説明

片手駆動片脚舵取りの車いす

【課題】支障のない片脚による車いすの舵取りを、操作性の良いシンプルな舵取機構を採用した「片手駆動片脚舵取り車いす」を提供する。
【解決手段】駆動用のハンドリムを有する手動による駆動後輪と、前輪を有する車いすにおいて、前輪舵取り機構として、両前輪の各前輪支持部材にナックルアームの一端を連結し、両ナックルアームの他端間をタイロッドで軸連結して、両前輪を同時に同一方向に舵取り可能にしたアッカーマンジャント機構を設け、前記ナックルアームとタイロッドとの軸連結部に舵操作サブアームの一端を軸連結し、この舵操作サブアームの他端に舵操作主アームの下端を軸連結し、舵操作主アームの中間部を座席の前部の支持部材に軸支し、舵操作主アームの上端に腿載枠を固定し、前記腿載枠7による舵操作主アーム上部の左右回
動操作で舵操作主アーム下端と舵操作サブアームとの軸連結部を左右にシフトして、前記アッカーマンジャント機構による両前輪の舵操作をする片手駆動片脚舵取り車いす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳卒中などで片麻痺となった人が利用する片手で駆動、片脚で舵取りを行う車いすに関する。
【背景技術】
【0002】
車いすは本来、下脚が不自由、弱っている人等が移動するために使用するものであり、移動時は両後輪に設置してあるハンドリムを両手で漕ぎ、方向転換時は左右の漕ぐ力を加減する。しかしハンドリムを握る力の弱い片麻痺者が車いすを使用するとなると、麻痺していない側のハンドリムのみ漕ぐことになるため、直進することはもちろん、任意の方向に移動することができない。これを解決するために、片麻痺者は麻痺していない側の脚は動かせるので、麻痺していない側のフットレストを上げて足が地面に着くようにして、足で地面を蹴りながら手でハンドリムを漕ぐ操作方法がある。しかし地面を足で蹴るため、身体が座席から離れようとする力が働き、姿勢が悪くなるだけでなく座席から落ちる恐れがあり非常に危険である。
【0003】
そこで片麻痺者でも使用できる車いすとしてこれまでに開発されたものとして主に以下のものが挙げられる。まず一方の後輪部にハンドリムを二重に設置したダブルハンドリム方式のものがある(特許文献1参照。)。二つ目にハンドリムで後輪の駆動を、座席前部にあるレバーで前輪の首ふり角度を調節する舵取りの二つの動作を片手のみで行うものがある(特許文献2参照。)。最後に、片手でハンドリムを漕ぎ後輪の駆動を、肘当て付近にある動作切り替えレバーを片手で切り替えて、両後輪間シャフトをクラッチで連結・解除させ進行動作を決定するものがある(例えば、特許文献3参照)。
特許文献1は、一方の後輪からシャフトで伝達したハンドリムを反対側に設け、もう一方の後輪部にハンドリムを二重に設置した機構になっており、機構がシンプルで実用性に優れているが、二つのハンドリムは一定の距離があるため、直進時は同時に握って漕ぐが手が小さいと漕ぎづらく、方向転換時は漕ぐハンドリムの選択や力加減に熟練を要し、またもう一方のハンドリムは自由な状態なため斜面などでは車いすが勝手に動く恐れがある欠点を有する。
【0004】
特許文献2は、駆動は片方の後輪のハンドリムを漕ぎ、舵取りは両前輪にリンクで連結されたレバーを片手で操作するので、容易に進行方向を変えることが可能であるが、片手で駆動・舵取り両方を行うので舵取りを行う際は駆動・制動するハンドリムから手が離れるため危険察知時対応に遅れるだけでなく、斜面でレバーを操作する際暴走する恐れもあり非常に危険である。また発進時ではまず舵を取り進行方向を定めてから駆動させるので舵取りの修正が困難である。
【0005】
特許文献3は、左右独立した後輪車軸の連結・解除等を、車軸間に設けた回転伝達装置で行い、この切り替えを肘掛付近の動作切り替え装置のレバーを片手で操作し、駆動は後輪ハンドリムを漕ぐ手段を取り、その場で旋回できるという利点があるが、回転伝達装置・動作切り替え装置の機構が複雑で、部品数が増加するとともに、動作切り替え時にハンドリムから手を離すため、危険察知時の対応の遅れや斜面走行時暴走する恐れがあり非常に危険である。
<公知文献>
【特許文献1】実公昭46−13386号公報
【特許文献2】特開2006−320589号公報
【特許文献3】特開2004−141452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、支障のない片脚による車いすの舵取りを、操作性の良いシンプルな舵取機構を採用した「片手駆動片脚舵取り車いす」を提供するものである。これにより、支障のない片手を車いすの駆動と制動に専用させることができるので、該駆動と制動操作を、前記片脚による舵取りと同時に或いは並行して確実に実施させ、危険察知時の迅速対応を可能にし、上記の斜面走行時の暴走などを皆無にしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決する本発明の特徴とする事項を以下に示す。
(1)、駆動用のハンドリム3を有する手動による駆動後輪2と、首振り自在の前輪4を有
する車いすにおいて、前輪舵取り機構として、両前輪4の各前輪支持部材14にナックルア
ーム11の一端を固定連結し、両ナックルアーム11の他端間をタイロッド10で軸100連結し
て、両前輪4を同時に同一方向に舵取り可能にしたアッカーマンジャント機構を設け、前
記アッカーマンジャント機構のナックルアーム11とタイロッド10との軸100連結部に舵操
作サブアーム9の一端を軸90連結し、この舵操作サブアーム9の他端に舵操作主アーム8の
下端を軸80連結し、舵操作主アーム8の中間部を座席16の前部の部材12に軸120支し、舵操作主アーム8の上端に腿載枠7を固定し、前記腿載枠7による舵操作主アーム8上部の左右回動操作で舵操作主アーム8下端と舵操作サブアーム9との軸80連結部を左右にシフトして、前記アッカーマンジャント機構による両前輪4の舵操作をすることを特徴とする片手駆動
片脚舵取り車いす。
(2)、舵操作主アーム8における腿載枠7の支持側に、腿載枠7の高さ調節機構13、17を
設けたことを特徴とする前記(1)に記載の片手駆動片脚舵取り車いす
(3)、駆動用のハンドリム3を有する手動による駆動後輪2と、首振り自在の前輪4を有
する車いすにおいて、前輪舵取り機構として、両前輪4の各前輪支持部材14にナックルア
ーム11の一端を固定連結し、両ナックルアーム11の他端間をタイロッド10で軸100連結し
て、両前輪4を同時に同一方向に舵取り可能にしたアッカーマンジャント機構を設け、前
記アッカーマンジャント機構のタイロッド10に舵操作主アーム80の後端を連結し、舵操作主アーム80の中間部を座席16の前部の部材に軸支し、舵操作主アームの前端に足首部枠を固定し、前記足首部枠による舵操作主アーム前部の左右旋回操作で舵操作主アーム後端とタイロッド10との連結部を左右にシフトして、前記アッカーマンジャント機構による両前輪の舵操作をすることを特徴とする片手駆動片脚舵取り車いす。
【発明の効果】
【0008】
本発明の片手駆動片脚舵取り車いすは、前記特徴の前輪舵取り機構は、シンプルな機構で支障のない片脚による前輪の舵取り操作性を簡単に且つ迅速安全確実に実施することを実現し、これにより支障のない片手を車いすの後輪駆動と制動操作に専用させて単純化することができるので、該後輪の駆動と制動操作を、前記片脚による前輪の舵取りと同時に或いは並行して安全確実に実施させ、危険察知時の迅速対応を可能にし、例えば斜面走行時の暴走などを皆無にするものである。このため、前記車いすは、片麻痺者等に広く活用される。
【0009】
また、標準型車いすや折り畳み式車いすの前輪部に、本発明の舵取り機構を付け替え、位置決めを行うだけで片手駆動片脚舵取り車いすとなるので、病院等施設内で使用されている標準型車いすや折り畳み式車いすへの適用改造がきわめて容易であり汎用性が高い優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において、舵操作主アームにおける腿載枠の支持側に、腿載枠の高さ調節機構を設け、或いは舵操作主アームにおける足首部枠の支持側に、足首部枠の突出長さ調節機構
を設けることにより、乗る人に適応するよう位置調節を可能とし、また乗降時障害にならぬよう舵操作主アームを取り外し座席よりも低い位置まで下げたり、車いすの側部や下方の内側に退避するようにしてもよい。
【0011】
本発明において、前記アッカーマンジャント機構の両ナックルアームは、両駆動輪の接地点間の中心点又は回転軸芯間の中心点と、直進状態の両前輪の接地点とを結ぶ線上に位置させることにより、前・後輪の旋回中心位置を常に両駆動輪の接地点を通る直線上に位置させて、前進は勿論、後退時でも舵取り操作性が安定するものである。
【0012】
本発明において、舵操作主アームの中間部と座席の前部支持部材との軸支部は、舵操作主アームが着脱可能に軸着して左右に設け、及び舵操作サブアームとナックルアームとの軸支部は、舵操作サブアームが着脱可能に軸着することにより、舵操作主アームと舵操作サブアームは何れか一方の当該軸支部に付け替えるだけで左側もしくは右側の片麻痺者いずれも使用可能となる。
以下、本発明の実施例を図面と共に詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
実施例1を図1、図2、図3、図4−1、図4−2、図5−1、図5−2、図6、図7、図8と共に説明する。
ここで紹介する車いすは、前記特徴(1)の片手駆動片脚舵取り車いすであり、座席16と足
載板5と前部の座席した支持用の支持部材12と、駆動用のハンドリム3を有する手動による駆動後輪2と、首振り自在の前輪4を有する車いすにおいて、前輪4と後輪2の車軸間距離が420mm、左右の前輪間距離が470mmの市販されているアルミ製の標準型車いすに舵取り機構を設けたものである。
図1、図2、図3、において、本例の「片手駆動片脚舵取り車いす」の前輪舵取り機構は、アッカーマンジャント機構とアッカーマンジャント機構を操作する片脚舵取り機構からなる。
【0014】
<アッカーマンジャント機構>
アッカーマンジャント機構は、両前輪4の各前輪の支持部材14にナックルアーム11の一
端を固定連結し、両ナックルアーム11の他端間をタイロッド10で軸100連結して、両前輪4を同時に同一方向に舵取り可能にしたものである。
前記ナックルアーム11は、図4−1に示すように、車いすの直進時の前輪4ポジショウ
ンの際、両駆動輪2の接地点200間の中心点200cと、直進状態の両前輪4の接地点とを結ぶ
直線線L1上に位置させることにより、前・後輪の旋回中心位置を常に両駆動輪2の接地点200を通る直線L0上に位置させた相対角度にしてある。
これで両前輪4の同時首ふり方向転換と共に、ナックルアーム11も旋回回動し、図4
−2のように左・右旋回(カーブ)走行時は、後輪2と前輪4のすべての車輪の旋回中心点が前記線L0上に常に位置して、スムーズな旋回が可能となる。これで車いすの直進の前後進は勿論、旋回の前後進をスムーズにし、次に説明する片脚舵取り機構による舵取り操作性を安定させるものである。
図5−1(a)と(b)には右旋回時のアッカーマンジャント機構とアッカーマンジャン
ト機構を操作する片脚舵取り機構の状態を示し、図5−2(a)と(b)には左旋回時の
アッカーマンジャント機構とアッカーマンジャント機構を操作する片脚舵取り機構の作動状態を示す。
【0015】
<片脚舵取り機構>
次に、このアッカーマンジャント機構を操作する片脚舵取り機構は、腿載枠7と舵操作
主アーム8と舵操作サブアーム9とを主な構成である。
即ち、片脚舵取り機構は、前記アッカーマンジャント機構のナックルアーム11とタイロ
ッド10との軸100による連結部に、舵操作サブアーム9の一端を軸90にて軸連結し、この舵操作サブアーム9の他端に、舵操作主アーム8の下端を軸80で連結し、舵操作主アーム8の
中間部を座席16の前部の支持部材12に着脱可能に螺合した取り付け螺子120で回転自由に
軸支し、舵操作主アーム8の上端に片腿の前部を載せる上解放型に湾曲させた腿載枠7を固定し、前記腿載枠7を片腿で左右に操作することにより舵操作主アーム8と舵操作サブアーム9を介してナックルアーム11との軸連結部を旋回シフトさせて、前記アッカーマンジャ
ント機構による両前輪4の進路方向を、片腿の操作方向と同一の進路方向に確実容易に操
作するものである。
前記舵操作主アーム8には上部に腿載枠7高さ調節機構7-8を設けてある。
【0016】
<舵操作主アーム8の腿載枠7高さ調節機構7-8>
舵操作主アーム8の腿載枠7高さ調節機構7-8を図6例にて紹介する。
図6の調節機構7-8例において、腿載枠7下部には、支持シャフト7aを連結し、支持シャフト7a内に板ばね17の先端で支持したロックピン13aをシャフト外に突出自在に設ける。舵
操作主アーム8の上部には、支持シャフト7aを上下移動自在に挿入支持する調節筒部8aを
形成し、調節筒部8aには前記ロックピン13a挿入用の複数のロックホール13bを縦配列したものである。腿載枠7の高さ調節はロックホール13に挿入されたロックピン13aを中に押し込み外れた時点で、腿載枠7により支持シャフト7aを上方に引き上げるか下方に押し込ん
で所望の高さにし、その際に位置するロックホール13bにロックピン13aが板ばね17により挿入され位置固定される。
腿載枠7の変形例を図9に示す。図9に示す腿載枠70は、調節筒部8aに支持した支持シ
ャフト7aの上端に上解放型に湾曲させた取り外し可能でクッション材で形成したものである。この腿載枠70は利用する人の腿サイズに応じて取り換え可能にしたものである。
【0017】
<片脚舵取り機構の左右クイックチェンジ機構>
次に前記片脚舵取り機構を、左足か右足のいずれにもクイックチェンジできる機構例を図7−1、図7−2と図8により紹介する。
このクイックチェンジ機構は、図7−1に示す如く舵操作主アーム8を右足側と左足側の
位置にクイックチェンジする構成と、図8に示す如く舵操作サブアーム9とナックルアー
ム11との軸着を右側のナックルアーム11と左側のナックルアーム11にクイックチェンジする構成とからなる。
図7−1に示す舵操作主アーム8の左右クイックチェンジ構成は、舵操作主アーム8の中間部を座席16の前部の支持部材12に設けた水平長穴12aにボルト20を貫通しその前後に
ナット19を設け、ボルト20の前端に当て板22を介してカム式クイックレバー18を軸着したものである。これによりナット19を緩めてボルト20を水平長穴12aに沿い左
右にスライド移動させて舵操作主アーム8の位置を左右にチェンジし、カム式クイックレ
バー18をその大径部で強く締め位置固定する。
図8に示す舵操作サブアーム9のクイックチェンジ構成例は、一方のナックルアーム1
1とタイロッド10と舵操作サブアーム9を軸連結するボルト20の上部にカム式クイック
レバー18を軸着し、前輪支持部材14に固定したナックルアーム11にボルト20が離脱可能な切り込み部110を設け、図示していないが、他方のナックルアーム11も同様に
タイロッド10と軸連結するボルト20の上部にカム式クイックレバー18を軸着し、前輪支持部材14に固定したナックルアーム11にボルト20が離脱可能な切り込み部110を
設けたものである。
これによりナックルアーム11の切り込み部110にボルト20を入れ、カム式クイックレ
バー18と当て板22間に切り込み部110の形成部を挟みナット19で締めカム式クイッ
クレバー18の大径部で更に強く締め固定する。
かくしてタイロッド10を舵操作サブアーム9ごと取り外してタイロッド10の左右の位置
を変更してナックルアーム11を入れ替え連結すればよい。
前輪支持部材14とナックルアーム11との固定接続の変形例を図7−2に示す。これ
は、既存の前輪支持部材14の両側に補強板24を挟み固定し、それに前記切り込み部110を設けたナックルアーム11を固定設置した図でありその他は省略してある。
【実施例2】
【0018】
実施例2を図10、図11、図12と共に説明する。
実施例2で紹介する車いすは、実施例1で構成したアッカーマンジャント機構と片脚舵取り機構を適用した折り畳み式車いすに適用したものであり、実施例1と同一部分には同一符号を付してその詳細説明は省略する。
図10に示す折り畳み式車いすは、座席16の下部に中心部を軸25aで折り畳み可能に軸
着した二本のクロスバー25を前後に設けクロスバー25の下部の中央部に平行水平リンクバー30を掛け渡し、平行水平リンクバー30の前端部を、長尺長穴12bを形成した長穴枠体12a(前部部材12的機能)に挿入係合させ、クロスバー25を図11と図12に示す折りたたみ
状態から図10に示すように開脚させた際のストッパー的機能をもたせたものである。
そして、図11と図12に示すように、上記長穴枠体12aに、前例同様の片脚舵取り機
構の舵操作主アーム8の中間部を、取り付け螺子120で着脱可能に螺合取り付けしたものである。図11(c)には、長尺長穴枠体12aの変形例12bであり、長尺長穴12bの両側の縦溝12cは、クロスバー25開脚時に舵操作主アーム8の取り付け螺子120の位置を上下に高さ調節するガイド溝である。
【実施例3】
【0019】
実施例3を図13に示す。実施例3は、前記図1〜図2に示す車いすを前記特徴の(3
)の片手駆動片脚舵取り車いすにした例であり前輪舵取り機構のアッカーマンジャント機構は、実施例1に同一の構成としてあり、同一構成部分には同一符号を付してその詳細説明は省略する。
前輪舵取り機構の片脚舵取り機構は、前記アッカーマンジャント機構のタイロッド10に舵操作主アーム80の後端を連結し、舵操作主アーム80の中間部を座席16の前部の支持部材12に軸12dで軸支し、舵操作主アーム80の前端に前方解放型つまりU字型の足首部枠700を
固定し、前記足首部枠700による舵操作主アーム80前部の左右旋回操作で舵操作主アーム80後端とタイロッド10との長穴31a式連結部31を左右にシフトして、前記アッカーマンジャント機構による両前輪4の舵操作をするものである。タイロッド10に設けたストッパー32
は、舵操作主アーム80の後端長穴31a式連結部31の位置をルーズに規定するストッパーで
あり、タイロッド10とは左右にスライド位置変更調整可能に装着してある。

【実施例4】
【0020】
実施例4を図14に示す。実施例4は、前輪舵取り機構として、アッカーマンジャント機構を設けず、片脚舵取り機構をシンプルにしたものである。
舵操作主アーム800の下部をL型アーム800aにして、そのL型アーム800aの先端部を前輪軸
受支持部材26の後部に軸着40し、L型アーム800aの中間部を支持部材27下方の部材29に固
定したガイド筒28にスライド自在に装着支持したものである。
舵操作主アーム800は回動ぜず、左右に平行シフトして、前輪軸受支持部材26を舵操作す
る。
【実施例5】
【0021】
実施例5を図15に示す。実施例5の片手駆動片脚舵取り車いすは、前輪舵取り機構として、アッカーマンジャント機構を設けず、前例同様に、片脚舵取り機構をシンプルにしたものである。
舵操作主アーム8と舵操作サブアーム9は実施例1と同一とし、舵操作サブアーム9の先端
部を前輪の軸受支持部材26の後部に軸着したものである。
車いす本体は、実施例1と同じ構造のものであり同一部分には同符号を付してその詳細説
明は省略する。
【実施例6】
【0022】
実施例6を図16に示す。実施例6は、図13の実施例3の変形例であり、前輪舵取り機構として、アッカーマンジャント機構を設けず、片脚舵取り機構をシンプルにしたものである。車いす本体は、実施例3に同一の構成としてあり、同一構成部分には同一符号を付してその詳細説明は省略する。
片脚舵取り機構は、舵操作主アーム80の後端を舵操作サブアーム90に連結し、舵操作サブアーム90を前輪軸受支持部材26の後部に軸着する。舵操作主アーム80の中間部は、座席の前部の部材12に軸12dで軸支し、舵操作主アーム80の前端に前方解放型つまりU字型の足首部枠700を固定し、前記足首部枠700による舵操作主アーム80前部の左右旋回操作で舵操作主アーム80と舵操作サブアーム90を介して前輪軸受支持部材26を左右に操作して片前
輪4を舵取りする。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、前記した優れた効果を有し、特に手足の不自由な人に活用される。このため既設の車いすの改造産業に、或いは新規の車いす製造産業に広く利用されるものでありこの種産業の発展に大いに貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1の車いすの側面説明図である。
【図2】図1の正面説明図である。
【図3】実施例1におけるアッカーマンジャント機構と片脚舵取り機構の要部を示す平面図(a)、正面図(b)、側面図(c)である。
【図4−1】実施例1におけるアッカーマンジャント機構の条件説明図である。
【図4−2】実施例1におけるアッカーマンジャント機構の条件説明図である。
【図5−1】実施例1におけるアッカーマンジャント機構と片脚舵取り機構の右旋回時の状態を示す説明図である。
【図5−2】実施例1におけるアッカーマンジャント機構と片脚舵取り機構の左旋回時の状態を示す説明図である。
【図6】実施例1における腿載枠7高さ調節機構7-8を示す正面説明図(a)と(b)側面説明図である。
【図7−1】実施例1における舵操作主アーム8のクイックチェンジ機構を示す正面説明図(a)と(b)側面説明図である。
【図7−2】実施例1における前輪支持部材14とナックルアーム11との固定接続の変形例を示す正面説明図(a)と(b)側面説明図である。
【図8】実施例1における舵操作サブアーム9とナックルアーム11との軸着位置をクイックチェンジする機構の要部を示す平面図(a)、部品の正面図と側面図(b)、部品カム式クイックレバー18部の側面図(c)、部品カム式クイックレバー18部の組み立て側面図(d)、である。
【図9】腿載枠7の変形例70を示す正面説明図(a)と(b)側面説明図と断面説明図(c)である。
【図10】実施例2の車いすの側面説明図(a)と正面説明図(b)である。
【図11】実施例2の車いすを折り畳んだ状態を示す正面説明図(a)と部品長尺長穴枠体12aの拡大図(b)とその変形例(c)である。
【図12】実施例2の車いすを折り畳んだ際の変形例の正面説明図を示す。
【図13】実施例3の車いすの平面説明図である。
【図14】実施例4の車いすの要部の平面説明図(a)、正面説明図(b)、側面説明図(c)である。
【図15】実施例5の車いすの正面説明図である。
【図16】実施例6の車いすの平面説明図(a)、正面説明図(b)である。
【図面の符号の説明】
【0025】
2 駆動後輪
3 ハンドリム
4 前輪
7-8 高さ調節機構
7、70 腿載枠
8、80 舵操作主アーム
9 舵操作サブアーム
10 タイロッド
11 ナックルアーム
14 前輪の支持部材
16 座席
18 カム式クイックレバー
25 クロスバー
32 ストッパー
110 切り込み部
700 足首部枠































【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用のハンドリム(3)を有する手動による駆動後輪(2)と、首振り自在の前輪(4)を有
する車いすにおいて、前輪舵取り機構として、両前輪(4)の各前輪支持部材(14)にナック
ルアーム(11)の一端を固定し、両ナックルアーム(11)の他端間をタイロッド(10)で軸連結して、両前輪(4)を同時に同一方向に舵取り可能にしたアッカーマンジャント機構を設け
、前記アッカーマンジャント機構のナックルアーム(11)とタイロッド(10)との軸連結部に舵操作サブアーム(9)の一端を軸連結し、この舵操作サブアーム(9)の他端に舵操作主アーム(8)の下端を軸連結し、舵操作主アーム(8)の中間部を座席(16)の前部の部材(12)に軸支し、舵操作主アーム(8)の上端に腿載枠(7)を固定し、前記腿載枠(7)による舵操作主アー
ム(8)上部の左右回動操作で舵操作主アーム(8)下端と舵操作サブアーム(9)との軸連結部
を左右にシフトして、前記アッカーマンジャント機構による両前輪(4)の舵操作をするこ
とを特徴とする片手駆動片脚舵取り車いす。
【請求項2】
舵操作主アーム(8)における腿載枠(7)の支持側に、腿載枠(7)の高さ調節機構(7-8)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の片手駆動片脚舵取り車いす。
【請求項3】
駆動用のハンドリム(3)を有する手動による駆動後輪(2)と、首振り自在の前輪(4)を有
する車いすにおいて、前輪舵取り機構として、両前輪(4)の各前輪支持部材(14)にナック
ルアーム(11)の一端を固定連結し、両ナックルアーム(11)の他端間をタイロッド(10)で軸連結して、両前輪(4)を同時に同一方向に舵取り可能にしたアッカーマンジャント機構を
設け、前記アッカーマンジャント機構のタイロッド(10)に舵操作主アーム(80)の後端を連結し、舵操作主アーム(80)の中間部を座席(16)の前部の支持部材(12)に軸支し、舵操作主アームの前端に足首部枠(700)を固定し、前記足首部枠による舵操作主アーム前部の左右
旋回操作で舵操作主アーム後端とタイロッド(10)との連結部を左右にシフトして、前記アッカーマンジャント機構による両前輪(4)の舵操作をすることを特徴とする片手駆動片脚
舵取り車いす。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−69060(P2010−69060A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240638(P2008−240638)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(304028726)国立大学法人 大分大学 (181)