説明

爪整形具

【課題】容易な動作で、効率良く、爪の長さと形状を整えることができる爪整形具を提供する。
【解決手段】爪の長さ及び形状を整える爪整形具1であって、凹状の湾曲部11を有する刃面10と、湾曲部に階段状に設けられると共に同心状に配された線状の切刃97とを具備する。また、湾曲部の表面は、湾曲の度合いが一律ではない湾曲面から構成されるものとすることができる。更に、刃面は、連続して形成された凹状の湾曲部と凸状の湾曲部とを有するものとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、爪の長さ及び形状を整える爪整形具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
爪の長さ及び形状を整えるには、爪切り鋏で長さと形状の概略を整えた上で、平板状のヤスリで切りあとを滑らかにすると共に、形状の仕上げを行うのが一般的である。一方、爪切り鋏に代替させるものとして、貫通孔の内周縁に切刃を形成し、孔に挿入した爪先を切刃で切削する爪削り器が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−253946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、爪切り鋏の刃で爪を表裏から挟み込んで切断すると、その衝撃で爪が割れたり、爪が層間で剥離し、いわゆる二枚爪になってしまったりすることがある。そのため、女性など爪の状態に配慮する人は、平板状のヤスリだけで爪の長さ及び形状を整えることもあるが、ヤスリによる爪の切削は効率が悪く、時間や手間を要するものであった。加えて、平板状のヤスリの直線的な往復動作では、丸みを帯びた美しい形状に爪を仕上げることは難しいという問題もあった。
【0005】
一方、貫通孔の内周縁に切刃を形成した爪削り器(特許文献1)では、爪と切刃が二点で接することとなる。そのため、爪の外周形状を整えるためには、爪先を貫通孔に挿入したまま指を回動させることによって、切刃との接点を爪の外周に沿って移動させる必要があり、そのような動作はしにくいものであった。また、このような指の回動運動では、爪が切削される形状は自ずと定まってしまい、爪の形状を調整することは困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、容易な動作で、効率良く、爪の長さと形状を整えることができる爪整形具の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明にかかる爪整形具は、「爪の長さ及び形状を整える爪整形具であって、凹状または凸状の湾曲部を有する刃面と、前記湾曲部に階段状に設けられると共に同心状に配された線状の切刃とを」具備している。
【0008】
「刃面」は「凹状の湾曲部」または「凸状の湾曲部」を少なくとも一つ有する構成であり、かかる構成としては、刃面全体が一つの凹状の湾曲部である構成、凹状の湾曲部と凸状の湾曲部とを有する構成、複数の凹状湾曲部を有する構成を例示することができる。また、「刃面」は、湾曲部に加えてそれ以外の構成を有するものでも良く、例えば、凹状湾曲部と平面部とを有する構成、凸状湾曲部と平面部とを有する構成を例示することができる。なお、「刃面」の外形は特に限定されず、例えば、円形、楕円形、多角形とすることができる。
【0009】
「同心状」とは、同心円状を含め、ほぼ相似の所定形状が中心を共有して複数配された形態を指しており、ほぼ相似の所定形状としては、楕円、多角形、不定形とすることができる。加えて、「同心状」には、一本の線が「渦巻き状」となった形態をも含む意で用いており、「渦巻き状」としては曲線によって渦巻きが形成された形態の他、直線が屈曲しつつ渦を巻いている形態が含まれる。そして、同心状に配された切刃が凹状または凸状の湾曲部に設けられると、切刃は湾曲部に沿って階段状となる。
【0010】
「刃面」及び「切刃」は、例えば、金属、セラミックス、ガラス、樹脂で構成させることができる。また、両者は、同一の材料で一体的に形成されているものであっても、異なる材料で構成させたものが接着、溶着等によって一体化されたものであっても良い。
【0011】
上記構成の爪整形具は、爪の外周を湾曲部に当て、爪が階段状の切刃を横切るように、爪を湾曲部に対して相対的に摺動させて使用することができる。ここで、切刃は線状であるため、上記の動作によって、いわば複数の鉋(かんな)を連続的に横切ったように爪が切削される。従って、本発明によれば、爪を湾曲部に沿って相対的に摺動させるという極めて容易な動作で、効率良く爪を切削することができる。
【0012】
また、本発明では、切刃が設けられた面が湾曲しているため、爪に切刃が当たる際の感触が柔らかいものとなる。更に、平板状のヤスリで爪の形状を整える場合は、ヤスリを摺動させる方向を爪の形状に合わせて意識的に変化させなければならず、ある程度技量も必要とされる。これに対し、本発明の爪整形具が凹状の湾曲部を有する場合は、その湾曲に沿って爪が切削されるため、爪と爪整形具との角度を意識して調整することや技量が必要とされることがなく、極めて容易に、カーブした曲線形状に爪の形状を整えることができる。加えて、平板状のヤスリで爪の形状を整える場合は、爪が切削される最小単位が直線的にならざるを得ないのに対し、本発明の爪整形具が凸状の湾曲部を有する場合は、爪と湾曲部とが一点で接するため、爪の形状をきれいな曲線に微調整する作業が行い易い。
【0013】
本発明にかかる爪整形具は、「前記湾曲部の表面は、湾曲の度合いが一律ではない湾曲面から構成されている」ものとすることができる。
【0014】
上記構成により、本発明によれば、湾曲の度合いが部分的に異なる湾曲面のうち、どの部分を使用して爪を相対的に摺動させるかによって、爪を異なる形状に整形することができる。これにより、一つの爪整形具を用いて、上記の容易な動作で効率的に整えることができる爪の形状が多様なものとなり、元々の爪の形状や仕上げたい爪の形状の種類に、広く対応することができる。また、一つの爪整形具によって、第一指から第五指までの爪の大きさの相違や、個人差による爪の大きさの相違に、広く対応することが可能となる。
【0015】
本発明にかかる爪整形具は、「前記刃面は、連続して形成された凹状の湾曲部と凸状の湾曲部とを有する」ものとすることができる。
【0016】
凹状の湾曲部と凸状の湾曲部が連続していると、両者の境界付近に湾曲の度合いの大きな凹状の湾曲面を形成し易い。従って、上記構成の本発明によれば、湾曲の度合いの大きな凹状の湾曲面に沿って爪を相対的に摺動させることにより、大きく湾曲した形状に爪を整形することができる。例えば、爪先に向かって先細りに長く突出した形状に、爪を整形することができる。
【0017】
本発明にかかる爪整形具は、「前記切刃は、前記湾曲部の表面の法線方向より前記湾曲部の下方側に傾いて突出している」ものとすることができる。
【0018】
上記の構成により、本発明の爪整形具では切刃が下向きになっている。これにより、切刃が外部と接触した場合に切刃が保護され、切刃の切れ味を長く維持し易いものとなる。なお、湾曲部に対して相対的に爪を摺動させる往復動作を行う場合、爪は湾曲部に沿って上昇するように摺動させる際に主に切削される。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の効果として、容易な動作で、効率良く、爪の長さと形状を整えることができる爪整形具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の第一実施形態である爪整形具について、図1乃至図5に基づいて説明する。ここで、図1は第一実施形態の爪整形具の斜視図であり、図2は図1の爪整形具の(a)平面図、(b)X−X線断面図、(c)切刃を省略したX−X線断面図であり、図3は図2(b)におけるA範囲の拡大図であり、図4は切刃の他の例をA範囲で示した断面図であり、図5は切刃の更に他の例をA範囲で示した断面図である。
【0021】
第一実施形態の爪整形具1は、凹状の湾曲部11を有する刃面10と、湾曲部11に階段状に設けられると共に同心状に配された線状の切刃97とを主に具備している。
【0022】
より詳細に説明すると、図1に示すように、本実施形態の刃面10は円柱状の基体90の一方の端面に設けられている。そして、図2(b),(c)に示すように、刃面10は、全体が一つの凹状の湾曲部11で構成されている。また、図2(a)に示すように、刃面10の外周は円形であり、刃面10の外周円と同心に、複数の円形の切刃97が列設されている。従って、図2(b)及び図3に示されているように、複数の切刃97は凹状の湾曲部11に沿って階段状に設けられている。
【0023】
加えて、本実施形態の切刃97は、湾曲部11の表面の法線方向(図3における矢印N方向)より湾曲部11の下方側に傾いて突出している。すなわち、切刃97は下向きに設けられている。
【0024】
次に、爪整形具1の使用方法について説明する。まず、爪の長さ及び形状を整えたい手指とは反対側の手で基体90を把持し、長さ及び形状を整えたい爪の外周を湾曲部11に当てる。そして、爪を湾曲部11に押し当てた状態で、爪を湾曲部11に対して相対的に摺動させる。このとき、爪が階段状の切刃97を横切るように、すなわち、本実施形態では円形の刃面10及び円形の切刃97の径方向に摺動させる。また、摺動は往復して行うと、動作がし易い。なお、爪は湾曲部11に対して相対的に摺動させれば良く、基体90を固定して爪を摺動させても、爪を固定して基体90を動かしても、両者を同時に動かしても良い。なお、基体90の側周面には滑り止め用溝99が施されているため、基体90を把持し易く、上記の動作がし易いものとなっている。
【0025】
上記のように、第一実施形態の爪整形具1によれば、湾曲部11に対する爪の相対的な摺動動作により、階段状に設けられた線状の切刃97を爪が次々と横切り、鉋で削られるように切削される。これにより、爪を湾曲部11に沿って相対的に摺動させるという極めて容易な動作で、効率良く爪を切削することができる。
【0026】
また、切刃97が凹状の湾曲部11に設けられているため、爪を湾曲部11に押し当てるように摺動させることにより、爪は湾曲部11の凹状の湾曲形状に沿って切削される。これにより、特に意識的に作業を行わなくとも、爪を湾曲部11に沿って相対的に摺動させるという極めて容易な動作で、爪の形状を丸みを帯びた形状に整えることができる。
【0027】
ここで、切刃97の代わりに砥粒を湾曲部11に固着し、或いは、ブラスト加工等により傷を付けて湾曲部11の表面を粗面化した爪整形具も想定し得る。しかしながら、この場合は、爪の形状を整えることはできても、爪の長さを短くするには切削の効率が悪く、多大な労力と時間を要する。これに対して本実施形態では、線状の切刃97で爪を切削する構成であるため、爪の形状を整えるのと同時に、効率良く爪の長さを短くすることができる。
【0028】
加えて、湾曲部11に砥粒を固着し、或いは、表面を粗面化した爪整形具の場合は、爪の長さが短くなるほど多量に爪を切削すると、砥粒の間隙やブラスト加工による傷が目詰まりし易く、いったん目詰まりするとその除去も容易ではない。これに対して本実施形態では、爪を切削する構成が所定間隔で列設された線状の切刃97であるため、爪の切削屑による目詰まりが生じにくいと共に、切削屑の除去も容易に行うことができる。
【0029】
また、本実施形態では、刃面10が全体的に凹状であるため、切刃97が基体90の端部から突出しない構成となっている。これにより、外部との接触から切刃97を保護することができる。
【0030】
更に、刃面10が全体的に凹状であるため、切刃97によって切削された爪の切削屑は、自ずと凹状の刃面10の底部に集まる。これにより、切削屑の処理がし易い。加えて、爪の切削が凹状の刃面10内で行われるため、平板状のヤスリで爪を切削する場合とは異なり、切削屑の周囲への飛散を抑制することができる。
【0031】
加えて、本実施形態の切刃97は下向きに設けられているため、切刃97が外部と接触した場合に切刃97が保護され、切刃97の切れ味を長く維持し易い。また、凹状の湾曲部11に沿って爪を相対的に摺動させる往復動作を行う場合は、湾曲部11に沿って下降するように爪を摺動させる際は爪が切削されにくいが、湾曲部11に沿って上昇するように摺動させる際に、爪が切れ味良く切削される。
【0032】
ここで、切刃97に代替して、図4に示すように、湾曲部11の表面の法線方向(図4における矢印N’方向)とほぼ同一方向に突出する構成の切刃97bとすることもできる。この場合は、湾曲部11に沿って爪を相対的に摺動させる往復動作を行う場合、往路においても復路においても、同様に爪が切れ味良く切削される。加えて、切刃97bは湾曲部11の表面の法線方向とほぼ同一方向に突出する構成であることから、凹状の刃面10の外側から内側まで、切刃97bが爪に当たる角度がほぼ一定である。これにより、刃面10の外側から内側の間で爪を相対的に摺動させる際に、爪の切削され具合が均一となり、爪の長さや形状を整え易い。
【0033】
また、切刃97に代替して、図5(a)〜(c)に示すような切刃97c,97dまたは97eとすることができる。ここで、図5(a)の切刃97cは、切刃97cを構成する山型の刃面の角度(図示、角度θc)が、図4の切刃97bの角度(図示、角度θb)より鋭角となっている場合である。具体的には、θbを60〜70°に、θcを35〜45°とすることができる。このように、切刃97cの角度が鋭角であることにより、より切れ味良く爪を切削することができるため、例えば、効率良く爪の長さを短くしたい場合に適している。
【0034】
図5(b)の切刃97dは、切刃97dを構成する二つの刃面の一方が、ほぼ鉛直方向に立ち上がっている例である。ここで、鉛直方向とは、円形の切刃97dが仮想の水平面上にある状態での鉛直方向を指している。このような構成とすることにより、凹状の刃面の外側から内側に向かって爪を相対的に摺動させる際、爪が切削される度合いは外側ほど大きく、逆に、刃面の内側から外側に向かって摺動させる際は、爪が切削される度合いは内側ほど大きくなる。従って、湾曲部11の形状と切刃97bの形状とを組合わせて設定することにより、整形できる爪の形状が多様な、多種類の爪整形具を製造することができる。
【0035】
図5(c)の切刃97eは、切刃97eを構成する山型の刃面の角度がほぼ直角であると共に、二つの刃面の一方が水平面で他方が鉛直面の例である。ここで、水平面及び鉛直面とは、円形の切刃97eが仮想の水平面上にある状態での水平面及び鉛直面を指している。このような構成とすることにより、線状である切刃97eの切れ味を抑えることができるため、爪を切削し過ぎる失敗を防止して、安定的かつ確実に爪を整形することができる。
【0036】
なお、第一実施形態の爪整形具1は、刃面10の外周円が直径10〜20mmで、同心円状の切刃97が15〜30本設けられる設定とすることができる。このような設定とすることにより、一本の指の爪先を凹状の刃面10内で摺動させ易く、使い勝手の良いものとなる。また、上記設定では線状の切刃97の間隔が広くないため、爪を摺動させる際に切刃97で指先を傷つけにくいものとなる。
【0037】
次に、第二実施形態〜第五実施形態の爪整形具について、図6を用いて説明する。ここで、図6(a)〜(d)は第二実施形態〜第五実施形態の爪整形具のそれぞれについて、切刃を省略して図示した縦断面図である。
【0038】
第二実施形態〜第五実施形態の爪整形具2,3,4,5は、第一実施形態の爪整形具1と同様に、円柱状の基体90の一端に設けられると共に凹状または凸状の湾曲部を有する外形が円形の刃面と、湾曲部に階段状に設けられると共に同心円状に配された線状の切刃とを具備している。以下では、第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0039】
第二実施形態の爪整形具2の刃面20は、全体が一つの凹状の湾曲部21(以下、単に「凹状湾曲部21」と称する)で構成されており、凹状湾曲部21の表面は、湾曲の度合いが一律ではない湾曲面から構成されている。より詳細には、凹状湾曲部21の表面は、図6(a)に示すように、半径R1の凹状湾曲面部21aと、R1より小径の半径R2の凹状湾曲面部21bとから構成されている。そして、凹状湾曲面部21aと凹状湾曲面部21bには共に、切刃が階段状に設けられている。
【0040】
このような構成とすることにより、凹状湾曲面部21aを使用する場合と、凹状湾曲面部21bを使用する場合とで、爪を異なる形状に整形することができる。例えば、曲率半径の大きな凹状湾曲面部21aで第一指の大きな爪を整形し、それ以外の指の小さな爪は、曲率半径の小さな凹状湾曲面部21bで整形することができる。
【0041】
第三実施形態の爪整形具3の刃面30は、図6(b)に示すように、連続して形成された凹状湾曲部31と凸状の湾曲部33(以下、単に「凸状湾曲部33」と称する)とを有している。より詳細には、刃面30の外周側に凹状湾曲部31が、中心側に凸状湾曲部33が設けられている。また、凸状湾曲部33の最も高い位置は刃面30の外周縁より低く設定されており、刃面30は全体的に凹状となっている。換言すれば、本実施形態の刃面30は、内底が盛り上がった椀状である。そして、凹状湾曲部31と凸状湾曲部33には、共に切刃が階段状に設けられている。
【0042】
このような構成とすることにより、凹状湾曲部31と凸状湾曲部33との境界付近に湾曲の度合いの大きな湾曲面が形成されている。従って、この部分の湾曲面に沿って爪を相対的に摺動させることにより、湾曲の度合いの大きな形状、例えば、爪先に向かって先細りに長く突出した形状に、爪を整形することができる。加えて、凹状湾曲部31と凸状湾曲部33との境界付近の湾曲面を使用して爪を整形することにより、爪の外周の片側から他方の側にかけて、一度に広い範囲で爪を整形することができる。
【0043】
第四実施形態及び第五実施形態の爪整形具4,5は、何れも、刃面が湾曲部に加えて平面部を有する例である。より詳細には、第四実施形態の刃面40は、図6(c)に示すように、全体的に凹状であり、中心付近に平面部44が設けられると共に、その外側に凹状湾曲部41が設けられている。換言すれば、刃面40は、内底が平坦な椀状である。そして、凹状湾曲部41と平面部44には、共に切刃が設けられている。なお、凹状湾曲部41の切刃は階段状となるが、平面部44における切刃は当然ながら階段状とはならない。
【0044】
一方、第五実施形態の刃面50は、図6(d)に示すように、全体的に凹状であり、中心付近に凸状湾曲部53が設けられ、その外側に平面部54が設けられている。そして、凸状湾曲部53と平面部54には、共に切刃が設けられている。
【0045】
第四及び第五実施形態のように、刃面が湾曲部に加えて平面部をも有し、平面部に切刃が設けられている場合は、平面部に沿って爪を相対的に摺動させることにより、爪先が扁平で角ばった形状に爪を整形することができる。
【0046】
次に、第六実施形態の爪整形具6について、図7を用いて説明する。ここで、図7は第六実施形態の爪整形具の平面図である。爪整形具6は、凹状または凸状の湾曲部を有する刃面60と、湾曲部に階段状に設けられると共に同心状に配された線状の切刃とを具備し、刃面60は六角柱状の基体69の一方の端部に設けられている。また、刃面60の外周はほぼ六角形であり、複数の六角形の切刃67が同心に列設されている。ここで、刃面60の断面形状(図示Y−Y線断面)は、図2(c),図6(a)〜(d)を用いて例示した上述の形状とすることができる。これにより、上記と同様の作用効果によって、容易な動作で効率よく、爪の長さ及び形状を整えることができる。
【0047】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0048】
例えば、図8に例示する爪整形具7のように、基体79において刃面70が設けられた端部とは反対側の端部に、極めて微細な砥粒が電着された凹状のヤスリ面75を設けることができる。このような構成とすることにより、ヤスリ面75で爪の甲を研磨することができる。或いは、刃面70側で長さと形状を整えた後の爪の外周を、ヤスリ面75で更に滑らかに仕上げることができる。
【0049】
また、上記では、基体と刃面とが一体的に形成されている場合を図示して説明したが、これに限定されず、両者を異なる材料で構成させ、或いは同一材料の別体で構成させて一体化することもできる。例えば、切刃が設けられた刃面を金属製とし、基体を樹脂製として、両者を接着により一体化することができる。
【0050】
更に、上記では、複数の線状の切刃が同心円状、または、同心の多角形状に配された場合を例示したが、一本の切刃を渦巻き状に配設することもできる。そして、渦巻き状の切刃を凹状湾曲部または凸状湾曲部に沿って設けた場合、切刃は縦断面視で階段状となる。従って、この場合も、上記と同様の作用効果によって、容易な動作で効率よく、爪の長さ及び形状を整えることができる。また、上記では、基体の横断面形状と刃面の外形、及び、刃面の外形と切刃の形状が同一の場合を例示したが、これに限定されず、それぞれの形状は異なっていても構わない。
【0051】
また、本発明の爪整形具における刃面の大きさは、一本の指先を沿わせることができる程度に設定すれば足りるため、平板状のヤスリや爪切り鋏に比べて小型化が可能である。そのため、例えば、爪整形具にストラップやチェーンを取り付ければ、キーホルダーのように携帯することができ、時や場所を選ばず、爪の長さや形状を整えることができる。
【0052】
更に、上記の構成に加え、刃面の外周に沿って縁高の周縁部を設けることができる。これにより、刃面に沿った爪の相対的な摺動動作が周縁部によって制限され、使用中に爪整形具から指が外れにくくなるため、より使い勝手の良い爪整形具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第一実施形態の爪整形具の斜視図である。
【図2】図1の爪整形具の(a)平面図、(b)X−X線断面図、(c)切刃を省略したX−X線断面図である。
【図3】図2(b)におけるA範囲の拡大図である。
【図4】切刃の他の例をA範囲で示した断面図である。
【図5】切刃の更に他の例をA範囲で示した断面図である。
【図6】第二実施形態〜第五実施形態の爪整形具のそれぞれについて切刃を省略して図示した縦断面図である。
【図7】第六実施形態の爪整形具の平面図である。
【図8】他の実施形態の爪整形具の縦断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1,2,3,4,5,6,7 爪整形具
10,20,30,40,50,60,70 刃面
11,21,31,41 凹状湾曲部(湾曲部)
33,53 凸状湾曲部(湾曲部)
67,97,97b,97c,97d,97e 切刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
爪の長さ及び形状を整える爪整形具であって、
凹状または凸状の湾曲部を有する刃面と、
前記湾曲部に階段状に設けられると共に同心状に配された線状の切刃と
を具備することを特徴とする爪整形具。
【請求項2】
前記湾曲部の表面は、湾曲の度合いが一律ではない湾曲面から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の爪整形具。
【請求項3】
前記刃面は、連続して形成された凹状の湾曲部と凸状の湾曲部とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の爪整形具。
【請求項4】
前記切刃は、前記湾曲部の表面の法線方向より前記湾曲部の下方側に傾いて突出していることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の爪整形具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−297119(P2009−297119A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152533(P2008−152533)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(390038209)足立工業株式会社 (24)