説明

物品温度管理システム

【課題】物品の流通過程における温度履歴データを関係者に確実に伝達できる物品温度管理システムを提供する。
【解決手段】温度を測定及び記録する温度センサ付きのICタグ3を物品に添付してこの物品の流通過程における温度履歴を管理する物品温度管理システムを、ICタグ3の保持する情報を読み取るICタグ読取装置からの出力に基づいてICタグ3の個体識別情報及び物品の温度履歴を保持する温度履歴データベース部と、ICタグ3の個体識別情報に関連付けられた物品の関係者に関する情報を保持する関係者情報データベース部と、温度履歴データベース部及び関係者情報データベース部を参照して温度履歴を伝達する関係者を判断する情報処理部と、情報処理部13の出力に応じて関係者に対して温度履歴の伝達を行う指示を通信装置に発する指示発信部とを備えるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農産物等の物品に温度センサ付きのICタグを添付してこの物品の流通過程における温度履歴を管理する物品温度管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICタグは、RFID(Radio Frequency Identification)とも称され、個体の識別が可能な情報を保持するICチップを備え、この情報を無線通信によって非接触に読み取りできるようになっている。このようなICタグは、例えば運送、工場工程管理、流通等の各分野において、商品等の管理に有用である。
また、ICタグは、温度センサが備えられ、所定の時間毎に計測した温度をICチップに記録するものが知られている。
このような温度センサ付きのICタグは、農産物、水産物、畜産物等の生鮮食料品に添付され、これらの商品が保冷車等によって生産地から販売店舗に輸送される際にどのような温度環境下にあったかを管理するシステムに用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなシステムによって商品の温度履歴を管理すれば、保管温度の異常が原因である商品のトラブルが発生した場合にその原因の究明及び対処を的確に行うことができるため、商品の歩留まり(全商品に対する不良品でない商品の割合)を改善するために有効である。したがって、商品の温度履歴データは、責任の所在を明確にするためにも生産者、加工業者、販売店舗、物流センタ等の商品の関係者の全員が知っていることが望ましい。
しかし、従来のシステムは、温度履歴データを保管するサーバに対して関係者から要求があった場合にこの温度履歴データの閲覧を許可するものであり、関係者が温度履歴データの閲覧要求を失念する可能性がある。
このため、商品の温度履歴データを関係者に対して確実に伝達できるシステムが要望されていた。
【0004】
【特許文献1】特開2002−358591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、物品の流通過程における温度履歴データを関係者に確実に伝達できる物品温度管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。
請求項1の発明は、温度を測定及び記録する温度センサ付きのICタグを物品に添付してこの物品の流通過程における温度履歴を管理する物品温度管理システムにおいて、前記ICタグの保持する情報を読み取るICタグ読取装置からの出力に基づいて前記ICタグの個体識別情報及び前記物品の温度履歴を保持する温度履歴データベース部と、前記ICタグの個体識別情報に関連付けられた前記物品の関係者に関する情報を保持する関係者情報データベース部と、前記温度履歴データベース部及び前記関係者情報データベース部を参照して前記温度履歴を伝達する関係者を判断する情報処理部と、前記情報処理部の出力に応じて前記関係者に対して前記温度履歴の伝達を行う指示を通信装置に発する指示発信部とを備えることを特徴とする物品温度管理システムである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の物品温度管理システムにおいて、前記通信装置は、電気通信回線網を介して前記関係者に電子メールを送信する端末機器であり、前記電子メールは、前記温度履歴データベース部における前記物品の温度履歴の保管場所に関する情報を含むことを特徴とする物品温度管理システムである。
請求項3に発明は、請求項1又は請求項2に記載の物品温度管理システムにおいて、前記ICタグ読取装置は、前記物品の流通経路の上流側から下流側にかけて複数設けられ、前記指示発信部は、前記複数のICタグ読取装置のうち最も下流側のものが前記ICタグと通信を行った場合に前記指示を発することを特徴とする物品温度管理システムである。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、温度履歴データベース部にICタグの個体識別情報とこのICタグに記録された温度履歴データとが保存されるとともに、関係者データベース部にICタグの個体識別情報とこのICタグに関連する関係者情報とが保存されており、情報処理部は、これらのデータベース部を参照することによって、温度履歴データを伝達すべき関係者を判断できる。また、指示発信部が情報処理部の出力に応じてこの関係者に対して該当する温度履歴の伝達を行うように通信装置に指示を発するから、この関係者に確実に温度履歴データを伝達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、物品の流通過程における温度履歴データを関係者に確実に伝達できる物品温度管理システムを提供するという目的を、温度センサ付きのICタグに記録された農産物の温度履歴データをICタグのユニークIDに関連付けて保管する温度履歴データベース部、この農産物の関係者情報をICタグのユニークIDに関連付けて保持する関係者情報データベース部、これらのデータベース部を参照して温度履歴データを伝達すべき関係者を判断する情報処理部、及び、関係者に対して温度履歴データを送信するように端末機器に指示を発する伝達指示発信部を備えたデータセンタを設けることによって実現する。
【実施例】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の物品温度管理システムの実施例である農産物温度管理システムについて説明する。
図1は、実施例の農産物温度管理システムの構成を示す概略図である。また、図2は、図1の農産物温度管理システムの構成を示すブロック図である。図3は、ケースに収容された状態の農産物を示す図である。
この農産物温度管理システム1の温度管理の対象物は、例えば、ほうれん草等の農産物2であり、この農産物2は、温度センサ付きのICタグ3(以下、単に「ICタグ3」という)が貼付され、農家100から販売店舗110にトラック等の車両によって輸送される際の温度履歴が記録されるようになっている
【0011】
農産物2は、図3に示すように加工工場等において袋詰めされた後に複数個がまとめて、例えば、コンテナや段ボール箱等の箱状のケース4に収容されたものである。この農産物2は、トラック等により輸送される場合、その荷室内の温度が、例えば、20℃以下になるように保管温度の管理が行われる。
【0012】
ICタグ3は、図示しない温度センサを備え、この温度センサが測定した温度を一定時間毎にICチップに記憶した温度履歴データを保持する公知のものであり、農産物2を収容したケース4の外面であって上面部の中央部分に両面テープ等によって貼付されている。この温度センサの種類は、特に限定されず、例えば、熱電対やサーミスタ等が使用されている。
【0013】
ICチップは、ICタグ3の個体識別情報であるユニークID等が記録されかつその書き換えが制限された固定データ領域とデータの追記、書き換えが可能な書換可能データ領域とを備えており、この書換可能データ領域に温度センサが測定した温度データを、例えば、16000回分記憶できるようになっている。
また、ICタグ3は、ICチップのデータ量が記録可能な容量の上限に達した場合、先頭のデータ(一番古いデータ)から順次上書きを行うエンドレスモード、又は、記録を中止するワンタイムモードの二通りの記録モードを備えており、任意に選択できるようになっている。
【0014】
このICタグ3の測定可能な温度の範囲は、例えば、−40℃から80℃までの間となっており、その測定分解能は、例えば、0.1℃である。また、測定時間の間隔は、例えば、1秒、2秒、5秒、10秒、15秒、20秒、30秒、1分、2分、5分、10分、15分、20分、30分、60分の15パターンが用意されており、本実施例においては、例えば、10分に設定されている。
【0015】
また、このICタグ3は、後述するICタグリーダ20と出力が10mW程度の無線通信(いわゆる、特定小電力無線通信)を行うようになっており、その通信可能な距離は、見通しのよい場所では直線距離で、例えば、100m程度となっている。また、その通信速度は、条件やデータの容量にもよるが、例えば、毎分2000データ程度となっている。
ICタグ3は、シート状の電池を内蔵しており、全体的にカード状に形成され、また、防水機能を備えている。このICタグ3の電池の寿命は、使用条件にもよるが、例えば、6ヶ月程度となっている。
【0016】
この農産物温度管理システムは、図1に示すようにアクセスポイントAP及びデータセンタ10を備えている。
アクセスポイントAPは、ICタグ3と通信を行ってICタグ3が保持するデータを読み取るICタグ読取装置であるICタグリーダ20が設置されている場所であり、農産物2の流通経路の上流側から下流側にかけて複数設けられている。具体的には、アクセスポイントは、農産物2の販売店舗110、農家100と販売店舗110との間に設けられた物流センタ120、及び、農家100と物流センタ120との間に設けられた図示しない農産物2の加工工場である。なお、このアクセスポイントAPは、上記の場所に限られるものではなく、例えば、市場等のその他の場所をアクセスポイントAPとしてもよい。
【0017】
データセンタ10は、図2に示すように、温度履歴データベース部11、関係者情報データベース部12、情報処理部13、伝達指示発信部14、回収指示発信部15を備えており、その設置場所が特に限定されないものである。
温度履歴データベース部11は、アクセスポイントAPに設置されたICタグリーダ20と、例えば、インターネット等の電気通信回線網により接続されており、ICタグリーダ20が読み取った農産物2の温度履歴データとICタグのユニークIDとを関連付けて保管するようになっている。
【0018】
関係者情報データベース部12は、農産物2の関係者の電子メールの宛先(アドレス)を含む関係者情報とICタグ3のユニークIDとを関連付けて保管している。これらの関係者情報は、農家100やその組合等とデータセンタ10との間において本システムを使用する契約が交わされ、データセンタ10からICタグ3が農家100に配布(販売)された後に、本システムの運用に先立って予め登録されるものである。
ここで、本明細書における「農産物の関係者」とは、農産物2を生産する農家100、その組合、この農産物2を加工する加工工場、販売店舗110、物流センタ120等に備えられ、電気通信回線網に接続可能なパーソナルコンピュータ及び携帯電話、ファクシミリ装置、その他これらに類する通信端末装置を意味するものであり、「農産物の関係者に伝達する」とは、関係者の通信端末装置に、例えば、電子メール等を送信することを意味する。
【0019】
情報処理部13は、流通経路の最下流部である販売店舗110のICタグリーダ20から温度履歴データベース部11に出力があった場合に、その出力信号に含まれるICタグ3のユニークIDに基づいて、関係者情報データベース部12を参照して、このICタグ3に記録された温度履歴データが伝達されるべき関係者を判断する部分である。
伝達指示発信部14は、情報処理部13の出力に応じて、関係者に対して該当する温度履歴データの伝達を行うようにインターネット等の電気通信回線網を介して電子メールの送信が可能な図示しない端末機器に指示を発する部分である。
この端末機器が送信する電子メールは、温度履歴データベース部11における農産物2の温度履歴データの保管場所を表すURL(Uniform Resource Locator)を含んでおり、関係者の携帯電話Cに対して送信される。また、このURLは、温度履歴データベース部11の温度履歴データにリンクされており、関係者は、温度履歴データに容易にアクセスできるようになっている。
【0020】
回収指示発信部15は、伝達指示発信部14と同様に情報処理部13の出力に応じて予め登録された運送会社16に対して販売店舗110からICタグ3を回収して農家100に返送するように依頼する部分である。この依頼は、ファクシミリによって行われ、回収指示発信部15は、外部に設けられたファクシミリ装置に対して指示を発する。なお、この回収依頼は、ファクシミリの他にも、例えば、電子メール等によって行ってもよい。
【0021】
以下、この農産物温度管理システム1の運用手順をフローチャートを使用して説明する。
図4は、農産物温度管理システムの運用手順を示すフローチャートである。以下、ステップ毎に説明する。
(ステップS01:関係者情報登録)
本システムを運用するに際して、データセンタ10は、まず農家100、加工工場、販売店舗110、及び、物流センタ120等の農産物2の関係者情報をICタグ3のユニークIDに関連付けて関係者情報データベース部12に登録する。この関係者情報には、前述のように関係者の電子メールの宛先が含まれており、関係者情報データベース部12は、ICタグ3のユニークIDを含む信号が入力されると、このICタグ3の所有者の電子メールの宛先を含む信号を出力する。
【0022】
(ステップS02:温度測定開始)
次いで、農家100は、携帯電話Cの画面に表示される操作メニューからデータセンタ10に向けて温度測定を開始する旨の信号を発信する。
図5は、農家の携帯電話の画面であって、操作メニューを示す図である。
画面の上部には、プルダウンメニューが表示される。農家100から販売店舗に発送される農産物2は、通常、複数のケース4からなり、これらのケース4には、個別にICタグ3が貼付され、それぞれに、例えば、「No.1」、「No.2」等のケース番号が割り当てられている。農家100は、前述のプルダウンメニューから温度測定を開始するケース4の番号(例えば、「No.1」)を選択する。
プルダウンメニューに隣接した領域には、「記録開始」と示されたボタン状の画像が表示されており、農家10は、このボタン状の画像に対して入力操作を行うことによってデータセンタ10に温度測定を開始する旨の信号を発信する。
また、このプルダウンメニューの下方には、発送した農産物2についてのデータ(例えば、発送開始時間等)を確認できるようにデータセンタ10の温度履歴データベース部11にリンクされたリンク表示が設けられている。
【0023】
(ステップS03:農産物の輸送)
農産物2は、次のアクセスポイントAPに向けて輸送される。具体的には、農家100から加工工場、加工工場から物流センタ120、物流センタ120から販売店舗110に向けて輸送され、アクセスポイントAPに到着するとステップS04に進む。
(ステップS04:アクセスポイントAP判定)
農産物2がアクセスポイントAPに到着すると、アクセスポイントAPに備えられたICタグリーダ20が農産物2に備えられたICタグ3と通信を行い、ICタグ3が保持している輸送中の農産物2の温度履歴データをそのユニークIDとともにデータセンタ10の温度履歴データベース部11に送信する。
ここで、ICタグリーダ20からの出力信号が物流センタ120等の販売店舗110以外のアクセスポイントAPに備えられたICタグリーダ20からの出力である場合には、ステップS03に戻り、農産物2は、次のアクセスポイントAPに向けて輸送され、ICタグ3は、さらに温度履歴の記録を続ける。一方、出力信号が販売店舗110のICタグリーダ20から出力されたものである場合には、温度履歴データの蓄積を終了し、ステップS05に進む。
【0024】
(ステップS05:関係者の判断)
情報処理部13は、販売店舗110のICタグリーダ20からの出力に応じて、温度履歴データベース部11を参照してこの農産物2に貼付されたICタグ3のユニークIDを取得するとともに、このユニークIDに関連する農産物2の関係者を関係者情報データベース部12を参照して判断する。
(ステップS06:温度履歴伝達)
伝達指示発信部14は、端末機器に対して前述した温度履歴データベース部11における温度履歴データのURLを含む電子メールを関係者の携帯電話Cに向けて送信するように指示を発する。これにより、関係者は、温度履歴データベース部11にアクセス可能となり、農家100から販売店舗110に輸送された農産物2の流通過程の温度履歴データが関係者に伝達される。
【0025】
図6は、関係者に送信される電子メールを示す図であり、(a)は、着信画面、(b)は、時間毎の温度履歴、(c)は、グラフの選択画面、(d)は、折れ線グラフをそれぞれ示している。
図6(a)に示すように、携帯電話Cの着信画面には温度履歴データベース部11の温度履歴データベース部11にリンクされたURLが表示されており、関係者は、このURLに対して入力操作を行うことによって、データセンタ10の温度履歴データベース部11に案内される。
図6(b)は、温度履歴データベース部11が保持している温度履歴データの一部であって、ある時間におけるICタグ3の測定温度を示している。図6(b)によれば、例えば、0時07分には、農産物2が6.8℃の温度環境下にあったことが分かる。また、この表示は、予め設定された管理基準温度より高い場合は、温度を示す文字が通常とは異なった色によって表示されるようになっている(例えば、通常時には黒色、異常時には赤色とされる)。
【0026】
また、この画面の上部には、「グラフ」と表示された領域が設けられている。関係者は、この「グラフ」と表示された領域に対して入力操作を行うことによって、図6(c)に示すグラフの選択画面に移動することができる。
図6(c)に示すように、関係者は、流通過程の全体の温度履歴及びアクセスポイントAP間ごとの温度履歴の、例えば、4種類のグラフを閲覧することができ、「全体グラフ」と表示された領域を選択すれば、農家100から販売店舗110までの温度履歴のグラフを閲覧することができる。また、例えば、「加工−物流」と表示された領域を選択すれば、加工工場から物流センタ120までの温度履歴のグラフを閲覧することができる。
図6(d)に示すように、グラフは、一方の軸に温度、他方の軸に時間をとって表示された折れ線グラフであり、温度履歴を一覧できるようになっている。
【0027】
(ステップS07:ICタグ回収指示)
農産物2が販売店舗110に到着した後、ケース4に貼付されたICタグ3は、ケース4から剥がされ、販売店舗110がひとまとめにして保管する。
データセンタ10の回収指示発信部15は、運送会社16に向けてICタグ3の回収の依頼を送信するようにファクシミリ装置に対し指示を発し、これによって、運送会社16が販売店舗110にICタグ3の回収に来る。ICタグ3は、運送業者によって農家100に輸送され、次回の農産物の温度管理に使用される。
【0028】
以上説明したように、本実施例の農産物温度管理システムによれば、以下の効果を得ることができる。
(1)農産物2が販売店舗110に到着すると、温度履歴データベース部11であってこの農産物2の温度履歴データが保管された部分へのアクセスが可能なリンク表示が含まれた電子メールが関係者に対して自動的に送信されるから、関係者への温度履歴データの伝達を確実に行うことができる。
これによって、この農作物2の関係者は、販売店舗110に到着した農産物2に腐敗等のトラブルが発生していた場合に、その原因の究明及び対処を的確に行うことができる。例えば、図6(d)に示されるグラフから、18時00分前後の測定温度が20℃を超えていることが分る。農作物2がこの時間帯にどこに保管されていたかは、図6(c)に示すグラフ選択画面からグラフの表示領域を変更させれば容易に判明するので、このトラブルに関係する関係者を容易に特定でき、原因の究明及び対処を的確に行うことができる。したがって、農作物2の歩留まりを改善することができる。
(2)ICタグ3の回収依頼書がファクシミリによって運送業者に自動的に送信され、運送会社16がICタグ3の回収に来るので、ICタグ3の返送作業が容易であり、かつ、ICタグ3の再利用を確実に行うことができる。
【0029】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
(1)実施例において、温度管理の対象となる物品は、農作物であったが、これに限らず、例えば、水産物、畜産物であってもよく、これらは冷凍食品等の加工品であってもよい。
(2)実施例は、電子メールを販売店舗に到着した場合にのみ関係者に送信していたが、これに限らず、各アクセスポイントに到着する毎に関係者に送信してもよい。
(3)実施例は、温度履歴データベース部にリンクされたURLを表示して温度履歴データを伝達していたが、温度履歴の伝達方法はこれに限らず、例えば、温度履歴データにリンクされた記号やボタン状の画像等を電子メールに表示してもよい。また、温度履歴データにリンクされていないURLを伝達してもよく、この場合であっても関係者は、このURLに基づいて温度履歴データにアクセスできる。
(4)実施例は、電子メールを関係者の携帯電話に向けて送信していたが、インターネット等の電気通信回線網に接続されたパーソナルコンピュータ等に送信してもよい。
(5)実施例は、温度履歴データにアクセス可能なリンク表示を含む電子メールを送信したが、これに限らず、温度履歴データ自体を送信してもよい。また、温度履歴データ自体は、ファクシミリ等によって送信してもよい。
(6)実施例のICタグは、カード型であったが、温度センサを備えていれば、その形状は特に限定されない。また、実施例のICタグの温度の測定間隔は、10分毎であったが、これも特に限定されず、その他の間隔で測定してもよい。
(7)実施例において、ICタグは、農産物を収容したケースに貼付したが、これに限らず、農産物を収容した袋に個別に貼付してもよい。
(8)ICタグの貼付位置は、実施例に示すものに限定されず、例えば、ケースのうち、最も温度が上昇する傾向のある部分を実験によって調査しておき、その部分に貼付するとよい。また、例えば、ケースの上面部の中央部分、外側面部、内側面部、内底面部等の複数箇所に貼付してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施例の農産物温度管理システムの構成を示す概略図である。
【図2】図1の農産物温度管理システムの構成を示すブロック図である。
【図3】ケースに収容された状態の農産物を示す図である。
【図4】農産物温度管理システムの運用手順を示すフローチャートである。
【図5】農家の携帯電話の画面であって、操作メニューを示す図である。
【図6】関係者に送信される電子メールを示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 農産物温度管理システム
2 農産物
3 温度センサ付きのICタグ
10 データセンタ
11 温度履歴データベース部
12 関係者情報データベース部
13 情報処理部
14 伝達指示発信部
20 ICタグリーダ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度を測定及び記録する温度センサ付きのICタグを物品に添付してこの物品の流通過程における温度履歴を管理する物品温度管理システムにおいて、
前記ICタグの保持する情報を読み取るICタグ読取装置からの出力に基づいて前記ICタグの個体識別情報及び前記物品の温度履歴を保持する温度履歴データベース部と、
前記ICタグの個体識別情報に関連付けられた前記物品の関係者に関する情報を保持する関係者情報データベース部と、
前記温度履歴データベース部及び前記関係者情報データベース部を参照して前記温度履歴を伝達する関係者を判断する情報処理部と、
前記情報処理部の出力に応じて前記関係者に対して前記温度履歴の伝達を行う指示を通信装置に発する指示発信部とを備えること
を特徴とする物品温度管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の物品温度管理システムにおいて、
前記通信装置は、電気通信回線網を介して前記関係者に電子メールを送信する端末機器であり、
前記電子メールは、前記温度履歴データベース部における前記物品の温度履歴の保管場所に関する情報を含むこと
を特徴とする物品温度管理システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の物品温度管理システムにおいて、
前記ICタグ読取装置は、前記物品の流通経路の上流側から下流側にかけて複数設けられ、
前記指示発信部は、前記複数のICタグ読取装置のうち最も下流側のものが前記ICタグと通信を行った場合に前記指示を発すること
を特徴とする物品温度管理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−210691(P2007−210691A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29472(P2006−29472)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(591087264)イオン株式会社 (4)