説明

現像装置

【発明の詳細な説明】
[発明の目的]
(産業上の利用分野)
本発明は電子写真装置や静電記録装置において静電潜像を可視化する現像装置に関し、更に詳しくは一成分現像剤によって高品位の画像を得ることができる現像装置に関する。
(従来の技術)
一成分現像剤を用いる現像方法の一つとして、加圧現像法(Impression Deveropment)が知られている。この方法は静電潜像と現像剤としてのトナー粒子もしくは現像剤保持部材とを実質的に零の相対周辺速度で接触させることを特徴としており、磁性材料が不要であるため装置の簡素化及び小型化が可能であるとともに、トナーのカラー化が容易である等多くの利点を有している。
上記加圧現像法においては現像剤保持部材を静電潜像に押圧もしくは接触させて現像を行うため現像剤保持部材として弾性及び導電性を有する現像ローラを用いることが必要となる。特に静電潜像保持体が剛体である場合はこれを傷つけるのを避けるため現像ローラを弾性体で構成することが必須条件となる。また周知の現像電極効果、バイアス効果を得るためには現像ローラ表面若しくは表面近傍に導電層を設け必要に応じてバイアス電圧を印加することが望ましい。更に、トナーへの電荷の付与は現像ローラとトナー層を形成するための現像剤層形成手段であるブレードとの摩擦帯電によりなされるため、前記現像ローラ表面は平滑であることが望ましい。
(発明が解決しようとする課題)
しかしながら、弾性体ローラ表面に導電層を設ける場合、弾性体ローラ表面の凹凸がそのまま導電層の表面に現れてしまうため現像ローラ表面が平滑にはならず、トナーへの電荷の付与が均一に行なえないため十分に電荷を付与されなかった箇所では濃度ムラやかぶり、トナー落ちといった現像不良を引き起こす原因となる。また、現像ローラ表面上に現われた凹凸が得られた画像上に模様となって現れることもあり、特にベタ画像においては顕著であった。
現像ローラ表面の凹凸の影響を受けずにトナーに均一な電荷の付与を行なうためには前記トナー層形成用のブレードの加重を大きくすることが考えられるが、現像ローラを回転させるためのトルクが増大し、モータが発熱したり、前記導電層にキズ等の破損が起こりやすく弾性体を導電性にしてバイアス電源との導通が保持されたとしても濃度ムラやかぶり傷の跡が画像に出力されてしまう。
また、前記トナーへの電荷の付与は現像ローラとブレードとの摩擦帯電によりなされるため、現像ローラとブレードとを一定的なニップ幅を確保しつつ接触させることが必要になる。
しかしながら、トナー薄層形成用のブレードをゴム弾性体または樹脂で構成した場合、現像ローラも弾性体で構成しているため、現像ローラ表面が粗れており又局部的に変形が生じているような場合、トナーに十分な電荷の付与を行なうためにはブレードの加圧力を高くして十分なニップ幅を確保しなければならず、このブレードにより加圧されていた現像ローラの領域に歪みが生じ、この歪みが画像上に白抜けや濃度ムラを引き起こす原因となったり、また、上述した場合と同様に現像ローラ回転用のトルクの増大を招くという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、現像剤保持部材表面の平滑性を確保できるとともに現像剤形成手段の現像剤保持部材に対する接触状態を適切にでき、回転用トルクの増大を招くことなく高品位の画像の現像を長時間に亘って行うことができる現像装置を提供することを目的とするものである。
[発明の構成]
(課題を解決するための手段)
請求項1記載の発明は、静電潜像が形成される静電潜像保持体に対向配置した弾性を有する現像剤保持部材と、この現像剤保持部材表面に現像剤層を帯電形成する弾性を有する現像剤層形成手段とを具備し、前記現像剤層を前記静電潜像保持体に接触させて静電潜像を現像する現像装置において、前記現像剤保持部材は、金属製の軸体のまわりに積層配置された弾性体層及び導電層を有し、前記現像剤の体積平均粒径をR,前記現像剤保持部材表面の十点粗さ平均値をSとするとき、S≦0.7×Rの関係を満すものである。
また、請求項2記載の発明は、静電潜像が形成される静電潜像保持体に対向配置した弾性を有する現像剤保持部材と、この現像剤保持部材表面に現像剤層を帯電形成する弾性を有する現像剤層形成手段とを具備し、前記現像剤層を前記静電潜像保持体に接触させて静電潜像を現像する現像装置において、前記現像剤保持部材は、金属製の軸体のまわりに積層配置された弾性体層及び導電層を有し、前記現像剤保持部材の硬度をA,前記現像剤形成手段の硬度をBとするとき、A/B<1.0の関係を満すものである。
(作 用)
請求項1記載の発明によれば、現像剤に対する現像剤保持部材表面の平滑性が十分に確保され、これにより現像剤に十分な電荷を付与することが可能となる。
また、請求項2記載の発明によれば、現像剤層形成手段の硬度が現像剤保持部材の硬度より大きいため、小さな押圧力で現像剤層を帯電形成することが可能となる。
(実施例)
以下に、本発明の実施例を説明する。
まず、現像装置の実施例を第1図乃至第5図を参照して説明する。
第1図に示す現像装置1は、現像に供すべき静電潜像が形成されている潜像保持体としての感光体ドラム2に近接して配置されている接触型一成分現像装置である。
この現像装置1は、前記感光体ドラム2に外周が接触する状態に配置された現像剤保持部材としての現像ローラ9をトナー容器12の下端隅部において回転可能に支持している。現像ローラ9には、現像剤層形成手段としてのブレード10と、トナー容器12内に備えたトナー供給ローラ11とが各々接触配置されている。
前記感光体ドラム2,現像ローラ9及びトナー供給ローラ11の回転方向は各々第1図に示す矢印方向となっており、各接触部において各々摩擦接触の状態になっている。尚、トナー供給ローラ11はトナー容器12内に収納されている一成分現像剤としての非磁性トナーTを現像ローラ9に供給するほか、現像に供されずに現像ローラ9上に残存している非磁性トナーTの一部を掻き落す機能も具備している。
前記現像ローラ9は、第1図,第2図に示すように、金属製のシャフト9aの周囲にゴム製で抵抗性の弾性体層9bを円筒状に被覆し、更にこの弾性体層9bの外周に導電層9cを被覆した2層の構成となっている。
前記ブレード10は、弾性を有する薄板製、例えばステンレス板製,リン青銅板製で支軸17aにより回動可能に支持された第1のブレードホルダ17に取付けられ、押圧ばね20の弾力により現像ローラ9の外周に押圧接触するようになっている。
即ち、ブレード10は、第1のブレードホルダ17,スペーサ18,第2のブレードホルダ19により保持されると共に、第3図に示すようにステンレス、もしくはリン青銅等の薄板バネ10aの先端部にゴム弾性体または樹脂からなる断面が半球形状のチップ10bを長手方向に配置し、その端部にウレタンフォームなどからなるシール材10cが貼られている。前記シール材10cは前記半球形状のチップ10bの高さよりも厚いシール材となっているため、前記半球形状のチップ10bが前記現像ローラ9に圧接されるとき非磁性トナーTの両端方向への移動を確実にシールすることができ、また薄板バネ10aの先端部を包むように構成されているため非磁性トナーTの搬送によるハガレを防止することができる長寿命で安定したシールが実現できる。
本実施例では薄板バネ10aに厚さ0.2mmのリン青銅板を使用し、チップ10bにJIS−A規格のゴム硬度50゜のシリコンゴムを半径1.5mmに成形したものを使用している。
また、本実施例のブレード10は薄板バネ10a上にチップ10bがマウントされているため、薄板バネ10aの弾性により容易にしかも確実にムラのないトナー層を形成することが可能である。
但し、現像ローラ9と前記チップ10bとの接線方向の精度は圧力ムラとなりトナー層や画像に影響を与えるため重要である。このため本実施例のブレード10においては第3図に示すようにチップ10bは薄板バネ10aの端部から距離d1だけ離れた位置から配置し、これにより成形や接着によって配置されるときの押え及び位置決めとして使用されることになり、薄板バネ10aの短手方向の配置構造、ひいては前述の現像ローラ9との接線方向の精度を向上させることができる。
尚、距離d1をあまり大きくとると非磁性トナーTの流れによる圧力により層形成状態不良となるため、0.5mm乃至5mm程度であれば良く、望ましくは0.5mm乃至2mm程度が最適である。本実施例では距離d1を0.2mmとしている。
前記押圧ばね20のばね定数は、ブレード10のばね定数より小さいため、ブレード10のチップ10bが磨耗してもほとんど押圧力の変化がなく、長期間安定したトナー層形成能力を維持することができる。本実施例では、ブレード10の現像ローラ9に対する押圧力は例えば約80(g/cm)に設定している。
尚、第1図中、14はトナー容器12内に設けた撹拌機、15は現像ローラ9に摺接させたリカバリーブレード(マイラーフィルム製)である。
ここで、前記感光体ドラム2、現像ローラ9の帯電状態について説明する。
本実施例では、表面電位が(−)550(V)の負帯電の感光体ドラム2を用いる反転現像を行うものであり、非磁性トナーTは負帯電となっている。
また、現像バイアス電源Eは、(−)220(V)の電圧を100KΩ乃至50MΩの保護抵抗r1を介して現像ローラ9の金属シャフト9aに給電するようになっている。
次に前記非磁性トナーTについて説明する。
ここで用いられる非磁性トナーTはエポキシ系樹脂にカーボン、帯電調整剤、ワックスを混練、分散し粉砕分球したものを使用した。この非磁性トナーTの体積平均粒径はコールタエレクトロニクス社製TA−II型コールタカウンタにより測定し、体積50%粒径の値を使用しており、11.5μmであった。
次に非磁性トナーTを使用して後述する現像ローラ9の表面粗さを変化させたときの画像の状態を確保する実験を行った。つまり現像ローラ9の表面粗さを5.0μmから1.0μmまで変化させてそのときの画像状態をレーザプリンタで確認したものである。実験結果を第8図に示す。このグラフから現像ローラ9の表面粗さが8.0μm以下のときには良好な画像を得ることができるのが確認された。また8.0μmより大きい場合にはハーフトーン画像上で濃度ムラが現われたり、特に9.0μm以上のときにはベタ部において鱗状の模様が現われた。またトナー落ちも著しく非磁性トナーTが十分な帯電を得ることができないのが原因である。従って、現像ローラ9は、8.0μm以下の表面粗さが必要となる。
次に、前記現像ローラ9について更に詳述する。
本実施例の現像ローラ9に要求される性能は、第一に導電性及び弾性を有することであり、これを満足する一番簡単な構成は金属製のシャフトと導電性ゴムローラという組合せであるが非磁性トナーTを現像ローラ9表面に圧接させつつ搬送するために表面の平滑性が必要となる。そのため、第3図に示されるように金属製のシャフト9aの周囲に弾性体層9bと導電層9cとの二層構成に配置した。
弾性体9bを選択する場合、導電性のものとそうでないものの2通りが考えられるが、前記導電層9cにハクリやキズが生じる場合も考慮して導電性のものの方が望ましい。また、前記弾性体層9bは前記ブレード10や感光体ドラム2と圧接されているため梱包時や長時間放置されることによるJISK6301に示される永久歪(%)も問題となり、10%を越えると画像に現像ローラ9の周期のムラが生じてしまうため前記弾性体層9bの圧縮歪(%)は10%以下、好ましくは5%以下としなければならない。前記ゴム硬度と永久歪(%)との関係は、一般にゴム硬度が大きいほど永久歪は小さくなるという傾向があるので材料と相互のバランスが重要となる。以上、弾性体層9bに要求される特性をクリアするものとして本実施例では導電性シリコンを選択したが、他にも導電性EPDMゴムや導電性ウレタンゴムなども要求される特性をクリアしておりこれらを用いることも可能である。
導電性シリコンから成る弾性体層9bは、JIS規格K6301のA型硬度計で25度乃至28度の硬度を有し外径は18mmである。また導電性シリコンの電気抵抗値は、弾性ローラを直径60mmのステンレス性ローラと接触幅が2mmになるように平行配置し、両ローラの金属シャフト間に100Vの電位差を設けた特に観測される電流を測定することにより算出した結果3.4×103Ω・cmであった。また永久歪はJISK6301に示される測定方法を用いて測定した結果1.8%であった。導電層9cは直接非磁性トナーTや感光体ドラム2に接触するため可塑剤、加硫剤、プロセスオイル等のしみだしにより非磁性トナーTや感光体ドラム2を汚染させないものでなければならない。また、感光体ドラム2やブレード10との摩擦による表面粗さのの変化を考慮すると5.0μm以下、望ましくは3.0μm以下であることが望ましい。
第4図、第5図は弾性体層9bに導電層9cを付けるための代表的方法を示したものである。第4図はスプレー41による塗布方法、第5図(a)は液状塗料収縮箱42内に浸すデイッピングによる方法、第5図(b)はナイフエッジ43を用いたナイフエッジによる方法である。それぞれの方法における燃料の粘度はスプレー法<ディピング法≦ナイフエッジ法となる。
本実施例では導電層9cはポリウレタン樹脂中に導電性カーボン微粒子を分散することにより103Ω・cmの導電性を付与したものを採用し、以下の工程により導電性シリコンから成る弾性体層9b表面に導電性ポリウレタン塗料を塗布し乾燥後、熱処理を行い形成した。
まず、導電性ポリウレタン塗料として大泰加工(株)社製の商品名“エレクトロパックZ279"を用いた。“エレクトロパックZ279"は熱可塑性ポリウレタンをベースにした溶液タイプの導電性ポリウレタン塗料である。この塗料を十分に撹拌したのち、溶剤で洗浄した弾性体層9bの表面にディッピング法を用いて塗布を行う。弾性体層9bの引き上げ速度は2.5mm/secとした。
塗布後、約30分間空気中にて乾燥し、その後100℃で20分間熱処理を施した。この結果、層厚約50μmの導電層9cが得られら。導電層9cの層厚は塗料の粘土とデイッピング法の引き上げ速度を変化させることにより10μm乃至100μmの範囲まで可能である。
以上の工程により、現像ローラ9はシャフト9aと導電層9cの間の抵抗値が5×103Ω・cm、ゴム硬度がJIS規格K6301のA型硬度計で36度の硬度を有するものを得ることができた。
また表面粗さは前述の通り画像状態や摩擦による変化を重視するため研磨により3.0μmとした。
また表面粗さは小坂研究所製の商品名“サーフコーダSE−40D"接触型表面粗さ計を用いて測定した十点粗さ平均値である。
前記接触型非磁性一成分型の現像装置1においてブレード10を線圧50g/cmで現像ローラ9に押圧し、現像ローラ9の周速を20mm/secから30mm/sec可変させ、現像ローラ9上に形成されるトナー薄層の帯電量及び搬送量を第6図6図、第7図に示す帯電量測定装置50を用いて現像ローラ9の10周分の値を測定した。帯電量の測定結果を第9図R>図に、搬送量の結果を第10図に示す。
尚、帯電量測定装置50は、吸引アタッチメント51、吸引機52及び微小電流計53を具備し、吸引機52を作動することにより吸引アタッチメント51が現像ローラ9の表面から非磁性トナーTを吸引する際の逃げ電荷を微小電流計53により測定するものである。
第7図は吸引アタッチメント51の開口部51aを示し、この開口部51aは、1(cm)×20(cm)の寸法となっている。
第9図、第10図から帯電量は現像ローラ9の周速が高くなるに従って増加することが確認され、その範囲は0.8μc/gから21.0μc/gであった。またこのときの搬送性は現像ローラ9の周速が高くなるに従って低下していくことが確認され、その範囲は0.8mg/cm2乃至0.4mg/cm2であった。
次に上記の条件により画像サンプリングを行ない実際の画像との相関を得た。結果を第11図及び第12図に示す。尚、このときの感光体ドラム2の表面電位は−500V、現像バイアスは−200Vに設定し、ベタ画像の先端の画像濃度、及び紙上かぶりについて測定した。
第11図から現像ローラ9の周速が95mm/s以上では画像濃度は飽和し、256mm/s以上ではベタ画像後端の画像濃度が低下していくことがわかる。これは非磁性トナーTの搬送量が0.2mg/cm2以下となった条件と一致する。つまりトナー搬送量不足が原因であると言える。
第12図から現像ローラ9の周速が31mm/s以下で紙上かぶりが増加し、20mm/sのときに急激に増加している。これは周速が低くなるにつれて帯電量も低下し非磁性トナーTに十分電荷を付与できなくなったことが原因である。
以上のことから、周速が25mm/sから256mm/sの間、言い替えれば現像ローラ9上の非磁性トナーTの帯電量が1μc/g以下、トナーの搬送量が0.2mg/cm2以上のときに良好な画像が得られることが確認された。
また同じく接触型非磁性一成分型の現像装置1を用いた現像ローラ9のシャフト9aと表面との間の抵抗値による特性の変化を確認するため、現像バイアス電源Eとシャフト9a間に任意の抵抗Rを介在させて現像実験を行い、現像ローラ9表面の電位と抵抗値及び画像との相関を得た。結果を第13図に示す。尚、このときの現像バイアス電源Eの電圧は−200Vである。
第13図から明らかなように、抵抗値107Ω以上の抵抗値において、白ベタ画像と黒ベタ画像の現像時では現像ローラ9の表面電位は違った値を示し、白ベタ画像では白地潜像電位に、黒ベタ画像では黒ベタ潜像電位に近づく傾向を示す。つまり大面積の画像部を有する画像では、画像部潜像電位と現像ローラ9表面電位との電位差が小さくなり濃度の薄い画像となり、反対に画像部の面積が小さい細線画像等の場合、現像ローラ9表面電位は白地部潜像電位に近づくため画像部との電位差が大きくなり細線が太ってしまい、メリハリのない画像となってしまう。
このような現像ローラ9の表面電位の変動は、現像時に上記抵抗R中を流れる電流によって生じている。黒ベタ現像時には負に帯電したトナー粒子が現像ローラ9から感光体ドラム2へ転移するため現像ローラ9から現像バイアス電源Eに向かう電流が流れる。白ベタ現像時には、感光体ドラム2の表面電荷が現像ローラ9によって除電され、現像バイアス電源Eから現像ローラ9へ向かう電流が流れる。
このような電流は抵抗両端に電位差を生じさせ上記のような現像ローラ9の表面電位の変動をもたらすものである。
この傾向は、1×108Ω以上で顕著であた。
すなわち、シャフト9aと導電層9cとの間の現実の抵抗値は1×108Ω以下、好ましくは、1×107Ω以下の時に良好な画像が得られることが確認された。第14図は抵抗Rの抵抗値による画質の変動を表わしたもので、このグラフから抵抗値が1×108Ω以下、画像濃度1.4かぶりが0.1%以下の画像が得られ、1×107Ωで画像濃度が飽和していることがわかる。
以上のことから、シャフト9aと導電層9cとの現実の抵抗値が1×107Ω以下の時に良好な画像が得られることが確認された。
尚、前記現像ローラ9の表面の平滑性とブレード10の硬度とを考慮すると、現像ローラ9の表面の平滑度について3μmRZ以下が望ましく、それ以上になると表面の凹凸の模様が画像に現れやすくなる。平滑度3μmRZを実現するためには前記弾性体層9bに十分膜厚の大きい導電層9cを付けた後、後加工(研磨)により所定の外径、表面粗さに仕上げるということが考えられるが、コストが高くなるため後加工なしで実現するために前記弾性体9bの表面粗さと導電層9cの膜厚とその塗料の粘土を最適に選択しなければならない。
この場合の導電層9cの形成方法としてはやはり既述したスプレー法、デイッピング法及びナイフエッジ法があるが、前記表面の平滑度3μmRZを実現するために必要な塗料の膜厚K(μm)は、弾性体9bの表面粗さをS(μmRZ)とすればスプレー法においてはK≧10×S、デイッピング法及びナイフエッジ法においてはK≧5×Sを満足すれば可能となる。
本実施例では導電層9cはポリウレタン樹脂中に導電性カーボン微粒子を分散することにより103Ω・cmの導電性を付与したものを採用し、以下の工程により導電性シリコンから成る弾性体層9b表面に導電性ポリウレタン塗料を塗布し乾燥後、熱処理を行い形成した。
まず、導電性ポリウレタン塗料として日本ミラクトロン(株)社製の商品名“スパレックスDH20Z313"を用い、これにメチルエチルケトン(MEK)とテトラヒドロフラン(THF)を1:1の割合で混合した希釈溶剤を等量添加する。“スパレックスDH20Z313"は熱可塑性ポリウレタンをベースにした溶液タイプの導電性ポリウレタン塗料である。この希釈された塗料を十分に撹拌したのち、溶剤で洗浄した弾性体層9bの表面にデイッピング法を用いて塗布を行う。弾性体層9bの引き上げ速度は3.5mm/secとした。塗布後、約30分間空気柱でにて乾燥し、その後100℃で20分間熱処理を施した。この結果、層厚約50μmの導電層9cが得られた。導電層9cの層厚は塗料の粘度、及びデイッピング法の引き上げ速度を変化させることにより10μm乃至100μmの範囲まで可能である。以上の工程により現像ローラ9は、シャフト9aと導電層9cの間の抵抗値が5×103Ω・cm、ゴム硬度がJIS規格K6301のA型硬度計で30度の硬度を有し、表面粗さが3μmRZのものを得ることができた。
第15図は、前記現像ローラ9及びブレード10を用いて、ブレード10のチップ10bの硬度を変化させた場合の画像への影響を示すものである。
すなわちチップ10bのJIS−A規格のゴム硬度を20度から40度まで変化させ、そのときの画像の状態をレーザプリンタにより確認したものである。尚、現像ローラ9のゴム硬度は前述の通り30度である。
このグラフからブレード10のチップ10bのゴム硬度が30度以下のときに、画像上でセンターとリヤで濃度の変化が見られたり、またベタ画像の濃度低下が見られたりした。これは現像ローラ9よりチップ10bのゴム硬度が低いため、トナー帯電量の低下や、位置によって帯電量が違うためが原因であると考えられる。つまり良好な画像を得るためには本実施例においては31度以上、つまり現像ローラ9によりブレード10のチップ10bのゴム硬度が大きいことが必要であると言える。
第16図は、本実施例装置1と別の現像装置と白抜け画像発生個所の比較を示すものである。
同図から明らかなように、実施例装置1では1日から3週間と経過しても白抜け画像が発生しないのに対し、別の装置では、放置期間が長くなるにつれて白抜け画像の発生個所が激増しており、これにより、本実施例装置1による現像画像が高品位なものであることが判る。
本発明は、上述した実施例のほか種々の変形が可能である。
[発明の効果]
以上詳述した本発明によれば以下の効果を層する。
請求項1の発明によれば、現像剤保持部材表面の平滑性を十分に確保することができ、現像剤に十分な電荷を与えることが可能となって、濃度ムラやかぶり、トナー落ち等の不良画像を現像することのない現像装置を提供することができる。
請求項2記載の発明によれば、現像剤層形成手段と現像剤保持部材との硬度の関係が適切になり、回転トルクの増大を招くことがなく、かつ、安定した高品位の現像画像を得ることができる現像装置を提供することかできる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明における現像器の一実施例を示す断面図、第2図は本実施例における現像ローラの斜視断面図、第3図は本発明における現像装置の一実施例のブレードの斜視図、第4図及び第5図(a),(b)は各々現像ローラの導電層形成方法を示す説明図、第6図は帯電量測定装置の側面図、第7図は同装置の吸引アタッチメントの斜視図、第8図は現像ローラ表面粗さと画像の相関を示すグラフ、第9図は本実施例の現像ローラ周速とトナー帯電量の相関を示すグラフ、第10図は本実施例の現像ローラ周速とトナー搬送量の相関を示すグラフ、第11図は本実施例の現像ローラ周速と画像濃度の相関を示すグラフ、第12図は本実施例の現像ローラ周速と紙上かぶりの相関を示すグラフ、第13図は本実施例の現像ローラ表面の電位と抵抗値及び画像の相関を示すグラフ、第14図は本発明における現像装置の一実施例の現像ローラ表面抵抗値と画像濃度の関係を示すグラフ、第15図はブレードのチップのゴム硬度と画像状態の相関を示すグラフ、第16図は放置期間と白抜け発生個所との相関を示すグラフである。
1……現像装置、2……感光体ドラム、
9……現像ローラ、9a……シャフト、
9b……弾性体層、9c……導電層、
10……ブレード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】静電潜像が形成される静電潜像保持体に対向配置した弾性を有する現像剤保持部材と、この現像剤保持部材表面に現像剤層を帯電形成する弾性を有する現像剤層形成手段とを具備し、前記現像剤層を前記静電潜像保持体に接触させて静電潜像を現像する現像装置において、前記現像剤保持部材は、金属製の軸体のまわりに積層配置された弾性体層及び導電層を有し、前記現像剤の体積平均粒径をR,前記現像剤保持部材表面の十点粗さ平均値をSとするとき、S≦0.7×Rの関係を満すことを特徴とする現像装置。
【請求項2】静電潜像が形成される静電潜像保持体に対向配置した弾性を有する現像剤保持部材と、この現像剤保持部材表面に現像剤層を帯電形成する弾性を有する現像剤層形成手段とを具備し、前記現像剤層を前記静電潜像保持体に接触させて静電潜像を現像する現像装置において、前記現像剤保持部材は、金属製の軸体のまわりに積層配置された弾性体層及び導電層を有し、前記現像剤保持部材の硬度をA,前記現像剤形成手段の硬度をBとするとき、A/B<1.0の関係を満すことを特徴とする現像装置。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第4図】
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【第5図】
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【第6図】
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【第7図】
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【第8図】
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【第9図】
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【第10図】
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【第11図】
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【第12図】
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【第13図】
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【第14図】
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【第15図】
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【第16図】
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【特許番号】第2993996号
【登録日】平成11年(1999)10月22日
【発行日】平成11年(1999)12月27日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平2−72807
【出願日】平成2年(1990)3月22日
【公開番号】特開平3−273271
【公開日】平成3年(1991)12月4日
【審査請求日】平成9年(1997)3月7日
【出願人】(999999999)株式会社東芝
【出願人】(999999999)東芝テック株式会社
【参考文献】
【文献】特開 昭58−214176(JP,A)
【文献】特開 平2−74969(JP,A)