説明

燃焼解析方法、燃焼解析装置、およびコンピュータプログラム

【課題】化学平衡法を用いつつも、非平衡な燃焼状態における計算精度の悪化を防止する。
【解決手段】燃焼を数値解析する燃焼解析方法であって、解析対象の燃焼に係わる化学種のうちの一部である1又は複数の第1化学種の生成量を、化学平衡法に基づくアルゴリズムに従って算出する第1ステップと、前記燃焼に係わる化学種のうちの他の一部である1又は複数の第2化学種の前記燃焼による反応速度を、反応速度論に基づくアルゴリズムに従って算出する第2ステップと、前記第2ステップによって求めた反応速度を、前記第2化学種の保存式に代入することで、前記第2化学種の生成量を算出する第3ステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼についての数値解析を行う方法、燃焼解析装置、およびコンピュータプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃焼現象を、高速で簡潔に計算するために化学平衡法に基づくアルゴリズムが存在する(例えば、非特許文献1参照)。
燃焼においては、酸素と燃料が乱流や拡散によって混合され、これが燃焼反応の原料となる。化学平衡法のうち、例えば、ギブス自由エネルギー極小化法では、これらの原料中に含まれる元素(一般的な燃焼場では、C,H,O,Nの4元素)の数が、燃焼の前後で保存されるという条件と、系の持つギブスの自由エネルギーが最小になるという条件から導かれるn+1個(nは原料中に含まれる元素数)多元連立非線形方程式を解くことで、燃焼生成物が算出される。
【0003】
【非特許文献1】小川将希,大上芳文,離散渦法による燃焼解析,日本機械学会関西支部第82期定時総会講演会講演論文集,No.074-1 (2007), p.3-23
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化学平衡法では、原料中に含まれる元素(例えば、H,C,O,N)の量が解れば、化学反応式を必要とすることなく、どんな生成物も予測できるというメリットがある。
しかし、化学平衡法に基づくアルゴリズムは、平衡でない現象に対しては計算精度の悪化が生じる。つまり、化学平衡法に基づくアルゴリズムでは、反応速度が無限大、すなわち反応時間が無限小、であることを前提としており、反応速度を制御できない。したがって、反応速度が遅い反応生成物では計算精度が低下する。
【0005】
そこで、本発明は、化学平衡法を用いつつも、非平衡な燃焼状態における計算精度の悪化を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、燃焼を数値解析する燃焼解析方法であって、解析対象の燃焼に係わる化学種のうちの一部である1又は複数の第1化学種の生成量を、化学平衡法に基づくアルゴリズムに従って算出する第1ステップと、前記燃焼に係わる化学種のうちの他の一部である1又は複数の第2化学種の前記燃焼による反応速度を、反応速度論に基づくアルゴリズムに従って算出する第2ステップと、前記第2ステップによって求めた反応速度を、前記第2化学種の保存式に代入することで、前記第2化学種の生成量を算出する第3ステップと、を含むことを特徴とする燃焼解析方法である。
【0007】
他の観点からみた本発明は、解析対象の燃焼に係わる化学種のうちの一部である1又は複数の第1化学種の生成量を、化学平衡法に基づくアルゴリズムに従って算出する手段と、前記燃焼に係わる化学種のうちの他の一部である1又は複数の第2化学種の前記燃焼による反応速度を、反応速度論に基づくアルゴリズムに従って算出する手段と、前記第2ステップによって求めた反応速度を、前記第2化学種の保存式に代入することで、前記第2化学種の生成量を算出する手段と、を備えていることを特徴とする燃焼解析装置である。
【0008】
さらに他の観点からみた本発明は、解析対象の燃焼に係わる化学種のうちの一部である1又は複数の第1化学種の生成量を、化学平衡法に基づくアルゴリズムに従って算出する第1ステップと、前記燃焼に係わる化学種のうちの他の一部である1又は複数の第2化学種の前記燃焼による反応速度を、反応速度論に基づくアルゴリズムに従って算出する第2ステップと、前記第2ステップによって求めた反応速度を、前記第2化学種の保存式に代入することで、前記第2化学種の生成量を算出する第3ステップと、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0009】
上記各発明によれば、燃焼に係わる化学種のうちの一部の化学種(第1化学種)については、化学平衡法に基づくアルゴリズムによって高速で簡潔に生成量を求めることができる。
一方、他の一部の化学種(第2化学種)については、反応速度論に基づくアルゴリズムによって反応速度を求めて、その反応速度から生成量を算出することで、反応速度を制御しつつ、生成量を算出できる。この結果、化学平衡法で求めると計算精度が悪化するような反応速度の遅い化学種を第2化学種とすることで、精度良く算出することができる。
【0010】
したがって、例えば、燃焼に係わる化学種のうちの主要な化学種(第1化学種)については化学平衡法によって高速で簡潔に生成量を求めつつも、反応速度が遅く化学平衡法では計算精度が低下してしまうが計算精度が必要な化学種(第2化学種)については、部分的に反応速度論を用いて計算精度低下を防止することが可能である。
しかも、全ての化学種について計算量の多い反応速度論を用いるわけではないので、高速な演算が可能である。
【発明の効果】
【0011】
よって、本発明によれば、化学平衡法を用いつつも、非平衡な燃焼状態における計算精度の悪化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
[1.燃焼解析装置の全体構成]
図1は、実施形態に係る燃焼解析装置による燃焼解析処理の手順を示すフローチャートである。この燃焼解析装置は、図1のフローチャートの各ステップを実行するためのコンピュータプログラムが搭載されたコンピュータによって構成されている。
また、図2及び図3は、上記コンピュータプログラムによって実現される燃焼解析装置の機能ブロックを示している。
【0014】
この燃焼解析装置は、解析対象の燃焼(乱流拡散燃焼)に係わる複数の化学種それぞれの生成量を算出することができる。燃焼解析装置は、解析対象の燃焼に係わる複数の化学種のうち、1又は複数の主要な化学種については、化学平衡法に基づくアルゴリズムに従って演算を行う。
一方、残りの一又は複数の化学種については、反応速度論(化学動力学)に基づくアルゴリズムに従って演算を行う。
【0015】
このため、燃焼解析装置は、図2に示すように、解析対象の燃焼に係わる複数の化学種のうち、化学平衡法に従って演算が行われる1又は複数の化学種を「第1化学種」として設定するための第1化学種設定部11と、反応速度論に従って演算が行われる1又は複数の化学種を「第2化学種」として設定するための第2化学種設定部21と、を備えている。
したがって、燃焼解析装置のユーザは、設定部21によって、化学平衡法ではなく、反応速度論で演算をしたい化学種(第2化学種)を自由に設定することができる。
【0016】
また、燃焼解析装置は、設定(選択)された第1化学種それぞれについて、化学平衡法に基づくアルゴリズムに従って、第1化学種の質量分率(燃焼生成量)を算出する第1化学種の質量分率算出部12を備えている。本実施形態において第1化学種の質量分率算出部12は、化学平衡論(CE;Chemical Equilibrium)の一種であるギブス自由エネルギー極小化法によって燃焼生成物を求める演算を行う。
【0017】
ギブス自由エネルギー極小化法は、燃焼生成物を求める際に、平衡状態ではギブス自由エネルギーが極小値をとるという条件から元素の化学ポテンシャルを直接求めるものである。
化学平衡論で燃料生成物を求める方法としては、ギブス自由エネルギー極小化法以外に、圧力保存と原子数保存を拘束条件として平衡定数から各成分の濃度比を決める方法もあるが、この方法では、例えば、100成分からなる燃焼場を解く場合、100元の多元連立方程式を解く必要がある。
一方、ギブス自由エネルギー極小化法では、考慮する元素の数+1の多元連立方程式を解けばよく、一般的な燃焼場では、H,C,O,Nの4元素を考慮すればよい。
【0018】
さらに、燃焼解析装置は、設定(選択)された第2化学種それぞれについて、反応速度論に基づくアルゴリズムに従って、第2化学種の反応速度を算出する第2化学種それぞれの反応速度算出b22を備えている。本実施形態において第2化学種の反応速度算出部22は、反応速度論に基づく燃焼モデルである渦消散コンセプト(EDC;Eddy Dissipation Concept)モデルに従って反応速度を求める演算を行う。
なお、渦消散コンセプトモデル(EDCモデル)は、一段又は二段の総括反応の反応速度を算出することが可能な渦消散モデルを、多段階の化学反応式が解けるようにしたものである。
【0019】
また、燃焼解析装置は、反応速度算出部22によって求めた第2化学種それぞれの反応速度に基づいて、第2化学種それぞれの質量分率(燃焼生成量)を算出する第2化学種の質量分率算出部23を備えている。
この第2化学種の質量分率算出部23では、第2化学種の保存式に、前記反応速度を代入することで、燃焼生成物を求める。
【0020】
また、渦消散コンセプトモデル(EDCモデル)は、ファイルスケールの体積分率算出部24、タイムスケール算出部25、原子の生成/消滅速度算出部26も備えており、各値を算出することができる。
【0021】
上記のように、本実施形態では、燃焼モデルが、化学平衡論(CE)と渦消散コンセプトモデル(EDCモデル)とによって構成されている。以下では、本実施形態の燃焼モデルを「EDC/CEモデル」とよぶ。
【0022】
さらに、燃焼解析装置は、図3に示すように、燃焼解析のためのその他の演算を行う制御部30を備えている。この制御部30には、算出された第1化学種及び第2化学種の質量分率が与えられ、燃焼解析のための各種パラメータが算出される。制御部30によって算出された各種パラメータは、第1化学種及び第2化学種の質量分率等の算出に用いられる。
この制御部30は、処理ループを終了させるための収束判定部31、速度と圧力を求める速度・圧力算出部32、温度を算出する温度算出部33、レイノルズ応力・乱流粘性係数を求めるレイノルズ応力・乱流粘性係数算出部34、原子Iの質量分率を求める原子質量分率算出部35、密度を求める密度算出部36を備えている。
【0023】
なお、図1のフローチャート及び図2及び図3ブロック図に関連して後に説明する数式は、上記コンピュータの記憶部に格納されたデータ(数式中の各項の値(パラメータ)に対応)に基づき、上記コンピュータの演算部によって演算され、その演算結果は前記記憶部に格納される。
【0024】
[2.燃焼解析方法]
本実施形態に係る燃焼解析装置は、ANSYS社の汎用流体解析ソフトウェアFLUENT(バージョン6.3.26)に対して、本発明の機能をユーザ定義関数(User Defined Function)として組み込むことで実現した。ただし、本発明が適用されるソフトウェアがFLUENTに限定されるものではない。
【0025】
[2.1 支配方程式]
解析対象の燃焼を支配する方程式としては、運動方程式、レイノルズ応力モデル、化学種Jの保存式、エネルギー方程式、気体の状態方程式、温度の算出式があり、具体的には下記の通りである。下記の支配方程式は、燃焼の数値解析の際に演算される。
【0026】
[2.1.1 運動方程式]
運動方程式は、下記の通りである。前記FLUENTでは、以下の連続の式とナビエストークスの式をSIMPLE 法[Suhas V Patanka. Numerical Heat Transfer and Fluid Flow. Hemisphere Publishing Corporation, 1980 参照]により解く
【数1】

【数2】

【0027】
[2.1.2 レイノルズ応力モデル]
本実施形態での解析対象の燃焼は、乱流であるため、乱流モデルとして、以下の式で表されるレイノルズ応力モデルを用いた。
【数3】

【0028】
【数4】

【数5】

【数6】

【数7】

ここで、σkの推奨値は0.82である。
【0029】
θij,は、以下の式で与えられる。
【数8】

【0030】
ここで,θij,1,θij,2 はそれぞれスローターム,ラピッドタームと呼ばれ,それぞれ以下のようにモデル化される。
【数9】

【数10】

ここで、C1とC2はモデル定数であり、推奨値はそれぞれ1.8,0.60であり、P=(1/2)×Pkk,C=(1/2)×Ckkである。
【0031】
εijは、以下の式で与えられる。
【数11】

【数12】

【数13】

ここで、Cμの推奨値は0.09である。
なお、μは、粘性係数であり、流体が持つ固有の物性値である。一方、μtは、乱流によって生じる拡散の強さを表す指標(乱流による拡散率)であり、乱流モデルによって求められる。
【0032】
[2.1.3 化学種Jの保存式]
燃焼に係わる化学種Jの質量分率の式はFLUENTにより以下の式で計算される。
【数14】

【数15】

【数16】

【0033】
[2.1.4 エネルギー方程式]
エンタルピーは、FLUENTのユーザ定義スカラー(UDS)によって計算される。エネルギー方程式は下記の通りである。
【数17】

【数18】

【数19】

【0034】
[2.1.5 気体の状態方程式]
気体の密度は、次式によって計算される。
【数20】

【0035】
[2.1.6 温度の求め方]
温度は、次式で、FLUENTのUDSにより計算される。
【数21】

ここで、T0は参照温度で、298.15Kとし、CpmJは化学種Jの平均定圧比熱、hJ0は化学種Jの標準生成エンタルピーを指す。
【0036】
[2.2 EDC/CEモデルの説明]
本実施形態のEDC/CEモデル(渦消散コンセプト・平衡法モデル)は、下記の通りである。なお、以下では、解析対象をH2−air乱流拡散火炎とし、H2をEDCモデルにて計算した場合の例に基づいて説明する。
【0037】
a.燃料(ここでは、H2とN2の混合気)の反応速度をEDCデルで計算する。
b.反応後の燃料は化学平衡に達していると仮定し、これを反応物として平衡計算をする。
【0038】
前記反応速度は、EDC(渦消散コンセプト)モデルの式で計算する。EDCモデルでは、燃焼は、乱流の微細構造、すなわちファインスケールで起こるものと仮定する。ファインスケールの体積分率は、次式で定義される(I R Gran and B F Magnussen. A numerical study of a bluff-body stabilized diffusion flame .part2. influence of combustion modeling and finite-rate chemistry. Combustion Science Technology, Vol.119, pp. 191_217, 1998. 参照)。
【数22】

【0039】
さらに、反応は次式で表されるタイムスケールで進行するものとする。
【数23】

【0040】
さらに、τ*のタイムスケールで反応が定圧反応容器内で起こるものと仮定し、格子内の現在の化学種と温度を初期条件とし、次の常微分方程式をt=0〜τ*で数値積分する。なお、上記の「格子内」とは、数値解析の対象空間を格子状に分割した小さな空間をいう。数値流体力学では、その分割したそれぞれの空間(格子)に対して、運動方程式や例のずる応力などの方程式を解いていく。この格子は、セルとも呼ばれる。
【数24】

【数25】

【数26】

ここで、Y*J ,R*J はそれぞれファインスケール内の化学種Jの質量分率と反応速度を指し、v'J K とν''J Kは、それぞれ化学種Jの化学反応式Kにおける正と負の量論係数、XJは化学種Jのモル濃度、kKは化学反応式Kの反応速度定数,KMAXは考慮する反応速度式の数である。Aは頻度因子,Eは活性化エネルギー、βはそれぞれ温度の指数で実験パラメータである.また,式(26)はアレニウスの式と呼ばれ,この式を含む常微分方程式は一般にstiff であることが知られている.この常微分方程式を数値積分するために,本実施形態ではCVODE[S D Cohen and A C Hindmarsh. CVODE User Guide, llnl report edition, 1994. UCRL-MA-118618. 参照] を用いた。
【0041】
実際の化学種Jの保存式(14)に現れる反応速度は、次式でモデル化される。
【数27】

【0042】
また、燃料中のN2の反応速度は、H2に比例すると仮定し、燃料中のN2の質量分率及びH2の質量分率に基づき、次式で計算される。つまり、本実施形態における第2化学種の反応速度算出部22は、燃料中のN2については、式(28)で計算し、燃料中のN2以外の化学種については、式(27)で反応速度を計算する。
【0043】
【数28】

【0044】
上記の式(27)は、詳細化学反応式を取り入れる場合である。しかし、化学反応式を取り入れず、反応は乱流混合が律速すると仮定すると、化学反応式は総括反応で表される。H2−airを例にとると、H2+1/2O2−>H2Oとなり、このときの燃料であるH2の反応速度は以下の渦消散モデルで計算することができる。
【数29】

ここで、Yfuel、Yox、Ypはそれぞれ燃料、酸化剤、燃焼生成物の質量分率を指し、AmixとBmixはそれぞれ渦消散モデルの実験パラメータでそれぞれ4.0と0.5である。stは量論酸素燃料質量比を指す。
【0045】
原子Iの生成または消滅速度は次式で計算される。
【数30】

さらに、aIJは化学種Jに対する原子Iの数の行列を示す.例えば,化学種H2に対する原子Hの数はaH,H2=2であり、化学種OHに対する原子Hの数はaH,OH=1、原子Oの数は、aO,OH=1となる。
【0046】
原子Iの保存式は次式で表される。
【数31】

【0047】
このときのエンタルピーは次式で近似される。
【数32】

MAXは、燃焼に関与する原子の数である。通常の燃焼場では、H,C,O,Nだけでよい。つまり、IMAX=4となる。
【0048】
本実施形態のEDC/CEモデルでは、さらにNを調節するパラメータを有する。
【数33】

このNCTRLの値を変化させることで、平衡計算による計算結果を調整できる。
平衡計算のためのプログラムは、ギブス自由エネルギー極小化法[JSME, editor. JSME Combustion Handbook. JSME, 2002. 参照]の理論に基づいたNASAのCEA[S Gordon and B Mc Bride. Computer program for calculations of complex equilibrium compositions and applications. NASA Reference Publication, No. 1311, 1994. 参照]をベースに作成し、これをUDFとしてFLUENTに組み込んだ。
【0049】
[2.3 処理手順]
図1に戻り、燃焼解析の処理手順を説明する。ここでは、後述の図6の「Case3」の例に則して処理手順を説明する。なお、図1のフローチャートにおいて、ステップa,b,d,e,及びgの部分が、EDC/CEモデルである。また、ステップaがEDCモデルの部分、bがCEの部分、d,e,gがそれ以外で化学種の保存式や温度計算などを行っている部分である。その他のステップc,f,h,iは、FLUENTから提供される機能を利用した。
【0050】
このEDC/CEモデルにおいて考慮する化学種は、H2,O2,H2O,OH,H,O,HO2,N,N2である。そして、第1化学種設定部11では、これらの化学種のうち、第1化学種として、H2O,O2,HO2,N,N2が設定(選択)されているものとする。また、第2化学種設定部21では、残りの化学種であるH2,H,O,OHが第2化学種として設定(選択)されているものとする。
【0051】
ステップa:
ステップaでは、EDCモデルの反応速度算出部22によって、第2化学種であるH2,H,O,OH(J=H2,H,O,OH)の反応速度RJを求める。この演算は、式(24)〜(29)に基づいて行われる。
また、EDCモデルの原子の生成/消滅速度算出部26では、上記の反応速度から、式(30)に基づき、原子Iの生成または消滅速度を求める。
また、EDCモデルでは、ファインスケールの体積分率算出部24が、式(22)に基づき体積分率を求め、タイムスケール算出部25が、式(23)に基づきタイムスケールを求める。
【0052】
ステップb:
ステップbでは、CE(ギブス自由エネルギー極小化法)の質量分率算出部12によって、第1化学種であるH2O,O2,HO2,N,N2についての平衡計算を行う。この平衡計算では、原子I(I=C,H,O,N)の質量分率dIを燃焼反応物とし、燃焼前後で式(32)のエンタルピーは変化しないことを条件に、第1化学種であるH2O,O2,HO2,N,N2の質量分率(生成量)YH2O,YO2,YHO2,YN,YN2を求める。
【0053】
ステップc:
ステップcでは、速度・圧力算出部32が、SIMPLE法(式(1)〜(2))に基づき、速度と圧力を求める。
【0054】
ステップd:
ステップdでは、温度算出部33が、エネルギー方程式(式(17))を解き、これから求まるエンタルピーから、式(21)に基づき、温度を求める。
【0055】
ステップe:
ステップeでは、第2化学種の質量分率算出部23が、ステップaで求めた第2化学種の反応速度RJそれぞれを、対応する第2化学種Jの保存式(式(14))のRJに代入し、第2化学種であるH2,H,O,OHの質量分率(生成量)YH2,YH,YO,YOHを求める。
【0056】
ステップf:
ステップfでは、レイノルズ応力・乱流粘性係数算出部34が、レイノルズ応力モデルに基づき、レイノルズ応力と乱流粘性係数を求める(式(3)〜(13))。なお、レイノルズ応力は、運動方程式に現れる。また、乱流粘性係数は、エネルギー方程式、化学種Jの保存式、原子Iの保存式に現れる。
【0057】
ステップg:
ステップgでは、原子質量分率算出部35が、ステップaで求めた原子I(I=C,H,O,N)の生成/消滅速度RIそれぞれを、対応する原子Iの保存式(式(31))に代入し、原子Iの質量分率dIを求める。
【0058】
ステップh:
ステップhでは、密度算出部36が、化学種Jの質量分率YJと圧力から、式(20)に基づき、密度を求める。
【0059】
ステップi:
ステップiでは、収束判定部31が、図1のステップa〜hの処理ループを終了させるために、収束判定を行う。
収束判定は、運動方程式、レイノルズ応力モデル、エネルギー方程式、化学種Jの保存式、原子Iの質量分率の式が正しい解に到達したかを判定する誤差判定である。
この収束判定は、FLUENTが本来有する機能によって自動的に実行される。FLUENTが採用している有限体積法をベースとしているSIMPLE法では、離散化後、セルPにおける任意の変数の保存式は、次式のように表される。
【数34】

ここで、apは中心係数、anbは隣接セルの各影響係数、bは生成項S=Sc+Sの式中の定数部分Scを指す。式(34)では次式が成り立つ。
【0060】
【数35】

【0061】
さらに、このときのφの残差は次式で表される。
【数36】

FLUENTでは、各変数φについて、この残差が一定の値以下(通例で、1.0×10-3〜1.0×10-6)になるまで、計算を続ける。
【0062】
[3.実施例と比較例の計算条件]
本実施形態のEDC/CEモデルによる計算精度を確かめるために、水素噴流火炎の計算(実施例と比較例)を行った。図4に計算領域と境界条件を示す。計算条件は高城・古藤の水素噴流火炎の実験[Toshimi Takagi and Satoru Kotou. A prediction of flow and combustion in turbulent diffusion flame in japanese. Transactions of the Japan Society of Mechanical Engineers, Series B, Vol. 48, No. 436, 1981. 参照] に準ずるものとした。
半径が2.45mmの円筒形ノズルから水素と窒素のモル比が0.4:0.6の燃料が55.4m/sで噴出されるものとし、周囲流は空気とした。空気については初めから平衡状態であるとし、モル比でdO:dN=0.21:0.79を入り口条件として与える。
【0063】
さらに,燃料と周囲流の温度はともに300Kとし、計算結果を比較する場所は、中心軸上とノズルから60mmと160mmの地点の断面上とした。全ての方程式に二次精度の風上差分を適用し、図4の中心線を軸とした軸対象流れとし、乱流モデルとしてレイノルズ応力モデルを使用した。
【0064】
図5に今回実行した計算(実施例と比較例)の代表的なシミュレーション条件(Case1,3,4)を示す。なお、Case2は欠番である。
また、図6に、上記計算で使用した化学反応式を示す。
このEDC/CEモデルにおいて考慮する化学種は、H2,O2,H2O,OH,H,O,HO2,N,N2である。
【0065】
図5のCase1(比較例)では、燃焼モデルとして従来のEDCモデルを採用した。
このCase1のEDモデルでは、図6に示す化学反応式を用いた。
Case3(実施例)では、H2,H,O,OHの化学種(第2化学種)のみ反応速度を考慮し、残りの化学種は第1化学種とし、平衡法で計算をした。
Case4(実施例)では、OHが関わる図6の1〜8,11,13の化学反応式を考慮し、さらに、H2については、混合律速を仮定し、式(29)で評価した。
【0066】
[4.実施例及び比較例の計算結果と実験値との比較]
[4.0.1 乱流エネルギーk、平均速度U、主要化学種の中心軸上での比較]
図7に、図4の中心線(中心軸)上における乱流エネルギーk、平均流速Uの分布を示し、図8に化学種と温度Tの分布を示す。
図7において、乱流エネルギーkを見ると、実験値(EXP)ではL=180あたりまで緩慢に増えるのに対して、Case1,3では,L=100付近に向けて急激に増えて、ここを境に減少している。過去の計算例[Toshimi Takagi and Satoru Kotou. A prediction of flow and combustion in turbulent diffusion flame in japanese. Transactions of the Japan Society of Mechanical Engineers, Series B, Vol. 48, No. 436, 1981.][ Kimio Iino, Shinji Murakami, and Hoshitaka Kikkawa. Numerical simulation of high pressure methane-oxygen coaxial turbulent nonpremixed flames. Journal of High Temperature Society, Vol. 31, pp. 112_121, 2005.] においても、平均流速Uの実験値との整合性は良いが、kについてはシミュレーション値が過大評価されることが報告されている.この乱流拡散火炎のkの過大評価を改善するためには,より高精度な乱流モデルのLESモデルを選択することや,レイノルズ応力モデルを改善する必要がある。
【0067】
ここでは、全てのケースで中心軸上で温度の最大値の位置が一致するように図5のRSMのパラメータを選んだ。実験ではノズルから150mm付近で温度は最大値の約1600Kをとる。Case3のH2Oと温度の最大値は、それぞれ18.9%、1556Kとなっており,実験値(EXP)でH2Oと温度の最大値の約18.35%、約1600Kとなっている。
【0068】
[4.0.2 乱流エネルギー、平均速度、主要化学種,温度のL=60での比較]
図9に、L=60での半径方向のk,U、図10に、化学種と温度Tの分布を示す。図9のCase3、Case1のUは、実験値(EXP)でのUと良く一致している。しかし、kについては中心軸上の分布と同じく実験値(EXP)と差異が見られる。図10 を見ると、R=6mm付近の温度、H2OについてCase3、Case1ともにEXPとの誤差が大きい。R=6mm付近ではT,H2OのEXPとの誤差は大きいがそれ以外の領域ではEXPとの一致が良好なためである.
また、Case1,3ともにR=6mm付近の温度を正しく予測できておらず,両者ともに似た予測値を示していることから,この付近のTの誤差は燃焼モデルを起因とする誤差ではないと推測できる。
【0069】
[4.0.3 乱流エネルギー、平均速度、主要化学種、温度のL=160での比較]
図11にL=160での半径方向のk,U、図12に化学種と温度Tの分布を示す。
図11を見ると、Rが大きくなるにつれて、Case1,3のUの予測値と実験でのUとの間の差異が大きくなる。この差異が存在する部分で拡散が大きく評価されれば、Uは拡散するので図11中のCase1,3によるUは小さくなると予測できる.このことから、この部分での差異は乱流拡散を実験よりも小さく見積もっていることが原因と推測される。さらにこの差異を改善するためには,より高精度な乱流モデルのLESモデルを選択することや、レイノルズ応力モデルを改善すればよい。また、図812を見ると、Case1,3の温度をEPXと比較するとRが大きくなるにつれて(火炎の外側へいくにつれて)Case1,3のTの予測値と実験でのTとの間の差異が大きくなる。これは、上記のU と同じく拡散を小さく見積もっていることと、さらにいえば、Uが大きいためH2Oが流されてしまったことが原因と考える。
【0070】
[4.1 ラジカル類のEDC モデルとの比較]
[4.1.1 中心軸上]
図13,14に中心軸上でのOHとHのEDC/CEモデルとEDCモデルによる予測値を表す。図5にまとめたとおり、図5のCase1はEDCモデル(比較例)、Case3,4はEDC/CEモデル(実施例)での計算値を表す。Case3,4の違いはEDCモデルで考慮する化学種の数の違いである。Case3 はH2,H,O,OHの反応速度をEDCモデルで考慮しているのに対し、Case4はOHのみを考慮している。
図13に示すように、OHの予測値を見ると、Case1,3,4との計算結果を比較するとL=50付近とL=200付近で差異が見られるが,それ以外の領域では整合性は良い.
これは、Case3,4ともにOHが式(22)〜(27)で示されるEDCモデルの理論で計算されているからである。
【0071】
図14に示すように、Hの予測値ではL=150まではCase1とCase3が良く一致している。しかし、L=150以降はCase3のHの予測値がCase1による予測値より小さく見積もるという差異が見られる。この差異は、H2O,O2,HO2の反応速度をEDCモデルで考慮しなかったことが原因と考えられる。Case1とCase4 を比較すると、Case4ではHをCase1より低く見積もっている。
【0072】
[4.1.2 L=60]
図16,15にL60でのOHとHのEDC/CEモデルとCase1のEDCモデルによる予測値を表す。
図16に示すOHの予測値を見ると、Case1とCase3,4との計算結果を比較するとR=7付近まで良く一致しているが、それ以降ではEDC/CEモデルとEDCモデルの予測値に若干の差異が見られる。概ねCase1,3,4ともに近い予測値を示しているといえる。これは、Case3,4ともにOHについて反応速度を考慮したからである。
図15に示すHの予測値では、Case1とCase3を比較すると、R=0付近とR=6以降で若干の誤差が見られる。しかし、概ね両者の一致は良好である。
Case4のHの予測値はCase1に比べ、R=0付近では多く見積もり、R=8付近を堺にしてCase1の予測値より低く見積もるようになる。
【0073】
[4.1.3 L=160]
図18,17にL=160でのOHとHのEDC/CEモデルとEDCモデルによる予測値を示す。
図18のOHの予測値で、Case1,3,4との計算結果を比較すると、3者は似たグラフの傾きを示しているといえる。
図17のHの予測値では、Case1,3は良く一致している。Case4のHの予測値はCase1に比べ、R=0付近では多く見積もり、R=13付近を堺にしてCase1の予測値より低く見積もるようになる。HはR=17付近で完全に消費されている。
【0074】
[5 考察]
[5.1 実施例の燃焼モデルと従来の燃焼モデルとの対比]
従来のEDCモデルは乱流拡散火炎において詳細な化学反応式を考慮することができ、多成分系の反応を取り扱える。一方で、実施例に係るEDC/CEモデルは化学反応式と化学平衡法の両方を用いて多成分系の反応を取り扱う。ここでは、EDCモデルと本実施例のモデルの計算値を比較し,両者の特徴について議論する。
【0075】
EDCモデルでは,特定の化学種の発生量を調節するためには化学反応式の数を増やしたり、化学反応式中の実験パラメータとEDCモデルのCτ ,Cξ などのパラメータを調節する。しかし、これらのパラメータの組み合わせは多く、化学反応式の数を増やすとパラメータの数も増える。一方、実施例のモデルはEDCモデルのパラメータと任意の化学反応式を考慮するだけで良いので、調節はEDCデルより簡便である。
【0076】
また、EDC/CEモデルでは考慮すべき化学反応式はシミュレーションの実行者の要求する計算精度に従う。
例えば、Caseのように任意の化学種(ここではOH) について計算精度が必要であれば、その化学種について反応速度で考慮する。また、Case3のように他の化学種についても計算精度が必要ならば,他の化学種についても化学反応式を考慮する。こうすることで、EDC/CEモデルの計算結果はEDCモデルの計算結果に近づけることができる。EDC/CEモデルでは、仮に平衡法で化学種を一つも考慮せず,全ての化学種をEDCモデルで考慮したとすると、EDC モデルと同じになる。Case4で計算したラジカル類はEDC モデルの計算結果と比較すると、OHについては良い一致を見せた。しかし、Hについては定量的な一致は見せなかった。
【0077】
とはいえ、図15,17 を見ると、Hについても発生や消滅の傾向は捉えられていると考える。このことから、EDC/CEモデルの使い方としては,数値解析の初段階ではCase4のように必要な化学種のみにEDCモデルによる反応速度計算を適用し、その後、他の化学種について精度が必要となれば、Case3のようにEDCモデルで考慮する化学種を増やしていけばよい。EDC/CEモデルの適用としては,例えば、サーマルNOxを次の化学反応式で表される拡大ゼルドヴィッチ機構にて計算する際にH,O,OH については平衡法で考慮し、NOxについてはEDCモデルで考慮するといった使い方ができる。
【0078】
【数37】

【数38】

【数39】

【0079】
他のEDC/CEモデルの適用としては,乱流拡散火炎の詳細化学反応式を構築するためにも有用である。すなわち、Case4のように燃料の反応速度にだけEDCモデルを適用し、他の化学種については平衡法を適用する。その後、燃焼場への寄与が大きいと推定される化学種について化学反応式を追加していく。燃焼場への寄与の大きさについては、平衡法で求まる予測値を参照すれば推測できる。
【0080】
[5.1.1 計算時間について]
EDC/CEモデルにおいて、平衡法では考慮する元素の数+1を未知数とした非線形の連立方程式を解く。通常の燃焼場ではC,H,O,N+1で5元となる。一方でEDCモデルは考慮する化学種の数を未知数とした常微分連立方程式を解く。化学反応式が増え、考慮する化学種が増えるにつれ、常微分の連立方程式を解くための計算時間も増える。それに対して、平衡法では常に5元であり、反応物の濃度によって収束までの時間に差異はあるものの、EDC モデルより計算時間の増減は顕著ではない。また、EDC/CEモデルでは、平衡法で考慮する化学種については化学種Jの保存式(14)を計算する必要がない。EDCモデルでは考慮する全ての化学種について化学種Jの保存式を解く必要がある。このために、EDCモデルでは考慮する化学種が増えるにつれ、解くべき化学種の保存式の数も増えるため計算時間は増加する。このような理由から、計算に考慮する化学種の数が多ければ多いほど、EDC/CEモデルはEDCモデルより高速であるといえる。
【0081】
[5.1.2 EDC/CEの適用範囲]
EDC/CEモデルの適用できる燃焼場は、例えば、乱流拡散火炎である。つまり、流れ場は乱流であり、燃料と酸化剤が別々の場所から流入する。また、反応速度の計算にEDCモデルを使用しているため化学種の予測精度は最も良い精度でもEDCモデルと同じとなる。NOxなどの非平衡性の強い化学種に対して平衡法を適用すると予測制度が低下するので、このような化学種についてはEDC モデルで反応速度を計算しなければならない。
【0082】
また、最終的に生じる生成物、例えばH2OやCO2については平衡法で考慮する。燃焼によって主に生成する化学種を定めることで、平衡法の計算を安定化させるためである。言い換えれば、燃焼生成物の化学種の大部分を平衡法で計算し,精度が必要な化学種に限って補助的にEDCモデルを取り入れることが好ましい。また、EDC/CEモデルではアレニウスの式を使っており、アレニウスの式は温度に依存するのでしばしば消炎が起こる。この問題については,燃料の反応速度についてアレニウスの式を考慮しない、式(29)を使うと回避できる。
【0083】
[6 結論」
結論として、実施例に係るEDC/CEモデルの特徴と、その比較・検討についてまとめる。
(1)詳細化学反応式を必要とせず全ての化学種の生成量を予測でき,任意の化学種について化学反応式を取り入れることでEDCモデルと同程度の精度で計算することができる。
(2)H2Oなどの最終生成物だけでなく、OH,O,Hなどの中間生成物も予測することができ,これとゼルドビィッチ機構などの既存のモデルと組み合わせることでNOxなどの生成量の予測などの応用が可能である。
(3)乱流混合・燃焼をEDCモデルにより評価しているので,化学反応式を考慮し化学反応に乱流と温度の影響を取り入れることができる。
【0084】
さらに、実験値(EXP)、従来のEDCモデルによる予測値との比較・検討についてまとめる。
(1)H2,O2,H2Oについて、EDC/CEモデルによる予測値は、実験値とEDC モデルによる予測値と一致する。
(2)ラジカル類である、OH,Hについては反応速度を考慮することで、EDCモデルの予測値と良い一致を見せるようになる。
(3)多くの化学種について反応速度を考慮すると、EDCモデルによる予測値に近づく。
【0085】
なお、本発明は、上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】燃焼解析処理のフローチャートである。
【図2】燃焼解析装置の機能ブロック図である。
【図3】燃焼解析装置の機能ブロック図である。
【図4】水素噴流火炎の計算領域と境界条件を示す図である。
【図5】H2−O2化学反応メカニズムと関連するレート係数を示す表である。
【図6】シミュレーション条件を示す表である。
【図7】中心線に沿った位置での乱流エネルギーと平均速度を示すグラフである。
【図8】中心線に沿った位置での化学種のモル分率と温度を示すグラフである。
【図9】L=60の位置での乱流エネルギーと平均速度を示すグラフである。
【図10】L=60の位置での化学種のモル分率と温度を示すグラフである。
【図11】L=160の位置での乱流エネルギーと平均速度を示すグラフである。
【図12】L=160の位置での化学種のモル分率と温度を示すグラフである。
【図13】EDCモデルとEDC/CEモデルにおいて、中心線に沿った位置でのOHのモル分率を示すグラフである。
【図14】EDCモデルとEDC/CEモデルにおいて、中心線に沿った位置でのHのモル分率を示すグラフである。
【図15】EDCモデルとEDC/CEモデルにおいて、L=60の位置でのHのモル分率を示すグラフである。
【図16】EDCモデルとEDC/CEモデルにおいて、L=60の位置でのOHのモル分率を示すグラフである。
【図17】EDCモデルとEDC/CEモデルにおいて、L=160の位置でのHのモル分率を示すグラフである。
【図18】EDCモデルとEDC/CEモデルにおいて、L=160の位置でのOHのモル分率を示すグラフである。
【符号の説明】
【0087】
11 第1化学種設定部
12 第1化学種の質量分率算出部
21 第2化学種設定部
22 第2化学種の反応速度算出部
23 第2化学種の質量分率算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼を数値解析する燃焼解析方法であって、
解析対象の燃焼に係わる化学種のうちの一部である1又は複数の第1化学種の生成量を、化学平衡法に基づくアルゴリズムに従って算出する第1ステップと、
前記燃焼に係わる化学種のうちの他の一部である1又は複数の第2化学種の前記燃焼による反応速度を、反応速度論に基づくアルゴリズムに従って算出する第2ステップと、
前記第2ステップによって求めた反応速度を、前記第2化学種の保存式に代入することで、前記第2化学種の生成量を算出する第3ステップと、
を含むことを特徴とする燃焼解析方法。
【請求項2】
解析対象の燃焼に係わる化学種のうちの一部である1又は複数の第1化学種の生成量を、化学平衡法に基づくアルゴリズムに従って算出する手段と、
前記燃焼に係わる化学種のうちの他の一部である1又は複数の第2化学種の前記燃焼による反応速度を、反応速度論に基づくアルゴリズムに従って算出する手段と、
前記第2ステップによって求めた反応速度を、前記第2化学種の保存式に代入することで、前記第2化学種の生成量を算出する手段と、
を備えていることを特徴とする燃焼解析装置。
【請求項3】
解析対象の燃焼に係わる化学種のうちの一部である1又は複数の第1化学種の生成量を、化学平衡法に基づくアルゴリズムに従って算出する第1ステップと、
前記燃焼に係わる化学種のうちの他の一部である1又は複数の第2化学種の前記燃焼による反応速度を、反応速度論に基づくアルゴリズムに従って算出する第2ステップと、
前記第2ステップによって求めた反応速度を、前記第2化学種の保存式に代入することで、前記第2化学種の生成量を算出する第3ステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2010−38410(P2010−38410A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200129(P2008−200129)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【Fターム(参考)】