説明

現像剤補給容器

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は、電子写真複写機・同プリンタ、静電記録(印刷)装置・同プリンタ、磁気記録装置・同プリンタ等の画像形成装置において、電子写真感光体・静電記録誘電体・磁気記録体等の像担持体面に形成された潜像(静電荷潜像・電位潜像・磁気潜像等)を顕画化する現像装置に対する補給用の粉体現像剤を密封収容させた現像剤補給容器に関する。
(従来の技術)
像担持体面に形成した静電荷像等の潜像を顕画化する現像装置は使用現像剤の種類から分類して、粉体現像剤(乾式現像剤)を用いるものと、液体現像剤(湿式現像剤)を用いるものとに大別される。近年は種々の観点から前者の粉体現像装置が後者の液体現像装置よりも多く実用されている。
本発明は上記前者の粉体現像装置に対する現像剤補給容器に関する。
現像装置内の現像剤は像担持体面の潜像の現像で逐次に消費されていくので適時に補給作業するものであるが、粉体現像剤は平均粒径20μm以下で低比重の、黒色を一般色とする有色微粉末であり、多少の振動・衝撃・風圧などの外的作用でも煙霧状に飛散しやすい。そのため補給用現像剤パケッジを開封し、パケッジ内の粉体現像剤を現像装置の現像剤補給口から装置内へ流し入れて補給する際は注意深く作業をしないと、現像剤を装置外にこぼすなどして飛散させて周辺機材やオペレータの手指・着衣などを現像剤で汚染させてしまい勝ちであった。
そこで上記のような現像剤補給時の現像剤飛散・汚染の問題を解消し、又現像剤の扱い性を簡便化する等のために、補給用現像剤のパケッジを現像装置本体に対して装脱自由の補給容器(カートリッジ)として構成し、該補給容器を現像装置本体側の容器装着部に所定に嵌着或は挿入した状態において補給容器側の開口(現像剤供給用開口部)を封止しているシール部材を外部から引き抜き除去して開封する操作をすることにより補給容器内に収容されている現像剤を、開封されたカートリッジ開口から現像装置本体内へ流出させて補給するカートリッジ方式が多く採用されている。
現像剤補給容器は開封されてない限りは現像剤が容器内に密封収容された状態に維持されていて、物流・保管過程での漏出・飛散防止、防湿がなされている。
そして補給容器の開封、該開封による容器内から現像装置本体内への現像剤の流出補給はシール部材の装置外への引き抜き除去操作だけで何れも装置内部で実行されるから現像剤の装置外漏出・飛散は実質的に生じない。
第9図は上記のような現像剤補給容器の一例を示すもので、同図(A)は一部切欠き斜視図、同図(B)は該カートリッジを現像装置本体側の装着部に嵌着セットした開封前状態の縦断面図である。
図においてCは現像剤補給容器の全体符号、10は容器本体であり、一般に合成樹脂・厚紙等で作られており、本例のものは横長の直方体容器である。その底面は現像剤供給用開口部11として開放し、該開口部11の四周縁には外向きのフランジ12を具備させてある。
13は上記の開口部11を覆って封塞する帯状の柔軟シール部材(封止帯)であり、開口部周りのフランジ12面に四周縁をヒートシール(熱溶着)、インパルスシール、高周波ウエルダ等の接着手段によりイージーピール接着14される。
該シール部材13の一端側は延長して逆方向への折り返し部分13Aにし、該折り返し部分の自由端部13Bは把持部(把手部)としてカートリッジ端部よりも外方へ突出させる。
現像剤(トナー)tは、容器10の上記開口部11をシール部材13で封塞する前に該開口部11から容器10内に充填されるか、開口部11をシール部材13で封塞処理した後に、容器10の壁面に設けた充填用開口から容器10内へ充填される。充填用開口はふた部材でしっかりと閉塞処理される。
該現像剤補給容器C内の現像剤tの現像装置本体内への補給は、容器10のシール部材面側を下向きにして現像装置本体D側の容器装着部20(第9図(B))に嵌着する。本例の容器装着部20は、現像装置本体D側の現像剤ホッパHの上面板上に容器Cの外方張り出しフランジ部12が丁度嵌り込んで位置決めされる枠縁部21を有し、その枠縁の内側に現像剤投入口22が開口しており、該容器装着部20に第9図(B)のように現像剤補給容器Cを正規に嵌着セットした状態において容器10側の下向きの現像剤供給用開口部11側が容器装着部20側の現像剤投入口22に対してシール部材13を介して対応合致した状態になる。
この状態においてシール部材13の折り返し部分13Aの外方突出自由端である把持部13Bを指でつまんでシール部材折り返し部分13Aをシール部材13の容器フランジ12面に対する貼着部14の接着力に抗して装置外方へF方向に引くことにより、シール部材13の容器フランジ12面に対する接着が開口部11の長手方向に奥側から手前側に順次にはがれて開口部11の開封がなされていき、最終的には把持部13Bを十分に外方へ引いてシール部材折り返し部分13A及びシール部材13の全体を装置外へ引き抜き除去することにより容器10の開口部11の全体が開封され、その開封された開口部11から容器10内の現像剤tが該開口部11と対応合致している現像装置本体側の現像剤投入開口部22から現像装置本体内へ流入供給される。
第10図は円筒形の現像剤補給容器Cの例を示している。11は円筒形の容器本体10の円筒壁面に母線方向に形成した現像剤供給用の横長開口部、13は該開口部11を外側から覆って封塞する帯状の柔軟シール部材であり、開口部11周りの円筒容器壁外面にイージーピール接着14される。
シール部材13の一端側は延長して逆方向への折り返し部分13Aにし、該折り返し部分13Aの自由端部13Bは把持部としてカートリッジ容器端部よりも外方へ突出させてある。現像剤(トナー)は容器10の上記開口部11をシール部材13で封塞する前に該開口部11から容器10内に充填されるか、開口部11をシール部材13で封塞処理した後に、容器10の一端側開口を充填口として容器10内に充填され、その後該充填口をふた部材15でしっかりと閉塞処理される。
16は容器10の他端側の開口を閉塞させた端面板の外面に突出させて設けた容器回転操作用のつまみラグである。
この円筒形の現像剤補給容器Cはつまみラグ16とは反対側の容器端部を先にして、又シール部材13側を上向きにして現像装置本体側に設けた現像剤補給容器挿入装着部(不図示)内に十分に挿入して、或は挿入しながら、シール部材13の折り返し部分13Aの外方突出自由端である把持部13Bを指でつまんでシール部材折り返し部分13Aをシール部材13の容器10に対する貼着部14の接着力に抗して装置外方へF方向に引くことにより、シール部材13の容器10に対する接着が開口部11の長手方向に奥側から手前側に順次にはがれて開口部11の開封がなされていき、最終的には把持部13Bを十分に外方へ引いてシール部材折り返し部分13A及びシール部材13の全体を装置外へ引き抜き除去することにより容器10の開口部11の全体が開封される。次いでつまみラグ16を指でつまんで容器10をその長手軸線を中心に略180゜回転して上記開封された開口部11を下向きにすることにより容器10内の現像剤が下向きとなった開口部11から現像装置本体内に流入供給される。 上記のような従来のシール部材引き剥がし開封方式の現像剤補給容器には次のような問題点があった。
■.開封がシール部材13の貼着部14を引き剥がして行われるために大きな開封操作力(シール部材はがし引張り力)を要す。
■.開封の際にシール部材13の周縁部の傷やヒートシール時の損傷等によりシール材の斜め切れ、ちぎれ等による途中切れを起こすケースがあり、現像剤が出されない場合がある。
■.シール部材13が引き剥がされる時に貼着14に使用した接着剤が細かい切片となり、粉末トナーに混入し、白スジの原因になることがある。
以上の問題はシール部材13の貼着部分14が、使用前には十分接着しており、なおかつ開封時には容易に引き剥がれるという相反する2つの機能を要求されるために生じるのである。
また、開口部のシール部材の開封を容易化したものとして、現像剤を収容し開口部を有する容器と、開口部周囲に接着され開口部を覆う封止フィルムと、この封止フィルムの内面に開口部の長手方向に沿って固着され一端が封止フィルムより延長して把手部を形成する引き裂きテープと、を有し、引き裂きテープを引くことにより封止フィルムが実質的に引き裂きテープの巾に破断される、引き裂きテープ使用タイプの現像剤補給容器がある。
例えば特開昭56−21166号公報には、開口部の巾に略等しい巾のシート状の引きはがし開口ガイド部材で裏打されたシール部材で密封されており、開口時には、該引きはがしガイド部材を略長さ方向に引くことによりシール部材をガイド部材の巾に引きはがして開口することを特徴とするトナー粉末補給用カートリッジが開示されている。
(発明が解決しようとする課題)
しかし上述のような引き裂きテープ使用タイプの現像剤補給容器においては、引き裂きテープを内面に固着した封止フィルムで開口部を塞ぐ場合、容器の製造工程が複雑化する。また、引き裂きテープの厚みにより封止フィルムに段差が生じ、この隙間から現像外が漏れるという問題がある。
前記特開昭56−21166号公報に開示の、シール部材をガイド部材で裏打ちしたカートリッジにあっては、ガイド部材でシール部材の接着剤が塗布された面を覆うことでトナーが付着することを防止するもので、ガイド部材表面には接着能力はない。即ち、ガイド部材は容器に接着されておらず、この部分を接着するためには接着剤を塗布する工程を特別に設けなくてはならず製造工程が複雑化してしまう。
そこで本発明は、引き裂きテープ使用タイプの現像剤補給容器について、上記のような問題点を解消すること、即ち簡単に容器開口部を封塞処理することができて製造工程を簡易化でき、更に隙間の存在による現像剤漏れのない補給容器構成を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は下記の構成を特徴とする現像剤補給容器である。
(1)現像剤を収容し開口部を有する容器と、開口部周囲に接着され開口部を覆う封止フィルムと、この封止フィルムの内面に開口部の長手方向に沿って固着され一端が封止フィルムより延長して把手部を形成する引き裂きテープと、を有し、引き裂きテープを引くことにより封止フィルムが実質的に引き裂きテープの巾に破断される現像剤補給容器において、シーラント層を有する封止フィルムのシーラント層上に封止フィルムと面する側とは反対側の面にシーラント層を有する引き裂きテープを接着し、封止フィルムのシーラント層と引き裂きテープのシーラント層とにより、引き裂きテープが接着された封止フィルムを容器に対して熱溶着することで開口部を封塞したことを特徴とする現像剤補給容器。
(2)封止フィルムを容器に熱溶着するためのシーラント層は酢酸ビニル系であり、引き裂きテープを容器に熱溶着するためのシーラント層はポリエチレン系であることを特徴とする(1)の現像剤補給容器。
(作 用)
シーラント層を有する封止フィルムのシーラント層上に封止フィルムと面する側とは反対側の面にシーラント層を有する引き裂きテープを接着し、封止フィルムのシーラント層と引き裂きテープのシーラント層とにより、引き裂きテープが接着された封止フィルムを容器に対して熱溶着することで開口部を封塞した特徴構成により、簡単に容器開口部を封塞することができて製造工程を簡易化でき、更に封止フィルムのシーラントと引き裂きテープのシーラントにより熱溶着の際に引き裂きテープの厚みによる封止フィルムの段差部の隙間が埋まり密封性が確保されて現像剤の隙間漏れの発生が防止される。
(実施例)
第1図は一実施例の現像剤補給容器Cの一部切欠き斜視図である。
10は所定量の補給用現像剤を収容し開口部11を有する容器である。本例の容器本体10は前述第9図例のものと同様に開口部11の四周緑に外向きフランジ12を具備させた横長の直方体容器である。
1は該容器10の開口部周囲の外向きフランジ12面に接着されて開口部を覆う封止フィルムである。以下、この封止フィルム1を「カバーフィルム」と記す。
2は、このカバーフィルム1の内面に容器開口部11の長手方向に沿って固着され、一端がカバーフィルム1より延長2Aして把手部2Bを形成する引き裂きテープである。以下、この引き裂きテープを「テアテープ」と記す。
カバーフィルム1はその一面側にシーラント層を有し、またテアテープ2もその一面側にシーラント層を有し、カバーフィルム1のシーラント層形成面側にあらかじめテアテープ2を第5図のように該テアテープ2のシーラント層非形成面側を接着41してシール部材としてある。本例のものはカバーフィルム1とテアテープ2とを熱溶着41で全面的に接着一体化したものである。
そしてカバーフィルム1のシーラント層とテアテープ2のシーラント層とにより、テアテープ2があらかじめ接着41されたカバーフィルム1を容器開口部周囲の外向きフランジ12面に対して熱溶着(ヒートシール)3・4・4することで容器開口部11を封塞してある。
テアテープ2は、カバーフィルム1に対する開口形成方向、本例ではカバーフィルム1の長手方向に対して直角方向の幅W2がカバーフィルム1の非接着部の同方向幅W1(=容器開口部11の開口幅)よりも小さく、カバーフィルム1の内面側に存在してカバーフィルム1の両端部においてテアテープ2のシーラント層で容器開口部のフランジ面に熱溶着4・4されると共に、一端側は延長されてカバーフィルム1の外面側へ折り返され、その延長折り返しテープ部分2Aの自由端部2Bは把持部としてテープ折り返し側とは反対側の容器端部よりも外方へ突出させてある。容器10内には所定量の補給用現像剤が収容されている。
即ち、シーラント層を有するカバーフィルム1のシーラント層上にカバーフィルム1と面する側とは反対側の面にシーラント層を有するテアテープ2を接着41し、カバーフィルム1のシーラント層とテアテープ2のシーラント層とにより、テアテープ2が接着されたカバーフィルム1を容器開口部周囲の外向きフランジ12面に対して熱溶着3・4・4することで容器開口部11を封塞した構成により、簡単に容器開口部11を封塞することができ、更にカバーフィルム1のシーラントとテアテープ2のシーラントにより熱溶着の際にテアテープ2の厚みによるカバーフィルム1の段差部の隙間が埋まり密封性が確保されて現像剤の隙間漏れの発生が防止される。
該現像剤補給容器C内の現像剤の現像装置本体内への補給は、前述第9図例のものと同様に容器10のカバーフィルム1面側を下向きにして現像装置本体D側の容器装着部20に嵌着する。
その嵌着状態においてテアテープ2の延長折り返しテープ部分2Aの外方突出自由端である把持部2Bを指でつまんで外方へ引いてゆくと、テアテープ2の延長折り返しテープ部分2Aが引張られ、それに伴なってカバーフィルム1の内面側に位置しているテアテープ2によって第2図R>図のようにカバーフィルム1が該フィルムの長手方向奥側から手前側に順次にテアテープ2の幅W2と実質的に同幅にスムーズに破断され、そのカバーフィルムの破断フィルム部分はテアテープ2とともに除かれ、最終的にテアテープが装置外へ引き抜き除去されたときは第3図のようにカバーフィルム1面にはテアテープ2と略同幅の現像剤供給用開口5が形成される。この開口5の形成により容器10内の現像剤が該開口5と対応している現像装置本体側の現像剤投入開口部(22)から現像装置本体内へ流入供給される。
尚、第2図・第3図は現像装置本体側の装着部(20)に開口部11側を下向きにしてセットした状態の現像剤補給容器Cのみを示してあり、現像装置側の部材は図に省略されている。
第7図・第8図は容器本体10が円筒形である現像剤補給容器Cの実施例であり、容器本体10の母線方向に具備させた開口部11に対してカバーフィルム1とテアテープ2とからなるシール部材を上述第1図例の現像剤補給容器Cと同様の関係構成で具備させてある。
この円筒形の現像剤補給容器Cは前述第10図の円筒形の現像剤補給容器と同様につまみラグ16とは反対側の容器端部を先にして、又カバーフィルム1で封止されている開口部11側を上向きにして現像装置本体側の現像剤補給容器挿入装着部内に十分に挿入して、或は挿入しながら、テアテープ2の延長折り返し部分2Aの外方突出自由端部である把持部2Bを指でつまんで引き抜くことによりカバーフィルム1面にテアテープ2と略同幅の現像剤供給開口(5)が形成される。
次いでつまみラグ16を指でつまんで円筒形容器10をその長手軸線を中心に略180゜回転して上記形成された現像剤供給開口を下向きにすることにより、容器10内の収容現像剤が下向きとなった該開口5(第8図)から現像装置本体内へ流出供給される。
本例の円筒形の現像剤補給容器Cは第8図のようにその容器本体10内に外部から駆動力を受けて運動して容器10内の現像剤(t)を攪拌・搬送する部材6を設けてある。
本例の部材6は、容器10内の中央軸線位置に両端部を容器端面板に軸受支持させた回転軸6Aと、該軸と一体に回転する攪拌棒6Bと、該攪拌棒の先端側に取付けた弾性・柔軟フィルム材製やブラシ材製の攪拌翼6Cからなる。攪拌翼6Cの先端部は円筒形容器10の内面に弾性に抗して少したわみをもたせて接触させてある。
回転軸6Aの奥側の軸端61(第7図)はそれを軸受させた容器奥側端面板15から容器外方へ突出させてあり、現像剤補給容器Cが現像装置本体側の容器挿入装着部に対して十分に挿入された状態において上記軸端61が現像装置本体側の駆動手段(不図示)にカップリングする。
そしてテアテープ2の引き抜き除去によるカートリッジCの開封操作、現像剤補給容器Cの180゜反転操作がなされた後に現像装置が稼動状態になると、軸端61とカップリングしている現像装置本体側の駆動手段の駆動力で軸6Aが所定の速度で連続的に又は間欠的に回転駆動される。これに伴ない攪拌棒6B・攪拌翼6Cが回転して容器10内の現像剤が積極的に攪拌・搬送されてブリッジやブロックがくずされ、テアテープ2の幅が狭くカバーフィルム1に形成される現像剤供給用開口5の幅が狭くとも容器10内の現像剤(t)を該開口5から実質的に残りなく容器外、即ち現像装置本体内へ供給させることが可能となる。
又、部材6の運動を制御することにより容器10内から現像装置側への現像剤の供給量を制御することも可能である。現像剤補給容器C側に上記回転軸6Aを手動で回転させることができるつまみ部材・ハンドル部材を設けて手動で回転させるようにすることもできる。
上記のような現像剤攪拌・搬送部材6を前述第1図例のような形態の現像剤補給容器10内に具備させることもでき、同様の効果を得ることができる。
第1図例及び第7図例の現像剤補給容器の何れも前述したように開封はテアテープ2の延長折り返しテープ部分2Aの把手部2Bとしての自由端部を引っ張ることにより、テアテープ2の幅W2分のカバーフィルム1がテアテープ2と共に直線的に裂けて現像剤補給口5を形成するので、開封途中で斜め方向に裂けたり、ちぎれたりすることがない。
カバーフィルム1の材質は容器開口部11の気密・水密を充分に保つことができ、又一方向への引き裂き性を有する単層或は複合層のフィルム材、又はシート材を利用することができ、例えばポリエステル・ポリプロピレン・ポリスチレン・ナイロンなどの各種の延伸又は無延伸合成樹脂フィルム材、同シート材、金属箔、紙等が挙げられる。
カバーフィルム1の引き裂き方向について、一定方向に裂ける性質のフィルムの例としては、一軸延伸ポリエチレンフィルム,一軸延伸ポリプロピレンフィルムや延伸発泡ポリプロピレンフィルム、ハーフカットされた或は軽い切り傷を与えたフィルム等が挙げられる。
そのようなフィルムを使用しない場合でも、カバーフィルム1にテアテープ2を全面的に接着41したシール部材構成にすることで、カバーフィルム1を実質的にテアテープ2の巾に安定に破断させることができる。
あらかじめカバーフィルム1とテアテープ2を接着41する場合、熱によるカールを防止することが重要であり、このため熱伝達がよく腰のあるAl(アルミニウム)層をカバーフィルムに層として加えるとカール防止に有効である。又、カバーフィルム1の端部にノッチ7(第1図1図)を入れるとテアテープ2の引き始めにおいて、確実にカバーフィルム1を引き裂くことができるのでより有効である。
テアテープ2はカバーフィルム1を引き裂くのに充分な強度を持っている必要があり、カバーフィルム1の3倍以上の引張り強度を持つことが望ましい。強度が大きければカバーフィルム1と同様の各種の合成樹脂フィルム材、同シート材、金属箔、紙など何んでも利用できる。
カバーフィルム1、テアテープ2、容器10相互の接着手段もポリエチレン系シーラントによるヒートシール(熱溶着)に限られるものではなく、酢酸ビニル系樹脂や、アイオノマー系樹脂によるヒートシールでも良く、更には適当な材質も選べばインパルスシールや高周波ウェルダーを利用しても、或は両面テープや適当な接着剤を用いることによっても本発明の構成は実現可能である。
例−1 第1図例の現像剤補給容器Cのカバーフィルム1とテアテープ2として夫々下記の層構成の複合層材料を用いた。第6図はそれ等の複合層材料の層構成模型図である。
カバーフィルム1:幅16.5mm、長さ213mmポリエステル1a=12μmAl層1b=7μmポリエチレン系シーラント1c=30μmテアテープ2:幅8.5mm長さ500mm(延長折り返し部分2A及び把持部2Bも含む)
ポリエチレン系シーラント2a=30μmポリエステル層2b=25μmポリエチレン系シーラント2c=30μm 容器10の開口部11の幅9.0mm、長さ202mm、ヒートシール3の幅は一律3.5mm。
先ずカバーフィルム1の内面側に対してテアテープ2をあらかじめ第5図のように全面接着処理41(ヒートシール)した形態のシール材を作成した。
このシール材のカバーフィルム1の周縁を容器10のフランジ12面にヒートシールで接着処理3・4・4して第1図例の現像剤補給容器Cを作製した。又カバーフィルム1にはノッチ7を具備させた。
この補給容器の開封に要する力(テアテープ引張りによりカバーフィルムを引き裂く力)は0.3〜0.5kgであり、形成される開口5(第2・3図)の幅はテアテープ2の幅W2とほぼ同じであった。又100個の補給容器Cを作り、開封操作したがすべて良好な結果が得られた。
例−2 カバーフィルム1を下記の層構成の複合層材料とした以外は他は全て例1と同様にして第1図例の現像剤補給容器を作製した。
カバーフィルム1延伸ポリプロピレン層1a=20μmAl層1b=7μmポリエチレン系シーラント1c=30μm この現像剤補給容器の開封に要する力は0.3〜0.5kgであり、又形成される開口5の幅は例1よりはややばらついたもののたいした差はなく、実用上支障はなかった。
例−3 カバーフィルム1を下記の層構成の複合層材料とした以外は他は全て例1と同様にして第1図例の現像剤補給容器を作製した。
カバーフィルム1ポリエステル層1a=12μmポリエチレン系シーラント1c=30μm(層1bはなし)
この現像剤補給容器の開封に要する力は0.2〜0.4kgであり、又形成される開口5の幅はテアテープ2の幅とほぼ同じであった。ただし、このシールはカール性が著しく、作業がやりづらい場合がある。
例−4 カバーフィルム1として下記の層構成の複合層材料を用いた。
カバーフィルム1延伸発泡ポリプロピレン層1a=80μm(商品名:サニパール)
酢酸ビニルシーラント層1c=40μm(層1bはなし)
本例はこのカバーフィルム1をノッチ7なしで用いた以外は他は全て例1と同じにして第1図例の現像剤補給容器Cを作製した。この開封に要する力は0.3kg以下であり、又形成される開口5の幅はテアテープ2の幅とほぼ同じであった。このシールはノッチなしできれいに開口した。その他の点でも例1と同様良好な結果が得られた。
例−5 例4に用いたカバーフィルム1をノッチ7を入れずに使用した以外は例5と同じである。このシールの開封に要する力は0.3kg以下であり、形成される開口5の幅もテアテープ2の幅とほぼ同じであった。このシールでは、ノッチなしでしかも端部接着4・4のみできれいに裂けた。
例−6 第7図例の円筒系の現像剤補給容器Cについてシールの構成は例1と同じであるが、テアテープ2の幅W2を5mmとした。その他の条件は例1と同じである。このシールの開封に要する力は0.3〜0.5kgであり、形成される開口(5)の幅はテアテープ2の幅W2とほぼ同じであった。
以上の例1〜6の各例において、 環境・物理テストとして振動テスト、減圧テスト、落下テスト、高温高湿放置テストについて、各条件ごとにサンプル現像剤補給容器を10ヶずつ用いて行なった。
振動テストは振動試験紙を用いて加速度1Gで振動数は10〜100HZを2.5分周期で変化させながら、x、y、z方向について各々1時間ずつ行なった(JIS−Z0232準拠)。
減圧テストは、−30cmHg下に30分放置を2回くり返し行った。
落下テストは、常温、−20℃、+45℃の2種の環境でそれぞれ行い、サンプル容器装置は所定の梱包を行ったうえで上記の環境下に24時間以上放置したのち落下テストに供した。落下高さは90cm、落下面はコンクリートし、1角3陵6面の順で計10回落下を行った(JIS−Z−0202準拠)。
高温高湿放置テストは、サンプル容器を45℃/85RH%の環境下に1週間放置を行った。
上記の条件にて各種テストを行ったが、いずれのテストにおいてもカバーフィルム1・テアテープ2の浮き、はがれ、現像剤のもの等の異常は全く認められなかった。
比較例−1 例1に用いたカバーフィルム1とテアテープ2をあらかじめヒートシールで接着41せずに、一度に容器本体10にヒートシール3・4・4して第4図例のような現像剤補給容器Cを作製した。この場合、カバーフィルム1とテアテープ2は2ヶ所の端部でのみ接着4・4している。残りの条件は例1と同じである。開封に要する力は0.4〜1.4kgとかなり不安定であり、又、形成される開口5の幅も6〜9mmとばらついた。
比較例−2 前述第9図の従来の現像剤補給容器Cにおいて、シール部材13として下記の複合層材料を用い、例1と同じ容器10に同じ条件でヒートシール接着処理(イージーピール)14した。
シール部材13:幅16.5mm、長さ500mm延伸ポリプロピレン層=30μmナイロン層=15μmポリエチレン系シーラント=55μm このシールの把持部13Bを引いてシール部材13を容器10との接着部14の抗力に抗して引き剥し開封するに要する力は1.1〜1.8kgであった。本例において100個の容器を作ったところ、いくつかはシールの途中切れによりトナーが供給されないというトラブルが生じた。又シールの引き剥がし時に接着剤の細片がトナーに混入して白スジが出るというトラブルも生じた。
環境・物流テストについても前記テストと同一条件で、サンプル容器各10ヶずつテストを行った。
振動テストでは異常がなかった。減圧テストではシール部材の浮きが10本中3本で発生したが、現像剤のもれはなかった。落下テストは、常温及び+45℃の場合には異常がなかったが、−20℃の場合にはシール部材13のはがれ、及び現像剤のわずかなもれが10本中2本で発生した。高温・高湿テストではシール部材の浮きが10本中3本で発生したが、現像剤のもれは発生しなかった。
(発明の効果)
以上のように本発明によれば、引き裂きテープ使用タイプの現像剤補給容器について、シーラント層1cを有する封止フィルム1(カバーフィルム)のシーラント層1c上に封止フィルム1と面する側とは反対側の面にシーラント層2cを有する引き裂きテープ2(テアテープ)を接着41し、封止フィルム1のシーラント層1cと引き裂きテープ2のシーラント層2cとにより、引き裂きテープ2が接着された封止フィルム1を容器10に対して熱溶着3・4・4することで開口部11を封塞した特徴構成により、簡単に容器開口部11を封塞することができて製造工程を簡易化でき、更に封止フィルム1のシーラント1cと引き裂きテープ2のシーラント2cにより熱溶着3・4・4の際に引き裂きテープ2の厚みによる封止フィルム1の段差部の隙間が埋まり密封性が確保されて現像剤の隙間漏れの発生が防止される。
【図面の簡単な説明】
第1図は一実施例の現像剤補給容器の一部切欠き斜視図、第2図は開封途中状態の斜視図、第3図は完全に開封された状態の斜視図、第4図はテアテープをカバーフィルムに対して該フィルムの両端側2ヶ所で接着した形態のカートリッジの一部切欠き斜面図、第5図はカバーフィルムに対してテアテープを予め全面的に接着したシール材の平面図、第6図はカバーフィルムとテアテープの層構成模形図、第7図は円筒形の現像剤補給容器についての一実施例の一部切欠き斜視図、第8図は開封された状態時の拡大横断面図、第9図(A)は従来の現像剤補給容器の一部切欠き斜面図、同図(B)は現像装置本体側の装着部にセットされ、開封される前状態の縦断面図、第10図は従来の円筒形の現像剤補給容器の分解斜視図である。
10は容器本体、1はカバーフィルム(封止フィルム)、1cはシーラント層、2はテアテープ(引き裂きテープ)、2a・2cはシーラント層、2Aはテアテープの延長折り返し部分、2Bは把持部、3・4・41は接着部、tは現像剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】現像剤を収容し開口部を有する容器と、開口部周囲に接着され開口部を覆う封止フィルムと、この封止フィルムの内面に開口部の長手方向に沿って固着され一端が封止フィルムより延長して把手部を形成する引き裂きテープと、を有し、引き裂きテープを引くことにより封止フィルムが実質的に引き裂きテープの巾に破断される現像剤補給容器において、シーラント層を有する封止フィルムのシーラント層上に封止フィルムと面する側とは反対側の面にシーラント層を有する引き裂きテープを接着し、封止フィルムのシーラント層と引き裂きテープのシーラント層とにより、引き裂きテープが接着された封止フィルムを容器に対して熱溶着することで開口部を封塞したことを特徴とする現像剤補給容器。
【請求項2】封止フィルムを容器に熱溶着するためのシーラント層は酢酸ビニル系であり、引き裂きテープを容器に熱溶着するためのシーラント層はポリエチレン系であることを特徴とする請求項1の現像剤補給容器。

【第1図】
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【第8図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第5図】
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【第6図】
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【第4図】
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【第7図】
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【第9図】
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【第10図】
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【特許番号】第2611312号
【登録日】平成9年(1997)2月27日
【発行日】平成9年(1997)5月21日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭63−49290
【出願日】昭和63年(1988)3月2日
【公開番号】特開平1−223485
【公開日】平成1年(1989)9月6日
【出願人】(999999999)キヤノン株式会社
【参考文献】
【文献】特開 昭56−21166(JP,A)
【文献】特開 昭53−46040(JP,A)
【文献】実開 昭62−35371(JP,U)