説明

状態診断装置、状態診断システム及びプログラム

【課題】電気機器の稼働状態を精度よく診断することを可能にする状態診断装置を提供する。
【解決手段】電流波形取得部22が、CTセンサ10がサンプリング期間に計測する電流を表す電流波形データをX×Y個取得する。平均波形の変動度算出部27は、電流波形データのX個ずつを加算平均したY個の平均波形データに含まれる値のうち、対応する各サンプリング時期の値の変動度を表す平均波形の変動度を算出する。電流波形の変動度算出部28は、X×Y個の電流波形データに含まれる値のうち、対応する各サンプリング時期の値の変動度を表す電流波形の変動度を算出する。定常状態判別部29は、各サンプリング時期における平均波形の変動度と電流波形の変動度の所定の割合とを比較し、比較した結果、所定の割合以上のサンプリング時期において、平均波形の変動度が電流波形の変動度の所定の割合より小さい場合に、定常状態であると判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、状態診断装置、状態診断システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給電線における電流波形に基づいて、その給電線に接続された電気機器の稼働状況を推定する技術が種々開示されている。
【0003】
例えば特許文献1に記載の技術は、各電気機器について、その電気機器だけが稼働しているときの電流波形の特徴量と、給電線における電流波形の特徴量とを比較することによって、電気機器の稼働状況を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−17674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電気機器を起動した時やその稼働モードが変化した時には、過渡現象によって電流波形が特異なものとなることがある。このため、特許文献1に記載の技術により過渡状態での電流波形に基づいて電気機器の稼働状況を推定してしまうと、その推定の精度が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電気機器の稼働状況を精度よく推定することを可能にする状態診断装置などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る状態診断装置は、
電気機器に電力を供給する給電線における電流値を所定のサンプリング周期で計測する電流センサと、
前記給電線における電流又は電圧がそれぞれに対応して予め定められた閾値をまたいで変化した場合にトリガ信号を出力するトリガ信号出力手段と、
前記トリガ信号を取得し、当該トリガ信号を取得してから所定のサンプリング期間に前記電流センサによって計測される電流値の特徴量の経時変化を表す電流波形データを取得する電流波形取得手段と、
前記電流波形取得手段によってX(Xは自然数)個以上の電流波形データが取得されると、X個の前記電流波形データを加算平均することで平均波形データを生成する平均波形算出手段と、
前記平均波形算出手段によってY(Yは自然数)個の平均波形データが生成されると、Y個の前記平均波形データについて、対応する各サンプリング時期の値の変動度を表す平均波形の変動度を算出する第1変動度算出手段と、
前記平均波形算出手段によってY個の平均波形データが生成されると、当該Y個の平均波形データを生成する基となったX×Y個の前記電流波形データについて、対応する各サンプリング時期の値の変動度を表す電流波形の変動度を算出する第2変動度算出手段と、
各サンプリング時期における前記平均波形の変動度と前記電流波形の変動度の所定の割合とを比較し、比較した結果、所定の割合以上のサンプリング時期において、前記平均波形の変動度が前記電流波形の変動度の所定の割合より小さい場合に、前記給電線における電流が定常状態であると判別する定常状態判別手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、給電線における電流が定常状態である否かが判別される。そのため、給電線における定常状態での電流波形データを取得することが可能になる。したがって、電気機器の稼働状況を推定する精度を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態1に係る状態診断システムの構成を示す図である。
【図2】実施形態1に係る状態診断装置の構成を示す図である。
【図3】定常データの例を示す図である。
【図4】実施形態1に係る端末装置の構成を示す図である。
【図5】実施形態1に係る状態診断装置が実行する状態診断処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図5に示す状態診断処理に含まれる電流波形取得処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】端末装置が実行する通知処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施形態1の一変形例に係る状態診断装置の構成を示す図である。
【図9】実施形態2に係る状態診断装置の構成を示す図である。
【図10】第1定常データの例を示す図である。
【図11】第2定常データの例を示す図である。
【図12】第3定常データの例を示す図である。
【図13】第4定常データの例を示す図である。
【図14】第5定常データの例を示す図である。
【図15】第6定常データの例を示す図である。
【図16】第7定常データの例を示す図である。
【図17】第8定常データの例を示す図である。
【図18】第9定常データの例を示す図である。
【図19】実施形態2に係る状態診断装置が実行する状態診断処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】図19に示す状態診断処理に含まれる電源変換処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。全図を通じて同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
実施形態1.
本発明の実施形態1に係る状態診断システムは、給電線における電流の状態を診断し、診断の結果をユーザに通知するシステムである。図1に示すように、状態診断システム1は、需要家の分電盤2に設けられる状態診断装置3と、状態診断装置3との間で無線通信する端末装置4とを備える。なお、状態診断装置3と端末装置4とは、有線の通信回線を介して通信可能に接続されてもよい。
【0012】
分電盤2は、一般にブレーカなど(図示せず)を備えており、給電線5に介在する。給電線5は、商用電源6から需要家のコンセント7まで電力を供給する配線である。電気機器8は、需要家の家屋などに設けられたコンセント7を介して、給電線5に接続されている。なお、給電線5は、商用電源6に加えて、又はそれに代えて、太陽光発電、燃料電池などの分散型電源からの電力を供給してもよい。
【0013】
状態診断装置3は、給電線5における電流の状態を診断する装置である。状態診断装置3は、図2に示すように、給電線5に接続されるPT(Potential Transformer)センサ9及びCT(Current Transformer)センサ10と、商用周波数電圧抽出回路11と、高調波電流抽出回路12と、送信部13と、記憶部14と、CPU(Central Processing Unit)15とを備える。
【0014】
PTセンサ9は、一定のサンプリング周期で給電線5の電圧値を計測し、各サンプリング時期に計測された電圧値を示す電圧信号を出力するセンサである。CTセンサ10は、一定のサンプリング周期で給電線5の電流値を計測し、各サンプリング時期に計測された電流値を示す電流信号を出力するセンサである。PTセンサ9とCTセンサ10とのサンプリング周期は同期している。
【0015】
商用周波数電圧抽出回路11は、PTセンサ9が出力する電圧信号を取得し、その電圧信号から特定周波数成分を抽出して出力する電気回路である。特定周波数は例えば、商用電源周波数又はその近傍周波数である。
【0016】
高調波電流抽出回路12は、CTセンサ10が出力する電流信号を取得し、その電流信号から予め定めた周波数の高調波成分を抽出して出力する電気回路である。電流の高調波は、電気機器8が稼働している場合に給電線5を流れる電流に含まれる。
【0017】
送信部13は、状態診断装置3による診断の結果を含む通知データを端末装置4へ送信する。送信部13は例えば、アンテナ、通知データを含む信号を生成しアンテナを介して送信させる電気回路などを含む。
【0018】
記憶部14は、CPU15が処理中に生成するデータ、定常データ16などの各種データを記憶し、記憶しているデータを要求に応じて読み出す。記憶部14は例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどと、それらにデータを記憶させ又はそれらからデータを読み出す記憶制御部とを含む。なお、記憶部14は、外付けのHDD(Hard Disc Drive)などを含んでもよい。
【0019】
記憶部14に記憶される定常データ16は、給電線5における定常状態での電流波形の特徴を示すデータである。定常データ16は、図3に示すように、平均波形データ17と、最大平均波形データ18と、最小平均波形データ19とを含む。これらのデータ17〜19の詳細は後述する。
【0020】
CPU15は、給電線5における電流の状態を診断するための処理を実行する1つ又は複数のプロセッサから構成される。CPU15は機能的に、図2に示すように、トリガ判断部21と、電流波形取得部22と、合計波形算出部23と、平均波形算出部24と、最大/最小平均波形生成部25と、最大/最小電流波形生成部26と、平均波形の変動度算出部27と、電流波形の変動度算出部28と、定常状態判別部29と、変化判別部30と、定常データ出力部31とを備える。
【0021】
トリガ信号出力手段としてのトリガ判断部21は、商用周波数電圧抽出回路11が出力する電圧信号によって示される電圧が所定の閾値(本実施形態では、0)をまたいで一定の方向に変化したか否かを判断し、変化したと判断すると直ちにトリガ信号を出力する。電圧が0をまたいで一定の方向に変化するとは、電圧が負から正に変化することである。なお、電圧が0をまたいで一定の方向に変化することは、電圧が正から負に変化することであってもよい。
【0022】
電流波形取得部22は、トリガ判断部21が出力したトリガ信号を取得すると、その直後からサンプリング期間T[秒]に高調波電流抽出回路12が出力する電流信号を取得する。電流波形取得部22は、このような電流信号の取得をX×Y回繰り返す。これによって、電流波形取得部22は、電流波形Ii,jを表す電流波形データをX×Y個生成する。なお、X,Yは、予め定められる自然数である。
【0023】
電流波形Ii,jは、トリガ信号を取得した時点からサンプリング期間T[秒]に給電線5を流れる電流に含まれる高調波成分の大きさ(CTセンサ10が計測する電流値の特徴量、以下、電流特徴量という。)の経時的変化を表す波形である。なお、iは、1≦i≦Xを満たす自然数、jは、1≦j≦Yを満たす自然数である。
【0024】
ここで、サンプリング期間Tは例えば、商用電源6から供給される交流の電力の1周期である。サンプリング期間TにおけるCTセンサ10のサンプリング回数をNとし、例えば、商用電源の周波数が50[Hz](すなわち、サンプリング期間T=0.02秒)、サンプリング周期1/(N×T)が20[kHz]であるとする。この場合、1つの電流波形Ii,jは、トリガ信号を取得した時以降の各サンプリング時期の電流特徴量を表す400(=N)個の要素により表される。
【0025】
合計波形算出部23は、電流波形取得部22によって生成されたX×Y個の電流波形データに基づいて、合計波形Sを表す合計波形データをY個生成する。
【0026】
合計波形Sは、X×Y個の電流波形データが示す電流波形Ii,jのうち、電流波形取得部22によって連続して生成されたX個ずつの電流波形Ii,j(1≦i≦X)を加算した波形である。すなわち、合計波形Sは、X個の電流波形Ii,j(1≦i≦X)に含まれる電流特徴量を対応するサンプリング時期ごとに加算した合計電流の経時的変化を表す波形である。
【0027】
平均波形算出部24は、合計波形算出部23によって生成されたY個の合計波形データに基づいて、平均波形Aを表す平均波形データをY個生成する。
【0028】
平均波形Aは、X×Y個の電流波形データが表す電流波形Ii,jのうち、電流波形取得部22によって連続して生成されたX個ずつの電流波形Ii,j(1≦i≦X)を加算平均した波形である。すなわち、平均波形Aは、合計波形Sに含まれる合計電流をXで除した平均電流の経時的変化を表す波形である。
【0029】
最大/最小平均波形生成部25は、平均波形算出部24により生成された平均波形データに基づいて、最大平均波形AMAXを表す最大平均波形データと最小平均波形AMINを表す最小平均波形データとを生成する。
【0030】
最大平均波形AMAXは、Y個の平均波形データに含まれる平均電流の、対応するサンプリング時期ごとの最大値の経時的変化を表す波形である。最小平均波形AMINは、Y個の平均波形データに含まれる平均電流の、対応するサンプリング時期ごとの最小値の経時的変化を表す波形である。
【0031】
最大/最小電流波形生成部26は、電流波形取得部22によって生成されたX×Y個の電流波形データに基づいて、最大電流波形IMAXを表す最大電流波形データと最小電流波形IMINを表す最小電流波形データとを生成する。
【0032】
最大電流波形IMAXは、X×Y個の電流波形データに含まれる電流特徴量の、対応するサンプリング時期ごとの最大値の経時的変化を表す波形である。最小電流波形IMINは、X×Y個の電流波形データに含まれる電流特徴量の、対応するサンプリング時期ごとの最小値の経時的変化を表す波形である。
【0033】
平均波形の変動度算出部27は、平均波形算出部24によって生成されたY個の平均波形データに基づいて平均波形の変動度VAを算出し、算出した結果を表す平均波形の変動度データを生成する。
【0034】
平均波形の変動度VAは、Y個の平均波形データに含まれる平均電流について、対応する各サンプリング時期の平均電流が変動する度合いを表す指標の集合である。具体的には例えば、平均波形の変動度VAは、最大平均波形AMAXと最小平均波形AMINとの差である。すなわち、平均波形の変動度VAの各要素は、対応する各サンプリング時期における平均電流の最大値と平均電流の最小値との差である。
【0035】
電流波形の変動度算出部28は、電流波形取得部22によって生成されたX×Y個の電流波形データに基づいて電流波形の変動度VIを算出し、算出した結果を表す電流波形の変動度データを生成する。
【0036】
電流波形の変動度VIは、X×Y個の電流波形データに含まれる電流特徴量について、対応する各サンプリング時期の電流特徴量が変動する度合いを示す指標の集合である。具体的には例えば、電流波形の変動度VIは、最大電流波形IMAXと最小電流波形IMINとの差である。すなわち、電流波形の変動度VIの各要素は、対応する各サンプリング時期における電流特徴量の最大値と電流特徴量の最小値との差である。
【0037】
定常状態判別部29は、平均波形の変動度データと電流波形の変動度データとを取得し、平均波形の変動度と電流波形の変動度の所定の割合(例えば、電流波形の変動度に1/Xを乗じた値)とを比較する。比較した結果、平均波形の変動度が電流波形の変動度の1/Xより小さいサンプリング時期が所定の割合以上である場合に、定常状態判別部29は、定常状態であると判別する。また、比較した結果、平均波形の変動度が電流波形の変動度の1/Xより小さいサンプリング時期が所定の割合未満である場合に、定常状態判別部29は、非定常状態である(定常状態でない)と判別する。
【0038】
変化判別部30は、定常状態判別部29によって定常状態であると判別された場合に、平均波形データと、最大平均波形データ18及び最小平均波形データ19とに基づいて、電気機器8の変化の有無を判別する。
【0039】
ここで、変化判別部30が判別するための平均波形データは、定常状態判別部29による今回の判別の基となったものである。変化判別部30が判別するための最大平均波形データ18及び最小平均波形データ19は、記憶部14に記憶されている定常データ16に含まれるものである。すなわち、ここでの最大平均波形データ18は、定常状態判別部29によって前回(又はそれ以前に)、定常状態であると判別された際の最大平均波形データ18であり、最小平均波形データ19についても同様である。
【0040】
また、電気機器8の変化は、電気機器8の稼働状態の変化であり、例えば、電気機器8が起動又は停止したこと、電気機器8の稼働モードが変わったことを含む。また、稼働モードには、例えば電気機器8が電子レンジである場合、1200Wでの稼働、500Wでの稼働などがある。
【0041】
定常データ出力部31は、変化判別部30によって変化ありと判別された場合に、定常データ16を記憶部14へ出力する。これによって、定常データ16は記憶部14に記憶される。定常データ出力部31が出力する定常データ16は、定常状態判別部29による定常状態であるとの判別の基になった平均波形データと、その平均波形データから生成された最大平均波形データ及び最小平均波形データとを含む。
【0042】
これまで説明したCPU15が備える機能は、プロセッサ自体の機能として実現されてもよく、ソフトウェア・プログラムを実行することによりプロセッサが発揮する機能として実現されてもよく、それらの組み合わせによって実現されてもよい。また、これまで説明したCPU15が備える機能は、ソフトウェア・プログラムをコンピュータにインストールして実行させることによって実現されてもよく、この場合、記憶部14はそのコンピュータが備えるHDD(Hard Disc Drive)などにより実現されてもよい。プロセッサ又はコンピュータがソフトウェア・プログラムを実行する場合、ソフトウェア・プログラムは例えば、記憶部14に記憶されている。このようなソフトウェア・プログラムは、記憶媒体によって配布されてもよく、インターネットなどを介して配信されてもよい。
【0043】
端末装置4は、状態診断装置3から通知データを受信し、表示ランプ41a,bとスピーカ42とによって(図1参照)、状態診断装置3による診断の結果をユーザに通知する。端末装置4は、ユーザの後述する電気機器8の操作を容易にするために、ユーザが携帯できる程度の大きさであることが望ましい。端末装置4は、図4に示すように、受信部43と、通知判別部44と、通知制御部45と、表示ランプ41a,b及びスピーカ42(通知手段)とを備える。
【0044】
受信部43は、状態診断装置3の送信部13から送信された通知データを受信する。受信部43は例えば、アンテナ、アンテナが受信したデータから通知データを抽出する電気回路などから構成される。
【0045】
通知判別部44は、通知データを受信部43から取得し、通知データに含まれる診断の結果を判別する。診断の結果には例えば、非定常状態であること、電気機器8の変化がないこと、又は定常データを出力したことが含まれる。
【0046】
通知制御部45は、通知判別部44によって判別した結果に従って、表示ランプ41a,b及びスピーカ42を制御する。表示ランプ41a,bは、光によってユーザに通知し、スピーカ42は、音によってユーザに通知する。
【0047】
ここから、状態診断システム1が実行する処理について説明する。
【0048】
状態診断装置3は、例えば電源が投入されると、図5に示す状態診断処理を開始する。ユーザは、電気機器8を特定の稼働モード(例えば、電気機器8が電子レンジであれば、1200W)で稼働させる。また、電気機器8以外の電気機器が給電線5に接続されている場合、ユーザは、電気機器8以外の電気機器の稼働を停止させる。
【0049】
図5に示すように、状態診断装置3は、以下に説明するループA(ステップS102)、平均波形算出処理(ステップS106)、及び最大/最小平均波形更新処理(S107)をY回繰り返す(ループB;ステップS101)。
【0050】
ループA(ステップS102)において、状態診断装置3は、以下に説明する電流波形取得処理(ステップS103)から最大/最小電流波形更新処理(ステップS105)をX回繰り返す。
【0051】
電流波形取得処理(ステップS103)では、図6に示すように、トリガ判断部21は、PTセンサ9が計測した電圧を示す電圧信号を、商用周波数電圧抽出回路11を介して取得する(ステップS121)。トリガ判断部21は、取得した電圧信号に基づいて給電線5における商用周波数成分の電圧が負から正に変化したか否かを判断する(ステップS122)。負から正に変化していないと判断した場合(ステップS122;No)、トリガ判断部21は、電圧信号取得処理(ステップS121)及びトリガ判断処理(ステップS122)を繰り返す。
【0052】
負から正に変化したと判断した場合(ステップS122;Yes)、トリガ判断部21は、直ちにトリガ信号を出力する。電流波形取得部22は、トリガ判断部21からトリガ信号を取得する。トリガ信号を取得した電流波形取得部22は、トリガ信号を取得した直後からサンプリング期間T[秒]の間、高調波電流抽出回路12を介して、PTセンサ9が計測した電流を示す電流信号を取得する(ステップS123)。サンプリング期間T[秒]の電流信号を取得した電流波形取得部22は、その電流信号が表す各サンプリング時期の電流特徴量を含む電流波形データを生成する(ステップS124)。電流波形取得部22は、生成した電流波形データを記憶部14に記憶させる(ステップS125)。
【0053】
ループB(ステップS101)がj回目、ループA(ステップS102)がi回目である場合に、電流波形取得部22により生成される電流波形データが表す電流波形Ii,jは、式(1)で表される。
【0054】
【数1】

【0055】
ここで、Ii,j(t)は、サンプリング時期tの電流特徴量を表す。なお、tは、1≦t≦Nを満たす自然数である。
【0056】
このように、電流波形データは、商用周波数成分の電圧が負から正に変化した時から商用電源6の1周期T[S]に取得された電流信号によって構成される。したがって、電流波形取得処理(ステップS103)を実行することによって、商用電源6の1周期に対応する電流波形Ii,jを収集することが可能になる。
【0057】
合計波形算出部23は、電流波形データを電流波形取得部22から取得する。そして、合計波形算出部23は、対応する各サンプリング時期について、記憶部14に記憶させている合計波形データの合計電流に、取得した電流波形データに含まれる電流特徴量を加算する(ステップS104)。合計波形算出部23は、加算された各サンプリング時期の合計電流を含む合計波形データを記憶部14に記憶させる。これにより、記憶部14の合計波形データは、電流波形データがサンプリング時期ごとに加算されたものとなる。
【0058】
最大/最小電流波形生成部26は、電流波形データを電流波形取得部22から取得する。最大/最小電流波形生成部26は、取得した電流波形データに基づいて、記憶部14に記憶させている最大電流波形データ及び最小電流波形データを更新する(ステップS105)。
【0059】
詳細には、最大/最小電流波形生成部26は、対応する各サンプリング時期について、記憶部14に記憶させている最大電流波形データ及び最小電流波形データのそれぞれが示す値と、取得した電流波形データが示す値とを比較する。電流波形データの値が最大電流波形データの値より大きいサンプリング時期については、最大/最小電流波形生成部26は、そのサンプリング時期の最大電流波形データの値を電流波形データの値で置き換えた最大電流波形データを生成する。また、電流波形データの値が最小電流波形データの値より小さいサンプリング時期については、最大/最小電流波形生成部26は、そのサンプリング時期の最小電流波形データの値を電流波形データの値で置き換えた最小電流波形データを生成する。最大/最小電流波形生成部26は、生成した最大電流波形データ及び最小電流波形データによって、記憶部14の最大電流波形データ及び最小電流波形データを更新する。
【0060】
これまで説明した電流波形取得処理(ステップS103)から最大/最小電流波形更新処理(ステップS105)までをX回繰り返すことによって、ループA(ステップS102)は終了する。
【0061】
ループA(ステップS102)が1回実行されることによって、合計波形算出部23は、X個の電流波形データを電流波形取得部22から取得することになる。また、合計波形データが表す合計波形Sは、ループB(ステップS101)がj回目である場合に、式(2)により表される。
【0062】
【数2】

【0063】
ループA(ステップS102)が終了すると、平均波形算出部24は、合計波形データを記憶部14から取得した後、記憶部14の合計波形データをクリアする。平均波形算出部24は、合計波形データに含まれる各サンプリング時期の合計電流をXで除することによって平均波形Aを算出し、平均波形データを生成する(ステップS106)。
【0064】
平均波形算出処理(ステップS106)を実行することによって生成される平均波形データが表す平均波形Aは、ループB(ステップS101)がj回目である場合に、式(3)により表される。
【0065】
【数3】

【0066】
最大/最小平均波形生成部25は、平均波形算出部24から平均波形データを取得する。そして、最大/最小平均波形生成部25は、取得した平均波形データに基づいて、記憶部14に記憶させている最大平均波形データ及び最小平均波形データを更新する(ステップS107)。
【0067】
詳細には、最大/最小平均波形生成部25は、対応する各サンプリング時期について、記憶部14に記憶させている最大平均波形データ及び最小平均波形データのそれぞれが示す値と、取得した平均波形データが示す値とを比較する。平均波形データの値が最大平均波形データの値より大きいサンプリング時期については、最大/最小平均波形生成部25は、そのサンプリング時期の最大平均波形データの値を平均波形データの値で置き換えた最大平均波形データを生成する。また、平均波形データの値が最小平均波形データの値より小さいサンプリング時期については、最大/最小平均波形生成部25は、そのサンプリング時期の最小平均波形データの値を平均波形データの値で置き換えた最小平均波形データを生成する。最大/最小平均波形生成部25は、生成した最大平均波形データ及び最小平均波形データによって、記憶部14の最大平均波形データ及び最小平均波形データを更新する。
【0068】
これまで説明したループA(ステップS102)、平均波形算出処理(ステップS106)、及び最大/最小平均波形更新処理(S107)をY回繰り返すことによって、ループB(ステップS101)は終了する。
【0069】
ここまでの処理によって、X×Y個の電流波形データが電流波形取得部22により生成される。また、X×Y個の電流波形Ii,jに基づいて最大/最小電流波形生成部26により生成される最大電流波形データが表す最大電流波形IMAXは、式(4)により表される。
【0070】
【数4】



【0071】
ここで、MAXは、後続する[]内の要素の最大値を表す。
【0072】
また、X×Y個の電流波形Ii,jに基づいて最大/最小電流波形生成部26により生成される最小電流波形データが表す最小電流波形IMINは、式(5)により表される。
【0073】
【数5】



【0074】
ここで、MINは、後続する[]内の要素の最小値を表す。
【0075】
また、ここまでの処理によって、Y個の平均波形データが平均波形算出部24により生成される。Y個の平均波形Aに基づいて最大/最小平均波形生成部25により生成される最大平均波形データが表す最大平均波形AMAXは、式(6)により表される。
【0076】
【数6】

【0077】
また、Y個の平均波形Aに基づいて最大/最小平均波形生成部25により生成される最小平均波形データが表す最小平均波形AMINは、式(7)により表される。
【0078】
【数7】

【0079】
続けて、平均波形の変動度算出部27は、最大平均波形データと最小平均波形データとを記憶部14から取得し、取得した最大平均波形データと最小平均波形データとに基づいて平均波形の変動度VAを算出し、平均波形の変動度データを生成する。また、電流波形の変動度算出部28は、最大電流波形データと最小電流波形データとを記憶部14から取得し、取得した最大電流波形データと最小電流波形データとに基づいて電流波形の変動度VIを算出し、電流波形の変動度データを生成する(ステップS108)。
【0080】
ここで、平均波形の変動度算出部27により算出される平均波形の変動度VAは、式(8)により表される。
【0081】
【数8】

【0082】
また、電流波形の変動度算出部28により算出される電流波形の変動度VIは、式(9)により表される。
【0083】
【数9】



【0084】
定常状態判別部29は、平均波形の変動度算出部27から平均波形の変動度データを取得し、電流波形の変動度算出部28から電流波形の変動度データを取得する。定常状態判別部29は、取得した平均波形の変動度データの平均波形の変動度VAと取得した電流波形の変動度データの電流波形の変動度VIの1/Xとを比較する。比較した結果に基づいて、定常状態判別部29は、定常状態であるか否かを判別する(ステップS109)。
【0085】
詳細には、平均波形の変動度VAが電流波形の変動度VIの1/Xより小さいサンプリング時期が所定の割合以上である場合に、定常状態判別部29は、定常状態であると判別する(ステップS109;Yes)。また、平均波形の変動度VAが電流波形の変動度VIの1/Xより小さいサンプリング時期が所定の割合未満である場合に、定常状態判別部29は、非定常状態であると判別する(ステップS109;No)。
【0086】
一般に、電流波形に含まれる主なノイズがホワイトノイズである場合、X個の電流波形を加算平均することによって、平均電流波形の変動度VAは、電流波形の変動度VIの1/X程度になる。そのため、平均波形の変動度VAが電流波形の変動度VIの1/Xより小さいサンプリング時期が所定の割合以上である場合、平均電流波形に含まれる主なノイズは、ホワイトノイズであると推定できる。
【0087】
また、平均波形の変動度VAが電流波形の変動度VIの1/Xより小さいサンプリング時期が所定の割合未満である場合、平均電流波形に含まれる主なノイズは、ホワイトノイズではなく、過渡状態に起因するものと推定できる。したがって、平均波形の変動度VAと電流波形の変動度VIの1/Xとを比較することによって、定常状態であるか否かを判別することができる。
【0088】
なお、平均波形の変動度VAと比較する際に、電流波形の変動度VIに乗じる値は、1/Xに限らず、適宜定められてもよい。
【0089】
定常状態であると判別された場合に(ステップS109;Yes)、変化判別部30は、定常データ16が記憶部14に記憶されているか否かを判別する(ステップS110)。定常データ16が記憶部14に記憶されていない場合に、変化判別部30は、前データがないと判別する(ステップS110;Yes)。また、定常データ16が記憶部14に記憶されている場合に、変化判別部30は、前データがあると判別する(ステップS110;No)。
【0090】
前データがあると判別した場合に(ステップS110;No)、変化判別部30は、電気機器8の変化の有無を判別する(ステップS111)。
【0091】
詳細には、平均電流が最大平均電流と最小平均電流との間に収まっていない場合に、変化判別部30は、変化ありと判別する(ステップS111;Yes)。また、平均電流が最大平均電流と最小平均電流との間に収まっている場合に、変化判別部30は、変化なしと判別する(ステップS111;No)。
【0092】
なお、平均電流が最大平均電流と最小平均電流との間に収まっているサンプリング時期が所定の割合未満である場合に、変化判別部30は、変化ありと判別してもよい。また、平均電流が最大平均電流と最小平均電流との間に収まっているサンプリング時期が所定の割合以上である場合に、変化判別部30は、変化なしと判別してもよい。
【0093】
前データがないと判別された場合(ステップS110;Yes)、及び、変化ありと判別された場合(ステップS111;Yes)、定常データ出力部31は、定常データ16を出力して記憶部14に記憶させる(ステップS112)。
【0094】
ここでの定常データ16に含まれる平均波形データは、定常状態判別部29による定常状態であるとの判別の基になったY個の平均波形データのうち、例えば平均波形算出部24により最後に生成されたものであり、例えば記憶部14から取得される。また、ここでの定常データ16に含まれる最大平均波形データと最小平均波形データとは、最大/最小平均波形生成部25により最後に生成されたものであり、例えば記憶部14から取得される。
【0095】
このように定常データ16が出力されることによって、電気機器8が特定の稼働モードで稼働している場合に特徴的な定常状態での電流波形データが記憶部14に収集される。
【0096】
送信部13は、定常データを出力したことを含む通知データを端末装置4へ送信する(ステップS113)。
【0097】
変化なしと判別された場合(ステップS111;No)、送信部13は、電気機器8の変化がないことを含む通知データを端末装置4へ送信する(ステップS114)。
【0098】
非定常状態であると判別された場合(ステップS109;No)、送信部13は、非定常状態であることを含む通知データを端末装置4へ送信する(ステップS115)。これらの通知データ送信処理(ステップS113〜S115)の後に、状態診断装置3は、状態診断処理おいて記憶部14に記憶させた定常データ16以外の各種データをクリアして状態診断処理を終了する。状態診断装置3は、例えば電源が投入されている間、上述の状態診断処理を繰り返す。
【0099】
端末装置4は、例えば電源が投入されている間、図7に示す通知処理を実行する。同図に示すように、通知判別部44は、受信部43を監視することによって、状態診断装置3から通知データを受信したか否かを判別する(ステップS131)。受信していないと判別した場合(ステップS131;No)、通知判別部44は、受信判別処理(ステップS131)を継続する。
【0100】
受信したと判別した場合(ステップS131;Yes)、通知判別部44は、非定常状態であることが通知データに含まれるか否かを判別する(ステップS132)。非定常状態であることを含むと判別された場合(ステップS132;Yes)、通知制御部45は、収集中であることを表す表示ランプ41aを点灯させる(ステップS133)。
【0101】
表示ランプ41aが点灯している間は、状態診断装置3は、電気機器8が特定の稼働モードで稼働している場合に特徴的な定常状態での電流波形データを収集するために、上述の状態診断処理を実行している最中である。そのため、ユーザは、電気機器8を特定の稼働モードで稼働させたまま、他の電気機器を起動させずに待機する。これによって、電気機器8が特定の稼働モードで稼働している場合に特徴的な定常状態での電流波形データが、状態診断装置3に確実に収集される。
【0102】
非定常状態であることを含まないと判別した場合(ステップS132;No)、通知判別部44は、電気機器8の変化がないことが通知データに含まれるか否かを判別する(ステップS134)。電気機器8の変化がないことを含むと判別された場合(ステップS134;Yes)、通知制御部45は、待機中であることを表す表示ランプ41bを点灯させる(ステップS135)。
【0103】
表示ランプ41bを点灯させることにより、ユーザは、電流波形データを収集するための処理が状態診断装置3にて実行されていないことを知ることができる。
【0104】
電気機器8の変化がないことを含まないと判別した場合(ステップS134;No)、通知判別部44は、定常データを出力したことが通知データに含まれるか否かを判別する(ステップS136)。
【0105】
定常データを出力したことを含むと判別された場合(ステップS136;Yes)、通知制御部45は、スピーカ42に通知音を発生させ(ステップS137)、待機中であることを表す表示ランプ41bを点灯させる(ステップS135)。
【0106】
通知音を発生させることにより、ユーザは、特定の稼働モードで稼働する電気機器8の定常状態での電流波形データが収集されたことを知ることができる。また、表示ランプ41bを点灯させることにより、ユーザは、電流波形データを収集するための処理が状態診断装置3にて実行されていないことを知ることができる。
【0107】
定常データを出力したことを含まないと判別した場合(ステップS136;No)、又は、表示ランプ点灯処理(ステップS133〜S135)を実行した後、通知判別部44が、受信判別処理(ステップS131)を再び実行する。
【0108】
表示ランプ41bが点灯している間は、状態診断装置3は、その電源が投入されている間状態診断処理を実行するものの、ユーザが電気機器8の変化をさせなければ、新たな電流波形データは収集されない。そのため、ユーザは、表示ランプ41bの点灯を確認して、例えば電気機器8の稼働モードを切り替えるとよい。電気機器8の稼働モードが切り替えられると、状態診断処理を実行する状態診断装置3によって、切り替え後の稼働モードで稼働する電気機器8に特徴的な定常状態での電流波形データが自動的に収集される。この電流波形データを収集するための状態診断処理を実行している間は、端末装置4では表示ランプ41aが点灯する。
【0109】
そして、切り替え後の稼働モードで稼働する電気機器8に特徴的な定常状態での電流波形データが収集されると、通知音が発せられ、表示ランプ41bが点灯する。ユーザは、表示ランプ41bの点灯を確認して、次に例えば電気機器8を停止させて、他の電気機器8(例えば、テレビ)を特定の稼働モードで稼働させるとよい。これにより、その電気機器が特定の稼働モードで稼働している場合に特徴的な定常状態での電流波形データが状態診断装置3により自動的に収集される。
【0110】
このように、ユーザが表示ランプ41a,bを確認して、電気機器8の稼働モードを切り替えることによって、所望の電気機器が所望の稼働モードで稼働している場合に特徴的な定常状態での電流波形データを収集することができる。そのため、給電線5における電流が定常状態であるか否かを判別する原理を詳しく知らないユーザであっても、種々の電気機器が各稼働モードで稼働する場合に特徴的な定常状態での電流波形データを確実かつ容易に収集することが可能になる。
【0111】
以上、本発明の実施形態1について説明した。本実施形態によれば、状態診断装置3は、電気機器8が接続された給電線5における電流波形を解析し、給電線5における電流が定常状態である否かを判別する。そのため、電気機器8に特徴的な定常状態での電流波形データ(定常データ16)を収集することが可能になる。収集した電流波形データを、電気機器8の稼働状況を推定するための基準となる電流波形データとして用いることができる。その結果、電気機器8の稼働状況を推定する精度を向上させることが可能になる。
【0112】
また、実施形態1では電気機器8の特徴的な電流波形データを収集する例で説明したが、稼働している電気機器8を推定するための電流波形データとして定常データ16の平均波形データを用いることもできる。すなわち、給電線5における電流が定常状態である否かを判別することによって、給電線5における定常状態での電流波形データ(定常データ16の平均波形データ)を、稼働している電気機器8を推定するための電流波形データとして取得することができる。これによって、電気機器8の稼働状況を推定する精度を向上させることが可能になる。
【0113】
また、一般に、給電線5における電圧波形は、給電線5が設けられている家屋などの環境、例えばその家屋から変電所までの距離など種々の要因によって歪むことがある。電圧波形の歪みは、電流波形の形状に大きく影響するが、要因の複雑さから、電圧波形の歪みを予測することは困難である。本実施形態によれば、電圧波形が歪んでいた場合であっても、定常状態であるか否かを正確に判別することができる。したがって、その家屋の環境などにかかわらず、定常状態での電流波形データを取得することが可能になる。その結果、電気機器8の稼働状況を推定する精度を向上させることが可能になる。
【0114】
さらに、本実施形態によれば、電気機器8の変化の有無は、定常状態での電流波形データに基づいて判断される。そのため、電気機器8の変化の有無を正確に判別することができる。したがって、電気機器8の変化に応じた定常状態での電流波形データを取得することが可能になる。その結果、電気機器8の種々の稼働状況を精度よく推定することが可能になる。
【0115】
さらに、本実施形態によれば、特定の稼働モードで稼働する電気機器の定常状態での電流波形は定常データ16として記憶部14に自動的に格納される。そのため、特定の稼働モードで稼働する電気機器の定常状態の電流波形データを速やかに収集することが可能になる。また、ユーザの操作ミスや環境ノイズなどによって一時的に変化した電流波形を誤って記憶することが低減し、記憶部14の記憶容量の無駄な消費を低減することが可能になる。このように、本実施形態によれば、定常状態での電流波形データを効率よく正確に収集することが可能になる。
【0116】
さらに、本実施形態によれば、診断の結果がユーザに通知される。そのため給電線5における電流が定常状態であるか否かを判別する原理を詳しく知らないユーザであっても、給電線5における電流が定常状態であるか否かを知ることができる。これによって、定常データ16が記憶部14に自動的に格納されない場合であっても、ユーザは、定常状態の電流波形データを手動で記憶部14に格納することが可能になる。
【0117】
なお、実施形態1は、以下のように変形されてもよい。
【0118】
例えば、トリガ判断部21は、給電線5における電圧に代えて、電流に基づいて判断してもよい。この場合、状態診断装置103は、図8に示すように構成されるとよい。
【0119】
同図に示すように、状態診断装置103は、実施形態1に係る商用周波数電圧抽出回路11に代えて商用周波数電流抽出回路111を備える。また、状態診断装置103が備えるCPU115は、実施形態1に係るCPU15が備えるトリガ判断部21に代えて、トリガ判断部121を備える。商用周波数電流抽出回路111は、CTセンサ10が出力する電流信号を取得し、その電流信号から商用電源周波数付近の周波数成分を抽出して出力する電気回路である。トリガ判断部121は、商用周波数電流抽出回路111が出力する電流信号によって示される電流が閾値以上である場合に、その電流が一定値をまたいで一定の方向に変化したか否かを判断する。そして、トリガ判別部121は、変化したと判別した場合、その判別の直後にトリガ信号を出力する。
【0120】
これによれば、電圧を計測するPTセンサ9を必要としないため、状態診断装置3の構成を簡素化することができ、コストを低減することが可能になる。
【0121】
また例えば、実施形態1では、電流波形取得部22は、トリガ信号を取得してからサンプリング期間T[秒]の間、電流信号を取得することとしたが、サンプリング期間は一定時間に限られない。例えば、サンプリング期間には、トリガ信号を取得してから次のトリガ信号を取得するまでの期間が採用されてもよい。
【0122】
これによれば、給電線5における電圧の周波数が変化した場合であっても、1周期分の電流信号を取得することができる。これにより、電気機器8が稼働しているか否かの判別に適した電流波形データを取得することができ、稼働中の電気機器8を判別する精度の向上を図ることが可能になる。
【0123】
さらに例えば、電流波形取得部22が電流信号を取得するサンプリング期間は、商用電源の1周期T[秒]に限られず、例えば、商用電源の半周期T/2[秒]であってもよい。一般に、給電線5の電流に含まれる高調波成分は、商用電源の1周期のうち、前半周期と後半周期とで正負逆転の類似形状となる。そのため、サンプリング期間を商用電源の半周期T/2[秒]としても、電気機器8の稼働状況を推定する精度はほとんど低下しない。したがって、電気機器8の稼働状況を推定する精度を低下させずに、記憶部14のメモリ消費量及びCPU15の負荷を低減させることが可能になる。
【0124】
さらに例えば、平均波形の変動度VAは、Y個の平均波形Aに含まれる各サンプリング時期の平均電流の分散を表すN個の要素からなるものであってもよい。この場合、平均波形の変動度VAは、Y個の平均波形データを平均波形算出部24から取得することによって、平均波形の変動度VAを算出することができる。
【0125】
上述のように平均波形の変動度VAが平均電流の分散を表す要素からなる場合、電流波形の変動度VIには、X×Y個の電流波形Ii,jに含まれる各サンプリング時期の要素の分散を表すN個の要素からなるベクトルが採用されてよい。この場合、電流波形の変動度VIは、X×Y個の電流波形データを電流波形取得部22から取得することによって、電流波形の変動度VIを算出することができる。
【0126】
そして、この場合、平均波形の変動度VAと電流波形の変動度VIの所定の割合(例えば、電流波形の変動度VIに1/Xを乗じた値とを比較することにより、定常状態であるか否かを判別することができる。
【0127】
このように平均波形の変動度VA及び電流波形の変動度VIに分散を採用する場合、各サンプリング時期における平均電流及び電流波形Ii,jの要素の分布を考慮した変動度を用いて電気機器8の稼働状況を推定することが可能になる。状態診断システム1の設置状況などに応じて平均波形の変動度VA及び電流波形の変動度VIを変更することによって、状態診断装置3による診断の精度をさらに向上させることが可能になる。
【0128】
さらに例えば、需要家は一般家庭に限られない。また、状態診断装置3は、必ずしも分電盤2に設けられる必要はなく、給電線5における電流、及び必要に応じて電圧を取得できるように設けられればよい。電気機器8は、給電線5から供給される電力を使用する機器であればよく、その種類やそれが給電線5に接続される態様は問わない。これらによっても、実施形態1と同様の効果を奏することが可能である。
【0129】
さらに例えば、定常データ出力部31は、変化判別部30によって稼働する電気機器8が変化したと判別された場合以外に、定常データ16を出力してもよい。例えば、定常データ出力部31は、定常状態判別部29によって定常状態であると判別された場合に、定常データ16を出力してもよい。ここで、出力される定常データ16は、実施形態1と同様に、定常状態判別部29による判別の基となった平均波形データ17と、最大平均波形データ18及び最小平均波形データ19とである。これによっても、実施形態1と同様に、定常状態での電流波形データを取得することが可能になる。その結果、電気機器8の稼働状況を推定する精度を向上させることが可能になる。また、実施形態1と同様に、定常状態での電流波形データを効率よく収集することが可能になる。
【0130】
さらに例えば、実施形態1では、定常データ出力部31が記憶部14に定常データ16を出力し、これによって、電気機器8に特徴的な定常状態での電流波形データが収集されることとしたが、定常データ出力部31のデータ出力先はこれに限られない。定常データ出力部31は、状態診断装置3以外の装置、例えば電気機器8の稼働状況を推定する装置に定常データ16を出力してもよい。この出力は、無線又は有線の通信回線を介して行われてよい。
【0131】
これによって、電気機器8の稼働状況を推定する際に、状態診断装置3に収集された定常データ16を電気機器8の稼働状況を推定する装置へ移動させる手間を省くことが可能になる。
【0132】
さらに例えば、表示ランプ41a,b及びスピーカ42は、状態診断装置3による判別の結果をユーザに知らせるための通知手段の一例であり、通知手段には、文字、図形などを表示する液晶パネルなどが採用されてもよい。また、通知データに含まれる判別の結果を知らせる方法は、実施形態1で説明したものに限られず、例えば判別の結果に応じて表示ランプの点滅パターンを変更することによって、通知データに含まれる判別の結果を知らせてもよい。これによっても、実施形態1と同様に、状態診断装置3による診断の結果をユーザに知らせることが可能になる。
【0133】
実施形態2.
本発明の実施形態2に係る状態診断装置は、電気機器8が定常状態で稼働していると判別した場合に、実施形態1と同様に定常データを記憶し、さらに、給電線5から供給される電力の電圧又は周波数を変換した場合の定常データも記憶する。
【0134】
本実施形態に係る状態診断システムは、状態診断装置203と端末装置4とを備える。本実施形態に係る端末装置4の構成は、実施形態1に係る端末装置4と同様である。
【0135】
本実施形態に係る状態診断装置203は、図9に示すように、実施形態1に係る状態診断装置3が備える構成に加えて電源変換回路251を備え、実施形態1に係る状態診断装置3が備えるCPU15に代えてCPU215を備える。また、記憶部14は、実施形態1に係る定常データ16に代えて第1〜第9定常データ216a〜iを記憶している。
【0136】
電源変換回路251は、給電線5に介在し、商用電源6から供給される電力の電圧及び周波数を変換する電気回路である。電源変換回路251は、例えばトランス又はLCR回路を備える。
【0137】
商用電源6から供給される電力の電圧が101[V]である場合、電源変換回路251は例えば、電圧を101±5[V]に変換する。また、商用電源6から供給される電力の周波数が50[Hz]である場合、電源変換回路251は例えば、周波数を50±0.2[Hz]に変換する。なお、電源変換回路251によって変換される電圧及び周波数のパターンは適宜定められてよい。
【0138】
第1定常データ216aは、図10に示すように、商用電源6の電圧及び周波数で定常状態となった場合の平均波形データ217aと最大平均波形データ218aと最小平均波形データ219aとを含む。すなわち、第1定常データ216aは、実施形態1に係る定常データ16と同様に、電源変換回路251によって変換されていない電圧及び周波数で定常状態となった場合のデータ(無変換定常データ)である。
【0139】
第2〜第9定常データ216b〜iはそれぞれ、図11〜18に示すように、電源変換回路251によって変換された電圧及び周波数で定常状態となった場合の最大平均波形データ218b〜iと最小平均波形データ219b〜iとを含む。すなわち、第2〜第9定常データ216b〜iはそれぞれ、変換定常データの例である。第2〜第9定常データ216b〜iには、変換された電圧及び周波数の値が関連付けられている。
【0140】
CPU215は、実施形態1に係るCPU15と同様に1つ又は複数のプロセッサから構成される。CPU215は機能的に、図9に示すように、実施形態1に係るCPU15が備える構成に加えて電源変換制御部252を備え、実施形態1に係るCPU15が備える定常データ出力部31に代えて定常データ出力部231を備える。
【0141】
電源変換制御部252は、変化判別部30によって変化ありと判別された場合に、電源変換回路251を制御する。これによって、電源変換制御部252は、商用電源6から供給される電力の電圧及び周波数を予め定めたパターンで変換させる。
【0142】
電源変換制御部252は、商用電源6の電圧及び周波数を、例えば上述のように101±5[V]及び50±0.2[Hz]に、すなわち、(1)106[V]及び50[Hz]、(2)96[V]及び50[Hz]、(3)101[V]及び50.2[Hz]、(4)106[V]及び50.2[Hz]、(5)96[V]及び50.2[Hz]、(6)101[V]及び49.8[Hz]、(7)106[V]及び49.8[Hz]、(8)96[V]及び49.8[Hz]の8パターンで変換させる。
【0143】
定常データ出力部231は、実施形態1に係る定常データ出力部31と同様に、変化判別部30によって変化ありと判別された場合に、第1定常データ216aを出力して記憶部14に記憶させる。ここで出力される第1定常データ216aは、平均波形データ217aと最大平均波形データ218aと最小平均波形データ219aとを含む。平均波形データ217aは、定常状態判別部29による定常状態であるとの判別の基となったものである。最大平均波形データ218aと最小平均波形データ219aとは、その平均波形データ217aから生成されたものである。
【0144】
定常データ出力部231は、さらに、電源変換制御部252によって変換された各パターンの電圧及び周波数で定常状態判別部29によって定常状態であると判別されときに、第2〜第9定常データ216b〜iのそれぞれを出力して記憶部14に記憶させる。ここで、出力される第2〜第9定常データ216b〜iのそれぞれは、最大平均波形データ218b〜iと最小平均波形データ219b〜iとを含む。最大平均波形データ218b〜iと最小平均波形データ219b〜iとは、定常状態判別部29による定常状態であるとの各判別の基となった平均波形データから生成されたものである。
【0145】
なお、CPU215が備える機能は、実施形態1と同様に、プロセッサ自体の機能として実現されてもよく、記憶部14に記憶されたソフトウェア・プログラムを実行することによりプロセッサが発揮する機能として実現されてもよく、それらの組み合わせによって実現されてもよい。
【0146】
ここから、状態診断装置203が実行する処理について説明する。
【0147】
状態診断装置203が実行する状態診断処理は、図19に示すように、実施形態1に係る状態診断装置3が実行する状態診断処理(図5参照)に加えて、電源変換処理(ステップS241)を実行する。電源変換処理(ステップS241)は、定常データ出力処理(ステップS112)と出力通知送信処理(ステップS113)との間に実行される。なお、定常データ出力処理(ステップS112)では、第1定常データ216aが出力される。
【0148】
電源変換処理(ステップS241)における詳細な処理の流れを図20に示す。状態診断装置203は、同図に示すように、上述の8パターンの電圧及び周波数で、各処理(ステップS252、ステップS101〜S107、ステップS253)を繰り返す(ループC;ステップS251)。
【0149】
電源変換制御部252は、(1)106[V]及び50[Hz]に商用電源6の電圧及び周波数を変換させる(ステップS252)。そして、実施形態1において説明した処理(ステップS101〜S107)を実行する。これによって、(1)106[V]及び50[Hz]での安定状態での最大平均波形データ218b及び最小平均波形データ218cが生成される。
【0150】
定常データ出力部231は、生成された最大平均波形データ218b及び最小平均波形データ218cを第2定常データ216bとして出力する(ステップS253)。これによって、第2定常データ216bが記憶部14に記憶される。
【0151】
このような処理を上述の各パターンについて繰り返す(ループC;ステップS251)。その結果、記憶部14には、第2〜第9定常データ216b〜iが記憶される。
【0152】
以上、本発明の実施形態2について説明した。本実施形態によれば、実施形態1と同様の効果を奏することが可能である。
【0153】
また、一般に、商用電源6から供給される電力の電圧や周波数は、需要家の周辺施設などの電力の使用状況や季節によって変動することがある。本実施形態によれば、商用電源6から供給される電力の電圧や周波数の変動を想定した電流波形データを予め収集しておくことができる。
【0154】
そのため、例えば、給電線5における電流波形データと第1〜第9定常データ216a〜iに含まれる平均波形データとの類似度を算出し、類似度が閾値を超える平均波形データを含む第1〜第9定常データ216a〜iを用いて、電気機器8の稼働状況を推定することができる。なお、類似度は、サンプリング時期ごとの差分絶対値の和などである。
【0155】
また、例えば、第1〜第9定常データ216a〜iのうち、その判別時の給電線5における電圧及び周波数に最も近い電圧及び周波数のパターンのデータを用いて、電気機器8の稼働状況を推定することができる。
【0156】
このように、本実施形態によれば、適切な電流波形データ(第1〜第9定常データ216a〜i)を選択して、電気機器8の稼働状況の推定に用いることができる。したがって、電気機器8の稼働状況を推定する精度をさらに向上させることが可能になる。
【0157】
なお、実施形態2は、以下のように変形されてもよい。
【0158】
例えば、電源変換制御部252は、定常状態判別部29によって定常状態であると判別された場合に電源変換回路251を制御し、これによって、商用電源6から供給される電力の電圧及び周波数を予め定めたパターンで変換させてもよい。これによっても、実施形態2と同様に、電圧及び周波数が変化した場合の定常状態での電流波形データを効率よく収集することが可能になる。
【0159】
また例えば、第2〜第9定常データ216b〜iには、さらに、変換された電圧及び周波数で定常状態となった場合の平均波形データが含まれてもよい。
【0160】
この場合、各パターンでの平均波形データを比較することによって、商用電源6の変動による影響の受け易さをサンプリング時期ごとに算出しておくことができる。そして、商用電源6の変動による影響を受けにくいサンプリング時期を重視するように重み付けをして算出された類似度を用いて、最も適切な電流波形データ(第1〜第9定常データ216a〜i)を選択して、電気機器8の稼働状況の推定に用いることができる。したがって、電気機器8の稼働状況を推定する精度をさらに向上させることが可能になる。
【0161】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は、それらに限定されるものではない。本発明は、実施形態及び変形例だけでなく、各実施形態及び各変形例を適宜組み合わせたものも含み、また、それらと均等なものも含む。
【符号の説明】
【0162】
1 状態診断システム
3,103,203 状態診断装置
4 端末装置
5 給電線
6 商用電源
8 電気機器
9 PTセンサ
10 CTセンサ
11 商用周波数電圧抽出回路
12 高調波電流抽出回路
13 送信部
14 記憶部
15,115,215 CPU
21,121 トリガ判断部
22 電流波形取得部
23 合計波形算出部
24 平均波形算出部
25 最大/最小平均波形生成部
26 最大/最小電流波形生成部
27 平均波形の変動度算出部
28 電流波形の変動度算出部
29 定常状態判別部
30 変化判別部
31,231 定常データ出力部
41a,b 表示ランプ
42 スピーカ
43 受信部
44 通知判別部
45 通知制御部
111 商用周波数電流抽出回路
251 電源変換回路
252 電源変換制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器に電力を供給する給電線における電流値を所定のサンプリング周期で計測する電流センサと、
前記給電線における電流又は電圧がそれぞれに対応して予め定められた閾値をまたいで変化した場合にトリガ信号を出力するトリガ信号出力手段と、
前記トリガ信号を取得し、当該トリガ信号を取得してから所定のサンプリング期間に前記電流センサによって計測される電流値の特徴量の経時変化を表す電流波形データを取得する電流波形取得手段と、
前記電流波形取得手段によってX(Xは自然数)個以上の電流波形データが取得されると、X個の前記電流波形データを加算平均することで平均波形データを生成する平均波形算出手段と、
前記平均波形算出手段によってY(Yは自然数)個の平均波形データが生成されると、Y個の前記平均波形データについて、対応する各サンプリング時期の値の変動度を表す平均波形の変動度を算出する第1変動度算出手段と、
前記平均波形算出手段によってY個の平均波形データが生成されると、当該Y個の平均波形データを生成する基となったX×Y個の前記電流波形データについて、対応する各サンプリング時期の値の変動度を表す電流波形の変動度を算出する第2変動度算出手段と、
各サンプリング時期における前記平均波形の変動度と前記電流波形の変動度の所定の割合とを比較し、比較した結果、所定の割合以上のサンプリング時期において、前記平均波形の変動度が前記電流波形の変動度の所定の割合より小さい場合に、前記給電線における電流が定常状態であると判別する定常状態判別手段とを備える
ことを特徴とする状態診断装置。
【請求項2】
前記電流センサと同期して、前記給電線における電圧を所定のサンプリング周期で取得する電圧センサをさらに備え、
前記トリガ出力手段は、前記電圧センサによって取得される電圧の特定周波数成分の大きさが前記閾値をまたいで一定の方向に変化したか否かを判断し、変化したと判断した直後に前記トリガ信号を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の状態診断装置。
【請求項3】
前記Y個の平均波形データに含まれる各サンプリング時期における最大値を表す最大平均波形データを生成する最大平均波形生成手段と、
前記Y個の平均波形データに含まれる各サンプリング時期における最小値を表す最小平均波形データを生成する最小平均波形生成手段と、
前記Y個の平均波形データの少なくとも1つと前記最大平均波形データと前記最小平均波形データとを含む定常データを記憶する記憶手段と、
前記定常状態判別手段によって定常状態であると判別された場合に、当該判別の基となったY個の平均波形データから生成された前記最大平均波形データ及び前記最小平均波形データと当該Y個の平均波形データの少なくとも1つとを含む前記定常データを前記記憶手段に出力する定常データ出力手段とをさらに備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の状態診断装置。
【請求項4】
前記定常状態判別手段によって定常状態であると判別された場合に、当該判別の基となった平均波形データと、当該判別より前に前記定常状態判別手段が定常状態であると判別することによって前記記憶手段に記憶された定常データとを比較し、比較した結果、所定の割合以上のサンプリング時期において、前記平均波形データに含まれる平均電流が、前記最大平均波形データ及び前記最小平均波形データに含まれる最大値及び最小値の間に収まっていないときに、前記電気機器の稼働モードが変化したと判別する変化判別手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項3に記載の状態診断装置。
【請求項5】
前記定常データ出力手段は、前記定常状態判別手段によって定常状態であると判別された場合であって、前記変化判別手段によって変化したと判別されたときに、当該変化判別手段による判別の基となったY個の平均波形データから生成された前記最大平均波形データ及び前記最小平均波形データと当該Y個の平均波形データの少なくとも1つとを含む前記定常データを前記記憶手段に出力する
ことを特徴とする請求項4に記載の状態診断装置。
【請求項6】
前記給電線を介して供給される電力の電圧又は周波数を変換する電源変換手段と、
前記定常状態判別手段によって定常状態であると判別された場合に、前記電力の電圧又は周波数を所定のパターンで前記電源変換手段に変換させる電源変換制御手段と、
前記Y個の平均波形データに含まれる各サンプリング時期における最大値を含む最大平均波形データを生成する最大平均波形生成手段と、
前記Y個の平均波形データに含まれる各サンプリング時期における最小値を含む最小平均波形データを生成する最小平均波形生成手段と、
前記電源変換手段によって変換される前の電圧及び周波数での前記Y個の平均波形データの少なくとも1つと前記最大平均波形データと前記最小平均波形データとを含む無変換定常データと、前記変換された電圧又は周波数での前記Y個の平均波形データの少なくとも1つと前記最大平均波形データと前記最小平均波形データとを含む変換定常データとを記憶する記憶手段と、
前記電源変換手段によって変換される前の電圧及び周波数で前記定常状態判別手段によって定常状態であると判別された場合に、当該判別の基となったY個の平均波形データから生成された前記最大平均波形データ及び前記最小平均波形データと当該Y個の平均波形データの少なくとも1つとを含む前記無変換定常データを前記記憶手段に出力し、前記変換された後に前記定常状態判別手段によって定常状態であると判別された場合に、当該判別の基となったY個の平均波形データから生成された前記最大平均波形データ及び前記最小平均波形データと当該Y個の平均波形データの少なくとも1つとを含む前記変換定常データを前記記憶手段に出力する定常データ出力手段とをさらに備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の状態診断装置。
【請求項7】
前記定常状態判別手段によって定常状態であると判別された場合に、当該判別の基となったY個の平均波形データと、当該判別より前に前記定常状態判別手段が定常状態であると判別することによって前記記憶手段に記憶された前記無変換定常データ又は前記変換定常データとを比較し、比較した結果、所定の割合以上のサンプリング時期において、前記Y個の平均波形データに含まれる平均電流が、前記無変換定常データ又は前記変換定常データに含まれる前記最大平均波形データ及び前記最小平均波形データに含まれる最大値及び最小値の間に収まっていないときに、変化したと判別する変化判別手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項6に記載の状態診断装置。
【請求項8】
前記電源変換制御手段は、前記定常状態判別手段によって定常状態であると判別された場合であって、前記変化判別手段によって変化したと判別されたときに、前記給電線を介して供給される電力の電圧又は周波数を前記電源変換手段に変換させ、
前記定常データ出力手段は、前記定常状態判別手段によって定常状態であると判別された場合であって、前記変化判別手段によって変化したと判別されたときに、前記変化判別手段による判別の基となったY個の平均波形データから生成された前記最大平均波形データ及び前記最小平均波形データと当該Y個の平均波形データの少なくとも1つとを含む前記無変換定常データを前記記憶手段に出力し、前記変換された電圧又は周波数で前記定常状態判別手段によって定常状態であると判別された場合に、当該判別の基となったY個の平均波形データから生成された前記最大平均波形データ及び前記最小平均波形データと当該Y個の平均波形データの少なくとも1つとを含む前記変換定常データを前記記憶手段に出力する
ことを特徴とする請求項7に記載の状態診断装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に係る状態診断装置と端末装置とを備え、
前記状態診断装置は、
前記定常状態判別手段による判別の結果、前記変化判別手段による判別の結果を含む通知データを送信する送信手段をさらに備え、
前記端末装置は、
ユーザに通知する通知手段と、
前記通知データを受信する受信手段と、
前記受信された通知データに含まれる内容を判別し、判別した結果に従って前記通知手段を制御する通知制御手段とを備える
ことを特徴とする状態診断システム。
【請求項10】
コンピュータを、
給電線における電流又は電圧がそれぞれに対応して予め定められた閾値をまたいで変化した場合にトリガ信号を出力するトリガ信号出力手段、
前記トリガ信号を取得し、前記給電線における電流値を所定のサンプリング周期で計測する電流センサによって、当該トリガ信号を取得してから所定のサンプリング期間に計測される電流値の特徴量の経時変化を表す電流波形データを取得する電流波形取得手段、
前記電流波形取得手段によってX(Xは自然数)個以上の電流波形データが取得されると、X回の前記電流波形データを加算平均することで平均波形データを生成する平均波形算出手段、
前記平均波形算出手段によってY(Yは自然数)個の平均波形データが生成されると、Y個の前記平均波形データについて、対応する各サンプリング時期の値の変動度を表す平均波形の変動度を算出する第1変動度算出手段、
前記平均波形算出手段によってY個の平均波形データが生成されると、当該Y個の平均波形データを生成する基となったX×Y個の前記電流波形データについて、対応する各サンプリング時期の値の変動度を表す電流波形の変動度を算出する第2変動度算出手段、
各サンプリング時期における前記平均波形の変動度と前記電流波形の変動度の所定の割合とを比較し、比較した結果、所定の割合以上のサンプリング時期において、前記平均波形の変動度が前記電流波形の変動度の所定の割合より小さい場合に、前記給電線における電流が定常状態であると判別する定常状態判別手段として機能させる
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−79853(P2013−79853A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219636(P2011−219636)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)