説明

燃焼装置

【課題】燃焼用空気の流路断面積を可変するバーナを有する燃焼装置において、汚れや高温にさらされる環境下においても、流路断面積の可変機構の異常を簡易な構成で検知する。
【解決手段】燃料ノズル3,4は、燃料を噴霧する。空気ノズル27は、燃料ノズル3,4の先端部を取り囲む位置に設けられ、燃焼用空気を噴出させる。流速調整手段28は、空気ノズル27の入口開口もしくは出口開口、または空気ノズル27の流路断面積を変更することで、空気ノズル27を介して燃焼室29内へ供給する燃焼用空気の流速を調整する。流速調整手段28の前後の差圧(47a,47b)に基づき、流速調整手段28の異常を検知する異常検知手段46を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラに代表される各種燃焼装置に関し、特に、燃焼量の変更に合わせて燃焼用空気の流路断面積を可変するバーナを備えた燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
出願人は、先に、下記特許文献1や特願2011−8548として、大きなターンダウン比(ターンダウン比=最小燃焼量:最大燃焼量)で燃焼させたり、低い空気比(空気比=実際燃焼空気量/理論燃焼空気量)で燃焼させたりするために、燃焼用空気の流路断面積を可変するバーナを提案している。この種のバーナでは、バーナ下端部の空気ノズルの流路断面積を可動部材で調整するが、その可動部材は、典型的には歯車のかみ合わせによって動かされる。
【0003】
ところが、流路断面積の可変機構は、高温部に配置されるため、グリース潤滑が難しく表面処理で対応せざるを得ない。それ故、使用に伴い、歯車の摩耗などが生じ、前記可動部材のアクチュエータ出力と実際の可動とが一致しなくなり、燃焼不良となるおそれがある。可動部材の位置検出のために光学センサや磁気センサを用いることも考えられるが、これらセンサは、汚れや高温にさらされるバーナ内の使用には適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−175140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、燃焼用空気の流路断面積を可変するバーナを有する燃焼装置において、汚れや高温にさらされる環境下においても、流路断面積の可変機構の異常を簡易な構成で検知することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、燃料を噴霧する燃料ノズルと、この燃料ノズルの先端部を取り囲む位置に設けられ、燃焼用空気を噴出させる空気ノズルと、この空気ノズルの入口開口もしくは出口開口、または前記空気ノズルの流路断面積を変更することで、前記空気ノズルを介して燃焼室内へ供給する燃焼用空気の流速を調整する流速調整手段と、この流速調整手段の前後の差圧に基づき、前記流速調整手段の異常を検知する異常検知手段とを備えることを特徴とする燃焼装置である。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、燃焼用空気路に流速調整手段が設けられ、その前後の差圧に基づき流速調整手段の異常を検知することができる。差圧による検知であるから、汚れや高温環境下においても適切に検知することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、ノズルパイプの先端部にノズルチップが設けられ、燃料を噴霧する前記燃料ノズルと、この燃料ノズルを取り囲むように設けられる円筒状の整流筒と、この整流筒を取り囲むように設けられる円筒状のエアレジスタと、前記整流筒と前記エアレジスタとの間の円筒状空間の下部開口を閉塞するよう設けられる空気開口形成板と、この空気開口形成板に周方向等間隔に下方へ突出して設けられると共に筒状に形成され、前記空気開口形成板に形成された開口を介して燃焼用空気を下方へ噴出させる前記空気ノズルと、この空気ノズルの入口開口もしくは出口開口、または前記空気ノズルを構成する筒体の流路断面積を変更することで、前記空気ノズルを介して燃焼室内へ供給する燃焼用空気の流速を調整する前記流速調整手段と、前記整流筒および前記エアレジスタの上部を取り囲むよう設けられ、前記整流筒および前記エアレジスタの上部から燃焼用空気を下方へ送り込むウィンドボックスと、このウィンドボックス内の圧力と、前記燃焼室内の圧力との差圧に基づき、前記流速調整手段の異常を検知する前記異常検知手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、ウィンドボックス内の圧力と、燃焼室内の圧力との差圧に基づき、簡易に流速調整手段の異常を検知することができる。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記ウィンドボックス内の圧力および前記燃焼室内の圧力、または両者の差圧は、燃焼用空気の給気温度に基づき補正されることを特徴とする請求項2に記載の燃焼装置である。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、燃焼用空気の温度に基づき圧力を補正して、より正確に、流速調整手段の異常を検知することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、燃焼用空気の流路断面積を可変するバーナを有する燃焼装置において、汚れや高温にさらされる環境下においても、流路断面積の可変機構の異常を簡易な構成で検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の燃焼装置としてのボイラの一実施例を示す概略縦断面図であり、バーナが設置されたボイラ上部を示している。
【図2】図1におけるバーナのノズル先端側の拡大図である。
【図3】図2におけるIII−III断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例では、燃焼装置がボイラである場合について説明するが、本発明の燃焼装置は、ボイラに限らず、給湯器の他、吸収式冷凍機の再熱器などにも同様に適用可能である。
【0015】
図1は、本発明の燃焼装置としてのボイラ1の一実施例を示す概略縦断面図であり、バーナ2が設置されたボイラ上部を示している。また、図2は、図1におけるバーナ2のノズル先端側の拡大図であり、図3は、図2におけるIII−III断面図である。
【0016】
本実施例のボイラ1は、油焚きのボイラであり、液体燃料を燃焼させるバーナ2を備える。具体的には、本実施例では、リターンフローノズル3と着火用ノズル4との二つ燃料ノズルを備える。各ノズル3,4は、それぞれ、ノズルパイプ5,6の先端部にノズルチップ7,8が設けられて構成される。
【0017】
各ノズル3,4は、それぞれ、軸線を上下方向へ沿って配置され、近接して並列に設けられる。この際、各ノズル3,4のノズルチップ7,8同士は、近接してほぼ同一高さに配置される。なお、リターンフローノズル3は、バーナ2の中心軸に沿って配置される。
【0018】
着火用ノズル4には、点火装置9が設けられる(図3)。具体的には、着火用ノズル4に近接して着火碍子が設けられ、その下端部の電極10,10間にスパークを発生させることで、着火用ノズル4からの噴霧燃料に点火することができる。
【0019】
各ノズル3,4には、それぞれ、オイルタンク11からの燃料が、給油路12を介して供給可能とされる。具体的には、オイルタンク11からの給油路12は、燃料ポンプ13と第一燃料元弁14とを介した後、二股に分岐され、一方の給油路12aはリターンフローノズル用燃料弁15を介してリターンフローノズル3に接続され、他方の給油路12bは着火ノズル用燃料弁16を介して着火用ノズル4に接続される。
【0020】
リターンフローノズル3は、オイルタンク11からの燃料の送り路(給油路12)の他、オイルタンク11への燃料の戻り路17も接続される。戻り路17には、リターンフローノズル3の側から順に、流量調整弁18、第二燃料元弁19および逆止弁20が設けられる。
【0021】
各燃料元弁14,19は、ボイラ1の運転時には開放状態に維持される。従って、燃料ポンプ13を作動させた状態で着火ノズル用燃料弁16を開くと、着火用ノズル4へ燃料が供給され、そのノズルチップ8から下方へ燃料が略円錐状に噴霧される。一方、燃料ポンプ13を作動させた状態でリターンフローノズル用燃料弁15を開くと、リターンフローノズル3へ燃料が供給され、そのノズルチップ7から下方へ燃料が略円錐状に噴霧される。この際、流量調整弁18の開度を調整して、戻り路17を介してオイルタンク11へ戻す流量、言い換えれば戻り路17の油圧を調整することにより、リターンフローノズル3からの噴霧量を変化させることができる。
【0022】
バーナ2は、さらに、各ノズル3,4を取り囲むように、整流筒21とエアレジスタ22とを備える。整流筒21とエアレジスタ22とは、それぞれ円筒状であり、その軸線を上下方向へ沿って配置されると共に、同心円筒状に配置される。そして、各ノズル3,4は、整流筒21の径方向中央部において、整流筒21の上部開口から下端部まで差し込まれた状態で保持される。これにより、各ノズル3,4を取り囲むように整流筒21が設けられ、その整流筒21を取り囲むようにエアレジスタ22が設けられる。
【0023】
整流筒21の下部開口には、バッフル板23が設けられる。このバッフル板23は、整流筒21の下部開口を塞ぐように設けられる邪魔板であるが、図2および図3に示すように、各ノズルチップ7,8および点火装置9の下端部と対応した箇所に開口24が形成されている。
【0024】
整流筒21とエアレジスタ22との間の円筒状空間の下端部には、空気開口形成板25が設けられる。本実施例では、円環状の板材からなる空気開口形成板25が設けられ、この空気開口形成板25には周方向等間隔に同一形状の複数(図示例では8個)の円形の開口26が形成されている。
【0025】
空気開口形成板25には、前記各開口26と対応した位置に、下方へ突出して空気ノズル27が設けられる。よって、整流筒21とエアレジスタ22との間の円筒状空間は、周方向等間隔に配置された複数の空気ノズル27の中空穴を介して、下方へ開口する。各空気ノズル27は、断面円形の筒状に形成されている。
【0026】
各空気ノズル27の入口開口もしくは出口開口、または空気ノズル27の流路断面積を変更可能に、後述する流速調整手段28が設けられる。流速調整手段28により、空気ノズル27を介して燃焼室29内へ供給する燃焼用空気の流速を調整することができる。
【0027】
バーナ2の燃焼量の調整は、燃焼量の増減に合わせて、燃料の供給量と燃焼用空気の供給量とを調整することでなされる。仮に、燃焼用空気の流路断面積が燃焼量に拘わらず一定であるとすると、燃焼負荷が小さく燃焼用空気の流量を減らした場合、燃焼用空気の流速も低下し、燃料と燃焼用空気との混合が悪化する。ところが、本実施例のボイラ1のように、流速調整手段28により、燃焼用空気の流路断面積を変えることができれば、燃焼負荷が小さくても燃焼用空気の流速を確保することができる。これにより、大きなターンダウン比や、低い空気比で燃焼させることも可能となる。
【0028】
流速調整手段28の構成は、特に問わないが、本実施例では回転板30から構成される。具体的には、整流筒21とエアレジスタ22との間の円筒状空間の下端部には、空気開口形成板25の上に重ね合わされて、回転板30が設けられる。この回転板30には、空気開口形成板25と同様に、空気開口形成板25の各開口26(つまり空気ノズル27の上部開口)と対応して開口31が形成されている。また、回転板30は、空気開口形成板25の上を、周方向に回転可能である。空気開口形成板25と回転板30の開口同士を対応させた状態では、空気ノズル27の上部開口が全開となる。一方、図3に示すように、空気開口形成板25の開口26と回転板30の開口31とをずらすことで、空気ノズル27の上部開口の大きさを変更することができる。これにより、燃焼用空気の流路断面積を変化させることができる。
【0029】
回転板30を可動するために、円環状の回転板30の径方向内側には、上方へ向けて円筒部32が設けられている。この円筒部32は、整流筒21の下端部に適合してはめ込まれている。これにより、回転板30は、整流筒21の中心軸まわりに回転可能とされる。そして、回転板30の円筒部32の上端部には、径方向外側へ僅かに突出してツバ部33が設けられており、このツバ部33の外周部には歯車34が設けられている。そして、この歯車34の周方向一部には、駆動用の平歯車35がかみ合わされており、この平歯車35により回転板30を周方向へ移動させることができる。
【0030】
より具体的には、バーナ2には、上下方向へ沿って駆動軸36が設けられ、この駆動軸36の下端部には平歯車35が固定されている。駆動軸36は、上端部にモータ37が設けられ、このモータ37により回転可能である。また、前述したように、平歯車35は、回転板30の円筒部32の上端部の歯車34にかみ合わされている。従って、モータ37により平歯車35を介して回転板30を回転させることができ、それにより空気ノズル27の開口部、ひいては燃焼用空気の流路断面積を可変させることができる。
【0031】
整流筒21およびエアレジスタ22の下方には、燃焼筒38が設けられる。燃焼筒38は、周方向に配置された複数の空気ノズル27を取り囲む大きさの円筒状で、エアレジスタ22と同等の直径を有する短円筒状である。また、燃焼筒38は、整流筒21およびエアレジスタ22と同心に配置され、適宜の取付材(図示省略)によりエアレジスタ22の下端部に保持され、図示例では、各空気ノズル27の下端部が燃焼筒38の上端部より若干上方に配置される。
【0032】
バーナ2は、さらに、下方へのみ開口した略円筒状のウィンドボックス39を備える。ウィンドボックス39の下部開口付近に設けた円環状の取付板40に、エアレジスタ22の外周部に設けたフランジ41が保持される。これにより、ウィンドボックス39は、整流筒21の下部開口24、および空気ノズル27の中空穴を介してのみ、下方へ開口する。
【0033】
ウィンドボックス39の周側壁上部には、送風機(図示省略)からの空気路42が接続され、この空気路42にはダンパ43が設けられる。各ノズル3,4から燃料を噴霧して燃焼を図る際には、ダンパ43や送風機を制御して、燃焼量に応じた量の空気が燃焼用空気として燃焼室29内へ送り込まれる。
【0034】
送風機からの空気は、ウィンドボックス39内へ供給され、整流筒21およびエアレジスタ22の上部開口へ送り込まれる。そして、整流筒21へ送り込まれた空気は、整流筒21の内側を通りバッフル板23の開口24から吐出される。また、エアレジスタ22へ送り込まれた空気は、整流筒21とエアレジスタ22との間の円筒状空間を通り、下部の空気ノズル27から吐出される。
【0035】
このようなバーナ2は、ボイラ1の缶体44上部に設けられる。この缶体44は、典型的には、多数の水管45を円筒状に配列して構成される。そして、その円筒状の水管列の径方向中央上部に、バーナ2が下方へ向けて設けられる。バーナ2から吐出される燃料は、円筒状の水管列の内側で燃焼を図られる。つまり、円筒状の水管列の内側が、燃焼室29として機能する。
【0036】
本実施例のボイラ1は、まずは点火装置9を用いて着火用ノズル4からの噴霧燃料に点火し、その後、着火用ノズル4からの火炎をリターンフローノズル3からの噴霧燃料に移した後、着火用ノズル4からの燃料の噴霧を停止すればよい。そして、流量調整弁18の開度を調整して、リターンフローノズル3からの噴霧量を調整して、燃焼量が制御される。この燃焼量の制御は、周知のとおり、ボイラ1からの蒸気圧に基づき、蒸気の使用負荷を監視して、圧力センサ(圧力スイッチを含む)により行うことができる。この際、たとえば、高燃焼、低燃焼および停止の三位置で制御してもよいし、高燃焼、中燃焼、低燃焼および停止の四位置などで制御してもよい。あるいは、燃焼量は比例制御されてもよい。
【0037】
燃焼負荷に応じて、回転板30を回転させて、回転板30の開口31と空気開口形成板25の開口26(つまり空気ノズル27の上部開口)との位置関係により、空気ノズル27の上部開口の大きさを変え、燃焼用空気の流路断面積を変えることができる。典型的には、空気ノズル27から吐出される燃焼用空気の流速を、燃焼負荷、言い換えれば燃焼用空気の流量の増減にかかわらず略一定になるように、回転板30の回転停止位置が調整される。これにより、燃焼用空気の流量の少ない低負荷時にも、燃焼用空気の流路断面積を絞って流速を確保することで、燃料と燃焼用空気との混合を図ることができる。よって、大きなターンダウン比や低空気比での燃焼も可能となる。
【0038】
流速調整手段28が正常に機能しているかを監視するために、異常検知手段46が設けられる。この異常検知手段46は、燃焼用空気路の内、流速調整手段28(回転板30)の前後の差圧(バーナ圧損)により、流速調整手段28の異常を検知する。すなわち、歯車部(34,35)の摩耗などにより、モータ37の出力と、回転板30の回転角度とが一致せず、所望の燃焼用空気量になっていないかを監視する。
【0039】
本実施例では、異常検知手段46は、ウィンドボックス39内の圧力(47a)と、燃焼室29内の圧力(47b)との差を検出する差圧センサ47を設けている。また、本実施例では、燃焼用空気の給気温度を検出するために、たとえばウィンドボックス39内に給気温度センサ48を設けている。そして、これら各センサ47,48および前記モータ37は、制御器49に接続されている。
【0040】
制御器49には、燃焼負荷に応じて(たとえば高燃焼、低燃焼および停止の三位置制御の場合には、高燃焼用と低燃焼用の燃焼負荷ごとに)、基準バーナ圧損が予め設定されている。この基準バーナ圧損は、流速調整手段28の正常動作を前提に、基準給気温度(たとえば50℃)におけるバーナ圧損としての差圧である。
【0041】
そして、制御器49は、ボイラ1の運転中、差圧センサ47による実際の差圧(バーナ圧損)が、燃焼負荷に応じた基準差圧(基準バーナ圧損)の許容範囲内か否かを監視する。この際、差圧センサ47による差圧(言い換えればウィンドボックス39内の圧力および燃焼室39内の圧力)は、給気温度センサ48による給気温度に基づき補正される。温度により空気の密度は変化するので、燃焼用空気の流量は給気温度によっても調整され、ボイラ1は空気比を所望に維持するよう運転されるが、これにより、給気温度に応じて適正なバーナ圧損が異なるからである。
【0042】
本実施例では、差圧センサ47による差圧は、前記基準給気温度における差圧に換算される。そして、この換算したバーナ圧損が基準バーナ圧損からの許容範囲(たとえば基準値±20%など)に収まるか否かを求め、逸脱した場合には、燃焼負荷に対応した位置に回転板30が配置されていないおそれがあるため、流速調整手段28の異常として異常信号を出し、ユーザに報知するなどすればよい。
【0043】
本発明の燃焼装置は、前記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。たとえば、前記実施例では、リターンフローノズル3の他に着火用ノズル4を設けたが、リターンフローノズル3に直接に点火する構成とすれば、着火用ノズル4の設置を省略することもできる。
【0044】
また、前記実施例におけるリターンフローノズル3と着火用ノズル4の設置に代えて、燃料の噴霧の有無を切り替えるだけのノズルを複数本設置してもよい。たとえば、2本のノズルを設置して、低燃焼時には片方のノズルからだけ燃料を噴霧し、高燃焼時には両方のノズルから燃料を噴霧する。あるいは、低燃焼時には一方のノズルからだけ燃料を噴霧し、中燃焼時には他方のノズルからだけ燃料を噴霧し、高燃焼時には両方のノズルから燃料を噴霧する。
【0045】
さらに、流速調整手段28は、前記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。つまり、燃焼負荷に応じて、燃焼用空気の流路断面積を可変できれば、その構成は特に問わず、たとえば、特開2010−175140号公報に開示される手段や、特願2011−8548号などとして出願中の手段を用いることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 ボイラ(燃焼装置)
2 バーナ
3 リターンフローノズル(燃料ノズル)
4 着火用ノズル(燃料ノズル)
5 (リターンフローノズルの)ノズルパイプ
6 (着火用ノズルの)ノズルパイプ
7 (リターンフローノズルの)ノズルチップ
8 (着火用ノズルの)ノズルチップ
21 整流筒
22 エアレジスタ
25 空気開口形成板
26 (空気開口形成板の)開口
27 空気ノズル
28 流速調整手段
29 燃焼室
39 ウィンドボックス
46 異常検知手段
47 差圧センサ
48 給気温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を噴霧する燃料ノズルと、
この燃料ノズルの先端部を取り囲む位置に設けられ、燃焼用空気を噴出させる空気ノズルと、
この空気ノズルの入口開口もしくは出口開口、または前記空気ノズルの流路断面積を変更することで、前記空気ノズルを介して燃焼室内へ供給する燃焼用空気の流速を調整する流速調整手段と、
この流速調整手段の前後の差圧に基づき、前記流速調整手段の異常を検知する異常検知手段と
を備えることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
ノズルパイプの先端部にノズルチップが設けられ、燃料を噴霧する前記燃料ノズルと、
この燃料ノズルを取り囲むように設けられる円筒状の整流筒と、
この整流筒を取り囲むように設けられる円筒状のエアレジスタと、
前記整流筒と前記エアレジスタとの間の円筒状空間の下部開口を閉塞するよう設けられる空気開口形成板と、
この空気開口形成板に周方向等間隔に下方へ突出して設けられると共に筒状に形成され、前記空気開口形成板に形成された開口を介して燃焼用空気を下方へ噴出させる前記空気ノズルと、
この空気ノズルの入口開口もしくは出口開口、または前記空気ノズルを構成する筒体の流路断面積を変更することで、前記空気ノズルを介して燃焼室内へ供給する燃焼用空気の流速を調整する前記流速調整手段と、
前記整流筒および前記エアレジスタの上部を取り囲むよう設けられ、前記整流筒および前記エアレジスタの上部から燃焼用空気を下方へ送り込むウィンドボックスと、
このウィンドボックス内の圧力と、前記燃焼室内の圧力との差圧に基づき、前記流速調整手段の異常を検知する前記異常検知手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記ウィンドボックス内の圧力および前記燃焼室内の圧力、または両者の差圧は、燃焼用空気の給気温度に基づき補正される
ことを特徴とする請求項2に記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−29266(P2013−29266A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166306(P2011−166306)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】