説明

物品表面の藻類発生抑制剤及び藻類発生抑制処理方法

【課題】メンテナンスが容易或いは不要な汎用性が高く且つ安価な藻類発生抑制剤と藻類発生抑制方法を提供する。
【解決手段】物品の表面における藻類の発生を抑制する藻類発生抑制剤であって、
(a)一般式(1)


(式中、R1は炭素原子数6以上の炭化水素基を示し、R2およびR3は同一または異なっていてもよい低級炭化水素基を示し、R4は二価の低級炭化水素基を示し、R5、R6およびR7は同一または異なっていてもよい低級アルキル基または低級アルコシ基を示し、Xはハロゲンイオンまたは有機カルボキニルオキシイオンを示す)で表されるケイ素含有化合物を、
(b)陽イオン界面活性剤(ただし、前記ケイ素化合物を除く)(b1)、非イオン界面活性剤(b2)および両イオン界面活性剤(b3)からなる群から選ばれた少なくとも1種の界面活性剤によって、
水中に均一に分散させてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品表面の藻類発生抑制剤と抑制方法に関し、特に水槽、貯水槽、空調設備や浴槽循環系統の配管といった物品表面の藻類の発生を抑制するために使用する藻類発生抑制剤と藻類発生抑制処理方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に藻類発生についての問題としては、例えば、鑑賞魚用水槽、貯水槽、浴槽の循環系統の配管などでは、通常の使用により、水と接触する面に藻類が発生することがあって、飼育する魚の健康状態に悪影響を及ぼしたり、水質悪化を招いたり、衛生上問題となることがある。特に、近年流行の大型水槽による巨大観察用透明壁を設けた水族館においては、透明壁への藻類の発生は観察を妨げるため、営業上も問題である。更に、空調設備において、冷却水温度を低下させるための冷却板においても、冷却板表面に発生した水滴により藻類が発生し、冷却効率が低下する問題もある。また、船底に発生する藻類は、船速を低下させるため燃費の低下を招くため、定期的にドック入りして藻類除去等のメンテナンスが要求され、船艇の稼働率の低下やメンテナンス費用が生じる等の問題もある。
【0003】
これらの問題に対し、水を電気分解して銅イオンや銀イオンを溶解させたイオン水を生成させ該金属イオンによる殺藻及び藻類発生を抑制する方法が事業化されており、これら金属イオンを含むイオン水も殺藻剤として市販されている。また、船底塗料には、亜鉛その他の殺藻機能やフジツボ等の牡蠣類の付着防止機能を有する金属イオンを配合した塗料が使用されていたが、環境の悪化を招く問題もあり、銀イオン溶出させる塗料に替わってきている。更に、汎用的な水中微生物の低減方法として抗菌性第4級アンモニウム有機シランをコーティングする方法も提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特表2007−502328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電解金属イオン水を用いる方法は、電気分解設備が必要であり、常時設備のンテナンスが必要となる問題を有しており、銀イオンを有する船底塗料の場合にも、銀イオンを常時溶出し続ける必要があるが、これには多量の塗料の塗布が必要となり、現実的ではないので、長期安定性は期待し難い。更に、特許文献1に記載の抗菌性有機シランを用いる方法は、該有機シランを対象物表面に化学的反応で結合させるものであるから、一旦コーティングさせれば物理的に表面層を剥離しない限り有効に作用する点で従来方とは基本的に異なっている。しかしながら、特許文献1の方法では、42%の高濃度の有機シランを脱イオン水で希釈して使用しているが、係る有機シランは不安定な化合物であり、水による希釈が容易ではなく、希釈中に該有機シランのポリマーが生成して白濁化するため任意の低濃度までの希釈が極めて困難であると共に、希釈された溶液も不安定であり、比較的短時間で白濁化して抗菌剤としての機能が著しく低下する問題がある。
【0005】
本発明は、係る従来技術に鑑み、メンテナンスが容易或いは不要な汎用性が高く且つ安価な藻類発生抑制剤と藻類発生抑制方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の抗菌性能を有する有機シラン化合物を物品の表面に塗布することによって、物品表面の水に接する部分の藻類の発生を長期にわたって効果的にかつ簡便に抑制できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0007】
すなわち、本発明の藻類発生抑制剤は、物品の表面における藻類の発生を抑制する藻類発生抑制剤であって、
(a)一般式(1)
【化1】

(式中、R1は炭素原子数6以上の炭化水素基を示し、R2およびR3は同一または異なっていてもよい低級炭化水素基を示し、R4は二価の低級炭化水素基を示し、R5、R6およびR7は同一または異なっていてもよい低級アルキル基または低級アルコシ基を示し、Xはハロゲンイオンまたは有機カルボキニルオキシイオンを示す)で表されるケイ素含有化合物を、
(b)陽イオン界面活性剤(ただし、前記ケイ素化合物を除く)(b1)、非イオン界面活性剤(b2)および両イオン界面活性剤(b3)からなる群から選ばれた少なくとも1種の界面活性剤によって、
水中に均一に分散させてなることを特徴とする。
【0008】
本発明の藻類発生抑制剤の他の好適例において、前記一般式(1)で表されるケイ素含有化合物(a)のR1は炭素原子数10〜25のアルキル基を示し、R2およびR3は同一または異なっていてもよい炭素原子数1ないし6の低級アルキル基を示し、R4は炭素原子数1ないし6の低級アルキレン基を示し、R5、R6およびR7は同一または異なっていてもよい炭素原子数1ないし6の低級アルキル基またはアルコシ基を示し、Xはハロゲンイオンまたは有機カルボキニルオキシイオンであることを特徴とする。
【0009】
本発明の藻類発生抑制剤の他の好適例において、前記一般式(1)で表されるケイ素含有化合物(a)が、オクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニムクロライド、オクタデシルジエチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(2−トリメチルシリルエチル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジプロピル(4−トリメトキシシリルブチル)アンモニムアセテート、オクタデシルジメチル(3−トリエトキシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(3−トリイソプロポキシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(3−トリエチルシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(3−トリイソプロピルシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、ヘプタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘプタデシルジイソプロピル(2−トリエトキシシリルエチル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニムクロライド、ヘキサデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニムアセテートおよびペンタサデシルジメチル(3−トリエトキシシリルプロピル)アンモニムクロライドからなる群から選ばれた少なくとも1種のケイ素含有化合物であることを特徴とする。これらの中でも、オクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライドが好ましい。
【0010】
本発明の藻類発生抑制剤の他の好適例において、前記陽イオン界面活性剤(b1)が、下記一般式(2)
【化2】

(式中、R11は炭素原子数6以上の炭化水素基を示し、R12、R13およびR14は同一でも異なってもよい低級炭化水素基を示し、Yはハロゲンイオンまたは有機カルボニルオキシイオンを示す)で表されるで表される陽イオン界面活性剤(b11)であることを特徴とする。
【0011】
本発明の藻類発生抑制剤の他の好適例において、前記一般式(2)で表される前記陽イオン界面活性剤(b11)のR11は炭素原子数10〜25のアルキル基を示し、R12、R13およびR14は同一または異なっていてもよい炭素原子数1ないし6の低級アルキル基を示し、Yがハロゲンイオンまたは有機カルボニルオキシイオンであることを特徴とする。
【0012】
本発明の藻類発生抑制剤の他の好適例において、前記陽イオン界面活性剤(b11)がデシルトリメチルアンモニウムクロライド、デシルトリエチルアンモニウムアセテート、ドデシルトリメチルアンモニウムアセテート、ドデシルトリイソプロピルアンモニウムブロマイド、トリデシルトリエチルアンモニウムプロマイド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライド、ペンタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ペンタデシルトリエチルアンモニウムクロライド、ペンタデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリエチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライドおよびオクタデシルトリエチルアンモニウムクロライドおよびオクタデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライドからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする。これらの中でも、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドが好ましい。
【0013】
本発明の藻類発生抑制剤の他の好適例において、前記陽イオン界面活性剤(b1)が、N−ココイル−アルギニンエチルエステルピリドンカルボン酸塩(b12)であることを特徴とする。
【0014】
本発明の藻類発生抑制剤の他の好適例において、前記非イオン界面活性剤(b2)が、ポリオキシエチレン単位および/またはポリオキシプロピレン単位を含有するポリオキシアルキレングリコールのアルキルエーテルまたは脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸アミド、アルキルエーテル、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1種の非イオン系界面活性剤であることを特徴とする。これらの中でも、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートが好ましい。
【0015】
本発明の藻類発生抑制剤の他の好適例において、前記両イオン界面活性剤(b3)は、ベタイン系およびアミンオキサイド系からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする。これらの中でも、ラウラミドプロピルジメチルアミンオキサイドが好ましい。
【0016】
本発明の藻類発生抑制剤の他の好適例において、前記ケイ素含有化合物(a)としてオクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、および前記陽イオン界面活性剤(b1)としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドを含有することを特徴とする。
【0017】
本発明の藻類発生抑制剤の他の好適例において、前記ケイ素含有化合物(a)としてオクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、および前記非イオン界面活性剤(b2)としてポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含有することを特徴とする。
【0018】
本発明の藻類発生抑制剤の他の好適例において、前記ケイ素含有化合物(a)としてオクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、および前記両イオン界面活性剤(b3)としてラウラミドプロピルジメチルアミンオキサイドを含有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の藻類発生抑制処理方法は、物品の表面における藻類の発生を抑制するための処理方法であって、上記藻類発生抑制剤を該物品の表面に塗布することを特徴とする。
【0020】
本発明の藻類発生抑制処理方法の好適例において、前記物品の表面に前記藻類発生抑制剤を塗布する前に、該物品の表面をオゾン水、プラズマ又は電磁波照射の処理をする工程を含むことを特徴とする。
【0021】
本発明の藻類発生抑制処理方法の他の好適例において、前記物品の表面に前記藻類発生抑制剤を塗布した後に、該藻類発生抑制剤が該物品の表面に液状で存在する状態で、電磁波の照射処理をすることを特徴とする。
【0022】
本発明の藻類発生抑制処理方法の他の好適例において、前記物品が、水槽、貯水槽、空調設備、冷却水の給排水配管、又は浴槽の循環系統の配管であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、メンテナンスが容易或いは不要な汎用性が高く且つ安価な藻類発生抑制剤と藻類発生抑制処理方法を提供できるという有利な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の藻類発生抑制剤は、物品の表面における藻類の発生を抑制する藻類発生抑制剤であって、
(a)一般式(1)
【化3】

(式中、R1は炭素原子数6以上の炭化水素基を示し、R2およびR3は同一または異なっていてもよい低級炭化水素基を示し、R4は二価の低級炭化水素基を示し、R5、R6およびR7は同一または異なっていてもよい低級アルキル基または低級アルコシ基を示し、Xはハロゲンイオンまたは有機カルボキニルオキシイオンを示す)で表されるケイ素含有化合物を、
(b)陽イオン界面活性剤(ただし、前記ケイ素化合物を除く)(b1)、非イオン界面活性剤(b2)および両イオン界面活性剤(b3)からなる群から選ばれた少なくとも1種の界面活性剤によって、
水中に均一に分散させてなることを特徴とする。前記ケイ素含有化合物を上記界面活性剤によって水中に均一に分散させた藻類発生抑制剤を物品の表面に塗布することによって、上記ケイ素含有化合物の膜が該物品の表面に効果的に被覆される結果、塗布した物品の表面が長期にわたって水と接触していても、その表面や接触している水において藻類が発生するのを抑制することができ、そのためメンテナンスが容易又は不要となる。また、上記ケイ素含有化合物の膜が物品表面に存在していても、魚やヒトなどの動物に対して悪影響を及ぼすことがないため、安全性が高い。また、本発明の藻類発生抑制剤は安価に製造することができ、藻類発生抑制効果が高く、1回の塗布で藻類発生抑制効果が長期間にわたって持続するため、従来と比べてコストを減らすことができる。
【0025】
本発明の藻類発生抑制剤の構成成分について、以下に詳細に説明する。本発明の藻類発生抑制剤に含まれる抗菌成分であるケイ素含有化合物(a)は一般式(1)
【化4】

(式中、R1は炭素原子数6以上の炭化水素基を示し、R2およびR3は同一または異なっていてもよい低級炭化水素基を示し、R4は二価の低級炭化水素基を示し、R5、R6およびR7は同一または異なっていてもよい低級アルキル基または低級アルコキシ基を示し、Xはハロゲンイオンまたは有機カルボニルオキシイオン(有機カルボン酸イオン)を示す。)で表されるケイ素含有化合物である。本発明の藻類発生抑制剤は、上記一般式(1)で表されるケイ素含有化合物を一種又は複数種含んでもよい。
【0026】
さらに、上記一般式(1)で表されるケイ素含有化合物(a)のうちで、好ましい態様は、上記一般式(1)のR1は炭素原子数10ないし25のアルキル基を示し、R2およびR3は同一または異なっていてもよい炭素原子数1ないし6の低級アルキル基を示し、R4は炭素原子数1ないし6の低級アルキレン基を示し、R5、R6およびR7は同一または異なっていてもよい炭素原子数1ないし6の低級アルキル基または低級アルコシ基を示し、Xはハロゲンイオンまたは有機カルボニルオキシイオン(有機カルボン酸イオン)であるケイ素含有化合物である。
【0027】
R1の炭素原子数6以上の炭化水素基としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ウンエイコシル基、ドエイコシル基、トリエイコシル基、テトラエイコシル基、ペンタエイコシル基などが例示できる。
【0028】
R2およびR3の同一または異なっていてもよい低級炭化水素基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロヘクシル基、フェニル基、トリル基などを例示することができる。
【0029】
R4の低級アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基などを例示できる。
【0030】
R5、R6およびR7は同一または異なっていてもよい低級アルキル基または低級アルコシ基であり、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、へキシルオキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基などを例示できる。
【0031】
Xとしては塩素イオン、臭素イオンなどのハロゲンイオン、メチルカルボニルオキシイオン(アセテートイオン)、エチルカルボニルオキシイオン(プロピオネートイオン)、フェニルカルボニルオキシイオン(ベンゾエートイオン)などの有機カルボニルオキシイオン(有機カルボン酸イオン)を例示することができる。
【0032】
ケイ素含有化合物(a)として具体的には、次の化合物を例示することができる。オクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニムクロライド、オクタデシルジエチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(2−トリメチルシリルエチル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジプロピル(4−トリメトキシシリルブチル)アンモニムアセテート、オクタデシルジメチル(3−トリエトキシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(3−トリイソプロポキシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(3−トリエチルシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(3−トリイソプロピルシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、ヘプタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘプタデシルジイソプロピル(2−トリエトキシシリルエチル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニムクロライド、ヘキサデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニムアセテート、ペンタサデシルジメチル(3−トリエトキシシリルプロピル)アンモニムクロライド。
【0033】
本発明の藻類発生抑制剤は、上記ケイ素含有化合物の他にも、陽イオン界面活性剤(ただし、上記ケイ素含有化合物を除く)(b1)、非イオン界面活性剤(b2)および両イオン界面活性剤(b3)からなる群から選ばれた少なくとも1種の界面活性剤を含有する。
【0034】
上記陽イオン界面活性剤(b)は、下記一般式(2)で表される陽イオン界面活性剤であり、ただし、上記ケイ素化合物(a)を除く陽イオン界面活性剤(b11)である。
【0035】
【化5】

【0036】
(式中、R11は炭素原子数6以上の炭化水素基を示し、R12、R13およびR14は同一でも異なってもよい低級炭化水素基を示す。)で表される陽イオン界面活性剤(b11)またはN−ココイル−アルギニンエチルエステルピリドンカルボン酸塩(12)であることが好ましい。
【0037】
さらに、上記一般式(2)で表される陽イオン界面活性剤(b11)のうちでは、R11は炭素原子数10ないし25のアルキル基を示し、R12、R13およびR14は同一または異なっていてもよい炭素原子数1ないし6の低級アルキル基を示し、Yがハロゲンイオンまたは有機カルボニルオキシイオン(有機カルボン酸イオン)であることが好ましい。
【0038】
上記一般式(2)で表される陽イオン界面活性剤(b11)の炭素原子数6以上の炭化水素基R11としては、上記ケイ素含有化合物(a)の一般式(1)のR1として例示した炭素原子数6以上の炭化水素基を同様に例示することができる。
【0039】
上記一般式(2)で表される陽イオン界面活性剤(b11)のR12、R13およびR14としては、上記ケイ素含有化合物(a)の一般式(1)のR2およびR3として例示した低級炭化水素基を同様に例示することができる。
【0040】
上記一般式(2)で表される陽イオン界面活性剤(b11)として具体的には、次の化合物を例示することができる。すなわち、デシルトリメチルアンモニウムクロライド、デシルトリエチルアンモニウムアセテート、ドデシルトリメチルアンモニウムアセテート、ドデシルトリイソプロピルアンモニウムブロマイド、トリデシルトリエチルアンモニウムプロマイド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライド、ペンタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ペンタデシルトリエチルアンモニウムクロライド、ペンタデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリエチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリエチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライドなどを挙げることができ、とりわけヘキサデシルトリメチルアンモニウムは最も好適である。
【0041】
上記非イオン界面活性剤(b2)は、ポリオキシエチレン単位または/ポリオキシプロピレン単位を含有するポリオキシアルキレングリコールのアルキルエーテルまたは脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸アミド、アルキルエーテル、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1種の非イオン系界面活性剤である。
【0042】
上記非イオン系界面活性剤(b2)として具体的には、ポリエチレングリコールのモノアルキルエーテル、ポリオキシエチレン単位とポリオキシプロピレン単位の両方を含有するポリアルキレングリコールのモノアルキルエーテル、ソルビタンラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸アミド、アルキルエーテル、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1種の非イオン系界面活性剤を例示できる。
【0043】
より詳細には、非イオン性界面活性剤としては、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンセスキイソステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;グリセリンモノオレート、グリセリンモノイソステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ジグリセリルモノオレート、デカグリセリルジイソステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビットモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビットテトラオレート等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリルモノオレート、ポリオキシエチレングリセリルモノオレート等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンモノイソステアレート、ポリオキシエチレンモノオレート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンジイソステアレート、ポリオキシエチレンジイソステアレート等のポリエチレングリコールジ脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(10E.O.)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられる。これらの中でもとりわけポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートは最も好適である。
【0044】
上記両イオン界面活性剤(b3)としては、ベタイン系、アミンオキサイド系からなる群から選ばれた少なくとも1種がある。
【0045】
具体的には、ベタイン系両イオン界面活性剤としては、例えば、ココ脂肪酸アミドプロピルカルボキシベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イミダゾリウムベタインなどが挙げられる。これらの中でも、溶液中の抗菌成分である上記ケイ素含有化合物の安定性の観点から、ココ脂肪酸アミドプロピルカルボキシベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインが好ましい。
【0046】
アミンオキサイド系両イオン界面活性剤としては、例えば、ラウラミドプロピルジメチルアミンオキサイド、ラウリルジメチルアミンオキサイドなどが挙げられる。これらの中でも、溶液中の抗菌成分である上記ケイ素含有化合物の安定性の観点から、ラウラミドプロピルジメチルアミンオキサイドが好ましい。特に、上述したベタイン系及びアミンオキサイド系両イオン界面活性剤の中でも、溶液中での上記ケイ素含有化合物の長期間の安定性の観点から、ラウラミドプロピルジメチルアミンオキサイドが好ましい。
【0047】
本発明の藻類発生抑制剤の溶媒としては、通常水溶液が採用されるが、上記ケイ素含有化合物(a)、陽イオン界面活性剤(b1)および/または非イオン界面活性剤(b2)および/または両イオン界面活性剤(b3)が溶解する限り、水とメタノール、エタノール、プロパノール、アセトンなどの親水性溶媒との混合溶媒として使用することができる。
【0048】
本発明の藻類発生抑制剤中のケイ素含有化合物(a)の含有量は通常0.01〜40容量%、好ましくは0.1〜10容量%であり、界面活性剤(b)の含有量は通常0.007〜20容量%であり、好ましくは0.05〜10容量%であり、藻類発生抑制作用およびその持続性を充分に発揮するにはこの範囲にあることが好ましい。
【0049】
また、本発明の藻類発生抑制処理方法は、物品の表面における藻類の発生を抑制するための処理方法であって、上記の本発明の藻類発生抑制剤を該物品の表面に塗布することを特徴とする。本発明の方法では、物品表面に本発明の藻類発生抑制剤を塗布するだけで物品表面の藻類の発生を安全かつ長期にわたって抑制することができ、特別な化学反応の条件等が必要ではないので、簡便に本発明の方法を実施して、効果を得ることができる。
【0050】
なお、上記ケイ素含有化合物はガラス、セラミックス等の材料への結合性は高いものの、プラスチック等の合成樹脂への結合性はあまり高くないことから、物品が合成樹脂からなる場合、物品を予めオゾン水、プラズマ又は電磁波照射の処理をした後、該処理された物品の表面に本発明の藻類発生抑制剤を塗布するか、又は先に前記藻類発生抑制剤を塗布し、次いで該藻類発生抑制剤が該物品の表面に液状で存在する状態で、電磁波照射の処理をすることが好ましい。このような前処理又は後処理を行うことによって、特に合成樹脂からなる物品の表面に上記藻類発生抑制剤に含まれる上記ケイ素含有化合物が結合しやすくなり、物品の表面に上記ケイ素含有化合物の膜がより良好に形成され、より効果的に物品表面における藻類の発生を抑制することができる。
【0051】
上記オゾン水による処理は、特に制限されないが、例えば適宜濃度を調整したオゾン水に物品を浸漬するか、又は物品にオゾン水を噴霧するか、もしくは塗布するなどして物品の表面をオゾン水に接触させることによって行うことができる。オゾン水による処理時間は、使用するオゾン水の濃度によって適宜変更することができ、例えば、オゾンの濃度が0.4〜0.6ppmである場合、約5分間処理をすればよく、通常の数ppmの濃度のオゾン水の場合、約1分間処理すれば、本発明の藻類発生抑制剤によって効果的にケイ素含有化合物の膜が物品表面に形成されて、物品表面の藻類の発生を充分に抑制することができる。
【0052】
上記プラズマによる処理は、特に制限されないが、従来公知のプラズマ処理方法を用いて行うことができる。中でも、操作が容易で、処理効率が良く、市販の処理装置を使用できるという観点から、大気圧プラズマ処理方法が好ましい。大気圧プラズマ処理方法では、雰囲気ガスは大気であり、プラズマ処理装置に供給される作動ガスとしては空気が用いられるが、これらに限定されるものではなく、例えばアルゴン、ヘリウム、ネオンなどの不活性ガス、窒素ガスまたは酸素ガスを使用してもよい。
【0053】
プラズマ処理に用いる装置としては、市販の大気圧プラズマ処理装置を用いることができ、例えば、メイワフォーシス社製 SEDEプラズマソフトエッチャーが挙げられる。プラズマ照射の出力としては、1〜18Wと低出力で充分であり、この場合、処理時間は1分以上が好ましく、3分以上がより好ましいが、50W以上の高出力のものであれば、30秒以内の処理時間で充分な効果が得られる。また、工業用の数百〜数十キロワットの出力の装置も本発明におけるプラズマ処理に使用してもよい。
【0054】
上記のような方法によって物品をオゾン水又はプラズマで処理すると、ラジカルが発生し、物品の表面に含酸素官能基が生成して、上記藻類発生抑制剤中のケイ素含有化合物との反応性が向上することで、効果的にケイ素含有化合物の膜が物品表面に形成されて、未処理の場合と比較して、物品表面の藻類の発生をより抑制し得ることが考えられる。
【0055】
また、上記電磁波照射処理は、特に制限されないが、電子レンジ内に物品を設置し、該電子レンジによりマイクロ波を照射することによって行うことができる。ここで、電子レンジとは、「高周波の電磁波を当てて食品を加熱する調理用装置」であり、一般的に2450MHzの波長のマイクロ波を照射して、食品を加熱する装置全般を含む。また、マイクロ波の照射方法としては、バッチ式、連続式のいずれの方法を用いてもよい。本発明に用いることができる電子レンジとしては、例えば、家庭用の電子レンジ、出力の高い業務用電子レンジ、工業用マイクロ波加速装置等を挙げることができる。なお、電子レンジの出力と処理時間について、上記藻類発生抑制剤の塗布を行う前には、出力700Wで30秒間処理することによって充分な効果を得ることができ、上記藻類発生抑制剤の塗布を行った後では、700Wでは20秒間、500Wでは30秒間で充分な効果を得ることができる。
【0056】
上述したオゾン水処理、プラズマ処理、電磁波照射処理のいずれを用いても本発明の効果が得られるが、オゾン水処理であれば、物品が大型のものでも容易に処理を行うことができ、物品を工場のラインで製造し、本発明の方法を用いて物品に藻類発生抑制処理を施す際に、ラインに組み込みやすい。電磁波照射処理の場合には、家庭用電子レンジでも本発明の効果が得られることから、家庭にて容易に本発明の方法を実施可能であるという利点がある。
【0057】
物品表面への上記藻類発生抑制剤の塗布は、刷毛や布等を使用して行うことができ、特に制限されない。なお、上記藻類発生抑制剤の塗布を行った後に、必要に応じて水洗するなどして物品の表面から余剰な藻類発生抑制剤を除去してもよく、上記藻類発生抑制剤の塗布を行った後に電磁波照射処理する場合には、電磁波照射処理の後に藻類発生抑制剤の除去を行うことができる。
【0058】
本発明の藻類発生抑制処理方法において、対象となる物品としては、鑑賞魚等の飼育用の水槽、水族館の水槽、プール、貯水槽、空調設備、特に冷却版、冷却水の給排水配管、浴槽の循環系統の配管、船艇、鉢植え、コンクリートやブロックなどの外構用材料・資材 など水と接触し、藻類が発生することによって、不利益を被るあるいは外観を損なう広範囲にわたる物品など水と接触し、藻類が発生することによって、不利益を被る広範囲にわたる物品を挙げることができる。物品を構成する材料は特に限定されず、本発明の方法によれば、ガラス、陶器、セラミックス、金属、合成樹脂等、様々な材料であっても、物品の表面の水と接する部分における藻類の発生を安全に長期にわたって効果的に抑制することができるが、上述したオゾン水、プラズマ又は電磁波照射による処理と組み合わせて藻類発生抑制剤の塗布を行う場合、物品が上記藻類発生抑制剤に含まれるケイ素含有化合物が結合しにくい合成樹脂からなるものであっても、該物品の表面の水と接する部分における藻類の発生を効果的に抑制することができる。
【0059】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0060】
ケイ素含有化合物として、オクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド(Si-QAC)を用い、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド液(製品名:川研ケミカル製ソフタゾリンLAO)を用いて藻類発生抑制剤の水溶液を調製し、以下の手順でガラス製水槽の内面において藻類の発生を抑制できるか否か試験した。
【0061】
Si-QAC(3%(容量/容量))とLAO(1%(容量/容量))とを混合した水溶液をガラス製水槽の内面全体に刷毛を用いて塗布した後、乾燥した。このSi-QAC+LAO水溶液を塗布した水槽に8匹のメダカを入れ、水槽を室温にて日当たりの良い所に置いて、飼育した。コントロールとして、Si-QAC+LAO水溶液を塗布していない水槽を用いて同様の条件で飼育した。
【0062】
飼育開始から約4週間後の水槽の写真を図1に示す。Si-QAC+LAO水溶液を塗布していないコントロールの水槽では約3週間で藻が生え始め、さらに1週間後には図1に示すようにほぼ全面に藻が発生し、水槽内のメダカが見難くなった。一方で、図1に示すように、塗布したものは約4週間後でも水槽の壁の透明性が維持され、藻が確認できなかった。また、飼育開始から約4週間後、コントロールの水槽のメダカは8匹中、2匹のみしか生存しなかったが、Si-QAC+LAO水溶液で処理した水槽では8匹すべてが生存した。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の方法は、水槽、貯水槽、空調設備、冷却水の給排水配管、浴槽の循環系統の配管などの水と接する部分において藻類の発生を抑制するのに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、本発明の方法に従って処理した水槽と未処理の水槽において、メダカの飼育開始から約4週間後の結果を示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の表面における藻類の発生を抑制する藻類発生抑制剤であって、
(a)一般式(1)
【化1】

(式中、R1は炭素原子数6以上の炭化水素基を示し、R2およびR3は同一または異なっていてもよい低級炭化水素基を示し、R4は二価の低級炭化水素基を示し、R5、R6およびR7は同一または異なっていてもよい低級アルキル基または低級アルコシ基を示し、Xはハロゲンイオンまたは有機カルボキニルオキシイオンを示す)で表されるケイ素含有化合物を、
(b)陽イオン界面活性剤(ただし、前記ケイ素化合物を除く)(b1)、非イオン界面活性剤(b2)および両イオン界面活性剤(b3)からなる群から選ばれた少なくとも1種の界面活性剤によって、
水中に均一に分散させてなることを特徴とする藻類発生抑制剤。
【請求項2】
前記一般式(1)で表されるケイ素含有化合物(a)のR1は炭素原子数10〜25のアルキル基を示し、R2およびR3は同一または異なっていてもよい炭素原子数1ないし6の低級アルキル基を示し、R4は炭素原子数1ないし6の低級アルキレン基を示し、R5、R6およびR7は同一または異なっていてもよい炭素原子数1ないし6の低級アルキル基またはアルコシ基を示し、Xはハロゲンイオンまたは有機カルボキニルオキシイオンであることを特徴とする請求項1記載の藻類発生抑制剤。
【請求項3】
前記一般式(1)で表されるケイ素含有化合物(a)が、オクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニムクロライド、オクタデシルジエチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(2−トリメチルシリルエチル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジプロピル(4−トリメトキシシリルブチル)アンモニムアセテート、オクタデシルジメチル(3−トリエトキシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(3−トリイソプロポキシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(3−トリエチルシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(3−トリイソプロピルシシリルプロビル)アンモニウムクロライド、ヘプタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘプタデシルジイソプロピル(2−トリエトキシシリルエチル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニムクロライド、ヘキサデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニムアセテートおよびペンタサデシルジメチル(3−トリエトキシシリルプロピル)アンモニムクロライドからなる群から選ばれた少なくとも1種のケイ素含有化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の藻類発生抑制剤。
【請求項4】
前記一般式(1)で表されるケイ素含有化合物(a)が、オクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライドであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の藻類発生抑制剤。
【請求項5】
前記陽イオン界面活性剤(b1)が、下記一般式(2)
【化2】

(式中、R11は炭素原子数6以上の炭化水素基を示し、R12、R13およびR14は同一でも異なってもよい低級炭化水素基を示し、Yはハロゲンイオンまたは有機カルボニルオキシイオンを示す)で表される陽イオン界面活性剤(b11)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の藻類発生抑制剤。
【請求項6】
前記一般式(2)で表される前記陽イオン界面活性剤(b11)のR11は炭素原子数10〜25のアルキル基を示し、R12、R13およびR14は同一または異なっていてもよい炭素原子数1ないし6の低級アルキル基を示し、Yがハロゲンイオンまたは有機カルボニルオキシイオンであることを特徴とする請求項5に記載の藻類発生抑制剤。
【請求項7】
前記陽イオン界面活性剤(b11)がデシルトリメチルアンモニウムクロライド、デシルトリエチルアンモニウムアセテート、ドデシルトリメチルアンモニウムアセテート、ドデシルトリイソプロピルアンモニウムブロマイド、トリデシルトリエチルアンモニウムプロマイド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライド、ペンタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ペンタデシルトリエチルアンモニウムクロライド、ペンタデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリエチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライドおよびオクタデシルトリエチルアンモニウムクロライドおよびオクタデシルトリ−n−プロピルアンモニウムクロライドからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項5又は6に記載の藻類発生抑制剤。
【請求項8】
前記陽イオン界面活性剤(b11)が、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドであることを特徴とする請求項5又は6に記載の藻類発生抑制剤。
【請求項9】
前記陽イオン界面活性剤(b1)が、N−ココイル−アルギニンエチルエステルピリドンカルボン酸塩(b12)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の藻類発生抑制剤。
【請求項10】
前記非イオン界面活性剤(b2)が、ポリオキシエチレン単位および/またはポリオキシプロピレン単位を含有するポリオキシアルキレングリコールのアルキルエーテルまたは脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸アミド、アルキルエーテル、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1種の非イオン系界面活性剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の藻類発生抑制剤。
【請求項11】
前記非イオン界面活性剤(b2)は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートであることを特徴とする請求項10に記載の藻類発生抑制剤。
【請求項12】
前記両イオン界面活性剤(b3)は、ベタイン系およびアミンオキサイド系からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の藻類発生抑制剤。
【請求項13】
前記両イオン界面活性剤(b3)は、ラウラミドプロピルジメチルアミンオキサイドであることを特徴とする請求項12に記載の藻類発生抑制剤。
【請求項14】
前記ケイ素含有化合物(a)としてオクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、および前記陽イオン界面活性剤(b1)としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドを含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の藻類発生抑制剤。
【請求項15】
前記ケイ素含有化合物(a)としてオクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、および前記非イオン界面活性剤(b2)としてポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含有することを特徴とする請求項1〜4、10、11のいずれか1項に記載の藻類発生抑制剤。
【請求項16】
前記ケイ素含有化合物(a)としてオクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、および前記両イオン界面活性剤(b3)としてラウラミドプロピルジメチルアミンオキサイドを含有することを特徴とする請求項1〜4、12、13のいずれか1項に記載の藻類発生抑制剤。
【請求項17】
物品の表面における藻類の発生を抑制するための処理方法であって、
請求項1〜16に記載のいずれかに記載の藻類発生抑制剤を該物品の表面に塗布することを特徴とする物品の藻類発生抑制処理方法。
【請求項18】
前記物品の表面に前記藻類発生抑制剤を塗布する前に、該物品の表面に、オゾン水、プラズマ又は電磁波照射の処理をする工程を含むことを特徴とする請求項17に記載の藻類発生抑制処理方法。
【請求項19】
前記物品の表面に前記藻類発生抑制剤を塗布した後に、該藻類発生抑制剤が該物品の表面に液状で存在する状態で、電磁波照射の処理をすることを特徴とする請求項17又は18に記載の藻類発生抑制処理方法。
【請求項20】
前記物品が、水槽、貯水槽、空調設備、冷却水の給排水配管、又は浴槽の循環系統の配管であることを特徴とする請求項17〜19のいずれか1項に記載の藻類発生抑制処理方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−83830(P2010−83830A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256236(P2008−256236)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【出願人】(508295421)中国鉄管継手株式会社 (2)
【Fターム(参考)】