説明

現場機器確認装置

【課題】現場機器の誤操作防止を確実に図れる現場機器確認装置を提供する。
【解決手段】現場機器確認装置は、機器用取付台座40に表示板用タブレット10および機器用タブレット20が共に取り付けられたときに現場機器1の電磁錠2に電流Iを流すためのスイッチ手段として、表示板用タブレット10に形成された確認用ピン貫通孔と、機器用タブレット20に形成された確認用ピン貫通孔と、機器用取付台座40に第1および第2の引張バネ451,452でそれぞれ支持されるとともに機器用取付台座40に形成された第1および第2の貫通孔431,432をそれぞれ貫通する第1および第2の確認用ピン441,442と、現場機器1に内蔵されたかつ直列接続された第1および第2のスイッチ511,512とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚のタブレットを照合させて現場機器(現場でしか操作できない機器)が操作すべき機器か否かを確認するのに好適な現場機器確認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力会社では、電気所(変電所、発電所および開閉所)の現場機器(オフライン機器)の状態(たとえば、断路器(LS)の入/切や遮断器(CB)の押入れ/引出し)は制御所では把握できていないため、制御所の監視員は、電気所の操作員からの操作連絡を受けて、模擬的に制御所画面で現場機器の状態を現状に合わせている。
【0003】
また、制御所からの現場機器に対する操作指令は制御所の監視員と電気所の操作員との間で音声のみでやり取りしているため、指令した現場機器を電気所の操作員が実際に操作しているか制御所の監視員は分からないという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、本出願人は、下記の特許文献1において、現場機器を改造することなく操作員の誤認を未然に防止するために、電気所の所内結線表示板に取り付ける表示板用タブレットと現場機器に取り付ける機器用タブレットとの2枚1組を用いて、所内結線表示板の該当する対象機器マークの位置に取り付けられている表示板用タブレットを外したのち、この表示板用タブレットを裏返すと、操作対象の現場機器についてはその取付台座に既に取り付けられている機器用タブレットに重ねて取り付けることができるが、操作対象外の現場機器については機器用タブレットに重ねて取り付けることができないようにすることで、操作対象の現場機器を確認するようにした、タブレットを用いた機器誤認操作防止方法を提案している。
【0005】
また、本出願人は、下記の特許文献2において、タブレットが電気所の現場機器または所内結線表示板に垂直に取り付けられている状態で強風または振動があっても脱落しないようにするために、タブレットに設けた複数の挿通孔と嵌り合うように各取付台座に配置した複数本のピンを、突出部が出没自在になる抜け止め構造とした、機器誤認操作防止用タブレットの脱落防止構造を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−118794号公報
【特許文献2】特開2008−116726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、表示板用タブレットと機器用タブレットとを照合させることにより操作員が操作対象の現場機器を確実に判断でき誤操作防止に繋がっているが、人(操作員)による照合確認のために、たとえば操作員のタブレット照合忘れを完全になくすことができず、このような場合にはタブレットの機能が発揮されないという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、現場機器の誤操作防止を確実に図ることができる現場機器確認装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の現場機器確認装置は、現場機器(1)を操作するときに、複数の表示板側挿通孔(131,132)が形成された板状の表示板用タブレット(10)と複数の機器側挿通孔(231,232)が形成されたかつ該表示板用タブレットと同一形状および同一寸法の板状の機器用タブレット(20)とを照合させて、該現場機器が操作すべき機器か否かを確認するのに使用するための現場機器確認装置であって、前記複数の機器側挿通孔が、前記表示板用タブレットを裏返して前記機器用タブレットに重ねると前記複数の表示板側挿通孔と重なる位置に形成されており、前記現場機器確認装置が、前記現場機器に固定されたかつ複数の機器側取付ピン(421,422)が垂設された機器用取付台座(40)に該複数の機器側取付ピンを前記複数の機器側挿通孔にそれぞれ挿通させて前記機器用タブレットが取り付けられているときに、前記表示板用タブレットを裏返して前記複数の機器側取付ピンを前記複数の表示板側挿通孔にそれぞれ挿通させて前記機器用取付台座に該表示板用タブレットが取り付けられると電流(I)を流すためのスイッチ手段(14,24,431,432,441,442,451,452,511,512)を具備することを特徴とする。
ここで、前記表示板用タブレットが、現場に設置された表示板(3)に固定されたかつ複数の表示板側取付ピン(321,322)が垂設された表示板用取付台座(30)に、該複数の表示板側取付ピンを前記複数の表示板側挿通孔にそれぞれ挿通させて前記現場機器の状態に応じて表または裏を手前として取り付けられ、前記機器用タブレットが、前記複数の機器側取付ピンを前記複数の機器側挿通孔にそれぞれ挿通させて前記現場機器の状態に応じて表または裏を手前として前記機器用取付台座に取り付けられ、前記スイッチ手段が、前記現場機器に内蔵されたかつ直列接続された第1および第2のスイッチ(511,512)と、前記機器用タブレットを前記機器用取付台座に取り付けたときに前記第1および第2のスイッチの一方のスイッチを閉じさせるとともに該機器用タブレットを該機器用取付台座から取り外したときに該一方のスイッチを開放させる第1のスイッチ開閉手段(24,431,441,451)と、前記表示板用タブレットを前記機器用取付台座に取り付けたときに前記第1および第2のスイッチの他方のスイッチを閉じさせるとともに該表示板用タブレットを該機器用取付台座から取り外したときに該他方のスイッチを開放させる第2のスイッチ開閉手段(14,432,442,452)とを備えてもよい。
前記第1のスイッチ開閉手段が、前記機器用タブレットに形成された機器側確認用ピン貫通孔(24)と、前記機器用取付台を貫通するとともに該機器用取付台座の表面に対して垂直方向に移動可能に設けられた、かつ、前記機器用タブレットを前記機器用取付台座に取り付けたときに先端部が該機器用タブレットに押されて末端部で前記一方のスイッチを押して該一方のスイッチを閉じさせるための第1の確認用ピン(441)とを備え、前記第2のスイッチ開閉手段が、前記表示板用タブレットに形成された表示板側確認用ピン貫通孔(14)と、前記機器用取付台を貫通するとともに該機器用取付台座の表面に対して垂直方向に移動可能に設けられた、かつ、前記表示板用タブレットを前記機器用取付台座に取り付けたときに先端部が該表示板用タブレットに押されて末端部で前記他方のスイッチを押して該他方のスイッチを閉じさせるための第2の確認用ピン(442)とを備えてもよい。
前記第1および第2の確認用ピンの長さが同じであり、前記第1および第2のスイッチが、オン状態のストロークが長いスイッチであってもよい。
前記表示板側確認用ピン貫通孔および前記機器側確認用ピン貫通孔が、前記表示板用タブレットと前記機器用タブレットとを重ね合わせたときに重なり合うように該表示板用タブレットおよび前記機器用タブレットにそれぞれ形成されていてもよい。
前記第1の確認用ピンが、該第1の確認用ピンの末端部の外周面に第1の引張バネ(451)が巻かれ、該第1の引張バネの一端が前記機器用取付台座の裏面に固定されるとともに、該第1の引張バネの他端が該第1の確認用ピンの末端に固定されることにより、該第1の引張バネによって支持されており、前記第2の確認用ピンが、該第2の確認用ピンの末端部の外周面に第2の引張バネ(452)が巻かれ、該第2の引張バネの一端が前記機器用取付台座の裏面に固定されるとともに、該第2の引張バネの他端が該第2の確認用ピンの末端に固定されることにより、該第2の引張バネによって支持されていてもよい。
前記電流が流れたときにのみ前記現場機器を操作できるようにするための現場機器操作許可手段(2)をさらに具備してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の現場機器確認装置は、以下の効果を奏する。
(1)表示板用タブレットおよび機器用タブレットが共に取り付けられたときに電流を流すためのスイッチ手段を具備することにより、この電流が流れない限り現場機器の操作ができない条件を作ることができるため、現場機器の誤操作防止を確実に図ることができる。
(2)現場機器の誤操作防止を確実に図ることができるため、操作員による短絡行為の防止、タブレット照合失念および単独操作を防止することができる。
(3)断路器などではインターロック条件として、この電流が流れたことを付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例による現場機器確認装置が備える表示板用タブレット10および機器用タブレット20の構成を示す図であり、(a)は表示板用タブレット10の斜視図であり、(b)表示板用タブレット10の右側面図であり、(c)は機器用タブレット20の斜視図であり、(d)は機器用タブレット20の右側面図である。
【図2】本発明の一実施例による現場機器確認装置の動作原理を説明するための図であり、(a)は現場機器1の機器用取付台座40の部分の構成を示す上面図であり、(b)は機器用取付台座40に機器用タブレット20を取り付けた状態を示す上面図であり、(c)は機器用タブレット20に重ねて表示板用タブレット10を取り付けた状態を示す上面図であり、(d)は機器用取付台座40に表示板用タブレット10を取り付けた状態を示す上面図である。
【図3】図1(a),(b)に示した表示板用タブレット10の所内結線表示板3への取付方法について説明するための図である。
【図4】図1(c),(d)に示した機器用タブレット20の現場機器1への取付方法について説明するための図である。
【図5】本発明の一実施例による現場機器確認装置を用いて現場機器1を入状態から切状態に変えるときの操作員の作業手順について説明するための図である。
【図6】本発明の一実施例による現場機器確認装置を用いて現場機器1を入状態から切状態に変えるときの操作員の作業手順について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記の目的を、現場機器に固定された機器用取付台座に表示板用タブレットおよび機器用タブレットが共に取り付けられたときにのみ、直列接続された第1および第2のスイッチを共に閉じて電流が流れるようにすることにより実現した。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の現場機器確認装置の実施例について図面を参照して説明する。
なお、説明の簡単のため、通常運転時は入状態とされている現場機器1が1個だけ電気所に設置されている場合を例として説明する。
【0014】
本発明の一実施例による現場機器確認装置は、図1(a),(b)に示す表示板用タブレット10と、同図(c),(d)に示す機器用タブレット20と、図2(a)に示す現場機器1に内蔵された第1および第2のスイッチ511,512とを具備する。
【0015】
表示板用タブレット10は、図1(a),(b)に示すように、直方体形状の表側本体11と、表側本体11と背中合わせに貼り付けられた、かつ、表側本体11と同一形状・同一寸法の裏側本体12と、表側本体11の表面から裏側本体12の表面まで貫通された第1および第2の挿通孔131,132と、表側本体11の表面から裏側本体12の表面まで貫通された確認用ピン貫通孔14とを備える。
機器用タブレット20は、図1(c),(d)に示すように、直方体形状の表側本体21と、表側本体21と背中合わせに貼り付けられた、かつ、表側本体21と同一形状・同一寸法の裏側本体22と、表側本体21の表面から裏側本体22の表面まで貫通された第1および第2の挿通孔231,232と、表側本体21の表面から裏側本体22の表面まで貫通された確認用ピン貫通孔24とを備える。
【0016】
ここで、表示板用タブレット10および機器用タブレット20では、その表裏を明確にするために、表側本体11,21と裏側本体12,22とが色分けされている。また、表示板用タブレット10および機器用タブレット20は同一形状・同一寸法であるので、両者を区別するために、表示板用タブレット10の表側本体11と機器用タブレット20の表側本体21とが色分けされているとともに、表示板用タブレット10の裏側本体12と機器用タブレット20の裏側本体22とが色分けされている。
すなわち、図1(a)にかっこ書で示すように、表示板用タブレット10の表側本体11は赤色に塗られており、表示板用タブレット10の裏側本体12は緑色に塗られている。また、図1(c)にかっこ書で示すように、表示板用タブレット10とは逆に、機器用タブレット20の表側本体21は緑色に塗られており、機器用タブレット20の裏側本体22は赤色に塗られている。
【0017】
表示板用タブレット10の第1および第2の挿通孔131,132と機器用タブレット20の第1および第2の挿通孔231,232とは、表側本体11,21および裏側本体12,21の表面に対して垂直に形成されている点では同じであるが、現場手動操作の誤りを防止するために、機器用タブレット20の第1および第2の挿通孔231,232が表示板用タブレット10を裏返して機器用タブレット20に重ねると表示板用タブレット10の第1および第2の挿通孔131,132と重なる位置に形成されている点で異なる。
すなわち、表示板用タブレット10の第1および第2の挿通孔131,132については、表側本体11から見ると、第1の挿通孔131は表側本体11の左上部に形成されており、第2の挿通孔132は第1の挿通孔131の右斜め下に形成されているのに対して、機器用タブレット20の第1および第2の挿通孔231,232については、表側本体21から見ると、第1の挿通孔231は表側本体21の右上部に形成されており、第2の挿通孔232は第1の挿通孔231の左斜め下に形成されている。
【0018】
表示板用タブレット10の確認用ピン貫通孔14と機器用タブレット20の確認用ピン貫通孔24とは、表示板用タブレット10と機器用タブレット20とを重ね合わせると重なり合うように形成されている。
この例では、表示板用タブレット10の確認用ピン貫通孔14は、表側本体11から見ると表側本体11の中央部の第1の挿通孔131の右斜め下に形成されており、機器用タブレット20の確認用ピン貫通孔24は、表側本体21から見ると表側本体21の中央部の第2の挿通孔232の左斜め下に形成されている。
【0019】
表示板用タブレット10は、通常運転時は、電気所の配電盤室内に設置された所内結線表示板3に取り付けられている。
そのため、図3(a)に示すように、所内結線表示板3の現場機器1の設置個所を示す部分には、表示板用タブレット10を取り付けるための表示板用取付台座30が設けられている。
【0020】
表示板用取付台座30は、表示板用タブレット10の表側本体11と略同一形状の本体31と、本体31の表面に垂設された第1および第2の取付ピン321,322とを備える。
ここで、第1および第2の取付ピン321,322は、現場機器1は通常運転時には入状態とされているので、図3(b)に示すように表側本体11が手前になるようにしか表示板用タブレット10を所内結線表示板3に取り付けることができなくするために、本体31の表示板用タブレット10の第1および第2の挿通孔131,132(図1(a)参照)に対応する位置に垂設されている。
すなわち、表示板用タブレット10の表側本体11が手前になるように表示板用タブレット10を表示板用取付台座30に重ねると、表示板用タブレット10の第1および第2の挿通孔131,132に表示板用取付台座30の第1および第2の取付ピン321,322を挿通できるため、操作員は表示板用タブレット10を表示板用取付台座30に取り付けることができる。
これに対して、表示板用タブレット10の裏側本体12が手前になるように表示板用タブレット10を表示板用取付台座30に重ねようとすると、表示板用タブレット10の第1および第2の挿通孔131,132に表示板用取付台座30の第1および第2の取付ピン321,322を挿通できないため、操作員は表示板用タブレット10を表示板用取付台座30に取り付けることができない。
【0021】
したがって、機器用タブレット20については、表裏を逆にすると、機器用タブレット20の第1および第2の挿通孔231,232と表示板用タブレット10の第1および第2の挿通孔131,132とが重なるため、裏側本体21が手前になるようにしか機器用タブレット20を表示板用取付台座30に取り付けることができない。
すなわち、機器用タブレット20の表側本体21が手前になるように機器用タブレット20を表示板用取付台座30に重ねると、機器用タブレット20の第1および第2の挿通孔231,232に表示板用取付台座30の第1および第2の取付ピン321,322を挿通できないため、操作員は機器用タブレット20を表示板用取付台座30に取り付けることができない。
これに対して、機器用タブレット20の裏側本体22が手前になるように機器用タブレット20を表示板用取付台座30に重ねると、機器用タブレット20の第1および第2の挿通孔231,232に表示板用取付台座3の第1および第2の取付ピン321,322を挿通できるため、操作員は機器用タブレット20を表示板用取付台座30に取り付けることができる。
【0022】
現場機器1には、図4(a)に示すように機器用取付台座40が取り付けられている。
【0023】
機器用取付台座40は、機器用タブレット20の表側本体21と略同一形状の本体41と、本体41の表面に垂設された第1および第2の取付ピン421,422とを備える。
【0024】
ここで、第1および第2の取付ピン421,422の長さは、表示板用タブレット10と機器用タブレット20とを重ねて取り付けることができる長さとされている。
【0025】
また、第1および第2の取付ピン421,422は、現場機器1は通常運転時には入状態とされているので、図4(b)に示すように表側本体21が手前になるようにしか機器用タブレット20を機器用取付台座40に取り付けることができなくするために、本体41の機器用タブレット20の第1および第2の挿通孔231,232(図1(c)参照)に対応する位置に垂設されている。
すなわち、機器用タブレット20の表側本体21が手前になるように機器用タブレット20を機器用取付台座40に重ねると、機器用取付台座40の第1および第2の取付ピン421,422と機器用タブレット20の第1および第2の挿通孔231,232とが重なるため、操作員は機器用タブレット20を機器用取付台座40に取り付けることができる。
これに対して、機器用タブレット20の裏側本体22が手前になるように機器用タブレット20を機器用取付台座40に重ねると、機器用取付台座40の第1および第2の取付ピン421,422と機器用タブレット20の第1および第2の挿通孔231,232とは重ならないため、操作員は機器用タブレット20を機器用取付台座40に取り付けることができない。
【0026】
したがって、表示板用タブレット10については、表裏を逆にすると、表示板用タブレット10の第1および第2の挿通孔131,132と機器用タブレット20の第1および第2の挿通孔231,232とが重なるため、裏側本体11が手前になるようにしか表示板用タブレット10を機器用取付台座40に取り付けることができない。
すなわち、表示板用タブレット10の表側本体11が手前になるように表示板用タブレット10を機器用取付台座40に重ねると、表示板用タブレット10の第1および第2の挿通孔131,132に機器用取付台座40の第1および第2の取付ピン421,422を挿通できないため、操作員は表示板用タブレット10を機器用取付台座40に取り付けることができない。
これに対して、表示板用タブレット10の裏側本体12が手前になるように表示板用タブレット10を機器用取付台座40に重ねると、表示板用タブレット10の第1および第2の挿通孔131,132に機器用取付台座40の第1および第2の取付ピン421,422を挿通できるため、操作員は表示板用タブレット10を機器用取付台座40に取り付けることができる。
【0027】
機器用取付台40には、同じ長さの第1および第2の確認用ピン441,442が第1および第2の貫通孔431,432を貫通して機器用取付台40の表面に対して垂直に移動可能に設けられている。
ここで、第1の確認用ピン441は、図2(d)に示すように表示板用タブレット10を機器用取付台座40に取り付けた際に表示板用タブレット10の確認用ピン貫通孔14を貫通させる位置に設けられている。
また、第2の確認用ピン442は、図2(b)に示すように機器用タブレット20を機器用取付台座40に取り付けた際に機器用タブレット20の確認用ピン貫通孔24を貫通させる位置に設けられている。
【0028】
第1の確認用ピン441の末端部の外周面には第1の引張バネ451が巻かれており、第1の引張バネ451の一端が機器用取付台40の裏面に固定されるとともに第1の引張バネ451の他端が第1の確認用ピン441の末端に固定されることにより、第1の確認用ピン441は第1の引張バネ451によって支持されている。
同様に、第2の確認用ピン442の末端部の外周面には第2の引張バネ452が巻かれており、第2の引張バネ452の一端が機器用取付台40の裏面に固定されるとともに第2の引張バネ452の他端が第2の確認用ピン442の末端に固定されることにより、第2の確認用ピン442は第2の引張バネ452によって支持されている。
【0029】
第1および第2のスイッチ511,512は図2(a)に示すように直列接続されており、第1および第2のスイッチ511,512が共に閉じると、図2(c)に示すように現場機器1に取り付けられた電磁錠2(現場機器操作許可手段)に電流Iが流れて、電磁錠2が解錠されるようにされている。
なお、電流Iの電源としては、現場機器1で使用されている制御用直流100V電源(DC100V)や商用電圧(AC100V)などを使用することができる。
【0030】
第1のスイッチ511は、図2(b)に示すように、現場機器1に固定された機器用取付台座40に機器用タブレット20を裏側本体22(網掛で図示)が機器用取付台座40側になるように取り付けたときに、第1の確認用ピン441の先端部が機器用タブレット20の裏側本体22によって押されて第1の確認用ピン441の末端部が第1の引張バネ451の付勢力に抗して第1のスイッチ511に向かって移動して第1のスイッチ511の接点が閉じられる位置に設けられている。
また、第2のスイッチ512は、図2(c),(d)に示すように、機器用取付台座40に表示板用タブレット10を裏側本体12(網掛で図示)が機器用取付台座40と反対側になるように取り付けたときに、第2の確認用ピン442の先端部が表示用タブレット10の表側本体11によって押されて第2の確認用ピン442の末端部が第2の引張バネ452の付勢力に抗して第2のスイッチ512に向かって移動して第2のスイッチ512の接点が閉じられる位置に設けられている。
さらに、図2(c)に示すように機器用取付台座40に表示板用タブレット10および機器用タブレット20を共に取り付けたときと図2(d)に示すように機器用取付台座40に表示板用タブレット10のみを取り付けたときとでは、第2の確認用ピン442の末端部の位置が異なってくるため、第1および第2のスイッチ511,512はオン状態のストロークが長いスイッチとなっている。
なお、図2(b)に示すように、機器用タブレット20を機器用取付台座40に取り付けたときには、第2の確認用ピン442の先端部は機器用タブレット20の確認用ピン貫通孔24を貫通して機器用タブレット20の表側本体21から飛び出すようにされている。
また、図2(d)に示すように、機器用取付台座40に表示板用タブレット10のみを取り付けたときには、第1の確認用ピン441の先端部は表示板用タブレット10の確認用ピン貫通孔14を貫通して表示板用タブレット10の裏側本体12から飛び出すようにされている。
【0031】
第1および第2の引張バネ451,452の付勢力は、機器用取付台座40に取り付けた機器用タブレット20および表示板用タブレット10を動かすことができない程度の大きさとするが、第1および第2の取付ピン421,422の上面に2つの凹部を設けて、機器用タブレット20および表示板用タブレット10を機器用取付台座40に取り付けたのちに2つの凹部にそれぞれ嵌るようにすれば、第1および第2の引張バネ451,452の付勢力によって押されても機器用タブレット20および表示板用タブレット10が動かないようにすることができるため、第1および第2の引張バネ451,452の付勢力を機器用取付台座40に取り付けた機器用タブレット20および表示板用タブレット10を動かすことができる程度の大きさとしてもよい。
【0032】
次に、本実施例による現場機器確認装置を用いて現場機器1を入状態から切状態に変えるときの操作員の作業手順について、図5および図6を参照して説明する。
なお、現場機器1は通常運転時には入状態であるため、所内結線表示板3の現場機器1の設置個所を示す部分には、表示板用タブレット10が表側本体11を手前として取り付けられており、現場機器1には、機器用タブレット20が表側本体21を手前として取り付けられているものとして説明する。
【0033】
操作員は、現場機器1を入状態から切状態に変える際には、図5(a)に示すように、所内結線表示板3の現場機器1の設置個所を示す部分に設けられた表示板用取付台座30から表示板用タブレット10を取り外す。
【0034】
続いて、操作員は、図5(b)に示すように、表示板用取付台座30から取り外した表示板用タブレット10を裏返して現場機器1の設置個所まで持って行く。
【0035】
操作員は、図5(c)に示すように、現場機器1に設けられた機器用取付台座40に取り付けられた機器用タブレット20の上に、裏返した表示板用タブレット10を取り付ける。
これにより、第1および第2のスイッチ511,512が共に閉じられるため、電磁錠2に電流Iが流れる(図2(c)参照)。その結果、電磁錠2が解錠されるため、操作員は現場機器1の扉またはシャッターを開いたのちに現場機器1を操作して入状態から切状態に変える。
【0036】
続いて、操作員は、現場機器1に設けられた機器用取付台座40から表示板用タブレット10および機器用タブレット20を取り外したのち、図6(a)に示すように、表示板用タブレット10を機器用取付台座40に再度取り付ける。
これにより、図2(d)に示すように第2のスイッチ512の接点は閉じるが第1のスイッチ511の接点は閉じないため、電磁錠2には電流Iが流れなくなる。その結果、電磁錠2が施錠されるため、現場機器1の扉またはシャッターを開くことができなくなる。
【0037】
その後、操作員は、図6(b)に示すように、機器用取付台座40から取り外した機器用タブレット20を裏返して所内結線表示板3の設置個所まで持って行く。
【0038】
続いて、操作員は、図6(c)に示すように、裏返した機器用タブレット20を所内結線表示板3の現場機器1の設置個所を示す部分に設けられた表示板用取付台座30に取り付ける。
【0039】
以上では、通常運転時は入状態とされている現場機器1を例として説明したが、通常運転時は切状態とされている現場機器については、表示用タブレット10および機器用タブレット20は表裏が逆にされて使用されるが、表示用タブレット10の確認用ピン貫通孔14および機器用タブレット20の確認用ピン貫通孔24が表示板用タブレット10と機器用タブレット20とを重ね合わせると(すなわち、表示板用タブレット10の裏側本体12と機器用タブレット20の表側本体21とを合わせるように重ねると)重なる位置に形成されているため、このような現場機器に対しても表示用タブレット10および機器用タブレット20を使用することができる。
なお、この場合には、表示板用取付台座の第1および第2の取付ピンの位置は、表示用タブレット10の裏側本体12が手前になるように表示板用取付台座に重ねたときに表示板用タブレット10の第1および第2の挿通孔131,132と重なる位置に形成される。同様に、機器用取付台座の第1および第2の取付ピンの位置は、機器用タブレット20の裏側本体22が手前になるように機器用取付台座に重ねたときに機器用タブレット20の第1および第2の挿通孔231,232と重なる位置に形成される。
【0040】
また、現場機器が1個だけ現場に設置されている場合について説明したが、現場機器が複数個設置されている場合には、現場機器ごとに表示用タブレットおよび機器用タブレットを用意すればよい。
この場合には、表示用タブレットの挿通孔および機器用タブレットの挿通孔の数および配置を現場機器ごとに変えて、他の現場機器の表示用タブレットおよび機器用タブレットを使用できないようにする。
【0041】
さらに、表示板用タブレット10を所内結線表示板3に取り付ける場合を例として説明したが、表示板用タブレット10を模擬母線などの結線表示板に取り付ける場合でも本発明の現場機器確認装置を適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 現場機器
2 電磁錠
3 所内結線表示板
10 表示板用タブレット
11 表側本体
12 裏側本体
131,132 第1および第2の挿通孔
14 確認用ピン貫通孔
20 機器用タブレット
21 表側本体
22 裏側本体
231,232 第1および第2の挿通孔
24 確認用ピン貫通孔
30 表示板用取付台座
31 本体
321,322 第1および第2の取付ピン
40 機器用取付台座
41 本体
421,422 第1および第2の取付ピン
431,432 第1および第2の貫通孔
441,442 第1および第2の確認用ピン
451,452 第1および第2の引張バネ
511,512 第1および第2のスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現場機器(1)を操作するときに、複数の表示板側挿通孔(131,132)が形成された板状の表示板用タブレット(10)と複数の機器側挿通孔(231,232)が形成されたかつ該表示板用タブレットと同一形状および同一寸法の板状の機器用タブレット(20)とを照合させて、該現場機器が操作すべき機器か否かを確認するのに使用するための現場機器確認装置であって、
前記複数の機器側挿通孔が、前記表示板用タブレットを裏返して前記機器用タブレットに重ねると前記複数の表示板側挿通孔と重なる位置に形成されており、
前記現場機器確認装置が、前記現場機器に固定されたかつ複数の機器側取付ピン(421,422)が垂設された機器用取付台座(40)に該複数の機器側取付ピンを前記複数の機器側挿通孔にそれぞれ挿通させて前記機器用タブレットが取り付けられているときに、前記表示板用タブレットを裏返して前記複数の機器側取付ピンを前記複数の表示板側挿通孔にそれぞれ挿通させて前記機器用取付台座に該表示板用タブレットが取り付けられると電流(I)を流すためのスイッチ手段(14,24,431,432,441,442,451,452,511,512)を具備する、
ことを特徴とする、現場機器確認装置。
【請求項2】
前記表示板用タブレットが、現場に設置された表示板(3)に固定されたかつ複数の表示板側取付ピン(321,322)が垂設された表示板用取付台座(30)に、該複数の表示板側取付ピンを前記複数の表示板側挿通孔にそれぞれ挿通させて前記現場機器の状態に応じて表または裏を手前として取り付けられ、
前記機器用タブレットが、前記複数の機器側取付ピンを前記複数の機器側挿通孔にそれぞれ挿通させて前記現場機器の状態に応じて表または裏を手前として前記機器用取付台座に取り付けられ、
前記スイッチ手段が、
前記現場機器に内蔵されたかつ直列接続された第1および第2のスイッチ(511,512)と、
前記機器用タブレットを前記機器用取付台座に取り付けたときに前記第1および第2のスイッチの一方のスイッチを閉じさせるとともに該機器用タブレットを該機器用取付台座から取り外したときに該一方のスイッチを開放させる第1のスイッチ開閉手段(24,431,441,451)と、
前記表示板用タブレットを前記機器用取付台座に取り付けたときに前記第1および第2のスイッチの他方のスイッチを閉じさせるとともに該表示板用タブレットを該機器用取付台座から取り外したときに該他方のスイッチを開放させる第2のスイッチ開閉手段(14,432,442,452)とを備える、
ことを特徴とする、請求項1記載の現場機器確認装置。
【請求項3】
前記第1のスイッチ開閉手段が、
前記機器用タブレットに形成された機器側確認用ピン貫通孔(24)と、
前記機器用取付台を貫通するとともに該機器用取付台座の表面に対して垂直方向に移動可能に設けられた、かつ、前記機器用タブレットを前記機器用取付台座に取り付けたときに先端部が該機器用タブレットに押されて末端部で前記一方のスイッチを押して該一方のスイッチを閉じさせるための第1の確認用ピン(441)とを備え、
前記第2のスイッチ開閉手段が、
前記表示板用タブレットに形成された表示板側確認用ピン貫通孔(14)と、
前記機器用取付台を貫通するとともに該機器用取付台座の表面に対して垂直方向に移動可能に設けられた、かつ、前記表示板用タブレットを前記機器用取付台座に取り付けたときに先端部が該表示板用タブレットに押されて末端部で前記他方のスイッチを押して該他方のスイッチを閉じさせるための第2の確認用ピン(442)とを備える、
ことを特徴とする、請求項2記載の現場機器確認装置。
【請求項4】
前記第1および第2の確認用ピンの長さが同じであり、
前記第1および第2のスイッチが、オン状態のストロークが長いスイッチである、
ことを特徴とする、請求項3記載の現場機器確認装置。
【請求項5】
前記表示板側確認用ピン貫通孔および前記機器側確認用ピン貫通孔が、前記表示板用タブレットと前記機器用タブレットとを重ね合わせたときに重なり合うように該表示板用タブレットおよび前記機器用タブレットにそれぞれ形成されていることを特徴とする、請求項3または4記載の現場機器確認装置。
【請求項6】
前記第1の確認用ピンが、該第1の確認用ピンの末端部の外周面に第1の引張バネ(451)が巻かれ、該第1の引張バネの一端が前記機器用取付台座の裏面に固定されるとともに、該第1の引張バネの他端が該第1の確認用ピンの末端に固定されることにより、該第1の引張バネによって支持されており、
前記第2の確認用ピンが、該第2の確認用ピンの末端部の外周面に第2の引張バネ(452)が巻かれ、該第2の引張バネの一端が前記機器用取付台座の裏面に固定されるとともに、該第2の引張バネの他端が該第2の確認用ピンの末端に固定されることにより、該第2の引張バネによって支持されている、
ことを特徴とする、請求項3乃至5いずれかに記載の現場機器確認装置。
【請求項7】
前記電流が流れたときにのみ前記現場機器を操作できるようにするための現場機器操作許可手段(2)をさらに具備することを特徴とする、請求項1乃至6いずれかに記載の現場機器確認装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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