説明

物品収納排出用ボックス

【課題】 青果物や海産物等の取り扱いにも好適であるとともに、軽量に構成される物品収納排出用ボックスを提供する。
【解決手段】 フォークリフト車のフォークの係止部12、26を備える金属製底枠2と、金属製底枠2上に載置固定される周壁部構成用のプラスチック製側枠体3と、金属製底枠2に開閉可能に取り付けられる底蓋4とからなることを特徴とする物品収納排出用ボックス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フォークリフト車やクレーンにより移動可能で、底蓋が開かれることで内部に収納される物品を排出可能な物品収納排出用ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
この種物品収納排出用ボックスは多量の物品の収納が可能であり、また、フォークリフト等で移動することで所望の部所にその物品を排出できる点において、例えば、廃棄物処理等において便利に用いられており、最近では青果物や海産物等の食料物品の収納、移動等にもひろく用いられるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら従来の物品収納排出用ボックスは、全体が鉄製であるので食料物品を扱うのには衛生面上、また、見た目にも好ましくなかった。くわえて、鉄製であることでその全体重量が大きく製品の搬送や使用の移動に際して手間がかかるという基本的な問題点があった。
【0004】
この発明は、上記の事情に鑑みて行ったもので、食料物品等の取り扱いに好適であるとともに軽量である物品収納排出用ボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明では、底蓋が開閉可能に設けられた物品収納排出用ボックスにおいて、周壁部をプラスチックス製の側枠体により形成してなることを特徴とする物品収納排出用ボックスを提供する。請求項2の発明では、フォークリフト車のフォークの係止部を備える金属製底枠と、前記金属製底枠上に載置固定される周壁部構成用のプラスチック製側枠体と、前記金属製底枠に開閉可能に取り付けられる底蓋とからなることを特徴とする物品収納排出用ボックスを提供する。
【0006】
上記それぞれの発明の構成によれば、物品を収納する周壁部を形成する側枠体がプラスチックス製とされることで、物品の収納部が汚れにくいとともに汚れが付いた際には洗浄により除去しやすく、さらに、金属の場合のような錆も発生しないので衛生的であって、また、見た目も清潔なものとなる。さらに、側枠体がプラスチックス製とされていることで全体重量が従来のものの50〜70%に軽量化される。
【0007】
それぞれの発明において底蓋の開閉機構をユニット化しそれを側枠体の外面に装着する構成とすることで組み立てが容易になされるとともに、また、その作動が安定したものとなり、さらに、側枠体をそのままにして開閉機構部分のみの取り換え等を行える。
【0008】
とくに、請求項2の発明においては、底枠はフォークを係止するので強度が必要であるとともに形状が複雑となるのでプラスチックの成形によっては製造が困難で、したがって、金属製とされることで構成が安定し、かつ、製造が容易になされる。
【0009】
金属製底枠にプラスチックス製側枠体の外面に沿うように位置してプラスチックス製側枠体を補強する金属製補強部を取り付けることでより安定した構成が得られる。くわえてその金属製補強部の上端のプラスチックス製側枠体の上縁より突出する部分をフォークリフト車のフォークの係止部とすることで、別途フォーク係止部を設ける手間が省け、製造が容易、かつ、安価に行える。さらに、そのフォークの係止部は物品収納排出用ボックスを段積みする際のストッパーとなって安定した段積みを可能とする。
【0010】
底蓋もプラスチックスとすることにより物品収納部を衛生的にでき、かつ、さらなる軽量化も可能となるが、底枠と同様の理由により金属製とされてもよく、その場合は収納部内面を形成する部分はステンレス製とされることが衛生面に好ましい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、2の発明によれば、食品等の取り扱いに好適であるとともに軽量である物品収納排出用ボックスが得られ、とくに、請求項2の発明によれば構成が安定し、かつ、製造が容易になされる物品収納排出用ボックスが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1はこの発明の物品収納排出用ボックスの正面図、図2は同一方側の側面図、図3は平面図、図4は縦方向断面図である。
【0013】
物品収納排出用ボックス1は、方形の鉄製底枠2と、その上部に載置固定される周壁部構成用のプラスチック製の側枠体3と、鉄製底枠2に取り付けられ下部開口を開閉するステンレス製の底蓋4とからなる。
【0014】
鉄製底枠2は、角パイプよりなる方形下枠6上に、側枠体3載置用のコ字型鋼よりなる方形取り付け枠8が溶接により固定されて構成されている。取り付け枠8にはその内側の適宜位置に補強用リブ7のそれぞれが設けられている。取り付け枠8の後部両端には下方に突出するように一対の側パネル10が溶接により取り付けられるとともに、それらの間には上部が取り付け枠8の下面に溶接されることでフォークの差し入れ部ともなる後部脚12が取り付けられ、さらに、両端が上記側パネル10に固定状態に軸支されて蝶番軸14が水平に配置されている。蝶番軸14は一方側が底枠2の下部に固定され、他方側が底蓋4の後縁部に固定され、底枠2に対して底蓋4の後部を回転可能に軸支している。側パネル10のそれぞれにはバックパネル11それぞれが一体に固着されその下部の傾斜面部13の内面に緩衝部材15が取り付けられている。
【0015】
側枠体3はポリプロピレン樹脂よりなる一体成形品で、下部において外方に突出する取り付け縁16がボルト18により取り付け枠8上に固定されて鉄製底枠2上に取り付けられている。
【0016】
20のそれぞれはフォーク係止部材(金属製補強部)で鉄棒がコ字型に折り曲げられて形成されており、その二股に分かれる下端のボルト部23それぞれが取り付け枠8上に固定され、その上部の内側に溶接固定された固定具22が側枠体3の上縁周囲部に嵌め込まれ皿ネジ21により固定されている。フォーク係止部材20は取り付けられた状態において側枠体3の上面より上方に突出する部分がフォーク係止開口(フォークの係止部)24を構成している。フォーク係止部材20は側枠体3の周囲に沿って位置することで側枠体3の膨らみ変形を抑えて補強機能も果たし、また、複数の物品収納排出用ボックス1を段積みする際のストッパーともなる。また、フォーク係止部材20は下部と上部の2箇所において側枠体3側に強固に固定されるので、フォーク係止開口24へフォークを差し入れての吊り下げ使用も安定して行われる。なお、吊り下げに際してはフォーク係止部材20が固定される取り付け枠8の上側片に力がかかるが補強用リブ7が設けられていることで取り付け枠8は変形等することがない。
【0017】
底蓋4の前側と両側には下方に突出するように溶接によりフォークの差し入れ部ともなる前部脚26と側部脚28とのそれぞれが取り付けられ、さらに上面の両側部近傍にはガイドプレート30のそれぞれが上方に突出するように立設されている。また、底蓋4の前側両端には端板32のそれぞれが固定されており、その外面にはフック受け金具34のそれぞれが回転可能に突設されているとともに、端板32それぞれの前端下部には車輪36のそれぞれが取り付けられている。また底蓋4の後部両端下側には上記の緩衝部材15それぞれに対応するL字型の当り金具38それぞれが溶接により取り付けられている。
【0018】
物品収納排出用ボックス1の一方側の側面には、図5に示す底蓋4の開閉機構50が設けられている。開閉機構50は、先端のフック52と、フック52上部に連結固定される連結レバー54と、連結レバー54上部に前端が回転可能に連結されるスライドレバー56と、スライドレバー56の後端に回転可能に連結される固定片58と、固定片58の受け具60と、スライドレバー56のスライド穴57に係止連動する操作レバー62とからなる。フック52と連結レバー54との接続固定部には前側下枠6のパイプ内に配置される回転シャフト70の一端が固定され、その他端側には他方側のフック53が連結固定され、これによりフック52、53のそれぞれは回転シャフト70の回転に伴って同期作動するようになっている。回転シャフト70は下枠6のパイプの両端設けられる軸支部に回転可能に軸支されて設けられている。
【0019】
64はコイルバネで、その一端がスライドレバー56の途中部に係止され、他端は側枠体3面に固定装着される鉄製プレート65面に係止され、これによりスライドレバー56を前方側に移動するように付勢している。受け具60は鉄製プレート65に取り付けられ、操作レバー62はその途中の内面側に突出形成される係止突起(図に現れない)がスライドレバー56のスライド穴57に係入する状態において、下端が下枠6に回転可能に軸支されて設けられている。操作レバー62の端部、固定片58の端部それぞれには操作ひも66,67のそれぞれが取り付けられている。69はスライドレバー56部分を覆うように設けられる鉄製カバーである。
【0020】
上記のように開閉機構50を鉄製プレート65に予め一体としてユニット化し側枠体3の外面に組み込み配置することで、組み立てが容易になされるとともに、また、その作動が安定したものとなり、さらに、側枠体3をそのままにして開閉機構50部分のみの取り換え等を行える利点もある。
【0021】
上記開閉機構50による底蓋4の開閉動作を説明する。底蓋4が閉じられた状態においてフォーク係止部材20の係止開口24にフォークリフト車のフォークが前後方向に差し入れられ、これにより物品収納排出用ボックス1は吊り下げ状態とされる。例えば、内部に多数の果物が納められた状態でフォークリフト車により吊り下げ状態とされて運ばれ、所定の位置においてその果物を排出する際に底蓋4が開かれる。その開き操作は、まず操作ひも67を引くことで図2、図5に示すように固定片58の端部を持ち上げて受け具60から外す。次に操作ひも66を引いて操作レバー62を後方に引く。固定片58が受け具60に係止している状態では操作レバー62が後方に引くことができないようにしていることで、操作レバー62が不意に動いて底蓋4が開くことがないようにしている。
【0022】
操作レバー62が後方に引かれると、スライド穴57の後部に係止突起が係止していることでスライドレバー56はコイルバネ64の付勢力に抗して後方にスライド移動し、これによりその先端が連結レバー54の上端を後方に引っ張る。その際、スライドレバー56と連結レバー54との連結が回転可能とされていることでそれらが互いに拡開し、かつ、連結レバー54とフック52との連結固定部に固定される回転シャフト70が回転することでフック52、53は開く。この開き動作はフック受け金具34が回転可能であることでスムーズになされる。フック52、53が開くと底蓋4は自重でその前側が下降して開き、傾斜状態となった底蓋4面上より両側のガイドプレート30を案内として所定位置に果物等が排出される。底蓋4が開く際にはL字型の当り金具38それぞれが緩衝部材15それぞれに当ることでその衝撃が緩和され、また、その当たり状態において底蓋4は所定角度の開き状態を維持する。
【0023】
開かれた底蓋4は、物品収納排出用ボックス1がその吊り下げ状態において他の位置に移動され下降されることで自動的に閉じられる。すなわち、下降されることで始めに傾斜状態の底蓋4の前端の車輪36それぞれが接地し、さらに下降されることで車輪36が回転するとともにその前端側が相対的に押し上げられ、フック受け金具34がフック52の下部の傾斜部に当たった状態でさらに押し上げられることでフック受け金具34がコイルバネ64の付勢力に抗してフック52を押し開き、これによりフック52がフック受け金具34に係止した状態となって底蓋4は閉じ状態に固定され、フック53も係止状態となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】 この発明の物品収納排出用ボックスの実施形態の前面図
【図2】 この発明の物品収納排出用ボックスの実施形態の一方側側面図
【図3】 この発明の物品収納排出用ボックスの実施形態の平面図
【図4】 この発明の物品収納排出用ボックスの実施形態の縦方向断面図
【図5】 この発明の物品収納排出用ボックスの底蓋開閉機構の構成図
【符号の説明】
【0025】
1 物品収納排出用ボックス
2 底枠
3 側枠体
4 底蓋
20 フォーク係止部材(金属製補強部)
24 フォーク係止開口(フォークの係止部)
50 開閉機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底蓋が開閉可能に設けられた物品収納排出用ボックスにおいて、
周壁部をプラスチックス製の側枠体により形成してなることを特徴とする物品収納排出用ボックス。
【請求項2】
フォークリフト車のフォークの係止部を備える金属製底枠と、
前記金属製底枠上に載置固定される周壁部構成用のプラスチック製側枠体と、
前記金属製底枠に開閉可能に取り付けられる底蓋と、
からなることを特徴とする物品収納排出用ボックス。
【請求項3】
前記底蓋の開閉機構がユニット化され、それが前記側枠体の外面に装着されてなる請求項1または2記載の物品収納排出用ボックス。
【請求項4】
前記金属製底枠に、前記プラスチックス製側枠体の外面に沿うように位置して前記プラスチックス製側枠体を補強する金属製補強部が取り付けられてなる請求項2記載の物品収納排出用ボックス。
【請求項5】
前記金属製補強部の上端の前記プラスチックス製側枠体の上縁より突出する部分がフォークリフト車のフォークの係止部とされてなる請求項4記載の物品収納排出用ボックス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate