説明

牛用保護マット

【目的】 牛舎等のコンクリート床から牛等を保護し、雑菌その他の繁殖を防止し、また、湿気、臭気を除去して快適な飼育環境を形成できるようにする。
【構成】 内部に木粉炭、活性炭等の粉炭材2を充填封入した多数の不織布製袋材3を並列状態で両面接着テープ4を介して配列固定して、袋材3全体を袋状あるいは偏平状の不織布製カバー材5によって被装固定してマット本体1を形成する。このマット本体1は、交換可能で着脱自在な抗菌性、撥水性の不織布製表面カバー材6によって被装し、表面カバー材6には取付紐7を付設する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、牛舎等において飼育される乳牛、肉牛等をコンクリート床から保護し、雑菌その他の繁殖を防止し、また、湿気、臭気を除去して快適な飼育環境を形成できるようにした牛用保護マットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、牛舎等におけるコンクリート床面上には、牛の身体の保護等のためにワラが敷かれている。ところが、このワラは、近年のいわゆる減反施策の実施に伴ない、また、粉砕されたワラが肥料として使用されることもあるから牛の飼育用には不足しがちで、地域によっては入手が困難なこともあり、その代用としてノコクズを撒いたり、ゴム板を敷いたりしているのが現状である。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、ワラの代用して使用されるノコクズは湿気分を吸収しやすいために、その吸収した湿気分によって各種の雑菌を繁殖させるものとなり、また、ゴム板等は排尿分等をその上にそのまま溜めてしまうために、これまた、各種雑菌を繁殖させる温床となってしまうものであった。その結果、乳房炎等を起こす牛もおり、その健康管理は飼育者にとって極めて重要な問題であった。そればかりでなく、ノコクズを交換する場合には、その手間がかなりに面倒であり、また、ゴム板の交換も重量的に嵩張るものであるから、その取扱いは容易なものではない。
【0004】
そこで、この考案は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、雑菌の繁殖を防止し、牛が起居するときの足等の保護を図り、湿気、臭気等を除去して清潔で快適な飼育環境が得られるようにする牛用保護マットを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、この考案にあっては、内部に木粉炭、活性炭等の粉炭材2を充填封入した多数の袋材3を並列状態で配列固定して成るマット本体1と、交換可能にしてマット本体1を着脱自在に被装する表面カバー材6とを備えたことを特徴とする。
【0006】
マット本体1は、並列配置された多数の袋材3全体を袋状あるいは偏平状のカバー材5によって両面接着テープ4を介して被装固定して構成でき、また、表面カバー材6には取付紐7を付設することができ、更に、袋材3、カバー材5、表面カバー材6は不織布にて形成することができる。
【0007】
【作用】
この考案に係る牛用保護マットにあって、マット本体1における袋材3に充填封入されている粉炭材2は、湿気、臭気等を吸収除去し、周囲の飼育環境を快適なものとさせる。また、湿気分を抑制することで、雑菌の繁殖を防止させるばかりでなく、例えばコンクリート床面との直接の接触を阻止して、柔軟性を与え、牛等が起居する際の身体を保護させる。
【0008】
マット本体1を着脱自在に被装する表面カバー材6は、使用に伴ない汚損されたときの交換を可能にさせ、飼育環境の清潔性を保持させ、取付紐7は、載置セット場所でこの考案マットを柱等に固定させる。
【0009】
【実施例】
以下、図面を参照してこの考案の一実施例を説明するに、図において示される符号1は牛等が起居するに足る十分な広さ、例えば牛1頭であれば縦横長さを1600mm、1200mmとした平面大きさを有するマット本体であり、内部に木粉炭、活性炭等の粉炭材2を充填封入した多数の不織布製袋材3を配列固定して成る。図示にあっての袋材3は、例えば直径がほぼ4cm程度の筒状に形成されており、多数の袋材3を並列配置することでマット本体1が形成されている。
図示にあっては溶融接着された連結部を介して対状に連結されており、これらを多数列に配列するものとしてある。この袋材3の並列配置の固定は、並列させた多数の袋材3の外側面を例えば両面接着テープ4によって袋材3相互間を跨ぐようにして接着し、多数の袋材3全体を被装する袋状あるいは偏平状のカバー材5を両面接着テープ4を介して袋材3と共に固定するものである。並列配置状態の多数の袋材3は、その表面側及び裏面側夫々がカバー材5によって被装されることで夫々が分離することがなくなり、取扱いを容易なものとさせる。
【0010】
なお、この袋材3の配列固定は、図示のように両面接着テープ4によることなく、例えば袋材3同志を縫着、融着したり、紐、縄等によって編み繋ぐことで並置固定したり、また、袋材3とカバー材5とを縫着、融着したりすることもできる。更には、偏平袋状のカバー材5内に粉炭材2を充填し、キルティング様に表裏のカバー材5相互を融着することで粉炭材2を遍在させずに全体を偏平状に形成することも可能である。
【0011】
袋材3内部に充填封入される粉炭材2は、適当な温度で焼成される樹木による木粉炭であり、例えば1000〜1200℃の高温で高温で焼成することで樹木の微細な構造がそのまま炭化されるために表面積が1g当たり200〜300m2 となり、一般の木炭に比し5〜6倍程度を有するものとできる。もとより、その焼成温度はこれに限定されるものではない。
【0012】
また、袋材3は例えば表層、裏層をスパンボンド不織布、中間層をメルトブロー不織布とした3層構造のものとしてあり、カバー材5は例えばポリプロピレン製のスパンボンド不織布によるものとしてあるも、いずれもこれらの素材に限定されるものではない。
【0013】
そして、このマット本体1自体は、交換可能にした表面カバー材6によって着脱自在にして被装される。この表面カバー材6は、例えばこれの両側縁部がマット本体1に対して裏面側に折り返されて適宜に止着されるものとしたり、マット本体1を収納可能な袋状のものとしたりするものとして形成される。その素材は、例えばポリプロピレン製のスパンポンド不織布のものとしてあり、抗菌性、撥水性を備えたものとしておくことが望ましい。また、この表面カバー材6には、牛舎等の柱材に取り付けるための取付紐7が付設されている。
【0014】
なお、図示における実施例にあってのマット本体1は、牛1頭分における大きさのものとして説明されているが、これを数頭分の牛が起居できる大きさのものとして形成することも可能であるのは勿論である。
【0015】
次にこれの使用の一例を説明すると、図3に示すように牛舎等の牛が起居するコンクリート床面上に表面カバー材6によって被装されたマット本体1を載置セットすればよいのであり、このとき、取付紐7によって柱等に縛結固定しておく。そして、使用に伴ない汚損された表面カバー材6は適宜に交換し、汚損された表面カバー材6自体は必要があれば洗濯して再使用する。
【0016】
【考案の効果】
この考案は以上のように構成されており、これがため、マット本体1の袋材3に充填封入されている粉炭材2によって雑菌の繁殖を防止でき、また、粉炭材2自体が有する柔軟性によって牛が起居するときの足等の保護を図ることができ、湿気、臭気等を除去して清潔で快適な牛等の飼育環境が得られるものである。
【0017】
すなわち、これは、この考案において、内部に粉炭材2を充填封入した袋材3を並列固定して成るマット本体1と、このマット本体1を着脱自在に被装する表面カバー材6とを備えたものとしたからであり、近年不足するワラ等の代用品として容易に取り扱うことができるのである。しかも、牛が起居する際に膝が磨り減るのを防止し、神経痛が減少し、特に出産後の牛には極めて好適なものなのである。
【0018】
また、マット本体1における粉炭材2は、袋材3に充填封入されているから、この袋材3が並列状態で配列固定されていることと相俟ち、全体に偏らせずに平坦な状態に形成でき、例えばコンクリート床面との直接の接触を阻止することで牛等に不快感を与えずに使用させることができる。しかも、多数の袋材3自体は、並列配置された状態で袋状あるいは偏平状のカバー材5によって両面接着テープ4を介して被装固定されているから、牛等がマット本体1上で起居しても袋材3自体がマット本体1内部で移動遍在することもないのである。
【0019】
マット本体1自体を着脱自在に被装する表面カバー材6が交換可能なものとなっているから、汚損した表面カバー材6は簡単に交換でき、また、取付紐7によって柱等に適当に縛結することで所定のコンクリート床面上に確実に固定保持できるのである。
【0020】
更には、袋材3、カバー材5、表面カバー材6等は不織布によって形成することで安価に製作でき、軽量で取扱いを容易なものとでき、表面カバー材6は抗菌性、撥水性を備えたものとしておくことで清潔性を確保し、牛等の健康管理を一層容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の一実施例を示す一部切欠斜視図である。
【図2】同じく要部断面図である。
【図3】同じく使用状態の斜視図である。
【符号の説明】
1…マット本体 2…粉炭材
3…袋材 4…両面接着テープ
5…カバー材 6…表面カバー材
7…取付紐

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 内部に木粉炭、活性炭等の粉炭材を充填封入した多数の袋材を並列状態で配列固定して成るマット本体と、交換可能にしてマット本体を着脱自在に被装する表面カバー材とを備えたことを特徴とする牛用保護マット。
【請求項2】 マット本体は、並列配置された多数の袋材全体を袋状あるいは偏平状のカバー材によって両面接着テープを介して被装固定して成る請求項1記載の牛用保護マット。
【請求項3】 表面カバー材には取付紐を付設してある請求項1または2記載の牛用保護マット。
【請求項4】 袋材、カバー材、表面カバー材は不織布にて形成してある請求項1乃至3のいずれか記載の牛用保護マット。
【請求項5】 内部に木粉炭、活性炭等の粉炭材を充填封入した多数の不織布製袋材を並列状態にして両面接着テープを介して袋材全体を袋状あるいは偏平状の不織布製カバー材によって配列固定して成るマット本体と、交換可能にしてマット本体を着脱自在に被装する不織布製表面カバー材と、この表面カバー材に付設した取付紐とを備えたことを特徴とする牛用保護マット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【登録番号】第3011674号
【登録日】平成7年(1995)3月22日
【発行日】平成7年(1995)5月30日
【考案の名称】牛用保護マット
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−15778
【出願日】平成6年(1994)11月29日
【出願人】(591089800)日本メディカルプロダクツ株式会社 (4)