説明

玩具花火用点火具

【課題】風が吹いているときでも、支障なく使用することができ、かつ、安価に製造することができる玩具花火用点火具を提供する。
【解決手段】縄状体(1)に酸化剤を滲入させてなることを特徴とする玩具花火用点火具。酸化剤を滲入させた縄状体(1)を筒状体(3)の中央貫通孔(5)に出し入れ自在に配設し、該縄状体の一端(1a)には常時中央貫通孔より突出する操作棒(7)を取り付け、該操作棒を筒状体の長さ方向に動かすことにより該縄状体の他端(1b)を筒状体から出し入れすることができるようにしたことを特徴とする玩具花火用点火具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具花火用点火具に関するものであり、例えばスパークラー、ススキ、噴き出し花火、ロケット花火等の玩具花火に点火するための玩具花火用点火具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
玩具花火用点火具としては、ロウソクが広く使用されている。
【0003】
特開平8−75399号公報は、バッテリーを備えた電気ヒータよりなる玩具花火用点火具を開示している。
【特許文献1】特開平8−75399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
玩具花火用点火具は屋外で使用されるものであるが、ロウソクの火は、風により容易に消えてしまうという欠点がある。
【0005】
一方、特開平8−75399号公報に開示されている玩具花火用点火具としての電気ヒータは、製造コストが嵩むという問題がある。また、玩具花火用点火具としての電気ヒタは、屋外の暗所で使用するものであるため、電気ヒータのスイッチ操作等が容易ではないという問題もある。
【0006】
本発明は、上記従来の玩具花火用点火具における上述の如き問題を解決しようとしてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、下記の玩具花火用点火具を提供する。
【0008】
(1)縄状体に酸化剤を滲入させてなることを特徴とする玩具花火用点火具(請求項1)。
【0009】
(2)酸化剤を滲入させた縄状体を筒状体の中央貫通孔に出し入れ自在に配設し、該縄状体の一端には常時中央貫通孔より突出する操作棒を取り付け、該操作棒を筒状体の長さ方向に動かすことにより該縄状体の他端を筒状体から出し入れすることができるようにしたことを特徴とする玩具花火用点火具(請求項2)。
【0010】
(3)酸化剤を滲入させた縄状体を筒状体の中央貫通孔に出し入れ自在に配設し、該縄状体の一端には操作紐を取り付け、該操作紐は縄状体の当該一端から筒状体の中央貫通孔を通過し、筒状体の外側を通って再び縄状体の当該一端に戻るようにループ状に配設し、該操作紐を筒状体の長さ方向に動かすことにより該縄状体の他端を筒状体から出し入れすることができるようにしたことを特徴とする玩具花火用点火具(請求項3)。
【0011】
(4)前記縄状体は綿により形成されている(請求項4)。
【0012】
(5)前記酸化剤は硝酸カリウムである(請求項5)。
【0013】
[発明の作用]
[請求項1の発明]
玩具花火用点火具の使用時には、縄状体の一端にマッチ等により点火する。縄状体の当該一端は燃焼する。玩具花火を当該一端に近づけることにより、該玩具花火に点火することができる。酸化剤は縄状体が燃焼する際の酸素供給作用をなす。
【0014】
酸化剤を滲入させた縄状体は、一旦着火した後は、マッチ等の火から離しても燃焼を持続する自己燃焼性を有する。
【0015】
[請求項2の発明]
縄状体の一端に取り付けた操作棒を筒状体の長さ方向に動かすと、縄状体は筒状体の長さ方向に進退する。玩具花火用点火具の使用時には、操作棒を筒状体の長さ方向に押すことにより、縄状体の他端を筒状体から突出させる。この状態で、縄状体の当該他端にマッチ等により点火し、当該他端を燃焼させる。図1、図2参照。
【0016】
操作棒を前記と反対方向に引いたときには、燃焼している縄状体の前記他端は筒状体の中央貫通孔内に没入し、消火する。図3参照。
【0017】
[請求項3の発明]
縄状体の一端に取り付けた操作紐を筒状体の長さ方向に動かすと、縄状体は筒状体の長さ方向に進退する。玩具花火用点火具の使用時には、操作紐を筒状体の長さ方向に動かすことにより、縄状体の他端を筒状体から突出させる。この状態で、縄状体の当該他端にマッチ等により点火し、当該他端を燃焼させる。図4、図5参照。
【0018】
操作紐を前記と反対方向に動かしたときには、燃焼している縄状体の前記他端は筒状体の中央貫通孔内に没入し、消火する。図6参照。
【0019】
[請求項4の発明]
縄状体は綿により形成されているため、該縄状体はゆっくり燃焼する。
【0020】
[請求項5の発明]
酸化剤として縄状態に滲入させた硝酸カリウムは、縄状体を好ましく燃焼させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、次のような優れた効果を発揮する。
【0022】
(イ)本発明による玩具花火用点火具は、縄状体に酸化剤を滲入させているめ、燃焼時に風が吹いても、縄状体の火が消えることはない。即ち、この玩具花火用点火具は、風が吹いているときでも、支障なく使用することができる。
【0023】
(ロ)本発明による玩具花火用点火具は、縄状体に酸化剤を滲入させているため、ゆっくり燃焼する。換言すれば、この玩具花火用点火具は、長時間にわたって使用することができる。
【0024】
(ハ)本発明による玩具花火用点火具は、極めて安価に製造することができる。
【0025】
(ニ)本発明による玩具花火用点火具は、軽量かつコンパクトであるため、収納、運搬等が容易である。
【0026】
(ホ)筒状体を用いた場合には、該筒状体を手に持って玩具花火に点火することができるため、筒状体から突出する縄状体の前記他端の位置を筒状体により確実に制御することができると共に、点火時に手と玩具花火との間に十分な距離を保つことができる。即ち、この玩具花火用点火具は十分な安全性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
符号1に示すものは縄状体である。縄状体1は、好ましくは、綿、麻等により形成した組紐とする。縄状体1は、例えば、直径約5〜10mmとする。
【0028】
縄状体1には酸化剤を滲入させる。
【0029】
酸化剤としては、例えば、硝酸カリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸アンモニウムを用いる。
【0030】
縄状体1に酸化剤を滲入させるに当っては、一例として、水100重量部中に上記酸化剤2〜10重量部を溶かして水溶液となし、該水溶液中に縄状体1を浸漬した後、該縄状体1を天日により又は乾燥室内で乾燥させる。
【0031】
次に、図1〜図3に示す事例について説明する。
【0032】
酸化剤を滲入させた縄状体1を筒状体3の中央貫通孔5に出し入れ自在に配設する。筒状体3は、例えば、紙、合成樹脂等により形成する。
【0033】
縄状体1の一端1aには常時中央貫通孔5より突出する操作棒7を取り付ける。即ち、操作棒7の一端7aを縄状体1の当該一端1aに固定する。
【0034】
操作棒7は筒状体3の長さ方向に移動自在であり、操作棒7の他端7bは常時筒状体3から突出している。
【0035】
操作棒7を筒状体3の長さ方向に動かすことにより縄状体1の他端1bを筒状体3から出し入れすることができるようになす。
【0036】
操作棒7は、例えば、木、合成樹脂等により形成する。
【0037】
次に、図4〜図6に示す事例について説明する。
【0038】
酸化剤を滲入させた縄状体1を筒状体3の中央貫通孔5に出し入れ自在に配設する。筒状体3は、例えば、紙、合成樹脂等により形成する。
【0039】
縄状体1の一端1aには操作紐9を取り付ける。符号9aに示すものは、操作紐9が縄状体1の一端1aに固定された固定点である。
【0040】
操作紐9は縄状体1の当該一端1aから筒状体3の中央貫通孔5を通過し、筒状体3の外側を通って再び縄状体1の当該一端1aに戻るようにループ状に配設する。
【0041】
操作紐9を筒状体3の長さ方向に動かすことにより該縄状体1の他端1bを筒状体3から出し入れすることができるようになす。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による玩具花火用点火具の一例を示す斜視図である。
【図2】同上玩具花火用点火具における縄状体の他端を筒状体から突出させた状態を示す断面図である。
【図3】同上玩具花火用点火具における縄状体の他端を筒状体内に没入させた状態を示す断面図である。
【図4】本発明による玩具花火用点火具の別の一例を示す斜視図である。
【図5】同上玩具花火用点火具における縄状体の他端を筒状体から突出させた状態を示す断面図である。
【図6】同上玩具花火用点火具における縄状体の他端を筒状体内に没入させた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 縄状体
1a 一端
1b 他端
3 筒状体
5 中央貫通孔
7 操作棒
7a 一端
7b 他端
9 操作紐
9a 固定点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縄状体に酸化剤を滲入させてなることを特徴とする玩具花火用点火具。
【請求項2】
酸化剤を滲入させた縄状体を筒状体の中央貫通孔に出し入れ自在に配設し、該縄状体の一端には常時中央貫通孔より突出する操作棒を取り付け、該操作棒を筒状体の長さ方向に動かすことにより該縄状体の他端を筒状体から出し入れすることができるようにしたことを特徴とする玩具花火用点火具。
【請求項3】
酸化剤を滲入させた縄状体を筒状体の中央貫通孔に出し入れ自在に配設し、該縄状体の一端には操作紐を取り付け、該操作紐は縄状体の当該一端から筒状体の中央貫通孔を通過し、筒状体の外側を通って再び縄状体の当該一端に戻るようにループ状に配設し、該操作紐を筒状体の長さ方向に動かすことにより該縄状体の他端を筒状体から出し入れすることができるようにしたことを特徴とする玩具花火用点火具。
【請求項4】
前記縄状体は綿により形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの玩具花火用点火具。
【請求項5】
前記酸化剤は硝酸カリウムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの玩具花火用点火具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−138574(P2006−138574A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−330116(P2004−330116)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(592072551)井上玩具煙火株式会社 (7)