説明

特定のアミノシリコーン類を使用する、髪のパーマネントリシェイプ方法

【課題】 髪の機械的及び/または美容上の劣化の程度を軽減し、同時に充分な程度、質、及び生き生きとした感じのカールを付与することの可能なケラチン繊維、特に髪のパーマネントリシェイプ方法を提供する。
【解決手段】 (i)ケラチン繊維に還元組成物を適用する工程、(ii)ケラチン繊維を酸化する工程、からなる操作を含み、操作(i)の前及び/または操作(ii)の後に、化粧品として許容される媒体中に、所定の構造を有し、非ミクロ乳化形態である、少なくとも1つのアミノシリコーンを含む前処理及び/または後処理用化粧品組成物をケラチン繊維に適用する工程を更に含む方法を実施する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ケラチン繊維、特に髪のパーマネントリシェイプの方法に関し、前記方法は、キットを市販することによって、個人で、または専門のヘアスタイリングサロンにおいて使用することができる。
【0002】本発明の目的のためには、「パーマネントリシェイプ方法」なる表現は、髪の成形、カール、ストレートパーマのため、または髪をゆるやかにするための、長持ちするあらゆる方法を意味する。
【0003】「ケラチン繊維」なる表現は、特に髪、睫及び眉毛を意味するが、とりわけ髪を意味する。
【0004】
【従来の技術】髪のパーマネントリシェイプを得るための最も一般的な技術は、第一工程として、還元剤を含む還元組成物を使用してケラチン-S-S-ジスルフィド(シスチン)結合を開裂させ(還元工程)、次いで、好ましくはこのように処理した髪を濯いだ後に、第二工程において、予め(カーラー等で)張力をかけておいた髪に酸化組成物を適用すること(酸化工程、固定工程としても既知)によって前記ジスルフィド結合を再構築し、最終的に前記髪に所望の形状を付与することからなる。こうして、この技術は、髪にウェーブを付けること、またはストレートにすること、またはこれをゆるやかにすることを、等しく可能にするものである。上記のような化学的処理によって髪に与えられる新たな形状は、著しく長もちし、特にヘアセットなどの一時的なリシェイプのための単純な標準的技術とは異なり、水またはシャンプーを用いた洗浄の作用に耐える。
【0005】パーマネントウェーブ操作の第一工程を実行するために使用しうる還元組成物は、一般的に、還元剤として亜硫酸塩類、重亜硫酸塩類、またはチオール類を含む。チオール類の中で挙げられるのは、システイン及びその様々な誘導体類、システアミン及びその誘導体類、チオ乳酸、チオグリコール酸及びそのエステル類、特にグリセリルモノチオグリコレート、及びチオグリセリンである。固定工程を実行するために必要とされる酸化組成物については、実際は、水性過酸化水素溶液に基づく組成物またはアルカリ金属臭素酸塩が通常使用される。
【0006】今日までに知られたパーマネントウェーブ技術に伴う問題は、これらを髪に繰り返し適用すると、長期的には髪の質が徐々に劣化すること、特に髪の光沢及び美容特性において徐々に著しく劣化することであり、特に前記繊維の柔らかさに関してはいっそう粗くなる傾向であり、またそのもつれ解け易さに関しては前記髪がいっそうもつれ解けにくくなることである。この劣化はまた、パーマネントウェーブ処理の固定工程を、臭素酸塩を使用して実行する場合に特に著しい。
【0007】こうした髪の劣化を制限するために、還元組成物中にコンディショナーを直接導入することが既に提案されている。例えば、日本国特許出願H2−250814及びH9−151120には、任意にミクロエマルジョンの形態をとりうる、アミノシリコーン類を含む還元組成物が記載されている。
【0008】しかしながら、こうした組成物を使用する髪のパーマネントリシェイプ方法は、還元剤と直接混合された前記コンディショナー、特にアミノシリコーンが、前記還元剤の活性をブロックするかのように、カールの程度、質及び生き生きとした感じが一般的に不十分であり、短期間しかもたないため、依然として完全に充分なものではない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明によって提起される問題は、ケラチン繊維、特に髪のパーマネントリシェイプ方法を提供することであり、前記方法は髪の機械的及び/または美容上の劣化の程度を軽減し、同時に充分な程度、質、及び生き生きとした感じのカールを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】出願人は、驚くべきことに、また予期せぬことに、還元組成物を適用する前及び/または酸化組成物を適用した後に、少なくとも一のアミノシリコーンを含む、少なくとも1つの前処理及び/または後処理用化粧品組成物を髪に適用することによって、本発明によって提起される問題が解消されることを見出した。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の主題の1つは、ケラチン繊維、特に髪のパーマネントリシェイプ方法であり、該方法は、少なくとも、(i)ケラチン繊維に還元組成物を適用する工程、(ii)ケラチン繊維を酸化する工程、からなる操作を含み、操作(i)の前及び/または操作(ii)の後に、化粧品として許容される媒体中に、非ミクロ乳化形態であって、下式(I)または(II)のアミノシリコーン類から選択される、少なくとも1つのアミノシリコーンを含む前処理及び/または後処理用化粧品組成物を、ケラチン繊維に適用する工程を更に含むことを特徴とする。
【0012】式(I)のアミノシリコーン類:
【化3】


[式(I)中、m及びnは、合計(m+n)が1乃至1000、特に50乃至250、とりわけ100乃至200の範囲をとることができるような数であり、nは0乃至999、とりわけ49乃至249、とりわけ125乃至175の範囲の数を表示可能であり、mは1乃至1000、とりわけ1乃至10、特に1乃至5の範囲の数を表示可能であり;R、R、Rは同一でも相違しても良く、ヒドロキシルまたはC−Cアルコキシ基を表し、R乃至Rの少なくとも1つがアルコキシ基を示す]
【0013】好ましくは、前記アルコキシ基はメトキシ基である。前記ヒドロキシル/アルコキシのモル比は、0.2:1乃至0.4:1、好ましくは0.25:1乃至0.35:1、特に0.3に等しい。
【0014】前記式(I)のアミノシリコーンは、2000乃至1000000、特に3500乃至200000の範囲の重量平均分子量を有する。
【0015】下式(II)のアミノシリコーン類:
【化4】


[式(II)中、p及びqは、合計(p+q)が1乃至1000、特に50乃至350、とりわけ150乃至250の範囲をとることができるような数であり、pは0乃至999、とりわけ49乃至349、特に159乃至239の範囲の数を表示可能であり、qは1乃至1000、とりわけ1乃至10、特に1乃至5の範囲の数を表示可能であり;R、Rは同一でも相違しても良く、ヒドロキシルまたはC−Cアルコキシ基を表し、R乃至Rの少なくとも1つがアルコキシ基を示す]
【0016】好ましくは、前記アルコキシ基は、メトキシ基を示す。前記ヒドロキシル/アルコキシのモル比は、好ましくは1:0.8乃至1:1.1、好ましくは1:0.9乃至1:1、特に1:0.95に等しい。
【0017】前記式(II)のアミノシリコーンは、好ましくは2000乃至200000、特に5000乃至100000、とりわけ10000乃至50000の範囲の重量平均分子量を有する。
【0018】これらアミノシリコーンの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって、室温においてポリスチレン当量として測定される。使用するカラムは、μスタイラジェルカラムである。溶出剤はTHFであり、流速は1ml/分である。THF中に0.5重量%のシリコーンを含有する200μlの溶液を注入する。検出は、屈折計及び紫外線計によって行う。
【0019】本発明の目的のためには、非ミクロ乳化なる表現は、シリコーンがそのまま使用されているか、1つ以上の界面活性剤の存在下におけるエマルジョンの形態で使用されていることを意味し、前記エマルジョン中のシリコーン粒子の数平均サイズは70nmより大であり、好ましくは70乃至500nmである。前記界面活性剤は如何なるタイプであってもよいが、これらは好ましくはカチオン性及び/または非イオン性であって良い。
【0020】本発明の別の主題は、ケラチン繊維のパーマネントリシェイプのためのキットであって、その区画の1つが、少なくとも1つの上記アミノシリコーンを含む、前記前処理及び/または後処理用化粧品組成物を収容しているキットに関する。
【0021】構造式(I)または(II)を有するこれらのシリコーンに相当する市販の製品は、その組成物中に、その構造が構造式(I)及び(II)とは相違する1つ以上の別のアミノシリコーン類を含んでいて良い。
【0022】構造式(I)を有するアミノシリコーン類を含有する製品は、Wacker社によりBelsil ADM 652(登録商標)の名で提示されている。
【0023】構造式(II)を有するアミノシリコーン類を含有する製品は、Wacker社によりFluid WR 1300(登録商標)の名で提示されている。
【0024】好ましくは、式(I)または(II)の前記アミノシリコーンは、前記シリコーンを2%AM(活性物質)含有する組成物で処理した髪と水との接触角が、90乃至180°になるように、好ましくは90乃至130°になるように選択される。
【0025】好ましくは、式(I)または(II)のアミノシリコーンを含む組成物が、前記組成物で処理した髪の接触角が90乃至180°になるように、好ましくは90乃至130°になるように選択される。
【0026】接触角の測定は、蒸留水中への髪の液浸に基づく。これは、蒸留水中への髪の液浸の間及びその除去の間に、水によって髪に及ぼされる力を評価することである。こうして測定された力は、水と髪の表面との間の接触角θに直接関連する。髪は、前記角θが0乃至90°である場合に親水性であるとされ、この角が90°乃至180°である場合に疎水性であるとされる。
【0027】前記試験は、同一の条件下で漂白され、その後洗浄された自然な髪の毛束を用いて実行される。
【0028】直径75mmの結晶皿に1gの各メッシュを入れ、その後、試験しようとする製剤5mlで均一に被覆する。こうして毛束を室温にて15分間置き、その後30秒間濯ぐ。水を切った毛束を、完全に乾燥するまで大気中に放置する。
【0029】各評価については、同一の処理を経た10の髪の房を分析する。精密ミクロ天秤に取り付けた各試料の先端部を、蒸留水を満たした容器中に浸す。このCahn Instruments社製のDCA天秤(Dynamic Contact Angle Analyser)によれば、水が髪に及ぼす力(F)を測定することが可能になる。
【0030】同時に、髪の周囲長さ(P)を、顕微鏡観察によって測定する。
【0031】10の髪の房にかかる平均湿潤化力及び分析した髪の断面積によれば、下式:F=P*Γlv*cosθ[ここで、Fはニュートンで表された湿潤化力であり、Pは髪の周囲(メートル)であり、Γlvは水の液体/蒸気の界面張力(J/m2)であり、θは接触角である]により、水に対する髪の接触角を得ることが可能になる。
【0032】水中12%(すなわち活性物質2%)であるWacker社製の製品、SLM 28020(登録商標)では、上述の試験によって接触角が93°になる。
【0033】有利には、前処理用または後処理用組成物中におけるアミノシリコーンの濃度が、この組成物全重量に対して0.05乃至10重量%、更に有利には0.1乃至7重量%である。
【0034】少なくとも1つの本発明によるアミノシリコーンを含有する前処理用または後処理用組成物は、化粧品または皮膚科用活性を有する水溶性または脂溶性の活性剤を含んでいても良い。挙げて良い活性剤の例には、ビタミンE、ビタミンEアセテート、ビタミンC及びそのエステル、Bビタミン類、ビタミンAアルコールまたはレチノール、ビタミンA酸またはレチノイン酸及びその誘導体等のビタミン類及びその誘導体、パンテノール、ビタミンAパルミテート、ナイアシンアミド、エルゴカルシフェロールなどのプロビタミン類、抗酸化剤、精油、湿潤剤、シリコーン又は非シリコーンサンスクリーン、保存料、金属イオン封鎖剤、パール剤、顔料、保湿剤、フケ防止剤、抗脂漏剤、可塑剤、ヒドロキシ酸、電解物、溶媒、及び香料が含まれる。
【0035】該組成物はまた、溶媒、特にC1C8低級アルコール、例えばエタノールを含んで良い。
【0036】好ましくは、少なくとも1つのアミノシリコーンを含む前処理用または後処理用組成物のpHは、好ましくは2乃至10、更に好ましくは3乃至9である。
【0037】少なくとも1つの上述のアミノシリコーンを含む前処理用組成物は、処理しようとする髪に適用されるが、前記髪は、任意に予め湿らせておく。この適用は、髪を最終的な所望の髪形(例えばカールなど)に相当する形状にして張力をかけておく通常の工程の後に行っても良く、この工程自体は如何なる手段によっても実施可能であり、特に髪に張力をかけて維持するのに適切であってそれ自体既知である機械的手段、例えばローラー、カーラー等によって実施可能である。
【0038】有利には、少なくとも1つのアミノシリコーンを含む前処理用または後処理用組成物を髪に付け、室温にてまたは熱をかけて1乃至60分間、より有利には3乃至30分間に亘って静置して作用させる。
【0039】前記方法の任意の工程によれば、少なくとも1つの上述のアミノシリコーンを含有する前処理用組成物を浸透させた髪は、濯いでもよく、前記濯ぎは一般的に水を使用して行われる。
【0040】本発明による方法の必須の工程においては、還元組成物が髪に適用され、前記還元組成物は一般的に少なくとも1つのチオールを含む。
【0041】還元組成物中のチオールは、還元剤として既知のチオール類、例えばチオグリコール酸、グリセリルまたはグリコール=モノチオグリコレート、システアミン及びそのC−Cアシル誘導体類、例えばN-アセチルシステアミンまたはN-プロピオニルシステアミン、システイン、N-アセチルシステイン、糖N-メルカプトアルキルアミド類、例えばN-(2-メルカプトエチル)-グルコンアミド、3-メルカプトプロピオン酸及びその誘導体類、チオ乳酸及びそのエステル類、例えばグリセリルモノチオールラクテート、チオリンゴ酸、パンテチン、チオグリセリン、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の亜硫酸塩類または重亜硫酸塩類、特許出願EP-A-354835に記載のN-(メルカプトアルキル)-ω-ヒドロキシアルキルアミド類、及び特許出願EP-A-368763に記載のN-モノ-またはN,N-ジアルキルメルカプト-4-ブチラミド類、特許出願EP-A-432000に記載のアミノメルカプトアルキルアミド類、特許出願EP-A-465342に記載のN-(メルカプトアルキル)スクシナミン酸またはN-(メルカプトアルキル)スクシンイミド誘導体類、特許出願EP-A-514282に記載のアルキルアミノメルカプトアルキルアミド類、特許出願FR-A-2679448に記載の2-ヒドロキシプロピルチオグリコレートと2-ヒドロキシ-1-メチルエチルチオグリコレートとの混合物から選択して良い。
【0042】チオグリコール酸、チオ乳酸、及び3-メルカプトプロピオン酸が好ましく使用される。
【0043】還元剤は、一般的に還元組成物全重量に対して1乃至20重量%の濃度で存在して良い。
【0044】還元組成物のpHは、一般的に6乃至10、好ましくは7乃至9である。
【0045】還元組成物のpH値は、例えば水性アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソ-プロパノールアミン、1,3-プロパンジアミン、アンモニウムまたはアルカリ金属の炭酸塩または重炭酸塩、第一級、第二級、または第三級アミンの炭酸塩または重炭酸塩、または有機炭酸塩、例えばグアニジンカーボネート等の塩基性化剤を加えることによって、従来通り調整して良く、言うまでもないが、これら全ての化合物は単独で使用しても混合物として使用しても良い。
【0046】還元組成物は、増粘または非増粘ローション、クリーム、ゲルの形態、または他のあらゆる好適な形態であって良く、髪のパーマネントリシェイプのための還元組成物中において使用されることが既知の添加剤を含んで良い。
【0047】還元組成物は、発熱タイプ、即ち髪への適用の際にある程度のレベルの熱を発生させて、パーマネントウェーブまたはストレートパーマを施している対象者に、心地よい感覚を与えるタイプであってもよい。
【0048】還元組成物はまた、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、またはグリセリン等の溶媒を、組成物全重量に対して20重量%の最高濃度で含んでも良い。
【0049】前記組成物が、髪のストレートパーマまたはゆるやかにする処置について企図される場合には、該還元組成物は、髪をできるだけまっすぐに維持するために増粘クリームの形態であることが好ましい。これらのクリームは、例えばグリセリルステアレート、グリコールステアレート、自己乳化可能ワックス、脂肪アルコール等をベースとする「濃厚な」エマルジョンの形態で調製される。
【0050】曝露時間の間に髪を互いに「くっつけ」、平滑な位置に維持するカルボキシビニルポリマー類またはコポリマー類などの増粘剤を含む液体またはゲルを使用することもまた可能である。
【0051】最後に、該組成物は「自己中和型」または「自己調整」形態であってもよく、この場合は、本発明によって使用される還元剤は、自己中和型パーマネントウェーブのための還元組成物中における使用が知られた、少なくとも1つのジスルフィドと組み合わせられる。
【0052】従来の方法においては、還元組成物を適用した髪を、数分間、一般的には2乃至40分間、好ましくは5乃至30分間おいて、還元剤が髪に適切に作用する時間を充分にとる。この待ち工程は、一般的には、処理した髪を大気中に(室温にてまたは加熱しつつ)放置することによって実行される。この待ち工程の間、髪が完全に乾燥せず、湿った状態に維持されるように注意を払うのが一般的である。
【0053】還元組成物を浸透させた髪は、注意深く、一般的には水で濯ぐことができる。任意に、濯ぎ後に、数秒間に亘って高温での加熱工程が実行される。
【0054】次いで、髪に付与した新たな形状を固定する目的で、こうして濯いだ髪に酸化組成物を適用する。また、髪が空気によって酸化されるように放置することも考えられる。
【0055】前記酸化組成物は、水性過酸化水素溶液、アルカリ金属ブロメート、ペルソルトまたはポリチオネートから選択されうる酸化剤を含む。前述のように、本発明による方法の著しい利点の1つは、ブロメートベースの酸化組成物の場合に、完全に好適であるという点である。酸化組成物中におけるブロメート濃度は、一般的に0.1乃至2Mである。
【0056】酸化組成物のpHは、一般的に2乃至10である。
【0057】還元組成物の適用の場合のように、酸化組成物が適用された髪は、その後、従来より、数分間、例えば3乃至30分間、好ましくは5乃至15分間に亘って継続されうる、静置または待ちの工程の間放置される。
【0058】少なくとも1つの上記のアミノシリコーンを含む後処理用組成物は、好ましくは、酸化組成物を濯ぎ流した後に、湿ったまたは乾燥した髪に適用される。後処理を経た髪には、スタイリングの前に、任意に乾燥及び/または加熱及び/または濯ぎをしてよい。適当ならば、該組成物は、髪が機械的装置、例えばヘアセットローラーまたはカーラーによって維持されている間に適用されても良い。
【0059】通常は、前記酸化組成物を浸透させた髪を、一般的には水で注意深く濯ぐ。濯ぎの前又は後に、該ケラチン繊維は、これらに張力をかけておくために必要とされる手段と分離される。
【0060】最終的に得られる頭髪は、優れた美容特性を有する。髪は光沢を増し、より滑らかであって、もつれ解けまたはスタイリングがより容易である。
【0061】有利には、少なくとも1つの上記アミノシリコーンを含有する前処理用または後処理用組成物は、下記の変形の少なくとも1つに従って適用される。
・清潔な、湿った髪に、髪に張力をかけておくための手段を使用する前に適用し、前記髪は、還元剤の適用前に濯がないこととする。
・固定剤を濯ぎ落とした後の湿った髪に適用し、前記髪は、引き続いて濯ぐかまたは乾燥することとする。
【0062】髪のパーマネントリシェイプのための方法が、ストレートパーマ方法である場合には、それ自体既知の方法において、ストレートパーマ剤、一般的にはチオール剤またはアルカリ剤を使用することが可能である。
【0063】チオールストレートパーマ剤の場合には、本発明による方法は、下記の変形の少なくとも1つに従って、少なくとも1つの前記アミノシリコーンを含有する前処理用または後処理用組成物を適用することによって、有利に実行される。
・清潔な、湿った髪に適用し、還元剤の適用前に濯ぎはしないこととする。
・乾燥前の濯ぎによって固定剤を濯ぎ落とした後の、清潔な湿った髪に適用することとする。
【0064】アルカリストレートパーマ剤の場合には、本発明による方法は、少なくとも1つの前記アミノシリコーンを含有する前処理用または後処理用組成物を、髪を乾燥させる前に濯ぐことによって中性化シャンプーを濯ぎ落とした後の湿った髪に適用することによって、有利に実行される。
【0065】髪のカール付け処理の場合には、本発明による方法によれば、生き生きしたカールが付与され、髪はしなやかで、軽く、絹のようであり、充分に分離している。
【0066】髪のストレートパーマ処理の場合には、本発明による方法によれば、とりわけ髪の張りが調整され、前記髪が根本から毛先まで滑らかになり、より自然な感触が付与される。
【0067】本発明は、本発明による方法の有利な実施態様を構成する、下記の非限定的実施例の助けを借りてより明確に理解されうる。a.m.とは活性物質を意味する。
【0068】
【実施例】1)ストレートパーマをかけた髪のためのケア組成物
【表1】


【0069】この組成物は、アルカリストレートパーマ剤を用いてストレートパーマをかけた髪に、洗浄シャンプーを濯ぎ流した後に適用される。該組成物を髪に付け、濯ぎ落とすまでに1乃至10分間放置する。
【0070】2)パーマネントウェーブの前に使用される保護用ケア組成物1)に記載した組成物は、パーマネントウェーブ前の処理として使用して良い。この組成物は、カーラーを固定する前の湿った髪に適用され、パーマネントウェーブ還元剤の適用前に濯ぎ落としされない。この組成物によって、パーマネントウェーブによる髪の変質を制限することができ、その一方では張りのあるカールを得ることが可能になる。式(II)のポリジメチルシロキサンを、同品質の式(I)のポリジメチルシロキサン(Wacker社により商品名Belsil ADM 652として提示)で置き換えても、同様の結果が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも、(i)ケラチン繊維に還元組成物を適用する工程、(ii)ケラチン繊維を酸化する工程、からなる操作を含み、操作(i)の前及び/または操作(ii)の後に、化粧品として許容される媒体中に、非ミクロ乳化形態である、下式(I):
【化1】


[式(I)中、m及びnは、合計(m+n)が1乃至1000、特に50乃至250、とりわけ100乃至200の範囲をとるような数であり、nは0乃至999、とりわけ49乃至249、とりわけ125乃至175の範囲の数を表示可能であり、mは1乃至1000、とりわけ1乃至10、特に1乃至5の範囲の数を表示可能であり;R、R、Rは同一でも相違しても良く、ヒドロキシルまたはC−Cアルコキシ基を表し、R乃至Rの少なくとも1つがアルコキシ基を示す]または下式(II):
【化2】


[式(II)中、p及びqは、合計(p+q)が1乃至1000、特に50乃至350、とりわけ150乃至250の範囲をとるような数であり、pは0乃至999、とりわけ49乃至349、特に159乃至239の範囲の数を表示可能であり、qは1乃至1000、とりわけ1乃至10、特に1乃至5の範囲の数を表示可能であり;R、Rは同一でも相違しても良く、ヒドロキシルまたはC−Cアルコキシ基を表し、R乃至Rの少なくとも1つがアルコキシ基を示す]の少なくとも1つのアミノシリコーンを含む前処理及び/または後処理用化粧品組成物をケラチン繊維に適用する工程を更に含むことを特徴とする、ケラチン繊維、特に髪のパーマネントリシェイプ方法。
【請求項2】 前記C−Cアルコキシ基が、メトキシ基を示すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】 前記式(I)のアミノシリコーン類について、前記ヒドロキシル/アルコキシのモル比が、0.2:1乃至0.4:1、好ましくは0.25:1乃至0.35:1、特に0.3に等しいことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】 前記式(II)のアミノシリコーン類について、前記ヒドロキシル/アルコキシのモル比が、好ましくは1:0.8乃至1:1.1、好ましくは1:0.9乃至1:1、特に1:0.95に等しいことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】 前記式(I)のアミノシリコーンが、2000乃至1000000、特に3500乃至200000の範囲の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】 前記式(II)のアミノシリコーンが、2000乃至200000、特に5000乃至100000、とりわけ10000乃至50000の範囲の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項1または2または4に記載の方法。
【請求項7】 式(I)または(II)のアミノシリコーンが、前記シリコーンを2%AM(活性物質)含有する組成物で処理した髪と水との接触角が、90乃至180°になるように選択されることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】 式(I)または(II)のアミノシリコーンが、本発明による前記シリコーンを2%AM(活性物質)含有する組成物で処理した髪と水との接触角が、90乃至130°になるように選択されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】 式(I)または(II)の少なくとも1つのアミノシリコーンを含む組成物が、前記組成物で処理した髪の接触角が90乃至180°になるように選択されることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】 少なくとも1つのアミノシリコーンを含む、前記前処理及び/または後処理用化粧品組成物のpHが、好ましくは2乃至10、より好ましくは3乃至9であることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】 前記前処理用または後処理用組成物中における、式(I)または(II)の非ミクロ乳化アミノシリコーン類の濃度が、この組成物全重量に対して0.05乃至10重量%、更に有利には0.1乃至7重量%であることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】 前記前処理用または後処理用組成物を、これが髪に作用するように1乃至60分間、更に有利には3乃至30分間の期間に亘って髪に付けておくことを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】 前記前処理用または後処理用組成物が、ビタミンE、ビタミンEアセテート、ビタミンC及びそのエステル、Bビタミン類、ビタミンAアルコールまたはレチノール、ビタミンA酸またはレチノイン酸及びその誘導体等のビタミン類及びその誘導体、パンテノール、ビタミンAパルミテート、ナイアシンアミド、エルゴカルシフェロールなどのプロビタミン類、抗酸化剤、精油、湿潤剤、シリコーン又は非シリコーンサンスクリーン、保存料、金属イオン封鎖剤、パール剤、顔料、保湿剤、フケ防止剤、抗脂漏剤、可塑剤、ヒドロキシ酸、電解物、溶媒、及び香料から選択される添加剤を更に含むことを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】 ケラチン繊維のパーマネントリシェイプのためのキットであって、その区画の1つが、請求項1乃至11のいずれか一項に定義される少なくとも1つのアミノシリコーンを含む前記前処理及び/または後処理用化粧品組成物を収容している、キット。
【請求項15】 化粧品として許容される媒体中に請求項1乃至11のいずれか一項に定義される少なくとも1つのアミノシリコーンを含む前処理及び/または後処理用化粧品組成物の、ケラチン繊維のパーマネントリシェイプのための使用。

【公開番号】特開2003−146842(P2003−146842A)
【公開日】平成15年5月21日(2003.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−325916(P2002−325916)
【出願日】平成14年11月8日(2002.11.8)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【氏名又は名称原語表記】LOREAL
【Fターム(参考)】