説明

現金処理装置

【課題】硬貨置場8に硬貨を置いたまま開閉カバー3を開けても硬貨20がレシート口9等から装置内に落下し、硬貨20が紛失したり、装置内に落下した硬貨20による装置故障をなくす。
【解決手段】回転支点3aにより開閉する開閉カバー3に、硬貨20を投入する硬貨投入口11と、当該硬貨投入口11に隣接して硬貨20を一時的に置く硬貨置場8を備え、投入された硬貨20を装置内に取り込んで格納可能な現金処理装置1であって、前記硬貨置場8より前記回転支点3a側の開閉カバー3に設けられた開口部の周囲に突起形状を設けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨等の現金を扱う現金処理装置における硬貨の装置内への落下防止構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来の現金処理装置では、図5に示したように、硬貨20を投入するための硬貨投入口11、紙幣を投入するための紙幣投入口2と、装置上部を覆い開閉可能な開閉カバー3と、オペレータや保守員、警送員等(以下、「オペレータ等」という)が操作する操作部4と、オペレータ等がそれぞれ所持する磁気カードの磁気データを読み取るカード読取部5と、回収した硬貨や紙幣を格納する金庫部6と、鑑別できなかった紙幣をリジェクト口7aに排出する紙幣リジェクト部7と、オペレータ等が投入しようとする硬貨20を置いておく硬貨置場8と、入金記録を印字した用紙を排出するレシート口9と、を備える。
【0003】
そして、装置内を効率的に保守できるようにするために、回転支点3aを装置背面側に設け、図6の矢印Cのように開閉カバー3を開くことができる構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−272453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の現金処理装置では、硬貨20の入金時、硬貨置場8に硬貨20を置いた状態で開閉カバー3を開くと、硬貨20が矢印Bのように硬貨置場8から開閉カバー3上を滑り、レシート口9などの開口部に到達しこの開口部から装置内に落下し、硬貨20が紛失したり、装置内に落下した硬貨20により装置故障が発生したりする問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述の課題を解決するために次の構成を採用する。すなわち、回転支点により開閉する開閉カバーに、硬貨を投入する硬貨投入口と、当該硬貨投入口に隣接して硬貨を一時的に置く硬貨置場を備え、投入された硬貨を装置内に取り込んで格納可能な現金処理装置であって、前記硬貨置場より前記回転支点側の開閉カバーに設けられた開口部の周囲に突起形状を設けるようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明の現金処理装置によれば、以上のように構成したので、開閉カバーの上に硬貨を置いたまま開閉カバーを開けてもレシート口から装置内に硬貨が落下しないようすることができ、硬貨が紛失したり、装置内に落下した硬貨による装置故障をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の現金処理装置の構成図である。
【図2】実施例1の現金処理装置のX−X断面図である。
【図3】実施例2の現金処理装置の構成図である。
【図4】実施例3の現金処理装置の構成図である。
【図5】従来の現金処理装置の構成図である。
【図6】従来の現金処理装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。なお、以下の説明では、硬貨等の現金を取り扱う現金処理金装置を例として説明するが、一定の大きさのコインなどを取り扱うコイン処理装置などであってもよい。
【実施例1】
【0010】
(構成)
図1は実施例1の現金処理装置1の外観斜視図、図2は図1のX−X断面図を示したものである。
【0011】
同図に示したように、実施例1の現金処理装置1は、硬貨20を投入するための硬貨投入口11、紙幣を投入するための紙幣投入口2と、装置上部を覆い開閉可能な開閉カバー3と、オペレータ等が操作する操作部4と、オペレータ等がそれぞれ所持する磁気カードの磁気データを読み取るカード読取部5と、回収した硬貨や紙幣を格納する金庫部6と、鑑別できなかった紙幣をリジェクト口7aに排出する紙幣リジェクト部7と、オペレータ等が投入しようとする硬貨20を置いておく硬貨置場8と、入金記録を印字した用紙を排出するレシート口9と、を備える。
【0012】
また、装置内を効率的に保守できるようにするために、回転支点3aを装置背面側に設け、矢印Cのように開閉カバー3を開くことができる構造となっている
【0013】
実施例1の現金処理装置1では、さらに、レシート口9を囲うように突起形状のレシート口土手9aを設けている。なお、レシート口土手9aは、装置正面側、すなわち回転支点3a側とは反対側にのみに設けるようにしてもよい。
【0014】
(動作)
以上の構成により実施例1の現金処理装置1は、以下のように動作する。最初に、図1を用いて硬貨20を入金する動作を説明する。
【0015】
まず、オペレータ等がそれぞれ所持する磁気カードをカード読取部5に通すと、記録された磁気データをカード読取部5にて読み取り、操作者がオペレータ、保守員、警送員のいずれであるかを判定し、当該判定結果に応じて操作モードを切り替え、紙幣や硬貨の入金操作や、金庫部6から現金の回収操作、メンテナンス操作などを行う。
【0016】
そして、現金処理装置1に硬貨20を入金するときは、一度に硬貨投入口11に入る投入枚数には制限があるため、一旦、硬貨20を硬貨置場8に置く。
【0017】
そして、硬貨置場8に置いた硬貨20を硬貨投入口11が一杯になるまで投入し、投入された硬貨20の鑑別が行われ、鑑別された硬貨20が金庫部6に搬送されると、硬貨置場8に残っている硬貨20を硬貨投入口11が一杯になるまで投入し、この作業を繰り返し行う。
【0018】
このとき、現金処理装置1に障害等が発生すると、装置内部の保守を行うために開閉カバー3を開く。すると、硬貨置場8に置かれたままの硬貨20がレシート口9に向かって開閉カバー3の表面を矢印B方向に滑って行き、レシート口土手9aまで達した硬貨20はレシート口土手9aの突起形状を避けるように装置背面側に滑り落ちていく。
【0019】
(実施例1の効果)
以上のように、実施例1の現金処理装置によれば、レシート口の周囲に突起形状の土手を設けるようにしたので、開閉カバーの硬貨置場に硬貨を置いたまま開閉カバーを開けてもレシート口から装置内に硬貨が落下しないようすることができ、硬貨が紛失したり、装置内に落下した硬貨による装置故障をなくすことができる。
【実施例2】
【0020】
(構成)
図3は、実施例2の現金処理装置1の構成図である。同図に示したように、実施例2の現金処理装置1では、紙幣リジェクト部7のリジェクト口7aの周辺にリジェクト口土手7bを新たに設けた構成となっている。なお、リジェクト口土手7bは、装置正面側、すなわち回転支点3a側とは反対側にのみに設けるようにしてもよい。また、リジェクト口7a周辺に設けるリジェクト口土手7bは船底状の突起形状などの形状としてもよい。その他の構成は、実施例1の現金処理装置の構成と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0021】
(動作)
以上の構成により実施例2の現金処理装置1は、以下のように動作する。なお硬貨20を入金する動作については実施例1の現金処理装置1の動作と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0022】
硬貨置場8に硬貨20を置いたまま開閉カバー3を開いた場合、硬貨20はレシート口9およびリジェクト口7aに向かって開閉カバー3の表面を滑っていく。
【0023】
そして、レシート口9に向かって滑っていく硬貨20は、実施例1の現金処理装置と同様、レシート口土手9aによりレシート口9には入らないで装置背面側に落下する。
【0024】
一方、紙幣リジェクト部7に向かって滑っていく硬貨20は、リジェクト口土手7bまで達し、リジェクト口土手7bの突起形状を避けるように装置背面側に滑り落ちていく。
【0025】
(実施例2の効果)
以上のように、実施例2の現金処理装置によれば、リジェクト紙幣を排出するリジェクト口の周囲に突起形状の土手を設けるようにしたので、開閉カバーの上に硬貨を置いたまま開閉カバーを開けてもリジェクト口から装置内に硬貨が落下しないようすることができ、硬貨が紛失したり、装置内に落下した硬貨による装置故障をなくすことができる。
【実施例3】
【0026】
(構成)
図4は、実施例3の現金処理装置1の構成図である。同図に示したように、実施例3の現金処理装置1では、実施例1または実施例2の現金処理装置にてレシート口9の周辺に設けたレシート口土手9aに替えて、レシート口9の装置正面側に船底状のレシート口土手9xを設けた構成としている。その他の構成は、実施例2の現金処理装置の構成と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0027】
(動作)
以上の構成により実施例3の現金処理装置1は、以下のように動作する。なお硬貨20を入金する動作については実施例1の現金処理装置1の動作と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0028】
実施例2の現金処理装置1と同様、硬貨置場8に硬貨20を置いたまま開閉カバー3を開いた場合、硬貨20はレシート口9およびリジェクト口7aに向かって開閉カバー3の表面を滑っていく。
【0029】
そして、レシート口9に向かって滑っていく硬貨20は、レシート口土手9xにより突起形状を避けるように装置背面側に滑り落ちていく。
【0030】
一方、リジェクト口7aに向かって滑っていく硬貨20は、リジェクト口土手7bまで達し、リジェクト口土手7bの突起形状を避けるように装置背面側に滑り落ちていく。
【0031】
(実施例3の効果)
以上のように、実施例3の現金処理装置によれば、レシート口周囲に船底状の突起形状を設けるようにしたので、開閉カバーの上に硬貨を置いたまま開閉カバーを開けてもレシート口から装置内に落下する硬貨を、さらになくすことができ、硬貨が紛失したり、装置内に落下した硬貨による装置故障を、さらになくすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上述べたように、本発明は、硬貨等の現金を扱う現金処理装置に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 現金処理装置
3 開閉カバー
3a 回転支点
7 紙幣リジェクト部
7a リジェクト口
7b リジェクト口土手
8 硬貨置場
9 レシート口
9a、9x レシート口土手
11 硬貨投入口
20 硬貨

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転支点により開閉する開閉カバーに、硬貨を投入する硬貨投入口と、当該硬貨投入口に隣接して硬貨を一時的に置く硬貨置場を備え、投入された硬貨を装置内に取り込んで格納可能な現金処理装置であって、
前記硬貨置場より前記回転支点側の開閉カバーに設けられた開口部の周囲に突起形状を設けるようにしたことを特徴とする現金処理装置。
【請求項2】
前記突起形状は、前記回転支点側とは反対側の前記開口部の周囲のみに設けるようにしたことを特徴とする請求項1記載の現金処理装置。
【請求項3】
前記開口部は、レシートを排出するレシート口またはリジェクト紙幣を排出するリジェクト口であることを特徴とする現金処理装置。
【請求項4】
前記突起形状は、船底状の突起形状であることを特徴とする現金処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−123602(P2012−123602A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273338(P2010−273338)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】