説明

獣捕獲罠

【課題】獣類の手足が踏む踏み板の下穴を深く掘らずに確実に獣類の手足を捕捉する罠の提供。
【解決手段】固定筒体4と、突出筒体12との間に弾性体11を入れ、ワイヤ止め14を取り付けたワイヤ1を固定筒体の蓋の穴から突出筒体の蓋3の穴に通して引き出してその先端に縛り金具2を取り付ける。固定筒体内に付勢力に抗して押し込んだ突出筒体を、突出筒体に取り付けた受け金具と固定筒体に取り付けた掛け金具とで係止する。掛け金具にトリガー25を装着し、それに連動するようにワイヤ撥ね上げ線16付き踏み板15を置き、その上にワイヤ1をループ状にして土中に縦に仕掛ける。獣が踏み板15を踏むことで固定筒体内の弾性体11と、ワイヤ撥ね上げ線16基部に装着した弾性体17が同時に解放し、ワイヤ撥ね上げ線16によりワイヤのループ状部が垂直に上昇すると共に付勢力で飛び出た突出筒体がワイヤのループ状部を縮径して獣類の手足を捕捉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤを利用して獣類の手足を捕捉する獣捕獲罠の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤの特性である捩れを防ぐためループ状のワイヤに取り付けた縛り金具を筒体に固定したもの、また獣類の重さによって捕獲を制限できる、重量調整ネジを本体とは別に取り付けた、独立重量調整式のものがある。
【特許文献1】特開2002−262752号公報
【特許文献2】特開2002−142649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
弾性体の付勢力により地面に対して垂直に飛び出したループ状のワイヤを縮径して獣の手足を捕捉する獣捕獲罠において一番の欠点は弾性体の付勢力が開放された瞬間ループ状のワイヤがその上に土を被せ覆っていることと、慣性の働きにより付勢力側のワイヤがその反対側のワイヤより早く上がる。それは付勢力が強ければ強いほど、またループ状ワイヤの径が大きければ大きいほどワイヤは下方に撓りながら縮径するため獣の手足が完全に地面の下にないと捕捉できない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
中心に穴を開けた蓋で下部を閉じた固定筒体と中心に穴を開けた蓋で上部を閉じた突出筒体との間に弾性体を入れワイヤ止めを取り付けたワイヤを固定筒体の蓋の穴から突出筒体の蓋の穴に通し突出筒体側のワイヤの先端に縛り金具を取り付け固定筒体内に弾性体をその付勢力に抗して突出筒体と共に縮め押し込み突出筒体に取り付けた受け金具と固定筒体に取り付けた掛け金具とで両筒体を一時静止して掛け金具に重量調整機能付きトリガーを装着しそれに連動するようにワイヤ撥ね上げ線を弾性体の付勢力に抗して踏み板に止めてあるワイヤ撥ね上げ装置付き踏み板を置きその上に縛り金具部のワイヤをループ状に静止させ土中に縦に仕掛ける獣捕獲罠において獣の手足がワイヤ撥ね上げ装置付き踏み板を踏むことで罠本体とワイヤ撥ね上げ装置付き踏み板の両弾性体が同時に解放してワイヤ撥ね上げ線によりワイヤのループ状部が垂直に上昇し罠本体の弾性体の付勢力で飛び出た突出筒体がワイヤのループ状部を縮径して獣類の手足を確実に捕捉する。
【発明の効果】
【0005】
重量調整機能付きトリガーに取り付けたアングルを前後することで獣類の捕獲制限ができる。またワイヤ撥ね上げ装置付き踏み板に取り付けたワイヤ撥ね上げ線の下にループ状ワイヤをセットすることでワイヤの特性である捩れを殺し容易に静止でき罠本体が作動した瞬間ワイヤ撥ね上げ装置も同時に作動しワイヤ撥ね上げ線によりループ状ワイヤ全体が垂直に撥ね上がり罠本体の弾性体の付勢力で飛び出た突出筒体がワイヤのループ状部を縮径するので確実に獣類の手足を捕捉できる。しかも重量受体部であるワイヤ撥ね上げ装置付き踏み板を設置する穴を深く掘る必要がないため周囲が荒れず獣類に罠の設置を悟られにくく捕獲率が向上しまた作業が大変楽である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
中心に穴を開けた蓋13で下部を閉じた固定筒体4と中心に穴を開けた蓋3で上部を閉じた突出筒体12との間に弾性体11を入れワイヤ止め14を取り付けたワイヤ1を固定筒体4の蓋13の穴から突出筒体12の蓋3の穴に通し突出筒体12側のワイヤ1の先端に縛り金具2を取り付け固定筒体4内に弾性体11をその付勢力に抗して突出筒体12と共に縮め押し込み突出筒体に取り付けた受け金具と固定筒体に取り付けた掛け金具とで両筒体を一時静止して重量調整機能付きトリガー25を装着しそれに連動するようにワイヤ撥ね上げ装置付き踏み板15を置きその上に縛り金具2部のワイヤをループ状に静止して土中に縦に仕掛ける獣捕獲罠において突出筒体12にサドルバンド5でスプリングワッシャ6及びボルト8とナット9をもって回動可能に固定した六角ナット7を受け金具とし固定筒体4に上部がカギ型31に形成されたカギ型T形鋼10の下部に開けたボルト穴30を支点にサドルバンド5でスプリングワッシャ6及びボルト8とナット9をもって回動可能に固定して掛け金具とし両筒体を一時静止させてカギ型T形鋼10に施したトリガー取り付け穴28に重量調整機能付きトリガー25をそれに固定してあるトリガー取り付けピン27で装着しトリガー安定板29で静止させ重量調整機能付きトリガー25に取り付けたアングル21に連動するようワイヤ撥ね上げ線16をワイヤ撥ね上げ線固定金具20で踏み板に回動可能に固定し弾性体17を取り付け反対側にその付勢力に抗してワイヤ撥ね上げ線静止金具18で一時静止したワイヤ撥ね上げ装置付き踏み板15を置きその上に縛り金具2部のワイヤ1をループ状に静止して土中に埋設し獣類の手足がワイヤ撥ね上げ装置付き踏み板15を踏むことで罠本体とワイヤ撥ね上げ装置付き踏み板15の両弾性体が同時に解放しワイヤ撥ね上げ線16によりワイヤ1のループ状部が垂直に上昇し罠本体の弾性体11の付勢力で飛び出た突出筒体12がワイヤ1のループ状部を縮径して獣類の手足を確実に捕捉する。
【実施例1】
【0007】
図1のAは、本考案の実施の形態に係る獣捕獲罠全体の構成の側面図であって罠本体にトリガー部と踏み板部をセットしてワイヤの先端部をループ状に踏み板の上に静止させた状態で土中に埋設する。
【実施例2】
【0008】
図1のBは、罠が作動した瞬間の図であってワイヤ撥ね上げ線16がループ状ワイヤを垂直に撥ね上げ、突出筒体12がワイヤのループ部を縮径するので獣類の手足を確実に捕捉することが可能である。
【実施例3】
【0009】
図2のAは罠本体の構成図であって固定筒体4と突出筒体12との間に弾性体11を入れ両端を中心に穴を開けた蓋3と13で閉じワイヤ止め14を取り付けたワイヤ1を固定筒体4側から突出筒体12側に通しワイヤ1先端に縛り金具2を取り付け固定筒体4内に弾性体11を突出筒体12と共に縮め押し込め突出筒体12にサドルバンド5でスプリングワッシャ6及びボルト8とナット9をもって回動可能に固定した六角ナット7を受け金具とし固定筒体4に上部がカギ型31で背面にトリガー取り付け穴28とトリガー安定板29を施し下部に開けたボルト穴30を支点にサドルバンド5でスプリングワッシャ6及びボルト8とナット9をもって回動可能に固定したカギ型T形鋼10を掛け金具として両筒体を一時静止固定し安全装置33を突出筒体側のスプリングワッシャ6に掛けて安全を図り解除するときは安全装置解除棒34を使用する。また無線器を使用する時は無線器接続金具35を利用できる。
【実施例4】
【0010】
図2のBは重量調整機能付きトリガーの構成図であってL金具の一面に外方向にトリガー取り付けピン28を固定し、もう一面に長楕円形の溝26を開け、それに皿ネジ穴22を開けたアングル21を皿ネジ23とフランジナット24で固定する。その時アングル21を前後することで捕獲する獣類を制限することが可能である。
【実施例5】
【0011】
図2のCはワイヤ撥ね上げ装置付き踏み板の構成図であって踏み板の一方の端にワイヤ撥ね上げ線16をワイヤ撥ね上げ線固定金具20で回動可能に固定し弾性体17を取り付けてそれを軸に弾性体17の付勢力に抗してワイヤ撥ね上げ線16を反対側の端中央に取り付けたワイヤ撥ね上げ線静止金具止め19で回動可能に固定したワイヤ撥ね上げ線静止金具18で踏み板の上に静止させ罠本体にセットした重量調整機能付きトリガーのアングルと連設して置き罠が作動すると同時にアングルの上部がワイヤ撥ね上げ線静止金具18を押し外し弾性体17の付勢力が解放されワイヤ撥ね上げ線16がループ状ワイヤを垂直に撥ね上げる。また設置中は安全器32をワイヤ撥ね上げ線16に掛けて安全を図る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】Aは本考案の実施の形態に係る獣捕獲罠全体の構成の側面図である。(実施例1) Bは罠が作動した瞬間の図である。(実施例2)
【図2】Aは罠本体の構成図である。(実施例3) Bは重量調整機能付きトリガーの構成図である。(実施例4) Cはワイヤ撥ね上げ装置付き踏み板の構成図である。(実施例5)
【符号の説明】
【0013】
1 ワイヤ
2 縛り金具
3 蓋
4 固定筒体
5 サドルバンド
6 スプリングワッシャ
7 六角ナット
8 ボルト
9 ナット
10 カギ型T形鋼
11 弾性体
12 突出筒体
13 蓋
14 ワイヤ止め
15 ワイヤ撥ね上げ装置付き踏み板
16 ワイヤ撥ね上げ線
17 弾性体
18 ワイヤ撥ね上げ線静止金具
19 ワイヤ撥ね上げ線静止金具止め
20 ワイヤ撥ね上げ線固定金具
21 アングル
22 皿ネジ穴
23 皿ネジ
24 フランジナット
25 トリガー
26 溝
27 トリガー取り付けピン
28 トリガー取り付け穴
29 トリガー安定板
30 ボルト穴
31 カギ型
32 安全器
33 安全装置
34 安全装置解除棒
35 無線器接続金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心に穴を開けた蓋13で下部を閉じた固定筒体4と中心に穴を開けた蓋3で上部を閉じた突出筒体12との間に弾性体11を入れワイヤ止め14を取り付けたワイヤ1を固定筒体4の蓋の穴13から突出筒体12の蓋の穴3に通し突出筒体12側のワイヤの先端に縛り金具2を取り付け固定筒体4内に弾性体11をその付勢力に抗して突出筒体12と共に縮め押し込み突出筒体12に取り付けた受け金具と固定筒体4に取り付けた掛け金具とで両筒体を一時静止して掛け金具に重量調整機能付きトリガー25を装着しそれに連動するようにワイヤ撥ね上げ線16を弾性体17の付勢力に抗して踏み板に止めてあるワイヤ撥ね上げ装置付き踏み板15を置きその上に縛り金具2部のワイヤ1をループ状に静止させ土中に縦に仕掛ける獣捕獲罠において獣の手足がワイヤ撥ね上げ装置付き踏み板15を踏むことで罠本体とワイヤ撥ね上げ装置付き踏み板15の両弾性体が同時に解放する特徴を持つ獣捕獲罠。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−55158(P2006−55158A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−116591(P2005−116591)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(304035827)
【Fターム(参考)】