説明

物品販売装置

【課題】購買者に対してのみ、販売している物品を選択する画面を表示して、処理負荷を抑制する物品販売装置を提供する。
【解決手段】自動販売機1は、赤外センサ31と赤外センサ33で人の検出を待ち受けて、人Pを検出すると、人Pを検出していた第1検出時間の測定を行い、第1検出時間に基づいて基準時間を設定する。赤外センサ32で人Pを検出すると、人Pを検出している第2検出時間の測定を開始して、第2検出時間を超えると、接近した人は購買者と判定して、販売している物品の画像(購買画面)を液晶ディスプレイ51に表示させる。一方、第2検出時間が、基準時間以下の場合には接近した人は通過者と判定して液晶ディスプレイ51の状態を継続して、広告画面を表示するか、アイドル状態を続ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲料水等の商品や乗車券等のチケット等の物品を販売する物品販売装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物品販売装置には、装置本体の前面に、平面型ディスプレイと、装置本体への人の接近を検出するセンサを組み込んだものがあった。この物品販売装置は、センサで人の接近を感知したときには販売している商品を選択するための見本画面を平面型ディスプレイに表示し、センサで人の接近を感知していないときには広告画面を平面型ディスプレイに表示する(特許文献1参照。)。
【0003】
この物品販売装置では、装置本体への人の接近を検出するセンサとして赤外センサが使用されていた。赤外センサには、例えば、特許文献2に開示されているようなものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−232537号公報
【特許文献2】特開2001−13263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の物品販売装置は、装置本体に購入目的で接近する購買者だけでなく、装置本体に接近してすぐに離れる人、つまり、装置本体の前を通りすぎる通過者も、センサにより接近を検出してしまっていた。そのため、通過者に対しては本来、広告画面を表示させるべきであるが、購買者だけでなく通過者にも見本画面を平面型ディスプレイに表示してしまい、表示する画像の切り替えが頻発して物品販売装置の処理負荷が高くなるという問題があった。
【0006】
そこで、この発明は、購買者に対してのみ、販売している物品を選択する画面を表示して、処理負荷を抑制する物品販売装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の物品販売装置は、上記課題を解決し、その目的を達するために、以下のように構成している。
【0008】
第1センサは、装置本体正面の端部に設定された第1領域における人の有無を検出する。第2センサは、第1領域に対して装置本体の幅方向に設定され、装置本体正面の中央部に設定された第2領域における人の有無を検出する。判定部は、第1センサが人を検出していた第1検出時間に基づいて設定された基準時間を、第2センサがこの人を検出している第2検出時間が超えたときに、購買者であると判定する。表示部は、装置本体正面に設けられ、販売している物品を選択する購買画面を表示する。判定部が、第2センサが検出した人を購買者であると判定すると、表示制御部は、表示部に購買画面を表示させる。
【0009】
物品販売装置で物品を購入する購買者は、装置本体に接近すると、物品販売装置の正面で一時的に停止して、表示部に表示された購買画面の確認や購入操作を行い、物品購入後に装置から離れる。一方、物品販売装置の正面を通過する通過者は、物品販売装置に接近するが、そのまま通過して離れる。このように、購買者と通過者では、物品販売装置に接近後の動作にかかる時間が異なる。また、物品販売装置の正面を通過する時間は人により異なる。そこで、物品販売装置では、上記のように、第1センサと第2センサにより装置本体正面の異なる領域における人の検出時間の変化を確認することで、人による検出時間の違いを相殺しつつ、人が物品販売装置に接近後の動作に係る時間の違いを検出する。これにより、物品販売装置に接近した人が、購買者か通過者かを確実に判定でき、購買者に対してのみ購買画面を表示することができる。
【0010】
また、集計部は、販売している物品を購買した購買者の人数と、表示部が購買画面を表示した表示時間の合計と、判定部が通過者であると判定した人数と、第1センサが通過者を検出した時間の合計と、を一定時間毎に集計している。判定部は、集計部が集計した、販売している物品を購買した購買者の人数に対する表示部が購買画面を表示した表示時間の合計の割合が設定範囲から外れている場合には、第1センサが人を検出していた第1検出時間を補正する構成としてもよい。
【0011】
物品販売装置を設置する地域や時間帯によっては、物品販売装置の正面を通過する通過者の通過時間が変化して、適正なタイミングで購買画面を表示できないことがあり、このような場合には、購買画面を表示するタイミングの調整が必要である。物品販売装置では、上記のように、集計部が集計した購買者の人数に対する表示時間の合計の割合と、設定範囲と、を比較して、通過者の人数に対する通過者の検出時間合計の割合に基づいて検出時間を補正する。これにより、物品販売装置の正面を通過する通過者の通過時間が地域や時間帯などの環境に応じて、購買者に対して購買画面を表示するタイミングを適正に調整することができる。
【0012】
また、撮像部は、装置本体正面の幅方向における第1領域の外側の第3領域を撮像する。方向検出部は、撮像部が撮像した画像を処理し、前記第3領域において撮像されている人の移動方向を検出する。判定部は、方向検出部が検出した人の移動方向を確認し、この人の移動方向が本体に向かう方向と異なる場合には通過者と判定する。
【0013】
このように、物品販売装置では、装置本体に向かう方向と異なる方向に移動している通過者を、購買者か通過者かの判定から予め除外することができ、第2センサの検出時間の測定などの負荷を軽減できる。
【0014】
また、集計部は、表示部が購買者に対して購買画面を表示した時間が一定時間を超えた場合には、この購買者に対して購買画面を表示した時間の集計を停止するように構成すればよい。購買者は物品を購入する際に、どの物品を購入するかを迷うことがあるが、この迷っている時間を、表示部が購買画面を表示した表示時間として合計を集計すると、購買者によりばらつきが多くなり、基準時間を正しく補正できなくなるおそれがある。そこで、表示部が購買者に対して購買画面を表示した時間の集計を一定期間までにすることで、購買者が購入を迷った時間をカットできるので、購買者毎のばらつきを含むことなく、購買画面を表示した表示時間を集計できる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、購買者に対してのみ、販売している物品を選択する画面を表示して、処理負荷を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】自動販売機の主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】自動販売機の外観図である。
【図3】自動販売機に設けた赤外センサ及びカメラが人を検出する領域を示す上面図である。
【図4】自動販売機の判定処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】自動販売機に購買者と通過者が接近するときの経路を示す上面図である。
【図6】赤外センサのタイムチャートである。
【図7】第1検出時間の補正処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の物品販売装置の一実施形態である自動販売機について説明する。
【0018】
図1は、この自動販売機の主要部の構成を示すブロック図である。図2は、自動販売機の外観図である。
【0019】
図1に示すように、自動販売機1は、主制御部2と、検出部3と、画像処理部4と、表示制御部5と、操作検出部6と、媒体処理部7と、貨幣処理部8と、商品販売部9と、を備えている。
【0020】
検出部3には、近接センサの一種である赤外センサ31〜赤外センサ33が接続されている。画像処理部4には、本発明の撮像部に相当するカメラ41が接続されている。表示制御部5には、本発明の表示部に相当する液晶ディスプレイ51が接続されている。操作検出部6には、操作部に相当するタッチパネル61が接続されている。媒体処理部7は、無線通信用のアンテナ71が接続されている。
【0021】
図2に示すように、自動販売機1は、装置本体正面の上部に液晶ディスプレイ51を備えている。同図には、自動販売機1で販売している飲料水等の商品(本発明の物品に相当)を選択して購買するための購買画面を表示した例を示している。
【0022】
液晶ディスプレイ51には、その上面にタッチパネル61が貼り付けられている。
【0023】
液晶ディスプレイ51の上側には、本体正面における幅方向のほぼ中央に、カメラ41が設けられている。
【0024】
液晶ディスプレイ51の下側には、装置本体の幅方向に一定間隔で3つの近接センサとして赤外センサ31〜赤外センサ33が設けられている。赤外センサ33の下側には、現金投入口81が設けられている。自動販売機1の装置本体正面の下部であって、現金投入口81の下側に硬貨返却口82を備えている。赤外センサ32と赤外センサ33の間であって、現金投入口81とほぼ同じ高さには、アンテナ71が取り付けられている。また、自動販売機1は、装置本体正面の下部であって、赤外センサ31及びアンテナ71の下側に商品放出口91を備えている。
【0025】
主制御部2は、自動販売機1の各部を制御する。
【0026】
検出部3は、赤外センサ31〜赤外センサ33が出力する信号により、装置本体正面における人の有無と、人の位置を検出する。
【0027】
画像処理部4は、カメラ41が撮影しているフレーム画像を取り込み、このフレーム画像に撮像されている人を抽出する。主制御部2は、本発明の方向検出部に相当し、画像処理部4が抽出した人の移動方向を検出する。
【0028】
表示制御部5は、主制御部2の指示に従って、液晶ディスプレイ51に表示させる画像を制御する。
【0029】
操作検出部6は、タッチパネル61の押下位置を検出して、その押下された位置に表示している商品の情報を出力する。
【0030】
媒体処理部7と、アンテナ71にかざされた無線通信媒体(不図示:非接触ICカードや非接触ICを内蔵した携帯電話等)との間で無線通信を行う。媒体処理部7は、アンテナ71を介して無線通信媒体と通信することで、販売する商品の取引金額について精算処理を行う。
【0031】
貨幣処理部8は、硬貨や紙幣の投入を現金投入口81で受け付けて、販売する商品について取引金額の精算処理を行う。また、貨幣処理部8は、必要に応じて、硬貨返却口82から釣り銭の返却を行う。
【0032】
商品販売部9は、タッチパネル61により選択された物品の精算処理が完了すると、商品放出口91に選択された商品を放出する。
【0033】
図3は、自動販売機に設けた近接センサ及びカメラが人を検出する領域を示す上面図である。
【0034】
図3に示すように、自動販売機1の装置本体正面において、左側端部に赤外センサ31が、中央部に赤外センサ32が、右側端部に赤外センサ33が、それぞれ設けられている。赤外センサ31〜赤外センサ33は、自動販売機1の装置本体正面から、その前方2mまでの範囲に所定の幅の赤外光を照射して人の有無を検出する。各赤外センサ31〜赤外センサ33が赤外光を照射する領域を、それぞれ領域21〜領域23と称する。
【0035】
赤外センサ31と赤外センサ33は、本発明の第1センサに相当する。赤外センサ31は、自動販売機1の装置本体正面に向かって左の方向から接近する人の有無を、本発明の第1領域に相当する領域21において検出するセンサである。赤外センサ33は、自動販売機1の装置本体正面に向かって右の方向から接近する人の有無を、本発明の第1領域に相当する領域23において検出するセンサである。
【0036】
赤外センサ32は、本発明の第2センサに相当する。赤外センサ32は、自動販売機1の装置本体正面の中央部前方における人の有無を、本発明の第2領域に相当する領域22において検出するセンサである。
【0037】
図3に示すように、自動販売機1は、装置本体正面の前方に設定された領域24をカメラ41で撮影する。領域24は、領域21〜領域23と、図3(B)に示す領域21の左側の領域24Lや領域23の右側の領域24Rを含む範囲に設定されている。領域24Lと領域24Rは、自動販売機1の装置本体正面前方に設定した領域21や領域23を通過前の人を検出するために設定された領域である。
【0038】
図4は、自動販売機が行う判定処理を説明するためのフローチャートである。
【0039】
自動販売機1では、カメラ41と、赤外センサ31〜赤外センサ33と、で人の検出を行っている(S1)。
【0040】
主制御部2は、カメラ41と、赤外センサ31〜赤外センサ33と、が人を検出していないときには(S2:N)、設定に応じて、表示制御部5に指示をして、液晶ディスプレイ51に広告画面を表示させるか、または表示を停止した状態(アイドル状態)にさせている(S3)。
【0041】
主制御部2は、赤外センサ31と赤外センサ33は人を検出しておらず、カメラ41のみが領域24において人を撮像しているときには(S2:N、S4:N)、領域24Lまたは領域24Rにいる人を検出していることになる。このとき、主制御部2は、カメラ41で撮像した人の移動方向を確認する(S5)。この処理は、通過者と明らかに判別できる人については、処理を簡略化することで、装置本体の処理負荷を軽減するためのものである。
【0042】
通過者を判定する方法としては、例えば、カメラ41で撮影した画像に写っている人が、自動販売機1を見ているか否かにより検出可能である。例えば、カメラ41が撮影した画像に写っている人の顔または目を検知したか否かで判定するとよい。自動販売機1を見ている人を購買者、自動販売機1を見ていない人を通過者と判定するとよい。なお、通過者であっても、偶然、自動販売機1の方向を見ている場合があるので、これを除外するために、所定時間毎に人を撮影し、複数の画像において人が自動販売機1を見ているか否かを確認し、人が自動販売機1の方向を見ている割合が所定数以下であれば、その人は通過者である判定すればよい。
【0043】
通過者を判定する別の方法としては、移動ベクトルを用いてもよい。あるタイミングにおいてカメラ41で撮影した画像における人の座標と、所定時間後にカメラ41で撮影した画像における人座標と、を接続することで、人の移動ベクトルが得られる。この移動ベクトルを確認することにより、人が自動販売機1の装置本体正面に接近しているか、その人は停止しているか、または自動販売機1の正面前方を通過していると判定できる。
【0044】
なお、上記2つの方法を組み合わせて、通過者を検出してもよい。
【0045】
本発明の判定部である主制御部2は、カメラ41で撮像したのが、図3(B)に示す人P1や人P2のような人の場合、顔(目)が自動販売機1の装置本体正面を向いておらず、移動ベクトルは装置本体に向かう方向と明らかに異なっているので(S5:Y)、撮像した人を通過者と判定して(S6)、ステップS1以降の処理を再度行う。
【0046】
なお、主制御部2は、ステップS6において通過者と判定した人を、赤外センサ32で検出すると、赤外センサ32が人を検出している時間を測定し、この測定時間が予め設定した閾値以上になると、購買者と判定して、後述の購買者と判定した人に対する処理を行えばよい。
【0047】
図3に示す人P3は、自動販売機1の正面右方から中央部の方向に移動しており、顔(目)が自動販売機1の装置本体正面を向いていないが、顔(目)の一部を検出できる。また、人P3の移動方向(移動ベクトル)は、装置本体に向かう方向と異なっているが、自動販売機1の装置本体正面の中央部に接近してくる可能性がある。また、図3に示す人P4は、自動販売機1の正面左方から中央部に接近しており、顔(目)が自動販売機1の装置本体正面の方向を向いており、移動ベクトルが装置本体に向かう方向である。
【0048】
ステップS5において、主制御部2は、カメラ41で撮像したのが図3に示す人P3やP4のような人の場合、移動方向は装置本体に向かう方向と明らかに異なっているとは判定できない(S5:N)。この場合、主制御部2は、撮像した人を通過者とは判定せずに、ステップS4以降の処理を行う。
【0049】
図5は、自動販売機に接した人の経路を示す上面図である。人P3が、図5に示すルートR1に沿って一定速度で自動販売機1の装置正面前方を通過する場合、人P3が、領域21を通過する時間(赤外センサ31が人Pを検出する時間:第1検出時間)と、領域22を通過する時間(赤外センサ32が人Pを検出する時間:第2検出時間)はほぼ同じ長さである。
【0050】
一方、人P3が、図5に示すルートR2に沿って自動販売機1の左方から正面中央部に接近する場合、人P3が、領域22を通過する時間(第2検出時間)は、領域21を通過する時間(第1検出時間)よりも長くなる。また、人P3は、物品を購入するためにタッチパネル61を操作するときには、領域22内で停止するので、人P3が領域22を通過する時間(第2検出時間)は、さらに長くなる。
【0051】
上記のように、本発明では、自動販売機1に接近してきた人Pが購買者か通過者かによって、第1検出時間に対する第2検出時間の長さが変化することに着目し、この変化を検出することで、人Pが購買者か通過者かを判断する。
【0052】
また、本発明では、第1検出時間に基づいて判定用の基準時間を設定し、この基準時間と第2検出時間を比較する。基準時間には、第1センサと第2センサの検出幅の違いや検出誤差を考慮して、第1検出時間に所定のパラメータを乗算した値を設定する。
【0053】
図3や図5に示したように、赤外センサ31〜赤外センサ33の検出幅(自動販売機1の幅方向の赤外光の幅)が同じ値に設定されており、検出誤差等がない場合には、第1検出時間を基準時間に設定するとよい。赤外センサ31〜赤外センサ33の検出幅が異なる場合には、検出幅の比に応じて基準時間を設定するとよい。例えば、赤外センサ32の検出幅が赤外センサ31の検出幅に対して1.5倍である場合には、基準時間を第1検出時間の1.5倍にするとよい。
【0054】
図6は、赤外センサのタイムチャートである。主制御部2は、ステップS4において、第1センサである赤外センサ31または赤外センサ33で人Pを検出すると(S4:Y)、赤外センサ31または赤外センサ33で人を検出しなくなるまでの時間(第1検出時間)を測定し、この第1検出時間に基づいて基準時間を設定する(S7)。なお、主制御部2は、後述するように、第1検出時間の補正用のパラメータまたは調整時間が設定されている場合には、さらに、第1検出時間にこのパラメータを乗算するか、または第1検出時間にこの調整時間を加算または減算して、基準時間を算出、設定する。
【0055】
続いて、主制御部2は、赤外センサ32で人Pの検出を待ち受ける(S8:N)。主制御部2は、赤外センサ32で人Pを検出すると(S8:Y)、赤外センサ32で人Pを検出している時間(第2検出時間)の測定を開始する(S9)。
【0056】
主制御部2は、第2検出時間が基準時間を超えないときには(S10:N)、自動販売機1に接近した人Pは通過者と判定する(S6、図6参照)。そして、主制御部2は、ステップS1の処理を行う。
【0057】
一方、主制御部2は、第2検出時間が基準時間を超えると(S10:Y)、自動販売機1に接近した人Pは購買者と判定する(S11、図6参照)。また、主制御部2は、販売している物品の画像(購買画面)を表示させるように指示する信号を表示制御部5に出力する。表示制御部5は、この指示にしたがって液晶ディスプレイ51に購買画面を表示させる(S12)。
【0058】
主制御部2は、液晶ディスプレイ51に購買画面が表示されると、購買画面の表示時間の測定を開始する(S13)。
【0059】
続いて、主制御部2は、販売処理を行う(S14)。主制御部2は、この販売処理として、精算方法の受け付け、商品の選択の受け付け、販売する商品の取引金額の精算、及び販売する商品の放出を行う。
【0060】
主制御部2は、販売処理が完了すると、購買画面の表示時間の測定を停止して、購買画面の表示時間が予め設定した制限時間以上か否かを確認する(S15)。主制御部2は、本発明の集計部に相当し、後述するように、一定時間毎の購買画面の表示時間を集計しており、一定時間になるまで、ステップS15を行う毎に測定した表示時間を購買画面の表示時間の合計に加算する。また、主制御部2は、一定時間毎の購買者の人数を集計しており、一定時間になるまで、ステップS15を行う毎に購買者の人数を加算する。
【0061】
制限時間を設定するのは以下の理由による。すなわち、購買者が物品を購入する際に、どの物品を購入するかを迷うことがある。この迷っている時間を、液晶ディスプレイ51が購買画面を表示した表示時間として集計すると、購買者によってばらつきが発生して、基準時間を正しく補正できなくなるおそれがある。そこで、液晶ディスプレイ51が購買者に対して購買画面を表示した時間の集計を制限時間までにすることで、購買者が購入を迷った時間をカットできるので、購買者毎のばらつきを抑制して、購買画面を表示した表示時間を集計できる。
【0062】
主制御部2は、購買画面の表示時間が、予め設定した制限時間未満であれば(S15:N)、購買画面の表示時間の合計に、今回の購買画面の表示時間を加算する。また、主制御部2は、購買者の人数の合計に、今回の購買者の人数(1人)を加算する(S16)。
【0063】
一方、主制御部2は、購買画面の表示時間が、予め設定した制限時間以上であれば(S15:N)、購買画面の表示時間の合計に、今回の購買画面の表示時間として、この制限時間を加算する。また、主制御部2は、購買者の人数の合計に、今回の購買者の人数(1人)を加算する(S17)。
【0064】
主制御部2は、ステップS16またはステップS17の処理が完了すると、ステップS1以降の処理を再度行う。
【0065】
このように、自動販売機1では、装置本体正面の端部と中央部に設けた赤外センサ31〜赤外センサ33により、接近してきた人の通過時間を確認することで、購買者か通過者かを確実に判定することができる。
【0066】
次に、一般的に、大都市部の方が地方の町村部よりも人の移動速度が速く、通勤時間帯(ラッシュアワー)の方が、その他の時間帯よりも人の移動速度が速い。このように、自動販売機1を設置した地域や、時間帯等により人の移動速度が変化すると、購買者に対して適正なタイミングで購買画面を表示できないことがある。そこで、本発明では、環境に応じて、購買者に対して購買画面を適正なタイミングで表示するために、以下に説明するように第1検出時間の補正処理を行っている。
【0067】
図7は、第1検出時間の補正処理を説明するためのフローチャートである。自動販売機1の主制御部2は、前記のように、購買者の人数の合計と、液晶ディスプレイ51に購買画面を表示させた表示時間の合計と、を一定時間毎に集計している。
【0068】
主制御部2は、予め設定された一定時間(例えば、30分)が経過するまでは(S21:N)、図4に基づいて説明した判定処理を実行しており(S22)、上記のとおり、購買者の人数と、購買画面の表示時間と、を集計している。主制御部2は、一定時間が経過すると(S21:Y)、売り上げ件数に対する購買画面の表示時間の割合を確認する(S23)。自動販売機1には、売り上げ件数に対する購買画面の表示時間の上限値と下限値(設定範囲)が予め設定されている。
【0069】
主制御部2は、一定時間における、売り上げ件数に対する購買画面の表示時間の合計の割合が、設定範囲内であるか否かを判定する(S24)。主制御部2は、売り上げ件数に対する購買画面の表示時間の合計の割合が、設定範囲内である場合には(S24:Y)、第1検出時間の補正は不要であるため、ステップS21以降の処理を行う。
【0070】
主制御部2は、売り上げ件数に対する購買画面の表示時間の合計の割合が、設定範囲の上限値よりも大きい場合には(S24:N)、購買者の動きが遅い場所または時間帯と判断し、基準時間を長くする。基準時間を長くすると、購買画面が表示されるまでの時間が長くなり、購買画面の表示タイミングを遅くすることができる。そこで、主制御部2は、1以上のパラメータまたは加算用の調整時間を設定する(S25)。主制御部2は、ステップS22において判定処理を行う際に、図4に示したフローチャートのステップS7において、このパラメータを第1検出時間に乗算するか、または第1検出時間に調整時間を加算する。
【0071】
主制御部2は売り上げ件数に対する購買画面の表示時間の合計の割合が、設定範囲の下限値よりも小さい場合には(S24:N)、購買者の動きが速い場所または時間帯と判断し、基準時間を短くする。基準時間を短くすると、購買画面が表示されるまでの時間が短くなり、購買画面の表示タイミングを速くすることができる。そこで、主制御部2は、1未満のパラメータまたは減算用の調整時間を設定する。主制御部2は、ステップS22において判定処理を行う際には、図4に示したフローチャートのステップS7において、このパラメータを第1検出時間に乗算するか、または第1検出時間に調整時間を減算する。
【0072】
主制御部2は、ステップS25の処理が完了すると、集計した各値をリセットし、ステップS21以降の処理を行う。また、ステップS22では、新たに集計を開始する。
【0073】
なお、図4に示したフローチャートにおいて、ステップS15において、購買画面の表示時間が一定時間以上か否かの判定を行っているが、この処理を行わずに、主制御部2が、商品を販売した件数である売り上げ件数を一定時間毎に集計するようにしてもよい。この場合には、売り上げ件数に対する購買画面の表示時間の割合が、設定範囲の上限値よりも大きいか否か、及び設定範囲の下限値よりも小さいか否かを判定して、同様に、第1検出時間を補正するとよい。
【0074】
このように、自動販売機1を設置した地域や時間帯等の環境に応じて、第1検出時間を補正できるので、購買者に購買画面を常に適正なタイミングで表示できる。
【0075】
なお、以上の説明では、近接センサとして赤外センサ31〜赤外センサ33を用いた場合を説明したが、これに限るものではなく、他のセンサを用いても当然よい。例えば、超音波センサや、可視光を照射して反射光を検出するセンサでもよい。
【0076】
なお、以上の説明では、物品販売装置として自動販売機1の場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば、乗車券等のチケットを販売する券売機などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1…自動販売機 2…主制御部 3…検出部 4…画像処理部 5…表示制御部 6…操作検出部 7…媒体処理部 8…貨幣処理部 9…商品販売部 31〜33…赤外センサ 41…カメラ 51…液晶ディスプレイ 61…タッチパネル 71…アンテナ 81…現金投入口 82…硬貨返却口 91…商品放出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体正面の端部前方に設定された第1領域における人の有無を検出する第1センサと、
前記第1領域に対して装置本体の幅方向に設定され、装置本体正面の中央部前方に設定された第2領域における人の有無を検出する第2センサと、
前記第1センサが人を検出していた第1検出時間に基づいて設定された基準時間を、前記第2センサがこの人を検出している第2検出時間が超えたときに、購買者であると判定する判定部と、
装置本体正面に設けられ、販売している物品を選択する購買画面を表示する表示部と、
前記判定部が、前記第2センサが検出した人を購買者であると判定すると、前記表示部に購買画面を表示させる表示制御部と、
を備えた物品販売装置。
【請求項2】
販売している物品を購買した購買者の人数の合計と、前記表示部が購買画面を表示した表示時間の合計と、を一定時間毎に集計する集計部を備え、
前記判定部は、前記集計部が集計した、販売している物品を購買した購買者の人数に対する前記表示部が購買画面を表示した表示時間の合計の割合が、設定範囲から外れている場合には、前記第1検出時間を補正する、請求項1に記載の物品販売装置。
【請求項3】
装置本体正面の幅方向における前記第1領域の外側の第3領域を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像を処理し、前記第3領域において撮像されている人の移動方向を検出する方向検出部と、
を備え、
前記判定部は、前記方向検出部が検出した人の移動方向を確認し、この人の移動方向が装置本体に向かう方向と異なる場合には通過者と判定する、請求項1または2に記載の物品販売装置。
【請求項4】
前記集計部は、前記表示部が購買者に対して購買画面を表示した時間が制限時間を超えた場合には、この購買者に対して購買画面を表示した時間を前記制限時間として集計する、請求項2または3に記載の物品販売装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−123657(P2012−123657A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274477(P2010−274477)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】