説明

現金処理システム、現金処理方法、及び現金処理機

【課題】現金を効率良く循環させ、釣銭準備金の作成に伴い店舗及び警備会社に生じるコストを削減する。
【解決手段】現金処理システムは、現金の入金処理及び/又は出金処理を行い、入出金処理のデータを送信する現金処理機10と、現金処理機10から送信された前記データを受信し、受信データに基づいて、現金処理機10が設置される店舗1の銀行口座31と、現金処理機10の機内の現金の回収を行う警備会社の銀行口座32との間における振込処理を行うセンターサーバ20と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗に設置され入出金を行う現金処理機と、この現金処理機における入出金処理に応じて店舗口座と警備会社口座との間での振込処理を行うセンターサーバとを備える現金処理システムに関する。また、本発明は、このような現金処理システムを用いた現金処理方法、及び現金処理システムに用いられる現金処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、店舗売上金等を入金する入金機を店舗内に設置し、入金機内の現金の回収を警備会社に委託するということが行われている。入金機に売上金が入金されると、入金データが入金機から警備会社のセンターへ送信され、センターは、受信した入金データに基づく金額を顧客口座(入金機を設置している店舗の銀行口座)へ振り込んでいる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、警備会社は、顧客口座から予め決められた金額の釣銭準備金を引き出し、入金機内の現金の回収時に、店舗に配送している。しかし、顧客口座からは配送よりも前の日に釣銭準備金が引き出されるため、店舗は、その分だけ銀行から受け取ることができる金利が減っていた。
【0004】
警備会社がサービスの一環として店舗に両替機を設置し、店舗内で釣銭準備金を作成できるようにすることもある。しかし、両替機の設置や、両替機への貨幣の補充にはコストがかかっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3542051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、現金を効率良く循環させ、釣銭準備金の作成に伴い店舗及び警備会社に生じるコストを削減することができる現金処理システム、現金処理方法、及び現金処理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による現金処理システムは、現金の入金処理及び/又は出金処理を行い、入出金処理のデータを送信する現金処理機と、前記現金処理機から送信された前記データを受信し、受信データに基づいて、前記現金処理機が設置される店舗の銀行口座と、前記現金処理機の機内の現金の回収を行う警備会社の銀行口座との間における振込処理を行うセンターサーバと、を備えるものである。
【0008】
本発明の一態様による現金処理システムにおいては、前記データは前記現金処理機への入金額及び前記現金処理機からの出金額を含み、前記センターサーバは、前記入金額と前記出金額の差額の振込処理を行うことが好ましい。
【0009】
本発明の一態様による現金処理システムにおいては、前記入金額が前記出金額より大きい場合、前記センターサーバは前記差額を前記警備会社の銀行口座から前記店舗の銀行口座へ振り込むことが好ましい。
【0010】
本発明の一態様による現金処理システムにおいては、前記出金額が前記入金額より大きい場合、前記センターサーバは前記差額を前記店舗の銀行口座から前記警備会社の銀行口座へ振り込むことが好ましい。
【0011】
本発明の一態様による現金処理システムにおいては、前記センターサーバは、前記差額に、前記現金処理機の入出金処理に伴う手数料を加味した金額の振込処理を行うことが好ましい。
【0012】
本発明の一態様による現金処理システムにおいては、前記現金処理機は、入金処理を行わず出金処理のみを行った場合、入金額を含まず出金額を含んだデータを前記センターサーバへ送信し、前記センターサーバは、前記現金処理機から受信した前記データに含まれる前記出金額に基づく金額を前記店舗の銀行口座から前記警備会社の銀行口座へ振り込むことが好ましい。
【0013】
本発明の一態様による現金処理システムにおいては、前記現金処理機は、入金処理及び出金処理を行った場合、入金額と出金額の差額を算出し、前記差額を含むデータを前記センターサーバへ送信し、前記センターサーバは、前記現金処理機から受信した前記データに含まれる前記差額に基づいて振込処理を行うことが好ましい。
【0014】
本発明の一態様による現金処理システムにおいては、前記現金処理機は両替処理を行うことができ、前記センターサーバは、前記現金処理機が両替処理を行うと、前記店舗の銀行口座から前記警備会社の銀行口座へ両替手数料を振り込むことが好ましい。
【0015】
本発明の一態様による現金処理方法は、現金の入出金を行うことができる現金処理機と、前記現金処理機と通信接続されたセンターサーバとを用いる現金処理方法であって、前記現金処理機が入金処理及び/又は出金処理を行う工程と、前記現金処理機が入出金処理のデータを前記センターサーバへ送信する工程と、前記センターサーバが、前記現金処理機から送信された前記データを受信する工程と、前記センターサーバが、受信データに基づいて、前記現金処理機が設置される店舗の銀行口座と、前記現金処理機の機内の現金の回収を行う警備会社の銀行口座との間における振込処理を行う工程と、を備えるものである。
【0016】
本発明の一態様による現金処理方法においては、前記現金処理機は、入金額及び出金額を含む前記データを前記センターサーバへ送信し、前記センターサーバは、前記入金額と前記出金額の差額の振込処理を行うことが好ましい。
【0017】
本発明の一態様による現金処理方法においては、前記入金額が前記出金額より大きい場合、前記センターサーバは前記差額を前記警備会社の銀行口座から前記店舗の銀行口座へ振り込むことが好ましい。
【0018】
本発明の一態様による現金処理方法においては、前記出金額が前記入金額より大きい場合、前記センターサーバは前記差額を前記店舗の銀行口座から前記警備会社の銀行口座へ振り込むことが好ましい。
【0019】
本発明の一態様による現金処理方法においては、前記センターサーバは、前記差額に、前記現金処理機の入出金処理に伴う手数料を加味した金額の振込処理を行うことが好ましい。
【0020】
本発明の一態様による現金処理方法においては、前記現金処理機は、入金処理を行わず出金処理のみを行った場合、入金額を含まず出金額を含んだデータを前記センターサーバへ送信し、前記センターサーバは、前記現金処理機から受信した前記データに含まれる前記出金額に基づく金額を前記店舗の銀行口座から前記警備会社の銀行口座へ振り込むことが好ましい。
【0021】
本発明の一態様による現金処理方法においては、前記現金処理機は、入金処理及び出金処理を行った場合、入金額と出金額の差額を算出し、前記差額を含むデータを前記センターサーバへ送信し、前記センターサーバは、前記現金処理機から受信した前記データに含まれる前記差額に基づいて振込処理を行うことが好ましい。
【0022】
本発明の一態様による現金処理機は、店舗に設置され、前記店舗の銀行口座と機内の現金の回収を行う警備会社の銀行口座との間における振込処理を行うセンターサーバに通信接続された現金処理機であって、入金処理に伴う入金額と、出金処理に伴う出金額との差額を算出し、前記差額を含むデータを前記センターサーバへ送信するものである。
【0023】
本発明の一態様による現金処理機においては、包装硬貨を収納する収納部と、前記包装硬貨を出金する出金部と、をさらに備え、前記包装硬貨を用いて前記出金処理を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、現金を効率良く循環させ、釣銭準備金の作成に伴い店舗及び警備会社に生じるコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る現金処理システムの概略構成図である。
【図2】現金処理機のブロック構成図である。
【図3】紙幣処理装置の概略構成図である。
【図4】硬貨処理装置の概略構成図である。
【図5】センターサーバのブロック構成図である。
【図6】同第1の実施形態に係る現金処理方法を説明するフローチャートである。
【図7】同第1の実施形態に係る現金処理方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
(第1の実施形態)図1に本発明の第1の実施形態に係る現金処理システムの概略構成を示す。現金処理システムは、店舗1に設置された現金処理機10と、センターサーバ20とを備えている。現金処理機10は、現金の入金処理又は出金処理を行うと、入出金処理の内容を示す入出金データDを、インターネット等の通信回線を介して、センターサーバ20へ送信する。
【0028】
センターサーバ20は、現金処理機10から受信した入出金データ20に基づいて、銀行3の店舗口座31と警備会社口座32との間における振込処理を行う。ここで、店舗口座31とは、現金処理機10が設置されている店舗1、又はこの店舗1の本社(経営者)の銀行口座である。また、警備会社口座32は、現金処理機10から現金を回収したり、現金処理機10に現金を補充したりする業務の委託を受けている警備会社の銀行口座である。
【0029】
店舗口座31と警備会社口座32は、異なる銀行の口座でもよい。また、銀行に限らず、信用金庫等の他の金融機関の口座でもよい。
【0030】
図2に、現金処理機10のブロック構成を示す。現金処理機10は、演算制御部100、記憶部110、紙幣処理装置120、硬貨処理装置130、操作部140、及び通信部150を備えている。
【0031】
演算制御部100は、記憶部110、紙幣処理装置120、硬貨処理装置130、操作表示部140、及び通信部150に接続されており、記憶部110に記憶されている制御プログラムに従って各部の制御を行う。また、演算制御部100は、上述した入出金データDを生成し、通信部150を介してセンターサーバ20へ送信する。入出金データDの生成方法は後述する。
【0032】
図3に、紙幣処理装置120の概略構成を示す。紙幣処理装置120は、受入部121、識別部122、リジェクト部123、出金部124、収納繰出部125A〜C、一時保留部126A〜C、及び搬送部127を備えている。
【0033】
受入部121は、投入された紙幣を1枚ずつ装置内に取り込む。
【0034】
識別部122は、受入部121から取り込まれた紙幣の金種を識別し、金種毎の枚数を計数する。識別部122は、計数結果を演算制御部100に通知する。
【0035】
リジェクト部123は、識別部122による金種の識別ができなかった紙幣、偽券等のリジェクト紙幣を集積する。
【0036】
出金部124は、紙幣を装置外部から取り出し可能になるように出金する。
【0037】
収納繰出部125A〜Cは、紙幣を金種別に収納する。また、収納繰出部125A〜Cは、操作部140を介して出金指示が与えられると、収納されている紙幣を繰り出すことができる。
【0038】
一時保留部126A〜Cは、収納繰出部125A〜Cの一部として構成されており、搬送部127によって搬送された紙幣を、収納済みの紙幣と区分けして一時保留する。操作部140を介して入金確定の指示が与えられると、一時保留部126A〜Cが一時保留を解除し、一時保留されていた紙幣は、収納繰出部125A〜Cに収納される。一方、操作部140を介して入金取消の指示が与えられると、一時保留されていた紙幣は収納繰出部125A〜Cから繰り出される。
【0039】
搬送部127は、受入部121が取り込んだ紙幣を識別部122へ搬送し、識別部122の識別結果に基づいて、リジェクト部123、出金部124、収納繰出部125A〜C(一時保留部126A〜C)へ搬送する。また、搬送部127は、収納繰出部125A〜Cから繰り出された紙幣を出金部124へ搬送する。
【0040】
図3では、3つの収納繰出部125A〜C及び一時保留部126A〜Cが設けられた紙幣処理装置120を示しているが、収納繰出部及び一時保留部の数は3つに限定されない。
【0041】
図4に、硬貨処理装置130の構成例を示す。硬貨処理装置130は、バラ硬貨の入金を行う硬貨入金部230と、棒金(包装硬貨)の出金を行う硬貨出金部250とを備えている。
【0042】
硬貨入金部230は、受入部231、識別部232、返却部233、収納部234、一時保留部235、及び搬送部236を備えている。
【0043】
受入部231は、投入された硬貨を1枚ずつ取り込み、識別部232へ繰り出す。
【0044】
識別部232は、受入部231から繰り出された硬貨の金種を識別し、金種毎の枚数を計数する。識別部232は、計数結果を演算制御部100に通知する。
【0045】
一時保留部235は、搬送部236によって搬送された硬貨を一括して一時保留し、操作部140を介して入金確定の指示が与えられると、図4のA方向へ移動して、一時保留されている硬貨を収納部234に一括して収納する。一方、操作部140を介して入金取消の指示が与えられると、一時保留部235は図4のB方向へ移動して、一時保留されている硬貨を返却部233に返却する。返却部233に返却された硬貨は、装置外部から取り出すことができる。
【0046】
搬送部236は、受入部231から繰り出された硬貨を、識別部232へ搬送し、その後、一部保留部235へ搬送する。
【0047】
硬貨出金部250は、棒金保管繰出部251A〜K、棒金計数部252A〜K、及び棒金取出部253を備えている。
【0048】
棒金保管繰出部251A〜Kは、金種毎に棒金を整列状態で保管するトレー形状をなしており、操作部140を介して与えられた出金指示に基づくトレーの引き出し量によって、必要な数の棒金を出金することができる。
【0049】
棒金計数部252A〜Kは、棒金保管繰出部251A〜Kに対応して設けられており、棒金保管繰出部251A〜Kから出金される棒金の数を計数する。ここでは、棒金保管繰出部251A〜K及び棒金計数部252A〜Kを11個設ける構成を示しているが、11個に限られるものではない。
【0050】
棒金取出部253は、シャッタ構造を有している。シャッタのロックが解除されシャッタを開けることにより、棒金保管繰出部251A〜Kのトレーを引き出すことができる。
【0051】
図2に示す操作部140は、入金処理の開始指示、紙幣及び硬貨の入金確定の指示、入金取消の指示を受け付けることができる。また、操作部140は、出金処理の開始指示、出金すべき貨幣の金種別枚数を含む出金指示を受け付けることができる。
【0052】
操作部140が入金処理の開始指示を受け付けると、演算制御部100は、識別部122、232から計数結果を受け取り、入金額を算出する。また、演算制御部100は、算出した入金額を、表示部(図示せず)に表示する。例えば、操作部140及び表示部をタッチパネルで構成することができる。
【0053】
そして、演算制御部100は、操作部140が入金確定の指示を受け付けると、算出した入金額を用いて入出金データDを生成し、通信部150を介してセンターサーバ20へ送信する。この場合、入出金データDには、現金処理機10へ入金があったこと、及び入金額についての情報が含まれる。
【0054】
一方、操作部140が出金処理の開始指示及び出金指示を受け付け、紙幣処理装置120及び硬貨処理装置130から貨幣が出金されると、演算制御部100は、操作部140が受け付けた出金指示に基づいて出金額を算出する。そして、演算制御部100は、算出した出金額を用いて入出金データDを生成し、通信部150を介してセンターサーバ20へ送信する。この場合、入出金データDには、現金処理機10からの出金があったこと、及び出金額についての情報が含まれる。
【0055】
図5に、センターサーバ20のブロック構成を示す。センターサーバ20は、通信部21及び振込処理部22を備えている。
【0056】
通信部21は、現金処理機10から入出金データDを受信する。また、通信部21は銀行3のシステムに接続して後述する振込内容を通知し、店舗口座31と警備会社口座32との間での振込を行う。
【0057】
振込処理部22は、通信部21が受信した入出金データDに基づいて振込内容を作成する。例えば、入出金データDが、現金処理機10へ入金があったこと、及び入金額についての情報を含んでいる場合、振込処理部22は、警備会社口座32から店舗口座31へ、現金処理機10への入金額と同額の振込処理が行われるように振込内容を作成する。
【0058】
このような振込処理により、店舗1における売上金を現金処理機10に入金することで、店舗口座31に売上金に相当する入金が行われることになる。店舗1は、警備会社による現金処理機10内の現金回収を待たずに店舗口座31に速やかに売上金相当額を入金することができる。
【0059】
一方、入出金データDが、現金処理機10からの出金があったこと、及び出金額についての情報を含んでいる場合、振込処理部22は、店舗口座31から警備会社口座32へ、現金処理機10からの出金額と同額の振込処理が行われるように振込内容を作成する。
【0060】
このような振込処理により、例えば、店舗1において現金処理機10から釣銭準備金を出金すると、店舗口座31から釣銭準備金に相当する金額の引き落とし(警備会社口座32への振込)が行われることになる。従来は、警備会社が店舗口座31から事前に釣銭準備金を引き出して店舗に配送していたが、本実施形態による現金処理システムでは、店舗1は、釣銭準備金の配送を待つ必要がない。また、釣銭準備金が必要以上に早く店舗口座31から引き出されることがないため、従来の方法よりも、店舗1は銀行から金利を多く受け取ることができる。
【0061】
次に、このような現金処理システムを用いた現金処理方法を、図6に示すフローチャートを用いて説明する。図6は、現金処理機10に入金があった場合のフローチャートである。
【0062】
(ステップS101)店舗1において、現金処理機10の操作部140が、ユーザから入金処理の開始指示を受け付ける。続いて、現金処理機10(紙幣処理装置120及び硬貨処理装置130)に現金が投入される。投入される現金は、例えば店舗1における売上金である。
【0063】
(ステップS102)紙幣処理装置120及び硬貨処理装置130が、投入された現金の識別・計数を行う。演算制御部100が、紙幣処理装置120及び硬貨処理装置130から計数結果を取得し、表示部に表示する。
【0064】
(ステップS103)操作部140がユーザから入金確定指示を受け付け、一時保留されていた現金が収納部125A〜C、234に収納される。収納部125A〜C、234への収納に伴い、現金の所有権は店舗1から警備会社へ移る。
【0065】
(ステップS104)演算制御部100が、計数結果を用いて、現金処理機10へ入金があったこと、及び入金額についての情報を含む入出金データDを作成する。
【0066】
(ステップS105)通信部150が入出金データDを送信する。
【0067】
(ステップS106)センターサーバ20の通信部21が入出金データDを受信する。
【0068】
(ステップS107)振込処理部22が、入出金データDを用いて、警備会社口座32から店舗口座31へ、現金処理機10への入金額と同額の振込処理が行われるように振込内容を作成する。
【0069】
(ステップS108)通信部21が銀行3のシステムに振込内容を通知する。これにより、警備会社口座32と店舗口座31との間での振込処理が行われる。
【0070】
次に、現金処理機10から出金があった場合の処理を、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0071】
(ステップS201)店舗1において、現金処理機10の操作部140が、ユーザから出金処理の開始指示を受け付ける。
【0072】
(ステップS202)操作部140が、ユーザから出金貨幣の金種別枚数を含む出金指示を受け付ける。現金処理機10(紙幣処理装置120及び硬貨処理装置130)は出金指示に基づいて紙幣及び硬貨(棒金)を出金する。ここで出金される紙幣及び硬貨(棒金)は、例えば店舗1の釣銭準備金となる。
【0073】
(ステップS203)演算制御部100が、出金指示に基づいて、現金処理機10から出金があったこと、及び出金額についての情報を含む入出金データDを作成する。
【0074】
(ステップS204)通信部150が入出金データDを送信する。
【0075】
(ステップS205)センターサーバ20の通信部21が入出金データDを受信する。
【0076】
(ステップS206)振込処理部22が、入出金データDを用いて、店舗口座31から警備会社口座32へ、現金処理機10からの出金額と同額の振込処理が行われるように振込内容を作成する。
【0077】
(ステップS207)通信部21が銀行3のシステムに振込内容を通知する。これにより、店舗口座31と警備会社口座32との間での振込処理が行われる。
【0078】
このように、本実施形態によれば、店舗1は、警備会社による釣銭準備金の配送を待つ必要がない。また、釣銭準備金が必要以上に早く店舗口座31から引き出されることがないため、店舗1は銀行から金利を多く受け取ることができる。
【0079】
また、現金処理機10内の現金を用いて釣銭準備金を作成できるため、警備会社は、店舗内に釣銭準備金作成用の両替機等を設置する必要がない。
【0080】
従って、店舗1内で現金を効率良く循環させ、釣銭準備金の作成に伴い店舗及び警備会社に生じるコストを削減することができる。
【0081】
(第2の実施形態)上記第1の実施形態では、現金処理機10は、入金処理や出金処理の度に入出金データDを作成し、センターサーバ20へ送信していたが、所定回数の入出金処理が行われる毎に入出金データDを作成してもよいし、所定時間毎に入出金データDを作成してもよい。
【0082】
例えば、現金処理機10は、入金処理及び出金処理の処理内容を含む入出金データDを作成してセンターサーバ20へ送信する。センターサーバ20は、このような入出金データDを受信すると、入金処理に伴う入金額と、出金処理に伴う出金額との差額を算出し、この差額の振込処理を行う。
【0083】
入出金データDに複数の入金処理の処理内容や、複数の出金処理の処理内容が含まれている場合は、センターサーバ20は、複数の入金処理の入金額の合計、複数の出金処理の出金額の合計から差額を算出する。
【0084】
入金額が出金額より大きい場合、センターサーバ20は、警備会社口座32から店舗口座31へ差額の振込処理が行われるように振込内容を作成する。逆に、出金額が入金額より大きい場合、センターサーバ20は、店舗口座31から警備会社口座32へ差額の振込処理が行われるように振込内容を作成する。
【0085】
本実施形態によれば、上記第1の実施形態と比較して、店舗口座31と警備会社口座32との間での振込処理の回数を減らすことができ、コストをさらに削減できる。
【0086】
(第3の実施形態)上記第2の実施形態では、現金処理機10が、入金処理及び出金処理の処理内容を含む入出金データDを作成し、センターサーバ20が入金処理に伴う入金額と、出金処理に伴う出金額との差額を算出していたが、現金処理機10が差額を算出し、算出した差額を含む入出金データDを作成してセンターサーバ20へ送信してもよい。
【0087】
例えば、現金処理機10は、差額と、入金額と出金額の大小関係とを含む入出金データDを作成する。センターサーバ20は、入金額が出金額より大きい場合は、警備会社口座32から店舗口座31へ差額が振り込まれるようにする。一方、センターサーバ20は、出金額が入金額より大きい場合は、店舗口座31から警備会社口座32へ差額が振り込まれるようにする。また、予め差額の算出方法が定まっている場合は、差額の符号がプラスかマイナスかで入金額と出金額の大小関係は判別できるため、入出金データDに、入金額と出金額の大小関係を含める必要はない。
【0088】
また、センターサーバ20は、振込に伴う手数料を考慮して振込内容を作成してもよい。例えば、センターサーバ20は、入金額が出金額より大きい場合、差額から手数料を差し引いた金額が警備会社口座32から店舗口座31振り込まれるようにする。あるいはまた、センターサーバ20は、入金額が出金額より小さい場合、差額に手数料を加算した金額が店舗口座31から警備会社口座32に振り込まれるようにする。これにより、警備会社は、店舗1から振込に伴う手数料を受け取ることができる。
【0089】
上記実施形態では、バラ硬貨の入金を行う硬貨入金部230と、棒金の出金を行う硬貨出金部250を備えた硬貨処理装置130について説明したが、硬貨処理装置130は、バラ硬貨の入金及び出金を行うものでもよい。このような硬貨処理装置130は、図3に示す紙幣処理装置120と同様の構成を有しているので、説明は省略する。これにより、店舗1において現金処理機10に入金された硬貨も、出金に使用することができる。
【0090】
また、センターサーバ20は、店舗口座31と警備会社口座32との間で振込処理を行った後に、店舗1や、店舗1の本社に振込内容を通知するようにしてもよい。
【0091】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 店舗
3 銀行
10 現金処理機
20 センターサーバ
21 通信部
22 振込処理部
31 店舗口座
32 警備会社口座
100 演算制御部
120 紙幣処理装置
130 硬貨処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現金の入金処理及び/又は出金処理を行い、入出金処理のデータを送信する現金処理機と、
前記現金処理機から送信された前記データを受信し、受信データに基づいて、前記現金処理機が設置される店舗の銀行口座と、前記現金処理機の機内の現金の回収を行う警備会社の銀行口座との間における振込処理を行うセンターサーバと、
を備える現金処理システム。
【請求項2】
前記データは前記現金処理機への入金額及び前記現金処理機からの出金額を含み、
前記センターサーバは、前記入金額と前記出金額の差額の振込処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の現金処理システム。
【請求項3】
前記入金額が前記出金額より大きい場合、前記センターサーバは前記差額を前記警備会社の銀行口座から前記店舗の銀行口座へ振り込むことを特徴とする請求項2に記載の現金処理システム。
【請求項4】
前記出金額が前記入金額より大きい場合、前記センターサーバは前記差額を前記店舗の銀行口座から前記警備会社の銀行口座へ振り込むことを特徴とする請求項2又は3に記載の現金処理システム。
【請求項5】
前記センターサーバは、前記差額に、前記現金処理機の入出金処理に伴う手数料を加味した金額の振込処理を行うことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の現金処理システム。
【請求項6】
前記現金処理機は、入金処理を行わず出金処理のみを行った場合、入金額を含まず出金額を含んだデータを前記センターサーバへ送信し、
前記センターサーバは、前記現金処理機から受信した前記データに含まれる前記出金額に基づく金額を前記店舗の銀行口座から前記警備会社の銀行口座へ振り込むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の現金処理システム。
【請求項7】
前記現金処理機は、入金処理及び出金処理を行った場合、入金額と出金額の差額を算出し、前記差額を含むデータを前記センターサーバへ送信し、
前記センターサーバは、前記現金処理機から受信した前記データに含まれる前記差額に基づいて振込処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の現金処理システム。
【請求項8】
前記現金処理機は両替処理を行うことができ、
前記センターサーバは、前記現金処理機が両替処理を行うと、前記店舗の銀行口座から前記警備会社の銀行口座へ両替手数料を振り込むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の現金処理システム。
【請求項9】
現金の入出金を行うことができる現金処理機と、前記現金処理機と通信接続されたセンターサーバとを用いる現金処理方法であって、
前記現金処理機が入金処理及び/又は出金処理を行う工程と、
前記現金処理機が入出金処理のデータを前記センターサーバへ送信する工程と、
前記センターサーバが、前記現金処理機から送信された前記データを受信する工程と、
前記センターサーバが、受信データに基づいて、前記現金処理機が設置される店舗の銀行口座と、前記現金処理機の機内の現金の回収を行う警備会社の銀行口座との間における振込処理を行う工程と、
を備える現金処理方法。
【請求項10】
前記現金処理機は、入金額及び出金額を含む前記データを前記センターサーバへ送信し、
前記センターサーバは、前記入金額と前記出金額の差額の振込処理を行うことを特徴とする請求項9に記載の現金処理方法。
【請求項11】
前記入金額が前記出金額より大きい場合、前記センターサーバは前記差額を前記警備会社の銀行口座から前記店舗の銀行口座へ振り込むことを特徴とする請求項10に記載の現金処理方法。
【請求項12】
前記出金額が前記入金額より大きい場合、前記センターサーバは前記差額を前記店舗の銀行口座から前記警備会社の銀行口座へ振り込むことを特徴とする請求項10又は11に記載の現金処理方法。
【請求項13】
前記センターサーバは、前記差額に、前記現金処理機の入出金処理に伴う手数料を加味した金額の振込処理を行うことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の現金処理方法。
【請求項14】
前記現金処理機は、入金処理を行わず出金処理のみを行った場合、入金額を含まず出金額を含んだデータを前記センターサーバへ送信し、
前記センターサーバは、前記現金処理機から受信した前記データに含まれる前記出金額に基づく金額を前記店舗の銀行口座から前記警備会社の銀行口座へ振り込むことを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載の現金処理方法。
【請求項15】
前記現金処理機は、入金処理及び出金処理を行った場合、入金額と出金額の差額を算出し、前記差額を含むデータを前記センターサーバへ送信し、
前記センターサーバは、前記現金処理機から受信した前記データに含まれる前記差額に基づいて振込処理を行うことを特徴とする請求項9に記載の現金処理方法。
【請求項16】
店舗に設置され、前記店舗の銀行口座と機内の現金の回収を行う警備会社の銀行口座との間における振込処理を行うセンターサーバに通信接続された現金処理機であって、
入金処理に伴う入金額と、出金処理に伴う出金額との差額を算出し、前記差額を含むデータを前記センターサーバへ送信することを特徴とする現金処理機。
【請求項17】
包装硬貨を収納する収納部と、
前記包装硬貨を出金する出金部と、
をさらに備え、
前記包装硬貨を用いて前記出金処理を行うことを特徴とする請求項16に記載の現金処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−168789(P2012−168789A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29844(P2011−29844)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】