説明

独立柱における配線器具およびその配線を設置するための化粧構造

【課題】 配線器具を見栄え良く設置することができるとともに、化粧カバーを含めた独立柱全体をコンパクトにすることができる独立柱における配線器具およびその配線を設置するための化粧構造を提供する。
【解決手段】 独立柱(1)の外周を覆う化粧カバー(2)の外周部に台座部(10)を突設して、その台座部(10)にコンセント(20)やスイッチ等の配線器具を取り付けるとともに、前記独立柱(1)と前記化粧カバー(2)との間の隙間に配線(25)を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内に設けられた独立柱の外周を覆う化粧カバーに対して、コンセントやスイッチ等の配線器具と、その配線器具に接続される配線とを設置するようにした独立柱における配線器具およびその配線を設置するための化粧構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、周囲に壁が接続していない独立柱に対して、コンセントやスイッチ等の配線器具を設置することは想定されていない。このような独立柱に配線器具を設置すると、配線器具を固定するためのボックス配線類が独立柱外周に露出してしまい、意匠性が著しく損なわれる。また、独立柱は、その外周を化粧カバーで覆われた状態で設置される場合があるが、その場合であっても、化粧カバーに対して配線器具を収めることを想定していないため、配線器具およびその配線の設置は依然として困難である。
【0003】
しかし、独立柱に配線器具を設置できれば、その独立柱が設けられた居室の利便性を向上させることができるため、上記のように意匠性を損なうことなく配線器具およびその配線を設置できるような構造の開発が望まれていた。
【0004】
そこで、例えば特許文献1にも開示されているように、独立柱と化粧カバーとの間に所要の空間を設けて、その空間内に、配線器具における表面部以外の部分と、その配線器具に接続される配線とを収めることで、意匠性を良好に維持した状態で独立柱に配線器具およびその配線を設置するようにした構造が提案されている。
【0005】
【特許文献1】実開昭61−179216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の特許文献1に開示されているような構造では、独立柱と化粧カバーとの間に配線器具を収める分だけ、化粧カバーの断面積が大きくなりがちとなり、化粧カバーを含めた独立柱全体が大型化してしまうといった欠点があった。
【0007】
そこで、この発明は、上記のような不具合を解消して、配線器具およびその配線を見栄え良く設置することができるとともに、化粧カバーを含めた独立柱全体をコンパクトにすることができる独立柱における配線器具およびその配線を設置するための化粧構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明の独立柱における配線器具およびその配線を設置するための化粧構造は、独立柱の外周を覆う化粧カバーの外周部に台座部を突設して、その台座部にコンセントやスイッチ等の配線器具を取り付けるとともに、前記独立柱と前記化粧カバーとの間の隙間に配線を施したことを特徴とする。
【0009】
上記の台座部は、化粧カバーの外周部を外側に張り出して形成されている。また、上記の化粧カバーは、略円筒状に形成されている。
【0010】
請求項4の発明の独立柱における配線器具およびその配線を設置するための化粧構造は、独立柱の外周を覆う化粧カバーに開口部を設け、その開口部と独立柱との距離を増大させるように化粧カバーの中心と独立柱の中心とをずらして化粧カバーを配置し、前記開口部にコンセントやスイッチ等の配線器具を取り付けるとともに、前記独立柱と前記化粧カバーとの間の隙間に配線を施したことを特徴とする。
【0011】
この場合、化粧カバーが略角筒状に形成され、その化粧カバーにおける前記開口部が設けられた壁面に対向する壁面を、独立柱に近接又は当接させた。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、独立柱の外周を覆う化粧カバーの外周部に、コンセントやスイッチ等の配線器具を取り付けるための台座部を突設しているため、その台座部の内側に、配線器具を収めることができる。また、配線器具に接続される配線は、独立柱と化粧カバーとの間の隙間に施されるため、配線器具およびその配線を見栄え良く設置することができる。
【0013】
しかも、台座部を設けることにより、配線器具を取り付けるための空間を、独立柱と化粧カバーとの間に確保しなくても済むため、化粧カバーの断面積を極力小さくして、化粧カバーを含めた独立柱全体の小型化を図ることができる。
【0014】
また、台座部は、化粧カバーの外周部を外側に張り出して形成されており、化粧カバーと一体感のある外観となるため、より一層見栄えを向上させることができる。
【0015】
さらに、台座部を外側に張り出して設けることで、略円筒状に形成された化粧カバーにも対応することができる。
【0016】
請求項4の発明では、化粧カバーの中心と独立柱の中心とをずらして、化粧カバーの開口部と独立柱との距離、すなわち化粧カバーの開口部に取り付けた配線器具や、その配線器具に接続される配線を収めるための空間の広さを増大させているため、化粧カバー内の無駄なスペースをなくし、化粧カバーの断面積を極力小さくして、化粧カバーを含めた独立柱全体の小型化を図ることができる。
【0017】
この場合において、化粧カバーを略角筒状に形成して、その化粧カバーにおける前記開口部が設けられた壁面に対向する壁面を、独立柱に近接又は当接させることで、開口部と独立柱との間の空間をより広く確保することができ、配線器具等と独立柱との干渉をより確実に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1及び図2は、第1の実施形態に係る独立柱における配線器具およびその配線を設置するための化粧構造を示している。図において、(1)は、建物の室内に設置される独立柱を示している。この独立柱(1)は、例えば角筒状に形成されており、各側面の幅が例えば60mmとされている。独立柱(1)には、その外周を覆う化粧カバー(2)が取り付けられている。
【0019】
化粧カバー(2)は、図3に示すように、断面略半状に形成された一対のカバー片(3)(3)を備え、それぞれのカバー片(3)(3)の両端には、L字状に屈曲した屈曲部(4)(4)…が設けられている。
【0020】
化粧カバー(2)の外側には、コンセント(20)を取り付けるための台座部(10)が突設されている。ただし、台座部(10)には、コンセント(20)以外の配線器具を取り付けるようにしても良く、例えばスイッチを取り付けても良い。
【0021】
台座部(10)は、化粧カバー(2)における一方のカバー片(3)の外周部を外側に張り出して形成されており、その張り出し量は、台座部(10)の中央部において例えば15mmとされている。この台座部(10)は、方形枠状に連なる上下左右の周壁部(11)〜(14)と、それら周壁部(11)〜(14)によって囲まれた空間の前面側を塞ぐようにして設けられた前面壁部(15)とを備えている。
【0022】
台座部(10)の前面壁部(15)には、コンセント(20)の後端部を挿入するための開口部(16)が、例えば矩形状に形成されている。また、台座部(10)の前面壁部(15)には、開口部(16)を挟んだ上下両側に舌片(18)(18)が形成され、それら舌片(18)(18)には、コンセント(20)を固定するためのネジ孔(17)(17)が設けられている。
【0023】
この第1の実施形態において、独立柱(1)に化粧カバー(2)を取り付ける際は、図2及び図4に示すように、独立柱(1)の互いに対向する側壁に、化粧カバー(2)の一対のカバー片(3)(3)両端の屈曲部(4)(4)…を重ね、それら重ね合わされた屈曲部(4)(4)…をビス(6)(6)…で共締めして側壁に固定する。続いて、そのように固定されたカバー片(3)(3)の屈曲部(4)(4)…によって形成された溝部分に、断面略コ字状のレール部材(5)(5)をそれぞれ嵌め込んで、これらレール部材(5)(5)によってビス(6)(6)…の頭部を覆い隠す。
【0024】
この取付け状態の化粧カバー(2)は、全体として略円筒状となっており、その外径は例えば90mmとされている。この取付け状態において、化粧カバー(2)の内壁面は、独立柱(1)のコーナー部分に極めて近接した状態となっている。なお、化粧カバー(2)の内壁面を独立柱(1)のコーナー部分に当接した状態で取り付けるようにしても良い。
【0025】
そして、独立柱(1)と化粧カバー(2)との間の隙間(19)に、コンセント(20)に接続される配線(25)を施した状態において、コンセント(20)を、図4に示すように、台座部(10)に取り付ける。
【0026】
コンセント(20)を取り付ける際は、化粧カバー(2)内の配線(25)にコンセント(20)を接続し、枠状の取付枠(22)に設けられた例えば上下一対のビス挿通孔(23)(23)にビス(21)(21)を挿通させて、それらのビス(21)(21)を前面壁部(15)のネジ孔(17)(17)にねじ込んで締め付けることで、取付枠(22)を前面壁部(15)に固定する。
【0027】
続いて、枠状の支持プレート(33)に設けられた例えば上下一対のビス挿通孔(31)(31)にビス(32)(32)を挿通させて、それらのビス(32)(32)を、取付枠(22)に設けられたネジ孔(30)(30)にねじ込んで締め付けることで、支持プレート(33)を取付枠(22)に固定し、さらに、その取付け状態の支持プレート(33)にカバープレート(34)を被せて取り付けることで、そのカバープレート(34)に設けられた開口部(35)において、コンセント(20)の前面が露出するようになっている。
【0028】
以上の取付け状態においては、図2に示すように、コンセント(20)の後端部が、台座部(10)の内部にほぼ収まるようになっており、化粧カバー(2)の内周側へほとんど入り込まないようになっている。また、化粧カバー(2)は、略円筒状に形成されているため、化粧カバー(2)内壁面と独立柱(1)の側面との間に、ある程度の広さを備えた空間(19)が確保された状態となっている。そして、コンセント(20)に接続される配線(25)は、化粧カバー内周面と独立柱(1)の側面との間の空間(19)に通されるようになっている。
【0029】
図5及び図6は、第2の実施形態に係る独立柱における配線器具およびその配線を設置するための化粧構造を示している。この実施形態における化粧カバー(42)は、図7に示すように、断面略コ字状に形成された一対のカバー片(43)(43)を備えている。
【0030】
一対のカバー片(43)(43)のうち一方のカバー片(43)は、コンセント(20)が取り付けられる前面壁部(51)と、その前面壁部(51)の両端よりそれぞれ延びる一対の側壁部(52)(52)と、それら側壁部(52)(52)の先端に設けられたL字状の屈曲部(44)(44)…とを備えている。
【0031】
前面壁部(51)には、コンセント(20)を取り付けるための開口部(56)が、例えば矩形状に形成されている。また、前面壁部(51)には、開口部(56)を挟んだ上下両側に舌片(58)(58)が形成され、それら舌片(58)(58)には、コンセント(20)を固定するためのネジ孔(57)(57)が設けられている。ただし、前面壁部(51)の開口部(56)には、コンセント(20)以外の配線器具を取り付けるようにしても良く、例えばスイッチを取り付けても良い。
【0032】
他方のカバー片(43)は、後面壁部(53)と、その後面壁部(53)よりそれぞれ延びる一対の側壁部(54)(54)と、それら側壁部(54)(54)の先端に設けられたL字状の屈曲部(44)(44)とを備えている。
【0033】
この第2の実施形態において、独立柱(1)に化粧カバー(42)を取り付ける際は、図6及び図8に示すように、独立柱(1)の互いに対向する側壁に、化粧カバー(42)の一対のカバー片(43)(43)両端の屈曲部(44)(44)…を重ね、それら重ね合わされた屈曲部(44)(44)…をビス(46)(46)…で共締めして側壁に固定する。
【0034】
このとき、化粧カバー(42)の開口部(56)と独立柱(1)との距離を増大させるように化粧カバー(42)の中心と独立柱(1)の中心とをずらした状態で、それぞれのカバー片(43)(43)を取り付ける。これにより、開口部(56)が設けられた化粧カバー(42)の前面壁部(51)と独立柱(1)との間に、コンセント(20)の後端部を収めるのに十分な広さを備えた空間(60)が確保されるようになっている。
【0035】
続いて、そのように固定されたカバー片(43)(43)の屈曲部(44)(44)…によって形成された溝部分に、断面略コ字状のレール部材(45)(45)をそれぞれ嵌め込んで、これらレール部材(45)(45)によってビス(46)(46)…の頭部を覆い隠す。
【0036】
この取付け状態の化粧カバー(42)は、全体として略角筒状となっており、各側面の幅が例えば90mmとされている。そして、この取付け状態において、化粧カバー(42)の後面壁部(53)が、独立柱(1)に当接した状態となっている。なお、化粧カバー(42)の後面壁部(53)は、独立柱(1)に近接させるようにすれば良く、必ずしも当接させる必要はない。
【0037】
そして、独立柱(1)と化粧カバー(42)との間の隙間(60)に、コンセント(20)に接続される配線(25)を施した状態において、コンセント(20)を、図8に示すように、化粧カバー(42)の開口部(56)に取り付ける。
【0038】
コンセント(20)を取り付ける際は、化粧カバー(42)内の配線(25)にコンセント(20)を接続し、枠状の取付枠(22)に設けられた例えば上下一対のビス挿通孔(23)(23)にビス(21)(21)を挿通させて、それらのビス(21)(21)を化粧カバー(42)における前面壁部(51)のネジ孔(57)(57)にねじ込んで締め付けることで、取付枠(22)を前面壁部(51)に固定する。
【0039】
続いて、枠状の支持プレート(33)に設けられた例えば上下一対のビス挿通孔(31)(31)にビス(32)(32)を挿通させて、それらのビス(32)(32)を、取付枠(22)に設けられたネジ孔(30)(30)にねじ込んで締め付けることで、支持プレート(33)を取付枠(22)に固定し、さらに、その取付け状態の支持プレート(33)にカバープレート(34)を被せて取り付けることで、そのカバープレート(34)に設けられた開口部(35)において、コンセント(20)の前面が露出するようになっている。
【0040】
以上の取付け状態においては、図6に示すように、コンセント(20)の後端部が、化粧カバー(42)の前面壁部(51)と独立柱(1)との間の隙間(60)に収まるようになっている。すなわち、化粧カバー(42)の各側面の幅を、上記のように小さく設定したにも関わらず、化粧カバー(42)に取り付けられたコンセント(20)が、独立柱(1)に干渉しないようになっている。
【0041】
なお、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正及び変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1の実施形態に係る独立柱における配線器具およびその配線を設置するための化粧構造を示す斜視図である。
【図2】同じくその横断面図である。
【図3】化粧カバーの取付け手順を示す分解斜視図である。
【図4】同じくその分解斜視図である。
【図5】第2の実施形態に係る独立柱における配線器具およびその配線を設置するための化粧構造を示す斜視図である。
【図6】同じくその横断面図である。
【図7】化粧カバーの取付け手順を示す分解斜視図である。
【図8】同じくその分解斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
(1) 独立柱
(2)(42) 化粧カバー
(10) 台座部
(20) コンセント
(25) 配線
(56) 配線器具を取り付けるための開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
独立柱の外周を覆う化粧カバーの外周部に台座部を突設して、その台座部にコンセントやスイッチ等の配線器具を取り付けるとともに、前記独立柱と前記化粧カバーとの間の隙間に配線を施したことを特徴とする独立柱における配線器具およびその配線を設置するための化粧構造。
【請求項2】
台座部は、化粧カバーの外周部を外側に張り出して形成されている請求項1記載の独立柱における配線器具およびその配線を設置するための化粧構造。
【請求項3】
化粧カバーは、略円筒状に形成されている請求項1又は2記載の独立柱における配線器具およびその配線を設置するための化粧構造。
【請求項4】
独立柱の外周を覆う化粧カバーに開口部を設け、その開口部と独立柱との距離を増大させるように化粧カバーの中心と独立柱の中心とをずらして化粧カバーを配置し、前記開口部にコンセントやスイッチ等の配線器具を取り付けるとともに、前記独立柱と前記化粧カバーとの間の隙間に配線を施したことを特徴とする独立柱における配線器具およびその配線を設置するための化粧構造。
【請求項5】
化粧カバーが略角筒状に形成され、その化粧カバーにおける前記開口部が設けられた壁面に対向する壁面を、独立柱に近接又は当接させた請求項4記載の独立柱における配線器具およびその配線を設置するための化粧構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−249777(P2006−249777A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−67847(P2005−67847)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)