説明

物質移送中のトラックの位置を求めて表示する方法

【課題】作業現場に位置する土砂移動機械によって積載されるトラックの位置を決定して表示する方法を提供する。
【解決手段】トラックが土砂移動機械によって土砂を積載される時、その相関位置を求めて表示する方法が提供される。この方法は、積載イベント信号を受信し、該信号に応答してトラックの相関位置を求める。この相関位置は、作業現場に対して表示される。また土砂移動機械によって掘削され、トラックに積載される物質に関する生産性情報を求めて表示する方法が提供される。この方法は、バケット内に積込まれる物質のバケット積込み物質種類を求める。このバケット積込み物質種類に応答して生産性情報が遠隔位置に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業現場からの物質移送の監視に関し、詳しく述べれば、作業現場に位置する土砂移動機械によって積載されたトラックの位置を求めて表示することに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉱山のような作業現場から物質を運搬するプロセスは、現場の地勢または地形のディジタルモデルを作成するための市販のコンピュータソフトウェアの開発によって援助されてきている。これらのコンピュータ化現場モデルは普通の探査、航空写真、またはより最近では運動学的GPS探査技術によって収集された現場データから作成することができる。例えばポイント・バイ・ポイント三次元位置座標のような探査で収集したデータを使用し、現場情報のディジタルデータベースを作成する。このデータベースは、公知のコンピュータグラフィックス、または設計ソフトウェアを使用して二次元または三次元で表示することができる。
【0003】
採鉱現場における掘削動作を監視することは、重要な活動である。掘削動作を効果的に監視することによって、その鉱山はより生産的になる。採鉱現場において遂行されている活動を視覚的に指示する正確な表示が与えられれば、採鉱動作の生産性を増加させることができる。例えば、現在の土砂移動機械は、それが採鉱現場において動作している間、表示装置に表示させることができる。この表示装置は、機械上に、または中央制御施設に配置することができる。しかしながら、現在では掘削機械と採鉱動作中に積載されるトラックとの間の関係を表示する方法は存在していない。掘削機械と積載用トラックとの関係の表示は、掘削機械上に所在する操作員、また中央管理施設に所在する操作員/現場管理者の両者が必要とする重要な機能である。トラックと掘削機械の関係を、トラックに積載された物質の種類の視覚表示と共に正確に表示することによって操作員/現場管理者は、表示装置を一見しただけでトラックの積載動作の完全な画像を把握することができる。物質の種類のような生産性情報が迅速に理解できるように提供されると正確な決定をより迅速に行うことができるので、作業現場の作業効率が向上する。更に、土砂移動機械に対してトラックを表示することにより、遠隔操作員/現場管理者は積載動作の現状を迅速に把握することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、土砂移動機械によって積載されるトラックの位置を求めて表示することによって、上述した1つ以上の問題を解消することを目指している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一面によれば、トラックが土砂移動機械によって積載されると、その相関位置を求めて表示する方法が提供される。本方法は、積載発生信号を受信するステップと、この積載発生信号に応答してトラックの相関位置を求めるステップとを含んでいる。次いで、トラックの相関位置が作業現場に対して表示される。代替実施例によれば、本方法は、土砂移動機械によって掘削され、トラックに積載される物質に関する生産性情報を求めて表示する方法が提供される。本方法は、バケット内に積込まれる物質のバケット積込み物質種類を求めるステップを含んでいる。次いで、このバケット積込み物質種類に応答して生産性情報を遠隔位置において表示するステップを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、トラックが土砂移動機械によって積載されると、その相関位置を求めて表示する方法を提供する。図1に、作業現場104において動作中の土砂移動機械102を示す。土砂移動機械102は掘削機102として示されているが、後述するように、どのような種類の物質積込み用土砂移動機械も使用することができる。掘削機はバケット106、固定参照点を中心として回転する本体108、及びベース(図示してない)を有している。掘削機102の作業サイクルは、物質の採掘を含む積込み動作と、積込んだ物質をトラック110内にダンプすることを含むダンピング動作とを含んでいる。一実施例においては、作業現場104は、その現場104上の所与の位置における地形及び物質の種類を指示することができる資源地図112で表示することができる。資源地図112は、作業現場104のディジタル化現場モデルであり、好ましい実施例では機械102、または中央制御施設の何れか、または両者に配置されている表示装置上に描かれる。作業現場104は、鉱石の型に、即ちグレード領域114、116、及び118に区別されている。作業現場104において取られた鉱石サンプルは、鉱石の異なる型及び位置、並びに所与の鉱石型内の異なる含有率、即ちグレードを類別し、地図にするために使用することができ、作業現場104のディジタル化現場モデルに付加される。代替として、または付加的に、資源地図112は、例えば現場104に2つの異なる物質の鉱石が存在する場合には、異なる鉱石型に区別することができる。
【0007】
掘削機102が作業現場104を移動して物質を積込むと、資源地図112はある位置が採鉱済みか否かを指示するように更新され、もし採鉱済みであればその位置の地形を更新する。ある位置から所望の物質の全てが積込まれてしまえば、その位置は採鉱済みである。採鉱済み領域120は、資源地図112上に示すことができる。掘削機102によって掘り出された鉱石物質は、近くの輸送用トラック110へ転送される。掘削機102からトラック110への鉱石の積載及び転送は、作業現場104の未だ採鉱されていない部分へ掘削機の本体108を回転させることから開始される。次いで掘削機102はバケット106を用いて鉱石物質を掘削する。次いで掘削機の操作員はバケット106を公知の技法で回転させ、それをトラック110の付近に位置させる。次いで操作員は、バケット106内の物質をトラック110内へダンプする。このプロセスは、積載用トラック110が、所望の程度に(例えば、4バケット分)積載されてしまうまで繰り返される。次いでトラック110は、中央制御施設(図示してない)、または掘削機102の操作員の何れかによって発進させられ、鉱石物質を適当な処理場または貯蔵位置まで輸送する。
【0008】
掘削機102には測位システム(図示してない)が設置されている。本発明にとって適当な外部参照を有する公知の三次元測位システムの例は、限定するものではないが、3Dレーザ、GPS、GPS/レーザ組合せ、またはUHF/VHF無線を含む。一実施例では、機械作業サイクルの積込み及びダンピング動作は、ペイロード監視センサ、ホイスト・クラウド・パワーセンサのような付加的なセンサを使用することなく、測位システムからの入力を使用して決定される。掘削機のような機械の場合、積込み及びダンピング動作は、土砂移動機械102の本体108の角速度を監視することによって検出することができる。角速度は、本体108が回転する際に、複数回の本体の位置更新を監視することによって決定される。好ましい実施例では、GPSアンテナは、掘削機102の本体の回転の中心から離心した既知の距離に配置されている。本体108が回転すると、GPSアンテナは本体108の回転の中心に対してある弧に沿って運動させられる。従って、複数回の位置更新を使用すれば、本体108の角位置を決定することができる。次いでこの角速度を使用して本体108が停止したか、または少なくとも停止しつつある所定のしきい値内にあることを決定することができる。例えば、掘削機102が積込みまたはダンピングをしている場合、本体108は停止しているか、または少なくとも小さい角運動しかしていない。この小さい角運動は、例えば、バケット位置を再調整する時に発生する。本体108が回転を再開すると、本体108が停止していた時間の長さが決定される。一実施例では、積込み及びダンピング動作は本体108が停止していた時間の長さによって決定することができる。もし本体108が、所定の時間の長さ(例えば、7秒)より短かい時間しか停止していなければ、掘削機102は物質を積込む時間がなかったことになり、従ってダンピング動作を遂行していた筈である。もし本体108が所定の時間より長く停止していれば、掘削機はバケット106に積込みを行っていたと結論付けることができる。しかしながら、資源地図112に基づく付加的な情報を使用すれば、積込み及びダンピング動作の決定の確度を増加させることができる。もし本体108が採鉱済みの領域に停止してれば、掘削機102はダンピング動作を遂行しているのである。もし本体108が、所定の時間(例えば、7秒)よりも長く停止し、且つ本体108が未だ採鉱されていない領域に停止していれば、掘削機102は積込み動作を遂行していたのである。
【0009】
代替実施例では、積込み及びダンピング動作は、当分野においては公知のように、測位システムからの入力をペイロード監視システムのような付加的なセンサと共に使用して決定される。作業サイクル中、作業現場104に位置する土砂移動機械102の位置、及び土砂移動機械102に対する積載用トラック110の位置を表示させると、土砂移動機械102の操作員、または中央制御施設の現場管理者にとって有利である。本明細書を通して、操作員は、土砂移動機械102自体上に所在するか、中央制御施設(図示してない)に所在するか、または両方に所在することができる。本発明は、トラック110が土砂移動機械102によって積載されている時に、その相関位置を求め、表示する方法を含む。本発明の方法は、積載発生信号を受信するステップと、この積載発生信号に応答してトラック110の相関位置を求めるステップと、作業現場に対するトラック110の相関位置を表示するステップとを含む。
【0010】
図2に、本発明の方法の概要を示す。ブロック202において、測位システムを使用して機械位置の座標が決定される。ブロック208において、外部的に、または土砂移動機械102上で積載発生信号が生成される。ブロック204においては、機械位置及び積載発生信号を使用して積載中のトラックの位置を求めることができる。更に、ステップ204において生産性情報が決定される。ブロック204において行われる生産性決定を含む処理手段、即ち本発明を実施するために必要なハードウェア及びソフトウェアは、土砂移動機械102上に配置することも、または遠隔位置に配置することもできる。もし処理手段が遠隔位置に配置されていれば、関連情報は土砂移動機械102から遠隔位置へ送られる。トラック位置及び生産性情報が決定されると、それらは操作員または現場管理者に対して表示される。表示装置は、土砂移動機械102上に配置することも、または中央制御施設のような遠隔施設に配置することもできる。
【0011】
本発明の方法300の好ましい実施例を図3に流れ図で示す。第1の判断ブロック302においては、積載イベント信号を受信したか否かに関する決定が行われる。積載イベント信号は、トラックスポット信号、トラック位置信号、またはトラック発進信号の少なくとも1つを含む。トラックスポット信号、トラック位置信号、及びトラック発進信号の詳細に関しては後述する。もし積載イベント信号が受信されていなければ、制御は第1の制御ブロック304へ進んでトラック110の潜在的位置を求める。土砂移動機械102が最初に作動する時、本発明の方法300はトラック110の位置に関するそれまでの知識を有していない。好ましい実施例では、機械102がダンピング動作を遂行する度毎にトラック110の潜在的位置が求められる。
【0012】
トラック110の潜在的位置を求めるために幾つかの方法を使用することができる。好ましい実施例においては、本体108が停止したことを本体の角速度が指示した時に、機械のベースの原点、及び本体のヘッディングをメモリ内に記憶させる。代替実施例では、機械102の本体108の方向に変化が発生した時に、その方向が変化した位置が積込み動作またはダンピング動作の何れかが発生したことを指示しているものと結論付けることができる。もし方法300が、その位置において積込み動作が行われていると求めるとすれば、図4A−4Cに示すように、機械102のベースの原点から機械102のヘッディングの方向を指し示す単位ベクトルが求められる。図4A−4Cに示すように、このベクトルを積込み位置単位ベクトル404と名付ける。更に、潜在的積込み領域が求められる。掘削機102の場合には、潜在的積込み領域は、ベクトルから本体108のヘッディングの方向に伸びる作業現場の領域として定義することができる。潜在的積込み領域は、ベースからバケット106の最大延長まで伸びる。潜在的積込み領域は、バケット106と同じ幅である。潜在的積込み領域は、積込み動作が行われる時に求められる。
【0013】
もしダンピング動作が検出されれば、トラック110の潜在的位置が決定され、記憶される。好ましい実施例では、トラック110の潜在的位置は、図4A−4Cに示すように、ダンピング動作が発生した位置における機械102の本体のヘッディング、及び機械102のベースの原点406に基づいて求められる。機械102の原点からトラック110を指し示す単位ベクトル408を、本体のヘッディングから求めることができる。この単位ベクトル408をトラック位置単位ベクトル408と名付ける。単位ベクトル408は、基準化( scaled )ベクトル410を形成するために基準化することができる。基準化されたベクトル410は、トラック110の原点位置412を求めるために使用される。換言すれば、トラック110の原点は基準化ベクトルの(土砂移動機械102の原点とは)反対の端にあるとして決定される。トラック110の潜在的位置が決定された後に、向きが求められる。トラック110の向きは、トラック位置ベクトル408に直角で、積込み位置から遠去かる方向を指し示している向きベクトルを計算することによって計算される。トラック110のヘッディングは、向きベクトルの方向と同一であるとして求められる。
【0014】
ダンピング動作位置におけるトラック110の原点位置、機械102のベース、及び機械本体108のヘッディングは、メモリ内に記憶される。更に、もしダンピング動作が検出されれば、トラック110の生産性情報が更新される。この生産性情報は、バケット106内に積込まれた物質の種類、トラック110内に積載されたバケットの数、掘削機102によって積載されたバケットの合計数のランニングカウント、及びバケット106内の内容の総合物質種類を含む。生産性情報は、機械102上で、または遠隔施設のような遠隔位置において、または積載されるトラック110において求めることができる。トラック110の潜在的位置を決定した後に、制御は第2の判断ブロック306へ引渡されて潜在的位置と先行相関トラック位置とを相関させることができるか否かを決定する。先行相関位置とは、トラック110が位置していると先に決定された位置である。好ましい実施例では、先行相関トラック位置を、先行相関トラック位置が土砂移動機械102のどちらの側に位置していたかに依存して、「右トラック位置」または「左トラック位置」と名付ける。
【0015】
トラック110が機械102のどちらの側にあったかの決定は、トラック位置単位ベクトル408と積込み位置単位ベクトル404とのクロス乗積を取ることによって行うことができる。もし結果が0より大きければ、トラック110は右側にあり、そうでなければトラック110は左側にある。例えば、もし「右トラック位置」指定が存在すれば、即ち先行相関トラック位置が機械102の右側に位置していれば、現在の潜在的トラック位置と「右トラック位置」とが相関するか否かに関する決定がなされる。この相関は、潜在的トラック位置の原点と「右トラック位置」指定とを比較することによって遂行することができ、もし潜在的トラックの原点が「右トラック位置」指定の所定の距離(例えば、5メートル)内にあれば、それらは同一トラックであると見做される。代替実施例では、ダンピング動作が発生した時点における機械102のベクトルのヘッディングを、「右トラック位置」指定に対応する機械102のベクトルのヘッディングと比較することができる。もしヘッディングが所定量(例えば、2°)以内にあれば、潜在的トラック位置は「右トラック位置」指定と相関すると決定される。
【0016】
「右トラック位置」及び「左トラック位置」指定が存在することができる。「トラック位置」指定は、そのトラック110に関連する積載情報をも含む。「トラック位置」情報は、そのトラックに関連するバケットの数、各バケットにどの物質種類が含まれているか、及びそのトラック110の内容の総合物質識別を含んでいる。指定は、潜在的積込み領域の原点に関する情報を含むことができる。指定は、指定がなされた時点における機械ベースの原点、及び機械本体108のヘッディングを含むこともできる。正常動作の下では、ある時点には1台のトラック110だけに積載が行われている。しかしながら、本発明は複数のトラックへの積載を同時に支援する。例えば、掘削機は、その右側に位置するトラック及びその左側に位置するトラックに積載することができる。「トラック位置」指定は、積載される複数のトラックを支援する。もし複数のトラックが掘削機の同一側において積載されていれば、ある時点に複数の「右トラック位置」及び「左トラック位置」指定を使用することができる。制御ブロック306の相関ステップは、適切なトラック位置指定を相応に更新することを保証する。
【0017】
もし「右トラック位置」指定または「左トラック位置」指定、即ち先行相関トラック位置を、トラック110の現在の潜在的位置と相関させることができれば、制御は第2の制御ブロック312へ進んで、トラック110の相関された位置を表示させる。第2の制御ブロック312においては、トラック110が相関位置に現在表示されているか否かを求めるためのチェックが行われる。もしそのトラック110が表示されていなければ、そのトラック110は相関位置に表示され、制御は第1の判断ブロック302へ戻される。もしそのトラック110が既に表示されていれば、制御は第1の判断ブロック302へ戻される。第2の判断ブロック306において、もし現在の潜在的位置を先行相関位置と相関させることができないか、または先行相関位置が存在しなければ、潜在的位置及び関連する物質情報がメモリ内に記憶され、制御は第1の判断ブロック302へ戻される。
【0018】
第1の判断ブロック302においてもし積載発生信号を受信していれば、制御が進められて、3つの考え得る信号、即ちトラックスポット、トラック位置、またはトラック発進のどれが積載発生信号内に含まれているのかを決定する。従って、制御は第3の判断ブロック308へ進んで、トラックスポット信号が受信されているか否かを決定する。トラックスポット信号は、土砂移動機械102に搭乗している操作員によって、または中央制御施設において生成される信号である。トラックスポット信号は、操作員または現場管理者が表示装置上のトラック110の位置を手動で指示することを望む場合、彼等が生成することができる。トラックスポット信号は作業サイクル中の何時でも生成することができる。トラック110の位置は、トラックスポット信号を受信した時点に、その信号を受信した時点における土砂移動機械102の向きに基づいて決定される。トラックスポット信号を受信すると制御は第3の制御ブロック310へ引渡され、トラック110の相関位置が決定される。相関位置は、信号が受信された時点における機械102の本体のヘッディング、及び機械102のベースの原点406に基づいて決定される。前述したように、本体ヘッディングからトラック位置単位ベクトル408を決定することができる。次いでトラック位置単位ベクトル408を基準化して基準化ベクトル410を形成することができる。基準化ベクトル410は、トラック110の原点位置412を決定するために使用される。ダンピング動作の位置におけるトラック110の原点位置412、機械102のベース、及び機械本体のヘッディングは、物質情報と共にメモリ内に記憶される。位置が決定されると、そのトラック位置は、掘削機102のどちらの側にトラック110が位置しているかの決定に基づいて「右トラック位置」または「左トラック位置」の何れかとして指定される。トラック110の位置を決定した後に、前述したように向きが決定される。
【0019】
トラック110のスポッティング動作の例では、掘削機102がダンピング動作を完了し、本体106がダンピング動作の位置から遠去かって積込み位置まで回転し始めた後に、操作員はトラックスポットボタン(図示してない)を押す。トラックスポットボタンは、トラックスポット信号を含む積載イベント信号を生成する。方法300は、その信号を受信した時点における機械102の本体108の向きに基づいてトラックの位置を決定する。次いで制御は第3の制御ブロック312へ引渡され、トラックを表示装置上に描かせる。もしトラックが既に表示されていれば、トラックは表示装置上の、トラックスポット信号によって指示された新たな相関位置に再び描かれる。図1の資源地図112に示すように、トラック原点及び上述したように決定された向きを使用して、トラックのアイコンが表示装置上に描かれる。トラックが描かれると、制御は第1の判断ブロック302へ進み、別の積載イベント信号が受信されたか否かを決定する。
【0020】
第3の判断ブロック308において、積載イベント信号がトラックスポット信号を含んでいなければ、制御は第4の判断ブロック314へ進んで積載イベント信号がトラック位置信号を含んでいるか否かを決定する。トラック位置信号は、トラック110の位置を指示するために、積載されているトラック、または中央制御施設の何れかによって生成される信号である。例えば、もし表示装置が掘削機102上に設置されていれば、トラック積載中信号をトラック110、または中央制御施設の何れかによって生成することができる。しかしながら、もし表示装置が中央制御施設に設置されていれば、土砂移動機械102がトラック110の位置を決定すると、トラック積載中信号はトラック110または機械102の何れかによって生成することができる。トラック位置信号は、作業サイクル中の何時でも生成することができる。もしトラック位置信号が受信されていれば、制御は第3の制御ブロック310へ進んで機械102に対するトラックの相関位置を決定する。トラックの位置は、トラック位置信号内に含まれている。しかしながら、もしトラックの向きがトラック位置信号内に含まれていなければ、第3の制御ブロック310において向きを決定しなければならない。向きは、上述したようにして決定される。機械102のベースの原点と受信したトラック位置とを結んで基準化トラック位置単位ベクトル410を求める。次いで、基準化トラック位置ベクトルに直角で、積込み位置から遠去かる方向を指し示す向きベクトルを計算することによって、トラックの向きが決定される。トラックのヘッディングは向きベクトルの方向と同一であるものとして決定される。次いで制御は第1の制御ブロック312へ進み、表示装置上のトラック積載中信号内に含まれる位置にトラックのアイコンが描かれる。
【0021】
もし積載イベント信号がトラック積載中信号を含んでいなければ、制御は第5の判断ブロック316へ進んで、積載イベント信号がトラック発進信号を含んでいたか否かを決定する。トラック発進信号は、トラック110に所望量が積載された時点を指示するために、土砂移動機械102上において操作員によって、または中央制御施設において現場管理者によって生成される。トラックに所望量が積載されると、トラック110内に含まれている物質の種類に基づいてトラック110は適切な位置へ発進する。トラック発進信号が受信されると、制御は第4の制御ブロック318へ進んでトラックの相関位置を決定する。一実施例では、トラック110の位置は最新の相関トラック位置、即ち「右トラック位置」または「左トラック位置」指定であると決定される。代替としてトラック110の位置は、第1の制御ブロック304において求められた最新の潜在的トラック位置であると決定される。代替実施例においては、トラック110の位置は、最新の相関トラック位置であると求められる。この位置は、トラック110が掘削機102のどちらの側に位置しているかに基づいて「右トラック位置」または「左トラック位置」として指定される。トラック位置が相関された後に、制御は第5の制御ブロック320へ進み、生産性情報を中央制御施設へ送る。この生産性情報に基づいて、中央制御施設はトラックを発進させる位置を決定することができる。代替では、生産性情報をトラック110へ直接送給し、積荷を何処へ運ぶのかをトラック110上の処理システムに決定させることができる。更に別の代替では、本発明は生産性情報に基づいてトラック110を何処へ発進させるのかを決定することができる。
【0022】
トラック位置は、トラック発進信号の受信に応答して直ちに表示されるのではない。好ましい実施例では、トラック発進信号が受信されるとトラック位置は表示装置から消去される。生産性情報が適切な位置へ送給されると、制御は第1の制御ブロック302へ戻される。トラック位置は、第1の制御ブロック302及び第2の判断ブロック304に従って次の潜在性トラック位置が決定されると、即ち、次のダンプ動作の後に表示される。物質識別情報に関して言えば、積込み動作が発生したと決定されると、潜在的積込み領域がメモリ内に記憶される。ダンピング動作が発生する度毎に、トラック110の生産性情報が更新される。好ましい実施例では、トラック110のためのバケット積込みカウントが更新される。最新の潜在的積込み領域を斟酌するために、平均潜在的積込み領域が更新される。更に、機械102によって積載されたバケットの数を表す総合ランニングバケット積載合計がインクリメントされる。
【0023】
潜在的積込み領域によってカバーされる物質に基づいて、現在のバケット物質識別が決定される。現在のバケット物質は、その潜在的積込み領域内に位置する支配的な物質であると決定される。ダンピング動作が遂行される時に、もし現在バケットに積込まれている物質識別がトラック110の内容の物質識別と同一であれば、トラック110の物質識別は同一に維持される。もし現在バケットに積込まれている物質識別がトラック110の内容の物質識別と異なっていれば、トラック110内の物質の総合内容についての決定がなされる。好ましい実施例では、もしトラック110内に2つ以上の物質識別種類が存在していれば、最高のバケットカウントを有する物質識別がそのトラックを支配する物質種類であると決定される。もしトラック内に同じバケットカウントを有する2つ以上の物質種類が存在すれば、最も新しくバケットに積込まれた物質識別がそのトラック110を支配する物質識別であると決定される。
【0024】
生産性情報が中央制御施設へ送られると、「右トラック指定」または「左トラック指定」に関する関連トラック情報は発進したトラックの記憶されていた生産性情報と共にメモリからクリアされる。更に、トラックアイコンが表示装置から消去され、制御は制御ブロック302へ戻されて、積載される次のトラックの位置が物質内容の識別と共に決定され始める。代替実施例では、潜在的位置は第1の制御ブロック304において決定され、バケット積込み情報、即ちバケットに積込まれる物質の種類は遠隔位置へ送給することができ、そこにおいて物質情報は記憶され、更新される。本発明は、図5に示すように、フロントエンドホイールローダ502のような土砂移動機械についても実施することができる。ホイールローダ502によって積載されるトラック110の位置を決定して表示する方法は、掘削機に関して説明した方法と類似している。フロントエンドホイールローダ502の積込み及びダンピング動作は、部分的には、ホイールローダ502の前進から後進への方向の変化を監視することによって決定することができる。一実施例では、方向の変化は機械102のギヤーが前進に入れられているのか、または後進に入れられているのかを指示するトランスミッションギヤーセンサ(図示してない)を使用することによって検出することができる。
【0025】
好ましい実施例では、ホイールローダ502の前進から後進への移行が行われると、その移行点の位置がメモリ内に記憶される。次いでローダ502が単に保管されているのではないことを確認するために、ローダ502の位置が監視される。ローダ502が移行点から充分に離れて移動すると、移行点が作業現場104の資源地図と相関され、ホイールローダの潜在的積込み領域が採鉱されたか否かが決定される。潜在的積込み領域は、ローダ502の車輪のベース、または輪距(トラック)から、バケットの外向きの最大延長までの作業現場の領域をカバーするように定義することができる。潜在的積込み領域の幅は、バケット506の幅であると定義することができる。もし潜在的積込み領域が採鉱済みでなく、且つ移行点が潜在的または既知トラック位置付近に位置していなければ、ローダ502はその移行点において積込み動作を遂行したものと見做される。そうでなければ、ローダ502はその移行点においてダンピング動作を遂行したものと決定される。積込みまたはダンピング動作の何れかが発生した移行点における機械502の原点及びヘッディングが記憶され、機械502の原点から潜在的積込み領域の方向、または潜在的トラック位置の方向をそれぞれ指し示す単位ベクトルを計算することによって、積込み位置またはトラック位置の何れかの単位ベクトルが求められる。
【0026】
再度図3の第1の制御ブロック302を参照する。潜在的トラック位置は、ダンピング動作が発生した移行点であると決定される。潜在的トラック位置は、掘削機の場合と同じようにして、機械の原点からトラック110を指し示すトラック位置単位ベクトルを求めることによって求められる。次いで、トラック位置単位ベクトルが所定の基準化距離によって基準化され、トラック110の原点が求められる。トラック110の向きは、前述したように、トラック位置ベクトル408に直角で、積込み位置から遠去かる方向を指し示す向きベクトルを計算することによって求められる。トラックのヘッディイングは、向きベクトルの方向と同じであると求められる。
【0027】
トラック110がローダ502のどちらの側にあるかの決定は、図4A−4Cに示すものと同じようにして、トラック位置単位ベクトル408と積込み位置単位ベクトル404とのクロス乗積を取ることによって行うことができる。もしその結果が0より大きければ、トラック110は右側にあり、そうでなければトラック110は左側にある。次いで、制御は第2の制御ブロックへ引渡されて可能トラック位置が相関される。相関は掘削機に関して説明したものと同一の手法で行われる。図3に示す動作の方法300の残余は、掘削機に関して説明したものと同一である。本発明の付加的な特色は、積込み及びダンピング動作中、物質内容に対する土砂移動機械102及びトラック110をカラーコード化する能力である。好ましい実施例においては、作業現場の物質の種類の差を指示するために、作業現場の資源地図をカラーコード化する。機械102が積込み動作を遂行したことが決定されると、機械102の一部がバケット内に今積込まれた物質と同一のカラーで描かれる。例えば、もしそのバケットに物質を今積込んだホイールローダが表示装置上に青で描かれれば、ホイールローダのバケットは青で描くことができる。更に機械102が物質をトラック110内にダンプした時に、バケット106はその元のカラーで再び描かれ、トラック110のアイコンはトラック内に積載された物質のカラーで描かれる。例えば、図6は作業現場104の積込み領域118からの物質が支配的に積載されているトラック110を示している。図6はクロスハッチングで示されているが、このクロスハッチは容易にカラーに置換される。もし複数の物質がバケットからトラック110に積載されていれば、トラック110はトラック110内に含まれる支配的な物質のカラーで描くことができる。例えば、もしトラック110が2つの異なる種類の物質毎に1バケット分の積載量を含んでおり、第3のバケットがトラック110に付加されれば、トラック110のカラーは2つ分のバケットが積載された方の物質のカラーを指示するように変化する。もし2つの異なる種類の物質毎に1つのバケットが存在すれば、トラック110はそれに最後に積載された物質と同一のカラーにされる。機械102及びトラック110を物質の種類に対応させるようにカラーコード化することの1つの長所は、操作員または現場管理者が一見するだけでトラックに積載されている物質、及びトラック内に積載された総合物質種類を決定できることである。カラーコード化によって、トラックが物質をダンプする位置の決定に関してより迅速な決定が可能になり、従って動作の総合生産性を向上させることができる。
【0028】
好ましい実施例では、本発明のユーザインタフェース(図示してない)は、リセットボタン及び物質オーバライドボタンを含んでいる。もし本発明の動作中の任意の時点に操作員または現場管理者が、現在のトラックの積載情報をクリアすることを望めば、彼等はリセットボタンを使用して図3に示す制御ブロック302までシステムをリセットする。物質オーバライドボタンは、操作員または現場管理者が、特定のトラック内の物質の物質識別を手動で入力するために使用できるようにする。物質を手動で選択すると、その特定のトラックのための物質識別は、物質オーバライドボタンを再度選択しない限り変化しない。トラック110及び積込み機械102は、本発明にとっては手動式ででも、または自律式ででも使用することができる。もし積込み機械102が自律式であれば、中央制御施設内に所在する現場管理者が本発明の主ユーザであろう。
【0029】
本発明は、ソフトウェアプログラムに従ってプロセスを制御するために演算ユニットを使用するマイクロプロセッサをベースとするシステム(図示してない)内で実現される。典型的には、プログラムは読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ等の中に格納されている。本発明の開示した方法300は、どのような普通のコンピュータ言語を使用しても容易にコード化することができる。本発明は、大型機械102によってトラック110が積載されると、その相関位置を求めて表示する方法を提供する。機械102の作業サイクルは、作業現場からバケットへ物質を積込むことと、次いでバケット106をトラック110内へダンプすることとを含む。トラック110が所望レベルまで積載されると、トラック110は積載された物質の種類に基づいて適切な位置へ発進する。機械102が物質をトラック110内へダンプする度毎に、トラック110の可能位置が決定される。
【0030】
作業サイクル中、機械102は積載発生信号を受信する。積載発生信号は、トラックスポット信号、トラック位置信号、またはトラック発進信号を含む。トラックスポット信号は、搭乗または非搭乗操作員によって、操作員がトラック110の位置を手動で指示し、トラック110を表示させたい場合に使用される。トラック位置信号は、使用されている構成に依存して、トラック110自体によって、中央制御施設によって、または多分土砂移動機械102によってさえも生成される信号である。トラック位置信号は、トラックの現在の位置を指示する。トラック110は、トラック位置信号の位置に描かれる。トラック発進信号は、トラックが所望量まで積載された時に生成される信号である。トラック発進信号は、積載するために到着する次のトラックの位置が今積載されたトラックの位置と相関すれば、そのトラックが表示されるようにする。
【0031】
本発明は、上記バケット積込み物質種類がトラック内に積載されたことに応答して、遠隔位置において生産性情報を表示することを含む。掘削されてバケットへ積込まれる時に、本発明は積込まれた物質の種類を決定する。バケットの物質がトラック内へダンプされる時に、本発明はトラックの内容に関する物質情報を更新する。一実施例における物質情報の更新は、中央制御施設またはトラック自体のような遠隔位置へバケット積込み情報を送ることを含む。次いで、遠隔位置において、物質情報更新が遂行される。代替実施例では、物質情報の更新は土砂移動機械102上で行われる。物質情報は、トラック110へのバケット積込み数、トラック110内に積載された物質の総合型、及び土砂移動機械102によって遂行されたバケット積込み合計回数のランニングカウントを含む。
【0032】
物質情報は表示装置上に表示される。表示装置は土砂移動機械102上に配置することも、または遠隔制御施設に配置することもできる。好ましい実施例では、図1、5、及び6に示すようにトラック110及び土砂移動機械102の位置が表示される。作業現場の各物質種類は、指定されたカラーを有している。機械がバケットに積込むと、バケットのカラーは物質の指定されたカラーに変化する。バケット内の物質がトラック内にダンプされると、バケットはその元のカラーで再び描かれ、トラック110は今度は積載された支配的な物質の指定されたカラーで描かれる。好ましい実施例では、トラック110が発進した位置は、発進の時点におけるトラック110のカラーに基づいて決定される。トラック110の現在のカラー指定を決定し、相応に発進させることによって自動または手動発進を容易にすることができる。代替実施例では、物質情報は、テキストまたはカラー記号の何れかで表示される。次いで物質情報はトラックを発進させるために使用される。
【0033】
トラックの位置を決定して表示し、またトラックの内容を図形的に表す能力は採鉱サイトにおける動作の有効性を強化する。本発明の他の面、目的、及び長所は、特許請求の範囲、本明細書、及び添付図面の検討から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】作業現場、土砂移動機械及びトラックを表示する資源地図の高レベル図である。
【図2】本発明の概要図である。
【図3】本発明の方法を示す流れ図である。
【図4】aは積込み位置単位ベクトルを示す図であり、bは、トラック位置単位ベクトル及び基準化トラック位置ベクトルを示す図であり、cは、積込み位置単位ベクトル、トラック位置単位ベクトル、及び基準化トラック位置ベクトルを示す図である。
【図5】作業現場、土砂移動機械及び積載されたトラックを表示する資源地図の高レベル図である。
【図6】積込み領域において積載されたトラックを示す図である。
【符号の説明】
【0035】
102 土砂移動機械(掘削機)
104 作業現場
106 バケット
108 機械本体
110 トラック
112 資源地図
114、116、118 グレード領域
120 採鉱済み領域
404 積込み位置単位ベクトル
406 機械のベースの原点
408 トラック位置単位ベクトル
410 基準化ベクトル
412 トラックの原点
502 ホイールローダ
506 バケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの種類の物質を有する現場上に位置しておりバケットを有する土砂移動機械によって掘削された物質に関する生産性情報を求め、表示する方法において、
上記バケット内への物質の積込みを含む積込み動作のイベントを判断するステップと、
上記バケット内へ積込まれた物質のバケット積込み物質種類を求めるステップと、
上記バケット積込み物質種類に応答して遠隔位置において生産性情報を表示するステップと、
を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも1つの上記バケット積込み物質種類に応答してトラックの一部を表示するステップと、
上記バケットが積込まれたことを判断するステップと、
上記バケットが空である時には上記土砂移動機械の一部を第1のカラーで表示し、上記バケットに積込まれている時には第2のカラーで表示するステップと、
上記トラックが空である時には上記トラックの一部を第3のカラーで表示し、上記トラックが少なくとも1つのバケット分の積載量を含んでいる時には第4のカラーで表示するステップと、
上記バケットのバケット積込み物質種類を求めるステップと、
上記バケット積込み物質種類を遠隔施設へ送給するステップと、
上記トラックのトラック積載物質種類を求めるステップと、
上記トラック積載物質型を遠隔ビークルへ送給するステップと、
を更に含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−223479(P2008−223479A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125895(P2008−125895)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【分割の表示】特願平11−54308の分割
【原出願日】平成11年3月2日(1999.3.2)
【出願人】(391020193)キャタピラー インコーポレイテッド (296)
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED