説明

猫トイレ

【課題】砂のトイレから戻る猫がジャンプする昇降動作を複数回とすることで猫の足から砂が十分に落ちることが期待でき、しかも、コンパクトで設置スペースを確保し易い猫トイレを提供する。
【解決手段】猫は、出入口17から入り、踏板13へジャンプし、上部連通孔19を通り、踏板13からジャンプして降り、砂のトイレ21で用を足す。トイレから戻る猫は、いわばトイレの真上の踏板13へジャンプし、上部連通孔19を通り、踏板13からジャンプして降り、逆V字状の昇降動作をして、出入口17から出てくる。よって、少なくとも2回以上の上下ジャンプを行い、トイレの砂が猫の足から十分に落ちることが期待できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飼い猫が砂のトイレから戻る際に砂が振るい落とされる猫トイレの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
飼い猫が砂のトイレで用を足し、トイレから戻る際には、足などに付いた砂が、トイレ以外の周囲に落ちることが多く、掃除が大変である。
このため、特許文献1には、トイレから戻る猫の足の砂が落とされるように、猫トイレに格子状の砂除去板を設けたものが提案される。
また、特許文献2には、猫のトイレの砂落としマットが、一段高い段差面に設けられたものが提案される。
【特許文献1】特開2002−034380
【特許文献2】実用新案登録第3069789
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1のように、格子状の砂除去板の上を猫が歩いて通るだけでは砂はなかなか落ちない。また、特許文献2のように、猫が一段高い段差面に戻る際に昇る動作をするようにすれば、歩くだけよりは、いくらか落ち易いかもしれないが、十分に落ちることは期待できない。
【0004】
これに対し、段差を高くし、猫がジャンプする昇降動作を何回か行わせれば、砂が十分に落ちることが期待できる。
しかしながら、そのためには、段差面を複数形成する必要があり、猫のトイレが大型化してしまう。このため、猫のトイレを設置する設置スペースを室内などに確保し難くなる。
【0005】
この発明は、以上の問題点を解決するために、砂のトイレから戻る猫がジャンプする昇降動作を複数回とすることで猫の足から砂が十分に落ちることが期待でき、しかも、コンパクトで設置スペースを確保し易い猫トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、第一発明は、飼い猫が砂のトイレから戻る際に砂が振るい落とされる猫トイレにおいて、箱状の外ケースと、この外ケースの内部に上下に配置される隔壁と、前記隔壁によって隔てられる左右の縦空間と、前記縦空間の内部に配置され猫が踏んで昇降動作する踏板と、前記踏板の前後または左右に形成され猫が昇降動作する昇降空間と、前記左右の縦空間のうち一方の縦空間の下部に形成され外部から猫が出入りできる出入口と、前記隔壁の上部に形成され前記左右の縦空間を連通する上部連通孔と、前記左右の縦空間のうち他方の縦空間の下部に設けられる砂のトイレと、を有することで猫の昇降動作が逆V字状になされることを特徴とする猫トイレである。
第二発明は、飼い猫が砂のトイレから戻る際に砂が振るい落とされる猫トイレにおいて、箱状の外ケースと、この外ケースの内部に上下に配置される3枚以上の奇数枚の隔壁と、前記隔壁によって左右に隔てられる複数の縦空間と、前記縦空間の内部に配置され猫が踏んで昇降動作する踏板と、前記踏板の前後または左右に形成され猫が昇降動作する昇降空間と、前記複数の縦空間のうち左右方向の端部に位置する縦空間の下部に形成され外部から猫が出入りできる出入口と、この出入口側から数えて全ての奇数枚目の前記隔壁の上部に形成され前記左右の縦空間を連通する上部連通孔と、前記出入口側とは反対側の端部に位置する縦空間の下部に設けられる砂のトイレと、を有することで猫の昇降動作がM字状になされることを特徴とする猫トイレである。
第三発明は、飼い猫が砂のトイレから戻る際に砂が振るい落とされる猫トイレにおいて、箱状の外ケースと、この外ケースの内部に上下に配置される2枚以上の隔壁と、前記隔壁によって左右に隔てられる複数の縦空間と、前記縦空間の内部に配置され猫が踏んで昇降動作する踏板と、前記踏板の前後または左右に形成され猫が昇降動作する昇降空間と、前記左右の縦空間のうち左右方向の端部に位置する縦空間の下部に形成され外部から猫が出入りできる出入口と、全ての前記隔壁の上部に形成され前記左右の縦空間を連通する上部連通孔と、前記出入口側が形成される縦空間以外の全ての縦空間の下部に設けられる砂のトイレと、を有することで猫が任意のトイレを選んで行う昇降動作が逆V字状になされることを特徴とする猫トイレである。
第四発明は、更に、前記踏板は複数が設けられ、前記昇降空間は、前記前後または左右に形成される位置が、上下の踏板で互い違いに設けられることを特徴とする猫トイレである。
第五発明は、更に、前記外ケースの正面は扉を有することを特徴とする猫トイレである。
第六発明は、更に、前記外ケースの正面、背面、又は側面のうち、少なくとも1つの面の全部は一部が透明な材料、又は半透明な材料で形成されることを特徴とする猫トイレである。
第七発明は、更に、前記出入口から前記トイレへの途中に配置される前記隔壁に、近道ドアを設け、この近道ドアは、前記出入口側から押圧されて開き、前記トイレ側から押圧されても開らかない構造を有し、バネにより前記トイレ側から付勢されることで通常は閉じていることを特徴とする猫トイレである。
【発明の効果】
【0007】
第一、第四、第五、第六、又は第七発明によれば、トイレから戻る猫は、いわばトイレの真上の踏板へジャンプして昇り、上部連通孔を通り、踏板からジャンプして降り、逆V字状の昇降動作をして、出入口から出てくる。よって、少なくとも2回以上の上下ジャンプを行い、トイレの砂が猫の足から十分に落ちることが期待できる。また、この猫トイレの装置は、縦方向の空間を使用することで、左右方向のスペースをあまり必要としないことから、コンパクトで設置スペースを確保し易いものになる。
【0008】
第二、第四、第五、第六、又は第七発明によれば、3枚以上の奇数枚の隔壁によって、左右に4以上の偶数の縦空間が形成される。上部連通孔と下部連通孔により、各縦空間は、いわば逆V字を連ねたM字状に連通する。
そして、トイレから戻る猫は、いわばトイレの真上の踏板へジャンプして昇り、上部連通孔を通り、踏板からジャンプして降り、下部連通孔を通り、再び昇り、逆V字状の昇降動作を繰り返し、したがってM字状の昇降動作をして、出入口から出てくる。よって、少なくとも4回以上の上下ジャンプを行い、トイレの砂が猫の足から十分に落ちることが期待できる。また、この猫トイレの装置は、縦方向の空間を使用することで、左右方向のスペースをあまり必要としないことから、コンパクトで設置スペースを確保し易いものになる。
【0009】
第三、第四、第五、第六、又は第七発明によれば、2枚以上の隔壁によって、左右に3以上の縦空間が形成される。上部連通孔により、各縦空間は、いわば櫛の歯状に連通する。そして、出入口側が形成される縦空間以外の全ての縦空間の下部に、砂のトイレが設けられる。複数のトイレが設けられることになる。これにより猫は任意のトイレを選ぶことができる。
そして、トイレから戻る猫は、いわばトイレの真上の踏板へジャンプして昇り、複数の上部連通孔を連続して通り、直ちに出入口側が形成される縦空間へ至り、踏板からジャンプして降り、逆V字状の昇降動作をして、出入口から出てくる。よって、少なくとも2回以上の上下ジャンプを行い、トイレの砂が猫の足から十分に落ちることが期待できる。また、この猫トイレの装置は、縦方向の空間を使用することで、左右方向のスペースをあまり必要としないことから、コンパクトで設置スペースを確保し易いものになる。
【0010】
第四、第五、第六、又は第七発明によれば、踏板を複数設けることで、その分、猫のジャンプの回数を増やすことができ、トイレの砂が猫の足からより十分に落ちることが期待できる。
また、猫が昇降動作する昇降空間が上下の踏板で互い違いに設けられることにより、この猫トイレの装置は、水平方向のスペースを増加させる必要がないため、設置スペースを確保し易いものになる。
第五、第六、又は第七発明によれば、外ケースの正面に扉を設けることで、踏板や砂のトイレの掃除をし易くできる。
【0011】
第六、又は第七発明によれば、透明又は半透明な部分から外ケースの内部に光を取り込むことができ、掃除や衛生に有利である。
第七発明によれば、トイレへ向かう猫は、出入口から入り、近道ドアを通って、トイレへ行き、用を足す。よって、出入口からトイレへの近道ができ、距離が近く、ジャンプすることはないか、あるいは少ないので、便意をもよおした猫の負担が少ない。
近道ドアは、出入口側から猫に押圧されて開き猫が通れるものの、バネによりトイレ側から付勢され通常は閉じていてトイレ側から猫に押圧されても開らかない。よって、トイレから戻る猫は、近道ができず、ジャンプを繰り返し、砂が足から落ちるという効果は保たれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明の一実施形態を、図1に示す。
この猫トイレ1は、家具のように、合板などの板材でできた、箱状の外ケース3を有する。この外ケース3の内部に、通常の家具のように、上下に2枚の隔壁4、5が配置される。これらの隔壁4、5によって隔てられる左右に3つの空間6、7、8が形成される。
このうち右の1枚の隔壁5によって隔てられる右の2つの空間7、8が、この猫トイレ1を構成する縦空間9、10となる。左の空間6は、猫トイレ1以外の他の目的に使用される。右の1枚の隔壁5の下部は、分割され、分割下部11が右方向にシフトされた構造となることで、後述する砂のトイレのための部屋を広く採れるように配慮されている。もっとも、この配慮をせずに、隔壁5を分割せずに下部まで一体的とすることもできる。
【0013】
左右の縦空間9、10の内部には、それぞれ3枚の踏板13、よって合計6枚の踏板13(13−1、〜13−6)が水平に配置される。これらの踏板13(13−1、〜13−6)を猫が踏んで昇降動作する。これらの踏板13(13−1、〜13−6)の前後または左右には、猫が昇降動作する昇降空間15(15−1、〜15−6)が形成される。なお、各縦空間9、10の下部に配置される2枚の踏板13(13−1、13−6)は、隔壁5の分割位置11Aに配置される。
【0014】
左右の縦空間9、10のうち右側の縦空間10の下部、すなわち、外ケース3の右側面の下部に、出入口17が形成され、外部から猫が出入りできる。この出入口17は猫18が出入できる最小の大きさにすることで、トイレを閉鎖空間に近くする。
隔壁5の上部には上部連通孔19が形成され、左右の縦空間9、10を連通し、猫18が通れるようにする。左右の縦空間9、10のうち左側の縦空間9の最下部には、猫トイレ1用の砂20Aが盛られた深いトレイ20Bが配置され、砂のトイレ21になっている。
【0015】
6枚の踏板13(13−1、〜13−6)のうち、右の縦空間10の出入口17に最も近い1枚目の踏板13−1にはL字状の切欠23が形成され、よって踏板13−1の後右の部分に、猫18が昇降動作する昇降空間15−1が形成される。1枚目の踏板13−1の下に第1の部屋C1が形成される。
1枚目の踏板13−1の上方には、所定距離をあけて2枚目の踏板13−2が設けられる。この2枚目の踏板13−2は、その前後幅が縦空間10の前後幅よりも狭く、全体が奥側に位置することで、手前側には、猫が昇降動作する昇降空間15−2が形成される。2枚目の踏板13−2の下に第2の部屋C2が形成される。
【0016】
2枚目の踏板13−2の上方には、所定距離をあけて3枚目の踏板13−3が設けられる。この3枚目の踏板13−3は、その前後幅が縦空間10の前後幅よりも狭く、全体が手前側に位置することで、奥側には、猫が昇降動作する昇降空間15−3が形成される。3枚目の踏板13−3の下に第3の部屋C3が形成され、上に第4の部屋C4が形成される。
【0017】
このようにして、2枚目と3枚目の踏板13−2、13−3に形成される昇降空間15−2、15−3は、前後に形成される位置が、1枚目と2枚目の踏板13−2、13−3で互い違いに設けられる。
6枚の踏板13のうち、左の縦空間9の上部連通孔19に最も近い4枚目の踏板13−4は、3枚目の踏板13−3と同じ上下位置に配置される。この4枚目の踏板13−4は、その前後幅が縦空間9の前後幅よりも狭く、全体が手前側に位置することで、奥側には、猫が昇降動作する昇降空間15−4が形成される。4枚目の踏板13−4の上に第5の部屋C5が形成される。
【0018】
この4枚目の踏板13−4の下方には、所定距離をあけて5枚目の踏板13−5が設けられる。この5枚目の踏板13−5は、2枚目の踏板13−2と同じ上下位置に配置される。この5枚目の踏板13−5は、その前後幅が縦空間9の前後幅よりも狭く、全体が奥側に位置することで、手前側には、猫が昇降動作する昇降空間15−5が形成される。5枚目の踏板13−5の上に第6の部屋C6が形成される。
【0019】
この5枚目の踏板13−5の下方には、所定距離をあけて6枚目の踏板13−6が設けられる。この6枚目の踏板13−6は、1枚目の踏板13−1と同じ上下位置に配置される。この6枚目の踏板13−6は、その前後幅が縦空間9の前後幅よりも狭く、全体が手前側に位置することで、奥側には、猫が昇降動作する昇降空間15−6が形成される。6枚目の踏板13−6の上に第7の部屋C7が形成され、下に第8の部屋C8が形成される。この第8の部屋C8に、砂のトイレ21が設けられる。
【0020】
以上の第2、第3、第4、第5の踏板(13−2、〜13−5)は、上下の取り付け位置が変えられ、必要に応じて、枚数を増やし、あるいは減らすことができる構造とする。このような構造は、本棚などで採用されている構造が利用できる。
左の隔壁4によって形成される左の空間6は、猫トイレ以外の他の目的、例えば、キャットフードや猫のトイレ用の予備の砂などを保存するのに用いられる。
この左の空間6、及び右の二つの縦空間9、10は、それぞれ、扉25,27を有し、各扉25,27はガラス、透明アクリル、又は透明な強化プラスチックなどの透明な板材からなる窓を有する。
【0021】
「実施形態の作用」
この実施形態によれば、猫18は、出入口17から第1の部屋C1へ入り、第1の踏板13−1へジャンプして昇って第2の部屋C2に入り、第2の踏板13−2へジャンプして昇り第3の部屋C3に入り、第3の踏板13−3の下をくぐって第3の踏板13−3へジャンプして昇り第4の部屋C4に入る。その後に、上部連通孔19を通り第5の部屋C5へ入り、第4の踏板13−4から第5の踏板13−5へジャンプして第6の部屋C6に降り、第5の踏板13−5から第6の踏板13−6へジャンプして第7の部屋C7に降り、更に、第6の踏板13−6からジャンプして第8の部屋C8に降りる。このように逆V字状の昇降動作(図6(A))をして降りた第8の部屋C8の砂のトイレ21で用を足す。
【0022】
トイレ21から戻る猫は、入るときとは逆の順路を通る。すなわち、第8の部屋C8の砂のトイレ21からいわば真上の第6の踏板13−6、さらに第5の踏板13−5、第4の踏板13−4へ順にジャンプして昇り、上部連通孔19を通り、第3の踏板13−3、第2の踏板13−2、第1の踏板13−1へ順にジャンプして降り、更に第1の踏板13−1からジャンプして第1の部屋C1に降りる。このように逆V字状の昇降動作をして、出入口17から出てくる。
【0023】
「実施形態の効果」
よって、この実施形態では、6回の上下ジャンプを行い、トイレ21の砂20Aが猫18の足から十分に落ち、きれいな足になって出入口17から出てくることが期待できる。ジャンプにより猫の運動不足を解消し、猫のストレス発散にもなる。
また、この猫トイレ1の装置は、上下方向へ昇降動作をするための縦方向の空間9、10を使用することで、左右方向のスペースをあまり必要としない。よって、コンパクトで、室内への設置スペースを確保し易いものになる。
【0024】
必要に応じて踏板13の枚数を増加することで、その分、猫18のジャンプの回数を増やすことができ、トイレの砂が猫の足からより十分に落ちることが期待できる。また、必要に応じて枚数を減少することで、その分、猫のジャンプの上下距離を大きくし、猫の成長に合わせることができ、猫が大きくなっても、トイレ21の砂20Aが猫の足からより十分に落ちることが期待できる。
【0025】
また、猫18が昇降動作する昇降空間15が、上下の踏板13で、互い違いに設けられることにより、この猫トイレ1の装置は、水平方向のスペースを増加させる必要がないため、設置スペースを確保し易いものになる。
また、外ケース3の正面、すなわち2つの縦空間9、10の正面に扉25,27を設けることで、踏板13や砂のトイレ21の掃除をし易くできる。
また、扉27の透明な板材からなる窓から、外ケース3の内部に光を取り込むことができ、掃除や衛生に有利である。
【0026】
「他の実施形態」
以上の実施形態では、各踏板13の昇降空間15は、前後に形成される位置が、上下の踏板13で互い違いに設けられるものであったが、他の実施形態では、互い違いではなく、上下の踏板13で同じ方向に設けられるものであっても良い。
【0027】
すなわち、例えば、第2、第3、第4、第5の踏板13(13−2〜13−5)は、その前後幅が縦空間9、10の前後幅よりも狭く、全て、全体が奥側に位置することで、手前側には、猫18が昇降動作する昇降空間15が形成される。そして、第3、第4の踏板は、前後幅が、第2、第5の踏板よりも、狭くする。すなわち上の踏板ほど狭くし、猫18がジャンプできるようにする。このため狭い程度は、猫の体に相当する寸法分が狭くなっているものとする。
【0028】
このようにすることで、踏板13が互い違いに設けられるものに比べ、猫トイレ1の装置は、複数の踏板13を設けることで水平方向のスペースをやや増加させてしまうが、トイレの真上に踏板13が設けられている分は、水平方向のスペースを節約でき、設置スペースを確保し易いものになる。
【0029】
以上の実施形態では、昇降空間15は、踏板13の前後、すなわち手前側と奥側に形成されるものであったが、他の実施形態では、踏板13の左右に形成されるものとしても良い。この場合には、踏板13は隔壁5に片持ち状態で固定されるか、あるいは、外ケース3の前後の壁、すなわち正面と背面の壁に固定することができる。
【0030】
以上の実施形態では、外ケース3の正面は扉を有するものであったが、他の実施形態では、扉を有さず、外ケース3そのものが上下に分割されうる構造とし、踏板13や砂のトイレ21の掃除をし易くできる。
以上の実施形態では、左の隔壁4によって隔てられる左の空間6は、猫トイレ以外の他の目的に使用されるものであり、本発明の猫トイレに供する隔壁5は、実質上、1枚であった(図6(A)参照)。しかし、他の実施形態では、隔壁5は複数枚が実質上設けられるものとできる。
【0031】
すなわち、例えば隔壁を実質的に、3枚以上の奇数枚、設ける。よって左右の縦空間の組(逆V字状に連通される)は複数が形成される。そして、この組が隣接する位置で隔壁の下部に下部連通孔が形成され、左右の組の縦空間を連通する(M字状に連通される)。猫の昇降動作は、逆V字状が連なったM字状(図6(B)(C))になされる。
図示しないものの、具体的に、隔壁の枚数を3枚とすると、縦空間は4つになる。出入口は、例えば右方向の端部に位置する縦空間に形成される。そして、この出入口側から数えて、1枚目と3枚目の隔壁の上部に上部連通孔を形成する。同時に、前記出入口側から数えて、2枚目の隔壁の下部に下部連通孔を形成する。よって、各縦空間は、1つのM字状(図6(A))に連通される。左方向の端部に位置する縦空間の下部に、1つの砂のトイレを設ける。
【0032】
このような構造により、猫の逆V字状の昇降動作が2回繰り返され、よってM字状になされる。よって、猫は少なくとも4回以上の上下ジャンプを行う。すなわち、更に、踏板13を複数設ければ、更に、ジャンプの数を増やせる。
実質的な隔壁5は、3枚だけではなく、3枚以上の奇数枚とすることができる(図6(B)(C)参照)。すなわち、詳しく述べると、図示しないものの、外ケース3の内部に上下に配置される3枚以上の奇数枚の隔壁によって左右に複数の縦空間が隔てられる。出入口は、左右方向の端部に位置する縦空間に形成される。そして、この出入口側から数えて全ての奇数枚目の隔壁の上部に上部連通孔を形成する。同時に、前記出入口側から数えて全ての偶数枚目の隔壁の下部に下部連通孔を形成する。出入口側とは反対側の端部に位置する縦空間の下部に、1つの砂のトイレを設ける。
【0033】
そして、奇数の隔壁5の枚数をM枚とし、隔壁によって形成される各縦空間に配置される踏板13の数をN枚とすると、猫のジャンプの回数は(M+1)xNとなる。
このようにジャンプ回数を容易に増やすことができるので、トイレの砂が猫の足から更により十分に落ちることが期待できる。
この実施形態では、隔壁5は複数枚が実質上設けられるものとして、3枚以上の奇数枚設け、よって複数の縦空間をM字状に連通するものであった。しかし、他の実施形態では、2枚以上の隔壁によって、複数の縦空間をいわば櫛の歯状に連通するものでもよい。
【0034】
この例を図5に示す。
すなわち、図5においては、図1の猫トイレ1で、猫トイレ1以外の他の目的に使用されていた左の空間6を、実質の縦空間31として使用し、隔壁4にもう1つの上部連通孔33を設ける。そして、この縦空間31の下部に、もう1つの砂のトイレ35を設ける。この縦空間31には、隣接する縦空間9と同様に、3枚の踏板13−7、13−8、13−9が設けられる。なお、この図5において、図1と同様の部分には同一の符号を付す。
【0035】
これにより実質上の隔壁4、5は2つになり、3つの縦空間9、10、31は、上部連通孔19、33により連通される(図6(D))。3つの縦空間9、10、31を櫛の歯に見立てれば、櫛の歯状の連通がなされると表現できる。縦空間9、31にはそれぞれトイレ21、35があり、これにより猫は2つのトイレから任意のトイレを選ぶことができる。猫は本来、単独で生活するのを好み、トイレも自分専用のものを好む傾向がある。よって、多くの猫を飼うときには、この実施形態の猫トイレは有利である。
【0036】
櫛の歯状の連通をする際に、実質上の隔壁は2つに限らず、2つ以上とすることもできる(例えば図6(E)参照)。すなわち、詳しく述べると、図示しないものの、外ケースの内部に上下に配置される2枚以上の隔壁によって、3以上の縦空間が左右に隔てられる。これら縦空間のうち左右方向の端部に位置する縦空間の下部に、外部から猫が出入りできる出入口が形成される。そして、全ての隔壁の上部に上部連通孔が形成され、左右の縦空間を連通する。また、出入口側が形成される縦空間以外の全ての縦空間の下部に、砂のトイレが設けられる。
【0037】
トイレから戻る猫は、いわばトイレの真上の踏板へジャンプして昇り、複数の上部連通孔を連続して通り、直ちに出入口側が形成される縦空間へ至り、踏板からジャンプして降り、逆V字状の昇降動作をして、出入口から出てくる。よって、少なくとも2回以上の上下ジャンプを行い、トイレの砂が猫の足から十分に落ちることが期待できる。
【0038】
また、本発明の猫トイレ1は、家具の一部に設けることができる。例えば、図2に示すものは、図1の猫トイレ1を右下に有する家具である。
また、図3に示すものは、図1の猫トイレ1に相当するものを右下に有する家具である。もっとも、隔壁5は分割せずに下部まで一体的とされている。
また、図4に示すものは、図1の猫トイレ1を右下に有する家具である。この図の家具は多くの数の扉を有し、縦空間9、10ごとに扉を有する。
【0039】
以上の実施形態では、猫18がトイレへ向かう場合の距離やジャンプの回数は、トイレ21から戻る場合とほぼ同じであったが、他の実施形態では、トイレ21へ向かう場合の途中に近道を設け、距離やジャンプの回数を減らし、便意をもよおした猫の負担を少なくできる。
【0040】
例えば、図7に示すように、図1とほぼ同じ構造の猫トイレ1の隔壁5に、近道ドア31を設ける。この近道ドア31は、隔壁5に形成されたドア孔33を覆うように、隔壁5の図中左側に、蝶番35によって、開閉可能に設ける。近道ドア31のサイズは、ドア孔33よりも大きいので、出入口側(図中右側)から猫に押圧されて開くものの、トイレ側(図中左側)から押圧されても開らかない構造となる。また、蝶番35はバネ(図示しない)を有し、このバネによりトイレ側から付勢される。よって、通常は近道ドア31は閉じている。
【0041】
以上により、トイレへ向かう猫18は、出入口17から第1の部屋C1へ入り、第1の踏板13−1へジャンプして昇って第2の部屋C2に入り、近道ドア31を押圧して開けて通り、第7の部屋C7へ入り、更に、第6の踏板13−6からジャンプして第8の部屋C8に降りる。そして、砂のトイレ21で用を足す。よって、出入口17からトイレ21への近道ができ、距離が近く、ジャンプすることは少ないので、便意をもよおした猫の負担が少ない。
【0042】
トイレ21から戻る猫18は、入るときとは逆の順路を通ろうとするが、近道ドア31は、バネによりトイレ側から付勢され、閉じていて、トイレ側から猫に押圧されても開らかない。よって、猫18は、近道ができない。
このため、猫18は、第6の踏板13−6から第5の踏板13−5、さらに第4の踏板13−4へ順にジャンプして昇り、上部連通孔19を通り、第3の踏板13−3、第2の踏板13−2、第1の踏板13−1へ順にジャンプして降り、更に第1の踏板13−1からジャンプして第1の部屋C1に降りる。このように逆V字状の昇降動作をして、出入口17から出てくる。よって、猫は、ジャンプを繰り返し、砂が足から落ちるという効果は保たれる。
【0043】
以上の実施形態の図7では、近道ドア31は、横に蝶番35が設けられることで、水平面内での回動を行うものであったが、他の実施形態では、たとえば図8に示すように、近道ドア31は、上に蝶番35が設けられることで、垂直面内での回動を行うものとすることができる。
これにより、蝶番35がバネを有さなくても、近道ドア31は、自重により閉じていて、トイレ側から猫に押圧されても開らかない。よって、トイレ21から戻る猫18は、近道ができない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の一実施形態を示す猫トイレの斜視図である。
【図2】(A)は図1の猫トイレを右下に有する家具の正面図、(B)は(A)の扉を除いた正面図である。
【図3】(A)は図1の猫トイレに相当するものを右下に有する家具で、隔壁は分割せずに下部まで一体的とされているものを示す正面図、(B)は(A)の扉を除いた正面図である。
【図4】(A)は図1の猫トイレを右下に有する家具で、多くの数の扉を有し、縦空間ごとに扉を有するものを示す正面図、(B)は(A)の扉を除いた正面図である。
【図5】この発明の他の実施形態を示す猫トイレの斜視図である。
【図6】(A)〜(E)この発明の複数の実施形態における猫の昇降動作のパターンを、外ケース、隔壁、及び猫の動きの軌跡により示すもので、うち(A)は図1〜図4における昇降動作のパターン、(D)は図5における昇降動作のパターンである。
【図7】(A)は図1の猫トイレに近道ドアを設けた斜視図、(B)は(A)の近道ドアのB−B断面図である。
【図8】他の実施形態における近道ドアの斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1…猫トイレ、3…外ケース、4、5…隔壁、6、7、8…空間、9、10、31…縦空間、11…分割下部、13(13−1、〜13−9)…踏板、15(15−1、〜15−9)…昇降空間、17…出入口、19、33…上部連通孔、21、35…砂のトイレ、23…切欠、C(C1〜C12)…部屋、25、27・・扉、31・・近道ドア、33・・ドア孔33、35・・蝶番。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飼い猫が砂のトイレから戻る際に砂が振るい落とされる猫トイレにおいて、箱状の外ケースと、この外ケースの内部に上下に配置される隔壁と、前記隔壁によって隔てられる左右の縦空間と、前記縦空間の内部に配置され猫が踏んで昇降動作する踏板と、前記踏板の前後または左右に形成され猫が昇降動作する昇降空間と、前記左右の縦空間のうち一方の縦空間の下部に形成され外部から猫が出入りできる出入口と、前記隔壁の上部に形成され前記左右の縦空間を連通する上部連通孔と、前記左右の縦空間のうち他方の縦空間の下部に設けられる砂のトイレと、を有することで猫の昇降動作が逆V字状になされることを特徴とする猫トイレ。
【請求項2】
飼い猫が砂のトイレから戻る際に砂が振るい落とされる猫トイレにおいて、箱状の外ケースと、この外ケースの内部に上下に配置される3枚以上の奇数枚の隔壁と、前記隔壁によって左右に隔てられる複数の縦空間と、前記縦空間の内部に配置され猫が踏んで昇降動作する踏板と、前記踏板の前後または左右に形成され猫が昇降動作する昇降空間と、前記複数の縦空間のうち左右方向の端部に位置する縦空間の下部に形成され外部から猫が出入りできる出入口と、この出入口側から数えて全ての奇数枚目の前記隔壁の上部に形成され前記左右の縦空間を連通する上部連通孔と、前記出入口側から数えて全ての偶数枚目の前記隔壁の下部に形成され前記左右の縦空間を連通する下部連通孔と、前記出入口側とは反対側の端部に位置する縦空間の下部に設けられる砂のトイレと、を有することで猫の昇降動作がM字状になされることを特徴とする猫トイレ。
【請求項3】
飼い猫が砂のトイレから戻る際に砂が振るい落とされる猫トイレにおいて、箱状の外ケースと、この外ケースの内部に上下に配置される2枚以上の隔壁と、前記隔壁によって左右に隔てられる複数の縦空間と、前記縦空間の内部に配置され猫が踏んで昇降動作する踏板と、前記踏板の前後または左右に形成され猫が昇降動作する昇降空間と、前記左右の縦空間のうち左右方向の端部に位置する縦空間の下部に形成され外部から猫が出入りできる出入口と、全ての前記隔壁の上部に形成され前記左右の縦空間を連通する上部連通孔と、前記出入口側が形成される縦空間以外の全ての縦空間の下部に設けられる砂のトイレと、を有することで猫が任意のトイレを選んで行う昇降動作が逆V字状になされることを特徴とする猫トイレ。
【請求項4】
前記踏板は複数が設けられ、前記昇降空間は、前記前後または左右に形成される位置が、上下の踏板で互い違いに設けられることを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の猫トイレ。
【請求項5】
前記外ケースの正面は扉を有することを特徴とする請求項1、2、3、又は4に記載の猫トイレ。
【請求項6】
前記外ケースの正面、背面、又は側面のうち、少なくとも1つの面の全部は一部が透明な材料、又は半透明な材料で形成されることを特徴とする請求項1、2、3、4、又は5に記載の猫トイレ。
【請求項7】
前記出入口から前記トイレへの途中に配置される前記隔壁に、近道ドアを設け、この近道ドアは、前記出入口側から押圧されて開き、前記トイレ側から押圧されても開らかない構造を有し、バネにより前記トイレ側から付勢されることで通常は閉じていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、又は6に記載の猫トイレ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−271986(P2008−271986A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2008−210306(P2008−210306)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(507420916)
【Fターム(参考)】