説明

現金処理装置

【課題】カバー開閉支点5cを支点として開閉する上面カバー5に硬貨一時置場6を備えた現金処理装置20において、硬貨30が硬貨一時置場6から上面カバー5上から滑り落ち、紛失したりしないようにする。
【解決手段】前記上面カバー5の硬貨一時置場6のカバー開閉支点5c側に硬貨落下防止部材7を設け、前記硬貨落下防止部材7は、前記上面カバー5に固定された覆い形状とした。或いは、前記硬貨落下防止部材17は、前記カバー開閉支点5cと反対側の上部に回転支点8を有し、当該回転支点8を支点として上面カバー6に突出するように引き出すことができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉するカバーに硬貨の一時置き場を設けた現金処理装置における硬貨の落下防止構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、スーパやコンビニエンスストアなどに設置されるレジスタ装置やPOS端末装置では、その下側に釣銭の払出しや客から預かった紙幣や硬貨を収納する現金処理機が配置されている。
【0003】
この従来の現金処理装置は、図7に示したように、装置前面を覆う前面カバー1と、硬貨30を投入する硬貨投入口2と、紙幣を投入する紙幣投入口3と、機構部等を内蔵する装置本体4と、カバー開閉支点5cを支点として開閉可能な上面カバー5と、硬貨30を一時的に置いておく硬貨一時置場6と、を備え、硬貨投入口2から投入された硬貨30や紙幣投入口3から投入された紙幣の枚数の計数処理、金額の集計処理、定期的に売上等を確定させるための締め処理、カセット等への現金の格納などの処理が行えるようになっている。
【0004】
そして、現金処理装置20内を効率的に保守できるようにするために、カバー開閉支点5cを装置背面側に設け、矢印Bのように上面カバー5を開くことができる構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−272453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の現金処理装置では、硬貨30を投入する際に、硬貨一時置場6に硬貨30を置いた状態で上面カバー5を矢印Bのように開くと、硬貨30が矢印Cのように硬貨一時置場6から上面カバー5上を滑り落ち、紛失したりするという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するために次の構成を採用する。すなわち、カバー開閉支点を支点として開閉する上面カバーに硬貨一時置場を備えた現金処理装置において、前記上面カバーの硬貨一時置場のカバー開閉支点側に硬貨落下防止部材を設け、前記硬貨落下防止部材は、前記上面カバーに固定された覆い形状とした。
【0008】
或いは、前記硬貨落下防止部材は、前記カバー開閉支点と反対側の上部に回転支点を有し、当該回転支点を支点として上面カバーに突出するように引き出すことができるようにした。
【0009】
或いは、前記硬貨落下防止部材は、前記カバー開閉支点と反対側の上部に備えた回転支点と当該回転支点を中心としたギア部を備え、装置本体側には、本体側歯車と、当該本体側歯車と前記ギア部間に歯車を設けた。
【0010】
或いは、前記硬貨落下防止部材は、前記カバー開閉支点と反対側の上部に回転支点を有し自重により前記上面カバーより突出するように回転自在とした。
【0011】
或いは、前記硬貨落下防止部材は、前記カバー開閉支点と反対側端部に回転支点を有し自重により回転する底部を装置本体側に設けた回転ガイドにより支持するようにした。
【0012】
或いは、別の発明では、カバー開閉支点を支点として開閉する上面カバーに硬貨一時置場を備えた現金処理装置において、前記上面カバーの硬貨一時置場に、略中央位置に回転支点を有し自重により水平位置を維持し前記上面カバーを開いたときに前記上面カバーより突出するように回転する硬貨落下防止部材を設けた。
【発明の効果】
【0013】
本発明の現金処理装置によれば、以上のように構成したので、上面カバーを開いたときに硬貨が硬貨一時置場から上面カバー上を滑り落ち、紛失したりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1の現金処理装置の構成および動作説明図である。
【図2】実施例2の現金処理装置の構成および動作説明図である。
【図3】実施例3の現金処理装置の構成および動作説明図である。
【図4】実施例4の現金処理装置の構成および動作説明図である。
【図5】実施例5の現金処理装置の構成および動作説明図である。
【図6】実施例6の現金処理装置の構成および動作説明図である。
【図7】従来の現金処理装置の構成および動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。なお、以下の説明では、硬貨等の現金を取り扱う現金処理金装置を例として説明するが、コインなどを取り扱うコイン処理装置などであってもよい。また、以下の実施例の説明では、現金処理装置にレジスタ装置やPOS端末装置を接続した形態として説明するが、現金処理装置を単独にて設置する形態であってもよい。
【実施例1】
【0016】
(構成)
実施例1の現金処理装置20の構成は、硬貨落下防止部材7に係る構成のほかは図7を用いて説明した従来の現金処理装置20の構成と同様であるので、同様の構成については簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0017】
図1は、実施例1の現金処理装置20の構成図であり、図1(a)は外観斜視図、図1(b)は図1(a)のA−A断面図である。
【0018】
同図に示したように、実施例1の現金処理装置20では、上面カバー20の硬貨一時置場6のカバー開閉支点5c側に硬貨落下防止部材7として覆い形状を設けている。
【0019】
(動作)
以上の構成により実施例1の現金処理装置20は、以下のように動作する。最初に、前述の図1を用いて硬貨30を入金する動作を説明する。
【0020】
まず、現金処理装置20に接続された図示しないレジスタ装置やPOS端末装置のカード読取部にオペレータ等がそれぞれ所持する磁気カードを通し、操作する者が店員、保守員、警送員のいずれであるかを判定し、当該判定結果に応じて操作モードを切り替え、紙幣や硬貨の入金操作や、装置本体4内の金庫部から現金の回収操作、メンテナンス操作などが行われる。
【0021】
そして、現金処理装置20に硬貨30を入金するときは、一度に硬貨投入口11に入る投入枚数には制限があるため、一旦、硬貨30を硬貨一時置場6に置く。
【0022】
そして、硬貨一時置場6に置いた硬貨30を硬貨投入口2が一杯になるまで投入し、投入された硬貨30の鑑別が行われ、鑑別された硬貨30が金庫部に搬送されると、硬貨一時置場6に残っている硬貨30を硬貨投入口2が一杯になるまで投入し、この作業を繰り返し行う。
【0023】
このとき、現金処理装置20に障害等が発生すると、装置内部の保守を行うために、図示しないレジスタ装置やPOS端末装置からその下側に配置されている現金処理装置20を分離し、図1(b)の破線のように上面カバー5を矢印B方向に開く。
【0024】
すると、硬貨一時置場6に置かれたままの硬貨30がカバー開閉支点5c側、すなわち、装置背面側に向かって矢印Cのように滑って行くが、上面カバー5に固定して設けた覆い形状、すなわち硬貨落下防止部材7に受け止められる。
【0025】
そして、ジャム除去などのメンテナンス操作を完了した後、上面カバー5を閉じると、硬貨落下防止部材7に受け止められた硬貨30は硬貨一時置き場6に戻る。
【0026】
(実施例1の効果)
以上のように実施例1の硬貨処理装置によれば、カバー開閉支点を支点として開閉する上面カバーに硬貨一時置場を備えた現金処理装置において、前記硬貨一時置場のカバー開閉支点側に前記上面カバーに固定された覆い形状を設けたので、上面カバーを開いたときに硬貨が硬貨一時置場から上面カバー上を滑り落ち、紛失したりすることがない。
【実施例2】
【0027】
(構成)
実施例2の現金処理装置20の構成も、硬貨落下防止部材17に係る構成のほかは図7を用いて説明した従来の現金処理装置20の構成と同様であるので、同様の構成については簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0028】
図2は、実施例2の現金処理装置20の構成図であり、図2(a)は外観斜視図、図2(b)は図2(a)のA−A断面図である。
【0029】
同図に示したように、実施例2の現金処理装置20では、上面カバー20の硬貨一時置場6のカバー開閉支点5c側に、回転支点8を支点として上面カバー5上に引き出すことができる硬貨落下防止部材17を設けている。
【0030】
(動作)
以上の構成により実施例2の現金処理装置20は、以下のように動作する。なお、硬貨30を入金する動作については実施例1の現金処理装置20の動作と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0031】
現金処理装置20に障害等が発生すると、装置内部の保守を行うために、図示しないレジスタ装置やPOS端末装置からその下側に配置されている現金処理装置20を分離し、硬貨落下防止部材17を図2(b)の矢印Dのように回転して破線のように引き出す。そして、上面カバー5を矢印Bのように開く。
【0032】
すると、硬貨一時置場6に置いた硬貨30は、硬貨一時置き場6の傾斜を滑って矢印Cのように落下するが、引き出された硬貨落下防止部材17に受け止められる。
【0033】
そして、ジャム除去などのメンテナンス操作を完了した後、上面カバー5を閉じると、硬貨落下防止部材17に受け止められた硬貨30は硬貨一時置き場6に戻る。
【0034】
(実施例2の効果)
以上のように、実施例2の現金処理装置によれば、カバー開閉支点を支点として開閉する上面カバーに硬貨一時置場を備えた現金処理装置において、上面カバーの硬貨一時置場のカバー開閉支点側に、前記カバー開閉支点と反対側の上部に回転支点を有し当該回転支点を支点として上面カバー上に引き出すことができる硬貨落下防止部材を設けたので、実施例1の効果に加え、通常時は上面カバー内に硬貨落下防止部材を収納でき、省スペースとすることができる。
【実施例3】
【0035】
(構成)
実施例3の現金処理装置20の構成も、硬貨落下防止部材27に係る構成のほかは図7を用いて説明した従来の現金処理装置20の構成と同様であるので、同様の構成については簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0036】
図3は、実施例3の現金処理装置20の構成図であり、図3(a)は外観斜視図、図3(b)は図3(a)のA−A断面図である。
【0037】
同図に示したように、実施例3の現金処理装置20では、上面カバー20の硬貨一時置場6のカバー開閉支点5c側に、硬貨落下防止部材27を設けている。
【0038】
そして、硬貨落下防止部材27には、回転支点8とギア部11を同図のように備え、装置本体側には、装置本体側に固定された本体側歯車19と、当該本体側歯車19と前記ギア部11間に装置本体側に固定された歯車10を配した構成となっている。
【0039】
(動作)
以上の構成により実施例3の現金処理装置20は、以下のように動作する。なお、硬貨30を入金する動作については実施例1の現金処理装置20の動作と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0040】
現金処理装置20に障害等が発生すると、装置内部の保守を行うために、図示しないレジスタ装置やPOS端末装置からその下側に配置されている現金処理装置20を分離し、上面カバー5を図3(b)の矢印Bのように開く。
【0041】
すると、固定された本体側歯車19に噛み合った歯車10が矢印E方向に回転し、この回転により硬貨落下防止部材27に備えたギア部11により硬貨落下防止部材27が回転支点8を支点として矢印F方向に徐々に回転し破線のように上面カバー5から突出する。
【0042】
すると、硬貨一時置場6に置いた硬貨30は、硬貨一時置き場6の傾斜を滑って矢印Cのように落下するが、上面カバー5より突出した硬貨落下防止部材27に受け止められる。
【0043】
そして、ジャム除去などのメンテナンス操作を完了した後、上面カバー5を閉じると、固定された本体側歯車19に噛み合った歯車10が矢印E方向とは反対方向に回転し、この回転により硬貨落下防止部材27に備えたギア部11により硬貨落下防止部材27が回転支点8を支点として矢印F方向と逆方向に回転し、実線の位置まで徐々に回転して、上面カバー5内に収納され、硬貨落下防止部材27に受け止められた硬貨30は硬貨一時置き場6に戻る。
【0044】
(実施例3の効果)
以上のように、実施例3の現金処理装置によれば、カバー開閉支点を支点として開閉する上面カバーに硬貨一時置場を備えた現金処理装置において、上面カバーの硬貨一時置場のカバー開閉支点側に硬貨落下防止部材を設け、前記硬貨落下防止部材は、前記カバー開閉支点と反対側の上部に備えた回転支点と当該回転支点を中心としたギア部を備え、装置本体側には、本体側歯車と、当該本体側歯車と前記ギア部間に歯車を備えたので、手動による操作を要することなく、実施例2と同様の効果を奏することができる。
【実施例4】
【0045】
(構成)
実施例4の現金処理装置20の構成も、硬貨落下防止部材37に係る構成のほかは図7を用いて説明した従来の現金処理装置20の構成と同様であるので、同様の構成については簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0046】
図4は、実施例4の現金処理装置20の構成図であり、図4(a)は外観斜視図、図4(b)は図4(a)のA−A断面図である。
【0047】
同図に示したように、実施例4の現金処理装置20では、上面カバー20の硬貨一時置場6のカバー開閉支点5c側に、回転支点8を支点として回転自在とした硬貨落下防止部材37と、実線の硬貨落下防止部材37の位置より矢印Gとは反対方向への回転を規制する規制部材39を設けている。なお、規制部材39を備えない構成としてもよい。
【0048】
(動作)
以上の構成により実施例4の現金処理装置20は、以下のように動作する。なお、硬貨30を入金する動作については実施例1の現金処理装置20の動作と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0049】
現金処理装置20に障害等が発生すると、装置内部の保守を行うために、図示しないレジスタ装置やPOS端末装置からその下側に配置されている現金処理装置20を分離し、上面カバー5を図4(b)の矢印Bのように開く。
【0050】
すると、上面カバー5を開くとともに、硬貨落下防止部材37は自重により矢印G方向に回転し、破線のように上面カバー5より突出する。
【0051】
このとき、硬貨一時置場6に置いた硬貨30は、硬貨一時置き場6の傾斜を滑って矢印Cのように落下するが、上面カバー5より突出された硬貨落下防止部材37に受け止められる。
【0052】
そして、ジャム除去などのメンテナンス操作を完了した後、上面カバー5を閉じると、硬貨落下防止部材37は自重により矢印G方向とは逆方向に回転し、実線のように規制部材39にて規制される位置まで回転して上面カバー5内に収納され、硬貨落下防止部材37に受け止められた硬貨30は硬貨一時置き場6に戻る。
【0053】
(実施例4の効果)
以上のように、実施例4の現金処理装置によれば、カバー開閉支点を支点として開閉する上面カバーに硬貨一時置場を備えた現金処理装置において、上面カバーの硬貨一時置場のカバー開閉支点側に、前記カバー開閉支点と反対側の上部に回転支点を有し上面カバーを開いたときに自重により上面カバーより突出するように回転自在の硬貨落下防止部材を設けたので、簡易な構成により実施例3と同様の効果を奏することができる。
【実施例5】
【0054】
(構成)
実施例5の現金処理装置20の構成も、硬貨落下防止部材47に係る構成のほかは図7を用いて説明した従来の現金処理装置20の構成と同様であるので、同様の構成については簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0055】
図5は、実施例5の現金処理装置20の構成図であり、図5(a)は外観斜視図、図5(b)は図5(a)のA−A断面図である。
【0056】
同図に示したように、実施例5の現金処理装置20では、上面カバー20の硬貨一時置場6に、略中央位置に設けた回転支点48を支点として矢印G方向に回転自在で、実線位置よりG方向とは反対方向への回転を規制部材49にて規制された硬貨落下防止部材47を設けている。なお、規制部材49を備えない構成としてもよい。
【0057】
(動作)
以上の構成により実施例5の現金処理装置20は、以下のように動作する。なお、硬貨30を入金する動作については実施例1の現金処理装置20の動作と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0058】
現金処理装置20に障害等が発生すると、装置内部の保守を行うために、図示しないレジスタ装置やPOS端末装置からその下側に配置されている現金処理装置20を分離し、上面カバー5を図5(b)の矢印Bのように開く。
【0059】
すると、上面カバー5を開くとともに、硬貨落下防止部材47は自重により水平方向を維持しながら矢印G方向に回転し、破線のように上面カバー5より突出する。
【0060】
このとき、硬貨一時置場6に置いた硬貨30は、水平に維持される硬貨落下防止部材47上に置かれた状態が維持される。
【0061】
そして、ジャム除去などのメンテナンス操作を完了した後、上面カバー5を閉じると、硬貨落下防止部材47は自重により矢印G方向とは逆方向に回転し、図5(b)の実線で示したように規制部材49により回転が規制されるまで回転し上面カバー5内に収納され、硬貨落下防止部材47に置かれた硬貨30は硬貨一時置き場6に戻る。
【0062】
(実施例5の効果)
以上のように、実施例5の現金処理装置によれば、カバー開閉支点を支点として開閉する上面カバーに硬貨一時置場を備えた現金処理装置において、上面カバーの硬貨一時置場に、略中央位置に回転支点を有し自重により水平位置を維持し上面カバーを開いたときに上面カバーより突出するように回転する硬貨落下防止部材を設けたので、実施例4の効果に加え、大きな受け皿とすることができ、さらに確実に硬貨の落下および紛失を防止することができる。
【実施例6】
【0063】
(構成)
実施例6の現金処理装置20の構成も、硬貨落下防止部材57に係る構成のほかは図7を用いて説明した従来の現金処理装置20の構成と同様であるので、同様の構成については簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0064】
図6は、実施例6の現金処理装置20の構成図であり、図6(a)は外観斜視図、図6(b)は図6(a)のA−A断面図である。
【0065】
同図に示したように、実施例6の現金処理装置20では、上面カバー20の硬貨一時置場6のカバー開閉支点5c側に、回転支点58を有する硬貨落下防止部材57を設け、硬貨落下防止部材57の自重による矢印H方向への回転を回転ガイド68により支持した構成となっている。
【0066】
(動作)
以上の構成により実施例6の現金処理装置20は、以下のように動作する。なお、硬貨30を入金する動作については実施例1の現金処理装置20の動作と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0067】
現金処理装置20に障害等が発生すると、装置内部の保守を行うために、図示しないレジスタ装置やPOS端末装置からその下側に配置されている現金処理装置20を分離し、上面カバー5を図6(b)の矢印Bのように開く。
【0068】
すると、上面カバー5を開くとともに、硬貨落下防止部材57は回転ガイド68から離れ、回転ガイド68により底部をガイドされながら、自重により矢印H方向に回転し、硬貨落下防止部材57aのように回転し、さらには硬貨落下防止部材57bのように回転し、上面カバー5内に入り込む。
【0069】
このとき、硬貨一時置場6に置いた硬貨30は、硬貨一時置き場6の傾斜を滑って矢印Cのように落下するが、矢印H方向に回転し略垂直方向に維持された硬貨落下防止部材57a、57bに受け止められる。
【0070】
そして、ジャム除去などのメンテナンス操作を完了した後、上面カバー5を閉じると、硬貨落下防止部材57は自重により矢印H方向とは逆方向に回転し、その底部が回転ガイド68に当接してガイドされ、硬貨落下防止部材57aの位置を経て実線の硬貨落下防止部材57の位置となり、硬貨落下防止部材57に受け止められた硬貨30は硬貨一時置き場6に戻る。
【0071】
(実施例6の効果)
以上のように、実施例6の現金処理装置によれば、カバー開閉支点を支点として開閉する上面カバーに硬貨一時置場を備えた現金処理装置において、上面カバーの硬貨一時置場のカバー開閉支点側に、前記カバー開閉支点と反対側端部に回転支点を有する硬貨落下防止部材を設け、自重により回転する底部を回転ガイドにより支持するようにしたので、実施例4の効果に加え、上部カバーを開いたときでも硬貨落下防止部材が上部カバーより突出することがなくさらに省スペースとすることができる。
【0072】
《その他の変形例》
なお、以上の実施例の説明では、装置背面側にカバー開閉支点5cを備え上面カバー5を背面側に開閉する例として説明したが、左右側面にカバー開閉支点5cを備え上面カバー5を左右に開閉するカバーであってもよい。この場合もカバー開閉支点5c側に、落下する硬貨を受け止める前記実施例記載の硬貨落下防止部材7、17、27、37、47、または57を設けるようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上述べたように、本発明は、開閉する上面カバーに硬貨の一時置場を設けた現金処理装置に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0074】
1 前面カバー
2 硬貨投入口
4 装置本体
5 上面カバー
6 硬貨一時置場
7、17、27、37、47、57、57a、57b 硬貨落下防止部材
8、48、58 回転支点
10 歯車
11 ギア部
19 本体側歯車
20 硬貨処理装置
30 硬貨
39、49 規制部材
68 回転ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー開閉支点を支点として開閉する上面カバーに硬貨一時置場を備えた現金処理装置において、
前記上面カバーの硬貨一時置場のカバー開閉支点側に硬貨落下防止部材を設けたことを特徴とする現金処理装置。
【請求項2】
前記硬貨落下防止部材は、前記上面カバーに固定された覆い形状としたことを特徴とする請求項1記載の現金処理装置。
【請求項3】
前記硬貨落下防止部材は、前記カバー開閉支点と反対側の上部に回転支点を有し、当該回転支点を支点として上面カバーに突出するように引き出すことができるようにしたことを特徴とする請求項1記載の現金処理装置。
【請求項4】
前記硬貨落下防止部材は、前記カバー開閉支点と反対側の上部に備えた回転支点と、当該回転支点を中心としたギア部を備え、装置本体側には、本体側歯車と、当該本体側歯車と前記ギア部間に歯車を備えたことを特徴とする請求項1記載の現金処理装置。
【請求項5】
前記硬貨落下防止部材は、前記カバー開閉支点と反対側の上部に回転支点を有し自重により前記上面カバーより突出するように回転自在としたことを特徴とする請求項1記載の現金処理装置。
【請求項6】
前記硬貨落下防止部材は、前記カバー開閉支点と反対側端部に回転支点を有し自重により回転する底部を装置本体側に設けた回転ガイドにより支持するようにしたことを特徴とする請求項1記載の現金処理装置。
【請求項7】
カバー開閉支点を支点として開閉する上面カバーに硬貨一時置場を備えた現金処理装置において、
前記上面カバーの硬貨一時置場に、略中央位置に回転支点を有し自重により水平位置を維持し前記上面カバーを開いたときに前記上面カバーより突出するように回転する硬貨落下防止部材を設けたことを特徴とする現金処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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