説明

物品収納体

【課題】 汎用性の高い物品収納体を提供する。
【解決手段】 平面形状が略正方形の布材を用いて構成される本体部10と、本体部10の収納面10Bに雄型の接合部30Aを配設しつつ、本体部10の各角部11〜14に各々装着される雄型の接合具30と、収納面10Bに雌型の接合部50Aを配設しつつ、各角部11〜14に各々装着される雌型の接合具50とを備える。雌型の接合具50等に内蔵される永久磁石の吸着力を用いて雄型の接合部30Aと雌型の接合部50Aを着脱可能に接合し、本体部10によって使用形態を構成する物品収納体1である。本体部10の外縁部10Aを周回する方向に沿って、雄型の接合具30と雌型の接合具50とが交互に装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品収納体に関する。
【背景技術】
【0002】
物品収納体は、通常、「容器状、皿状(トレー状)若しくは袋状等に構成された本体部」を備える。かかる物品収納体は、この本体部を展開不能に構成するタイプ(以下、「固定型」という。)の物品収納体と、この本体部を展開可能に構成するタイプ(以下、「展開型」という。)の物品収納体と、に大別される。
【0003】
例えば、前者の「固定型の物品収納体」としては、展開不可能な箱本体(ケース本体)と、この箱本体(ケース本体)に開閉可能に被せられる蓋体(上蓋)とからなる本体部を具備する物品収納体を例示できる(以下、「従来例1」といい、特許文献1を参照)。また、後者の「展開型の物品収納体」としては、折り曲げ線が設けられた紙を用いて構成される本体部を備え、本体部の所定の部位を、この折り曲げ線を用いて折り曲げることで、トレー形状を構成する物品収納体を例示できる(以下、「従来例2」といい、特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開平11−192117号公報
【特許文献2】特開2004−352330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらの従来例に係る物品収納体は、何れも、汎用性の面で問題を有している。
【0005】
つまり、従来例1の「物品収納体」は、その形態が終始、使用形態(収納体として機能する形態の意味で用いる。)に固定され、構造が堅固であり(つまり、堅固な箱体等で構成され)、しかも、嵩張るため、一般に、時と場所を変えて自由に使用することが困難である。例えば、この「固定型の物品収納体」を、旅行カバンやビジネスバック等の限られた「空きスペース」に納めることや、所望の使用箇所(旅行先の宿舎、出張先の宿舎)に搬送して使用すること、等は困難である。従って、従来例1に代表される「固定型の物品収納体」は、通常、所定の設置箇所(自宅の居間、自宅の寝室)等で固定的に設置して使用されるため、汎用性が低くなっている。
【0006】
また、「固定型の物品収納体」では、その使用形態(特に、収容部の形状)が、ただ一通りに固定されているため(一義的に定められているため)、複数の用途に用いることは困難である。例えば、宝石箱(宝石容器)として好適な「固定型の物品収納体」を、カード入れ(クレジットカード入れ)等、他の用途の「固定型の物品収納体」として用いることは困難である。よって、従来例1に代表される「固定型の物品収納体」においては、この点からも、汎用性が低くなっている。
【0007】
一方、従来例2の「物品収納体」では、本体部を展開することで、時と場所を変えて自由に使用することが可能となる。
【0008】
ところが、この従来例2に係る「物品収納体」では、本体部を紙を用いて構成するため、質感、高級感が乏しく、用途が限定される。例えば、宝石箱(宝石収納用のトレー)等の貴金属用の収納体として用いることが相応しくなく、この点から、汎用性が低くなっている。また、従来例2の「展開型の物品収納体」においても、その使用形態が、本体部の折り曲げ線によって一義的に定められるため、複数の用途で使用することが困難であり、この点からも、汎用性が低くなっている。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、汎用性の高い、物品収納体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明の物品収納体は、
平面形状が略正方形の布材を用いて構成される本体部と、
該本体部の表裏一方の面に雄型の接合部を配設しつつ、前記本体部の各角部に各々装着される雄型の接合具と、
該本体部の表裏一方の面に雌型の接合部を配設しつつ、前記本体部の各角部に各々装着される雌型の接合具と、
を備え、
前記雄型の接合具及び前記雌型の接合具の少なくとも一方に内蔵される永久磁石の吸着力を用いて所定の雄型の接合部と所定の雌型の接合部を着脱可能に接合し、前記本体部によって所定の使用形態を構成する物品収納体であって、
前記本体部の外縁部を周回する方向に沿って、前記雄型の接合具と前記雌型の接合具とが交互に装着されることを特徴とする。
【0011】
請求項1の物品収納体では、形状変化が容易で、しかも、嵩張らない布材を用いて本体部を構成するため、時と場所を変えて使用することができる。例えば、この物品収納体を、旅行カバンやビジネスバックに存在する僅かな「空きスペース(例えば、本体部の厚み分の隙間)」に入れて搬送し、所望の使用箇所(旅行先の宿舎、出張先の宿舎)等で取り出して使用することができる。従って、請求項1の物品収納体は汎用性が高くなっている。
【0012】
また、請求項1の物品収納体では、本体部の各角部に雄型の接合部及び雌型の接合部が配設される。しかも、雄型の接合部及び雌型の接合部は、本体部の外縁部を周回する方向に沿って交互に配設されるため、「物品の収納体として好適な使用形態」を、複数通り実現することが容易である。つまり、請求項1の物品収納体によると、単に、複数通りの使用形態を実現できるというのではなく、物品の収納体として好適な使用形態(物品を収納する上で好適な容器形状、物品を収納する上で好適な皿形状、物品を収納する上で好適な袋形状、若しくは、物品を収納する上で好適な筒形状等)を複数通り実現することが容易である。この点に関して、具体例を用いて説明する。
【0013】
即ち、請求項1の物品収納体では、本体部の各角部に雄型の接合部及び雌型の接合部が配設されるため、例えば、(1)同一の角部の雄型の接合部及び雌型の接合部を接合して、好適な使用形態(容器形状、若しくは、皿形状)を構成したり、(2)1組の隣合う角部の雄型の接合部と雌型の接合部とを接合して、好適な使用形態(容器形状、若しくは、皿形状等)を構成したり、(3)2組の隣合う角部の雄型の接合部と雌型の接合部とを接合して、好適な使用形態(皿形状等)を構成すること、(4)対向する1組の角部の雄型の接合部と雌型の接合部とを接合して、好適な使用形態(略筒形状等)を構成すること、等ができる。
【0014】
しかも、請求項1の物品収納体では、雄型の接合部及び雌型の接合部は、本体部の外縁部を周回する方向に沿って交互に配設されるため、異なる角部の雄型の接合部と雌型の接合部とを接合する際にも{例えば、(2)及び(3)の使用形態を実現する場合においても}、本体部に無用の負担を掛けることがない。つまり、異なる角部の雄型の接合部と雌型の接合部とを接合する際にも、接合される接合部間の距離を短くできるため、本体部に必要以上に大きな変形を与える必要がない。そして、請求項1の物品収納体では、このように、複数の使用形態を実現しつつも、雄型の接合部と雌型の接合部とを接合するために、本体部に対して不必要な変形を与える必要がない。
【0015】
また、請求項1の発明の物品収納体では、本体部が布材を用いて構成され、種々の形状に変形することが容易である。加えて、本体部が、対称性に富んだ平面形状を備えるため、種々の形状に変形しても、使用者に違和感を与えることなく、良好な外観を備える。よって、請求項1の物品収納体によると、物品を収納する上で無理の無い好適な形態を、複数通りに渡って実現できる。従って、請求項1の物品収納体は、この点からも汎用性が高くなる。
【0016】
ここで、請求項1の発明の「略正方形」には、「正方形(完全な正方形)」の他に、「面取り形状とされた頂点部を備える正方形」や、「丸みが付けられた頂点部を備える正方形」等も含まれる。
【0017】
尚、本明細書で述べる「頂点部」には、純粋な「頂点(2辺の端部を単に交差させて構成される頂点、つまり、「面取り」や「丸み付け」が行われていない頂点)」のみでなく、「面取り」や「丸み付け」が行われた頂点(2辺の端部を交差させると共に、交差部に面取りや丸み付けが行われている頂点)も含まれる。
【0018】
請求項2の発明の物品収納体は、
平面形状が略矩形の布材を用いて構成される本体部と、
該本体部の表裏一方の面に雄型の接合部を配設しつつ、前記本体部の各角部に各々装着される雄型の接合具と、
該本体部の表裏一方の面に雌型の接合部を配設しつつ、前記本体部の各角部に各々装着される雌型の接合具と、
を備え、
前記雄型の接合具及び前記雌型の接合具の少なくとも一方に内蔵される永久磁石の吸着力を用いて所定の雄型の接合部と所定の雌型の接合部を着脱可能に接合し、前記本体部によって所定の使用形態を構成する物品収納体であって、
前記本体部の外縁部を周回する方向に沿って、前記雄型の接合具と前記雌型の接合具とが交互に装着されることを特徴とする。
【0019】
請求項2の発明の物品収納体においては、本体部の平面形状が略矩形とされる点を除き、請求項1の発明と同様である。よって、請求項2の発明においても、請求項1の発明と同様な効果が得られる。
【0020】
ここで、請求項2の発明の「略矩形」には、「矩形(完全な矩形)」の他に、「頂点部に面取りが施された矩形」や、「頂点部に丸み付けがなされた矩形」等も含まれる。尚、「略矩形」は「略正方形」の上位概念に相当する。つまり、「略矩形」には、「略正方形」の他に、「略長方形」も含まれる。また、この「略長方形」にも、「長方形(完全な長方形)」の他に、「頂点部に面取りが施された長方形」や、「頂点部に丸みが付けが施された長方形」等も含まれる
【0021】
請求項3の発明の物品収納体は、請求項1又は請求項2に記載の物品収納体において、
前記本体部の各角部に装着される前記雄型の接合具及び前記雌型の接合具が、該雄型の接合具及び該雌型の接合具の装着された角部を通過する対角線を基準とした対称な位置に配置されることを特徴とする。
【0022】
請求項3の発明によると、本体部の各角部において、雄型の接合具及び雌型の接合具の装着状態が対称となる。よって、本体部を種々の形状に変形しても、使用者により一層、違和感を与え難く、より良好な外観を備える使用形態が得られる。
【0023】
請求項4の発明の物品収納体は、
平面形状が略正N角形(Nは、6以上の偶数である。)の布材を用いて構成される本体部と、
該本体部の表裏一方の面に雄型の接合部を配設しつつ、前記本体部の各角部に各々装着される雄型の接合具と、
該本体部の表裏一方の面に雌型の接合部を配設しつつ、前記本体部の各角部に各々装着される雌型の接合具と、
を備え、
前記雄型の接合具及び前記雌型の接合具の少なくとも一方に内蔵される永久磁石の吸着力を用いて所定の雄型の接合部と所定の雌型の接合部を着脱可能に接合し、前記本体部によって所定の使用形態を構成する物品収納体であって、
前記本体部の外縁部を周回する方向に沿って、前記雄型の接合具と前記雌型の接合具とが交互に装着されることを特徴とする。
【0024】
請求項4の発明の物品収納体においては、本体部の平面形状が略正N角形とされる点を除き、請求項1の発明と同様である。よって、請求項4の発明においても、請求項1の発明と同様な効果が得られる。
【0025】
ここで、請求項2の発明の「略正N角形」には、「正N角形(完全な正N角形)」の他に、「頂点部に面取りが施された正N角形」や、「頂点部に丸み付がなされた正N角形」等も含まれる。尚、この略正N角形の「N」は6以上の偶数から種々選択可能であり、例えば、「6」、「8」、「10」、「12」、「14」、「16」等を例示できる。
【0026】
請求項5の発明の物品収納体は、請求項4に記載の物品収納体において、
前記本体部の各角部に装着される前記雄型の接合具及び前記雌型の接合具が、該雄型の接合具及び該雌型の接合具が装着された角部と、該角部から最も離間する他の角部とを通過する対角線を基準とした対称な位置に配置されることを特徴とする。
【0027】
請求項5の発明によると、本体部の各角部において、雄型の接合具及び雌型の接合具の装着状態が対称となる。よって、本体部を種々の形状に変形しても、使用者により一層、違和感を与え難く、より良好な外観を備える使用形態が得られる。
【0028】
各請求項の発明の物品収納体を使用形態としたときに、全ての雄型の接合部と、全ての雌型の接合部とが接合に使用されていてもよいが、全ての雄型の接合部及び全ての雌型の接合部のうちの何れかが接合に使用されていなくてもよい。また、各請求項の発明においては、本体部に装着される雄型の接合具の数と、本体部に装着される雌型の接合具の数とを同数としてもよいし、何れか一方の数が他方よりも多くされてもよい。
【0029】
各請求項の発明において、「角部」とは、本体部において、その頂点部寄りに位置する部位を指し、雄型の接合具と、雌型の接合具とを装着可能なサイズ(面積)を有することが必要となる。例えば、図19に示すように、本体部10の頂点部Tから(1/8)R〜(1/3)Rの距離にある領域M(一点鎖線のハッチングで示す扇形の領域M)を、「角部」として捉えることができる。尚、図19中の「R」は、(1)頂点部Tを通過する二辺a1、a2の各長さ(二辺a1、a2の長さが等しい場合)、若しくは、(2)頂点部Tを通過する二辺a1、a2のうちの短い方の辺の長さ(二辺a1、a2の長さが異なる場合)である。また、各「角部」には、雄型の接合具と、雌型の接合具とを各々1個ずつ装着することが好ましい。但し、各「角部」に、雄型の接合具と、雌型の接合具とを各々複数個ずつ装着してもよい。
【0030】
尚、各請求項の発明において、接合具(雄型の接合具、及び、雌型の接合具)の装着態様を以下のように定めることが望ましい。つまり、全ての接合具(雄型の接合具、及び、雌型の接合具)の装着位置(本体部における装着位置)が、当該本体部の中心部(重心部)から等距離の位置とされていることが望ましい。具体的には、図19に示すように、本体部10に装着される全ての接合具(全ての雄型の接合具30と、全ての雌型の接合具50)と、本体部10の中心(O)との距離が、同一の距離rに統一されることが望ましい。
【0031】
請求項6の発明の物品収納体は、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の物品収納体において、
前記布材は、フェルトを用いて構成されることを特徴とする。
【0032】
請求項6の発明では、布材(本体部)をフェルトを用いて構成するため、本体部に変形を施すことがより一層、容易となる。このため、物品収納体の組み立て作業(展開形態にある物品収納体を、使用形態に変化させる作業)がより一層、容易となる。また、本体部の復元性が向上するため、物品収納体を展開形態としたときに、組み立て時の「折りくせ」や、折り目等が残り難くなり、物品収納体の「当該展開形態における美観」も向上する。
【0033】
また、請求項6の発明では、布材(本体部)をフェルトを用いて構成するため、物品収納体の質感、風合い、肌触り等が向上し、物品収納体の品質が向上する。特に、本体部に衝撃吸収能力が付加させるため、各請求項に係る「物品収納体」を、貴金属(宝石等)の収納体として用いる際に有益となる。
【0034】
請求項7の発明の物品収納体は、請求項1乃至請求項6の何れかに記載の物品収納体において、
前記雄型の接合部は、
磁性体を用いて構成されると共に、略板状に構成される基体部及び該基体部から突出する突起部と、具備する雄型の当接部を備え、
前記雌型の接合部は、
磁性体を用いて構成されると共に、前記基体部を嵌合可能、若しくは、遊入可能な第1の凹部と、前記第1の凹部の底部に設けられて前記突起部を嵌合可能、若しくは、遊入可能な第2の凹部と、を具備する雌型の当接部を備え、
前記雌型の接合具は、前記永久磁石を収納するための空間部を、前記第2の凹部の周囲に備えることを特徴とする。
【0035】
請求項7の発明によると、突起部を第2の凹部に嵌合若しくは遊入すると共に、基体部を第1の凹部に嵌合若しくは遊入しつつ、雄型の接合部及び雌型の接合部の接合を行う。つまり、2組の凹凸部(突起部及び第2の凹部からなる凹凸部と、基体部及び第1の凹部からなる凹凸部)の嵌合若しくは遊入を行うことで、雄型の接合部及び雌型の接合部の位置合わせを円滑に行うことができる。よって、請求項7の発明によると、物品収納体の組み立て作業をより円滑に行うことができる。
【0036】
また、2組の凹凸部の嵌合箇所若しくは遊入箇所において永久磁石の磁力を用いた吸着がなされ、雄型の接合部及び雌型の接合部が着脱自在に吸着する。つまり、磁力を用いた吸着が、2組の凹凸部の嵌合箇所若しくは遊入箇所において集中的に行われる。しかも、2組の凹凸部をそれらの軸心方向に沿って相対的に離間させるだけで、雄型の接合部及び雌型の接合部は簡単に分離する。加えて、作業者は、この2組の凹凸部を相対的に離間させる作業を、「布材で構成され、柔らかな本体部」を把持して行えばよい。換言すると、当該「離間させる作業」を、「硬質の雄型の接合具及び雌型の接合具を把持して行うこと」が必要とされない。
【0037】
よって、請求項7の発明によると、物品収納体の展開作業(使用形態にある物品収納体において、接合中の「雄型の接合部及び雌型の接合部」間の接合を解除し、物品収納体の形態を、平面状の展開形態に戻す作業を指す。)を円滑に行うことができる。尚、この特徴は、物品収納体を、女性用に用いる場合に特に有益である。蓋し、女性の場合、ファッション性を獲得するために、「爪」を長く伸ばしていることがある。かかる女性が、硬質の雄型の接合具及び雌型の接合具を把持しようとした場合、誤って、「長い爪」にストレスを与え、破損を生じさせてしまうことがある。しかも、「長い爪」によっては、硬質の雄型の接合具及び雌型の接合具を把持する作業は困難である。
【0038】
一方、請求項7の発明によると、かかる女性が物品収納体の展開作業を行う場合においても、柔らかな本体部を把持すれば足る。しかも、この展開作業は、本体部の複数箇所(雄型の接合具の装着箇所の周囲の箇所と、雌型の接合具の装着箇所の周囲の箇所)が相互に離間するように、当該「複数箇所」を引っ張るだけでよい。加えて、柔らかな本体部であれば、「長い爪」によっても、把持することが容易であるばかりか、「長い爪」に無用なストレスを加える可能性も低くなる。従って、請求項7の発明によると、「長い爪」の女性が物品収納体の展開作業を行う場合であっても、「長い爪」に破損を生じさせる可能性を低くできると共に、この展開作業の円滑化を図ることができる。
【0039】
ここで、請求項7の磁性体は、強磁性体であることが望ましい。尚、請求項7の発明によると、永久磁石の磁力を用いた吸着箇所を、2組の凹凸部(接合突起部及び第2の凹部からなる凹凸部と、雄型の当接部及び第1の凹部からなる凹凸部)の嵌合箇所若しくは遊入箇所に集中できる。このため、永久磁石を小型(小粒)にしても、効率的な吸着を行うことができる。
【0040】
従って、請求項7の発明の物品収納体は、ICカード(クレジットカード)入れとして、好適に用いることができる。蓋し、請求項7の発明の物品収納体によると、永久磁石を小型(小粒)にし、当該永久磁石が、被収納物に与える磁気の影響を少なくすることができるからである。
【0041】
また、請求項7の発明では、雌型の接合部において雄型の当接部との吸着に関与しない部分の一部若しくは全体を、非磁性体で被覆してもよい。この場合、不必要な磁気漏洩を抑制できるため、請求項7の発明の物品収納体を、ICカード(クレジットカード)入れ等として、更に一層、好適に用いることができる。尚、永久磁石を収納するための空間部は、第2の凹部を周回する状態に設けられてもよいし、第2の凹部の周囲の一カ所や、第2の凹部の周囲の間隔をおいた複数箇所に設けられてもよい。
【0042】
各請求項の発明においては、本体部を構成する「布体」に「臭い吸着性物質(臭い吸着剤)」を保持させてもよい。この場合、使用者が発する臭いの元(体臭、体液等)や、被収納物(物品収納体によって収納される物)が発する臭いの元を吸着させることができる。このため、使用者は、各請求項の発明に係る物品収納体を快適な状態で使用できる。ここで、「臭い吸着性物質」としては、(1)所謂「人工ゼオライト」の粒状物(特に、造粒物)若しくは粉状物、(2)活性炭の粒状物若しくは粉状物等の種々の吸着性物質を例示できる。そして、「人工ゼオライト」とは、例えば、石炭灰(主要な化学成分;4〜6割がSiO、2〜3割がAl)の表面にゼオライトの結晶を析出させた物質である。この「人工ゼオライト」は、脱臭性能の他に、重金属(例えば、鉛等)の吸着性能等も有している。
【0043】
この「人工ゼオライト」は、例えば、以下のように製造される。つまり、石炭灰の非結晶部分を苛性ソーダの強アルカリにより溶出させ、所定の槽内(例えば、オートクレープ槽内)でゼオライトの結晶化の反応を行う。これにより、ガラス質であった石炭灰の表面を多孔質に変化させる。この後、余分な苛性ソーダを洗浄すると共に、結晶格子に引きつけられたNaイオンを必要によリ、Caイオンに交換し、その際にpHを中性にする。最後に脱水、乾燥することにより灰色微粉末の「人工ゼオライト」が製造される。この「人工ゼオライト」を、例えば、2〜5mm程度の大きさに造粒して用いることもできる。
【0044】
また、この「臭い吸着性物質(臭い吸着剤)」は、粒状物若しくは粉状物であることが望ましい。この場合、臭い吸着剤を本体部全体に満遍なく、保持(担持)させることができるからである。
【発明の効果】
【0045】
以上のように、本各発明によると、汎用性の高い物品収納体が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
次に、本各発明に係わる「物品収納体」の最良の形態(以下、「実施例」という。)を図面に従って詳細に説明する。
【0047】
(1)物品収納体の構成
【0048】
先ず、図1〜図10を用いて、本実施例に係る物品収納体(以下、「本収納体」という。)1の構成について説明する。本収納体1は、図1及び図2に示すように、本体部10と、雄型の接合具30と、雌型の接合具50とを備えている。
【0049】
このうち、本体部10は、図3(a)に示すように、平面形状が正方形(例えば、1辺a=220mm)で、厚みの薄い(例えば、厚みt=2mm)の布材を用いて構成されている。この布材は、フェルト(羊毛を用いたフェルト)を用いて構成されている。尚、このフェルト製の本体部10においては、1辺aの長さ範囲を、100mm〜280mm(特に好ましくは、200mm〜250mm)の範囲とすることが望ましい。1辺aの長さが、100mm未満であると、本収納体1の収納能力(本収納体1の組み立て時の容積)を確保することが困難となるおそれがある。一方、1辺aの長さが、280mmを超えると、本収納体1の組み立て時において、本収納体1の組み立て形態(使用形態)を維持することが困難となるおそれがあるためである。
【0050】
図3(a)に示すように、本体部10の4つの角部11〜14には、各々雄型の接合具30及び雌型の接合具50の装着箇所Sが設けられている。具体的には、本実施例では、本体部10の各頂点部11A〜14A寄りに位置する扇型の領域部D(二点鎖線のハッチング表示で示す扇型の領域部D)、つまり、各頂点部11A〜14Aから45mmの距離にある扇型の領域部Dを、角部11〜14と定義する。そして、これらの角部11〜14(領域部D)において、各頂点部11A〜14Aから離間する部位が、この装着箇所Sとされている。
【0051】
本実施例では、本体部10において、各頂点部11A〜14Aから、45a/220の距離にある領域部Dを角部11〜14と定め、この領域部Dにおいて、各頂点部11A〜14Aから離間する部位(各頂点部11A〜14Aから最も、遠ざかる部位)を装着箇所Sと定めたが、角部11〜14及び装着箇所Sの具体的な態様を適宜、変更することもできる。但し、角部11〜14(領域部D)の範囲を、本体部10の各頂点部11A〜14Aから、a/10〜a/3の距離にある範囲(より好ましくは、a/8〜a/5の距離にある範囲)に定めると共に、各頂点部11A〜14Aから離間する部位(各頂点部11A〜14Aから最も、遠ざかる部位)を装着箇所Sと定めることが望ましい。
【0052】
図3(a)に示すように、各装着箇所Sにおいては、当該各装着箇所S(当該各装着箇所Sを含む角部11〜14)を通過する対角線K1(K2)を基準として対称な位置に装着孔15を各々備えている。これらの装着孔15は、図3(b)に示すように、本体部10を肉厚方向に貫通している。また、本体部10には、その外縁部10Aを周回する方向に沿って、合計8個の装着孔15が設けられた状態となっている。
【0053】
各装着箇所S(角部11〜14)では、一方の装着孔15を用いて雄型の接合具30が装着され、他方の装着孔15を用いて雌型の接合具50が装着されている。つまり、各装着箇所Sにおいては、当該各装着箇所Sを通過する対角線K1(K2)を基準とした対称な位置に、雄型の接合具30と雌型の接合具50とが装着されている。但し、本実施例では、本体部10の外縁部10Aを周回する方向に沿って形成された「8個の装着孔15」が、以下のように用いられる。
【0054】
即ち、図3(a)に示すように、本体部10の外縁部10Aを周回する方向に沿って、雄型の接合具30を装着するための装着孔15(以下、「雄用の装着孔15A」ということがある。)と、雌型の接合具50を装着するための装着孔15(以下、「雌用の装着孔15B」ということがある。)と、が交互に並んだ状態となっている。換言すると、本体部10の一方の面10Bを観察すると、各装着箇所Sにおいては、雄用の装着孔15Aと、雌用の装着孔15Bとが、本体部10の外縁部10Aを時計の回転方向に周回する方向(以下、単に、「時計回転方向」という。」に沿って併設されている。尚、全ての装着孔15A、15Bの形成箇所において、「本体部10の中心部{図3(a)の符号Oを参照}」からの距離が等しくされている。また、本体部10は、図3(b)に示すように、表裏一対の面10B、10Cを備えるが、以下の説明においては、「本体部10の一方の面(つまり、表面)10B」を「収納面10B」と称し、本体部10において、収納面10Bの裏側に位置する面10Cを、「外装面10C」と称する。
【0055】
次に、図4〜図10を用いて、雄型の接合具30及び雌型の接合具50に関し、簡単に説明する。先ず、雌型の接合具50は、図4に示すように、取付ベース部材51と、外郭部材52と、内部スペーサ部材53と、永久磁石体(永久磁石)55と、を備えている。また、雄型の接合具30は、雌型の接合具50を構成する「取付ベース部材51」と、同様な部材によって構成されている。尚、本実施例では、取付ベース部材51と、外郭部材52と、取付用スペーサ部材53と、雄型の接合具30とを強磁性体(鉄、ニッケル、若しくは、コバルト等)によって構成するが、雄型の接合具30及び雌型の接合具50の主要部のみを強磁性体で構成し、その他の部分を、非磁性体によって構成してもよい。この点に関しては後述する。
【0056】
取付ベース部材51は、図5に示すように、ベース部材本体51aと、取付用スペーサ51bと、取付ピン51cとを備えている。尚、本実施例では、前述の如く、取付ベース部材51全体を強磁性体で構成したが、ベース部材本体51aのみを、強磁性体で構成してもよい。
【0057】
ベース部材本体51aは、略円板状に構成されると共に、一方の面(表面)の軸心位置から、略円柱状の吸着用突起部511aを突出させ、他方の面(裏面)の軸心位置から、略円柱状の取付用突起部512aを突出させている。また、取付用スペーサ51bは、肉厚の薄いリング状の円板を用いて構成され、その軸心位置には、取付用突起部512aを遊入可能な貫通孔511bを備えている。更に、取付ピン51cは、略円板状の頭部511cと、頭部511cの軸心位置から突出する軸部512cとを備えている。
【0058】
また、この軸部512cには、その突端面で開口する取付穴513cが設けられている。この取付穴513cの内径は、取付用突起部512aの外径よりも小さくされると共に、取付穴513cの深さ(つまり、軸部512cの軸心方向に沿った全長)は、取付用突起部512aの全長(取付用突起部512aの軸心方向に沿った全長)よりも小さくされている。
【0059】
外郭部材52は、図6に示すように、強磁性体を、有底の略円筒体に加工して構成されるものである。つまり、外郭部材52は、円筒状に構成される周壁部52aと、周壁部52aの一方の端部521a(軸心方向に沿った一方の端部)に設けられた天板部52bと、周壁部52aの他方の端部522a(軸心方向に沿った他方の端部)から延設された係止部52cとを備えている。
【0060】
天板部52bと、周壁部52aの一方の端部521aとの境界部は、折り返し部52dとされている。このため、天板部52bの一方の面521b(つまり、天板部52bの表面部)は、周壁部52aの一方の端部521aよりも、後退する位置(周壁部52aの他方の端部522a側の位置)に設けられている。つまり、外郭部材52の一端側(軸心方向に沿った一端側)に、天板部52bの一方の面521b(つまり、天板部52bの表面部)を底面とする凹部52eを形成している。そして、この凹部52eは、第1の凹部の具体例を構成する。尚、以下の説明において、当該「凹部52e」を「第1の凹部52e」と称する。
【0061】
この第1の凹部52eは、後述する「接合具本体151a」を遊入状態で収納可能なサイズとされている。また、第1の凹部52eの底部の中心位置(つまり、天板部52bの軸心位置)には、貫通孔522bが設けられている。この貫通孔522bは、天板部52bの表裏を貫通する状態に設けられると共に、この貫通孔522bの内径は、後述する「吸着用突起部1511a」を遊びを持った状態で挿入可能な大きさとされている。また、天板部52bの他方の面523b(つまり、天板部52bの裏面部)において貫通孔522bを包囲する部位からは、円筒部524bが突出している。
【0062】
係止部52cは、周壁部52aの他方の端部522aにおいて、周方向に沿って等間隔な4カ所に各々設けられている。つまり、周壁部52aの他方の端部522aを周回する方向に沿って、90度間隔に4個設けられている。これらの係止部52cは、平面形状が略矩形状で、折り返し可能な「片(即ち、係止片)」によって構成されている。
【0063】
内部スペーサ部材53は、肉厚の薄いリング状の円板を用いて構成され、その軸心位置には、円筒部524bを遊入可能な貫通孔53aを備えている。また、永久磁石体55は、略リング形状に形成された永久磁石によって構成されている。この永久磁石体55は、軸心位置に、前述の円筒部524bを遊入可能な貫通孔55aを備えている。また、永久磁石体55の全長(軸心方向に沿った長さ)は、外郭部材52の内部に収納可能な長さとされている。
【0064】
雄型の接合具30は、前述のように、この取付ベース部材51と、同様な部材によって構成されている。つまり、図4において括弧内の符号を用いて説明すると、この雄型の接合具30は、ベース部材本体51aと同様な構成を備える接合具本体151aと、取付用スペーサ51bと同様な構成を備える取付用スペーサ151bと、取付ピン51cと同様な構成を備える取付ピン151cと、を備えている。つまり、雄型の接合具本体151aも、吸着用突起部511aと同様な吸着用突起部1511aと、取付用突起部512aと同様な取付用突起部1512aを備える。また、取付用スペーサ151bも、貫通孔511bと同様な貫通孔1511bを備えている。更に、取付ピン151cも、頭部511cと同様な頭部1511cと、軸部512cと同様な軸部1512cと、を備え、軸部1512cには、取付穴513cと同様な取付穴1513cが設けられている。
【0065】
雄型の接合具30及び雌型の接合具50は、各装着箇所Sにおいて、装着孔15、15(雄用の装着孔15A、雌用の装着孔15B)を用いて装着されている。この雄型の接合具30及び雌型の接合具50の装着は、例えば、以下の手順で行われる。
【0066】
つまり、各装着箇所Sでは、雄用の装着孔15Aを用いて、雄型の接合具30が装着されている。即ち、図4において括弧内の符号を用いて説明すると、各装着箇所Sにおいては、本体部10の収納面10Bの側から、取付用突起部1512aを雄用の装着孔15Aに挿入し、接合具本体151aの裏面を、本体部10の収納面10Bに当接させる。これにより、取付用突起部1512aが、その突端側を先頭に、本体部10の外装面10Cから突出する。そして、取付用突起部1512aを、その突端を先頭に、取付用スペーサ151bの貫通孔1511bに挿通させつつ、取付用スペーサ151bを、本体部10の外装面10Cに当接させる。
【0067】
この後、取付用突起部1512aの突端と、取付ピン151cの取付穴1513cとを対向させ、取付用突起部1512aの突端側を取付穴1513cに挿入する。更に、雄型の接合具30の軸方向に沿った両端部を、治具によって把持しつつ、雄型の接合具30に軸方向に沿った圧縮力を加えると、取付用突起部1512aが取付穴1513cに圧入される。この際、取付ピン151cの軸部1512cの突端側が軸方向に圧縮されると共に、適宜、破断部を形成しつつ、半径外側方向に拡大する。これにより、雄型の接合具30の「カシメ固定」を完了すると、各装着箇所Sにおいて、雄用の装着孔15Aの周囲に位置する部位が、取付用スペーサ151bを介在させた状態で、接合具本体151aと、取付ピン151cの頭部1511cとで挟持され、雄型の接合具30の装着を終了する。
【0068】
このように、各装着箇所Sに雄型の接合具30が装着されると、図4に示すように、本体部10の収納面10Bに、接合具本体151aが配設される。そして、この接合具本体151aによって、雄型の接合部30Aが構成されると共に、「雄型の当接部30B」が構成される。つまり、接合具本体151aのうちで、吸着用突起部1511aを除いた円板状の部分によって基体部30Cが構成され、吸着用突起部1511aによって、突起部30Dが構成される。
【0069】
また、各装着箇所Sでは、図4に示すように、雌用の装着孔15Bを用いて、雌型の接合具50が装着されている。但し、この雌型の接合具50の装着に際しては、先ず、取付ベース部材51が、本体部10に装着されるが、この取付ベース部材51は、前述の雄型の接合具30と同様な部材であり、その装着の手順も、雄型の接合具30の装着の手順と同様である。即ち、図5に示すように、各装着箇所Sにおいては、本体部10の収納面10Bの側から、取付用突起部512aを雌用の装着孔15Bに挿入し、ベース部材本体51aの裏面を、本体部10の収納面10Bに当接させる。そして、取付用突起部512aを、その突端を先頭に、取付用スペーサ51bの貫通孔511bに挿通させつつ、取付用スペーサ51bを、本体部10の外装面10Cに当接させる。
【0070】
この後、取付用突起部512aの突端と、取付ピン51cの取付穴513cとを対向させ、取付用突起部512aの突端側を取付穴513cに挿入する。更に、取付ベース部材51の軸方向に沿った両端部を、治具によって把持しつつ、取付ベース部材51に軸方向に沿った圧縮力を加え、取付ベース部材51の「カシメ固定」を完了すると、取付ベース部材51の装着を完了する。
【0071】
尚、本実施例では、説明の便宜を考慮して、雄型の接合具30の装着作業と、取付ベース部材51の装着作業とを別個に説明したが、雄型の接合具30及び取付ベース部材51は、元々、同一の部材(同一構造の部材)である。このため、現実の装着作業では、本体部10の全ての取付孔15(15A、15B)に、取付ベース部材51が装着される。そして、この装着された取付ベース部材51の使い分けを行えばよい。つまり、時計回転方向に沿って装着された8個の取付ベース部材51を、この時計回転方向に沿って交互に使い分ければよい。つまり、「雄型の接合具30として使用される取付ベース部材51」と、「雌型の接合具50を構成する取付ベース部材51」と、が時計回転方向に沿って交互に並んでいると捉えて、取付ベース部材51の使い分けを行えばよい。但し、雄型の接合具30と、「雌型の接合具50を構成する取付ベース部材51」とを構造が異なる部材とすることもできる。
【0072】
更に、雌型の接合具50を構成する取付ベース部材51には、外郭部材52と、内部スペーサ部材53と、永久磁石体(永久磁石)55と、が以下のように装着されている。先ず、図6に示すように、外郭部材52の内部空間部(図6の「内部空間部52k」を参照)に、内部スペーサ部材53と、永久磁石体(永久磁石)55とをこの順で挿入する。この挿入により、内部スペーサ部材53の貫通孔53aに円筒部524bが挿入されると共に、永久磁石体55の貫通孔55aの一部(天板部52b側に位置する端面側の部分)に円筒部524bが進入し、内部スペーサ部材53と、永久磁石体55と、外郭部材52とは同軸状に位置合わせされる。尚、このとき、永久磁石体55において、天板部52bと離間する位置に存在する端面は、周壁部52aの他方の端部522aと略面一となる。
【0073】
この後、内部スペーサ部材53及び永久磁石体55を内蔵する外郭部材52を、雌型の接合具50を構成する取付ベース部材51に装着する。この装着作業においては、先ず、図6に示すように、周壁部52aの他方の端部522aを、本体部10の収納面10Bの側に向けつつ、この周壁部52aの他方の端部522aを、取付ベース部材51(雌型の接合具50を構成するもの)と同軸状に位置合わせする。そして、この周壁部52aの他方の端部522aを、本体部10の収納面10Bに近づける。更に、係止部52cを、折り込みつつ(周壁部52aの半径内側方向に折り込みつつ、取付ベース部材51と、本体部10の収納面10Bとの間に挿入すると、図4に示すように、外郭部材52が雌型の接合具50を構成する取付ベース部材51に係止される。これにより、雌型の接合具50の装着を完了する。
【0074】
このように、各装着箇所Sへの雌型の接合具50の装着を完了すると、本体部10の収納面10Bに、ベース部材本体51aと、内部スペーサ部材53と、永久磁石体55と、外郭部材52とが配設される。そして、図4に示すように、ベース部材本体51aと、内部スペーサ部材53と、永久磁石体55と、外郭部材52とによって、雌型の接合部50Aが構成される。また、雌型の接合具50の装着を完了すると、内部スペーサ部材53及び永久磁石体55は、天板部52bと、取付ベース部材51で挟持される。
【0075】
このように装着された雌型の接合具50においては、天板部52bの表面側(収納面10Bから離間する面の側)に、前述の基体部30Cを嵌合可能な第1の凹部52eが配設される。そして、第1の凹部52eの底部521eにおいて雌型の接合具50の軸心を通過する位置には、前述の突起部30Dを嵌合可能な第2の凹部53eが形成される。尚、この第2の凹部53eは、円筒部524bによって周壁部の一部を構成しつつ、底部を取付ベース部材51の吸着用突起部511aの突端部によって構成している。
【0076】
本実施例では、図4に示すように、各装着箇所Sに雌型の接合具50が装着されると、第1の凹部52e及び第2の凹部53eが、本体部10の収納面10Bから離間する方向に開口する。そして、この第1の凹部52e及び第2の凹部53eによって、「雌型の当接部50B」の具体例を構成する。尚、本実施例では、全ての接合具30、50の装着箇所において、「本体部10の中心部(図2の符号Oを参照)」からの距離が等しくされている。
【0077】
このように、本体部10装着された雄型の接合具30と、雌型の接合具50との接合は以下のように行われる。先ず、図4に示すように、雄型の当接部30Bと、雌型の当接部50Bとを同軸状に対向させる。そして、図7に示すように、雄型の当接部30Bを雌型の当接部50Bに嵌合すると、雌型の当接部50Bから生ずる吸引力(永久磁石体55の磁力を原因とする吸引力)によって、雄型の当接部30Bが雌型の当接部50Bに吸着され、雄型の接合具30と、雌型の接合具50との接合を完了する。
【0078】
本実施例においては、本体部10を柔軟性が高く、変形が容易なフェルトを用いて構成するため、雄型の接合具30及び雌型の接合具50の接合手順として、以下の2通りの手順を選択できる。次に、この手順について簡単に説明する。
【0079】
先ず、第1の手順(以下、「第1の接合態様」という。)は、同一の装着箇所Sに存在する雄型の接合具30(雄型の接合部30A)及び雌型の接合具50(雌型の接合部50A)を接合する場合のみならず、異なる装着箇所Sに存在する雄型の接合具30(雄型の接合部30A)及び雌型の接合具50(雌型の接合部50A)を接合する場合にも好適に用いられる。この第1の接合態様は、本体部10を「谷折り」して所望の雄型の接合部30A及び雌型の接合部50Aを接合する接合態様である。尚、以下の説明において、「谷折り」及び「山折り」は、収納面10Bを基準とするものである。つまり、収納面10Bが凹状となる折方を「谷折り」と称し、収納面10Bが凸状となる折方を「谷折り」と称する。
【0080】
この「第1の接合態様」は、図8(a)に示すように、本体部10を、接合対象となる雄型の接合部30A及び雌型の接合部50Aの中間の部位で「谷折り」し、当該雄型の接合部30Aの雄型の当接部30Bと、当該雌型の接合部50Aの雌型の当接部50Bとを吸着させる接合態様である。
【0081】
この第1の接合態様に関し、具体例を用いて更に詳細に説明する。例えば、同一の装着箇所Sに存在する雄型の接合具30(雄型の接合部30A)及び雌型の接合具50(雌型の接合部50A)を接合する場合には、図8(b)に示すように、対象となる装着箇所Sを、本体部10の対角線K1(K2)を基準に谷折りする。これにより、雄型の接合部30A及び雌型の接合部50Aとが同軸状に対向するため、雄型の接合具30及び雌型の接合具50の接合が円滑に行われる。
【0082】
一方、第2の手順(以下、「第2の接合態様」という。)は、主に、同一の装着箇所Sに存在する雄型の接合具30(雄型の接合部30A)及び雌型の接合具50(雌型の接合部50A)を接合する場合に好適に用いられる。この第2の接合態様は、図9(a)に示すように、対象となる装着箇所Sを「山折り」した後、この装着箇所Sを、当該「山折り」方向とは直交する方向に「谷折り」する。これにより、角部11(若しくは、12〜14の何れか)において、本体部10の中心部(O)側に位置する部位によって、略U字状に屈曲する部位(以下、「U字状屈曲部」という。)Uが形成される。そして、「第2の接合態様」は、このU字状屈曲部Uの内側において、雄型の接合具30(雄型の接合部30A)及び雌型の接合具50(雌型の接合部50A)を接合することを特徴とする。
【0083】
この第2の接合態様に関し、具体例を用いて更に詳細に説明する。例えば、図9(b)及び図10(a)に示すように、対象となる装着箇所S(接合対象となる接合部30A、50Aが存在する装着箇所S)を「山折り」する。この際、「山折り」の基準線10kは、装着箇所Sの両脇に位置する本体部10の2辺10m、10nと共に、直角二等辺三角形を形成する。しかも、接合対象となる接合部30A、50Aの配設位置は、基準線10kよりも、本体部10のより外縁部10A側とされる。そして、この山折りを実行すると、図10(a)の矢印「Y1」に示すように、装着箇所S及び「接合対象となる接合部30A、50A」は、本体部10の外装面10Cの側に屈曲する状態とされる。
【0084】
この山折りの後、図10(b)に示すように、本体部10を、対象となる装着箇所Sを通過する対角線K1(若しくは、K2)を基準に谷折りにし、当該装着箇所S(同一の装着箇所Sである。)に存在する雄型の接合具30(雄型の接合部30A)及び雌型の接合具50(雌型の接合部50A)を接合する。このとき、図9(a)等に示すように、本体部10において、基準線10kに相当する部位が、略U字状に屈曲し、U字状屈曲部Uを形成する。また、この接合の際には、雄型の接合部30A及び雌型の接合部50Aとが同軸状に対向するため、雄型の接合具30及び雌型の接合具50の接合作業が円滑に行われる。
【0085】
尚、第2の接合態様を用いると、図11に示すように、角部11(若しくは、12〜14の何れか)において、雄型の接合部30A及び雌型の接合部50Aの接合箇所Rよりも、本体部10の頂点11A(若しくは、12A〜14Aの何れか)側の部位を、当該接合箇所Rよりも下方に垂れ下がった「垂れ下がり部T」とする。しかも、角部11(若しくは、12〜14の何れか)において、接合部30A及び雌型の接合部50Aの接合箇所Rよりも、本体部10の中心部側の部位を、U字状屈曲部Uとする。つまり、この第2の接合態様では、フェルトを用いて構成される本体部10の柔軟性を用いつつ、特殊な接合態様を実現できる。
【0086】
本収納体1においては、「第1の接合態様」及び「第2の接合態様」のうちの何れを実行する場合においても、突起部30Dを第2の凹部53eに嵌合すると共に、基体部30Cを第1の凹部52eに嵌合しつつ、雄型の接合部30A及び雌型の接合部50Aの接合を行う。つまり、2組の凹凸部(突起部30D及び第2の凹部53eからなる凹凸部と、基体部30C及び第1の凹部52eからなる凹凸部)の嵌合を行うことで、雄型の接合部30A及び雌型の接合部50Aの位置合わせを円滑に行うことができる。よって、本実施例によると、本収納体1の組み立て作業をより円滑に行うことができる。
【0087】
また、2組の凹凸部の嵌合箇所において永久磁石体55の磁力を用いた吸着がなされ、雄型の接合部30A及び雌型の接合部50Aが着脱自在に吸着する。つまり、磁力を用いた吸着が、2組の凹凸部の嵌合箇所において集中的に行われる。しかも、2組の凹凸部をそれらの軸心方向に沿って相対的に離間させるだけで、雄型の接合部30A及び雌型の接合部50Aは簡単に分離する。加えて、この2組の凹凸部を、相対的に離間させる作業は、作業者がフェルトで構成され、柔らかな本体部10を把持して行えばよい(硬質の雄型の接合具30及び雌型の接合具50を把持して行うことは必ずしも、必要されない。)。よって、本実施例によると、本収納体1の展開作業を円滑に行うことができる。
【0088】
(2)本収納体1の使用形態
【0089】
次に、本収納体1の使用形態について、図12〜図17を用いて説明する。先ず、図12は、本収納体1の「第1の使用形態」を示している。この第1の使用形態では、本収納体1を構成する全「装着箇所S」において、同一の装着箇所Sに存在する雄型の接合具30(雄型の接合部30A)及び雌型の接合具50(雌型の接合部50A)同士を「第1の接合態様」を用いて接合している。
【0090】
この第1の使用形態によって、底板部1aと、その周縁部から立ち上げられた周壁部1bと、を備える「トレー形状」とされる。この「第1の使用形態」は、宝石H等を収納するための収納体1等として好適に使用される。
【0091】
図13は、本収納体1の「第2の使用形態」を示している。この第2の使用形態では、本収納体1を構成する全「装着箇所S」において、同一の装着箇所Sに存在する雄型の接合具30(雄型の接合部30A)及び雌型の接合具50(雌型の接合部50A)同士を「第2の接合態様」を用いて接合している。
【0092】
この第2の使用形態によっても、底板部1cと、その周縁部から立ち上げられた周壁部1dと、を備える「トレー形状」とされる。この「第2の使用形態」も、「第1の使用形態」と同様に、宝石H等を収納するための収納体1等として好適に使用される。但し、「第2の使用形態」と「第1の使用形態」は、接合具30、50の接合態様が異なるため、異なる外観を呈する。
【0093】
図14は、本収納体1の「第3の使用形態」を示している。この第3の使用形態では、本収納体1を構成する全「装着箇所S」において、同一の装着箇所Sに存在する雄型の接合具30(雄型の接合部30A)及び雌型の接合具50(雌型の接合部50A)同士を接合している。但し、第3の使用形態では、本体部10の一方の対角線K1(若しくは、K2)に沿った両端側に位置する装着箇所Sにおいて、雄型の接合具30(雄型の接合部30A)及び雌型の接合具50(雌型の接合部50A)を、「第1の接合態様」を用いて接合している。また、本体部10の他方の対角線K2(若しくは、K1)に沿った両端側に位置する装着箇所Sにおいて、雄型の接合具30(雄型の接合部30A)及び雌型の接合具50(雌型の接合部50A)を、「第2の接合態様」を用いて接合している。
【0094】
この第3の使用形態によって、底板部1eと、その周縁部から立ち上げられた周壁部1fと、を備える「トレー形状」とされる。この「第3の使用形態」も、宝石H等を収納するための収納体1等として好適に使用される。但し、「第3の使用形態」では、接合具30、50の接合態様として異なる態様を意図的に混在させているため、「第1の使用形態」や「第2の使用形態」とは、異なる外観を呈する。
【0095】
図15は、本収納体1の「第4の使用形態」を示している。この第4の使用形態では、本収納体1を構成する3つの「装着箇所S」において、同一の装着箇所Sに存在する雄型の接合具30(雄型の接合部30A)及び雌型の接合具50(雌型の接合部50A)同士を「第1の接合態様」を用いて接合している。そして、残りの1つの「装着箇所S」においては、雄型の接合具30(雄型の接合部30A)及び雌型の接合具50(雌型の接合部50A)の接合を行っていない。尚、この「第4の使用形態」において、雄型の接合具30、50の接合態様として、「第1の接合態様」を用いてもよい。
【0096】
この第4の使用形態では、底板部1gと、2辺から立ち上げられた壁部1hと、を備える「トレー形状」とされる。この「第4の使用形態」も、宝石H等を収納するための収納体1等として好適に使用される。但し、この第4の使用形態は、底板部1gの1つの対角線方向を基準として一方の側を、壁部1hが存在しない、開放部1kとする。このため、この第4の使用形態によると、使用者は、収納体1の上方からに加えて、側方からも、被収納物を目視することができる。
【0097】
図16は、本収納体1の「第5の使用形態」を示している。この第5の使用形態では、本収納体1を構成する全「装着箇所S」において、異なる装着箇所Sに存在する雄型の接合具30(雄型の接合部30A)及び雌型の接合具50(雌型の接合部50A)同士を、「第1の接合態様」を用いて接合している。具体的には、本体部10の1つの辺10pの両脇に位置する雄型の接合具30(雄型の接合部30A)及び雌型の接合具50(雌型の接合部50A)同士を、「第1の接合態様」を用いて接合している。また、本体部10において、辺10pと対向する位置の辺10qの両脇に位置する雄型の接合具30(雄型の接合部30A)及び雌型の接合具50(雌型の接合部50A)同士も、「第1の接合態様」を用いて接合している。
【0098】
この第5の使用形態によって、本収納体1は両端に開口部5A、5Aを備える略筒形状とされる。この「第5の使用形態」は、円筒状等に巻き込まれた紙類(手紙や、請求書、納品書等の取引書類等)を収納するための収納体1等として好適に使用される。
【0099】
図17は、本収納体1の「第6の使用形態」を示している。この第6の使用形態では、先ず、本体部10を、その一方の対角線K2(若しくは、K1)を基準に折り込む。そして、本体部10の他方の対角線K1(若しくは、K2)の一端側に位置する角部11(若しくは、12)の装着箇所Sに存在する雄型の接合具30(雄型の接合部30A)と、当該「他方の対角線K1(若しくは、K2)」の他端側に位置する角部13(若しくは、14)の装着箇所Sに存在する雌型の接合具50(雌型の接合部50A)を接合する。また、当該「他方の対角線K1(若しくは、K2)」の一端側に位置する角部11(若しくは、12)の装着箇所Sに存在する雌型の接合具50(雌型の接合部50A)と、当該「他方の対角線K1(K2)」の他端側に位置する角部13(若しくは、14)の装着箇所Sに存在する雄型の接合具30(雄型の接合部30A)とを接合する。
【0100】
加えて、本体部10の一方の対角線K2(若しくは、K1)の一端側に位置する角部12(若しくは、11)と、他端側に位置する角部14(若しくは、13)とにおいて、各々、同一の角部12、14(11、13)の装着箇所Sに存在する雄型の接合具30(雄型の接合部30A)及び雌型の接合具50(雌型の接合部50A)を「第1の接合態様」を用いて接合する。これにより、平面形状が略直角二等辺三角形(あたかも、餃子のような外形)で、2つの開口部6A、6Bを備える使用形態が得られる。
【0101】
つまり、この第6の使用形態は、例えば、平面形状が略直角二等辺三角形(あたかも、餃子のような外形)を備えると共に、2つの開口部6A、6Bを備える袋形状となる。即ち、図17に示すように、この使用形態において、例えば、頂角部7Aを上方側に配置し、底角部7B、7Cを下方側に配置すると、頂角部7Aと一方の底角部7Bとの間に、一方の開口部6Aが形成され、頂角部7Aと他方の底角部7Cとの間に、他方の開口部6Bが形成される。
【0102】
尚、頂角部7Aは、本体部10の他方の対角線K1(若しくは、K2)の両端側に位置する両角部11、13(若しくは、12、14)の装着箇所Sに存在する接合具30、50を接合することで、当該両角部11、13(若しくは、12、14)を接合して構成される部分である。また、底角部7Bは、本体部10の一方の対角線K2(若しくは、K1)の他端側に位置する角部14(若しくは、13)において、雄型の接合具30(雄型の接合部30A)及び雌型の接合具50(雌型の接合部50A)を「第1の接合態様」を用いて接合することで、当該角部14(若しくは、13)を接合して構成される部分である。更に、底角部7Cは、本体部10の他方の対角線K1(若しくは、K2)の一端側に位置する角部12(若しくは、11)において、雄型の接合具30(雄型の接合部30A)及び雌型の接合具50(雌型の接合部50A)を「第1の接合態様」を用いて接合することで、当該角部12(若しくは、11)を接合して構成される部分である。
【0103】
この第6の使用形態では、開口部6A、6Bから、本収納体1の内部(本収納体1を袋状の使用体形態とした場合の内部)に対して、種々の物品(宝石、眼鏡、ICカード等)を挿入することができる。逆に、本収納体1の内部から、種々の物品(宝石、眼鏡、ICカード等)を取り出すこともできる。しかも、この第6の使用形態では、頂角部7Aと、2つの底角部7B、7Cとに、接合具30、接合具50を用いた接合箇所Rが構成されるため、本収納体1の内部の物品が誤って、本収納体1の外部に脱落すること(不用意に落下すること)を防止できる。このため、本収納体1を第6の使用形態とする場合には、当該収納体1を「搬送用の収納体(例えば、ハンドバッグの代用品)」としても、好適に使用できる。尚、この図17の具体例では、展開した状態の本収納体1の収納面10B上に、種々の物品(宝石、眼鏡、ICカード等)を配置した後、本収納体1を第6の使用形態を構成してもよい。
【0104】
(3)実施例の効果
【0105】
本収納体1では、その本体部10を形状変化が容易で、嵩張らない布材を用いて構成するため、時と場所を変えて使用することが容易である。例えば、この本収納体1を、旅行カバンやビジネスバックに存在する僅かな「空きスペース(例えば、本体部の厚み分の隙間)」に入れて搬送し、所望の使用箇所(旅行先の宿舎、出張先の宿舎)等で取り出して使用することができる。
【0106】
特に、本収納体1では、布材がフェルトを用いて構成されるため、本体部10に変形を施すことがより一層、容易となる。このため、収納体1の組み立て作業がより一層、容易となる。また、本体部10の復元性が向上するため、収納体1を展開形態としたときに、組み立て時の「折りくせ」や、折り目等が残り難くなり、当該展開形態の際の美観も向上する。また、本収納体1では、本体部10をフェルトを用いて構成するため、その質感、風合い、肌触り等が向上し、収納体1としての品質が向上する。更に、布材をフェルトを用い構成し、本体部10に衝撃吸収能力を付加するため、本収納体1を、貴金属(宝石等)の収納体1として用いる際に有益である。
【0107】
また、本収納体1では、本体部10の各角部11〜14に雄型の接合部30a及び雌型の接合部50aが配設される。しかも、雄型の接合部30a及び雌型の接合部50aは、本体部10の外縁部10Aを周回する方向に沿って交互に配設されるため、前述の「使用形態1〜使用形態6」に示すように、「現実の収納体1として好適な使用形態」を、複数通り実現することが容易である。つまり、本収納体1によると、単に、複数通りの使用形態を実現できるのではなく、現実の収納体1として好適な使用形態を複数通り実現することが容易である。
【0108】
即ち、本収納体1では、本体部10の各角部11〜14に雄型の接合部30A及び雌型の接合部50Aが配設されるため、例えば、(1)同一の角部11〜14の雄型の接合部30A及び雌型の接合部50Aを接合して使用形態を構成したり、(2)1組の隣合う角部(11及び12等)の雄型の接合部30Aと雌型の接合部50Aとを接合して使用形態を構成したり、(3)2組の隣合う角部(11及び12と、13及び14)の雄型の接合部30Aと雌型の接合部50Aとを接合して使用形態を構成すること、(4)対向する2組の角部(11及び13と、12及び14)の雄型の接合部30Aと雌型の接合部50Aとを接合して使用形態を構成すること、等ができる。しかも、本収納体では、雄型の接合部30A及び雌型の接合部50Aは、本体部10の外縁部10Aを周回する方向に沿って交互に配設されるため、異なる角部の雄型の接合部30Aと雌型の接合部50Aとを接合する際にも、本体部10に無用の負担を掛けることがない。
【0109】
つまり、異なる角部の雄型の接合部30Aと雌型の接合部50Aとを接合する際にも、接合される雄型の接合部30Aと雌型の接合部50Aとの距離を短くできるため、本体部10に大きな変形を与える必要がない。そして、本収納体1では、このように、複数の使用形態を実現しつつも、雄型の接合部30Aと雌型の接合部50Aとを接合するために、本体部10に対して不必要な変形を与える必要がない。従って、本収納体1によって実現される複数の使用形態は、何れも、物品を収納する上で無理の無い好適な形態となる。よって、本収納体1によると、物品の収納体1として好適な使用形態を複数通り実現することができる。このように、本収納体1では、接合すべき雄型の接合部30A及び雌型の接合部50Aの組み合わせを種々選択し、物品の収納体1として好適な使用形態を複数通り実現することができる。
【0110】
更に、本収納体1では、本体部10が布材を用いて構成され、種々の形状に変形することが容易である。また、本体部10が、特に対称性に富んだ平面形状を備えるため、種々の形状に変形しても、使用者に違和感を与えることなく、良好な外観を備える。よって、本実施例では、接合される雄型の接合部30A及び雌型の接合部50Aの組み合わせを選択することで、種々の形状に変形することが容易であり、使用者に「飽き」を生じさせ難い。
【0111】
尚、本各発明の範囲は前記各実施例に示す具体的な態様に限定されず、本各発明の範囲内で種々の変形例を例示できる。
【0112】
本実施例では、本体部10の平面形状を正方形としたが、略矩形(正方形を除いた略矩形)や、正六角形、正八角形等の多角形とすることもできる。また、本実施例では、外郭部材52全体を「強磁性体」で構成したが、外郭部材52のうちで、雌型の当接部50Bを構成しない部位(周壁部52a等)を、「非磁性体」によって構成した変形例(以下、「変形例1」という。)を例示することもできる。この変形例1は、ICカード(クレジットカード)入れとして、好適に用いることができる。蓋し、永久磁石体50が、被収納物に与える磁気の影響を少なくすることができるからである。
【0113】
更に、図示を省略するが、複数の収納体1を連結して使用する変形例(以下、「変形例2」という。)を例示することもできる。つまり、所定の収納体1の雄型の接合部30A(雌型の接合部50A)と、他の収納体1の雌型の接合部50A(雄型の接合部30A)とを接合する態様を例示することができる。この変形例2によると、複数の収納体1を連結して、大型の収納空間を形成できる。よって、被収納物が大型化した場合等に有効である。
【0114】
また、図18(a)及び(b)に示す変形例3のように、本体部10の所定の部位に、折目溝(折目溝を構成する溝)10Eを設けてもよい。例えば、本収納体1において、使用頻度が高い「使用形態」を構成する際に、本体部10において折り曲げられる箇所に、折目溝10Eを設けてもよい。この変形例3は、前述の「第1の使用形態(図11)を実現する際に、本体部10において折り曲げられる箇所に、折目溝10Eを設ける態様」を例示している。但し、この折目溝10Eは、本体部10の収納面10Bと外装面10Cとの双方に設けてもよいし、一方に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、例えば、物品収納体の製造、販売、施工、加工等を行う分野で利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】実施例の物品収納体(展開状態)の斜視図である。
【図2】実施例の物品収納体(展開状態)の平面図である。
【図3】(a)は本体部(展開状態)の平面図であり、(b)は図3(a)の3−3断面である。
【図4】雄型の接合具と雌型の接合具を説明するための縦断面図である。
【図5】雌型の接合具の分解縦断面図である。
【図6】取付ベース部材(雄型の接合具)の分解縦断面図である。
【図7】雄型の接合具と雌型の接合具の接合状態を説明するための縦断面図である。
【図8】(a)は第1の接合態様を説明するための斜視図であり、(b)は第1の接合態様を説明するための説明図である。
【図9】(a)は第2の接合態様を説明するための斜視図であり、(b)は第2の接合態様を説明するための説明図である。
【図10】第2の接合態様を構成する際の中間の状態を説明するための斜視図である。
【図11】(a)及び(b)は第2の接合態様を説明するための説明図である。
【図12】実施例の物品収納体の「第1の使用形態」を示す斜視図である。
【図13】実施例の物品収納体の「第2の使用形態」を示す斜視図である。
【図14】実施例の物品収納体の「第3の使用形態」を示す斜視図である。
【図15】実施例の物品収納体の「第4の使用形態」を示す斜視図である。
【図16】実施例の物品収納体の「第5の使用形態」を示す斜視図である。
【図17】実施例の物品収納体の「第6の使用形態」を示す斜視図である。
【図18】(a)は変形例3に係る物品収納体の平面図であり、(b)は図16(a)の16−16断面図である。
【図19】「角部」を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0117】
1;物品収納体(本収納体)、
10;本体部、
10A;外縁部、
11〜14;角部、
30;雄型の接続具、
30A;雄型の接続部、
30B;雄型の当接部、
50;雌型の接続具、
30A;雌型の接続部、
30B;雌型の当接部、
K1、K2;対角線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面形状が略正方形の布材を用いて構成される本体部と、
該本体部の表裏一方の面に雄型の接合部を配設しつつ、前記本体部の各角部に各々装着される雄型の接合具と、
該本体部の表裏一方の面に雌型の接合部を配設しつつ、前記本体部の各角部に各々装着される雌型の接合具と、
を備え、
前記雄型の接合具及び前記雌型の接合具の少なくとも一方に内蔵される永久磁石の吸着力を用いて所定の雄型の接合部と所定の雌型の接合部を着脱可能に接合し、前記本体部によって所定の使用形態を構成する物品収納体であって、
前記本体部の外縁部を周回する方向に沿って、前記雄型の接合具と前記雌型の接合具とが交互に装着されることを特徴とする物品収納体。
【請求項2】
平面形状が略矩形の布材を用いて構成される本体部と、
該本体部の表裏一方の面に雄型の接合部を配設しつつ、前記本体部の各角部に各々装着される雄型の接合具と、
該本体部の表裏一方の面に雌型の接合部を配設しつつ、前記本体部の各角部に各々装着される雌型の接合具と、
を備え、
前記雄型の接合具及び前記雌型の接合具の少なくとも一方に内蔵される永久磁石の吸着力を用いて所定の雄型の接合部と所定の雌型の接合部を着脱可能に接合し、前記本体部によって所定の使用形態を構成する物品収納体であって、
前記本体部の外縁部を周回する方向に沿って、前記雄型の接合具と前記雌型の接合具とが交互に装着されることを特徴とする物品収納体。
【請求項3】
前記本体部の各角部に装着される前記雄型の接合具及び前記雌型の接合具が、該雄型の接合具及び該雌型の接合具の装着された角部を通過する対角線を基準とした対称な位置に配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の物品収納体。
【請求項4】
平面形状が略正N角形(Nは、6以上の偶数である。)の布材を用いて構成される本体部と、
該本体部の表裏一方の面に雄型の接合部を配設しつつ、前記本体部の各角部に各々装着される雄型の接合具と、
該本体部の表裏一方の面に雌型の接合部を配設しつつ、前記本体部の各角部に各々装着される雌型の接合具と、
を備え、
前記雄型の接合具及び前記雌型の接合具の少なくとも一方に内蔵される永久磁石の吸着力を用いて所定の雄型の接合部と所定の雌型の接合部を着脱可能に接合し、前記本体部によって所定の使用形態を構成する物品収納体であって、
前記本体部の外縁部を周回する方向に沿って、前記雄型の接合具と前記雌型の接合具とが交互に装着されることを特徴とする物品収納体。
【請求項5】
前記本体部の各角部に装着される前記雄型の接合具及び前記雌型の接合具が、該雄型の接合具及び該雌型の接合具が装着された角部と、該角部から最も離間する他の角部とを通過する対角線を基準とした対称な位置に配置されることを特徴とする請求項4に記載の物品収納体。
【請求項6】
前記布材は、フェルトを用いて構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の物品収納体。
【請求項7】
前記雄型の接合部は、
磁性体を用いて構成されると共に、略板状に構成される基体部及び該基体部から突出する突起部と、具備する雄型の当接部を備え、
前記雌型の接合部は、
磁性体を用いて構成されると共に、前記基体部を嵌合可能、若しくは、遊入可能な第1の凹部と、前記第1の凹部の底部に設けられて前記突起部を嵌合可能、若しくは、遊入可能な第2の凹部と、を具備する雌型の当接部を備え、
前記雌型の接合具は、前記永久磁石を収納するための空間部を、前記第2の凹部の周囲に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の物品収納体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−29493(P2007−29493A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218377(P2005−218377)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(502292905)三幸毛糸紡績株式会社 (4)