説明

現金処理装置

【課題】入金とそれに対応する出金の処理日付を合わせることができ、また、入金処理に対応する出金を確実に検索して売上金額を算出し、正確な売上の管理を実現する。
【解決手段】記憶部7に記憶される入出金処理履歴に、出金処理に対して入金処理が行われたことを示す突合せ情報と入金または出金の処理日付と、締上げ処理を行ったことを示す情報を書込むものとし、出金処理の際に前記入出金処理履歴にはその出金に対して処理日付を書込まず、入金処理の際に入力されるレジスタを特定する情報を基に前記入出金処理履歴から同一のレジスタで前記突合せ情報が書込まれていない出金を検索して、売上額の算出を含む処理を行い、当該入金と検索した出金に対して突合せ情報を書込むと共に同一の日付を処理日付として書込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小売店等に設置されるレジスタで釣銭として使用される紙幣及び硬貨の出金処理や、レジスタから回収した紙幣及び硬貨の入金処理、及び締上げ処理等を行う現金処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の現金処理装置として、小売店の店舗に設置されたレジスタで使用される釣銭用の紙幣及び硬貨を釣銭用紙幣収納庫や釣銭用硬貨収納庫から繰出して出金する出金機能、レジスタから回収した紙幣及び硬貨を受入れて紙幣回収庫や硬貨回収庫、及び釣銭用紙幣収納庫や釣銭用硬貨収納庫に収納する入金機能、入金及び出金の金額や金種毎の入出金枚数等を記憶して管理し、営業終了時等にこれらを集計してその集計結果を表示部に表示すると共に、伝票に記録して放出する締上げ処理機能を有する装置が提案されている。
【0003】
この現金処理装置では、レジスタを特定する情報、出金、入金の情報、金額等を入出金処理履歴として記憶部に記憶し、レジスタから回収した紙幣や硬貨を入金処理する場合、レジ担当者のカードからレジスタを特定する情報を読取った後、レジ担当者が紙幣や硬貨を投入すると、投入紙幣や硬貨のうち入金金額から該当レジスタへの出金金額を差引いた金額を売上金額として、その売上金額分の紙幣を紙幣回収庫に収納すると共に、残りは予め釣銭準備金として出金した釣銭分の現金として釣銭用紙幣収納庫や釣銭用硬貨収納庫に収納するものとしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−065565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述した従来の現金処理装置では、以下の問題がある。
【0006】
すなわち、従来の現金処理装置では、出金処理の際、処理日付として当日と翌日の日付を操作者に画面表示して選択させ、その選択した日付もレジスタを特定する情報、出金、入金の情報、金額等入出金処理履歴に記憶させ、入金処理の際にも処理日付として当日と翌日の日付を操作者に画面表示して選択させることで、出金処理と入金処理の日付を合わせると共に、入金処理の際に該当レジスタにおける同一の処理日付の出金を検索して、売上金額を算出するようにしている。
【0007】
ところが、レジスタで釣銭用に使用される紙幣や硬貨の出金処理は、前日の終業間際に行われることがあり、このときレジ担当者が当日の日付を選択し、翌日の営業日に同一のレジスタから回収した紙幣や硬貨を入金するレジ担当者が当日の日付を選択すると、出金処理の日付は入金処理時の日付の前日となるために日付が合わなくなり、入金に該当する出金を検索することができなくなる。そのため、装置は入金と出金の差額による売上金額を算出できなくなり、このような場合、すべて売上金として処理されるため、正確な売上の管理ができなくなるという問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのため、本発明は、レジスタで使用する釣銭用の現金を計数して出金する出金処理機能と、レジスタから回収した現金を計数して入金する入金処理機能を備え、入金及び出金毎にレジスタを特定する情報と対応付けて出金か入金かを示す情報と入金または出金の金額を入出金処理履歴として記憶部に記憶し、この入出金処理履歴により出金額、入金額、入金額と出金額の差から得られる売上額等を集計する締上げ処理を行う現金処理装置において、前記入出金処理履歴に、出金処理に対して入金処理が行われたことを示す突合せ情報と入金または出金の処理日付と、締上げ処理を行ったことを示す情報を書込むものとし、 出金処理の際に前記入出金処理履歴にはその出金に対して処理日付を書込まず、入金処理の際に入力されるレジスタを特定する情報を基に前記入出金処理履歴から同一のレジスタでかつ前記突合せ情報が書込まれていない出金を検索して、売上額の算出を含む処理を行い、当該入金と検索した出金に対して突合せ情報を書込むと共に同一の日付を処理日付として書込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このようにした本発明は、入金とそれに対応する出金の処理日付を合わせることができ、また、入金処理に対応する出金を確実に検索して売上金額を算出できるので、正確な売上の管理を行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例を示すブロック図
【図2】記憶部に記憶される入出金処理履歴の内容例を示す図
【図3】出金処理の手順を示すフローチャート
【図4】入金処理の手順を示すフローチャート
【図5】締上げ処理の手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明による現金処理装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
本実施例の現金処理装置は、レジスタを使用する小売店等に設置されるもので、図1において1は紙幣(現金)の入出金処理を行う紙幣処理機、2は硬貨(現金)の入出金処理を行う硬貨処理機であり、この両処理機については後で詳しく説明する。
【0014】
3はLCD等による表示部で、各種の処理操作の案内、現金処理のための入力画面や入力された情報、及び金種別の入出金金額や入出金の合計金額等を表示する。
【0015】
4はレジスタの現金を入出金処理するレジ担当者や締上げ処理を行う店長(管理者)等が操作するキーボードあるいは表示部3上に配置されたタッチパネル等の操作部で、入金処理や出金処理、締上げ処理等を行うことを指示(入力)するためのキーや金額等を入力するためのテンキー等を備えている。
【0016】
5はカードリーダ(カード読取部)で、当該現金処理装置の利用者であるレジ担当者や店長等の管理者が使用するIDカードの情報を読取る機能を有している。
【0017】
レジ担当者用のIDカードには、レジ番号などのレジスタを特定する情報も記録されている。このレジ担当者用のIDカードは、レジスタ毎またはレジ担当者毎に用意され、レジ担当者毎に配布する場合、レジ担当者が複数のレジスタを操作するのであれば、使用するレジスタ毎にIDカードが与えられる。
【0018】
6は伝票記録部(プリンタ)で、紙幣処理機1や硬貨処理機2で行われた入金処理や出金処理の金額、締上げ処理の金額、金種別枚数等を伝票に記録(印字)して出力するものである。
【0019】
7は記憶部で、この記憶部7には後述する主制御部が実行する制御プログラムが格納されている他、後述する入出金処理履歴、回収庫交換履歴、釣銭収納庫入出金履歴、及び回収庫入金履歴等が記憶され、入金処理及び出金処理等の毎に処理結果が追加、更新されるものとなっている。
【0020】
8は記憶部7に格納された制御プログラムに基づいて現金処理装置全体の制御を行う主制御部で、紙幣処理機1及び硬貨処理機2で入出金処理が行われる毎にこの主制御部8により記憶部7の入出金処理履歴が更新されるものとなっており、更に主制御部8は必要に応じて各種の演算を行う演算部としても機能する。
【0021】
尚、図示していないが、本実施例の現金処理装置は、年月日を出力する図示しないカレンダー、時刻を出力する図示しないタイマー等も備えており主制御部8は必要に応じてカレンダー及びタイマーから日付や時刻を取得するものとなっている。
【0022】
次に紙幣処理機1及び硬貨処理機2について説明する。
【0023】
紙幣処理機1は、入金処理時にレジスタから回収した紙幣を一括して受け入れると共に出金処理時にレジスタ用の釣銭として使用する紙幣を排出する紙幣入出金口11と、この紙幣入出金口11に受け入れた紙幣を1枚ずつ分離する図示しない分離部と、紙幣の金種等を鑑別すると共に鑑別した紙幣を金種毎に計数する紙幣鑑別部12と、この紙幣鑑別部12で鑑別計数された紙幣を集積して一時保留する紙幣一時保留部13と、レジスタ用の釣銭として使用する金種(例えば、五千円、千円)の紙幣を金種別に収納する複数の釣銭用紙幣収納庫(釣銭用現金収納庫)14と、入金紙幣のうちの売上金を金種別に収納する着脱可能な複数の紙幣回収庫(現金回収庫)15と、紙幣リジェクト庫16と、これらの間で紙幣を搬送ベルト等で挟持して搬送する搬送路と、図示しない記憶部に格納された制御プログラムに基づいて紙幣処理機1全体の動作制御を行う制御部17を備えている。
【0024】
尚、前記各釣銭用紙幣収納庫14に対しては、収納する紙幣の金種毎に保管基準額が設定されており、その保管基準額を保つために入金処理された紙幣を収納するようになっている。
【0025】
また、紙幣リジェクト庫16は損券及び入金処理時に紙幣回収庫15に回収されなかった万円、二千円の紙幣を収納するもので、この紙幣リジェクト庫16からの紙幣の取出しは手動で行われるが、繰出し手段を備えることにより紙幣入出金口11に排出することも可能である。
【0026】
これらの釣銭用紙幣収納庫14、紙幣回収庫15、紙幣リジェクト庫16に対しては、紙幣の有無を検知するセンサや庫内の紙幣のフル(満杯)、ニアフル(満杯に近い状態を検知するセンサが設けられている。
【0027】
一方、硬貨処理機2は、レジスタから回収した硬貨を一括して受け入れる硬貨入金口21と、この硬貨入金口21に受け入れた硬貨を1枚ずつ分離する図示しない分離部と、硬貨の金種等を鑑別すると共に鑑別した硬貨を金種毎に計数する硬貨鑑別部22と、この硬貨鑑別部22で鑑別計数された硬貨を一時保留する硬貨一時保留部23と、レジスタ用の釣銭として使用する硬貨を金種別に収納する釣銭用硬貨収納庫(釣銭用現金収納庫)24と、入金硬貨のうちの売上金を金種別に収納する硬貨回収庫(現金回収庫)25と、釣銭用の硬貨を出金するための硬貨出金箱26と、硬貨リジェクト口27と、図示しない記憶部に格納された制御プログラムに基づいて硬貨処理機2全体の動作制御を行う制御部28を有している。
【0028】
ここで硬貨一時保留部23、釣銭用硬貨収納庫24、硬貨回収庫25、及び硬貨出金箱26は金種毎に分けて硬貨を集積、収納できるように内部が区切られている。
【0029】
また、硬貨入金口21と硬貨鑑別部22との間には分離部により分離された硬貨を搬送する搬送ベルト等による搬送路が設けられ、釣銭用硬貨収納庫24と硬貨回収庫25及び硬貨出金箱26との間には、釣銭用硬貨収納庫24から排出される硬貨を硬貨回収庫25と硬貨出金箱26のいずれかに導く振分け手段と、通過する硬貨を金種毎に計数する計数手段が設けられている。
【0030】
また、前記各釣銭用硬貨収納庫24に対しては、収納する硬貨の金種毎に保管基準額が設定されており、その保管基準額を保つために入金処理された硬貨を収納するようになっている。
【0031】
この釣銭用硬貨収納庫24にも硬貨を搬送路に繰出す繰出し手段が設けられている。
【0032】
尚、紙幣処理機1の制御部17及び硬貨処理機2の制御部28は主制御部8の指示により紙幣処理機1及び硬貨処理機2を制御するものとなっている。
【0033】
図2は前記記憶部7に記憶(登録)される入出金処理履歴の内容例を示す図である。
【0034】
この入出金処理履歴は、通番、レジNo.、ユーザID、カードNo.、取扱区分、金額、突合せ、締上げ有無、処理日付により構成されており、通番のエリアには処理毎に付与される通し番号が書込まれ、レジNo.のエリアにはレジ担当者のIDカードから読取ったレジスタの番号が書込まれる。このレジNo.はレジスタ毎に入出金等の情報を集計する際に利用される。
【0035】
また、ユーザIDのエリアにはレジ担当者のIDカードから読取ったレジ担当者の個人ID(ID番号等)が書込まれ、カードNo.のエリアにはレジ担当者のIDカードから読取ったカード番号等が書込まれる。
【0036】
取扱区分のエリアには取扱った処理が入金であるか出金があるかを示す情報が書込まれ、金額のエリアには入金または出金の処理金額が書込まれる。
【0037】
突合せのエリアには、入金処理の際に行われる突合せ処理により検索した出金処理に対して、入金処理が行われたことを示す「済」の情報が書込まれる。すなわち、入金処理の際に同一のレジNo.及びカードNo.の出金処理を検索して、その出金処理に対応する入金処理が行われたことを示す突合せ情報を突合せのエリアに記入する処理が突合せ処理として行われる。
【0038】
また、締上げ有無のエリアには出金または入金に対してその処理後に締上げ処理が行われた場合、締上げ処理が行われたことを示す情報「有」が書込まれる。例えば、図2において、通番「1」の出金は、当該出金処理後に締上げ処理が行われことを示すが、突合せ処理は行われていないため、「済」の情報は書込まれていないものとなっている。
【0039】
処理日付のエリアには入金及び出金の処理を行った日付が書き込まれるが、本実施例においてこの日付はレジ担当者に選択させず、装置が自動的に書き込みを行うものとなっている。
【0040】
このような構成を有する本実施例の現金処理装置では、レジスタで使用する釣銭用の現金を計数して出金し、レジスタから回収した現金を計数して入金するもので、入金額から出金額を差引いた金額が売上額になる。
【0041】
レジスタへの釣銭の補充とレジスタからの現金の回収はレジ担当者の交代毎に行われ、また、業務終了時には出金額、入金額、売上額等を集計する締上げ処理が行われ、締上げ処理後等に現金の回収が行われる。
【0042】
上述した構成の作用について説明する。
【0043】
尚、以下の説明において、主制御部8や制御部17、28による制御の説明については、必要な説明を除いて省略する。
【0044】
まず、レジ担当者がレジスタで釣銭として用いる現金を出金させる場合の出金処理について説明する。
【0045】
図3はその出金処理の手順を示すフローチャートで、図中のSはステップを示し、以下このステップに従って説明する。
【0046】
まず、レジ担当者が自分のIDカードを現金処理装置に設けられているカード挿入排出口に挿入すると、カードリーダ5がIDカードから利用者の区分、レジNo.、レジ担当者の個人ID(利用者ID)、カードNo.を読取る(S1)。
【0047】
これにより利用者の区分、レジNo.、レジ担当者の個人ID(利用者ID)、カードNo.の入力が行われたことになるので、次に、レジ担当者は操作部4を操作して自分のパスワードを入力する(S2)。
【0048】
主制御部8はIDカードから読取った個人ID及びレジ担当者が入力したパスワードを予め記憶部7等に登録されている個人ID、パスワードと照合し、正当性が確認された場合、IDカードから読取った利用者区分に基づいてレジ担当者が操作可能な「出金」、「入金」を選択するメニュー画面を表示部3に表示し(S3)、レジ担当者に選択させる。
【0049】
ここでレジ担当者が操作部4を操作して「出金」を選択すると、主制御部8は「出金」の選択を受付け(S4)、表示部3に出金金額入力画面を表示する。
【0050】
この画面を見てレジ担当者が操作部4を操作して、出金金額(紙幣及び硬貨の金種毎の枚数)を入力すると、主制御部8はその入力金額を受付けて(S5)、その出金金額と紙幣処理機1の釣銭用紙幣収納庫14及び硬貨処理機2の釣銭用硬貨収納庫24内の現金を比較し、出金の可否を判断する(S6)。
【0051】
釣銭用紙幣収納庫14及び釣銭用硬貨収納庫24内の現金の不足により出金不可と判断した場合、その旨のメッセージ画面を表示部3に表示して終了する。
【0052】
出金可能な場合は、紙幣処理機1の釣銭用紙幣収納庫14及び硬貨処理機2の釣銭用硬貨収納庫24から該当金種の紙幣及び硬貨が繰出され、紙幣鑑別部12及び硬貨鑑別部22で鑑別、計数された後、紙幣入出金口11及び硬貨出金箱26に集積あるいは放出集積されてレジ担当に出金される(S7)。
【0053】
出金が終了すると、主制御部8は今回の出金の処理結果として通番、レジNo.、ユーザID、カードNo.、取扱区分、金額の情報を記憶部7の入出金処理履歴に書込んでその内容を更新(S8)するが、このとき、突合せ、締上げ有無、及び処理日付の情報は書込まないものとし、そして釣銭用紙幣収納庫14や釣銭用硬貨収納庫24から出金した枚数を金種毎に収納枚数カウンタの値から減算する。
【0054】
その後、伝票記録部6で処理結果を伝票に記録してレジ担当者に発行する(S9)。
【0055】
尚、入出金処理履歴等の更新は伝票発行後に行うようにしてもよい。
【0056】
次に、レジ担当者がレジスタから回収した現金を入金させる場合の入金処理について説明する。
【0057】
図4はその入金処理の手順を示すフローチャートで、図中のSはステップを示し、以下このステップに従って説明する。
【0058】
レジ担当者が自分のIDカードを現金処理装置に設けられているカード挿入排出口に挿入すると、カードリーダ5がIDカードから利用者の区分、レジNo.、レジ担当者の個人ID、及びカードNo.を読取る(S11)。
【0059】
これにより利用者の区分、レジNo.、レジ担当者の個人ID、カードNo.の入力が行われたことになるので、次に、レジ担当者は操作部4を操作して自分のパスワードを入力する(S12)。
【0060】
主制御部8はIDカードから読取った個人ID及びレジ担当者が入力したパスワードを予め記憶部7等に登録されている個人ID、パスワードと照合し、正当性が確認された場合、IDカードから読取った利用者区分に基づいてレジ担当者が操作可能な「出金」、「入金」を選択するメニュー画面を表示部3に表示し(S13)、レジ担当者に選択させる。
【0061】
ここでレジ担当者が操作部4を操作して「入金」を選択すると、主制御部8は「入金」の選択を受付ける(S14)。
【0062】
そして、紙幣処理機1及び硬貨処理機2は、主制御部8の指示により紙幣入出金口11及び硬貨入金口21に設けられているシャッタをそれぞれ開放して、レジ担当者がレジスタから回収してきた現金である硬貨及び紙幣を受入れ、紙幣鑑別部12及び硬貨鑑別部22で鑑別、計数して紙幣一時保留部13及び硬貨一時保留部23に一時保留する(S15)。
【0063】
受入れたすべての紙幣及び硬貨を計数して一時保留すると、主制御部8は金種毎の枚数及び金額、全金種の合計額を計数結果として表示部3に表示する。そしてレジ担当者に金額を確認させて収納の可否(OK/NG)を入力させ、その入力結果に基づいて収納の可否を判断する(S16)。
【0064】
ここで、主制御部8が収納不可(NG)と判断した場合、一時保留した紙幣は紙幣入出金口11に戻され、硬貨は硬貨リジェクト口27に送られてから、それぞれレジ担当者に返却され、処理終了となる。
【0065】
一方、収納可(OK)が入力された場合、主制御部8は記憶部7に記憶されている入出金処理履歴から前記IDカードから読取ったレジNo.及びカードNo.に該当しかつ突合せのエリアに「済」の情報が書込まれていない出金つまり同一レジスタにおける前回の出金を今回の入金に対応する出金として検索し、検索した出金の金額を前記計数による入金合計額から差し引いて今回の売上金額を算出する。そして、一時保留した紙幣のうちの1万円紙幣と2千円紙幣のみを前記売上金額を超えない範囲で紙幣回収庫15に収納すると共に、他の金種の紙幣つまり5千円紙幣及び千円紙幣は金種別に釣銭用紙幣収納庫14に収納し、また一時保留した硬貨についてはすべて金種別に釣銭用硬貨収納庫24に収納する(S17)。
【0066】
尚、計数された1万円紙幣と2千円紙幣の合計額が売上金額を超えている場合、その超えている分については紙幣リジェクト庫16に収納する。
【0067】
このようにして紙幣及び硬貨の収納が終了すると、主制御部8は今回の入金の処理結果として締上げ有無を除く通番、レジNo.、ユーザID、カードNo.、取扱区分、金額、突合せ、及び処理日付の各情報を記憶部7の入出金処理履歴に書込んでその内容を更新する(S18)。
【0068】
この場合の突合せ処理及び処理日付の書込みについて説明すると、例えば今回の入金の処理が図2に示す通番「80」の入金である場合、レジNo.は「0002」、カードNo.は「9999」であるので、このレジNo.とカードNo.に該当する前回の出金は通番「79」の出金であり、この出金にはこの時点では突合せのエリアに「済」の情報が書込まれていないので、この通番2の出金が該当することになる。従って、通番「80」の入金では通番「79」の出金の金額を使用して売上の算出を行って入金処理を行うので、通番「79」の出金処理に対し通番「80」の入金処理が行われたことを示す「済」の突合せ情報をそれぞれの突合せのエリアに記入する。
【0069】
更にその際、通番「79」の出金と通番「80」の入金に該当する処理日付の欄に前回の締上げ処理日の翌日の日付を同一の処理日付として書込む。これは入金処理が行われた翌日に次回の締上げ処理が行われることがあるので、入金処理と締上げ処理の日付(入金等の処理日付とは別に保有している)を一致させるためである。尚、締上げ処理の日付は入金等の処理日付とは別に入出金処理履歴に記入するか、別に記憶部7に保有する。
【0070】
また、釣銭用紙幣収納庫14、紙幣回収庫15、及び釣銭用硬貨収納庫24に収納した紙幣や硬貨の枚数を金種毎に収納枚数カウンタの値に加算し、更に前記売上金金額を売上金カウンタの値に加算して累計する。
【0071】
その後、伝票記録部6で入金処理結果を伝票に記録し、入金処理を行ったレジ担当者に発行する(S19)。
【0072】
尚、入出金処理履歴等の更新は伝票発行後に行うようにしてもよい。
【0073】
この入金処理は、各レジスタにおいてレジ担当者が交代する毎に行われるもので、入金処理の途中で紙幣回収庫がフル(満杯)あるいはニアフル(満杯に近い状態)になった場合、装置の表示部にカセットの交換を促すメッセージ等を表示し、紙幣回収庫を交換することで処理を継続することができる。
【0074】
次に、業務終了時等に管理者の指示により行われる締上げ処理について説明する。
【0075】
図5は締上げ処理の手順を示すフローチャートで、図中のSはステップを示し、以下このステップに従って説明する。
【0076】
業務終了時等に管理者が自分のIDカードを現金処理装置に設けられているカード挿入排出口に挿入すると、カードリーダ5がIDカードから利用者の区分、個人IDを読取る(S21)。
【0077】
これにより利用者の区分、レジNo.、レジ担当者の個人ID、カードNo.の入力が行われたことになるので、また、管理者はカード挿入後、操作部4を操作して自分のパスワードを入力する(S22)。
【0078】
主制御部8はIDカードから読取った個人ID及び管理者が入力したパスワードを予め記憶部7等に登録されている個人ID、パスワードと照合し、正当性が確認された場合、IDカードから読取った利用者区分に基づき、管理者が操作可能な「締上げ」、「回収」、「交換」等を選択するメニュー画面を表示部3に表示し(S23)、管理者に選択させる。
【0079】
ここで管理者が操作部4を操作して「締上げ」を選択すると、主制御部8は「締上げ」の選択(締上げ要求)を受付け(S24)、前回の締上げ処理以前でかつ入金のない出金つまり記憶部7の出金処理履歴に突合せエリアに入金処理が行われたことを示す「済」の情報が記入されておらずかつ締上げ有無のエリアに「有」の情報が書込まれている出金があるか否かをチェックする(S25)。
【0080】
該当する出金がある場合、その出金と、突合せエリアに入金処理が行われたことを示す「済」の情報が書込まれていてかつ締上げ有無のエリアに「有」の情報が書込まれていない出金及び入金の金額、該当する出金がない場合は、突合せエリアに入金処理が行われたことを示す「済」の情報が書込まれていてかつ締上げ有無のエリアに「有」の情報が書込まれていない出金及び入金の金額を集計して、すべてのレジスタの出金合計額、入金合計額等を算出する(S26)。
【0081】
その後、主制御部8は今回締上げ処理の対象とした入金と出金に関する情報を記憶部7の入金処理履歴から削除して、今回締上げ処理以前に行った出金で突合せエリアに入金処理が行われたことを示す「済」の情報が記入されていない出金の情報(例えば、図2における通番「81」に関する情報)のみを残し、その残した出金に対して締上げ有無のエリアに「有」の情報書込むことにより入金処理履歴の内容を更新する(S27)、
そして、最後に伝票記録部6で締上げの処理結果を伝票に記録して管理者に発行(S28)することで締上げ処理を終了する。
【0082】
以上説明した実施例によれば、入出金処理履歴に、出金処理に対して入金処理が行われたことを示す突合せ情報と入金または出金の処理日付と、締上げ処理を行ったことを示す情報を書込むものとし、出金処理の際に前記入出金処理履歴にはその出金に対して処理日付を書込まず、入金処理の際に入力されるレジスタを特定する情報を基に前記入出金処理履歴から同一のレジスタで前記突合せ情報が書込まれていない出金を検索して、売上額の算出を含む処理を行い、当該入金と検索した出金に対して突合せ情報を書込むと共に同一の日付を処理日付として書込むようにしているため、入金とそれに対応する出金の処理日付を合わせることができ、また、入金処理に対応する出金を確実に検索しては売上金額を算出できるので、正確な売上の管理を行うことができるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0083】
1 紙幣処理機
2 硬貨処理機
3 表示部
4 操作部
5 カードリーダ
6 伝票記録部
7 記憶部
8 主制御部
11 紙幣入出金口
12 紙幣鑑別部
13 紙幣一時保留部
14 釣銭用紙幣収納庫
15 紙幣回収庫
16 紙幣リジェクト庫
17 制御部
21 硬貨入金口
22 硬貨鑑別部
23 硬貨一時保留部
24 釣銭用硬貨収納庫
25 硬貨回収庫
26 硬貨出金箱
27 硬貨リジェクト口
28 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジスタで使用する釣銭用の現金を計数して出金する出金処理機能と、レジスタから回収した現金を計数して入金する入金処理機能を備え、入金及び出金毎にレジスタを特定する情報と対応付けて出金か入金かを示す情報と入金または出金の金額を入出金処理履歴として記憶部に記憶し、この入出金処理履歴により出金額、入金額、入金額と出金額の差から得られる売上額等を集計する締上げ処理を行う現金処理装置において、
前記入出金処理履歴に、出金処理に対して入金処理が行われたことを示す突合せ情報と入金または出金の処理日付と、締上げ処理を行ったことを示す情報を書込むものとし、
出金処理の際に前記入出金処理履歴にはその出金に対して処理日付を書込まず、
入金処理の際に入力されるレジスタを特定する情報を基に前記入出金処理履歴から同一のレジスタでかつ前記突合せ情報が書込まれていない出金を検索して、売上額の算出を含む処理を行い、当該入金と検索した出金に対して突合せ情報を書込むと共に同一の日付を処理日付として書込むことを特徴とする現金処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記入金と出金に対して書込む同一の処理日付は、前回の締上げ処理を行った日の翌日の日付とすることを特徴とする現金処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
締上げ処理の際、前記入出金処理履歴の前記締上げ処理を行ったことを示す情報が書込まれておらずかつ前記突合せ情報が書込まれている入金と出金を対象にして締上げ処理を行ない、今回の締上げ処理以前に行った出金でかつ締上げ処理を行ったことを示す情報が書込まれていない出金に対して締上げ処理を行ったことを示す情報を書込むことを特徴とする現金処理装置。
【請求項4】
請求項3において、
締上げ処理の際、前記入出金処理履歴の前記締上げ処理を行ったことを示す情報が書込まれかつ前記突合せ情報が書込まれていない出金も締上げ処理の対象とすることを特徴とする現金処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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