説明

特定の周波数の音波を用いた皮膚バリアー機能回復促進のための美容方法

【課題】特定の周波数の音波を用いた、皮膚バリアー機能回復促進のための手段を提供する。
【解決手段】超音波だけでなく可聴域の音波についても表皮で知覚され得るとの仮説のもと、10,000〜50,000Hzの周波数の音波を皮膚に適用し、音波発生装置、例えばオーディオ機器と接続されたスピーカーの前に据え、当該装置から発生される所定の周波数の音を一定時間皮膚に浴びせることで実施することができる。70〜200dbの範囲で音圧レベルが制御されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の周波数の音波を用いた皮膚バリアー機能回復促のための美容方法及び当該方法に用いる音波発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の皮膚疾患、例えば、アトピー性皮膚炎、乾癬、接触性皮膚炎等に見られる肌荒れ症状においては、皮膚からの水分の消失が、健常な皮膚に比べて盛んであることが知られている。このいわゆる経皮水分蒸散量(TEWL)の増加には、皮膚内において水分の保持やバリアーとしての機能を担っていると考えられる成分の減少が関与しているものと考えられてきた。
【0003】
これまでに、皮膚バリアー機能の低下に伴い皮膚の皮膚機能が低下し、その結果皮膚増殖性異常等が起こることが報告されている。特に高齢者の場合、低下した皮膚バリアー機能の回復には長い時間がかかるため、加齢に伴う皮膚の皮膚機能の低下による皮膚増殖性異常等を防止するのに有効な皮膚バリアー機能回復剤が多数開発されている。
【0004】
皮膚を構成する真皮には末梢神経の末端が存在しており、この末梢神経系が外界からの物理的・化学的刺激に応答する感覚受容機構にとって重要な役割を果たしているとの考えが長年通説となっていた。しかし、この10年の間、特定の温度、浸透圧、電位、機械的ストレス等に応答する一連の感覚受容体タンパク質は、末梢神経系のみならず表皮ケラチノサイトにおいても同定されている(Dhaka A, et al., "TRP ion channels and temperature sensation", Annu Rev Neurosci 29, pp. 135-161, 2006; 及びDenda M, et al., "Effects of skin surface temperature on epidermal permeability barrier homeostasis", J Invest Dermatol, 127, pp. 654-659, 2007)。
【0005】
更に、本発明者らの以前の研究では、特定の温度又は可視光が皮膚バリアのホメオスタシスに及ぼす効果が実証されている(Denda M, et al., "Epidermal keratinocytes as the forefront of the sensory system", Exp Dermatol 16, pp. 157-161, 2007)。このような刺激によって活性化される受容体タンパク質も、表皮ケラチノサイトで発現している(Dhaka A. et al. 前掲及びTsutsumi M, et al., "Expressions of rod and cone photoreceptor-like proteins in human epidermis", Exp Dermatol, Published Online: March 12, 2009)。以上の実験結果は、表皮ケラチノサイトが末梢神経系と同様の感覚受容機構を備えていることを示唆するものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Dhaka A, et al., "TRP ion channels and temperature sensation", Annu Rev Neurosci 29, pp. 135-161, 2006
【非特許文献2】Denda M, et al., "Effects of skin surface temperature on epidermal permeability barrier homeostasis", J Invest Dermatol, 127, pp. 654-659, 2007
【非特許文献3】Denda M, et al., "Epidermal keratinocytes as the forefront of the sensory system", Exp Dermatol 16, pp. 157-161, 2007
【非特許文献4】Tsutsumi M, et al., "Expressions of rod and cone photoreceptor-like proteins in human epidermis", Exp Dermatol, Published Online: March 12, 2009
【非特許文献5】Heffner RS., "Primate hearing from a mammalian perspective", Anat Rec A Discov Mol Cell Evol Biol. 2004, Nov; 281(1), pp.1111-1122
【非特許文献6】Oohashi T, et al., "Inaudible high-frequency sounds affect brain activity: hypersonic effect", J Neurophysiol. 2000, Jun; 83(6); pp.3548-58
【非特許文献7】Yagi R, et al., "Modulatory effect of inaudible high-frequency sounds on human acoustic perception", Beuroschi Lett. 2003 Nov 20, 351(3), pp. 191-195
【非特許文献8】Kawai N, et al., "Catecholamines and opoid peptides increase in plasma in humans during possession trances", Neuroreport. 2001, Nov 16, 12(16), pp. 3419-3423
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
音は、物体の振動が空気などを経由して聴覚細胞に刺激を与えることで知覚される。ヒトが知覚できる音の周波数(可聴域)は年齢、性別等によって異なる。このように個体差があるものの、一般的にはヒトの可聴域は20,000Hz〜16,000Hzと言われている(例えば、Heffner RS., "Primate hearing from a mammalian perspective", Anat Rec A Discov Mol Cell Evol Biol. 2004, Nov; 281(1), pp.1111-1122)。一方、20,000Hz超の周波数の音波は、通常ヒトの耳では捉えられず、超音波として定義される。
【0008】
大橋らの研究により、超音波は、聴覚への刺激を経由することなく、ヒトの脳波や全身性ホルモンレベルに影響を及ぼすことが明らかとなっている(Oohashi T, et al., "Inaudible high-frequency sounds affect brain activity: hypersonic effect", J Neurophysiol. 2000, Jun; 83(6); pp.3548-58、Yagi R, et al., "Modulatory effect of inaudible high-frequency sounds on human acoustic perception", Beuroschi Lett. 2003 Nov 20, 351(3), pp. 191-195、及びKawai N, et al., "Catecholamines and opoid peptides increase in plasma in humans during possession trances", Neuroreport. 2001, Nov 16, 12(16), pp. 3419-3423)。これらの事実は、超音波を認識する未知の感覚系がヒトの皮膚に存在していることを示唆している。しかしながら、音が皮膚バリアー機能のホメオスタシスにどのような影響を及ぼすかについてはこれまで検討されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、超音波だけでなく可聴域の音波についても表皮で知覚され得るとの仮説のもと、音が皮膚バリアーのホメオスタシスに及ぼす影響について検討した。その結果、本発明者は特定の周波数の音波が皮膚バリアー回復機能促進効果を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本願は下記の発明を包含する:
[1] 10,000〜50,000Hzの周波数の音波を皮膚に適用することを含んで成る、皮膚バリアー機能の回復を促進させるための美容方法。
[2] 前記音波が60〜200dbの音圧レベルで適用される、[1]に記載の方法。
[3] 10,000〜50,000Hzの周波数の音波を発生するための振動子と、当該音波の周波数を制御するための関数発生器と、当該音波を皮膚に伝達させるためのホーンとを備えた皮膚バリアー機能回復促進のための音波発生装置。
[4] 音波の音圧レベルを60db以上に制御するための手段を更に備えている、[3]に記載の音波発生装置。
【発明の効果】
【0011】
Menonらの研究によると、15MHzの周波数の超音波は、表皮に水やイオンをもたらし、その結果カルシウムイオンの濃度勾配及びラメラボディの分泌を変化させるとのことである(Menon GK, et al., " Selective Obliteration of the Epidermal Calcium Gradient Leads to Enhanced Lamellar Body Secretion ", Journal of Investigative Dermatology (1994) 102, pp. 789-795)。一方、このような超音波療法よりもはるかに低い、10,000〜50,000Hzの周波数の音波が皮膚に与える影響、特に皮膚バリアー機能回復促進効果への寄与は従来知られていなかった。理論に拘束されることを意図するものではないが、音は、ラメラボディと細胞膜との間の相転移に影響を及ぼすと考えられる。
【0012】
このように、本発明は、臨床皮膚科学上有用な新規の皮膚バリアー機能回復のための美容方法を提供するものである。また、本願発明が提供する音波発生装置は、従来の超音波療法で必要とされていた特殊な装置とは異なり、一般的なオーディオ機器等の汎用品を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、テープストリッピング後の皮膚に対し、一定の周波数の音波を適用した場合の皮膚バリアー機能回復促進効果を示すグラフである。横軸のCはコントロールを意味する。
【図2】図2は、皮膚と音源との間の距離が皮膚バリアー機能回復促進効果に及ぼす影響を検討したグラフである。横軸のCはコントロールを意味する。
【図3】図3は、音圧レベルが皮膚バリアー機能回復促進効果に及ぼす影響を検討したグラフである。横軸のCはコントロールを意味する。
【図4】図4は、TRPA1アンタゴニストであるHC030031を予め皮膚に適用した場合の音波による皮膚バリアー機能回復促進効果を示すグラフである。横軸のCはコントロールを意味し、+HCは、HC030031で前処理が行われたことを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第一の観点において、10,000〜50,000Hzの周波数の音波を皮膚に適用することを含んで成る、皮膚バリアー機能の回復を促進させるための美容方法を提供する。
【0015】
音波は可聴周波の弾性波であり、聴覚に関連して扱うときは音と呼ばれる(岩波書店「理化学辞典」第四版)。本明細書では、用語「音波」は、弾性体を伝播するあらゆる弾性波の総称として、可聴周波だけでなく不可聴周波をも包含する意味で便宜上使用する。
【0016】
周波数の単位は、1秒当たりの振動数に相当するヘルツ(Hz)で表す。本発明は1秒当たり10,000以上の振動数という高周波の音波を皮膚に適用することで、皮膚バリアー機能回復を促進させるものである。本発明の美容方法は、周波数を制御する装置、例えば関数発生装置を備えた音波発生装置を用いて実施することができる。20,000Hz以上の周波数の音波は通常超音波と称されるものであるが、オーディオ機器の性能次第で20,000Hz前後の周波数の音波を発生させることができる。
【0017】
本発明で使用する音波は、10,000〜50,000Hz、好ましくは10,000〜30,000Hzの周波数を有する。しかしながら、当該周波数は、適用される皮膚の症状等により適宜変調される。
【0018】
本発明の美容方法は、皮膚バリアー機能回復促進が意図される皮膚を、音波発生装置、例えばオーディオ機器と接続されたスピーカーの前に据え、当該装置から発生される所定の周波数の音を一定時間皮膚に浴びせることで実施することができる。本発明の美容方法は、音波発生装置、特に当該装置のホーン部と皮膚とは接触させた状態で行うのが好ましい。しかしながら、音波発生装置と皮膚とは、一定の距離、例えば1〜3cm離してもよい。
【0019】
音源から離れた位置の皮膚に音波を適用すると、その距離に比例して音波の振幅が減少する(減衰)。この場合、減衰効果を補うために適用する音波の音圧レベル(db)を上昇させてもよい。本発明の美容方法においては、60db以上、例えば70〜200dbの範囲で音圧レベルが制御されうる。音圧レベルは高いほど皮膚バリアー機能回復を促進させるため、本発明で使用可能な音圧レベルは上記範囲に限定されない。また、使用する装置の性能によってかかる範囲の上限は変動する。
【0020】
本明細書で使用する用語「皮膚バリアー機能」とは、皮膚のなかでも表皮による体内の水分保持及びウイルス、細菌等の進入阻止、などを意味する。ここで、当該機能は、発汗しない条件下で経皮水分蒸散量(TEWL)(単位:g/m2・h)を測定することにより評価することができる。
【0021】
また、本発明において、「皮膚バリアー機能の回復を促進する」とは、皮膚のテープストリッピング直後のTEWLの値を0%、テープストリッピング前の値を100%として、各測定時間におけるTEWLの値が、コントロールと比較した場合に明らかに有意差が認められ、TEWL回復率を促進させる効果を有することを意味し、Andrewらの方法(J Invest Dermatol,86;598,1986)に従って、4%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液をしみ込ませたCotton ballにより皮膚を処理して判定を行ういわゆる肌荒れ改善防止効果とは異なる。
【0022】
皮膚バリアー機能の回復が必要な皮膚としては、皮膚疾患、種々のストレス、そして肌荒れ等により皮膚バリアー機能が低下した肌、移植皮膚で皮膚バリアー層の形成が充分でないため皮膚バリアー機能が低い肌、あるいは移植によって皮膚バリアー機能が低下した肌等が挙げられる。従って、本発明の評価方法は、低下した皮膚バリアー機能の回復だけでなく、皮膚バリアー機能が低い肌に対してその機能を向上させる物質の評価も意図する。このように、本発明により皮膚バリアー機能回復促進効果があると評価された物質を適用する対象者としては、哺乳類が考えられ、特にヒトの皮膚に対して適用される。
【0023】
更に、上述の加齢に伴う皮膚機能の低下による皮膚増殖性異常等を防止する観点から、上記した音波は、高齢者の皮膚に適用されることが考えられる。当該音波はまた、人工皮膚にも適用することができる。これは、生体より単離された皮膚細胞等を培養することによって得られる人工皮膚は、皮膚バリアー層の形成が不完全なことがあり、その皮膚バリアー機能は概して低いためである。
【0024】
第二の観点において、本発明は、10,000〜50,000Hzの周波数の音波を発生するための振動子と、当該音波の周波数を制御するための関数発生器と、当該音波を皮膚に伝達させるためのホーンとを備えた皮膚バリアー機能回復促進のための音波発生装置を提供する。
【0025】
前記振動子は、10,000〜50,000Hzの範囲の周波数の音波を発生させるものであればどのような振動子でも使用することができる。当該振動子は10,000〜30,000Hzの周波数の音波を発生させるものが好ましい。周波数の調節は、一般的な関数発生器で行うことができる。当該振動子により発生した音波は、ホーンを介して皮膚に適用される。振動子及びホーンの役割を果たすスピーカーと、振動子から発生する音波を増幅するアンプを備えているオーディオ機器は、本願発明の音波発生装置として好適である。このように、本発明は、市販の関数発生器とオーディオ機器とを接続させたものを音波発生装置として使用することができる。好ましい態様において、本発明の音波発生装置は当該音波の音圧レベルを制御する手段を備えている。音圧レベルは、60db以上、例えば70〜200dbの範囲で制御されうる。オーディオ機器を使用する場合、当該機器が音圧レベルを調節する機能を有するアンプを備えていることが好ましい。
【0026】
前記ホーンは、音波が適用される皮膚の形状に応じて適宜変更してもよい。例えば、腕の皮膚に音波を適用する場合、ホーンは筒状に成型することができる。
【実施例】
【0027】
次に、本願発明を以下の実施例により更に具体的に説明する。
【0028】
皮膚バリアー機能回復促進効果試験
以下の実験において、種々の範囲の周波数、音圧レベルの音波を皮膚に適用した場合の皮膚バリアー機能回復促進効果を評価した。本試験では、マルチチャンネルインテグレートアンプ(TA−DA3400ES、ソニー社製、Japan)に関数発生器(Type19、Wavelike社製、USA、TX、Ft Worth)とフルレンジスピーカーFE 87E(Fostex社製、Japan)とをそれぞれ接続したものを音波発生装置として使用した。音圧レベルは、精密騒音計NA−28(リオン社製、Japan)を用いて評価した。
【0029】
皮膚バリアー機能回復促進効果は、ヘアレスマウス(Type HR−1, HOSHINO, Japan)の皮膚にテープストリッピングを施すことによって破壊された皮膚バリアー機能がもとの状態へ回復していく過程を経皮水分蒸散量(TEWL)を指標とし、以下の通り評価した。
【0030】
1.水分蒸散量測定装置MEECO(Meeco社製, Warrington, PA, USA)によりヘアレスマウス背部付近の経皮水分蒸散量(TEWL)を測定する。この際の値をTEWLの回復率100%とする。
2.皮膚のバリアーを、セロファンテープを使用し、ヘアレスマウスの表皮角層を剥がすことにより破壊する。このときTEWLの値が約800〜900となるまでこの作業を繰り返す。角層を剥がした後の測定値から角層を剥がす前の測定値を差し引いた値を、最もダメージの深い状態、即ち回復率0%とする。
3.角層を剥がしてから所定の時間(1,3,6又は24時間)経過後、皮膚とスピーカーとを接触させた状態で5、10、20及び30kHzの音波を上記角層に適用した。何も音波を当てていない皮膚をコントロールとする。
4.1時間経過後、音波の適用を中止し、MEECOによりTEWLを測定する。角層除去時と同様、各時間の測定値から角層除去前のTEWL値を差し引き、回復率をもとめる。
即ち、回復率は以下の式に従い算出する。
【数1】

【0031】
当該試験によって測定された皮膚バリアー機能の回復率(%)を図1に示す。図1から明らかなように、10〜30kHzの周波数を有する音波は、いずれの時間後も皮膚バリアー機能回復を有意に促進させた。一方、5kHzの場合、コントロールと有意差は見られなかった。尚、本実験での音圧レベルは83dbであった。
【0032】
続いて、皮膚とスピーカーとの距離を隔てることで、かかる回復促進効果が実際に音波によるものであることを確認した。スピーカーが皮膚から1cm、3cmと離された場合であっても、皮膚バリアー機能回復促進効果はコントロールと比較して有意に増大した(図2)。ここで、各距離での音圧レベルは、0cmの場合83db、1cmの場合78db、3cmの場合70dbであった。
【0033】
更に、音圧レベルが皮膚バリアー機能回復促進効果に及ぼす影響について検討した。本実験は、周波数を20,000Hzで固定し、68、78、88dbの3種類の音圧レベルの音波を用いて上記の実験手順により行った。その結果、音圧レベルの増大に伴い、回復率も増大した(図3)。
【0034】
Coreyらの研究によると、脊椎動物の内耳有毛細胞で発現しているTRPA1は聴覚に関与している(Corey DP, et al., " TRPA1 is a candidate for the mechanosensitive transduction channel of vertebrate hair cells.", Nature. 2004 Dec 9;432(7018):723-30.")。そこで、TRPA1アンタゴニストが音波による皮膚バリアー機能回復促進効果にどのような効果を及ぼすかについて検討した。音波を適用する前にTRPA1アンタゴニストであるHC030031で皮膚を処理して上記実験を行ったところ、音波による皮膚バリアー機能回復促進効果が阻害された(図4)。尚、Ruzanna Atoyanらにより、マウスの表皮上でのTRPA1抗体の免疫反応が確認されている (Non-Neuronal Expression of Transient Receptor Potential Type A1 (TRPA1) in Human Skin, J Invest Dermatol advance online publication, March 12, 2009)。これらの結果は、表皮には音を認識する機構が存在していることを示唆するものである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
皮膚バリアー機能回復に対して音がどのように作用するかは不明である。しかしながら、以上の結果から、従来の超音波療法で使用されていた周波数よりも遥かに低い周波数の音波が皮膚バリアー機能回復促進に寄与することは明白である。従って、本発明によれば、特殊な超音波発生装置を用いることなく、市販のオーディオ機器を使用して皮膚バリアー機能回復を促進させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10,000〜50,000Hzの周波数の音波を皮膚に適用することを含んで成る、皮膚バリアー機能の回復を促進させるための美容方法。
【請求項2】
前記音波が60〜200dbの音圧レベルで適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
10,000〜50,000Hzの周波数の音波を発生するための振動子と、当該音波の周波数を制御するための関数発生器と、当該音波を皮膚に伝達させるためのホーンとを備えた皮膚バリアー機能回復促進のための音波発生装置。
【請求項4】
音波の音圧レベルを60db以上に制御するための手段を更に備えている、請求項3に記載の音波発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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