説明

物理的抽選機構を備えたゲーム機

【課題】物理的抽選機構に存在する抽選確率のばらつきをペイアウト率の制御に適切な反映させることが可能なゲーム機を提供する。
【解決手段】少なくとも一つの選択肢とそれぞれ対応付けられた複数の入賞ポケット32a、33aを有するビンゴステージ30上でボールBに物理的な動作を与え、そのボールBがいずれの入賞ポケット32a、33aに取り込まれたかによって、抽選された選択肢を決定する物理的抽選機構SAと、物理的抽選機構SAの抽選結果と関連付けて所定のゲームを実行し、ゲームの結果に応じた量の遊技価値をプレイヤーに払い出すステーション制御ユニット150とを備えたゲーム機において、所定のサンプリング期間内における抽選結果に基づいて、各選択肢が抽選される確率を演算し、その演算された確率を参照してゲームにおける遊技価値のペイアウト率を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抽選用媒体の物理的な動作を利用して複数の選択肢から少なくとも一つの選択肢を抽選する物理的抽選機構を備えたゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
ボールその他の抽選用媒体を抽選盤上で物理的に動作させつついずれか一つの媒体取込部に導き入れることにより、その抽選用媒体を取り込んだ媒体取込部に対応する選択肢が抽選されたものとする物理的抽選機構と、その物理的抽選機構の抽選結果と関連付けて所定のゲームを実行し、そのゲームの結果に応じた量の遊技価値をプレイヤーに払い出すゲーム実行手段とを備えたゲーム機が知られている。この種のゲーム機では、物理的抽選機構を用いることにより、各選択肢の抽選確率に対するゲーム機の作為的な操作が困難となってゲームの公平性が担保される。また、物理的抽選機構のサイズ、デザインといった外観要素に独自性を与えることにより、プレイヤーのゲーム機に対するアイキャッチ効果を高めることができるため、特にアイキャッチ効果が求められる商業用途のゲーム機の分野では、この種の物理的抽選機構を設けた例が頻繁に見受けられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した物理的抽選機構では、機械誤差により各選択肢の抽選確率が必ずしも均一とならず、抽選され易い選択肢と、抽選され難い選択肢とが存在することがある。抽選確率にばらつきを何ら考慮しない場合、抽選結果と関連付けて実行されるゲームにおける当選確率等の偏りが発生し、遊技価値のペイアウト率の制御にも意図しない影響が及ぶことがある。
【0004】
そこで、本発明は、物理的抽選機構に存在する抽選確率のばらつきをペイアウト率の制御に適切な反映させることが可能なゲーム機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、抽選用媒体(B)の物理的な動作を利用して複数の選択肢から少なくとも一つの選択肢を抽選する物理的抽選機構(SA)と、前記物理的抽選機構の抽選結果と関連付けて所定のゲームを実行し、前記ゲームの結果に応じた量の遊技価値をプレイヤーに払い出すゲーム実行手段(150)と、を備えたゲーム機において、所定のサンプリング期間内における抽選結果に基づいて、各選択肢が抽選される確率を演算する確率演算手段(100)と、前記確率演算手段にて演算された確率を参照して前記ゲームにおける前記遊技価値のペイアウト率を制御するペイアウト率制御手段(150)と、を備えることにより、上述した課題を解決する。
【0006】
本発明のゲーム機によれば、所定のサンプリング期間内における抽選結果に基づいて各選択肢が抽選される確率をそれぞれ演算することにより、物理的抽選機構に存在する抽選確率のばらつきを統計的に把握することができる。そして、演算された抽選確率を参照してペイアウト率を制御することにより、抽選確率のばらつきがペイアウト率に対して意図しない影響を与えるおそれを排除し、抽選確率のばらつきをペイアウト率の制御において適切に反映させることが可能となる。
【0007】
本発明のゲーム機の一形態において、前記ゲーム実行手段は、前記抽選機構による前記複数の選択肢のそれぞれに対応付けられた複数の絵柄を所定の配列で並べた絵柄配置領域(211)を仮想的に生成し、前記抽選機構における複数回の抽選で選ばれた複数の選択肢にそれぞれ対応する前記絵柄配置領域内の複数の絵柄が所定の当選配列を形成した場合にプレイヤーに遊技価値を払い出すように構成されてもよい。この形態によれば、抽選された選択肢に対応する絵柄が当選配列を形成した場合に遊技価値が払い出される。そして、選択肢の抽選確率のばらつきを絵柄の配列、あるいは当選配列の形成に対して払い出される遊技価値の量の制御に反映させることにより、抽選確率のばらつきを反映したペイアウト率の制御を実現することができる。
【0008】
上記の形態において、前記ペイアウト率制御手段は、前記演算された確率に基づいて前記絵柄配置領域内における絵柄の配列を変化させることにより、前記ペイアウト率を制御してもよい。この場合、選択肢のそれぞれが抽選される確率にばらつきが存在すれば、絵柄配置領域内にて当選配列が成立する確率が選択肢の抽選確率のばらつきに応じて変化する。従って、当選配列が成立し易くなるように絵柄の配列を設定し、あるいは当選確率が成立し難くなるように絵柄の配列を操作することにより、当選配列の成立に伴って遊技価値が払い出される可能性を変化させ、それによりペイアウト率を制御することができる。さらに、前記ペイアウト率制御手段は、前記ペイアウト率の現在値と目標値との差が減少するように前記絵柄の配列を変化させてもよい。このように絵柄の配列を変化させた場合には、ペイアウト率を目標値へとより早く制御できるようになる。
【0009】
本発明のゲーム機の一形態において、前記ゲーム実行手段は、前記絵柄配置領域として、前記絵柄を縦方向及び横方向に同数ずつマトリクス状に並べたビンゴカード(211)を仮想的に生成し、前記ビンゴカードの縦方向、横方向又は対角線方向のいずれか一つのライン上で全ての絵柄が前記抽選機構にて抽選された選択肢に対応する絵柄となったときに前記当選配列が形成されたものとして前記遊技価値の払い出しを実行してもよい。この形態によれば、ビンゴカード上の縦方向、横方向又は斜め方向に配列された一連の絵柄の全てに対応する選択肢が抽選機構にて抽選された場合に当選配列が成立したものとみなされて遊技価値が払い出される。この場合において、選択肢が抽選される確率にばらつきが存在すれば、一つのライン上に配列された絵柄の組み合わせ内容によって、そのライン上で当選配列が成立する確率も変化する。従って、絵柄の配列を操作することによりペイアウト率を制御することができる。
【0010】
ビンゴカードを生成する形態において、前記ペイアウト率制御手段は、前記当選配列が形成されたとき、当該当選配列に含まれる絵柄のそれぞれに対応する選択肢に関して前記確率演算手段が演算した確率に基づいてこれらの絵柄の並び順を変化させることにより、前記ペイアウト率を制御してもよい。この形態によれば、当選配列が成立する毎に絵柄の並び順を変化させるという簡単な操作を行うだけでペイアウト率を制御することができる。
【0011】
さらに、絵柄の並び順を変化させる形態において、前記ペイアウト率制御手段は、前記ペイアウト率の現在値が目標値よりも低い場合には当選確率が相対的に高い選択肢に対応する絵柄が前記当選配列上の中央に配置されるように前記絵柄の並び順を変化させ、前記ペイアウト率の現在値が目標値よりも高い場合には当選確率が相対的に低い選択肢に対応する絵柄が前記当選配列上の中央に配置されるように前記絵柄の並び順を変化させてもよい。ビンゴカードにおいて、その中央に配置される絵柄は縦方向、横方向及び斜め方向のいずれのラインにも含まれる。従って、カードの中央に抽選確率の高い選択肢に対応する絵柄が配置されていれば当選配列が成立する確率が高くなり、カードの中央に抽選確率の低い選択肢に対応する絵柄が配置されていれば当選配列が成立する確率が低くなる。従って、ペイアウト率の現在値が目標値よりも低い場合には当選配列が成立したラインの中央に抽選確率の高い選択肢に対応する絵柄を優先的に配置すれば、カードの中央に抽選確率の高い選択肢に対応する絵柄が位置して当選配列が成立する確率が高まり、それによりペイアウト率を目標値に向かってより早く高められるようになる。一方、ペイアウト率の現在値が目標値よりも高い場合には、当選配列が成立したラインの中央に抽選確率の低い選択肢に対応する絵柄を優先的に配置すれば、カードの中央に抽選確率の低い選択肢に対応する絵柄が位置して当選配列が成立する確率が低下し、それによりペイアウト率を目標値に向かってより早く低下させることができる。
【0012】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0013】
以上に説明したように、本発明のゲーム機によれば、所定のサンプリング期間内における抽選結果に基づいて各選択肢が抽選される確率をそれぞれ演算することにより、物理的抽選機構に存在する抽選確率のばらつきを統計的に把握し、その演算された抽選確率を参照してペイアウト率を制御することにより、抽選確率のばらつきがペイアウト率に対して意図しない影響を与えるおそれを排除することができる。従って、物理的抽選機構に存在する抽選確率のばらつきを、遊技価値のペイアウト率の制御に適切に反映させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1〜図5を用いて本発明のゲーム機Gの構成の概略を説明する。図1は本発明の一形態に係るゲーム機Gの俯瞰図である。ゲーム機Gは、センターユニットCNと、4台のサテライトユニットSAと、16台のステーションユニットSTとを有している。各サテライトユニットSAはセンターユニットCNに下方にセンターユニットCNを囲むように配置され、各サテライトユニットSAの周囲には4つのステーションユニットSTが配置されている。即ち、ゲーム機GはセンターユニットCNを中心に、その周囲に4つのサテライトユニットSAが配置され、更に各サテライトユニットSAの周囲に4つのステーションユニットSTが配置された構成を備えている。ステーションユニットSTでは、遊技媒体としてメダルを利用したいわゆるプッシャーゲーム、及びそのプッシャーゲームと関連付けられたデジタル抽選ゲームがそれぞれ実行される。サテライトユニットSAでは、ステーションユニットSTにおけるデジタル抽選ゲームのゲーム結果と関連付けてサテライト抽選が実行される。センターユニットCNでは、ステーションユニットSTにおけるデジタル抽選ゲームのゲーム結果、又はサテライトユニットSAにおけるサテライト抽選の抽選結果に関連付けてセンター抽選あるいはグランドスロット抽選がセンターゲームとして行われる。
【0015】
図2は、1台のサテライトユニットSAと、これに組み合わされる1台のステーションユニットSTとを示している。ステーションユニットSTは、プレイヤーがゲームに関連した操作を行うための左右一対の操作部10と、メダルプッシャーゲームが実行されるプレイフィールド部12と、第1の遊技媒体としてのメダルMをプレイフィールド部12に供給するためのメダル供給部13と、第2の遊技媒体としてのボールBをプレイフィールド部12に投入するためのボール投入部14と、ボールBをサテライトユニットSAまで送り出すためのボール運搬部15と、ゲーム画面等を表示するためのステーションモニタ16とを備えている。プレイフィールド部12は、メダルMを貯留するメインテーブル20及びサブテーブル21を備えるとともに、これらのテーブル20、21上を前後にスライド運動するプッシャーテーブル22、23をさらに備えている。メインテーブル20及びサブテーブル21にはメダルMが敷き詰められるようにして貯留される。プレイフィールド部12は透明板等の隔壁で取り囲まれることにより、外部に対してシールドされている。
【0016】
図3を参照して、ステーションユニットSTにおけるメダルMの流れの概略を説明する。プレイヤーが操作部10に設けられたメダル投入口(不図示)からメダルMを投入すると、そのメダルMはメダルシュート17を経由してメダル供給部13のメダルホッパ13aのいずれか一方に落下する。メダルホッパ13aからは、プレイヤーのメダル投入に先行して、ステーションユニットSTの左右に配置されたメダル排出部18のそれぞれにメダルMが払い出されており、それらのメダルMはプレイフィールド部12への投入に備えてメダル排出部18内にそれぞれ保持される。メダル排出部18に保持されたメダルMは、プレイヤーによるメダルMの投入に同期したタイミングでメダルシュート19に送り出され、そのシュート19からサブテーブル21上にメダルMが投入される。なお、シュート19の向きは操作部10の左右に設けられたレバー10aを操作することにより左右方向に変化させることができる。
【0017】
プレイフィールド部12に投入されたメダルMはサブテーブル21に落下してそこに貯留され、あるいはサブテーブル21からメインテーブル20に転がり落ちる。サブテーブル21上に貯留されたメダルMの群がプッシャーテーブル23の往復運動によって前方(プレイヤーが位置する側、以下同じ。)に押されることにより、サブテーブル21の前端からメダルMが押し出され、その押し出されたメダルMは傾斜部24を滑り落ちてメインテーブル20に移動し、そこに貯留される。メインテーブル20上に貯留されたメダルMの群がプッシャーテーブル22の往復運動によって前方に押されることにより、メインテーブル20の周囲にメダルMが落下する。落下したメダルMは図2に示すリフトアップホッパ25に回収される。そして、メインテーブル20の前端から落下したメダルMと同一枚数のメダルMが、プレイヤーの獲得したメダルとしてリフトアップホッパ25から、操作部10間のメダル払い出し部11に払い出される。プレイフィールド部12を覆う隔壁の外部に位置し、そこに払い出されたメダルMはプレイヤーが受け取り可能である。
【0018】
図2に戻って、傾斜部24には、メダルMを通過(落下)させるチェッカーとして複数の開口部24a、24b、24cが設けられている。傾斜部24を滑り落ちる途中のメダルMがいずれかの開口部24a、24b、24cに落下すると、そのメダルMの通過が不図示のセンサで検出され、その検出信号をトリガとしてステーションモニタ16上でデジタル抽選ゲームが開始される。デジタル抽選ゲームは、ステーションモニタ16上に横一列に並べて表示される3つの図柄(絵柄、記号、数字等)の組み合わせが所定の当り役に合致するか否かを競うスロットゲームの一種である。そのデジタル抽選ゲームの当り役の一つとして「ボール」が用意されている。例えばボールの絵柄が3つ揃った場合に「ボール」の役に当選する。この役に当選した場合、ボール投入部14からボールBがメインテーブル20に投入される。ボール投入部14へのボールBの供給については後述する。なお、本形態では、ボールBとして、種類が異なるノーマルボールB1と、スペシャルボールB2とが設けられているが、これらを区別する必要がないときはボールBと表記する。
【0019】
メインテーブル20上に投入されたボールBは、プッシャーテーブル22の往復運動によってメダルMとともにメインテーブル20の前方に向かって徐々に押し出される。ボールBがメインテーブル20の前端から落下すると、その落下したボールBはボール運搬部15によってサテライトユニットSAへ運搬される。図4はボール運搬部15によるボールBの運搬経路を示す。メインテーブル20から落下したボールBはボールダクト26を経由してボールリフタ27に取り込まれる。ボールリフタ27は、取り込まれたボールBをスロープ28に沿って上昇させながらスロープ28の終端(上端)まで搬送する。サテライトユニットSAでは、スロープ28の終端まで運搬されてきたボールBを使用してサテライト抽選が実行される。
【0020】
図2に示すように、サテライトユニットSAは、ビンゴステージ30と、そのビンゴステージ30の外周に設けられたボールキャリア40と、ビンゴステージ30の周囲に配置された一対のボール供給機構50A、50Bと、ビンゴステージ30を挟んでボール供給機構50A、50Bの反対側に配置された一対のボール投入機構60A、60Bとを備えている。ビンゴステージ30は不図示の駆動機構により鉛直方向の軸線を中心として一方向に回転駆動される。ビンゴステージ30の上面はリング状のフェンス31によって外周部32Aと内周部32Bとに区分されている。各部32A、32Bには、ボールBが通過できる程度の直径を有する円形の入賞ポケット32a、33aがビンゴステージ30を貫通するように設けられている。外周部32Aには10個の入賞ポケット32aが、内周部32Bには5個の入賞ポケット33aがそれぞれ設けられている。入賞ポケット32a、33aのそれぞれには、サテライト抽選における選択肢となる番号又は図柄が割り当てられている。外周部32Aの入賞ポケット32aには、1〜9の数値及び「JPチャンス」の文字が択一的に割り当てられる。なお、本明細書において、「JP」とは、ジャックポット、つまり大当たりを意味する略語として使用する。一方、内周部32Bの3つの入賞ポケット33aには1〜9の数値が3つずつ適宜な組み合わせで割り当てられ、残りの2つの入賞ポケット33aには「JPチャンス」の文字が割り当てられる。
【0021】
ボールキャリア40は、ビンゴステージ30の外周に沿って移動可能である。ボールキャリア40は、ボール供給機構50A、50Bから各ステーションユニットSTのボール投入部14へのボールBの搬送、各ステーションユニットSTのボール運搬部15からボール投入機構60A、60BへのボールBの搬送をそれぞれ実行する。ボール供給機構50A、50Bの下部には、ビンゴステージ30の入賞ポケット32a、33aを通過したボールBがその種類に応じて選択的に導かれる。一例として、ボール供給機構50AにはノーマルボールB1が、ボール供給機構50BにはスペシャルボールB2がそれぞれ導かれる。ボール供給機構50A、50Bは、導かれたボールBをスクリューフィーダ51にそれぞれ取り込んで上方に移送し、スクリューフィーダ51の上端に達したボールBを排出部52から1個ずつ払い出す。排出部52からのボールBの払い出しに連係してボールキャリア40が排出部52の直下に移動することにより、ボール排出部52から排出されるボールBがボールキャリア40のフォーク41に受け渡される。ボール供給機構50A、50BからボールBを受け取ったボールキャリア40は、そのボールBを搬送すべきステーションユニットSTのボール投入部14までビンゴステージ30の外周に沿って移動し、その後、フォーク41を外側に傾けることによりボール投入部14のスロープ14aの上端にボールBを払い出す。払い出されたボールBはスロープ14aを滑り降り、投入位置選択機構14bを介してメインテーブル20の任意の位置に投入される。
【0022】
一方、ステーションユニットSTのボール運搬部15にボールBが搬出された場合、ボールキャリア40はそのボールBが搬出されたボール運搬部15のスロープ28の内側に移動してスロープ28からボールBを受け取り、その後、ボールBをボール投入機構60A又は60Bの位置まで搬送する。ボールキャリア40がボール投入機構60A、60BのいずれにボールBを搬送するかはボールBの種類に関連付けられる。例えば、ノーマルボールB1の場合、ボールキャリア40はボール投入機構60AまでボールB1を搬送し、その一方、スペシャルボールB2の場合、ボールキャリア40はボール投入機構60BまでボールB2を搬送する。
【0023】
ボール投入機構60A、60Bは、ボールリフタ61及びボールガイド62をそれぞれ備えている。ボールリフタ61は上下方向に往復移動可能である。ボールキャリア40からボール投入機構60AにノーマルボールB1が搬送された場合、そのボール投入機構60Aのボールリフタ61が下降し、その後、ボールキャリア40のフォーク41がボールリフタ61側に傾けられてボールキャリア40からボールリフタ61へボールB1が受け渡される。ボールB1を受け取ったボールリフタ61はボールガイド62の上端まで上昇し、その後、ボールガイド62に向かって下り勾配を形成するように傾けられる。これにより、ノーマルボールB1がボールガイド62へと渡される。ボールガイド62へ渡されたノーマルボールB1はボールガイド62の先端からビンゴステージ30の外周部32へと投入される。ボールキャリア40からボール投入機構60BにスペシャルボールB2が搬送された場合には、ボール投入機構60Bのボールリフタ61が下降してボールキャリア40からボールリフタ61へボールB2が受け渡され、その後、ボールリフタ61がボール投入機構60Aと同様に動作してスペシャルボールB2がボール投入機構60Bのボールガイド62へ渡される。ボールガイド62へ渡されたスペシャルボールB2はボールガイド62の先端からビンゴステージ30の内周部33へと投入される。
【0024】
センターユニットCNは、図5に示すように、センターモニタ70と、大ルーレット71と、大ボール投入機構72とを有する。大ルーレット71は不図示の駆動機構により一方向に所定の速さで回転駆動される。大ルーレット71の周囲には複数の入賞ポケット71aが設けられている。各入賞ポケット71aには、メダルMの枚数(又は倍数)又は各種ゲームモードが当り役として割り当てられている。センターゲームが開始されると、大ルーレット用の大ボール73がボール投入機構72から大ルーレット71の外周に投入される。その大ボール73は大ルーレット71の回転に伴って大ルーレット71の周囲を揺動しつつ、いずれか一つの入賞ポケット71aに入り込む。その大ボール73が入った入賞ポケット71aに応じた特典がプレイヤーに与えられる。
【0025】
なお、ステーションユニットST、サテライトユニットSA、及びセンターユニットCNのそれぞれには、ゲームの雰囲気を盛り上げるための演出装置として、電飾装置や音響装置が設けられている。電飾装置としては、例えば、ステーションには、メダルMが投入されてからプレイフィールド部12へ排出されるまでの移動経路に沿って複数のLEDが設けられている。サテライトユニットSAには、ビンゴステージ30の下方からビンゴステージ30の回転軸線を中心とするリング状のイルミネーションが得られるようにランプが設けられている。センターユニットCNの大ルーレット71の入賞ポケット71aは複数のLEDで縁取られている。音響装置としてはスピーカーが設けられ、そのスピーカーから効果音やBGMが適宜出力される。図1に示すように、ゲーム機Gの各サテライトユニットSA間にはスペーサSPが設けられている。各スペーサSPの下にはムービングライトLと、ショータイム用スピーカーとが設けられている。
【0026】
次に、ゲーム機Gの制御系の構成を説明する。図6に示すように、ゲーム機Gには、そのゲーム機Gの動作を制御するコンピュータユニットとして、ホスト制御ユニット100、ホストPC(但し、PCはパーソナルコンピュータの略、以下同様。)110、センターPC120、センター制御ユニット130、サテライト制御ユニット140及びステーション制御ユニット150がそれぞれ設けられている。サテライト制御ユニット140はサテライトユニットSAの構成要素として各サテライトユニットSAに1つずつ設けられ、ステーション制御ユニット150はステーションユニットSTの構成要素として各ステーションユニットSTに1つずつ設けられている。つまり、ゲーム機Gの全体では、4台のサテライト制御ユニット140と、16台のステーション制御ユニット150とが設けられている。これらのユニット110〜150はLAN回線160を介して相互に接続されることにより、各種のゲーム、あるいは抽選の制御に必要な情報を互いに交換可能である。なお、LAN回線160は適宜の位置にハブを介在させた、いわゆるスター接続でよい。
【0027】
ホスト制御ユニット100はゲーム機Gの全体管理、統合制御等を担当し、ホストPC110はゲーム機Gの本体演出部111の動作を制御する。本体演出部111には、例えば上述したムービングライトL、あるいはスペーサSP上のスピーカーといった、センターユニットCN、サテライトユニットSA、及びステーションユニットSTのいずれにも属しない演出装置が本体演出部111に含まれる。センターPC120はセンターモニタ70の表示制御を担当する。
【0028】
センター制御ユニット130は、センサ群131が検出するセンターユニットCNの状態に基づいてセンター駆動部132及びセンター演出部133を操作することによりセンターゲームの実行及びセンターユニットCNを利用したゲーム上の演出をそれぞれ制御する。センサ群131には、大ルーレット71の各入賞ポケット71aへの大ボール73の入賞の有無を検出する入賞センサが含まれる。例えば近接スイッチ、反射型又は透過型の光センサ等を入賞センサとして利用することができる。センター駆動部132には、大ルーレット71を回転駆動するためのモータ等の駆動装置、大ボール投入機構72を駆動するためのアクチュエータ等が含まれる。センター演出部133には、センターユニットCNに固有のランプ、スピーカー等の演出装置が含まれる。
【0029】
サテライト制御ユニット140は、センサ群141が検出するサテライトユニットSAの状態に基づいて、サテライト駆動部142及びサテライト演出部143を操作することにより、サテライト抽選の実行、ボールBの搬送、及びサテライトユニットSAを利用したゲーム上の演出をそれぞれ制御する。センサ群141には、ビンゴステージ30の入賞ポケット32a、33aのそれぞれにおけるボールBの通過の有無を検出する入賞センサ、ボールキャリア40の周方向の位置を検出するキャリア位置センサが含まれる。入賞センサは例えば近接スイッチ、あるいは、透過型又は反射型の光センサを利用することができる。サテライト駆動部142には、ビンゴステージ30を回転駆動させるモータ等の駆動装置、ボールキャリア40をビンゴステージ30の外周に沿って駆動するアクチュエータ、ボールキャリア40のフォーク41を操作するアクチュエータ、ボール供給機構50A、50Bのスクリューフィーダ51及びボール排出部52をそれぞれ駆動するアクチュエータ、ボール投入機構60A、60Bのボールリフタ61を昇降駆動するアクチュエータ等が含まれる。サテライト演出部143には、サテライトユニットSAに固有のランプ、スピーカー等の演出装置が含まれる。
【0030】
ステーション制御ユニット150は、センサ群151がステーションユニットSTの状態に基づいて、ステーション駆動部152及びステーション演出部153を操作することにより、ステーションユニットSTにて実行されるべきプッシャーゲーム及びデジタル抽選ゲーム、及びステーションユニットSTを利用したゲーム上の演出をそれぞれ制御する。また、ステーション制御ユニット150はステーションモニタ16の表示制御も担当する。センサ群151には、メダルMの検出に関するメダルセンサ群、ボールBの検出に関するボールセンサ群、レバー10a、プッシャーテーブル22、23といった可動部分の位置を検出する位置センサ群が含まれる。
【0031】
メダルセンサ群には、メダル投入口からのメダルMの投入を検出するメダル投入センサ、メダル排出部18からのメダルMの排出を検出するメダル排出センサ、チェッカーとしての開口部24a〜24cへのメダルMの落下を検出するチェッカーセンサ、メインテーブル20の前端から落下するメダルMを検出する落下メダルセンサ、リフトアップホッパ25からメダル払い出し部11に払い出されるメダルMを検出するメダル払い出しセンサ等が含まれる。これらのセンサには、公知のメダルゲーム機のメダルセンサと同様に近接スイッチ、光センサ、マイクロスイッチ等を用いてよい。また、ボールセンサ群には、ボール投入部14からのボールBの投入を検出するボール投入センサ、メインテーブル20から落下してボール運搬部15に渡されるボールBを検出するボール落下センサ等が含まれる。ボール落下センサは、ボールBの種類、つまり落下したボールBがノーマルボールB1又はスペシャルボールB2のいずれに該当するかを判別するセンサとしても機能する。ボールBの種類の判別は、ボールB1、B2の相違に応じて異なる信号を出力するセンサをボール落下センサとして用いることにより実現することができる。例えば、ボールB1、B2のいずれか一方を樹脂製、他方を金属製とした場合、金属センサを利用してボールB1、B2の種類を判別することができる。ボールB1、B2の反射率が異なるときは、反射型の光センサをボール落下センサとして利用し、そのセンタの出力信号の強度に応じてボールBの種類を判別すればよい。ボール落下センサにてボールBの種類を判別することにより、ボールキャリア40がボールBを搬送すべきボール投入機構60A、60Bを特定することができる。
【0032】
ステーション駆動部152には、メダルホッパ13a、リフトアップホッパ25のそれぞれの駆動装置、メダル排出部18のメダル排出動作を実現するアクチュエータ、プッシャーテーブル22、23を往復運動させるモータ等の駆動装置、ボール投入部14の投入位置選択機構14bを操作するアクチュエータ、ボール運搬部15のボールリフタ27を駆動する駆動装置等が含まれる。ステーション演出部153には、ステーションユニットSTに固有のランプ、スピーカー等の演出装置が含まれる。
【0033】
次に、図7〜図20を参照してゲーム機Gにて実行される各種の処理を説明する。まず、ゲーム機Gにおけるペイアウト率の管理について説明する。本形態のゲーム機Gでは、各ステーション制御ユニット150により、各ステーションユニットSTのメダルMの投入枚数及び払い出し枚数が計数されてステーションユニットST毎にペイアウト率が適宜の周期で演算される。所定の計算期間内においてメダル投入センサが検出したメダルMの投入枚数をNSTin、同期間内にメダル払い出しセンサが検出したメダルMの払い出し枚数をNSToutとしたとき、後者を前者で除した値NSTout/NSTinの百分率を求めることにより、計算期間内におけるステーションユニットSTの現状のペイアウト率POstを特定することができる。但し、プレイヤーから預かったメダルMの枚数をクレジット枚数として保持し、クレジット枚数からの引き落としと引き換えにメダル排出部18からプレイフィールド部12にメダルMを投入し、メダルMの払い出しをクレジット枚数への加算によって処理する機能をゲーム機Gが備えている場合には、クレジット枚数からの減算分を投入枚数NSTinに、クレジット枚数への加算分を払い出し枚数NSToutにそれぞれ加えてペイアウト率POstを求める必要がある。
【0034】
本形態のゲーム機Gでは、各ステーションユニットSTにおけるペイアウト率POstが適度に均一化されるように、ホスト制御ユニット100と各ステーション制御ユニット150とにおいて図7に示す処理がそれぞれ連係して実行される。すなわち、ホスト制御ユニット100は適度な周期で全体ペイアウト率管理ルーチンを実行し、これに同期して各ステーション制御ユニット150は個別ペイアウト率管理ルーチンを実行する。これらのルーチンが開始されると、まずステーション制御ユニット150はステップS11で自らが演算したペイアウト率POstをホスト制御ユニット100に通知する。これを受けて、ホスト制御ユニット100はステップS21で各ステーションユニットSTのペイアウト率POstを取得し、続くステップS22で全体のペイアウト率POallを演算し、その演算結果を各ステーション制御ユニット150に通知する。全体のペイアウト率POallは一例として各ステーションユニットSTのペイアウト率POstの単純平均でよい。
【0035】
ステーション制御ユニット150はステップS12でホスト制御ユニット100からのペイアウト率POallを取得し、続くステップS13で自身のペイアウト率POstと全体のペイアウト率POallとの差に基づき、自らのステーションユニットSTにおける目標ペイアウト率POsttgtを決定する。各ステーション制御ユニット150には、予め標準的な目標ペイアウト率POsttgtが初期値として設定されている。そして、各ステーション制御ユニット150は、自らが演算したペイアウト率POstがその初期値の目標ペイアウト率POsttgtに向かって制御されるようにデジタル抽選ゲームの当選確率(当り役が成立する確率)等を適宜調整する。さらに、ステーション制御ユニット150は、ステップS13にて自身のペイアウト率POstと全体のペイアウト率POallとの差が許容範囲を超えて拡大している場合、その差が減少するように目標ペイアウト率POsttgtを修正する。例えば、自らのペイアウト率POstが全体のペイアウト率POallよりも高い場合、目標ペイアウト率POsttgtを初期値よりも低く設定する。このように目標ペイアウト率POsttgtを変化させることにより、ステーションユニットST間におけるペイアウト率POstのばらつきを抑えることができる。
【0036】
次に、図8を参照してステーションユニットSTにおけるゲームの制御を説明する。各ステーションユニットSTにおいては、プッシャーテーブル22、23が所定の周期で往復運動を繰り返しつつ、メダル投入口からのメダルMの投入に応じてプレイフィールド部12にメダルMが投入されてメダルプッシャーゲームが実行される。図8はそのメダル投入口からのメダルMの投入の検出に応答してステーション制御ユニット150が実行するゲーム基本制御ルーチンを示すフローチャートである。図8のゲーム基本制御ルーチンにおいて、ステーション制御ユニット150は、まずステップS101でメダルMをプレイフィールド部12に投入するために必要な処理を実行する。このときのメダルMの流れは図3を参照して説明した通りである。
【0037】
次のステップS102において、ステーション制御ユニット150はメダルMがチェッカーとしての開口部24aから24cのいずれかに入ったか否かを判別する。チェッカーに入っていた場合、ステーション制御ユニット150はステップS103に進み、デジタル抽選ゲームにおけるスロット抽選を開始する。すなわち、ステーション制御ユニット150は図9に示すゲーム画面200をステーションモニタ16上に表示させ、そのゲーム画面200に横一列に並べて配置される可変表示部201a、201b、201cのそれぞれに表示すべき絵柄を乱数等を用いて抽選する。絵柄の決定手順は通常のスロットマシンのそれと同様の制御則に基づいて行ってよい。そして、抽選された絵柄を可変表示部201a、201b、201cのそれぞれに所定の演出効果(アニメーション等)を与えつつ表示する。なお、ゲーム画面200にはビンゴゲーム部210も設けられるが、これについては後述する。
【0038】
スロット抽選の終了後、ステーション制御ユニット150はステップS104に進み、スロット抽選で決定された3つの絵柄の組み合わせが外れ役か否か判別し、外れ役の場合は今回のルーチンを終了する。一方、ステップS104にて外れ役ではない場合、つまりスロット抽選で当り役が成立した場合、ステーション制御ユニット150はステップS105以下に進んで当り役の種類に応じた処理を実行する。すなわち、ステーション制御ユニット150はまずステップS107で「ボール」の当り役が成立したか否か判別する。「ボール」の役が成立している場合、ステーション制御ユニット150はステップS106へ進んでノーマルボールB1のプレイフィールド部12への払い出し(投入)を実行する。すなわち、サテライト制御ユニット140に対してノーマルボールB1の払い出しを要求する。その要求に応えてサテライト制御ユニット140はボール供給機構50AからノーマルボールB1を排出させ、これをボールキャリア40によってステーションユニットSTのボール投入部14のスロープ14aに払い出す。そのノーマルボールB1の払い出しに同期してステーション制御ユニット150はボール投入部14の投入位置選択機構14bを作動させてノーマルボールB1をプレイフィールド部12の適宜の位置に投入する。ノーマルボールB1の投入が完了すると、ステーション制御ユニット150は今回のルーチンを終える。
【0039】
ステップS105で「ボール」の当り役が成立していない場合、ステーション制御ユニット150はステップS107へ進んでスロット抽選にて「通常絵柄」の当り役が成立したか否か判別する。「通常絵柄」の当り役の場合、ステーション制御ユニット150はステップS108へ進んで「通常絵柄」の当り役に対応付けられた枚数のメダルMをメダル供給部13からプレイフィールド部12に供給する処理を実行する。以下において、メダルMの払い出しは、リフトアップホッパ25からメダル払い出し部11へのメダルMを払い出しを意味し、メダルMの供給はメダル供給部13からプレイフィールド部12へのメダルMの供給を意味する。メダル供給部13からのメダルMの供給はメダル排出部18及びメダルシュート19を経由するルートのみでもよいが、大量のメダルMを一時にプレイフィールド部12に供給する際には他のルートを経由してメダルMが供給されるようにしてもよい。
【0040】
続くステップS109において、ステーション制御ユニット150はスロット抽選のモードを通常モードに設定し、その後、今回のルーチンを終了する。スロット抽選のモードは後述する。ステップS107にて「通常絵柄」の当り役が成立していない場合、ステーション制御ユニット150はステップS110に進んで「確率変動絵柄」の当り役が成立するか否か判別する。「確率変動絵柄」の当り役が成立している場合、ステーション制御ユニット150はステップS111に進んで「確率変動絵柄」に対応付けられた枚数のメダルMをプレイフィールド部12に供給する。続くステップS112において、ステーション制御ユニット150はスロット抽選のモードを確率変動モードに設定し、その後、今回のルーチンを終了する。確率変動モードとは、スロット抽選で当り役が成立する確率を通常モードに比して高めたモードである。つまり、「確率変動絵柄」の当り役が成立すればステップS112で確率変動モードが開始され、又は同モードが継続される。そして、確率変動モード中に「通常絵柄」の当り役が成立した場合、ステップS109の処理により確率変動モードが終了する。
【0041】
ステップS110にて「確率変動絵柄」の当り役が成立していない場合、ステーション制御ユニット150はステップS113に進み、「ビンゴフィーチャー」の当り役が成立しているか否か判別する。「ビンゴフィーチャー」の当り役が成立している場合、ステーション制御ユニット150はステップS114に進み、ビンゴカードフィーチャー設定処理を実行する。ビンゴカードフィーチャー設定処理は、サテライトユニットSAにて実行されるサテライト抽選と、図9のビンゴゲーム部210に表示されるビンゴカード211とを組み合わせて実行されるビンゴゲームにおけるプレイヤーの特典を変化させることにより、メダルMの払い出し枚数に関するプレイヤーの期待値を変化させるための処理である。以下、この点を説明する。
【0042】
図10にビンゴゲーム部210を拡大して示す。ビンゴゲーム部210にはビンゴカード211が表示される。ビンゴカード211は9個のマスを3行3列のマトリクス状に並べた構成を有し、各マスには1〜9の数値が適宜に配置されている。これらの数値は、サテライトユニットSAのビンゴステージ30の入賞ポケット32a、33aに付された数値に対応する。サテライト抽選にて入賞ポケット32a又は33aのいずれかにボールBが落下すると、その入賞ポケット32a、33aに付された数値が有効となる。ビンゴカード211の縦方向、横方向又は対角線方向に3つの有効な数値が並ぶことにより、ビンゴ成立となり、オッズ表示域212に表示された枚数のメダルがプレイフィールド部12に供給される。ビンゴカード211の左辺及び下辺にはビンゴフィーチャー表示域213が設けられている。ビンゴフィーチャー表示域213には、ビンゴカード211の横方向のライン、縦方向のライン及び対角線方向のラインにそれぞれ対応付けて、フィーチャー表示部214a〜214hが設けられている。これらのフィーチャー表示部214a〜214hには、対応するライン上でビンゴが成立、つまり3つの有効な数値が並んだときに、オッズ表示域212に表示された枚数のメダルMの供給に追加して、プレイヤーに付与されるべき特典に対応した絵柄が表示される。これらの特典は、いずれもプレイヤーへのメダルの払い出しに直接又は間接的に結び付くものであって、かつ、それらの特典がペイアウト率に与える影響は互いに相違する。本形態では、特典として、オッズ表示域212に表示されたメダル枚数に対するボーナス枚数の加算、ノーマルボールB1又はスペシャルボールB2のプレイフィールド部12への投入、「JPチャンス」の付与等が用意されている。図10の例では、フィーチャー表示部214a、214eにスペシャルボールB2の投入を示す絵柄が、フィーチャー表示部214b、214d、214f、214hにノーマルボールB1の投入を示す絵柄が、フィーチャー表示部214cに「JPチャンス」の付与を示す絵柄がそれぞれ出現している。従って、例えばビンゴカード211の一番上の行で有効な数値が3つ横方向に並んだ場合、ビンゴ成立に伴ってスペシャルボールB2がプレイフィールド部12に投入される。
【0043】
図8のステップS114におけるビンゴカードフィーチャー設定処理では、フィーチャー表示部214a〜214hのいずれかに出現させるべき絵柄(特典)を新たに追加し、あるいは修正することにより、ビンゴ成立時にプレイヤーが獲得する特典を変化させる。これにより、メダルのペイアウト率を制御することができる。例えば、現実のペイアウト率POstが目標ペイアウト率POsttgtよりも低いときは、予め用意された複数の特典のうち、ペイアウト率を高める方向への影響がより大きい特典、言い換えれば、より多くのメダルの払い出しに結び付く特典を他の特典に比して優先的に選択することにより、ペイアウト率POstを目標ペイアウト率POsttgtにより早く収束させることができる。反対に、現実のペイアウト率POstが目標ペイアウト率POsttgtよりも高いときは、予め用意された複数の特典のうち、ペイアウト率を高める方向への影響がより小さい特典、言い換えれば、メダルの払い出し量が相対的に少ない特典を他の特典に比して優先的に選択することにより、ペイアウト率POstを目標ペイアウト率POsttgtにより早く収束させることができる。これらの特典の選択は、例えば各特典がペイアウト率に与える影響の大小を予め定量化し、その定量化された値に応じて各特典が選択される確率を基本的に設定し、ペイアウト率を高める方向に制御したい場合にはペイアウト率への影響(但し、高める方向への影響)がより大きな特典の選択確率を基本設定よりも高め、反対にペイアウト率を下げる方向に制御したい場合にはペイアウト率への影響がより小さい特典の選択確率を基本設定よりも高めるようにすればよい。ステップS114にてフィーチャー設定処理が完了すると、ステーション制御ユニット150は今回のルーチンを終える。
【0044】
図8のステップS113にて「ビンゴフィーチャー」の当り役が成立していない場合、ステーション制御ユニット150はステップS115に進み、「ダイレクトサテライト」の当り役が成立しているか否か判別する。「ダイレクトサテライト」の当り役が成立している場合、ステーション制御ユニット150はステップS123に進む。一方、「ダイレクトサテライト」の当り役が成立していない場合、ステーション制御ユニット150はステップS116に進み、「ダイレクトセンター」の当り役が成立しているものと識別する。続くステップS123にて、ステーション制御ユニット150は、センター制御ユニット130に対してセンター抽選の実行を要求し、その後、今回のルーチンを終了する。なお、この場合、ボール運搬部15にボールBが搬出されていないので、ボール供給機構50Aからボールキャリア40にボールB1を払い出し、そのボールB1をボール投入機構60Aまで搬送してサテライト抽選を実行する。
【0045】
図8のステップS102にてメダルMがチェッカーに入っていない場合、ステーション制御ユニット150はステップS120に進み、ボールBがメインテーブル20から落下したか否か判別する。ボールBが落下していなければ今回のルーチンを終了する。一方、ボールBが落下した場合、ステーション制御ユニット150はステップS121に進み、落下したボールBがスペシャルボールB2か否か判別する。ボールBの種類の判別は図6のセンサ群151に関して説明した通りである。落下したボールBがスペシャルボールB2の場合、ステーション制御ユニット150はステップS122に進み、サテライト抽選をビンゴステージ30の内周部33にて実行すべきものと決定する。一方、落下したボールBがスペシャルボールB2ではない場合、ステーション制御ユニット150はステップS123に進み、サテライト抽選をビンゴステージ30の外周部32にて実行すべきものと決定する。サテライト抽選を実行すべき領域を判別した後、ステーション制御ユニット150はステップS124に進み、サテライト制御ユニット140に対してサテライト抽選を要求する。この場合、ステーション制御ユニット150は、サテライト抽選を外周部32又は内周部33のいずれにて実行すべきかを指定する情報もサテライト制御ユニット140に提供する。サテライト抽選の要求後、ステーション制御ユニット150は今回のルーチンを終了する。なお、サテライト抽選の要求に併せて、ステーション制御ユニット150は、落下したボールBがスロープ28の終端まで搬送されるようにボール運搬部15の動作を制御する。
【0046】
図11はステーション制御ユニット150からのサテライト抽選の要求に応答してサテライト制御ユニット140が実行するサテライト抽選ルーチンを示すフローチャートである。サテライト抽選ルーチンにおいて、サテライト制御ユニット140はまずステップS201でサテライト抽選を外周部32又は内周部33のいずれにて実行すべきかをステーション制御ユニット150から提供された情報によって判別する。外周部32にて実行すべき場合、サテライト制御ユニット140はステップS202に進み、ステーションユニットSTのボール運搬部15にて搬送されたボールB(この場合はノーマルボールB1である。)がボール投入機構60Aから外周部32に投入されるように、ボールキャリア40及びボール投入機構60Aの動作を制御する。一方、サテライト抽選を内周部33にて実行すべき場合、サテライト制御ユニット140はステップS203に進み、ステーションユニットSTのボール運搬部15にて搬送されたボールB(この場合はスペシャルボールB2である。)がボール投入機構60Bから内周部33に投入されるように、ボールキャリア40及びボール投入機構60Bの動作を制御する。
【0047】
ボールBの投入後、サテライト制御ユニット140はステップS204に進み、投入されたボールBがいずれの入賞ポケット32a(又は33a)に落下したか、をセンサ群141に含まれる入賞センサの検出信号に基づいて読み取る。続くステップS205において、サテライト制御ユニット140は、ボールBが落下した入賞ポケット32a(又は33a)がJPチャンスポケット、つまり「JPチャンス」の文字が付された入賞ポケットか否か判別する。そして、JPチャンスポケットであった場合、サテライト制御ユニット140はステップS206に進み、センター制御ユニット130に対してセンター抽選を要求する。入賞ポケットがJPチャンスポケットではない場合、ステップS206はスキップされる。
【0048】
次のステップS207において、サテライト制御ユニット140はホスト制御ユニット100及びステーション制御ユニット150(但し、サテライト抽選を要求したステーション制御ユニット150である。)に対して、ボールBが落下した入賞ポケット32a(又は33a)の番号又は文字を通知する。その通知後、サテライト制御ユニット140はサテライト抽選ルーチンを終了する。
【0049】
図12は、ホスト制御ユニット100が、サテライト制御ユニット140からの入賞ポケットの番号又は文字(以下、番号で代表する。)の通知に対応して実行する入賞確率判定ルーチンを示すフローチャートである。このルーチンは、ビンゴステージ30の各入賞ポケット32a、33aにおけるボールBの落下の確率(ボールBの入り易さ)が機械的誤差等の影響で均一とならないため、その確率のばらつきを把握してゲームの制御に反映させるべく実行される。このルーチンにおいて、ホスト制御ユニット100は、まずステップS301でサテライト制御ユニット140からの入賞ポケット番号の通知に応じて入賞回数データを更新する。入賞回数データは、例えば図13に示すように入賞ポケット32a、33aに付された入賞ポケットの番号(1〜9の数値及び「JP」)と、各番号への入賞回数N1〜N9、Njpとを対応付けて記憶したデータである。入賞回数は適当なサンプリング期間(一例として過去1000回の抽選回数)内のものである。例えばサテライト抽選にて番号1が付された入賞ポケット32aにボールB1が入賞した旨の通知を受け取った場合、ポケット番号1の入賞回数N1に1が加算され、かつサンプリング期間内で最も古い抽選機会に対応するポケット番号x(xは1〜9のいずれか、又はJP)の入賞回数Nxから1が減算される。
【0050】
次に、ホスト制御ユニット100は、ステップS302でポケット番号毎の入賞確率を演算する。その演算は各ポケット番号毎の入賞回数N1〜N9、Njpをサンプリング期間内の抽選回数で除した値である。なお、「JPチャンス」に対応するポケット番号JPの入賞確率についてはその演算を省略してもよい。続く、ステップS302でホスト制御ユニット100は、演算されたポケット番号毎の入賞確率をステーション制御ユニット150に通知し、その後に今回のルーチンを終了する。なお、ステップS303において通知先となるステーション制御ユニット150は、サテライト抽選の結果を通知したサテライト制御ユニット140を含んだサテライトユニットSAと組み合わされる4台のステーションユニットSTの制御ユニット150である。つまり、入賞確率判定ルーチンはサテライトユニットSAとこれに組み合わされる4台のステーションユニットSTとを一つの単位として、その単位毎に区別して実行される。
【0051】
図14は、ステーション制御ユニット150が、サテライト制御ユニット140から入賞ポケットの番号を通知された場合に実行するビンゴゲームルーチンを示すフローチャートである。ビンゴゲームルーチンにおいて、ステーション制御ユニット150はまずステップS131で、サテライト制御ユニット140から通知された入賞ポケット32a又は33aの番号と同一の数値をビンゴカード211上で有効化する。但し、入賞ポケットが「JPチャンス」であった場合には有効化は行われない。
【0052】
続くステップS132において、ステーション制御ユニット150はビンゴカード211でビンゴ成立、すなわち3つの有効な数値が一列に並んだか否か判別する。ビンゴ成立の場合、ステーション制御ユニット150はステップS133に進み、ビンゴ成立に対する報酬として、ビンゴWIN枚数とリピートWIN枚数とを合計した枚数のメダルMをプレイフィールド部12に供給する。ここでビンゴWIN枚数は図10のオッズ表示域212に表示された枚数である。リピートWIN枚数とは、図10のリピート枚数表示部215に表示された枚数である。リピートWIN枚数については後述する。さらに、ステップS133において、ステーション制御ユニット150は、図10のビンゴゲーム部210のフィーチャー表示部214a〜214hのうち、ビンゴが成立した行又は列(以下、これを入賞ラインと呼ぶ。)の表示部に出現している絵柄に対応する特典をプレイヤーに付与する。本形態では、例えばメダルの払い出し枚数の加算、ボールBの投入、「JPチャンス」の付与といった特典が付与される。「JPチャンス」の付与は、図12のステップS205からS206へ処理が進む場合と同様に、センター抽選の要求である。
【0053】
次のステップS135において、ステーション制御ユニット150は、入賞ライン上のフィーチャーをリセット、つまり、その入賞ラインに対応付けられた特典を消滅させる。その後、ステーション制御ユニット150はステップS136に進み、ホスト制御ユニット100から通知された各ポケット番号の入賞確率を取得する。続くステップS137においてステーション制御ユニット150は、ポケット番号の入賞確率及びペイアウト率POstと目標ペイアウト率POsttgtとの差を参照しつつ入賞ライン上の数値の並び替えを実行する。例えば、図15に示すようにビンゴカードの中央の行が入賞ラインとなり、その入賞ライン上の数値が7、6、4で、かつそれらの数値に対応する入賞パケット番号の入賞確率P7、P6、P4にP7>P6>P4の大小関係が存在していた場合を考える。ステップS137の並べ替え処理では、この入賞ライン上に配置された3つの数値の並び順を再設定する。ビンゴカードの中央のマスは縦方向、横方向及び対角線方向のいずれのラインにも含まれ得るマスであり、ここに入賞確率の高い数値が配置された場合には、入賞確率の低い数値が配置された場合との比較において、ビンゴ成立となる確率が相対的に高くなる。そこで、ステップS137の並べ替えにおいては、目標ペイアウト率POsttgtが現実のペイアウト率POstよりも十分に高い場合、中央のマスに入賞確率が最も高い数値である7を配置し、その他の数値を左右のマスに割り振る。これにより、ビンゴ成立の確率を上昇させる。一方、目標ペイアウト率POsttgtが現実のペイアウト率POstよりも十分に低い場合、中央のマスに入賞確率が最も低い数値である4を配置し、その他の数値を左右のマスに割り振る。これにより、ビンゴ成立の確率を低下させる。このように、入賞確率に応じて数値の並び替えを実施してビンゴ成立の確率を変化させることにより、ペイアウト率POstを目標ペイアウト率POsttgtに向かってより早く変化させることが可能となる。
【0054】
図14に戻って説明を続ける。入賞ラインの数値の並び替えを実施した後、ステーション制御ユニット150は今回のルーチンを終了する。なお、並び替え後の入賞ラインの各数値は無効化された初期状態となる。一方、ステップS132にてビンゴが成立していない場合、ステーション制御ユニット150はステップS140に進み、入賞ポケット番号がリピートか否か判別する。サテライト抽選で通知された数値が既にビンゴカード211上で有効化されている場合にリピートと判定する。リピートと判定された場合、ステーション制御ユニット150はステップS141に進み、リピートステップを1ステップ増加させる。つまり、図10のリピート枚数表示部215に表示されたリピートWIN枚数を一段階大きい値に変更する。図10の例では、リピートWIN枚数が、リピート回数が1回のとき10枚、2回のとき20枚、3回のとき40枚と徐々に増加している。ビンゴ成立時には、リピート回数に応じたリピートWIN枚数のメダルがプレイフィールド部12に供給される(ステップS133参照)。
【0055】
続くステップS142において、ステーション制御ユニット150はノーマルボールB1のプレイフィールド部12への払い出しを実行する。この処理は図8のステップS106と同様でよい。ノーマルボールB1の払い出し後、ステーション制御ユニット150は今回のルーチンを終了する。ステップS140にてリピートではなかった場合、ステーション制御ユニット150はステップS143に進んで所定枚数のメダルMの供給を実行し、その後に今回のルーチンを終了する。
【0056】
図16は、センター抽選の要求に応答してセンター制御ユニット130が実行するセンタ抽選ルーチンを示すフローチャートである。センター抽選は、図8のステップS117、又は図11のステップS206にて要求される他、図14のステップS133で付与されるビンゴフィーチャーが「JPチャンス」の場合にも要求される。センター抽選ルーチンにおいて、センター制御ユニット130は、まずステップS401でセンター抽選を実行する。すなわち、大ルーレット71を回転させつつ大ボール投入機構72から大ボール73を投入させる。続くステップS402において、センター制御ユニット130は大ボール73がJP獲得ポケットとして定義された入賞ポケット71aに入ったか否か判別する。なお、大ボール73の投入からボールが入るまでに相当の時間を要する場合には、大ボール73の投入で一旦処理を中断し、大ルーレット71のいずれかの入賞ポケット71aへの大ボール73の取り込みの検出をトリガとして図16の処理を再開してもよい。
【0057】
ステップS402でJP獲得ポケットへ大ボール73が取り込まれたと判断した場合、センター制御ユニット130はステップS403に進み、センター抽選を要求したステーション制御ユニット150に対してJP当選に対応する枚数のメダルのプレイフィールド部12への供給を指示する。メダル供給の指示後は今回のルーチンを終了する。なお、サテライト制御ユニット140からセンター抽選が要求された場合、そのサテライト制御ユニット140に対してサテライト抽選を要求したステーション制御ユニット150がメダル供給指示の通知先となる。一方、ステップS402でJP獲得ポケットに大ボール73が取り込まれていない場合、センター制御ユニット130はステップS404に進み、グランドスロットポケットとして定義された入賞ポケット71aに大ボール73が取り込まれたか否か判別する。グランドスロットポケットに大ボール73が取り込まれた場合、センター制御ユニット130はステップS405に進んでホスト制御ユニット100にグランドスロット抽選の実行を要求し、その後に今回のルーチンを終了する。
【0058】
ステップS404でグランドスロットポケットに大ボール73が取り込まれていない場合、センター制御ユニット130はステップS406に進み、センター抽選に対応付けられた枚数のメダルMのプレイフィールド部12への供給をステーション制御ユニット150に指示する。この場合の供給枚数はステップS403で指示される枚数よりも十分に少ない。大ボール73が取り込まれた入賞ポケット71aの種類に応じて異なる枚数を指示してもよい。メダル供給指示の通知先はステップS403の場合と同様である。メダル供給の指示後、センター制御ユニット130は今回のルーチンを終了する。
【0059】
図17はホスト制御ユニット100がセンター制御ユニット130からのグランドスロット抽選の要求(図16のステップS405)に応答して実行するグランドスロット抽選ルーチンを示すフローチャートである。グランドスロット抽選ルーチンにおいて、ホスト制御ユニット100はまずステップS501でグランドスロット抽選を実行する。グランドスロット抽選は、ステーションユニットSTのステーションモニタ16上で実行されるデジタル抽選ゲームと同じく、3つの絵柄の組み合わせによって当り役の成否を競うスロット抽選であるが、そのゲーム画面はセンターPC120を介してセンターモニタ70上に表示される。グランドスロット抽選における絵柄の組み合わせの決定、言い換えればグランドスロット抽選における当選確率の決定においては、図7の処理で演算される全体のペイアウト率POallが参照されてもよい。
【0060】
グランドスロット抽選の実行後、ホスト制御ユニット100はステップS502に進み、グランドスロット抽選にて「プレミアムモード」の当選役が成立したか否か判別する。「プレミアムモード」の当選役が成立している場合、ホスト制御ユニット100はステップS503に進み、ステーション制御ユニット150に対してプレミアムモードへの移行を要求する。この場合の要求先は、図16のステップS405にてグランドスロット抽選を要求する契機となったセンター抽選をセンター制御ユニット130に対して要求したステーション制御ユニット150である。プレミアムモードへの移行の要求後、ホスト制御ユニット100は今回のルーチンを終了する。
【0061】
ステップS502で「プレミアムモード」の当選役が成立していない場合、ホスト制御ユニット100はステップS504に進み、「サテライトゲーム」の当選役が成立したか否か判別する。「サテライトゲーム」の当選役が成立している場合、ホスト制御ユニット100はステップS505に進み、センター抽選を要求したサテライト制御ユニット140に対して所定のセンターゲームの実行を要求する。その要求後、ホスト制御ユニット100は今回のルーチンを終了する。サテライトゲームの実行を要求されたサテライト制御ユニット140は所定の手順でサテライトゲームを実行し、そのゲーム結果に応じたメダルMの供給をステーション制御ユニット150(ステップS503の要求先と同じ)に対して指示する。
【0062】
ステップS504にて「サテライトゲーム」の当選役が成立していない場合、ホスト制御ユニット100はステップS506に進み、「メダルWIN」の当選役が成立したか否か判別する。「メダルWIN」の当選役が成立している場合、ホスト制御ユニット100はステップS507に進み、ステーション制御ユニット150に対してJP枚数(図16のステップS403にて指示される供給枚数)に、「メダルWIN」の当選役に対応付けられた枚数を加算した枚数のメダルの供給をステーション制御ユニット150に対して指示する。この場合の指示先もステップS503と同様である。メダル供給の要求後、ホスト制御ユニット100は今回のルーチンを終了する。
【0063】
ステップS506にて「メダルWIN」の当選役が成立していない場合、ホスト制御ユニット100はステップS508に進み、センター制御ユニット130に対してセンター抽選の再実行を要求する。これを受けて、センター制御ユニット130は図16のセンター抽選を再度実行する。センター抽選の再実行を要求した後、ホスト制御ユニット100は今回のルーチンを終了する。
【0064】
図18は、ホスト制御ユニット100からプレミアムモードへの移行が要求された場合(図17のステップS503)にステーション制御ユニット150が実行するプレミアムモードルーチンを示すフローチャートである。このルーチンは、メダルMのプレイフィールド部12への投入が検出された場合に、図8のゲーム基本制御ルーチンに代えて実行される。つまり、プレミアムモードの実行時にはゲーム基本制御ルーチンに基づくゲーム制御は実行されない。また、プレミアムモードが実行される場合、図9に示すゲーム画面200に代えて図19に示すゲーム画面220がステーションモニタ16上に表示される。ゲーム画面220は横方向に3つの可変表示部201a、201b、201cが設けられる点で図9のゲーム画面200と共通するが、画面上部にはビンゴゲーム部210に代えて、継続条件表示部221が設けられる点で相違する。継続条件表示部221には、1〜9の数値が横一列に並べて表示され、かつそれらの数値はプレミアムモードを継続させる数値として有効か無効かに応じて異なる態様で表示される。図19では有効な数値に丸印が付され、無効な数値には×が付されている。
【0065】
プレミアムモードルーチンにおいて、ステーション制御ユニット150はまずステップS151でメダル投入処理を実行し、続くステップS151でチェッカーへメダルMが入賞したか否か判別する。チェッカーにメダルMが入った場合、ステーション制御ユニット150はステップS153に進み、ステーションモニタ16上で実行されるデジタル抽選ゲームとしてのスロット抽選を実行する。このときの当選役は同一の数値が3つ揃った場合のみに限定される。また、当選確率は図8のステップS103におけるそれよりも高く設定される。続くステップS154において、ステーション制御ユニット150はスロット抽選で得られた絵柄の組み合わせが外れ役か否か判別し、外れ役であれば今回のルーチンを終了する。
【0066】
一方、ステップS154にて外れ役ではない場合、ステーション制御ユニット150はステップS155に進み、スロット抽選で成立した当選役に応じた枚数のメダルMのプレイフィールド部12への供給を実行する。続くステップS156において、ステーション制御ユニット150は当選番号、つまり3つ揃った数値に関する有効、無効を切り替える。例えば、図19に示すように数値3が3つ揃って当選役が成立した場合、その数値3の有効、無効が切り替えられる。例えば、図19においては、継続条件表示部221にて数値3に丸印が付されることにより、数値3が有効となっているため、数値3が3つ揃ったときは数値3が有効から無効へと切り替えられ、これに伴って継続条件表示部221に表示される数値3は丸印が付された態様から、×印が付された態様へと切り替えられる。有効、無効の切り替えを終了した後、ステーション制御ユニット150は今回のルーチンを終了する。
【0067】
一方、ステップS152にてチェッカーへメダルMが入っていない場合、ステーション制御ユニット150はステップS160へ進み、ボールBがメインテーブル20から落下したか否か判別する。ボールBが落下していなければ今回のルーチンを終了する。一方、ボールBが落下した場合、ステーション制御ユニット150はステップS161に進み、落下したボールBがスペシャルボールB2か否か判別する。ボールBの種類の判別は図6のセンサ群151に関して説明した通りである。落下したボールBがスペシャルボールB2の場合、ステーション制御ユニット150はステップS162に進み、サテライト抽選をビンゴステージ30の内周部33にて実行すべきものと決定する。一方、落下したボールBがスペシャルボールB2ではない場合、ステーション制御ユニット150はステップS163に進み、サテライト抽選をビンゴステージ30の外周部32にて実行すべきものと決定する。サテライト抽選を実行すべき領域を判別した後、ステーション制御ユニット150はステップS164に進み、サテライト制御ユニット140に対してサテライト抽選を要求する。この場合、ステーション制御ユニット150は、サテライト抽選を外周部32又は内周部33のいずれにて実行すべきかを指定する情報もサテライト制御ユニット140に提供する。サテライト抽選の要求後、ステーション制御ユニット150は今回のルーチンを終了する。なお、サテライト抽選の要求に併せて、ステーション制御ユニット150は、落下したボールBがスロープ28の終端まで搬送されるようにボール運搬部15の動作を制御する。
【0068】
図18のステップS164の処理によってサテライト抽選が要求されたサテライト制御ユニット140は図11の手順に従ってサテライト抽選を実行する。ステーション制御ユニット150はそのサテライト抽選の結果を受けて、図20に示すプレミアムモード終了制御ルーチンを実行する。このルーチンはプレミアムモードの継続又は終了を制御するためのものである。最初のステップS171において、ステーション制御ユニット150はサテライト制御ユニット140から通知される入賞ポケットの番号を取得する。次のステップS172において、ステーション制御ユニット150は、ステップS171で取得した入賞ポケット番号が「JP」であるか否か、つまり、JPチャンスポケットへボールBが入ったか否か判別する。入賞ポケット番号が「JP」であればステップS173に進んでプレミアムモードを終了させ、図8に示すゲーム基本制御へと処理を復帰させる。この後、ステーション制御ユニット150は今回のルーチンを終了する。なお、ここではプレミアムモードを終了させるだけであり、サテライト抽選において「JPチャンス」が発生した場合には、図16のセンター抽選以下へと処理が進む。
【0069】
図20のステップS172にて入賞ポケット番号が「JP」ではない場合、ステーション制御ユニット150はステップS174に進み、入賞ポケット番号が無効数値か否か判別する。ここでいう無効数値は、図19のゲーム画面220の継続条件表示部221にて×印が付された数値である。そして、入賞ポケット番号が無効数値と一致する場合、ステーション制御ユニット150はステップS173へと進む。入賞ポケット番号が無効数値ではない場合、ステーション制御ユニット150はステップS173をスキップして今回の処理を終了する。以上のルーチンによれば、サテライト抽選において無効数値と一致する番号の入賞ポケットにボールBが落下した場合、又はサテライト抽選にてJPチャンスが発生してセンター抽選へと処理が進んだ場合にプレミアムモードが終了する。従って、サテライト抽選でボールBが落下した入賞ポケットの番号が有効数値と一致した場合にはプレミアムモードが継続する。
【0070】
以上の形態においては、サテライトユニットSAが物理的抽選機構に、ボールBが抽選用媒体に、ステーション制御ユニット150がゲーム実行手段及びペイアウト率制御手段に、ホスト制御ユニット100が確率演算手段にそれぞれ相当する。
【0071】
本発明は以上の形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、上記の形態では抽選用媒体としてのボールBをプレイフィールド部12を経由して投入しているが、プレイフィールド部12を経由することなくサテライト抽選を実行してもよい。物理的抽選機構はサテライトユニットSAの構成に限定されることなく、抽選用媒体の物理的な動作を利用して少なくとも一つの選択肢を無作為に抽選できるものであれば適宜に変更してよい。例えば、サイコロの目、コインの裏表等よって少なくとも一つの選択肢を抽選するような物理的抽選機構でもよい。あるいは、少なくとも一つの選択肢とそれぞれ対応付けられた複数の媒体取込部を有する抽選盤上で抽選用媒体に物理的な動作を与え、該抽選用媒体がいずれの媒体取込部に取り込まれたかによって、抽選された選択肢を決定する物理的抽選機構としてもよい。ゲーム実行手段はビンゴゲームを実行するものに限定されず、物理的抽選機構における抽選結果と関連付けてゲームを実行するものであれば適宜に変更してよい。例えば、絵柄をマトリクス状に並べて絵柄配置領域を生成する場合において、抽選された選択肢に対応する絵柄が絵柄配置領域の四隅に配置されている場合に当選配列が形成されたものとする等、適宜の変更が可能である。
【0072】
ペイアウト率制御手段は、ビンゴカード上の絵柄の並び方を変化させる例に限らず、ペイアウト率に影響する各種の要素を変更してよい。例えば、上記の形態においては、プレミアムモードで実行されるスロット抽選に、ボールBの入賞確率が高い入賞ポケットの番号と同一数値が無効(×印)となり、入賞確率が低い入賞ポケットの番号と同一数値が有効(丸印)となるようにスロット抽選を操作すれば、プレミアムモードが終了する確率が高まり、それによりペイアウト率の上昇を抑える効果が得られる。ビンゴカード211上の数値の配列に応じてライン毎にビンゴ成立となる確率に相違が生じるため、ビンゴ成立の確率が低いラインに対してペイアウト率を高める方向への影響がより大きい特典を配置し、ビンゴ成立の確率が低いラインに対してペイアウト率を高める方向への影響がより小さい特典を配置すればペイアウト率の上昇を抑える効果が得られる。
【0073】
本発明はステーションユニットST、サテライトユニットSA及びセンターユニットCNを組み合わせた構成のゲーム機に限定されない。例えば単一の物理的抽選機構を単一のステーションユニットSTと組み合わせ、あるいは単一のステーションユニットST内に物理的抽選機構を組み込んだような構成のゲーム機であっても本発明は適用し得る。本発明は、遊技媒体を現実に払い出すことによって遊技価値のプレイヤーへの払い出しを実現するゲーム機に限らず、仮想的な遊技媒体を利用して遊技価値の払い出しを実現するようなゲーム機でも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一形態に係るゲーム機の概略構成を示す図。
【図2】サテライトユニット及びこれに組み合わされる1台のステーションユニットを示す斜視図。
【図3】ステーションユニットにおけるメダルの流れを示す図。
【図4】ステーションユニットにおけるボールの流れを示す図。
【図5】センターユニットの斜視図。
【図6】ゲーム機の制御系の概略構成を示すブロック図。
【図7】ホスト制御ユニット及びステーション制御ユニットがペイアウト率管理のために実行する処理を示すフローチャート。
【図8】ステーション制御ユニットがメダルの投入に応答して実行するゲーム基本制御ルーチンを示すフローチャート。
【図9】ステーションユニットのモニタ上に表示されるゲーム画面を示す図。
【図10】図9のゲーム画面内に設けられるビンゴゲーム部の詳細を示す図。
【図11】サテライト制御ユニットが実行するサテライト抽選ルーチンを示すフローチャート。
【図12】ホスト制御ユニットが実行する入賞確率判定ルーチンを示すフローチャート。
【図13】ホスト制御ユニットが保持する入賞回数データを示す図。
【図14】ステーション制御ユニットがサテライト抽選の結果の通知に応答して実行するビンゴゲームルーチンを示すフローチャート。
【図15】ビンゴゲームにおける入賞ライン上の数値の並べ替え方法を説明するための図。
【図16】センター制御ユニットが実行するセンター抽選ルーチンを示すフローチャート。
【図17】ホスト制御ユニットが実行するグランドスロット抽選ルーチンを示すフローチャート。
【図18】ステーション制御ユニットがゲーム基本制御ルーチンに代えて実行するプレミアムモードルーチンを示すフローチャート。
【図19】プレミアムモード時においてステーションのモニタ上に表示されるゲーム画面の概略を示す図。
【図20】プレミアムモードの終了判定のためにステーション制御ユニットが実行するプレミアムモード終了制御ルーチンを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0075】
12 プレイフィールド部
13 メダル供給部
13a メダルホッパ
14 ボール投入部
15 ボール運搬部
16 ステーションモニタ
18 メダル排出部
20 メインテーブル
21 サブテーブル
22、23 プッシャーテーブル
24a、24b、24c 開口部
25 リフトアップホッパ
30 ビンゴステージ(抽選盤)
32a、33a 入賞ポケット(媒体取込部)
40 ボールキャリア
50A、50B ボール供給機構
60A、60B ボール投入機構
70 センターモニタ
71 大ルーレット
71a 入賞ポケット
72 大ボール投入機構
73 大ボール
100 ホスト制御ユニット
110 ホストPC
120 センターPC
130 センター制御ユニット
140 サテライト制御ユニット
150 ステーション制御ユニット
200 ゲーム画面
201a、201b、201c 可変表示部
210 ビンゴゲーム部
211 ビンゴカード(絵柄配置領域)
212 オッズ表示域
213 ビンゴフィーチャー表示域
214a〜214h フィーチャー表示部
220 ゲーム画面
221 継続条件表示部
B ボール(抽選用媒体)
B1 ノーマルボール
B2 スペシャルボール
CN センターユニット
G ゲーム機
M メダル(遊技媒体)
SA サテライトユニット
ST ステーションユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽選用媒体の物理的な動作を利用して複数の選択肢から少なくとも一つの選択肢を抽選する物理的抽選機構と、
前記物理的抽選機構の抽選結果と関連付けて所定のゲームを実行し、前記ゲームの結果に応じた量の遊技価値をプレイヤーに払い出すゲーム実行手段と、
を備えたゲーム機において、
所定のサンプリング期間内における抽選結果に基づいて、各選択肢が抽選される確率を演算する確率演算手段と、
前記確率演算手段にて演算された確率を参照して前記ゲームにおける前記遊技価値のペイアウト率を制御するペイアウト率制御手段と、
を備えたことを特徴とするゲーム機。
【請求項2】
前記ゲーム実行手段は、前記抽選機構による前記複数の選択肢のそれぞれに対応付けられた複数の絵柄を所定の配列で並べた絵柄配置領域を仮想的に生成し、前記抽選機構における複数回の抽選で選ばれた複数の選択肢にそれぞれ対応する前記絵柄配置領域内の複数の絵柄が所定の当選配列を形成した場合にプレイヤーに遊技価値を払い出すように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のゲーム機。
【請求項3】
前記ペイアウト率制御手段は、前記演算された確率に基づいて前記絵柄配置領域内における絵柄の配列を変化させることにより、前記ペイアウト率を制御することを特徴とする請求項2に記載のゲーム機。
【請求項4】
前記ペイアウト率制御手段は、前記ペイアウト率の現在値と目標値との差が減少するように前記絵柄の配列を変化させることを特徴とする請求項3に記載のゲーム機。
【請求項5】
前記ゲーム実行手段は、前記絵柄配置領域として、前記絵柄を縦方向及び横方向に同数ずつマトリクス状に並べたビンゴカードを仮想的に生成し、前記ビンゴカードの縦方向、横方向又は対角線方向のいずれか一つのライン上で全ての絵柄が前記抽選機構にて抽選された選択肢に対応する絵柄となったときに前記当選配列が形成されたものとして前記遊技価値の払い出しを実行することを特徴とする請求項1に記載のゲーム機。
【請求項6】
前記ペイアウト率制御手段は、前記当選配列が形成されたとき、当該当選配列に含まれる絵柄のそれぞれに対応する選択肢に関して前記確率演算手段が演算した確率に基づいてこれらの絵柄の並び順を変化させることにより、前記ペイアウト率を制御することを特徴とする請求項5に記載のゲーム機。
【請求項7】
前記ペイアウト率制御手段は、前記ペイアウト率の現在値が目標値よりも低い場合には当選確率が相対的に高い選択肢に対応する絵柄が前記当選配列上の中央に配置されるように前記絵柄の並び順を変化させ、前記ペイアウト率の現在値が目標値よりも高い場合には当選確率が相対的に低い選択肢に対応する絵柄が前記当選配列上の中央に配置されるように前記絵柄の並び順を変化させる、ことを特徴とする請求項6に記載のゲーム機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2007−215783(P2007−215783A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40034(P2006−40034)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)