6に示した。
【0077】
【表2】

【0078】
上記表及び図6から、実験例14において、15重量%硫黄を混合して、添着処理した活性化された重油灰(実際に添着した硫黄の量:約6重量%)を連続的に水銀を含む排ガス流に噴射した後に測定した安定化された水銀除去効率は72%であり、実験例13の水銀除去用常用活性炭Dの水銀除去効率76%とほぼ同等の水銀除去効率を示した。
【0079】
水銀除去用常用活性炭Dの平均粒子直径は15ミクロンであり、噴射吸着実験に使用した硫黄添着した活性化された重油灰の平均粒子直径は65ミクロンであるので、加工された重油灰をより小さな大きさに粉砕することによって、より高い水銀除去効率を得ることができる。
【0080】
従って、本発明により、重油を燃焼するボイラーから発生する廃棄物である重油灰を利用して、燃焼排ガス中に含まれて排出される微量の水銀化合物を吸着することができる優れた性能の吸着剤を製造することで、燃焼排ガス中の有害大気汚染物質除去用吸着剤を経済的に製造できるとともに、重油灰の処理費用の節減、及び重油灰を高付加価値の吸着剤で転化して販売することによる付加的な経済的効果も得ることができる。
【0081】
そして、本発明で提案する活性炭の製造工程により比表面積を増加させた活性化された重油灰、及びこれを化学処理して吸着性能を増大させた活性化された重油灰を、大量の燃焼排ガスから水銀や微量の有害大気汚染物質を除去する吸着剤として利用すれば、吸着剤の製造原料である重油灰の値段が極めて安価であるか無償であるので、吸着剤の噴射により大容量の燃焼排ガス中の水銀を除去する工程の運用費用を節減することができる。
【0082】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】従来の粉末活性炭を利用した燃焼排気ガス中の微量有害大気汚染物質の除去装置の構成図である。
【図2】本発明の一実施形態による燃焼排気ガス中の微量有害大気汚染物質除去のための吸着剤の製造方法の工程図である。
【図3】本発明の一実施形態による燃焼排気ガス中の微量有害大気汚染物質除去のための吸着剤を利用した水銀化合物除去装置の構成図である。
【図4】固定層反応器を装着した吸着剤の水銀除去効率性能試験装置の構成図である。
【図5】吸着剤噴射装置及びフロー型反応器を装着した吸着剤の水銀除去効率性能試験装置の構成図である。
【図6】本発明の一実施形態による燃焼排気ガス中の微量有害大気汚染物質除去のための吸着剤の水銀除去効率性能を示すグラフである。
【符号の説明】
【0084】
1 ボイラー
2 吸着剤噴射装置
3 粒子除去装置
11 重油灰
12 活性化ガス
13 気相化学物質
14 液相化学物質
15 ボイラー
16 節炭器
17 空気予熱器
18 ダクト
19 吸着剤保存槽
20 粒子除去装置
22 未然炭素分分離器
24 元素状水銀発生装置
25 希釈ガス供給装置
26 空気恒温槽
27 水銀濃度分析器
28 活性炭
29 三方弁
30 固定層反応器
31 冷却器
33 フロー型反応器
34 サイクロン装置
35 吸着剤保存槽
36 吸着剤供給機
37 吸着剤
38 ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄、ヨウ素、ブロム、塩素のいずれか一つの化学物質を0.1〜30重量%添着した活性化された重油灰を含んでなることを特徴とする燃焼排ガス中の微量の有害大気汚染物質除去のための吸着剤。
【請求項2】
800〜1100℃の温度で二酸化炭素が10〜100%含有されたガスを重油灰分に供給し、2〜12時間反応させて重油灰を活性化する段階と、
前記活性化された重油灰を蒸気相の硫黄、ヨウ素、ブロム、塩素の中から選択されたいずれか一つの化学物質に露出させ、前記化学物質を0.1〜30重量%添着する段階と、を含むことを特徴とする燃焼排ガス中の微量有害大気汚染物質除去のための吸着剤の製造方法。
【請求項3】
前記活性化反応時間は、重油灰乾燥試料を基準として約40重量%に減少する時点に設定されることを特徴とする請求項2に記載の燃焼排ガス中の微量有害大気汚染物質除去のための吸着剤の製造方法。
【請求項4】
前記化学物質を添着した重油灰を粉砕する工程をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の燃焼排ガス中の微量有害大気汚染物質除去のための吸着剤の製造方法。
【請求項5】
前記重油灰は、重油燃焼ボイラーの後段に配設されている粒子除去装置で収集されたものをそのまま使用することを特徴とする請求項2に記載の燃焼排ガス中の微量有害大気汚染物質除去のための吸着剤の製造方法。
【請求項6】
前記重油灰は、重油灰に含まれている高価な金属であるバナジウムやニッケルを酸で抽出する工程を施した後に排出される重油灰を使用することを特徴とする請求項2に記載の燃焼排ガス中の微量有害大気汚染物質除去のための吸着剤の製造方法。
【請求項7】
800〜1100℃の温度で二酸化炭素が10〜100%含有されたガスを重油灰分に供給し、2〜12時間反応させることによって、重油灰を活性化する段階と、
前記活性化された重油灰を硝酸(0.1〜63重量%)、硫酸(0.1〜98重量%)、塩酸(0.1〜34重量%)の中から選択されたいずれか一つの水溶液に入れて接触させる段階と、
前記水溶液に接触された活性化された重油灰を乾燥させる段階と、を含むことを特徴とする燃焼排ガス中の微量有害大気汚染物質除去のための吸着剤の製造方法。
【請求項8】
前記活性化反応時間は、重油灰乾燥試料を基準として40重量%に減少する時点に設定されることを特徴とする請求項7に記載の燃焼排ガス中の微量有害大気汚染物質除去のための吸着剤の製造方法。
【請求項9】
前記化学物質を添着した重油灰を粉砕する工程をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の燃焼排ガス中の微量有害大気汚染物質除去のための吸着剤の製造方法。
【請求項10】
前記重油灰は、重油燃焼ボイラーの後段に配設されている粒子除去装置で収集されたものをそのまま使用することを特徴とする請求項7に記載の燃焼排ガス中の微量有害大気汚染物質除去のための吸着剤の製造方法。
【請求項11】
前記重油灰は、重油灰に含まれている高価な金属であるバナジウムやニッケルを酸で抽出する工程を施した後に排出される重油灰を使用することを特徴とする請求項7に記載の燃焼排ガス中の微量有害大気汚染物質除去のための吸着剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−196215(P2007−196215A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−245753(P2006−245753)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(591144268)コリア・エレクトリック・パワー・コーポレーション (16)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ELECTRIC POWER CORPORATION
【Fターム(参考)】