説明

燃焼機器

【課題】ガス検知器の無い環境で用いられたとしても、使用者に対して一酸化炭素ガスの発生を積極的に通知することができる燃焼機器を提供する。
【解決手段】一酸化炭素ガスと接触して変色する一酸化炭素検知剤を含有してなる着色部を、燃焼ガス排出口からの燃焼ガスに対して暴露可能かつ目視容易に設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不完全燃焼によって一酸化炭素ガスを発生しうる燃焼機器に関し、さらに具体的には、ガスファンヒータ、ガス湯わかし器、石油ストーブ、暖炉等の燃焼機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述の簡易な燃焼機器については、一酸化炭素ガス等の空気汚れを検知する検知装置や、ガス漏れ、不完全燃焼検知のためのガス検知器が、前記燃焼機器とは別途設けられていた。
【0003】
しかし、このように別途設けられるガス検知器によると、そのガス検知器のためのコストが嵩んだり、設置箇所に制約を受け、電源の調達が煩わしかったりして、燃焼機器の利用者にガス検知器を設置ようという意識が生まれない。そのため、燃焼機器の提供者は、不完全燃焼が起きているか否かにかかわらず、定期的な換気を奨励し、燃焼機器の利用者が適切にその燃焼機器を利用することを奨励することとしていた。
【0004】
一方、一酸化炭素ガスの検知のための簡易なガスセンサとして、例えば、特許文献1、特許文献2に示す一酸化炭素ガスと接触して変色する一酸化炭素検知剤を用いて、その変色により一酸化炭素ガスを検出する技術が考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国第4043934号明細書
【特許文献2】特許3298639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,特許文献2に開示の材料を一酸化炭素ガス検知に使用するとしても、ガス検知器に使用するにとどまり、ガス検知器の設置位置が適切でなければ、燃焼機器が一酸化炭素ガスを発生しているにもかかわらず、それを迅速かつ確実に検出することができないという問題があった。
本発明は、上記実情に鑑み、ガス検知器の無い環境で用いられたとしても、使用者に対して一酸化炭素ガスの発生を積極的に通知することができる燃焼機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔構成〕
上記技術課題を解決するための本発明の燃焼機器の特徴構成は、一酸化炭素ガスと接触して変色する一酸化炭素検知剤を含有してなる着色部を、燃焼ガス排出口からの燃焼ガスに対して暴露可能かつ機器外部から目視可能に設けてある点にある。
【0008】
〔作用効果〕
つまり、本発明の燃焼機器は、一酸化炭素ガスと接触して変色する一酸化炭素検知剤を含有してなる着色部を、燃焼ガス排出口からの燃焼ガスに対して暴露可能かつ機器外部から目視可能に設けてあるから、前記着色部が前記燃焼機器の排ガスに暴露される。このとき、前記着色部は一酸化炭素ガスと接触して変色する一酸化炭素検知剤を含有しているから、前記燃焼機器が不完全燃焼して燃焼排ガスに一酸化炭素ガスが混入し始めると、前記シート材料中の一酸化炭素検知剤が変色し、警報等の表示機能を発揮する。
【0009】
さらに、前記シート材料は機器外部から目視可能に設けてあるから、前記燃焼機器の使用者は、前記シート材料の変色を容易に確認でき、前記燃焼機器が不完全燃焼を起こし始めていることを速やかに察知することができる。そのため、使用者は室内の換気をするなど、迅速に適切な対応をとる事ができるようになる。したがって、従来の燃焼機器と比較して着色部を設けるだけの簡単な設計変更により、設置場所等に制約を受けず、より安全に使用可能な燃焼機器を提供することができた。
【0010】
燃焼機器の燃焼ガス排出口からの燃焼ガスに対して暴露可能かつ機器外部から目視可能な部分としては、燃焼ガス排出口に設けられるフィンや、排出口の枠部が好ましい形態として考えられるが、前記燃焼機器において発生した一酸化炭素ガスが拡散到達しやすい燃焼ガス排出口が設けられている燃焼機器外面の一部、天面等であっても有効に表示機能を発揮させることができる。尚、燃焼機器外面の一部、天面等に着色部を設ける場合、使用者の注目する機会の多い燃焼機器の操作部や、設定温度、タイマ時間等の表示部近傍に着色部を設けると、着色部の変色を使用者に迅速に察知させることができ、より安全に燃焼機器を使用可能となる。
【0011】
〔構成〕
また、前記着色部を設けたシート材料を、燃焼ガス排出口からの燃焼ガスに対して暴露可能かつ機器外部から目視可能に貼着してあってもよい。
【0012】
〔作用効果〕
一酸化炭素ガスと接触して変色する一酸化炭素検知剤を含有してなる着色部を設けたシート材料を、燃焼ガス排出口からの燃焼ガスに対して暴露可能に貼付してあれば、前記燃焼機器の排ガスが前記シート材料に暴露される。このとき、前記シート材料には一酸化炭素ガスと接触して変色する一酸化炭素検知剤を含有しているから、前記燃焼機器が不完全燃焼して燃焼排ガスに一酸化炭素ガスが混入し始めると、前記シート材料中の一酸化炭素検知剤が変色し、警報等の表示機能を発揮する。
【0013】
前記着色部をシート材料に設けてあれば、前記燃焼機器に設けた着色部が経時劣化したとしても、その燃焼機器のシート材料部分のみを取替交換すればよいから、安価かつ容易に前記着色部の機能を回復できる。
【0014】
〔構成〕
また、前記着色部に前記一酸化炭素検知剤によってメッセージを記録してあるとともに、前記着色部が一酸化炭素ガスに暴露したときに、前記着色部が周囲に対して判別可能に変色する構成としてあることが好ましい。
【0015】
〔作用効果〕
前記着色部に前記一酸化炭素検知剤によって、例えば「不完全燃焼です。」「空気が汚れています。」「換気してください!」「換気注意!!」「(T_T)」「(>_<)」等の文字、記号、イラスト等から構成されるメッセージを記録してあるとともに、前記着色部が一酸化炭素ガスに暴露したときに、変色して前記メッセージを着色部の周囲に対して判別可能に構成してあると、前記燃焼機器は、通常使用時には、前記メッセージを使用者の注意を引かない形態で表示し、不完全燃焼等で一酸化炭素ガスが存在し、使用者に燃焼機器の停止や、換気を促す必要がある場合にのみメッセージを判別可能に表示して、燃焼機器の使用者に適切な対処を促すことができる。
【0016】
〔構成〕
また、前記シート材料を多重に積層して貼着してあるとともに、一層ずつ順次剥離可能に構成してあってもよい。
【0017】
〔作用効果〕
前記シート材料は、長期繰り返し使用が可能であるが、劣化、汚れ等により次第に発色の鮮明さ等視認性が低下することが考えられる。その場合、前記シート材料を多重に積層して貼着してあると、前記積層されたシート材料は、外気に曝される表面側から順に劣化、汚れが発生する。この積層されたシート材料を一層ずつ順次剥離可能に構成してあると、発色の鮮明さが低下した表面側のシート材料から順に剥離し、新鮮なシート材料の着色部を常に視認容易に暴露させておくことができる。そのため、燃焼機器は、尚一層簡便容易に前記着色部の機能を回復できる。
【0018】
〔構成〕
また、前記一酸化炭素検知剤が、多孔質半透明基材に下記A〜Cの夫々の群から選ばれる少なくとも1つずつの化合物を含むものであれば好ましい。
【0019】
A: 硫化パラジウム、亜硫酸パラジウム、ピロ亜硫酸パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、過塩素酸パラジウム、テトラクロロパラジウム酸カルシウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム及びテトラクロロパラジウム酸カリウムより成るグループから選択されるパラジウム塩。
【0020】
B: ケイモリブデン酸、ケイモリブデン酸の塩、三塩化モリブデン、モリブデンのヘテロポリ酸、モリブデン酸アンモニウム、及びアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアニオンモリブデン酸塩またはヘテロポリタングステン酸塩より成るグループから選択されるモリブデンまたはタングステンの塩。
【0021】
C: 硫酸銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、及び過塩素酸銅より成るグループから選択される銅塩。
【0022】
〔作用効果〕
前記一酸化炭素検知剤としては、種々公知の材料を適用することができるが、上記A〜Cの夫々の群から選ばれる少なくとも1つずつの化合物を含む組成物とすることによって、一酸化炭素ガスの検出に基づき可逆的に変色、復元を繰り返すシート材料を作製できるので好適である。
【0023】
つまり、上記A〜Cの夫々の群から選ばれる少なくとも1つずつの化合物を含む組成物は、以下のような発色成分を形成するため通常黄系色であるが、次の反応により、一酸化炭素ガスにより還元されて青系色に変化し、さらに、空気中の酸素により酸化されて元の色に復元するという性質を発揮する。
【0024】
Pd2+・(MoO3)n・Cu2+ +2CO→Pd・(MoO3-X)n・Cu+ (青色)+ 2CO2
Pd・(MoO3-X)n・Cu+ +O2 →Pd2+・(MoO3)n・Cu2+(黄色)
【0025】
この発色成分は、塗膜、成型物を形成した状態では、温度、湿度、光、油、に対して安定であり、長期繰り返し使用にも耐える安定した表示機能を発揮することができる。
【発明の効果】
【0026】
したがって、従来の燃焼機器と比較して着色部を設けるだけの簡単な設計変更により、設置場所等に制約を受けず、室内にガス検知器の無いような環境であっても、より安全に使用可能な燃焼機器を提供することができた。また、前記着色部は、汎用性にも優れ、簡便安価に付加することができるので、燃焼機器の提供者は、一酸化炭素ガスの発生に伴い、燃焼機器使用者に燃焼機器の停止や換気を促すなど、燃焼機器の適切な使用形態を適切な時期により具体的に示すことができるようになる。そのため、使用者の室内環境に対する意識を高め、常に燃焼機器の燃焼状態や、空気汚れの状態を監視させ、燃焼機器の運転状況、室内の換気状況に注意させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】燃焼機器の一例としてのガスファンヒータを示す斜視図
【図2】シート材料の形態を示す図
【図3】シート材料のメッセージ表示機能を示す図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の燃焼機器を説明する。尚、以下に好適な実施例を記すが、これら実施例はそれぞれ、本発明をより具体的に例示するために記載されたものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能であり、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
【0029】
本発明の燃焼機器の一例としてガスファンヒータを以下に示す。
【0030】
図1に示すように本発明のガスファンヒータHは、ケーシング1の内部に燃焼部2を備え、燃焼部2へのガス供給部3を備える。前記燃焼部2における燃焼排ガス4は、前記ケーシング1に設けられた燃焼ガス排出口5から排出され、前記ガスファンヒータHの設置された空間内を暖房する。
【0031】
前記ケーシング1の燃焼ガス排出口5は、前記ケーシングに設けられた開口部5aを覆って複数のフィン5bを設けて形成してある。前記フィン5bには、一酸化炭素検知剤を含有してなる着色部6aを設けたシート材料6を貼付してある。このシート材料6は、前記フィン5bの長手方向に沿って多重に貼付され、前記ガスファンヒータHの運転中は、前記ガスファンヒータHの燃焼排ガス4に暴露される構成にしてある。
【0032】
前記シート材料6には、図2(a)に示すように、一酸化炭素検知剤を含有する塗料で連続的に「換気してください 換気してください、、、、」というメッセージ6aを印刷して着色部を形成してある。これをテープ状に形成し、接着材を付与した形態でロール状に巻き取って適宜箇所に貼付容易に構成する。前記シート材料6の基材6bは、前記一酸化炭素検知剤の一酸化炭素ガス非検知時の通常色に一致させ、通常はこのメッセージ6aは読み取られない形態としてある。しかし、このシート材料6が一酸化炭素ガスが暴露されると、前記メッセージ6aが変色するので、使用者が周囲の色と区別して判別可能となる(図3参照(この例では、メッセージ6aを記号列からなるイラストで示している))。
【0033】
尚、前記シート材料6は燃焼機器外面において使用者から目視できる位置に貼付してあれば、燃焼排ガスに容易に暴露されるが、好ましくは、前記燃焼ガス排出口5近傍の燃焼ガス排出口5に臨むフィン5a等、燃焼排ガスの流れが直接作用する部位やその周辺、もしくは、使用者の注意を引きやすい燃焼機器操作部1aの近傍、あるいは、設定温度、時間等を表示する表示部1bの近傍で燃焼排ガスに容易に暴露される箇所に貼付するとよい。
【0034】
また、前記着色部は、シート材料6に設けて燃焼機器Hに貼付する以外に、前記燃焼機器H外面に直接一酸化炭素検知剤を含有する塗料等の形態で付与することもできる。また、シート材料6としても、上記ロール状に実施するほか、基材6bに充分な柔軟性が無いようなシートであれば、文字、記号、イラスト等をかたどった小片に形成(図2(b)参照)し、燃焼機器Hの外面に貼着する構成としてもよい。
【0035】
また、シート材料6は、多重に積層して貼着することもできるが、単層としてもよい。
また、上述のように単純にシート材料6のテープを積層する形態でもよいが、図2(c)のように、あらかじめ複数層のシート材料6をセットにした形態で貼着することもできる。この場合、各層の端部から一層ずつ順次剥離するためのつまみタブ6cを設けてあるとシート材料6の更新が容易にできる。
【0036】
前記メッセージ6aは、上述のように文字列としてもよいが、使用者に燃焼機器Hの停止や換気等の適切な処置を促す警報等が伝達されるものであれば、記号、イラストであってもよく、さらには、明らかに警報であると判別できる色彩の変化が得られるのであれば、色彩の変化を以てメッセージとみなすこともできる。
【0037】
前記メッセージ6aを着色部の周囲に対して判別可能に変色させるには、前記着色部を形成する前記メッセージの背景色を、前記一酸化炭素検知剤の一酸化炭素ガス非検知状態の通常色に一致または近似する色、あるいは、前記通常色を紛れ込ませ識別困難にする類似色または模様とし、前記一酸化炭素検知剤の一酸化炭素ガス検知状態の色が前記通常色と異なるように構成すればよい。(図3参照)たとえば、外面が黄色の燃焼機器に対して、通常色が前記黄色に近似する色の一酸化炭素検知剤を主成分とする塗料でメッセージを記録したり、基材が透明・半透明または黄色のシート材料に、通常色が前記黄色に近似する色の一酸化炭素検知剤を主成分とする塗料で、メッセージを記録したものを添付したりすることができる。また、後者の場合で、かつ、基材が黄色のシート材料であれば、燃焼機器の外面の色に関わりなく適用することができる。
【0038】
前記一酸化炭素検知剤は、シリカ基材に下記A〜Cの夫々の群から選ばれる少なくとも1つずつの化合物を含浸させたものをバインダ、溶剤、分散剤とともに混合したものであり、任意の形状に成形することができる組成とする。
【0039】
A: 硫化パラジウム、亜硫酸パラジウム、ピロ亜硫酸パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、過塩素酸パラジウム、テトラクロロパラジウム酸カルシウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム及びテトラクロロパラジウム酸カリウムより成るグループから選択されるパラジウム塩。
【0040】
B: ケイモリブデン酸、ケイモリブデン酸の塩、三塩化モリブデン、モリブデンのヘテロポリ酸、モリブデン酸アンモニウム、及びアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアニオンモリブデン酸塩またはヘテロポリタングステン酸塩より成るグループから選択されるモリブデンまたはタングステンの塩。
【0041】
C: 硫酸銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、及び過塩素酸銅より成るグループから選択される銅塩。
【0042】
〔実施例〕
以下に前記シート材料の具体的な製造例を示す。(以下、「L」は「リットル」を示す)
A:テトラクロロパラジウム酸ナトリウム :0.01 モル/L
塩化パラジウム :0.0384 モル/L
B:ケイモリブデン酸水和物 :0.02 モル/L
C:過塩素酸銅6水和物 :0.002 モル/L
その他:β−シクロデキストリン :0.00164 モル/L
γ−シクロデキストリン :0.00484 モル/L
塩化カルシウム2水和物 :0.1162 モル/L
トリクロロ酢酸ナトリウム :0.0799 モル/L
トリクロロ酢酸 :0.31 モル/L
を含む水溶液にシリカ粉末(細孔径30nm)を浸漬して24時間静置した。これを磁器製容器に入れ、24時間以上乾燥した。その結果、一酸化炭素検知剤として淡黄色粉末が得られた。
【0043】
この一酸化炭素検知剤を200ppmの一酸化炭素ガスに暴露すると、約1時間で青色となり、明らかな色彩の変化を観測することができた。したがって、フィン5bを黄色にしておくことにより、メッセージを黄色背景の青色で目視認識できるようになった。また、青色に変化した一酸化炭素検知剤を清浄空気中に放置すると、元の色彩に復元することも確認することができた。
【0044】
上記一酸化炭素検知剤100重量部に、
シリコーン系バインダ(信越化学工業社製:商品名X-40-175) : 80重量部
硬化触媒(信越化学工業社製:商品名DX-175) : 3重量部
エチルアルコール : 600重量部
分散剤(日本ルーブリゾール社製:商品名ソルスパーズ20000): 7重量部
を配合し、振とう混合した。得られた組成物は、一酸化炭素検知剤と同様の色彩変化を示すことが確認された。またこの組成物は、常法により任意形状(塗工可能な塗料ペースト・液状体、文字・記号、イラストのステッカー・プレート状の小片、テープ・フィルム)に加工することができた。
【0045】
尚、薬液に含有するケイモリブデン酸濃度は、目視可能な変色を確認することができるために0.01モル/L以上が好ましく、より容易に変色を目視可能とするために0.02モル/L以上とすることがさらに好ましい。また、シリカ粉末は、下記発色成分を表面に保持して、発色成分と一酸化炭素ガス、酸素ガスとの接触を促進させる働きをするものであって、その細孔径は、10nm〜50nmが好ましく、20〜40nm程度が最も望ましい。また、他の材料の使用量は、使用条件に求められる耐久性(長期耐久性、可逆変換回数)、応答性、等に応じて適宜調整する。上述の成分の内、シクロデキストリンは、シート材料を安定化し、長寿命化するために有効で、塩化カルシウムは、検知剤に保湿機能を持たせ、乾燥によるセンサーの劣化を防ぐために有効である。また、トリクロロ酢酸ナトリウムや、トリクロロ酢酸は、反応液のpHを好適に維持するバッファの機能を果たすために有効である。
【0046】
Pd2+・(MoO3)n・Cu2+ +2CO→Pd・(MoO3-X)n・Cu+ (青色)+ 2CO2
Pd・(MoO3-X)n・Cu+ +O2 →Pd2+・(MoO3)n・Cu2+(黄色)
【0047】
また、一酸化炭素検知剤には、上述の各成分のほか、他の色素、発色剤、顕色剤等の他成分を混合して色調を調整してもよいし、耐候性を向上させる等のための安定剤等種々の添加剤を含むことができる。
【符号の説明】
【0048】
H 燃焼機器(ガスファンヒータ)
1 ケーシング
1a 燃焼機器操作部
1b 表示部
2 燃焼部
3 ガス供給部
4 燃焼排ガス
5 燃焼ガス排出口
5a 開口部
5b フィン
6 シート材料
6a メッセージ
6b 基材
6c つまみタブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一酸化炭素ガスと接触して変色する一酸化炭素検知剤を含有してなる着色部を、燃焼ガス排出口からの燃焼ガスに対して暴露可能かつ機器外部から目視可能に設けてある燃焼機器。
【請求項2】
前記着色部を設けたシート材料を、燃焼ガス排出口からの燃焼ガスに対して暴露可能かつ機器外部から目視可能に貼着してある請求項1に記載の燃焼機器。
【請求項3】
前記着色部に前記一酸化炭素検知剤によってメッセージを記録してあるとともに、前記着色部が一酸化炭素ガスに暴露したときに、前記着色部が周囲に対して判別可能に変色する構成とした請求項1または2に記載の燃焼機器。
【請求項4】
前記シート材料を多重に積層して貼着してあるとともに、一層ずつ順次剥離可能に構成してある請求項2に記載の燃焼機器。
【請求項5】
前記一酸化炭素検知剤が、多孔質半透明基材に下記A〜Cの夫々の群から選ばれる少なくとも1つずつの化合物を含むものである請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃焼機器。
A: 硫化パラジウム、亜硫酸パラジウム、ピロ亜硫酸パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、過塩素酸パラジウム、テトラクロロパラジウム酸カルシウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム及びテトラクロロパラジウム酸カリウムより成るグループから選択されるパラジウム塩。
B: ケイモリブデン酸、ケイモリブデン酸の塩、三塩化モリブデン、モリブデンのヘテロポリ酸、モリブデン酸アンモニウム、及びアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアニオンモリブデン酸塩またはヘテロポリタングステン酸塩より成るグループから選択されるモリブデンまたはタングステンの塩。
C: 硫酸銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、及び過塩素酸銅より成るグループから選択される銅塩。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−210099(P2010−210099A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53501(P2009−53501)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】